JP2836497B2 - 透明薄膜エレクトロルミネッセンス表示器 - Google Patents

透明薄膜エレクトロルミネッセンス表示器

Info

Publication number
JP2836497B2
JP2836497B2 JP6212653A JP21265394A JP2836497B2 JP 2836497 B2 JP2836497 B2 JP 2836497B2 JP 6212653 A JP6212653 A JP 6212653A JP 21265394 A JP21265394 A JP 21265394A JP 2836497 B2 JP2836497 B2 JP 2836497B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transparent
film
display
thin
light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP6212653A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0878165A (ja
Inventor
和宏 井ノ口
内田  智也
信衛 伊藤
服部  正
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP6212653A priority Critical patent/JP2836497B2/ja
Priority to US08/489,157 priority patent/US5757127A/en
Publication of JPH0878165A publication Critical patent/JPH0878165A/ja
Priority to US09/014,678 priority patent/US5965981A/en
Application granted granted Critical
Publication of JP2836497B2 publication Critical patent/JP2836497B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種情報端末機器のデ
ィスプレイや車載用表示器等に使用されるエレクトロル
ミネッセンス(以下、ELという)表示器に係わるもの
で、特に、表示器を通して背景が視認できる透明な薄膜
EL表示器に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】EL表
示器は、硫化亜鉛(ZnS)等を母体とする蛍光体に電
界をかけたとき発光する現象を利用したもので、自発光
型の平面ディスプレイとして注目されている。
【0003】EL表示器100の典型的な断面構造は図
13に示すようになっており、前面基板111、スペー
サ113及び背面板115により構成される外囲器内に
EL素子120を気密封止されたものである。通常、E
L素子120は、前面基板111上に、第1電極12
1、第1絶縁層123、発光層125、第2絶縁層12
7及び第2電極129の順で成膜されて形成される。
【0004】こうしたEL表示器100の発光色は、そ
の発光体層125中に添加する発光中心元素の種類によ
って種々に変えることができる。例えば、発光母体を硫
化亜鉛(ZnS)として、マンガン(Mn)を添加した
場合には黄橙色に、またフッ化テルビウム(TbF
3 )、塩化サマリウム(SmCl3 )、塩化ツリウム
(TmCl3 )、フッ化プラセオジウム(PrF3 )を
添加した場合には、それぞれ、緑色、赤色、青色、白色
に発光する。
【0005】また、前面基板111、EL素子120及
び背面板115を透明な材料で構成した透明薄膜EL表
示器も知られている(例えば、1982年8月16日発
行の日経エレクトロニクスのP99の22行〜33行及
びP98の図9に、上述の第1,第2電極に相当する上
下の電極を共にITO透明導電膜で構成した透明薄膜E
L表示器が紹介されている)。
【0006】ところで、こうした透明薄膜EL表示器に
おいては、発光表示に際して背景色を形成することが必
要となる。このため、従来、透明薄膜EL表示器の透明
背面板に黒色ビニール等を張り付けたり着色塗料を塗布
する手法や、薄膜EL素子の保護用注入流体に着色染料
を含有せしめる手法が紹介されてきた(例えば、特公昭
58−55634号公報)。
【0007】また、こうした透明薄膜EL表示器をナビ
ゲーションシステムにおける地図や自動車のスピードメ
ータ等の前面に配置し、背後の地図に重ねて現在位置を
表示したりスピードメータに重ねて制限速度を表示する
装置としての応用に当り、透明薄膜EL表示器の透明背
面板に反射防止膜を設け、透明背面板の後方に配置され
た被観察物を鮮明に目視できるようにする手法が紹介さ
れている(例えば実公平3−17437号公報)。
【0008】さらに、近年では、こうした透明薄膜EL
表示器を自動車のダッシュボード上に立設させた透過型
ディスプレイとすることで、運転者が視線を前方に据え
たままでスピード等の表示を視認でき、かつ前方視界の
妨げにならない点で期待されている(例えば、特開平5
−347186号公報)。
【0009】こうした形態の利用においては、EL表示
器を透かしての前方の視認性と表示の明瞭性とを両立さ
せる必要がある。この前方の視認性に関しては、従来技
術では上述の実公平3−17437号公報記載の様な反
射防止膜の使用が考えられるが、自動車のフロントガラ
スから朝日、夕日等の太陽光が表示器の背面から直接入
射して来るとスピード等の情報表示が見えなくなるとい
う問題点がある。しかし、コントラストの向上に当たっ
て、黒色背景色を付けたのでは、透明薄膜EL表示器の
最大の特徴点である透明性が失われてしまい、表示器裏
面の背景が視認できなくなってしまう。
【0010】そこで、本発明は、外来光が表示器に入射
した場合においても表示のコントラストを確保するとと
もに、表示器を透して背景を視認できるようになした透
薄膜EL表示器を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】上記課題
を解決するための本発明の透明薄膜EL表示器は、透明
な一対の電極間に、少なくとも蛍光体よりなる発光層と
透明絶縁層を配設してなる薄膜EL素子を、透光性の前
面基板と透光性の背面板とから成る外囲器内に、少なく
とも1つ内蔵し、前記前面基板を介して表示を実行する
とともに表示器を透して背景を視認できる透明薄膜EL
表示器において、背面側から前記薄膜EL表示器を透過
する光の透過率を5%以上70%以下としたことを特徴
とする。
【0012】この透明薄膜EL表示器によれば、光の透
過率を上記の如く70%以下に制限することにより、表
示器の背面側から外来光が入射した場合に表示のコント
ラストを損ねずに各種情報を表示でき、かつ、5%以上
としたことにより、表示器を透して見る背景の視認性を
も確保することができる。
【0013】ここで、外来光の明暗の変化の大きい場合
には、表示器の透過率を15%以上60%以下の範囲に
することが特に好ましい。光の透過率を制限するための
具体的手法としては、外囲器内に内蔵される薄膜EL素
子の発光層より背面側の位置に、少なくとも1つの着色
透明膜を形成することで、背面側から薄膜EL表示器を
透過する光の透過率の前記条件を満足させる手法をあげ
ることができる。この場合、薄膜EL素子が複数内蔵さ
れているときには、その最も背面側の素子の発光層より
も背面側の位置に設ける。
【0014】また、他の具体的手法としては、前記背面
板を、背面側から入射する光を前記条件内でだけ透過さ
せると共に残りを主に吸収する着色透明板で構成する手
法をあげることもできる。この場合、前記着色透明板
が、着色透明ガラスまたは着色透明アクリル板であるこ
とが望ましい。
【0015】これらの具体的手法によれば、サングラス
と同様の作用により、光の透過率が制限でき、背景の視
認性と、表示のコントラストとを両立させることができ
る。なお、表示のコントラストの観点では、前記着色透
明膜または着色透明板の色相が、外囲器内に内蔵された
薄膜EL素子の発光色と異なることが望ましい。これに
より、色相の相違によるコントラストの強調効果が発揮
され、より鮮明な表示を実現することが可能になる。
【0016】また、他の具体的手法としては、前記背面
板を、背面側から入射する光を前記条件内でだけ透過さ
せると共に残りを反射するハーフミラーで構成すること
もできる。ハーフミラーの場合、着色の場合と異なり、
表示器の背面側の景色などが変色して見えない点で優れ
ている。
【0017】加えて、上述した透明薄膜EL表示器にお
いて、背面板又は前面基板の表面に、透明な反射防止膜
を配することとしてもよい。この様に構成することで、
反射による表示器への器物の写り込みや、前面からの入
射光によるコントラストの低下を防止することができ
る。
【0018】この様に、本発明の透明薄膜EL表示器に
よれば、表示器の背面側の視認性を確保できると共に、
その表示の明瞭さも確保でき、例えば、車両や航空機等
に搭載した場合にも、違和感なく表示器を透して背景を
みることができるとともに、安定で信頼性に優れた表示
を実現することができる。
【0019】
【実施例】以下、具体的な実施例について説明する。 [実施例1]実施例1の透明薄膜EL表示器1は、図1
に示すように、前面基板11に成膜形成したEL素子2
0を内側にして、スペーサ13で所定の間隔を保って背
面板15を固定すると共に、空隙部17にシリコンオイ
ルからなる透光性絶縁物質を充填し、気密封止すること
により形成されるものであり、特に、背面板15の内面
には、着色透明膜30を成膜形成してある。なお、図中
の白抜きの矢印は、視認方向を示す。
【0020】前面基板11は、透光性絶縁基板であるノ
ンアルカリのガラス基板からなる。EL素子20は、図
2に示す様に、この前面基板11の上に順次、以下の薄
膜が積層されて構成される。即ち、前面基板11上に、
ITO(Indium Tin Oxide:酸化イン
ジウム・錫)透明導電膜からなる第1透明電極21、酸
化窒化珪素(SiON)及び五酸化タンタル・酸化アル
ミニウム混合物(Ta25 ・Al23 )を連続成膜
してなる透明な第1絶縁層23、母体材料が硫化亜鉛
(ZnS)からなる発光層25、SiON,Ta25
・Al23 及びSiONを連続成膜してなる透明な第
2絶縁層27、及び酸化亜鉛(ZnO:Ga23 )透
明導電膜からなる第2透明電極29が積層されてEL素
子20が構成される。
【0021】これら透明電極等の積層は、以下のように
して実施される。まず、前面基板11上にITO(In
dium Tin Oxide:酸化インジウム、錫)
透明導電膜をアルゴン(Ar)及び酸素(O2 )の混合
ガス雰囲気中でDCスパッタして2000オンク゛ストローム の
厚さに成膜し、ウェットエッチングにより所望のセグメ
ント形のパターン形状に加工し、透明な第1電極21を
形成した(図2、図3の点線を参照)。
【0022】その上に、シリコンをターゲットとしてア
ルゴン、窒素及び少量の酸素の混合ガス雰囲気中で高周
波スパッタして酸化窒化珪素(SiON)を1000オン
ク゛ストローム の厚さに成膜した後、その上に、五酸化タンタ
ル・酸化アルミニウム混合物(Ta25 ・Al2
3 )をターゲットとしてアルゴン及び酸素の混合ガス雰
囲気中で高周波スタッパして3000オンク゛ストローム の厚さ
に連続成膜し、第1絶縁層23を形成する。
【0023】次に、TbOFを添加した硫化亜鉛(Zn
S)をターゲットとして、アルゴン及びヘリウム(H
e)の混合ガス雰囲気中で高周波スパッタして5000
オンク゛ストローム の厚さに成膜し発光層25を形成する。この
時、図4に(a)として示すようなSUS又はガラス製
のマスク41を用いて最初の成膜領域を画定し、発光層
25aを形成する。
【0024】次に、同図に(b)として示す他のマスク
43を用いて成膜領域を画定し、Mnを添加した硫化亜
鉛(ZnS)を蒸着用ペレットとして、電子ビーム蒸着
法により6200オンク゛ストローム の厚さに成膜し発光層25
bを発光層25aと同一平面上に形成する。
【0025】そして、第1絶縁層と同じ要領でSiON
を1000オンク゛ストローム 、Ta25・Al23 を20
00オンク゛ストローム の厚さに連続成膜し、その上に更にSi
ONを1000オンク゛ストローム の厚さに成膜して第2絶縁層
27を形成する。これらの薄膜を積層形成した後、Ga
23 を添加したZnO透明導電膜をイオンプレーティ
ングにより4500オンク゛ストローム の厚さに成膜し、フォト
エッチング法により所定の形状に加工し透明な第2電極
29を形成する。
【0026】この後、前面基板11上における下縁部
に、図3に一点鎖線で示す様に、各第1透明電極21と
各第2透明電極29とから延設された透明接続部51の
各端部と接触するように接続端子部53が形成される。
接続端子部53は、ニッケル、金等の導電金属を蒸着法
又はスパッタ法により成膜形成し、フォトエッチング法
により透明接続部51の各端部に各々の電極が短絡しな
いように細かく分けて形成される。
【0027】なお、図3は、説明を分かり易くするた
め、表示側から見た図を用いたが、本実施例では、透光
性の前面基板11の背面側にEL素子20を形成してい
るので、EL素子20側から見たパターン形状は図3と
裏返しの形になる。一方、着色透明膜30は、硫化タン
タル(TaS2 )をターゲットとして、アルゴン(A
r)に1%の酸素(O2 )を添加した混合ガス雰囲気中
で、背面板15の基板温度200℃で高周波スパッタ
し、膜厚600オンク゛ストローム に成膜して形成する。このよ
うに形成した着色透明膜30付きの背面板15の光の透
過率は可視域(400nm〜700nm)で平均57%
であった(図5参照)。
【0028】こうしてEL素子20を成膜形成された前
面基板11と、着色透明膜30を成膜形成された背面板
15とを、EL素子20及び着色透明膜30が向き合う
ようにスペーサ13で一定間隔の隙間をあけて重ね合わ
せ、内側周囲を透明の接着剤で接着する。この時、着色
透明膜30は素子の防湿のため、接着部にかからないよ
う、全てが封止領域内に入るようにする(図1参照)。
【0029】次に、上記スペーサ13の一部を切り欠い
たオイル注入口より基板間に防湿用のシリコンオイルを
充填し、オイル注入口を接着剤で封止する。この状態で
は、前面基板11と背面板15の周縁角部が露出してい
るため、保護のために、上縁部と左右側縁部を透明な合
成樹脂等で被覆する。
【0030】このようにして、完成した透明薄膜EL表
示器1における光の透過率は、可視域(400nm〜7
00nm)で平均46%であった(図6の点線)。次
に、この透明薄膜EL表示器1を、図7に示すように、
自動車のフロントガラスの内側のダッシュボード上に立
設させ接続端子部53を埋め込むようにして取り付け
た。接続端子部53には、図示しない駆動回路が接続さ
れる。その際、フレキシブルプリント板等の屈曲可能な
ものを介して駆動回路等に接続してもかまわない。
【0031】駆動回路から接続端子部53を通して交流
電圧が第1透明電極21と第2透明電極29に印加され
ると、その間に挟まれた発光層25が発光する。この
際、図示しない制御回路により、電圧を印加する第1透
明電極21又は第2透明電極29の部分を制御し、これ
によって、車速を示す数字或はウォーニング用の図形が
発光・表示される。本実施例では数字部が緑色、ウォー
ニング用の図形が黄橙色で表示される。
【0032】この透明薄膜EL表示器1を取り付けた自
動車にて、前方(表示器の背面方向)より朝日、夕日等
の強い外部光が入射してきた状態で車速表示等を行わせ
たところ、表示のコントラストを十分に確保でき、透明
薄膜EL表示器1に表示された文字、図形等の情報を明
瞭に読み取ることが確認できた。また、透明薄膜EL表
示器1を通しての背景についても、運転者は前方の視線
をそれ程ずらすことなく、明瞭に視認することができ
た。
【0033】次に、実施例の作用・効果を確認するため
に、比較例として、着色透明膜30を設けない図13の
従来タイプの透明薄膜EL表示器100を製造し、自動
車のダッシュボード上に取り付けて実車テストを行っ
た。なお、着色透明膜30以外の構成は、実施例と全く
同じである。
【0034】この比較例の透明薄膜EL表示器100の
透過率を測定したところ、可視域(400nm〜700
nm)での平均透過率は81%〜87%であった(平均
透過率87%の透明薄膜EL表示器の透過スペクタルを
図6に実線で示す)。この比較例の透明薄膜EL表示器
100においても、特に強い外部光がない状況では、明
瞭に数字、文字、図形などの表示情報を読み取ることが
できた。また、運転者は前方の視線をそれ程ずらすこと
なく、また、前方の視界を妨げることなく、背景を明瞭
に視認することができた。
【0035】しかしながら、前方(表示器の背面方向)
より朝日、夕日等の強い外部光が入射してきた際には、
外部光により表示のコントラストが低下し、表示部に表
示された文字、図形等の情報を明瞭に読み取ることがで
きなくなった。以上より、外部光入射時の表示の読み取
りに関して、EL表示器の平均透過率が効いていること
が窺える。
【0036】そこで、さらに、次のような主観評価法
(フィーリングテスト)による視認性評価を行った。評
価試験は、図7に示したと同様に、自動車のフロントガ
ラスの内側のダッシュボード上に、比較例の透明薄膜E
L表示器100を立設させ、その表示器100の裏側
(背面側)に透過率の異なる種々のアクリル板を背面板
115に密着させるように取り付け、同一場所にて、で
きるだけ評価環境を同じにして実施した。
【0037】30人の被検者(成人男子20名、成人女
子10名)に、透過率の異なるアクリル板をランダムな
順序で取り替えて提示し、5段階評価で視認性を評価し
てもらった。評価試験の結果を表1及び表2に示す。ま
た、その評価試験結果の加重平均とEL表示器の透過率
の関係を図8及び図9に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】このフィーリングテストの結果、以下の様
なことが分かった。外部光の影響のない場合、透過率の
低下とともに表示の視認性は良好となるものの、その反
面、背景の視認性は悪くなる。しかし、透過率約5%以
上の範囲であれば、まずまず(普通以上の評価が1/2
以上)の視認性が確保されている(表1及び図8参
照)。
【0041】ところが、外部光の影響のある場合には、
表示の視認性においては外部光の影響がない場合と同様
の傾向を示すものの、全体的に視認性が低下しており、
特に、透過率70%を超える範囲では表示が非常に見づ
らくなっている(やや悪い以下の評価が1/2以上;表
2及び図9参照)。
【0042】また、背景の視認性についてはEL表示器
の透過率との相関性はなく、人により評価がかなりばら
つく傾向がみられる。これは防眩効果と透明性の関係が
交錯して人の感性が状況により変化するためと考えられ
る。従って、透過率70%〜5%で半数以上の人が普通
以上の評価を与えているものの、外来光の明暗の変化の
大きい場合には、安全を見込んで表示器の透過率を15
%以上60%以下(加重平均でみた場合の評価が3以
上)の範囲にすることが特に好ましいと考えられること
が分かった。
【0043】以上の結果より、車両等、表示器の置かれ
た環境変化の大きい場合には、透明EL表示器の透過率
は5%以上70%以下、好ましくは15%以上60%以
下の範囲が望ましいことがわかった。そして、実施例1
の透明薄膜EL表示器1では、光の透過率がこの範囲内
にあることから、外部光の入射時にも、良好な背景視認
性と、良好な表示情報視認性とが共に確保できたのであ
る。
【0044】次に、実施例1のバリエーションの説明を
する。実施例1では、着色透明膜30として無機系の硫
化タンタル(TaS2 )膜を使用した。しかし、有機系
の膜を使用してもかまわない。但し、着色膜を外囲器内
に収納する場合、EL素子の防湿用に用いられるシリコ
ンオイル等に溶解したり反応するものであってはならな
い。また、使用環境又は保存環境温度に耐えるものでな
ければならない。そのような有機系の着色膜の一例とし
てはポリイミド系の膜や耐熱性のレジスト膜が上げられ
る。
【0045】本実施例で用いた硫化タンタル(TaS
2 )膜付きの背面板15の透過スペクトルは図5に示す
ように短波長側でやや低め(400nmで透過率40%
弱)で、長波調側にいくに従い徐々に高くなっていく
(700nmで透過率約65%)が、そのカーブはゆる
やかであり可視域全体にわたり透過率を下げる効果があ
る。
【0046】これに対し、例えば青色着色染料(又は顔
料)を添加したレジストいわゆる青色フィルターを薄く
塗布した背面板を用いると、図10に示す様に、短波長
側での透過率が高く中長波調域で透過率が低い透明着色
背面板が得られる。この場合には、本実施例での緑色及
び黄橙色発光を呈する(即ち、中長波調域での発光スペ
クトルを有する)EL素子でのコントラストを一層改善
できる効果を発揮する。ここで、青色レジストフィルタ
ーを薄く塗布した理由は、完全なフィルターとしてしま
うと透過率が下がり過ぎ、背景の視認性を低下させてし
まうからである。この場合においても、透明薄膜EL表
示器1の透過率は5%以上70%以下、好ましくは15
%以上60%以下とする必要がある。
【0047】なお、好ましい青色レジストフィルターの
膜厚は1μm以下である。以上述べてきた着色膜を用い
た透明薄膜EL表示器は、全て外囲器内の背面板上に着
色膜を形成しているが、着色膜の挿入位置は透明薄膜E
L表示器を構成する薄膜EL素子の内、最も背面側に位
置する薄膜EL素子の発光層より背面側の位置であれば
本発明の目的が達せられることは言うまでもない。但
し、その挿入位置により次のような注意を払う必要があ
る。
【0048】例えば、背面板の後ろ側に着色膜を配した
場合には着色膜が表面に出るためキズ等が起き易いの
で、さらにこれを保護するか、あるいはキズの付きにく
い丈夫な材料を選定する必要がある。また、EL素子を
構成する膜、例えば絶縁膜等に着色膜の機能を兼ね備え
てもかまわないが、この場合にはEL素子そのものの特
性(例えば、絶縁破壊耐圧、発光輝度特性、寿命等)に
影響を与えるものであってはならない。本実施例で示し
たTaS2 膜は、その膜厚を調整することで、上記条件
を満たす絶縁膜としても使用可能なものである。 [実施例2]実施例1においては、着色透明膜を使用し
た透明薄膜EL表示器の例を取り上げたが、背面板15
自身を透過率調整のための着色透明体としてもかまわな
い。図11に示す様に、背面板15を着色透明ガラス1
5’とし、その上にもう1つの透明薄膜EL素子60を
形成することで、透光性前面基板11と着色透明ガラス
15’とからなる外囲器内に複数の透明薄膜EL素子を
内蔵した断面構造の透明薄膜EL表示器2が得られる。
【0049】この透明薄膜EL表示器の構造は透光性前
面基板11及び背面板である着色透明ガラス15’上
に、各々発光色の異なる透明薄膜EL素子20,60を
形成し、互いの薄膜EL素子20,60を向かい合う形
で形成したもので、ミラー対称形状をした各々の表示領
域をぴったりと重ね合わせることで、同一箇所からの色
変わりがおこなえる。従って、例えば、車速に応じて、
スピード表示を緑、黄、赤の信号色に変えることができ
る。
【0050】この場合においても上述したように、透明
薄膜EL表示器の透過率を5%以上70%以内、好まし
くは15%以上60%以下とすることで、外部光が背面
側より入射してきても、運転者は、外部光に惑わされる
ことなく表示部に表示された文字、図形等の情報を読み
取ることができる。
【0051】本実施例では背面板に着色透明ガラス1
5’を用いた例を取り上げたが、これをハーフミラーと
してもかまわない。この場合には、透明薄膜EL表示器
の背面側から入射する光の5%以上70%以下、より好
ましくは15%以上65%以下を透過するようにして背
景の観察を可能とし、残りを反射させることで表示のコ
ントラストを確保するよう配置させる。
【0052】これら実施例2及びその変形例のように背
面板上に透明薄膜EL素子を形成する場合には、着色透
明ガラス、ハーフミラー等背面板を構成する材料は耐熱
性、耐薬品性等を兼ね備え、EL素子製造プロセスに支
障をきたさないものである必要がある。しかし、実施例
1のように透光性前面基板のみにEL素子を形成するな
ら、背面板には着色透明アクリル板等の樹脂製背面板1
5”を用いてもかまわない(図12参照)。但し、この
場合も透明薄膜EL表示器の背面側から入射する光は5
%以上70%以下、好ましくは15%以上60%以下の
透過率とすることはもちろんである。
【0053】以上の様に、各実施例によれば、透明薄膜
EL表示器において、背面側からEL表示器を透過する
光の透過率を上記好ましい範囲内に制限する構成要素を
設けることにより、背面から入射する外来光がある場合
にも輝度を低下させることなくコントラストを向上でき
るとともに、サングラス効果により背景の視認性をも確
保することができる。
【0054】また、表示器前面より入射する室内灯や後
続車のライト等の入射光に対して、透光性の前面基板の
前面に反射防止膜を配することでより一層表示のコント
ラストを改善することができる。以上本発明のいくつか
の実施例及び変形例を説明したが、本発明はこれらに限
定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で
種々なる態様を採用し得る。
【0055】例えば、比較例を用いたフィーリングテス
トで実施したように、着色アクリル板などをEL表示器
の背面に密着させて固定するなどの方法を採用すること
もできる。また、用途も自動車用のスピード表示器に限
らず、航空機等における各種表示器として用いることも
できる。加えて、パーソナルコンピュータなどのディス
プレイ装置として用いても構わない。パーソナルコンピ
ュータのディスプレイについてもオフィスによっては外
部光が入射して表示が見にくくなることもあり、そうし
た環境での使用に特に有効な効果を発揮する。特に、ノ
ート型のパーソナルコンピュータに応用したときには、
車両で移動中の使用あるいは戸外の使用も快適となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の透明薄膜EL表示器の断面構造を
示した模式図である。
【図2】 実施例のEL素子の拡大断面構造を示した模
式図である。
【図3】 実施例の自動車用透明薄膜EL表示器の電極
配線を示した正面図である。
【図4】 実施例の自動車用の透明薄膜EL表示器の発
光層成膜用マスクを示した説明図である。
【図5】 実施例1の透明ガラス上にTaS2 よりなる
着色透明膜を付けた背面板の透過スペクトルを示すグラ
フである。
【図6】 比較例と本発明の透明薄膜EL表示器の透過
率を示す一例である。
【図7】 実施例の透明薄膜EL表示器を自動車のダッ
シュボードに使用した状態を表すイメージ図である。
【図8】 外部光の影響のない場合における主観評価に
よる視認性評価結果を5段階の加重平均し、EL表示器
の透過率との関係を表したグラフである。
【図9】 外部光の影響のある場合における主観評価に
よる視認性評価結果を5段階の加重平均し、EL表示器
の透過率との関係を表したグラフである。
【図10】 実施例1のその他の着色透明膜(青色)の
透過スペクトルと緑色及び黄橙色薄膜ELの発光スペク
トルの関係を表すグラフである。
【図11】 実施例2としての発光色の異なる2つの透
明薄膜EL素子を重ね合わせた表示器の断面を表す模式
図である。
【図12】 実施例2の変形例として、着色透明背面板
(例えば、着色透明アクリル板)を使用した透明薄膜E
L素子の断面を表す模式図である。
【図13】 従来の透明薄膜EL素子の断面を表す模式
図である。
【符号の説明】
1,2・・・透明薄膜EL表示器、11・・・前面基
板、13・・・スペーサ、15・・・背面板、15’・
・・着色透明ガラス、15”・・・樹脂製背面板、17
・・・空隙部、21・・・第1透明電極、23・・・第
1絶縁層、25・・・発光層、27・・・第2絶縁層、
29・・・第2透明電極、30・・・着色透明膜、4
1,43・・・マスク、51・・・透明接続部、53・
・・接続端子部、60・・・透明薄膜EL素子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 服部 正 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−109294(JP,A) 特開 昭62−127789(JP,A) 特開 平5−347186(JP,A) 特開 平7−169570(JP,A) 実開 昭61−129299(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05B 33/12 H05B 33/28

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明な一対の電極間に、少なくとも蛍光
    体よりなる発光層と透明絶縁層を配設してなる薄膜エレ
    クトロルミネッセンス素子を、透光性の前面基板と透光
    性の背面板とから成る外囲器内に、少なくとも1つ内蔵
    し、前記前面基板を介して表示を実行するとともに表示
    器を透して背景を視認できる透明薄膜エレクトロルミネ
    ッセンス表示器において、 背面側から前記薄膜エレクトロルミネッセンス表示器を
    透過する光の透過率を5%以上70%以下としたことを
    特徴とする透明薄膜エレクトロルミネッセンス表示器。
  2. 【請求項2】 背面側から薄膜エレクトロルミネッセン
    ス表示器を透過する光の透過率を15%以上60%以下
    としたことを特徴とする請求項1記載の透明薄膜エレク
    トロルミネッセンス表示器。
  3. 【請求項3】 外囲器内に内蔵される薄膜エレクトロル
    ミネッセンス素子の発光層より背面側の位置に、少なく
    とも1つの着色透明膜を形成することで、背面側から
    エレクトロルミネッセンス表示器を透過する光の透過
    率の前記条件を満足させたことを特徴とする請求項1又
    は2記載の透明薄膜エレクトロルミネッセンス表示器。
  4. 【請求項4】 前記背面板を、背面側から入射する光を
    前記条件内でだけ透過させると共に残りを主に吸収する
    着色透明板で構成したことを特徴とする請求項1又は2
    記載の透明薄膜エレクトロルミネッセンス表示器。
  5. 【請求項5】 前記着色透明板が、着色透明ガラスまた
    は着色透明アクリル板であることを特徴とする請求項4
    項記載の透明薄膜エレクトロルミネッセンス表示器。
  6. 【請求項6】 前記着色透明膜または着色透明板の色相
    が、外囲器内に内蔵された薄膜エレクトロルミネッセン
    ス素子の発光色と異なることを特徴とする請求項3〜5
    のいずれか記載の透明薄膜エレクトロルミネッセンス表
    示器。
  7. 【請求項7】 前記背面板を、背面側から入射する光を
    前記条件内でだけ透過させると共に残りを反射するハー
    フミラーで構成したことを特徴とする請求項1又は2記
    載の透明薄膜エレクトロルミネッセンス表示器。
  8. 【請求項8】 背面板又は前面基板の表面に、透明な反
    射防止膜を配したことを特徴とする請求項1〜7のいず
    れか記載の透明薄膜エレクトロルミネッセンス表示器。
JP6212653A 1994-06-10 1994-09-06 透明薄膜エレクトロルミネッセンス表示器 Expired - Lifetime JP2836497B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6212653A JP2836497B2 (ja) 1994-09-06 1994-09-06 透明薄膜エレクトロルミネッセンス表示器
US08/489,157 US5757127A (en) 1994-06-10 1995-06-09 Transparent thin-film EL display apparatus with ambient light adaptation means
US09/014,678 US5965981A (en) 1994-06-10 1998-01-28 Transparent thin-film EL display apparatus

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6212653A JP2836497B2 (ja) 1994-09-06 1994-09-06 透明薄膜エレクトロルミネッセンス表示器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0878165A JPH0878165A (ja) 1996-03-22
JP2836497B2 true JP2836497B2 (ja) 1998-12-14

Family

ID=16626192

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6212653A Expired - Lifetime JP2836497B2 (ja) 1994-06-10 1994-09-06 透明薄膜エレクトロルミネッセンス表示器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2836497B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7460091B2 (en) 2003-09-24 2008-12-02 Seiko Epson Corporation Display apparatus and electronic apparatus
US9099665B2 (en) 2011-12-16 2015-08-04 Samsung Display Co., Ltd. Organic electro-luminescence display device

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI299632B (ja) * 2001-09-28 2008-08-01 Sanyo Electric Co
KR100692758B1 (ko) * 2004-08-23 2007-03-09 현대자동차주식회사 자동차의 헤드업 디스플레이 장치용 디스플레이의 제조방법
KR101349019B1 (ko) * 2008-06-26 2014-01-09 현대자동차주식회사 자동차용 헤드업 디스플레이 및 그 제조방법

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7460091B2 (en) 2003-09-24 2008-12-02 Seiko Epson Corporation Display apparatus and electronic apparatus
US9099665B2 (en) 2011-12-16 2015-08-04 Samsung Display Co., Ltd. Organic electro-luminescence display device

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0878165A (ja) 1996-03-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5757127A (en) Transparent thin-film EL display apparatus with ambient light adaptation means
US4287449A (en) Light-absorption film for rear electrodes of electroluminescent display panel
JP4537267B2 (ja) 第3面反射器を備えた電気光学ミラー
JP3514099B2 (ja) 複合表示装置
US5504389A (en) Black electrode TFEL display
US4758765A (en) Black layer for thin film EL display device
US20200276792A1 (en) Laminated vehicle windshield with internal luminous sign(s)
US5838644A (en) Electroluminescent display and luminous timepiece dial
JPS6343240B2 (ja)
JPH0854832A (ja) 透明薄膜el表示器
US5820996A (en) Electroluminescence device and method of manufacturing same
JP2836497B2 (ja) 透明薄膜エレクトロルミネッセンス表示器
JP2531686B2 (ja) カラ−表示装置
US4143404A (en) Laminated filter-electroluminescent recitular index for cathode ray display
JPH07261677A (ja) 立体表示装置
US10111300B2 (en) Display device and a method for manufacturing such device
JPH1174081A (ja) El表示装置
JPH04359B2 (ja)
JP2848236B2 (ja) 薄膜el表示装置
JPS6348589A (ja) 発光デイスプレイ
KR100326464B1 (ko) 전계 발광 표시장치
JPH07130471A (ja) エレクトロルミネッセンス素子
JPS59180991A (ja) El素子
JP2530318B2 (ja) 表示装置
JPS61211994A (ja) 薄膜el素子

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101009

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111009

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121009

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121009

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131009

Year of fee payment: 15

EXPY Cancellation because of completion of term