JPS6343240B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は、例えば自動車のエンブレム、トツプ
マーク、装飾モール、ネームプレートとして適す
る装飾部材に関する。更に詳しくは本発明は、エ
ンブレム、トツプマーク等を構成する文字、図形
等の表示体を必要に応じて切り変えることができ
るように改良した装飾部材に関する。ここでエン
ブレムは、社名、会社名、車格、などをシンボル
化して図形としたものである。トツプマークは、
上形図形を自動車のボンネツト前部に設けたもの
である。モールは、車の内外装に用いられる線又
は帯状の部材である。ネームプレートは、社名や
会社名等を文字で表現したものである。ガーニツ
シユは、自動車の内外装のある部分あるいは縁を
覆う装飾部材である。

〔従来技術〕

代表的な装飾部材として、自動車に用いられる
エンブレム、トツプマーク、装飾モール、ネーム
プレート等がある。これらの装飾部材は、一定の
厚みをもつ文字、図形、記号等からなる表示体を
設けることにより構成されているが、表示体の表
示内容を必要に応じて切り変える装飾部材は開発
されていない。

〔発明の目的〕

本発明は上記した従来技術を背景としてなされ
たものである。従つて本発明の目的は、複数の表
示体を必要に応じて、例えば昼間と夜間とで切り
変えることができるように改良した装飾部材を提
供するにある。

〔発明の構成〕

本発明の装飾部材は、透光性を有する第一表示
体と、該第一の表示体の後方に設けられ前方から
の光を反射し後方からの光を透過する半透光性部
材と、該半透光性部材の後方に設けられた部分的
に透光性を有する第二の表示体と、該第二の表示
体の後方に設けられた発光体とで構成されること
を特徴とするものである。ここで前方とは、装飾
部材を見る視認者側を意味し、後方とは、該視認
者からより遠ざかる側を意味する。

本発明の装飾部材は、美的処理された表示体を
もつ部材の意味である。このような装飾部材とし
ては、主として車両、特に自動車に用いられるエ
ンブレム、トツプマーク、モール、ネームプレー
ト、ガーニツシユ場合によつてはナンバープレー
トがある。なお本発明の装飾部材はこれらに限ら
ず、その他の装飾部材に、例えば自動車の外装お
よび内装に用いられる他の装飾部材に適用しても
よい。

本発明の構成要素である第一の表示体は、ある
特定の内容を表示するものである。第一の表示体
としては通常、美的処理された文字、図形、記
号、模様等を形成する塗膜、蒸着膜等が用いられ
る。例えば、本発明の装飾部材をエンブレムに適
用した場合には、エンブレムの表面に形成された
図形となるものが第一の表示体となる。又、ネー
ムプレートに適用した場合には、ネームの文字を
構成するものが第一の表示体となる。第一の表示
体は、視認者が位置する側に設けられている。尚
第一の表示体の色彩は、装飾部材の用途を考慮し
て適宜設定する。

本発明の構成要素である第一の表示体は、光を
透過させるという透光性をもつ必要がある。従つ
て第一の表示体は、透光性を有するように、着色
した半透明膜から構成するとよい。例えば、第一
の表示体は、透明な基体と、該基体の面に形成さ
れた着色された半透明膜とから構成することが望
ましい。半透明膜の厚みは10〜100μがよい。こ
の半透明膜は、透明な基体の外面に、塗料やイン
クをスクリーン印刷又はスプレー塗装することに
よつて形成できる。塗料やインクは通常半透明の
ものを用いる。この半透明膜は、透明な基体の外
面に、金属やセラミツクスのスパツタリング、真
空蒸着、イオンプレーテイングなどの処理を行な
つて、有色の半透明膜をコーテイングすることに
よつても形成できる。

尚、透明な基体は薄板状、厚板状のいずれでも
よく、フイルム状でもよく、又平板状、凸又は凹
のレンズ状のいずれでもよい。基体は透明度のよ
いものが望ましい。従つて基体は透明ガラスや透
明樹脂から作製するとよい。基体は無色透明であ
ることが望ましいが、場合によつては有色透明で
もよい。透明な基体は、例えば塩化ビニル樹脂、
ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹
脂から作製するとよい。

本発明の構成要素である半透光性部材は、前方
からの光を反射し、後方からの光を透過させる部
材である。ここで前方からの光は、装飾部材の表
側つまり視認者側から発せられる光の意味であ
る。又後方からの光は、視認者側と反対側、即ち
発光体側から発せられる光の意味である。なお光
は通常、人間の眼に光として感じる波長をもつ可
視光である。ここで、前方からの光を反射する反
射率、及び後方からの光を透過する透過率は、高
い方が望ましい。半透光性部材は、薄膜を形成す
る等といつた通常の公知の手段によつて構成でき
る。例えば、半透光性部材は、前述した基体の裏
面に、スパツタリングや真空蒸着などの処理を施
して薄膜を形成し、これにより後方からの可視光
線の透過率を高く設定し、又前方からの可視光線
の反射率を高く設定することにより構成できる。
薄膜の材質はTiO₂、CeO₂、Al、Ag、Cr、Au等
を用いるとよい。薄膜の厚みは100〜1000Åとす
るとよい。尚上記した薄膜は、一層のみで形成し
てもよいし、酸化チタン膜等の高屈折率物質と二
酸化珪素膜等の低屈折率物質とを交互に積層した
多層膜から構成してもよい。薄膜を多層膜とした
場合には、反射防止効果、反射増加効果をいつそ
う高めることができる。

他の半透光性部材としては、例えば、ハーフミ
ラーとも呼ばれる公知の半透明鏡、通常用いられ
るマジツクミラーを用いることができる。

本発明の構成要素である第二の表示体は、第一
の表示体と同様にある特定の内容を表示するもの
である。第二の表示体としては通常、美的処理さ
れた文字、図形、記号、模様などが用いられる。
例えば、本発明の装飾部材をエンブレムに適用し
た場合には、エンブレムとなる図形が第二の表示
体となる。又ネームプレートに適用した場合に
は、ネームの文字が第二の表示体となる。

第二の表示体は少なくとも部分的に透光性を有
する必要がある。透光性を有する部位が所定の表
示を行なう。従えば、光を遮る性質をもつ遮光部
材を設け、この遮光部材に窓部を開口させて形成
し、該窓部を第二の表示体としてもよい。この場
合、窓部は、光を遮る遮光部材で覆われていない
ため、透光性をもち、光を通過させ、これにより
所定の表示を行なうことができる。第二の表示体
は、遮光性の強いインク又は塗料を、透明又は半
透明のフイルムや板の面にスクリーン印刷して、
光を遮る性質をもつ遮光膜を形成すると共に、該
遮光膜に窓部を形成することによつて構成でき
る。該遮光膜の色は黒色がよい。該遮光膜の厚み
は70μとすることができる。また第二の表示体
は、例えば、メツキ、真空蒸着、スパツタリン
グ、イオンプレーテイング等により遮光膜を形成
すると共に、該遮光膜が形成されていない透光性
を有する前記窓部を形成することによつて構成で
きる。

本発明の構成要素である発光体は、該第二の表
示体の後方に設けられている。発光体は、半透光
性部材に向けて光を発するという機能をもつもの
であれば足りる。従つて公知の発光体を用いるこ
とができる。発光体は、輝度が１〜1000フートラ
ンベルトのものがよい。代表的な発光体として
は、電界発光するELパネルを用いるとよい。EL
パネルは、エレクトロルミネツセンス素子とも呼
ばれるものであり、螢光体に電場を加えると発光
するという電界発光を利用した平面発光体であ
る。ELパネルは通常、パネル状に成形した硫化
亜鉛（ZnS）、セレン化亜鉛（ZnSe）等の発光層
の両面に電極を設けて形成することができる。そ
してこのELパネルの電極に電圧を印加すると発
光層が発光する。上記のように形成したELパネ
ルの明るさは通常、照明に使用できる程の輝度は
ないが、夜間でも遠方から文字を視認できる程度
の輝度は充分ある。ELパネルは、通常１〜100フ
ートランベルトの輝度があり視認性がよいこと、
発光色の種類が多いこと、面発光のできることい
う多くの長所がある。ELパネルは、印加電圧が
通常50〜150ボルトである。そのため、車載の発
光体としてELパネルを用いる場合には、バツテ
リー電圧（12ボルト）を上げる昇圧装置を用いる
とよい。ELパネルは、分散型、薄膜型のいずれ
でもよく、又ガラス型、ホーロー型、フレキシブ
ル型を用いてもよい。ELパネルの発光色は、青
から橙色の間で自由に選べるから、装飾部材に都
合がよいようにグリーン、青、赤、黄、白、黄
白、橙黄と適宜選択する。尚ELパネルは、湿気
に弱いことがあるため、車のエンブレム等の装飾
部材に適用する場合には、防湿構造とすることが
望ましい。例えばELパネルを保護膜で防湿コー
テイングするか、又は容器にELパネルを収納し、
防湿のために透明樹脂を充填するとよい。発光体
としてはELパネルに限らず他のものを用いても
よい。例えば、装飾部材の種類によつては、発光
ダイオード、螢光ランプ等を用いてもよい。

尚上記した第一の表示体、第二の表示体、半透
光性部材、発光体は、一つの容器や枠体に収納し
て使用するとよい。

以上で本発明の装飾部材の構成の説明を終え、
次に本発明の装飾部材の代表的な使用方法につい
て説明する。

まず、昼間又は明所において第一の表示体のみ
を表示しておきたい場合には、発光体の発光を中
止し、発光体側からの光が半透光性部材を透過し
ないようにする。この場合には、装飾部材の表側
にいる視認者にとつては、第一の表示体は見るこ
とができるが、第二の表示体は見ることができな
いか、あるいはほとんど見ることができない。そ
の理由は、第一に、発光体の発光が中止されてい
るため、発光体の光が視認者に届かぬからであ
る。また第二に、視認者側である前方からの昼間
又は明所の明るい光は半透光性部材に当たると大
部分反射されてしまい、ほとんど該半透光性部材
を通過しないからである。

これに対して夜間又は暗所において第二の表示
体を表示したい場合には、発光体に通電する等し
い該発光体を発光させる。すると、発光体からの
光は、第二の表示体の透光性をもつ部位を通過
し、更に半透光性部材の内部を通過し、本発明の
装飾部材の表側にいる視認者側に至る。従つて、
装飾部材の表側にいる視認者は、第二の表示体を
見ることができる。このとき、第一の表示体は透
光性を有するため、又夜間又は暗所であるため、
視認者が装飾部材を見ると、第一の表示体は見え
なくなり又はほとんど見えなくなり、そのため視
認者にとつて第二の表示体が強調される。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明の装飾部材において
は、昼間又は暗所において発光体の発光を中止し
ておくと、視認者にとつて第一の表示体が見え
る。又、夜間又は暗所において発光体を発光させ
ると第二の表示体が強調されるため、該第二の表
示体が見えるようになる。従つて発光体の発光及
び発光中止を適宜行なえば、装飾部材の表示内容
を必要に応じて切り変えることができる。

即ち、昼間又は明所においては、発光体の発光
を中止して第一の表示体のみを表示し、夜間又は
暗所においては、発光体を発光させて第二の表示
体を表示することができる。

〔実施例〕

第１図から第４図は本発明の一実施例の装飾部
材を示す図である。第１図は縦断面図、第２図は
要部を分解して示す縦断面図である。この装飾部
材は主として、ボンネツト上の装飾体として用い
られる。本例の装飾部材は、第一の表示体１と、
この第一の表示体１の後方に設けられた半透光性
部材２と、該半透光性部材２の後方に設けられた
第二の表示体３と、該第二の表示体３の後方に設
けられた面発光を行なう発光体としてのELパネ
ル４とから構成されている。

ここで本例の第一の表示体１は、第３図に示す
ようにアルフアベツトのＡの文字の表示である。
この第一の表示体１は、第２図に示すように透明
な基体５の裏面に、黄色のアクリル系塗料を塗布
し、これにより黄色の半透明膜６を形成すること
により構成されている。

尚本例の半透明膜６の厚みは約50μである。本
例の基体５は、厚み２〜４mmで、透明なアクリル
樹脂から作製され、無色透明である。

本例の半透光性部材２は、具体的には、基体５
の裏面にアルミニウムのスパツタリング処理を行
い200Åのスパツタ膜を形成することによつて構
成されている。この半透光性部材２は、第２図に
示すＢからＡに向かう光は透過するが、逆に、Ａ
からＢに向かう光は大部分反射する機能をもつも
のである。この半透光性部材がないと、昼間遮光
部材９が見えてしまう不都合が生じる。

本例のELパネル４は図示はしないが、ITOか
らなる透明電極層と、硫化亜鉛を主体とする発光
層と、アルミニウ電極層と、上記電極層に接続さ
れたリード線とを含む構成である。このELパネ
ル４は、厚み0.8mmの有機分散タイプであり、そ
の発光色はグリーンである。このELパネル４は、
60ボルト、400Hzで、輝度は約12フートランベル
トである。

本例の第二の表示体３は、第４図に示すように
アルフアベツトのＢの文字を持つ表示であり、第
２図に示すように厚み200μのポリエステル製の
透明フイルム８の表面に、窓部１０を残して、遮
光部材９を形成することにより構成される。本例
の遮光部材９は、遮光性の強い黒色のアクリル系
塗料を厚み約70μとなるようにスクリーン印刷す
ることによつて形成した。

尚、第１図に示すように第一の表示体１、半透
光性部材２、第二の表示体３、ELパネル４はそ
れぞれ、容器状をなすABS樹脂製の枠体１１に
収納されている。

さて、昼間においては、ELパネル４への通電
を止めて該ELパネル４の発光を中止しておく。
すると、第１図に示すＣ側つまり装飾部材の表側
にいる視認者には、第一の表示体１であるＡの文
字が見える。その理由は、昼間のためＣ側が明る
いからである。この場合Ｃ側にいる視認者には、
第二の表示体３であるＢの文字は見えないか、あ
るいはほとんど見えない。その理由は、第一に、
Ｃ側からの明るい光は半透光性部材２によつてほ
とんど反射されてしまうからである。第二に、
ELパネル４は発光していないため、ELパネル４
側が暗いからである。

一方、夜間においては、ELパネル４へ通電し
て該ELパネル４をグリーンで電界発光させる。
すると、ELパネル４の光のうち遮光部材９に対
応する部位からの光は、遮光部材９にあたるため
それ以上進まない。しかしELパネル４の光のう
ち窓部１０に対応する部位からの光は、窓部１０
を通り、さらに半透光性部材２の内部を通過し、
さらに基体５を通過する。この結果、視認者が装
飾部材の表側つまりＣ側から見れば、窓部１０が
グリーンで発光してみえ、換言すれば第二の表示
体３がグリーンで発光してみえる。この場合Ａの
文字はほとんど見えない。その理由は、Ａの文字
は半透明膜６から作製されているため、又、装飾
部材の周囲は夜間で暗いためである。

発光体としてELパネル４を用いた本実施例に
おいては、夜間や暗所において第二の表示体の視
認性がよいこと、ELパネル４は面発光するため
表示面積の大きな表示体も表示可能であること、
ELパネルは消費電力が一般に極めて小さいため
全体の消費電力が他の発光体に比べて極めて小さ
いこと、ELパネル４は厚みが通常１mm程度例え
ば0.8mmとうすいため装飾部材の薄形化を図り得
ること、耐衝撃性がよいこと等といつた効果があ
るため、自動車で用いられる装飾部材、例えば、
エンブレム、トツプマーク等に好適する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示すものであり、第
１図は装飾部材の縦断面図、第２図は要部を分解
して示す縦断側面図、第３図は第一の表示体の正
面図、第４図は第二の表示体の正面図である。 図中、１は第一の表示体、２は半透光性部材、
３は第二の表示体、４はELパネル（発光体）、９
は遮光部材、１０は窓部を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 透光性を有する第一の表示体と、 該第一の表示体の後方に設けられ前方からの光
   を反射し後方からの光を透過する半透光性部材
   と、 該半透光性部材の後方に設けられた部分的に透
   光性を有する第二の表示体と、 該第二の表示体の後方に設けられた発光体とで
   構成されることを特徴とする装飾部材。 ２ 発光体は、電界発光するELパネルである特
   許請求の範囲第１項記載の装飾部材。 ３ 第一の表示体は、着色した半透明膜から構成
   されている特許請求の範囲第１項記載の装飾部
   材。 ４ 第一の表示体は、透明な基体と、該基体の面
   に形成された着色した半透明膜とから構成されて
   いる特許請求の範囲第１項記載の装飾部材。 ５ 第二の表示体は、遮光部材を形成し、遮光部
   材の形成されていない窓部に透光性をもたせるこ
   とによつて構成されている特許請求の範囲第１項
   記載の装飾部材。 ６ 特許請求の範囲第１項記載の装飾部材は、車
   両に用いられるエンブレム、トツプマーク、ネー
   ムプレート、モール、ガーニツシユのいずれかで
   ある。