JP2839583B2 - 電気掃除機 - Google Patents

電気掃除機

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、電動送風機を備える電気掃除機の運転状態
の変化を検知する検出装置と、該検出装置の検出値に応
答して電動送風機を制御する制御装置とを備えた電気掃
除機に関する。
〔従来の技術〕
前記電気掃除機、すなわち、電動送風機を備える電気
掃除機の運転状態の変化を検知する検出装置と、該検出
装置の検出値に応答して電動送風機を制御する制御部と
を備えた電気掃除機においては、従来、例えば特開昭61
−280831号公報に記載の如く、圧力センサ等のセンサ検
出値に応じて電動送風機の出力を制御することが知られ
ている。
しかし、吸口の操作の有無、すなわち掃除状態である
か否かに応じた最適運転制御については、全く考慮され
ていなかつた。
特に、種類の異なる吸口を交換して使用した場合、や
フイルタが目詰りした風量域での運転制御については全
く考慮されていなかつた。
ここで吸口による運転特性の違いを述べると次のよう
になる。第2図に示す一般床用吸口7のように開口面積
の広い吸口と、隙間用吸口8のように先端部を細くした
開口面積の小さな吸口とでは、実使用時の風量範囲が異
なる。
第3図は、一般床用吸口7を用いた場合の空力特性を
示す図で、曲線Pは電動送風機2の出力静圧曲線で。A
およびA′曲線は、第1図における電気掃除機1のフイ
ルタ4が目詰りしていない時の吸口を含む通気損失圧力
を示す。吸口7を掃除面上で動かすと吸口の接触状態が
変化し通気抵抗が変化することから、AとA′の間で変
動することになる。吸口部の通気損は、風量Qの減少に
よつて減少することから、掃除動作による損失圧力の変
動分であるAとA′の差も小さくなり、第3図の如く、
AとA′曲面は、小風量側ほど近寄つた曲線となること
が分かる。
BおよびB′曲線は、フイルタ4が目詰りした状態の
場合の通気損失圧力を示すもので、A,A′に対して、フ
イルター4の目詰りによる圧損増加分だけ大きな値とな
る。BとB′の差は、前述の掃除動作による変動分で各
風量Qに対応した吸口部での圧損変動分である。また風
量Q(ロ)はごみの吸取り性能上実使用限度の下限を示
す。
一方、隙間用吸口8をつけた場合の空力特性を第5図
に示す。電動送風機2の出力空力特性Pが第3図と同じ
であるとすると、吸口8部の開口が小さいことから通気
損が大きく、フイルタ4が目詰りしていない状態でも曲
線Cの如く大きな通気圧力損失となり、吸口8を掃除面
から宙に浮かした最大風量状態でも、風量Q(ハ)の大
きさとなる。この値は、第3図の実使用可能風量範囲下
限値風量Q(ロ)の値とほぼ等しいか、少し大きい程度
の風量となる。
曲線C′は、吸口8を掃除面上で動かした場合の変動
上限側通気損失を示す。吸口8は、開口部が小さいこと
から掃除面にほとんど密着するように開口部が接した時
の損失は、大きな値となり、C,C′の変動幅は、一般用
吸口7の変動幅A−A′の値よりも大きな値となる。
フイルタ4が目詰りした時の実使用可能下限風量は風
量Q(ニ)となり、その時の通気損失曲線D、および変
動上限側通気損失時曲線をD′として示す。
このように、一般用吸口7のように開口面積の大きな
吸口の実使用可能風量範囲Q(イ)−Q(ロ)と隙間用
吸口8のように開口面積の小さな吸口の実使用可能風量
範囲Q(ハ)−Q(ニ)は、異なることになる。第3
図,第5図に示す代表例で比較すると、風量Q(イ)>
風量Q(ハ),風量Q(ロ)>風量Q(ハ)となる。
上記の実使用可能な風量範囲である通常使用範囲とゴ
ミ吸込性能低下面から見た使用不可範囲である不使用範
囲を図示すると第3図,第5図に対応して第4図,第6
図のようになる。
ここで各図の如く、通常使用範囲外である風量Q
(イ)、Q(ハ)以上の範囲、および風量Q(ロ)、Q
(ニ)以下の範囲では、吸込性能を大幅に低減すること
により省電力および騒音低減を図ることが望ましい。
〔発明が解決しようとする課題〕
このような吸込特性を得るように制御を掛けた場合、
第7図のように第4図と第6図を重ねて見ると分かるよ
うに、一つの吸込特性で両方の吸口に不具合なく両立す
る特性は得られない。すなわち、風量Q(ロ)以下は吸
込口を低減する特性とすると隙間用吸口8のように小開
口面積の吸口に対しては、速くから吸込力を低下させる
制御を掛けてしまうことになり実用範囲で吸込力が弱く
なる欠点がある。一方、風量Q(ニ)以下の範囲で吸込
力を低減させる特性にした場合は、床用吸口7のように
大開口面積の吸口に対して、十分なゴミ吸引力が得られ
ない状態で使用することになる欠点があつた。
本発明の主たる目的は、実使用風量範囲が異なる種々
の吸口に対して、不具合なく最適吸込力制御を可能とし
た電気掃除機を提供することにある。
さらに本発明の他の目的は、吸口を操作しない非掃除
時の省電力化、低騒音化を図つた電気掃除機を提供する
ことにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために本発明の特徴とするところ
は、集塵室と、電動送風機と、掃除機の風量,圧力,電
流,回転数等を検出する検出手段と、該検出手段に基づ
いて前記電動送風機を制御する制御手段とを有する電気
掃除機であって、前記制御手段は、前記電動送風機の吸
込力を低減させる第1の基準値と、該第1の基準値に対
応する風量より少風量側に設定した第2の基準値とを有
し、前記第1の基準値と前記第2の基準値とに対応する
風量の間で前記検出手段が所定値以上の変動を検出した
場合には、前記電動送風機の吸込力を増加させることに
ある。
〔作用〕
本発明によれば、電動送風機の吸込力を低減させる第
1の基準値と、該第1の基準値に対応する風量より少風
量側に設定した第2の基準値とを有し、第1の基準値と
第2の基準値とに対応する風量の間で検出手段が所定値
以上の変動を検出した場合には、電動送風機の吸込力を
増加させるようにしているので、吸口の種類に応じた吸
込性能を確保することができる。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例を図により説明する。第1図
は、電気掃除機1の構成を示すブロツク図で、2は電動
送風機、3は本体ケース、4はゴミをろ過するフイル
タ、5は集じんケースを示す。6はブロツク図として電
気掃除機本体外に図示した制御装置であり、回路基板や
マイクロコンピユータソフトとして本体ケース3内に収
納される。制御装置6の構成は、検出装置9の検出量を
演算処理して電力制御装置11への指令値を出す演算処理
装置10および、これら各装置へ電力を供給する電源12か
らなる。検出装置9は、風量センサ、圧力センサ、電流
センサ、電動送風機の回転数センサ等電気掃除機の運転
状態によつて変化する因子を検値するもので、直接風量
を示す検出量として出力するか、または各検出量の組み
合せとして演算によつて間接的に風量を演算処理装置10
によつてとらえることができる。
13は、演算処理装置10に含まれる判別装置で、前記変
化因子の変動幅や変動時間々隔等の形態を判別して、装
着されている吸口の種類を判別するものである。すなわ
ち、第3図と第4図の説明で前述した如く静圧Hまたは
風量Qの吸口操作による変動範囲ΔHまたはΔQによる
判別を例にとると、開口面積の大きな吸口は変動幅が小
さく、開口面積の小さな隙間用吸口では、密着開放が繰
り返えされ変動幅が大きくなることから、所定の判定値
により弁別することが可能である。すなわち、所定の判
定値よりも大きな変化量が来た場合のみ計数することに
より隙間用隙口等小開口面積の吸口が操作されているか
否かを判断することができる。この機能は、電子回路で
構成しても良いが、マイクロコンピユータの制御ソフト
上で構成した方が演算処理装置10全体を構成する上でも
好適である。
以上の構成により吸込特性を制御した例を第8図の2
点鎖線部に示す。
すなわち、実使用風量範囲の第1の下限値を、風量Q
(ロ)とし、第2の下限値を風量Q(ニ)として設定
し、Q(ロ)以下の風量範囲ではP1で示す低吸込性能と
なるよう制御し、経路(ロ)→(1)→(2)→(3)
→(4)→(5)で示す吸込特性で運転する。
ここで特に風量Q(ロ)とQ(ニ)の間の範囲で運転
されている時、検出装置9による検出値の変動幅が所定
の判定値以上の変動回数を所定時間毎に計数することに
より、小開口面積の吸口が装着されており、しかも操作
されていることを判別することができる。この機能をも
つ判別装置13の信号により演算処理装置10によつて所定
量吸込性能を上昇させるよう指令制御することにより、
小開口面積の吸口に適した吸込性能(経路(6)−
(7))で運転することができる。
所定時間中に判定値を越える変動は計数されなかつた
場合は、吸口を操作しない非掃除時であるか、大開口面
積の吸口が装着されている場合であり低吸込性能の状態
にして省電力、低騒音運転をすれば良い。
このように、負荷変動幅の大きさ、所定時間内の変動
回数、および動作点風量を知ることによつて、装着して
ある吸口に最適な吸込特性を自動的に実現することが可
能となる。
この吸込性能増減制御の一実施例を、第9図から第12
図に示す。第9図と第10図の対比において、第10図は横
軸を時間として負荷変動検出値を静圧の変化として検知
する場合の例を示す。第10図において、所定時間Tの間
のに負荷の変動ΔHが無い場合は電動送風機2の回転数
NをN Iとして吸込性能を静圧H Iを維持する。毎検出期
間T毎に所定の判定値を越える変動ΔHが1ケ以上計数
された場合は、図の(A)の如く高吸込性能となるよう
回転数N IIとして静圧がH IIまで上昇した状態で運転さ
れる。この状態から変動ΔHが計数されなかつた場合、
図の(B)の如く回転数を元のN Iに戻し低吸込性能と
する。この制御を基本とするが、図に示す(A),
(B)の切替が各期間T毎に頻繁に繰り返えされた場
合、吸込性能の急変が短時間で繰り返えされるので、う
なり音や電気掃除機の振動などの変動が生じる不具合が
生じるので、負荷変動が無い期間Tがn倍のn×Tの間
続いたら吸込性能を下げるように制御しても良い。
また第11図,第12図の如く吸込性能上昇量を検出期間
Tの間の変動回数に比例した量毎増減させるか、変動回
数の所定の関数となる量毎増減させても良い。この時、
初期低位吸込性能H Iを長期負荷変動無しの場合、Hmin
を変動回数1回レベルの低操作回数時の最小吸込性能
値、HMAXを高速で多数回吸口を操作した時の最大吸込性
能値として設定することによつて、使用者の感覚に合わ
せた吸込性能を自動的に制御実現することも可能とな
る。
さらに上述の制御風量範囲は、第8図の風量Q
(ロ)、Q(ニ)の間の範囲の例で示したが、この風量
範囲に限定されることなく、全風量範囲で吸口の操作に
よる負荷変動の有無、回数に対応した吸込性能の制御を
することにより、吸口無操作時である非掃除時の省電力
化、低騒音化が達成されることはいうまでもない。さら
に吸口の操作回数頻度に対応して吸込性能を制御するこ
とも上述と同様の効果を得ることができる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、電動送風機の吸込力を低減させる第
1の基準値と、該第1の基準値に対応する風量より少風
量側に設定した第2の基準値とを有し、第1の基準値と
第2の基準値とに対応する風量の間で検出手段が所定値
以上の変動を検出した場合には、電動送風機の吸込力を
増加させるようにしているので、吸口の種類に応じた吸
込性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例の電気掃除機の構成を示す
ブロツク図、第2図は、吸口の外観を示す斜視図、第3
図から第8図は、電動送風機の出力特性と吸口等の負荷
特性との関係を示す空力特性図、第9図から第12図は、
空力特性の自動制御時の時間的変化の関係を示す特性図
である。 1……電気掃除機、2……電動送風機、6……制御装
置、7,8……吸口、9……検出装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 豊島 久則 茨城県日立市東多賀町1丁目1番1号 株式会社日立製作所多賀工場内 (72)発明者 川又 光久 茨城県日立市東多賀町1丁目1番1号 株式会社日立製作所多賀工場内 (72)発明者 小原木 春雄 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 田原 和雄 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 遠藤 常博 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 宮下 邦夫 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 安島 俊幸 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 安部 岳志 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 細川 敦志 茨城県日立市東多賀町1丁目1番1号 株式会社日立製作所多賀工場内 (56)参考文献 特開 平2−268719(JP,A) 特開 昭55−96125(JP,A) 特開 平2−121615(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A47L 9/02 - 9/04 A47L 9/28

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】集塵室と、電動送風機と、掃除機の風量,
    圧力,電流,回転数等を検出する検出手段と、該検出手
    段に基づいて前記電動送風機を制御する制御手段とを有
    する電気掃除機であって、 前記制御手段は、前記電動送風機の吸込力を低減させる
    第1の基準値と、該第1の基準値に対応する風量より少
    風量側に設定した第2の基準値とを有し、 前記第1の基準値と前記第2の基準値とに対応する風量
    の間で前記検出手段が所定値以上の変動を検出した場合
    には、前記電動送風機の吸込力を増加させることを特徴
    とする電気掃除機。
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