JP2837381B2 - 硫黄系悪臭物質含有流体の脱臭方法 - Google Patents

硫黄系悪臭物質含有流体の脱臭方法

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JP2837381B2
JP2837381B2 JP3547296A JP3547296A JP2837381B2 JP 2837381 B2 JP2837381 B2 JP 2837381B2 JP 3547296 A JP3547296 A JP 3547296A JP 3547296 A JP3547296 A JP 3547296A JP 2837381 B2 JP2837381 B2 JP 2837381B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硫黄系悪臭物質、
すなわち、硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチ
ル、又は二硫化メチルによる臭気を発生する流体の脱臭
方法に関する。本発明によれば、前記の4種の硫黄系悪
臭物質、すなわち、硫化水素、メチルメルカプタン、硫
化メチル、及び二硫化メチルによる臭気を、短時間で同
時に除去することができる。
【0002】
【従来の技術】従来、排水、汚泥、又はし尿等の廃液又
は廃ガスから発生する悪臭を除去するために、化学薬品
を添加して悪臭を化学的に除去する脱臭方法が、広く実
施されている。この化学的脱臭方法は、化学薬品による
中和作用又は酸化作用を利用して、悪臭の原因物質それ
自体を低揮散性化合物又は無臭化合物に変換させること
によって脱臭するものである。これらの化学的脱臭方法
は、他の脱臭方法、例えば、活性炭吸着法に比べると、
設備や操作が簡単である。一般的な化学的脱臭方法にお
いて、中和作用を利用する方法では、酸性臭気原因物質
に対しては水酸化ナトリウム等が、またアルカリ性臭気
原因物質に対しては硫酸又は塩酸等が中和剤として知ら
れている。また、酸化作用を利用する方法では、酸化剤
として、例えば、過酸化水素、次亜塩素酸ソーダ、又は
過炭酸ソーダを用いて悪臭物質を酸化し、無臭物質又は
低臭物質に変化させる。
【0003】一方、硫黄系悪臭物質、すなわち、硫化水
素、メチルメルカプタン、硫化メチル、又は二硫化メチ
ルの脱臭方法としては、それらの各悪臭原因物質毎に、
例えば、以下の脱臭方法が従来から用いられていた。ま
ず、硫化水素の脱臭方法としては、鉄塩又は銅化合物を
硫化水素と反応させて金属硫化物を生成する方法、又は
中和反応によるアルカリ吸収法などが用いられていた。
メチルメルカプタンに対しては、金属塩(例えば、鉄塩
又は亜鉛塩等)を添加してメチルメルカプタンと反応さ
せ、メチルメルカプタンによる臭気を30〜50%程度
除去する方法、あるいは、酸化剤(例えば、過酸化水
素、次亜塩素酸ソーダ、又は鉄フタロシアニン)を用い
る酸化方法が用いられていた。これに対し、硫化メチル
及び二硫化メチルにおいては、金属塩又は酸化剤の添加
などの化学的脱臭方法では、約20〜40%程度の除去
にとどまっており、活性炭処理法が主に用いられてい
た。しかし、活性炭処理法には、ランニングコストが高
い欠点があった。以上のように、硫黄系悪臭物質の内、
メチルメルカプタン、硫化メチル、及び二硫化メチルの
臭気を、満足することのできる程度に有効に除去するこ
とのできる化学的脱臭方法は、従来知られておらず、特
に硫化メチル及び二硫化メチルは、それぞれ化学的方法
では約20〜40%程度しか除去することができなかっ
た。また、硫黄系悪臭物質、すなわち、硫化水素、メチ
ルメルカプタン、硫化メチル、及び二硫化メチルによる
悪臭を、1つの化学的操作によって同時に除去する方法
は従来全く知られていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、硫黄系悪臭物質、すなわち、硫化水素、メチルメル
カプタン、硫化メチル、及び二硫化メチルによる悪臭
を、簡便な単独の化学的操作により、同時に除去するこ
とのできる脱臭方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記の目的は、本発明に
よる、硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル、又
は二硫化メチルによる臭気を発生する流体に、最高原子
価状態よりも低い原子価状態の遷移金属の塩と、亜鉛塩
又はアルミニウム塩と、過酸化水素、塩素酸ナトリウ
ム、過硫酸アンモニウム、及び次亜塩素酸ナトリウムか
らなる群から選んだ酸化剤とを添加し、前記流体から発
生する硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル、及
び二硫化メチルによる臭気がそれぞれ実質的に除去され
るまで前記遷移金属の塩、亜鉛塩又はアルミニウム塩、
及び酸化剤による処理を実施することを特徴とする、前
記流体の脱臭方法によって達成することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明方法によれば、硫化水素、
メチルメルカプタン、硫化メチル、又は二硫化メチル
(以下、硫黄系悪臭物質と称することがある)による臭
気を発生する流体から、それら硫黄系悪臭物質による臭
気のすべてを同時に除去することができる。本明細書に
おいて、前記の硫黄系悪臭物質による臭気を発生する流
体には、液体及び気体が含まれる。
【0007】本発明方法によれば、それらの流体を処理
して、その流体から発生する硫化水素、メチルメルカプ
タン、硫化メチル、及び二硫化メチルによる臭気をそれ
ぞれ実質的に除去することができる。ここで、「臭気を
実質的に除去する」とは、被処理流体が液体である場合
には、本発明方法によって処理した液体を空気と共に密
封容器内に封入した後に密封容器から気相を採取して測
定した場合に、その気相内に存在する前記の各硫黄系悪
臭物質の濃度(以下、「臭気濃度」と称することがあ
る)が、硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル及
び二硫化メチルのそれぞれに関して、処理前に比べて5
0%以上減少していることを意味する。好ましくは、硫
化水素については80%以上、メチルメルカプタンにつ
いては80%以上、硫化メチルについては60%以上、
そして二硫化メチルについては60%以上減少すること
である。また、被処理流体が気体である場合には、本発
明方法によって処理した気体内に存在する前記の各硫黄
系悪臭物質の濃度(すなわち、「臭気濃度」)が、硫化
水素、メチルメルカプタン、硫化メチル及び二硫化メチ
ルのそれぞれに関して、処理前に比べて50%以上減少
していることを意味する。好ましくは、硫化水素につい
ては80%以上、メチルメルカプタンについては80%
以上、硫化メチルについては60%以上、そして二硫化
メチルについては60%以上減少することを意味する。
【0008】本発明方法によって処理することのできる
流体は、前記の硫黄系悪臭物質の少なくともいずれか1
種による臭気を発生する流体であれば、特に限定されな
いが、例えば、工場(例えば、製紙工場若しくは食品工
場)の排水若しくは廃ガス、汚泥、又はし尿等を挙げる
ことができる。工場の排水若しくは廃ガス、汚泥、又は
し尿等を本発明方法によって処理する場合には、希釈せ
ずに、通常そのまま処理することができるが、被処理流
体中の硫黄系悪臭物質の臭気濃度がかなり高い場合に
は、適当に希釈してから本発明方法により処理してもよ
い。
【0009】本発明方法においては、最高原子価状態よ
りも低い原子価状態の遷移金属の塩を被処理流体に添加
する。ここで、遷移金属の「最高原子価状態」とは、原
子価状態が複数存在する遷移金属原子において、その原
子価が最も高い状態を意味し、例えば、鉄においては6
価、マンガンにおいては7価、コバルトにおいては4
価、ニッケルにおいては4価、又は銅においては3価で
ある。従って、「最高原子価状態よりも低い原子価状
態」とは、前記の最高原子価状態よりも原子価が低い状
態であり、例えば、鉄においては2価又は3価、マンガ
ンにおいては2価、コバルトにおいては2価、ニッケル
においては2価、又は銅においては2価である。本発明
方法においては、最高原子価状態よりも低い原子価状態
の任意の遷移金属塩を単独で又は組合せて用いることが
できる。複数の遷移金属塩を組合わせて用いると、硫黄
系悪臭物質の除去率が向上する点で、好ましい。遷移金
属塩の組合せとしては、2価鉄塩と他の遷移金属塩との
組合せがより好ましく、2価鉄塩と2価コバルト塩との
組合せ、又は2価鉄塩と2価ニッケル塩との組合せが特
に好ましい。
【0010】本発明方法において用いる遷移金属の塩
は、前記遷移金属の無機塩又は有機塩であることができ
る。無機塩としては、例えば、酸化物、水酸化物、塩化
物、硝酸塩、硫酸塩、又は炭酸塩等を挙げることができ
る。また、有機塩としては、例えば、金属フタロシアニ
ン化合物を挙げることができる。遷移金属として2価鉄
を用いる場合には、その2価鉄塩として、例えば、Fe
O、Fe(OH)2 、FeCl2 、Fe(NO32
FeSO4 、若しくはFeCO3 、又は鉄フタロシアニ
ン塩等を用いることができる。鉄フタロシアニン塩とし
ては、好ましくは鉄水溶性フタロシアニン塩、例えば、
鉄フタロシアニンテトラスルホン酸を用いることができ
る。遷移金属として3価鉄を用いる場合には、Fe2
3 、FeCl3 、Fe(NO33 、又はFe2 (SO
43 等を用いることができる。遷移金属として2価マ
ンガンを用いる場合には、MnO、MnSO4 ・7H2
O、又はMn(OH)2 等を用いることができる。遷移
金属として2価コバルトを用いる場合には、CoO、C
oCl2 ・6H2 O、又はCo(OH)2 等を用いるこ
とができる。遷移金属として2価ニッケルを用いる場合
には、NiO、NiSO4 ・7H2 O、又はNi(O
H)2 等を用いることができる。遷移金属として2価銅
を用いる場合には、CuO、CuSO4 ・5H2 O、C
uCO3 、CuCl2 ・2H2 O、又はCu(OH)2
等を用いることができる。
【0011】遷移金属塩は、被処理流体中での遷移金属
イオン量が、除去対象である硫化水素とメチルメルカプ
タンと硫化メチルとの合計量2.14×10-3mmol
当たり0.03mmol以上(すなわち、モル比で14
以上)であり、除去対象である二硫化メチル量0.53
×10-3mmol当たり0.08mmol以上(すなわ
ち、モル比で151以上)で用いることが好ましい。ま
た、遷移金属塩は、被処理流体中での遷移金属イオン量
が、硫化水素とメチルメルカプタンと硫化メチルとの合
計量2.14×10-3mmol当たり0.07mmol
以上(すなわち、モル比で33以上)であり、二硫化メ
チル量0.53×10-3mmol当たり0.10mmo
l以上(すなわち、モル比で189以上)で用いること
がより好ましく、硫化水素とメチルメルカプタンと硫化
メチルとの合計量2.14×10 -3mmol当たり0.
12mmol以上(すなわち、モル比で56以上)であ
り、二硫化メチル量0.53×10-3mmol当たり
0.12mmol以上(すなわち、モル比で226以
上)で用いることが更に好ましい。被処理流体中での遷
移金属イオン量が、硫化水素とメチルメルカプタンと硫
化メチルとの合計量2.14×10-3mmol当たり
0.03mmol未満であるか、あるいは二硫化メチル
量0.53×10-3mmol当たり0.08mmol未
満では、充分に硫黄系悪臭物質を除去することができな
い。
【0012】また、添加する遷移金属塩の添加量の上限
は、特に限定されるものではないが、本発明方法により
処理した被処理流体を、例えば、外部環境に放出する
か、あるいは別の処理工程に移行させる場合に、問題が
生じない範囲で使用することが好ましい。また、遷移金
属塩の添加量が必要量よりもかなり多い場合には、遷移
金属塩の添加量の増加に対応した硫黄系悪臭物質の除去
効果が得られなくなるので、処理コストを考慮して添加
量を選択することが好ましい。
【0013】本発明方法において使用することができる
酸化剤は、遷移金属塩への電荷の移動を促進するもので
あれば、特に制限されず、任意の酸化剤を用いることが
できる。例えば、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過硫
酸アンモニウム、次亜塩素酸ナトリウム、又は塩素酸カ
リウム等を挙げることができ、酸化効率の点で過硫酸ア
ンモニウム又は次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。酸化
剤は、被処理流体中での酸化剤量が、除去対象である硫
化水素とメチルメルカプタンと硫化メチルとの合計量
2.29×10-3mmol当たり0.20mmol以上
(すなわち、モル比で87以上)であり、除去対象であ
る二硫化メチル量0.52×10-3mmol当たり0.
95mmol以上(すなわち、モル比で1827以上)
で用いることが好ましい。また、酸化剤は、被処理流体
中での酸化剤の量が、硫化水素とメチルメルカプタンと
硫化メチルとの合計量2.29×10-3mmol当たり
0.8mmol以上(すなわち、モル比で349以上)
であり、二硫化メチル量0.52×10-3mmol当た
り1.3mmol以上(すなわち、モル比で2500以
上)で用いることがより好ましく、硫化水素とメチルメ
ルカプタンと硫化メチルとの合計量2.29×10-3
mol当たり1.5mmol以上(すなわち、モル比で
655以上)であり、二硫化メチル量0.52×10-3
mmol当たり2.4mmol以上(すなわち、モル比
で4615以上)で用いることが更に好ましい。被処理
流体中での酸化剤量が、硫化水素とメチルメルカプタン
と硫化メチルとの合計量2.29×10-3mmol当た
り0.20mmol未満であるか、あるいは二硫化メチ
ル量0.52×10-3mmol当たり0.95mmol
未満では、充分に硫黄系悪臭物質を除去することができ
ない。酸化剤として過酸化水素を用いる場合には、例え
ば、過酸化水素水として添加することができる。
【0014】また、添加する酸化剤の添加量の上限は、
特に限定されるものではないが、本発明方法により処理
した被処理流体を、例えば、外部環境に放出するか、あ
るいは別の処理工程に移行させる場合に、問題が生じな
い範囲で使用することが好ましい。また、酸化剤の添加
量が必要量よりもかなり多い場合には、酸化剤の添加量
の増加に対応した硫黄系悪臭物質の除去効果が得られな
くなるので、処理コストを考慮して添加量を選択するこ
とが好ましい。
【0015】本発明方法において添加する遷移金属塩と
酸化剤との使用比(モル比)は、遷移金属イオン1モル
に対して、酸化剤を好ましくは0.1〜100モル、よ
り好ましくは0.5〜25モルの量で添加することがで
きる。例えば、遷移金属として2価鉄塩を、そして酸化
剤として過酸化水素を用いる場合には、添加する2価鉄
塩と過酸化水素との使用比(モル比)は、2価鉄イオン
1モルに対して、過酸化水素を好ましくは0.5〜25
モルの量で添加することができる。例えば、硫化メチル
については、2価鉄塩1モルに対して、過酸化水素5モ
ルを用いることが特に好ましい。
【0016】本発明方法においては、硫黄系悪臭物質に
よる臭気の除去反応は、好ましくは10〜70℃、より
好ましくは20〜25℃の範囲の温度、特に好ましくは
雰囲気温度で行うことができる。
【0017】本発明方法においては、被処理流体が液体
の場合には、遷移金属塩及び酸化剤を、溶液状若しくは
固体状で、又はそれらを組合せて(すなわち、遷移金属
塩及び酸化剤の少なくとも1種類の化合物を溶液状で、
それ以外の化合物を固体状で)、被処理液体中に添加す
ることによって、被処理液体を処理することができる。
溶液状で遷移金属塩又は酸化剤を加えると、液体中で遷
移金属イオン又は酸化剤が速やかに拡散するので好まし
い。また、被処理流体が気体の場合には、例えば、遷移
金属及び酸化剤を含む溶液中に、被処理気体を通過する
ことによって、被処理気体を処理することができる。
【0018】本発明方法において、遷移金属塩及び酸化
剤を添加して流体の処理を実施する場合には、被処理流
体のpHが、好ましくはpH2〜9、より好ましくはp
H3〜7の範囲内で実施することができる。pHが2未
満であるか、あるいはpHが9を越えると、充分に硫黄
系悪臭物質を除去することができない。被処理流体のp
Hが前記の好ましい範囲であれば、pH調節を行わずに
そのまま本発明方法により処理することができる。被処
理流体のpHが2以下の場合には、例えば、水酸化ナト
リウム、水酸化カルシウム、又は水酸化マグネシウム等
によって、また、被処理流体のpHが9以上の場合に
は、例えば、硫酸又は塩酸等によって、適当なpHにな
るように調整した後、本発明方法により処理することが
できる。使用する遷移金属塩及び/又は酸化剤の種類に
より、それらを被処理流体に添加すると被処理流体のp
Hが変化する場合がある。例えば、酸化剤として過酸化
水素を用いると、被処理流体のpHが酸性側に変化する
ので、例えば、pH約6〜9の被処理流体は、特にpH
調整を実施せずにそのまま過酸化水素によって処理する
ことができる。
【0019】本発明方法においては、前記遷移金属塩及
び前記酸化剤に加えて、亜鉛塩又はアルミニウム塩、好
ましくは2価亜鉛の塩又は3価アルミニウムの塩を更に
添加する。亜鉛塩及び/又はアルミニウム塩の1種又は
2種以上を、前記遷移金属塩及び前記酸化剤に加えて、
更に被処理流体中に添加すると、硫黄系悪臭物質による
臭気の除去効率が向上する。また、亜鉛塩の1種又は2
種以上を、前記遷移金属塩及び前記酸化剤に加えて、被
処理流体中に添加すると、本発明方法をpH3〜10、
特にはpH5〜8の範囲で実施することができる。従っ
て、酸による処理容器などの腐蝕などを防ぐことができ
る点で好ましい。亜鉛塩としては、水溶液中で亜鉛イオ
ンを生成することができる任意の塩、例えば、無機亜鉛
塩、例えば、ZnO、Zn(OH)2、ZnSO4、若し
くはZnCl2、又は有機亜鉛塩を用いることができ
る。亜鉛塩としては、無機亜鉛を用いるのが溶解度の点
で好ましい。また、アルミニウム塩としては、水溶液中
でアルミニウムイオンを生成することができる任意の
塩、例えば、無機アルミニウム塩、例えば、Al23
Al(OH)3、若しくはAlCl3、又は有機アルミニ
ウム塩を用いることができる。アルミニウム塩として
は、無機アルミニウム塩を用いるのが反応性の点で好ま
しい。
【0020】亜鉛塩又はアルミニウム塩は、例えば、亜
鉛塩又はアルミニウム塩水溶液として、又は亜鉛塩又は
アルミニウム塩の固体自体を溶液に添加することができ
る。溶液中で速やかに拡散する点で、亜鉛塩又はアルミ
ニウム塩を水溶液として添加するのが好ましい。亜鉛塩
又はアルミニウム塩と、遷移金属塩との使用比(モル
比)は、遷移金属イオン1モルに対して、亜鉛イオン又
はアルミニウムイオンを好ましくは0.1〜10モル、
より好ましくは0.2〜5モルの量で添加することがで
きる。
【0021】本発明方法においては、被処理流体中の硫
化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル、及び二硫化
メチルの4種類の硫黄系悪臭物質による臭気がすべて実
質的に除去されるまで反応を実施する。具体的には、被
処理流体が液体である場合には、本発明方法によって処
理した液体を空気と共に密封容器内に封入した後に密封
容器から採取した気体中の硫黄系悪臭物質をガスクロマ
トグラフィー等で分析し、各硫黄系悪臭物質の濃度が、
処理前と比較して、前記の基準値以下の状態になるまで
処理を実施する。また、被処理流体が気体である場合に
は、本発明方法によって処理した気体中の硫黄系悪臭物
質をガスクロマトグラフィー等で分析し、各硫黄系悪臭
物質の濃度が、処理前と比較して、前記の基準値以下の
状態になるまで処理を実施する。従って、本発明方法で
は、経時的に硫黄系悪臭物質の臭気濃度を測定しながら
反応を実施してもよいし、例えば、パイロット試験等で
反応が終了する条件を予め検討し、その結果に基づいて
反応を実施してもよい。
【0022】硫黄系悪臭物質による臭気の除去反応は、
被処理流体に遷移金属塩と酸化剤と亜鉛塩及び/又はア
ルミニウム塩とを添加してから、好ましくは20秒〜3
0分間、より好ましくは30秒〜5分間で実質的に完了
することができる。遷移金属塩と酸化剤と亜鉛塩及び/
又はアルミニウム塩との被処理流体への添加は、同時で
あっても、別々に添加してもよい。別々に添加する場合
には、添加順序は特に限定されない。除去反応は短時間
で完了するので、添加した遷移金属塩、酸化剤、亜鉛
塩、及び/又はアルミニウム塩が被処理流体中に速やか
に拡散することができるように、遷移金属塩、酸化剤、
亜鉛塩、及び/又はアルミニウム塩の添加後に、例え
ば、被処理流体を攪拌、又は振盪することが好ましい。
【0023】本発明方法により処理した被処理流体を、
例えば、外部環境に放出するか、あるいは別の処理工程
に移行させる場合には、硫黄系悪臭物質による臭気の除
去反応完了後に、例えば、水酸化ナトリウム等を加え
て、pHを中性付近に戻すことが好ましい。
【0024】本発明方法は、例えば、硫黄系悪臭物質に
よる臭気除去用に設けたバッチ式の反応槽内で行うこと
ができるが、除去反応に要する時間が極めて短時間であ
るので、特別にバッチ式の反応槽を設けることなく除去
反応を実施することができる。例えば、ライン注入等に
よっても可能である。
【0025】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。実施例1 本実施例では、2価鉄(Fe2+)を含む水溶液として、
硫酸第一鉄の7水塩を蒸留水に溶解し、Fe2+の濃度が
5.6g/l(0.1mol/l)になるように調製し
た水溶液を用いた。また、2価銅(Cu2+)を含む水溶
液として、塩化第二銅を蒸留水に溶解し、Cu2+の濃度
が6.5g/l(0.1mol/l)になるように調製
した水溶液を用いた。また、過酸化水素水として、過酸
化水素の濃度が3.5重量%(1mol/l)の水溶液
を使用した。臭覚から明らかに硫化水素、メチルメルカ
プタン、硫化メチル、及び二硫化メチルによる臭気を発
生しているドレン水(pH8.3)100mlを300
mlの三角フラスコに入れ、硫酸第一鉄水溶液及び過酸
化水素水、又は塩化第二銅水溶液及び過酸化水素水を、
表1に示す濃度になるように添加した。なお、表1にお
いては、硫酸第一鉄水溶液の添加量は、添加後の2価鉄
イオンの濃度(単位:mmol/l)で示し、過酸化水
素水の添加量は、添加後の過酸化水素の濃度(mmol
/l)で示す。フラスコの入口をシーロンフィルム(富
士写真フィルム社)で密栓し、室温(約25℃)で1分
間振盪した。1分間静置した後、0.1mlのマイクロ
シリンジでフラスコ内の気相から気体0.1mlを採取
し、ガスクロマトグラフィーで悪臭物質濃度、すなわち
臭気濃度を分析した。
【0026】本発明方法による悪臭物質の除去率を表1
に示す。対照試験として、硫酸第一鉄水溶液及び過酸化
水素水無添加の場合の結果を、また、比較例として、硫
酸第一鉄のみを添加した場合〔比較例1(1)〕と過酸
化水素水のみを添加した場合〔比較例1(2)〕の結果
も併せて表1に示す。表1には、対照試験については、
悪臭物質の臭気濃度をppm単位及び×10-3mmol
/l単位で示し、実施例及び比較例については、臭気濃
度の除去率で示す。本発明方法によって、硫化水素、メ
チルメルカプタン、硫化メチル、及び二硫化メチルの4
種類の硫黄系悪臭物質による臭気を、比較例に比べて高
い効率で、同時に除去することができた。
【0027】
【表1】 Fe2+ Cu2+ H2O2 臭気濃度(括弧内は×10-3mmol/l)又は除去率 番号 添加量 添加量 添加量 硫化 メチルメル 硫化 二硫化 (mmol/l)(mmol/l)(mmol/l) 水素 カフ゜タン メチル メチル 対照 0 0 0 1500ppm 297ppm 29ppm 51ppm (13.4) (2.65) (0.26) (0.46) (実施例1) (1) 0.72 0 8.4 100% 85% 100% 73% (2) 0 0.72 8.4 100% 90% 80% 60% (比較例1) (1) 0.72 0 0 98% 46% 41% 37% (2) 0 0 8.4 76% 29% 32% 24%
【0028】実施例2 本実施例では、2価鉄(Fe2+)を含む水溶液として、
硫酸第一鉄の7水塩を蒸留水に溶解し、Fe2+の濃度が
5.6g/l(0.1mol/l)になるように調製し
た水溶液を用いた。また、2価コバルト(Co2+)を含
む水溶液として、塩化コバルトを蒸留水に溶解し、Co
2+の濃度が5.9g/l(0.1mol/l)になるよ
うに調製した水溶液を用いた。また、3価アルミニウム
(Al3+)を含む水溶液として、塩化アルミニウムを蒸
留水に溶解し、Al3+の濃度が2.7g/l(0.1m
ol/l)になるように調製した水溶液を用いた。ま
た、2価ニッケル(Ni2+)を含む水溶液として、塩化
ニッケルを蒸留水に溶解し、Ni2+の濃度が5.9g/
l(0.1mol/l)になるように調製した水溶液を
用いた。また、2価亜鉛(Zn2+)を含む水溶液とし
て、硫酸亜鉛を蒸留水に溶解し、Zn2+の濃度が6.5
g/l(0.1mol/l)になるように調製した水溶
液を用いた。また、過酸化水素水として、過酸化水素の
濃度が3.5重量%(1mol/l)の水溶液を使用し
た。臭覚から明らかに硫化水素、メチルメルカプタン、
硫化メチル、及び二硫化メチルによる臭気を発生してい
るドレン水(pH7.2)100mlを300mlの三
角フラスコに入れ、1種類又は2種類の金属塩水溶液及
び過酸化水素水を添加した。添加した金属塩の組合せ、
及び金属塩の添加量を表2に示す。なお、2種類の金属
水溶液を添加する場合には、添加後の金属イオンのモル
比が等しくなるように各金属水溶液を添加した。また、
表2においては、金属塩添加量は、添加後の金属イオン
の合計濃度(単位:mmol/l)で示した。過酸化水
素水の添加量は、添加後の過酸化水素の濃度が24mm
ol/lになるように添加した。金属塩水溶液及び過酸
化水素水を添加後、溶液のpHを測定した。フラスコの
入口をシーロンフィルムで密栓し、室温(約25℃)で
1分間振盪した。1分間静置した後、0.1mlのマイ
クロシリンジでフラスコ内の気相から気体0.1mlを
採取し、ガスクロマトグラフィーで悪臭物質濃度、すな
わち臭気濃度を分析した。
【0029】金属塩水溶液及び過酸化水素水を添加後の
pH、及び本発明方法による悪臭物質の除去率を表2に
示す。金属塩水溶液として、2種類の金属塩水溶液を使
用した場合〔実施例2(2)〜実施例2(5)〕には、
硫酸第一鉄水溶液のみを使用した場合〔実施例2
(1)〕に比べて、硫化メチル及び二硫化メチルを高い
効率で除去することができた。
【0030】
【表2】 臭気濃度(括弧内は×10-3mmol/l) 添加した金 金属塩 添加後 又は除去率 番号 属イオン種 添加量 pH 硫化 メチルメル 硫化 二硫化 (mmol/l) 水素 カフ゜タン メチル メチル 処理前 8.90 38ppm 40ppm 113ppm 89ppm (0.34) (0.36) (1.01) (0.79) (1) Fe2+ 2.0 2.9 99% 90% 88% 65% (2) Fe2+ Co2+ 2.0 3.1 97% 87% 96% 69% (3) Fe2+ Al3+ 2.0 3.6 95% 86% 95% 69% (4) Fe2+ Ni2+ 2.0 3.6 100% 88% 96% 72% (5) Fe2+ Zn2+ 2.0 3.1 100% 85% 93% 65%
【0031】実施例3 本実施例では、2価鉄(Fe2+)を含む水溶液として、
硫酸第一鉄の7水塩を蒸留水に溶解し、Fe2+の濃度が
5.6g/l(0.1mol/l)になるように調製し
た水溶液を用いた。過酸化水素水として、過酸化水素の
濃度が3.5重量%(1mol/l)の水溶液を使用し
た。また、過硫酸アンモニウム水溶液として、過硫酸ア
ンモニウムの濃度が159.6g/l(0.77mol
/l)になるように調製した水溶液を、次亜塩素酸ナト
リウム水溶液として、次亜塩素酸ナトリウムの濃度が7
7g/l(1mol/l)になるように調製した水溶液
を、そして塩素酸ナトリウム水溶液として、塩素酸ナト
リウムの濃度が121g/l(1mol/l)になるよ
うに調製した水溶液を、それぞれ用いた。臭覚から明ら
かに硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル、及び
二硫化メチルによる臭気を発生しているドレン水(pH
7.2)100mlを300mlの三角フラスコに入
れ、各種酸化剤と硫酸第一鉄水溶液とを添加した。添加
した酸化剤、及びその添加後の酸化剤濃度(単位:mm
ol/l)を表3に示す。添加後の酸化剤の濃度は、そ
れぞれ、過酸化水素6mmol/l、過硫酸アンモニウ
ム3mmol/l、次亜塩素酸ナトリウム3mmol/
l、及び塩素酸ナトリウム1.5mmol/lであっ
た。硫酸第一鉄の添加量は、添加後の2価鉄イオンの濃
度が1.5mmol/lになるように添加した。各種酸
化剤及び硫酸第一鉄水溶液を添加後、溶液のpHを測定
した。フラスコの入口をシーロンフィルムで密栓し、室
温(約25℃)で1分間振盪した。1分間静置した後、
0.1mlのマイクロシリンジでフラスコ内の気相から
気体0.1mlを採取し、ガスクロマトグラフィーで悪
臭物質濃度、すなわち臭気濃度を分析した。
【0032】本発明方法による硫化メチル及び二硫化メ
チルの除去率、並びに合計臭気濃度に対する酸化剤のモ
ル比〔すなわち、(酸化剤濃度)/(合計臭気濃度)〕
を表3に示す。除去対象である各硫黄系悪臭物質の合計
臭気濃度が6.4×10-3mmol/lの場合、合計臭
気濃度に対する酸化剤のモル比が24では、硫黄系悪臭
物質の除去率がやや低下した〔実施例3(5)〕ので、
モル比で40以上の濃度の酸化剤を添加することが好ま
しいことがわかった。また、各酸化剤の濃度が同じ3m
mol/lの場合を比較すると、硫化メチル及び二硫化
メチルの除去効果は、過酸化水素でも充分であるが、塩
素酸ナトリウムでは除去率が向上し、過硫酸アンモニウ
ムでは更に向上し、次亜塩素酸ナトリウムがもっとも高
かった。前記の各実施例及び本実施例の結果から明らか
なように、高い除去率を示す遷移金属塩と酸化剤との最
適な組合せを、容易に決定することができる。
【0033】
【表3】 添加した 添加後の 添加後 臭気濃度又は除去率 合計臭気濃度 番号 酸化剤 酸化剤濃度 pH (括弧内は×10-3mmol/l) に対する酸化 (mmol/l) 硫化メチル 二硫化メチル 化剤のモル比 処理前 (9.1) 222ppm 496ppm (1.98) (4.42) (1) H2O2 6 3.4 90% 85% 94 (2) H2O2 3 4.3 62% 51% 47 (3) (NH4)2S2O8 3 3.2 100% 96% 47 (4) NaClO 3 6.9 100% 100% 47 (5) NaClO3 1.5 6.3 61% 88% 24 (6) NaClO3 3 5.8 100% 89% 47
【0034】実施例4 本実施例では、2価鉄(Fe2+)を含む水溶液として、
硫酸第一鉄の7水塩を蒸留水に溶解し、Fe2+の濃度が
5.6g/l(0.1mol/l)になるように調製し
た水溶液を用いた。過酸化水素水として、過酸化水素の
濃度が3.5重量%(1mol/l)の水溶液を使用し
た。臭覚から明らかに硫化水素、メチルメルカプタン、
硫化メチル、及び二硫化メチルによる臭気を発生してい
るドレン水(pH7.2)100mlを300mlの三
角フラスコに入れ、硫酸第一鉄水溶液と過酸化水素水と
を添加した。硫酸第一鉄水溶液の添加量は、添加後の2
価鉄イオンの濃度が0.5〜2.5mmol/lになる
ように段階的に量を変えて添加した。過酸化水素水の添
加量は、添加後の過酸化水素の濃度が12mmol/l
になるように添加した。過酸化水素水及び硫酸第一鉄水
溶液を添加後、フラスコの入口をシーロンフィルムで密
栓し、室温(約25℃)で1分間振盪した。1分間静置
した後、0.1mlのマイクロシリンジでフラスコ内の
気相から気体0.1mlを採取し、ガスクロマトグラフ
ィーで悪臭物質濃度、すなわち臭気濃度を分析した。
【0035】2価鉄イオンの濃度と臭気成分の除去率と
の関係を図1に示す。図1において、▽は硫化水素、□
はメチルメルカプタン、△は硫化メチル、そして○は二
硫化メチルを表わす。処理前のドレン水の各臭気濃度、
及びフラスコ内の気相中に含まれる各硫黄系悪臭物質の
量は、硫化水素54ppm(0.48×10-3mmo
l)、メチルメルカプタン63ppm(0.56×10
-3mmol)、硫化メチル123ppm(1.10×1
-3mmol)、及び二硫化メチル59ppm(0.5
3×10-3mmol)であって、フラスコ内の気相中に
含まれる硫黄系悪臭物質の合計量は2.67×10-3
molであった。図1に示すように、添加後の濃度が
0.8mmol/lとなるように硫酸第一鉄水溶液を加
えた場合に、二硫化メチルの除去率は50%であった。
従って、除去対象である硫化水素とメチルメルカプタン
と硫化メチルとの合計量が2.14μmolであり、除
去対象である二硫化メチル量が0.53μmolである
場合、2価鉄塩は、Fe2+の濃度で0.8mmol/l
以上、すなわち、溶液中での2価鉄イオン量が0.08
mmol以上添加することが好ましいことがわかる。
【0036】実施例5 本実施例では、2価鉄(Fe2+)を含む水溶液として、
硫酸第一鉄の7水塩を蒸留水に溶解し、Fe2+の濃度が
5.6g/l(0.1mol/l)になるように調製し
た水溶液を用いた。過酸化水素水として、過酸化水素の
濃度が3.5重量%(1mol/l)の水溶液を使用し
た。臭覚から明らかに硫化水素、メチルメルカプタン、
硫化メチル、及び二硫化メチルによる臭気を発生してい
るドレン水(pH7.2)100mlを300mlの三
角フラスコに入れ、硫酸第一鉄水溶液と過酸化水素水と
を添加した。硫酸第一鉄水溶液の添加量は、添加後の2
価鉄イオンの濃度が1mmol/lになるように添加し
た。過酸化水素水の添加量は、添加後の過酸化水素の濃
度が2〜24mmol/lになるように段階的に量を変
えて添加した。過酸化水素水及び硫酸第一鉄水溶液を添
加後、フラスコの入口をシーロンフィルムで密栓し、室
温(約25℃)で1分間振盪した。1分間静置した後、
0.1mlのマイクロシリンジでフラスコ内の気相から
気体0.1mlを採取し、ガスクロマトグラフィーで悪
臭物質濃度、すなわち臭気濃度を分析した。
【0037】過酸化水素の濃度と臭気成分の除去率との
関係を図2に示す。図2において、▽は硫化水素、□は
メチルメルカプタン、△は硫化メチル、そして○は二硫
化メチルを表わす。処理前のドレン水の各臭気濃度、及
びフラスコ内の気相中に含まれる各硫黄系悪臭物質の量
は、硫化水素69ppm(0.62×10-3mmo
l)、メチルメルカプタン65ppm(0.58×10
-3mmol)、硫化メチル122ppm(1.09×1
-3mmol)、及び二硫化メチル58ppm(0.5
2×10-3mmol)であって、フラスコ内の気相中に
含まれる硫黄系悪臭物質の合計量は2.81×10-3
molであった。図2に示すように、添加後の濃度が
9.5mmol/lとなるように過酸化水素水を加えた
場合に、二硫化メチルの除去率は50%であった。従っ
て、除去対象である硫化水素とメチルメルカプタンと硫
化メチルとの合計量が2.29μmolであり、除去対
象である二硫化メチル量が0.52μmolである場
合、過酸化水素水は、過酸化水素水濃度で9.5mmo
l/l以上、すなわち、溶液中での過酸化水素の量が
0.95mmol以上添加することが好ましいことがわ
かる。また、臭気成分は、硫化水素がもっとも除去率が
高く、以下、メチルメルカプタン、硫化メチル、そして
二硫化メチルの順に除去率が低下する傾向のあることが
わかった。
【0038】実施例6 本実施例では、2価鉄(Fe2+)を含む水溶液として、
硫酸第一鉄の7水塩を蒸留水に溶解し、Fe2+の濃度が
0.1mol/lになるように調製した水溶液を用い
た。過酸化水素水として、過酸化水素の濃度が3.1重
量%の水溶液を使用した。臭覚から明らかに硫化水素、
メチルメルカプタン、硫化メチル、及び二硫化メチルに
よる臭気を発生しているドレン水(pH7.2)100
mlを300mlの三角フラスコに入れ、硫酸第一鉄水
溶液と過酸化水素水とを添加した。過酸化水素水の添加
量は、添加後の過酸化水素の濃度が6〜60mmol/
lになるように段階的に量を変えて添加した。硫酸第一
鉄水溶液の添加量は、添加後の2価鉄イオン濃度に対す
る添加後の過酸化水素濃度のモル比(以下、H22
Fe2+モル比と称する)が0.5〜36になるように添
加した。過酸化水素水及び硫酸第一鉄水溶液を添加後、
フラスコの入口をシーロンフィルムで密栓し、室温(約
25℃)で1分間振盪した。1分間静置した後、0.1
mlのマイクロシリンジでフラスコ内の気相から気体
0.1mlを採取し、ガスクロマトグラフィーで悪臭物
質濃度、すなわち臭気濃度を分析した。
【0039】H22 /Fe2+モル比と硫化メチルの除
去率との関係を図3に示す。図3において、○は添加後
の過酸化水素水の濃度が6mmol/lの場合、□は添
加後の過酸化水素水の濃度が12mmol/lの場合、
◇は添加後の過酸化水素水の濃度が24mmol/lの
場合、△は添加後の過酸化水素水の濃度が36mmol
/lの場合、そして●は添加後の過酸化水素水の濃度が
60mmol/lの場合を表わす。過酸化水素水の濃度
に関わらず、H22 /Fe2+モル比が約5前後で硫化
メチルの除去率が最も高かった。また、H22 /Fe
2+モル比が0.5〜25の範囲において、硫化メチル除
去に効果があることがわかった。
【0040】実施例7 本実施例では、2価鉄(Fe2+)を含む水溶液として、
硫酸第一鉄を蒸留水に溶解し、Fe2+の濃度が5.6g
/l(0.1mol/l)になるように調製した硫酸鉄
水溶液、塩化第一鉄を蒸留水に溶解し、Fe2+の濃度が
5.6g/l(0.1mol/l)になるように調製し
た塩化鉄水溶液、及び鉄(II)フタロシアニンテトラス
ルホン酸(特開平4−141213号公報の実施例1に
記載の化合物)を蒸留水に溶解し、Fe2+の濃度が0.
65g/l(0.1mol/l)になるように調製した
鉄(II)フタロシアニンテトラスルホン酸水溶液を用い
た。過酸化水素水として、過酸化水素の濃度が3.1重
量%の水溶液を使用した。臭覚から明らかに硫化水素、
メチルメルカプタン、硫化メチル、及び二硫化メチルに
よる臭気を発生しているドレン水(pH7.2)100
mlを300mlの三角フラスコに入れ、各種2価鉄水
溶液と過酸化水素水とを添加した。過酸化水素水の添加
量は、添加後の過酸化水素の濃度が0.10mmol/
lになるように添加した。各種2価鉄水溶液の添加量
は、添加後の2価鉄イオン濃度が0.05〜2mmol
/lになるように添加した。過酸化水素水及び各種2価
鉄水溶液を添加後、フラスコの入口をシーロンフィルム
で密栓し、室温(約25℃)で1分間振盪した。1分間
静置した後、0.1mlのマイクロシリンジでフラスコ
内の気相から気体0.1mlを採取し、ガスクロマトグ
ラフィーで悪臭物質濃度、すなわち臭気濃度を分析し
た。
【0041】添加後の2価鉄イオン濃度と硫化水素の除
去率との関係を図4に示す。図4において、○は鉄(I
I)フタロシアニンテトラスルホン酸水溶液を添加した
場合、□は塩化鉄水溶液を添加した場合、そして◇は硫
酸鉄水溶液を添加した場合を表わす。処理前のドレン水
の各臭気濃度、及びフラスコ内の気相中に含まれる各硫
黄系悪臭物質の量は、硫化水素80ppm(0.71×
10-3mmol)、メチルメルカプタン38.5ppm
(0.35×10-3mmol)、硫化メチル16.8p
pm(0.15×10-3mmol)、及び二硫化メチル
6.4ppm(0.06×10-3mmol)であって、
フラスコ内の気相中に含まれる硫黄系悪臭物質の合計量
は1.27×10-3mmolであった。鉄(II)フタロ
シアニンテトラスルホン酸は、塩化第一鉄又は硫酸第一
鉄に比べて、10分の1以下の量で同様の除去率が得ら
れることがわかった。また、添加後の2価鉄イオン濃度
が0.1mmol/l未満では、硫化水素除去率は急激
に低下する。
【0042】
【発明の効果】本発明方法によって、流体に含まれ、従
来方法によっては同時に除去することが困難であった硫
黄系悪臭物質である硫化水素、メチルメルカプタン、硫
化メチル、及び二硫化メチルによる悪臭を、極めて短時
間にかつ簡単な方法で同時に除去することができる。ま
た、特別な反応槽を設けることなく除去反応を実施する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル、
及び二硫化メチルによる臭気を発生しているドレン水を
本発明方法により処理した場合の、2価鉄イオンの濃度
と各臭気成分の除去率との関係を示すグラフである。
【図2】硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル、
及び二硫化メチルによる臭気を発生しているドレン水を
本発明方法により処理した場合の、過酸化水素の濃度と
各臭気成分の除去率との関係を示すグラフである。
【図3】硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル、
及び二硫化メチルによる臭気を発生しているドレン水を
本発明方法により処理した場合の、H22 /Fe2+
ル比と硫化メチルの除去率との関係を示すグラフであ
る。
【図4】2価鉄塩として鉄(II)フタロシアニンテトラ
スルホン酸、塩化鉄、又は硫酸鉄を使用して、硫化水
素、メチルメルカプタン、硫化メチル、及び二硫化メチ
ルによる臭気を発生しているドレン水を本発明方法によ
り処理した場合の、2価鉄イオンの濃度と硫化水素の除
去率との関係を示すグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C02F 1/00 C02F 1/76 D 1/58 CDM B01J 23/74 301M 1/76 311M (56)参考文献 特開 平8−168785(JP,A) 特公 平3−56798(JP,B2) 「紙パ技協誌」,紙パルプ技術協会, 第50巻,第2号,神奈川県立川崎図書館 平成8年1月26日受入,p.40−45 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C02F 1/72 B01J 23/70 C02F 1/00 C02F 1/58 C02F 1/76

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メ
    チル、又は二硫化メチルによる臭気を発生する流体に、
    最高原子価状態よりも低い原子価状態の遷移金属の塩
    、亜鉛塩又はアルミニウム塩と、過酸化水素、塩素酸
    ナトリウム、過硫酸アンモニウム、及び次亜塩素酸ナト
    リウムからなる群から選んだ酸化剤とを添加し、前記液
    体から発生する硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メ
    チル、及び二硫化メチルによる臭気がそれぞれ実質的に
    除去されるまで前記遷移金属の塩、亜鉛塩又はアルミニ
    ウム塩、及び酸化剤による処理を実施することを特徴と
    する、前記流体の脱臭方法。
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