JP2838369B2 - カテーテルイントロデューサ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、血管造影カテーテルを
血管内に挿入させるため、予めシースのチューブを血管
に挿入しておくカテーテルイントロデューサに関する。

【０００２】

【従来の技術】カテーテルイントロデューサは、周知の
如く、尖端の尖ったダイレータの細管をシースのチュー
ブ内に挿入し、細管尖端を頭出しさせたチューブを皮膚
に突き刺した後、ダイレータを抜き外してチューブを血
管に挿入した状態で留置させるようになっていて、ダイ
レータの細管は、尖端が円錐状に形成され、シースのチ
ューブが、全長に亘って細管の外周を包み込む均一な径
になっていた。このようなカテーテルイントロデューサ
では、ダイレータの細管尖端とシースとの境目に、チュ
ーブの厚みに相当する段部が形成されるため、血管に突
き刺す際に突入抵抗を受け、スムーズに突き刺すことが
できないばかりかチューブ先端が捲れ上がり現象を起こ
して血管の突き刺し口を傷付けてしまう。そこで従来に
おいて、図５に示す如く、円錐状尖端部５ａの最大径を
シース１におけるチューブ３の外径に一致させ、円錐状
尖端部５ａとチューブ３との境を連続面にして段差をな
くする改良品が提案されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】改良されたカテーテル
イントロデューサは、チューブとそのチューブの先端か
ら頭出しした円錐状尖端部とを連続させたので、血管に
対してスムーズに突き刺すことができる。ところが円錐
状尖端部とチューブとの関係においては、円錐状尖端部
の最大径がチューブの内径より太いので、図６に示す如
く、円錐状尖端部５ａがチューブ３を押し広げながら通
過することとなり、その通過抵抗が大きく、撓みやすい
細管内に、前記図５に示すスタイレット１６を挿通させ
て真直性を強化する必要がある。又片手でシースを保持
し、もう片方の手でダイレータを引っ張って血管に挿入
させたままのシースのチューブからダイレータの細管を
抜き出す場合、円錐状尖端部５ａをチューブ３内に引き
込みにくく、強く引っ張ると、通過抵抗の大きい円錐状
尖端部５ａがチューブ３に引き込まれた勢いでシースを
保持しているもう片方の手を反対方向、即ちチューブ尖
端側を血管内に押し込む方向へ動かしてしまい、それに
より血管を傷付けてしまう虞れがある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記従来のカ
テーテルイントロデューサにおいて生じている欠点に鑑
み発明されたカテーテルイントロデューサであって、そ
の構成は、ダイレータにおける細管の円錐状尖端部と、
その円錐状尖端部から基端側に連続する細管部との境界
から細管部の基端に至る任意位置に、シースのチューブ
厚みに相当する深さの凹状溝を周設すると共に、その凹
状溝における少なくとも先端側の段部を傾斜面とする一
方、シースのチューブ先端を先絞り構造とし、前記円錐
状尖端部の基端とチューブの先端とが隙間無く連続する
ようセットされるようにしたことにある。そして前記シ
ースのチューブ先端内周には、ダイレータの凹状溝にお
ける傾斜面に対応したラッパ状の拡開面を形成すること
ができる。

【０００５】

【作用】ダイレータにおける細管の円錐状尖端部を、シ
ースのチューブに対してスムーズに抜き差しすることが
でき、その先細りの円錐状尖端部をシースのチューブ先
端から完全に頭出しさせると、円錐状尖端部の基端とチ
ューブの先端とが隙間なく連続し、血管への挿入を抵抗
無く行なえる。又段部を傾斜面とすることで、ダイレー
タにおける細管の円錐状尖端部を抜き外す際、抵抗が少
ない。更に、シースのチューブ先端内周に、ダイレータ
の凹状溝における傾斜面に対応したラッパ状の拡開面を
形成すれば、傾斜面同士が密着するので、継ぎ目までを
もなくすことができる。

【０００６】

【実施例】本発明に係るカテーテルイントロデューサを
図面に基づいて説明する。１はシース、２はダイレータ
であり、シース１はチューブ３の基端に、そのチューブ
３と同軸上にジョイント部４が、又ダイレータ２は細管
５の基端にジョイント部６が夫々一体的に設けられてい
る。シース１のジョイント部４は、大、中、小と三段階
に径が順に細くなるよう構成され、小径部４ａの先端に
チューブ３が連結され、それら大、中、小径部には、チ
ューブ３から開放後、端部に連通する導入路７が貫設さ
れている。大径部４ｂには、採血、薬剤注入用のチュー
ブ接続用の継手８が突設され、先端に三方切り換え弁９
を有したチューブ１０が接続されている。又大径部４ｂ
の導入路７には、後端開口部内側に逆止弁１１が内蔵さ
れており、この逆止弁１１には親水性ポリマーのコーテ
ィングが成されている。そしてこの逆止弁１１からチュ
ーブ３内へと血管造影カテーテルを挿入することができ
る。更に大径部４ｂには、外周面の対向位置に係合突起
１２，１２が設けられている。

【０００７】一方ダイレータ２のジョイント部６は、前
記シース１のジョイント部４に外嵌可能なキャップ状に
形成され、キャップ状部内の中心を細管５が貫通し、後
方には、ニップル状のポート１３が開口され、そのポー
ト１３から細管５内へと誘導用ガイドワイヤーを挿入で
きる。又周面の対向する部位には、軸と平行な導入部１
４ａと、その導入部１４ａと直交する方向に伸びた係合
部１４ｂとをＬ状に連続させたスリット１４が、先端開
口側から切り込み形成されている。

【０００８】前記シース１におけるチューブ３の先端は
僅かに絞りが付与され、その内周には、ラッパ状の拡開
面３ａが形成されている。一方ダイレータ２の細管５先
端は、円錐状尖端部５ａと細管部５ｂとの境に、チュー
ブ３先端の厚みに相当する深さの凹状溝１５が周設さ
れ、その凹状溝１５の左右段部は傾斜面１５ａ，１５ａ
に形成されていて、このうち先端側の傾斜面１５ａは、
前記チューブ３先端の内周に形成されたラッパ状の拡開
面３ａに一致する。このように形成されたカテーテルイ
ントロデューサは、シース１におけるジョイント部４の
連通路７にダイレータ２の細管５を挿入する際、親水性
ポリマーのコーティングによる滑りの良さで逆止弁１１
を楽に通過させられ、又チューブ３内に挿入した場合
も、図３に示す如く円錐状尖端部５ａの最大径部がチュ
ーブ５の内径に等しいかそれより細いから、スムーズに
挿通させることができる。

【０００９】ダイレータ２の円錐状尖端部５ａ先端がシ
ース１のチューブ３先端から顔を出し、ダイレータ２の
ジョイント部６が係合突起１２に当接したら、係合突起
１２とスリット１４の切り込み口とを合致させ、係合突
起１２をスリット１４内へ真直に導きながら嵌め込み、
ダイレータ２の円錐状尖端部５ａがチューブ３先端から
完全に頭出ししたら捻ることにより、両者は確実にロッ
クされる。このロック状態は係合突起の位置から確認で
き、係合突起を色分けすればより視認性も高まる。ロッ
ク状態においては、頭出しした円錐状尖端部５ａの基端
は、図４に示す如く先絞り形状のチューブ３先端と連続
するので、皮膚への突き刺し、血管内への挿入がスムー
ズに行なえる。実施例では、凹状溝１５における先端側
の傾斜面１５ａと、チューブ３先端の内周に形成された
ラッパ状の拡開面３ａとが対応しているので、前記連続
面には継ぎ目すら生じない。

【００１０】本実施例のカテーテルイントロデューサ
は、円錐状尖端部と細管部との境に凹状溝を形成したも
のであるが、凹状溝の位置は限定されるものでなく、傾
斜面は少なくとも先端側の段部に形成されていれば充分
である。又、ジョイント部のロック機構は、係止爪とＬ
状スリットとで構成するばかりでなく、ねじ込み式や嵌
め込み式にすることもできる。更に逆止弁は、親水性ポ
リマーのコーティングを施さず、従来通りシリコンオイ
ルやシリコングリスを塗布するようにしてもかまわな
い。

【００１１】尚本発明における凹状溝の位置は、前記し
たように円錐状尖端部に連続する細管部との境界から細
管部の基端に至る間で任意に設定でき、又その凹状溝の
幅や深さは、チューブ先端の形状及び厚みに応じて適宜
変更できる。又チューブの先端には、ダイレータの細管
との境に継ぎ目が生じないようラッパ状の拡開面を形成
するばかりでなく、先になるほど薄肉に形成し、円錐状
尖端部を引き込む際の抵抗を軽減すると共に、細管に周
設する凹状溝の深さを少なくして細管の強度低下を最小
限に留めるようにもできる。

【００１２】

【発明の効果】本発明によれば、細管をチューブに対し
て抜き差しさせやすく、抵抗が少ないからスタイレット
は不要となる。又チューブの先端とそのチューブから頭
出しした細管の円錐状尖端部とが連続面になって、血管
への突き刺し抵抗が少なく、操作性が向上する。更に、
チューブの先端に、凹状溝の先端側段部傾斜面に対応し
たラッパ状の拡開面を形成すれば、組み合わせた状態で
両者が一体的に密着し、継ぎ目なく連続する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係るカテーテルイントロデューサ
を、シースとダイレータとに分離した説明図である。

【図２】 シースとダイレータとを結合させた説明図で
ある。

【図３】 円錐状尖端部がチューブ内を通過する状態を
示す説明図である。

【図４】 円錐状尖端部がチューブ先端から頭出しした
状態を示す説明図である。

【図５】 従来例の説明図である。

【図６】 従来例の説明図である。

【符号の説明】

１・・シース、２・・ダイレータ、３・・チューブ、３
ａ・・ラッパ状開口面、４・・ジョイント部、４ａ・・
小径部、４ｂ・・大径部、５・・細管、５ａ・・円錐状
尖端部、５ｂ・・細管部、６・・ジョイント部、７・・
導入路、８・・継手、９・・三方切り換え弁、１０・・
チューブ、１１・・逆止弁、１２・・係合突起、１３・
・ポート、１４・・スリット、１４ａ・・導入部、１４
ｂ・・係合部、１５・・凹状溝、１５ａ・・傾斜面、１
６・・スタイレット。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ダイレータにおける細管の円錐状尖端部
   と、その円錐状尖端部から基端側に連続する細管部との
   境界から細管部の基端に至る任意位置に、シースのチュ
   ーブ厚みに相当する深さの凹状溝を周設すると共に、そ
   の凹状溝における少なくとも先端側の段部を傾斜面とす
   る一方、シースのチューブ先端を先絞り構造とし、前記
   円錐状尖端部の基端とチューブの先端とが隙間無く連続
   するようセットされるカテーテルイントロデューサ。
2. 【請求項２】 前記シースのチューブ先端内周に、ダイ
   レータの凹状溝における傾斜面に対応したラッパ状の拡
   開面を形成したカテーテルイントロデューサ。