JP2839084B2 - 光半導体素子の製造方法 - Google Patents

光半導体素子の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、III-V族半導体を
用いた光半導体素子の製造方法に関し、特に光通信用に
用いられる半導体レーザおよび光検出器の製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】光ファイバ通信システムは近年めざまし
い発展を遂げ、400Mb/s、1.6Gb/s等の大
容量の光通信システムが日本国内をはじめ、海底ケーブ
ルを通じて外国との間にも導入されている。この光通信
システム用の主たるデバイスとしては、III-V族半導体
により形成された半導体レーザ、光検出器等が挙げられ
る。
【0003】これらのデバイスは、将来の10Gb/
s、40Gb/s等の超高速大容量光伝送システムの実
現のため、より高性能化、低消費電力化の研究開発が進
められている。また近年、マルチメディア社会の到来を
控え、大容量の情報を伝達できる通信方式が強く望ま
れ、光ファイバを各家庭まで、あるいはそのごく近傍ま
で敷設する光加入者通信システムが注目され、このシス
テムに適用する光半導体素子の開発が望まれている。
【0004】上記の背景を基に、まず半導体レーザの従
来例について説明する。光加入者系の半導体レーザとし
ては、温度調整の不要な、高温度の環境においても安定
に動作する素子が必要となる。現在多くの機関で、高温
特性に優れた半導体レーザの開発が進められており、近
年、従来からのInGaAsP系の材料を用いた全MO
VPE(有機金属気相成長)選択成長による1.3μm
帯歪MQW−BH(Multi Quantum Well−Buried Heter
ostructure)レーザが電子情報通信学会の光波量子エレ
クトロニクス研究会の技術報告;LQE95−88、p
p.39−44に報告されている。この素子において
は、特性温度として72K(25−85℃)の良好な特
性を実現している。しかし、更なる特性改善のために、
伝導帯不連続エネルギーを大きくとれる材料であるIn
AlGaAs系を用いることも検討されている。
【0005】このInAlGaAs系の材料を用いたリ
ッジ導波構造の半導体レーザが、アイ・イー・イー・イ
ー ジャーナル オブ クオンタム エレクトロニクス
(IEEE J. OF QUANTUM ELECTRONICS)30巻、pp.5
11−523 (1994) に発表されている。この素子にお
いては、高温動作特性の一般的な性能指標である、85
℃−5mW光出力条件の動作電流として40mA程度の
優れた性能が得られ、ほぼ十分な信頼性が確認されてい
る。
【0006】次に、光検出器の従来例について説明す
る。次世代の10Gb/s用のアバランシェフォトダイ
オード(APD)として、増倍層に超格子層あるいは、
組成傾斜多重層(鋸歯状のバンド構造もつ多重層)を用
いた素子が報告されている(超格子APDは、オプトエ
レクトロニクス(OPTOELECTRONICS)10巻、pp.97
−108(1995)にて報告され、また組成傾斜多重層を用
いたステアケースAPD(staircase APD)は、ジャ
パニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジック
ス(Japan.J.Appl.Phys.)33巻、pp.L32−34(1
994)にて報告されている)。これらの素子は、増倍層の
伝導帯不連続エネルギーを利用して電子の衝突イオン化
を促進し、素子の雑音指数を低減することを目的として
おり、利得帯域幅積で100GHz以上の特性を実証し
ている。
【0007】その一方で素子の動作電圧の低減も望まれ
ている。上記素子の動作電圧は20V以上であり、シス
テム化する場合にAPD専用の電源電圧を確保する必要
がある。この動作電圧を5V以下にすることができれ
ば、IC電源と共通化でき、回路の簡素化が可能とな
る。このため、導波路構造APDの検討もなされてい
る。この例は、第7回InPおよび関連材料国際会議(7
th International Conference on Indium Phosphide an
d Related Materials)の予稿集pp.369−372(1
995) に記載されている。この報告では、動作電圧は7
V程度と低電圧化がなされているが、プロセス工程にお
いて導波構造をウエットエッチングで形成しているた
め、InAlAsが酸化し素子端面の品質が劣化し、そ
のため過剰暗電流が多く、暗電流1μA時の光電流増倍
は2−3倍程度にとどまる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】まず、半導体レーザに
ついて説明する。従来の技術の項で述べたように、In
AlGaAs系のレーザは、従来からの材料であるIn
GaAsP系のレーザ特性を凌駕する可能性を有してい
る。これは、InAlGaAs系材料の方が、伝導帯不
連続エネルギーを大きくできることによる。しかしなが
ら、上述のリッジ導波構造では注入キャリアが活性層の
横方向に漏れるために、動作電流の低減には限度があ
る。レーザ駆動回路をより簡便なものにするためには、
APCフリー動作や、無バイアス駆動できることが必要
となり、上記動作電流としては、25mA程度、あるい
はそれ以下が望まれ、そのため選択成長を用いた埋め込
み構造が望まれる。
【0009】InAlGaAs系の選択成長を行う場
合、InGaAsP系にはない問題点が生じる。まず第
1は、選択成長を行った際にマスク上に多結晶が析出し
やすいという問題である。このため、InAlAs系の
選択成長の例はほとんど報告されていない。本発明者ら
は、最近、成長条件等の最適化により、InAlAs選
択成長においてもマスク上へ多結晶析出のない成長が可
能であることを実証した(第56回応用物理学会学術講
演会予稿集No.1 26aZE5/I p.181 に報告されている)。
【0010】第2は、高活性なAlに起因して、選択成
長時にメサ端面((111)B面)方向にも成長が行わ
れる点である。図7に従来の製造方法によって作製した
InAlGaAs系レーザの断面図を示す。製造方法
は、まず第1回目の選択成長として、InP基板上1に
n型InPバッファ層3、n型InAlGaAs(波長
1.06μm)層4、n- 型InAlGaAs(波長
1.06μm)層5、n-型InAlAs/InGaA
s MQW層6、n- 型InAlGaAs(波長1.0
6μm)層7、n- 型InAlAs層8、p型InAl
As層31、p型InP層32を順次成長させる。ここ
で、InAlGaAs系ではメサ端面にも成長が生じる
ため、メサ端面のp型InAlAs層31が基板に接触
ないし近接することになる。
【0011】次に、基板上の誘電体膜を除去し、メサ頂
部に誘電体膜を形成して、p型InP層11、n型In
P層12、p型InP層13の3層からなる電流ブロッ
ク層を形成し、その後メサ頂部の誘電体膜を除去して、
全面にp型InP層14、p型InGaAsキャップ層
15を積層する。その後、n側およびp側電極(図示な
し)を形成して素子構造を完成する。
【0012】上述したように、第1回目の成長で基板側
からn層/n- 活性層/p層を積層した場合、メサ端面
にp層が積層され基板まで接することになる。その上、
このメサ端面((111)B面)の成長層の結晶品質
が、(100)面上への成長層より劣化している(欠陥
を多く含む)ので、メサ端面におけるpn接合およびメ
サ端面のp層と基板との界面のpn接合が低品質とな
り、ビルトイン電圧以下でも電流が流れてしまう。よっ
て、第2回目の選択成長でpnp3層からなる電流ブロ
ック層を形成するにもかかわらず、MQW活性層を回避
して電流が流れるパスが形成される。このように、メサ
端面に形成された低品質なp型導電層により電流パスが
形成されるので、従来の埋め込み選択成長方法をInA
lGaAs系材料に適用した場合、電流がMQW活性層
に効率良く注入されず、十分な素子特性を得ることがで
きない。
【0013】次に、アバランシェフォトダイオード(A
PD)について説明する。従来法では、導波路構造超格
子APDは次のように作製される。図8に示されるよう
に、InP基板1上に、一対のストライプ状誘電体マス
ク(図示なし)を形成し、これをマスクに、n型InP
バッファ層19、n型InAlAs層20、n型InA
lGaAs層21、n- 型InAlAs/InGaAs
MQW層22、p型InAlGaAs層23、p型In
AlAs層24、p型InGaAs層25を順次積層す
る。しかし、上述したように、InAlGaAs系の選
択成長ではメサ端面にも成長が進むので、p型層23、
24がメサ端面を介して基板と接触ないし近接すること
になり、バイアス印加時にこの点に電界が集中し、耐圧
劣化が生じてしまう。よって、従来の選択成長方法で
は、十分な素子特性を得ることができなかった。
【0014】したがって、本発明の解決すべき課題は、
InP基板上にInAlGaAs系材料を用いた光半導
体素子を選択成長により形成する際に、メサ側面に成長
する半導体層が形成される光半導体素子に対し悪影響を
及ぼすことのないようにすることである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、第1導電
型のInP基板上に、第1導電型InAlGaAsクラ
ッド層、第1導電型(Inx Al1-xy Ga1-y As
(0≦x,y≦1)活性層、第1導電型InAlGaA
sクラッド層を順次成長させることにより、すなわち第
1回目に選択成長を、すべて同一導電型の半導体層を結
晶成長させるようにすることにより解決することができ
る。
【0016】あるいは、第1導電型のInP基板上に、
第1導電型InAlGaAsクラッド層、(Inx Al
1-xy Ga1-y As(0≦x,y≦1)活性層、第2
導電型InAlGaAsクラッド層を順次成長させた
後、メサストライプの側面に形成された成長層をエッチ
ング除去し、そのメサ側面にパッシベーション膜となる
半導体層をエピタキシャル成長させることによって解決
することができる。
【0017】第1回の選択成長を全て基板と同一導電型
のクラッド層、活性層、クラッド層を成長させる方法に
よれば、メサ側面に成長する半導体層と基板間にpn接
合が形成されることがなくなり、メサ頂部にp型層を形
成するこにより、注入される電流のほとんどを活性層に
流すことができるようになる。また、側面成長層をエッ
チング除去しパッシベーション膜をエピタキシャル成長
させる方法によれば、側面に成長したp型層と基板間の
電流路ないし高電界発生手段が除去されるため、InA
lAs/InGaAsMQW活性層や組成傾斜多重層の
特長を活かした良好特性の光半導体素子を得ることがで
きる。また、メサ側面がパッシベーション膜で被覆され
るため、良好な結晶状態を維持することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1および図2は、本発明の第1
の実施の形態を説明するための、埋め込み型半導体レー
ザの各プロセスごとの断面図である。まず、(100)
をもつn型のInP基板1上に[011]方向に一対の
SiO2 ストライプマスク2を形成する。このストライ
プマスクは、常圧気相堆積(CVD)法を用いて150
nmの厚さに堆積しフォトリソグラフィ法を用いてパタ
ーニングしたものである。その後、有機金属気相成長
(MOVPE)法により、上記基板上に1回目の選択成
長として、n型InPバッファ層3(n=5×1017
-3、80nm)、n型InAlGaAs(波長1.0
6μm)層4(n=5×1017cm-3、50nm)、n
- 型InAlGaAs(波長1.06μm)層5(n=
2×1015cm-3、50nm)、n- 型InAlAs/
InGaAsMQW層6(n=2×1015cm-3、障壁
層8nm/井戸層8nm×5周期)、n- 型InAlG
aAs(波長1.06μm)層7(n=2×1015cm
-3、50nm)、n- 型InAlAs層8(n=2×1
15cm-3、50nm)、n型InP層9(n=1×1
15cm-3、10nm)を順次成長させる〔図1
(a)〕。
【0019】次に、バッファードフッ酸を用いてSiO
2 ストライプマスクを除去し〔図1(b)〕、改めてメ
サ頂部にSiO2 マスク10を形成する。その後、この
マスクを用いて2回目の選択成長を行い、p型InP層
11(p=3×1017cm-3、0.75μm)、n型I
nP層12(n=1×1018cm-3、0.7μm)、p
型InP層13(p=3×1017cm-3、0.1μm)
を形成する〔図1(c)〕。最後に、SiO2 マスク1
0を除去し、全面にp型InP層14(p=1×1018
cm-3、1.5μm)、p型InGaAsキャップ層1
5(p=6×1018cm-3、0.3μm)を形成する。
その後、素子分離のためにメサ形成を行いSiO2 膜1
6を全面に堆積し、基板側にn側電極17としてTi/
Pt/Au電極(d=150nm)、エピ面側にp側電
極18としてAuZn電極(d=200nm)を形成し
て、図2(d)に示す半導体レーザを得る。
【0020】次に、図3および図4を参照して本発明の
第2の実施の形態について説明する。図3、図4は、本
発明により導波路型超格子APDを製作する際の各プロ
セスごとの断面図である。まず、(100)面を有する
n型のInP基板1上に[011]方向に一対のSiO
2 ストライプマスク2を形成する。このストライプマス
クは、常圧気相堆積法を用いて150nm程度の膜厚に
堆積し、フォトリソグラフィ法およびエッチング技術を
用いて形成されるものである。その後、有機金属気相成
長(MOVPE)法により、上記基板上に1回目の選択
成長として、n型InPバッファ層19(n=1×10
18cm-3、80nm)、n型InAlAs層20(n=
1×1018cm-3、0.1μm)、n型InAlGaA
s(波長1.25μm)層21(n=2×1018
-3、0.15μm)、n- 型InAlAs/InGa
As MQW層22(n=2×1015cm-3、障壁層1
2nm/井戸層8nm×10周期)、p型InAlGa
As(波長1.25μm)層23(p=7×1017cm
-3、0.15μm)、p型InAlAs層24(p=7
×1017cm-3、0.1μm)、p型InGaAs層2
5(p=2×1018cm -3、0.4μm)を順次成長さ
せる〔図3(a)〕。
【0021】次に、炉内の温度を成長時の温度に維持し
たまま(AsH3 ガス待機中)MOVPE装置の炉内に
HClガス(10%H2 希釈)を流し、その場でメサ全
面をエッチングする。このときメサ側面の成長膜厚は、
(100)面上への成長膜厚より薄いため、メサ端面の
p型層は完全に除去できる。その後、n- 型InP層2
6(n=1×1015cm-3、0.2μm)、n+ 型In
P層27( n=1×1018cm-3、80nm)を、メサ
端面保護のためのパッシベーション膜としてエピタキシ
ャル成長させる。次に、レジスト膜28を全面塗布によ
り形成しメサ頂部のレジスト膜のみを除去する〔図3
(b)〕。さらに、メサ頂部のn+ 型InP層27およ
びn- 型InP層26を除去し、メサ端面をポリイミド
膜29で埋めて平坦化し、基板側にn側電極17として
Ti/Pt/Au電極(d=150nm)を、エピ面側
にp側電極18としてAuZn電極(d=200nm)
を形成して、図4(c)に示す導波路型超格子APDを
得る。
【0022】次に、図5および図6を参照して本発明の
第3の実施の形態について説明する。図5、図6は、本
発明により導波路型ステアケースAPDを製作する際の
各プロセスごとの断面図である。まず、(100)面を
有するInP基板1上に[011]方向に一対のSiO
2 ストライプマスク2を形成する。このストライプマス
クは、常圧気相堆積法を用いて150nm程度の膜厚に
堆積し、フォトリソグラフィ法およびエッチング技術を
用いて形成されるものである。その後、有機金属気相成
長(MOVPE)法により、上記基板上に1回目の選択
成長として、n型InPバッファ層19(n=1×10
18cm-3、80nm)、n型InAlAs層20(n=
1×1018cm-3、0.1μm)、n型InAlGaA
s(波長1.25μm)層21(n=2×1018
-3、0.15μm)、n- 型InAlAs−InGa
As組成傾斜多重層(n=2×1015cm-3、1周期厚
20nm×10周期)30、p型InAlGaAs(波
長1.25μm)層23(p=7×1017cm-3、0.
15μm)、p型InAlAs層24(p=7×1017
cm-3、0.1μm)、p型InGaAs層25(p=
2×1018cm-3、0.4μm)を順次成長させる〔図
5(a)〕。次に、炉内の温度を成長時の温度に維持し
たまま(AsH3 ガス待機中)MOVPE装置の炉内に
HClガス(10%H2 希釈)を流し、その場でメサ全
面をエッチングする。このときメサ側面の成長膜厚は、
(100)面上への成長膜厚より薄いため、メサ端面の
p型層は完全に除去できる。その後、n- 型InP層2
6(n=1×1015cm-3、0.2μm)、n+ 型In
P層27(n=1×1018cm-3、80nm)を、メサ
端面保護のためのパッシベーション膜としてエピタキシ
ャル成長させる。次に、レジスト膜28を全面塗布によ
り形成し、メサ頂部のレジスト膜のみを除去する〔図5
(b)〕。さらに、メサ頂部のn+ 型InP層27およ
びn- 型InP層26を除去し、メサ端面をポリイミド
膜29で埋めて平坦化し、基板側にn側電極17として
Ti/Pt/Au電極(d=1 50nm)を、エピ面側
にp側電極18としてAuZn電極(d=200nm)
を形成して、図6(c)に示す導波路型ステアケースA
PDを得る。
【0023】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。 [第1の実施例]図1および図2は、本発明の第1の実
施例を示す工程順の断面図である。まず、(100)面
を有しS(硫黄)がドープされたInP基板1上に[0
11]方向に一対のSiO2 ストライプマスク2を形成
する。マスク形成には常圧気相堆積法を用い膜厚は15
0nmであった。またマスク幅は10μm、マスク間隔
(選択成長幅)は2μmであった。その後、有機金属気
相成長(MOVPE)法により、成長温度650℃にて
以下の選択成長層を形成した。
【0024】(第1回目の選択成長) n型InPバッファ層3(n=5×1017cm-3、80
nm) n型InAlGaAs(波長1.06μm)層4(n=
5×1017cm-3、50nm) n- 型InAlGaAs(波長1.06μm)層5(n
=2×1015cm-3、50nm) n- 型InAlAs/InGaAsMQW層6(n=2
×1015cm-3、障壁層8nm/井戸層8nm×5周
期) n- 型InAlGaAs(波長1.06μm)層7(n
=2×1015cm-3、50nm) n- 型InAlAs層8(n=2×1015cm-3、50
nm) n型InP層9(n=1×1015cm-3、10nm) この後、バッファードフッ酸で上記SiO2 ストライプ
マスク2を除去し、改めて選択成長メサ頂部にSiO2
マスク10を形成する。その後、このマスクを用いて2
回目の選択成長を行った。
【0025】(第2回目の選択成長) p型InP層11(p=3×1017cm-3、0.75μ
m) n型InP層12(n=1×1018cm-3、0.7μ
m) p型InP層13(p=3×1017cm-3、0.1μ
m) 最後に、SiO2 マスク10を除去し、全面に以下の層
を成長させた。
【0026】(全面成長) p型InP層14(p=1×1018cm-3、1.5μ
m) p型InGaAsキャップ層15(p=6×1018cm
-3、0.3μm) その後、素子分離のためにメサ形成を行いSiO2 膜1
6を全面に堆積し、基板側にn側電極17としてTi/
Pt/Au電極(d=150nm )、エピ面側にp側電
極18としてAuZn電極(d=200nm)を形成し
て素子を完成させた。
【0027】本実施例では、InAlGaAs系MQW
光半導体素子を製造するに際し、第1回目の選択成長に
おいてn型層のみを形成することにより、従来法で問題
となっていたInAlGaAs系材料を選択成長した場
合の漏れ電流をなくすことができ、MQW活性層に良好
に電流注入することができた。そして、伝導帯不連続エ
ネルギーが0.3eVと大きい半導体を用いたことを反
映して、150Kの特性温度の半導体レーザを実現する
ことができた。
【0028】[第2の実施例]図3および図4は、本発
明の第2の実施例を示す工程順の断面図である。まず、
(100)面を有する、SドープのInP基板1上に
[011]方向に一対のSiO2 ストライプ2マスクを
形成する。膜厚は1 50nm、マスク幅は10μm、マ
スク間隔(選択成長幅)は4μmであった。その後、有
機金属気相成長法(MOVPE)により、成長温度65
0℃にて以下の選択成長層を形成した。
【0029】(第1回目の選択成長) n型InPバッファ層19(n=1×1018cm-3、8
0nm) n型InAlAs層20(n=1×1018cm-3、0.
1μm) n型InAlGaAs(波長1.25μm)層21(n
=2×1018cm-3、0.15μm) n- 型InAlAs/InGaAsMQW層22(n=
2×1015cm-3、障壁層12nm/井戸層8nm×1
0周期) p型InAlGaAs(波長1.25μm)層23(p
=7×1017cm-3 、0.15μm) p型InAlAs層24(p=7×1017cm-3、0.
1μm) p型InGaAs層25(p=2×1018cm-3、0.
4μm) 次に、成長温度(650℃)に維持したまま(AsH3
ガス待機中)MOVPE装置の炉内にHClガス(10
%H2 希釈)を流し、その場でメサ全面をエッチングし
た。このときメサ側面の成長膜厚は、(100)面上へ
の成長膜厚より薄いため、メサ端面のp型層は完全に除
去できる。その後、メサ端面を保護するためにパッシベ
ーション膜として引き続き以下の層を選択成長させる。
【0030】(第2回目の選択成長) n- 型InP層26(n=1×1015cm-3、0.2μ
m) n+ 型InP層27(n=1×1018cm-3、80n
m) その後、レジスト膜28を全面塗布により形成し、メサ
頂部のレジスト膜のみを除去する。さらに、メサ頂部の
+ 型InP層27およびn- 型InP層26を除去
し、メサ端面をポリイミド膜29で埋めて平坦化し、基
板側にn側電極17としてTi/Pt/Au電極(d=
150nm)を、エピ面側にp側電極18としてAuZ
n電極(d=200nm)を形成して素子を完成させ
た。
【0031】本実施例では、InAlGaAs系MQW
光半導体素子を製造するに際し、第1回目の選択成長の
際に形成された側面成長層をエッチング除去しさらにパ
ッシベーション膜をエピタキシャル成長により形成した
ことにより、従来例で問題となっていた局部電界集中が
なく、メサ端面での品質劣化のない素子を作製すること
ができた。そして、これにより、動作電圧5V以下、且
つ、暗電流1μA時の光電流増倍率が60の超格子AP
Dを実現できた。また、下層が低不純物濃度で上層が高
不純物濃度のエピパッシベーション膜を形成したことに
より、メサ端面への電界集中を緩和することができ、よ
り暗電流特性に優れた導波路構造超格子APDを作製す
ることができた。
【0032】[第3の実施例]図5および図6は、本発
明の第3の実施例を示す工程順の断面図である。まず、
(100)面を有する、SドープのInP基板1上に
[011]方向に一対のSiO2 ストライプ2マスクを
形成する。膜厚は1 50nm、マスク幅は10μm、マ
スク間隔(選択成長幅)は4μmであった。その後、有
機金属気相成長法(MOVPE)により、成長温度65
0℃にて以下の選択成長層を形成した。
【0033】(第1回目の選択成長) n型InPバッファ層19(n=1×1018cm-3、8
0nm) n型InAlAs層20(n=1×1018cm-3、0.
1μm) n型InAlGaAs(波長1.25μm)層21(n
=2×1018cm-3、0.15μm) n- 型InAlAs−InGaAs組成傾斜多重層30
(n=2×1015cm-3、1周期厚20nm1×10周
期) p型InAlGaAs(波長1.25μm)層23(p
=7×1017cm-3、0.15μm) p型InAlAs層24(p=7×1017cm-3、0.
1μm) p型InGaAs層25(p=2×1018cm-3、0.
4μm) 次に、成長温度(650℃)に維持したまま(AsH3
ガス待機中)MOVPE装置の炉内にHClガス(10
%H2 希釈)を流し、その場でメサ全面をエッチングす
る。このときメサ側面の成長膜厚は、(100)面上へ
の成長膜厚より薄いため、メサ端面のp型層は完全に除
去できる。その後、メサ端面を保護するためにパッシベ
ーション膜として引き続き以下の層を選択成長させる。
【0034】(第2回目の選択成長) n- 型InP層26(n=1×1015cm-3、0.2μ
m) n+ 型InP層27(n=1×1018cm-3、80n
m) その後、レジスト膜28を全面塗布により形成し、メサ
頂部のレジスト膜のみを除去する。さらに、メサ頂部の
+ 型InP層27およびn- 型InP層26を除去
し、メサ端面をポリイミド膜29で埋めて平坦化し、基
板側にn側電極17としてTi/Pt/Au電極(d=
150nm)を、エピ面側にp側電極18としてAuZ
n電極(d=200nm)を形成して素子を完成させ
た。
【0035】本実施例においても、第2の実施例と同様
に、局部電界集中がなく、メサ端面での品質劣化のない
素子を作製することができた。そして、これにより、動
作電圧5V以下、且つ、暗電流1μA時の光電流増倍率
が80のステアケースAPDを実現できた。また下層が
低不純物濃度で上層が高不純物濃度のエピパッシベーシ
ョン膜を形成したことにより、メサ端面への電界集中を
緩和することができより暗電流特性に優れた導波路構造
ステアケースAPDを実現することができた。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による光半
導体素子の製造方法は、InAlGaAs系活性層を含
む選択成長層を形成するに際し、活性層を挟む二つの
クラッド層をn型層とする、選択成長後、側面成長層
をエッチング除去しエピタキシャル成長によりパッシベ
ーション膜を形成する、の何れかの手段を採用するもの
であるので、順バイアスで動作させる場合には漏れ電流
が少なくまた逆バイアスで動作させる場合には局部電界
集中の発生することのない、伝導帯不連続エネルギーの
大きな光半導体素子を実現することができる。したがっ
て、本発明によれば、MQW活性層に良好に電流注入す
ることができる、特性温度の高い半導体レーザを、また
動作電圧が低く、光電流増倍率の高いAPDを実現する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態および第1の実施例を説
明するための工程順断面図の一部。
【図2】 本発明の実施の形態および第1の実施例を説
明するための、図1の工程に続く工程での断面図および
斜視図。
【図3】 本発明の実施の形態および第2の実施例を説
明するための工程順断面図の一部。
【図4】 本発明の実施の形態および第2の実施例を説
明するための、第2の実施例により形成されたAPDの
断面図。
【図5】 本発明の実施の形態および第3の実施例を説
明するための工程順断面図の一部。
【図6】 本発明の実施の形態および第3の実施例を説
明するための、第3の実施例により形成されたAPDの
断面図。
【図7】 従来の半導体レーザの製造方法を説明するた
めの断面図。
【図8】 従来の導波構造超格子APDの製造方法を説
明するための断面図。
【符号の説明】
1 InP基板 2 SiO2 ストライプマスク 3 n型InPバッファ層 4 n型InAlGaAs(波長1.06μm)層 5 n- 型InAlGaAs(波長1.06μm)層 6 n- 型InAlAs/InGaAs MQW層(障
壁層8nm/井戸層8nm×5周期) 7 n- 型InAlGaAs(波長1.06μm)層 8 n- 型InAlAs層 9 n型InP層 10 SiO2 マスク 11 p型InP層 12 n型InP層 13 p型InP層 14 p型InP層 15 p型InGaAsキャップ層 16 SiO2 膜 17 n側電極(Ti/Pt/Au電極) 18 p側電極(AuZn電極) 19 n型InPバッファ層 20 n型InAlAs層 21 n型InAlGaAs(波長1.25μm)層 22 n- 型InAlAs/InGaAs MQW層
(障壁層12nm/井戸層8nm×10周期) 23 p型InAlGaAs(波長1.25μm)層 24 p型InAlAs層 25 p型InGaAs層 26 n- 型InP層 27 n+ 型InP層 28 レジスト膜 29 ポリイミド膜 30 n- 型InAlAs−InGaAs組成傾斜多重
層(1周期厚20nm×10周期) 31 p型InAlAs層 32 p型InP層

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1導電型のInP上にストライプ状開
    孔を有する誘電体マスクを形成する工程と、 前記誘電体マスクをマスクとする選択成長により第1導
    電型InAlGaAsクラッド層、第1導電型(Inx
    Al1-xy Ga1-y As(0≦x,y≦1)活性層、
    第1導電型InAlGaAsクラッド層を順次成長させ
    る工程と、 前記誘電体マスクを除去し、該マスクの除去された領域
    に少なくとも第2導電型InP層および第1導電型In
    P層を順次成長させる工程と、 全面に第2導電型InP層を成長させる工程と、を有す
    ることを特徴とする光半導体素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 第1導電型のInP上にストライプ状開
    孔を有する誘電体マスクを形成する工程と、 前記誘電体マスクをマスクとする選択成長により第1導
    電型InAlGaAsクラッド層、(Inx Al1-x
    y Ga1-y As(0≦x,y≦1)活性層、第2導電型
    InAlGaAsクラッド層を順次成長させる工程と、 選択成長により形成されたメサストライプの側面に形成
    された側面成長層のうち少なくとも第2導電型層をエッ
    チング除去する工程と、 メサ全面にパッシベーション膜となる半導体層を選択エ
    ピタキシャル成長させ、メサストライプ頂部の前記パッ
    シベーション膜をエッチング除去する工程と、を有する
    ことを特徴とする光半導体素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記(Inx Al1-xy Ga1-y As
    (0≦x,y≦1)活性層が、MQW活性層または組成
    傾斜多重層であることを特徴とする請求項1または2記
    載の光半導体素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記パッシベーション膜が低不純物濃度
    のInP層と高不純物濃度のInP層を含む多層膜によ
    って構成されていることを特徴とする請求項2記載の光
    半導体素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記側面成長層のエッチングと、その後
    のパッシベーション膜のエピタキシャル成長とが、前記
    選択成長の行われた結晶成長装置内において引き続き行
    われることを特徴とする請求項2記載の光半導体素子の
    製造方法。
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