JP2836394B2 - 定電圧回路 - Google Patents

定電圧回路

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、出力電圧を2段階に
切替える定電圧回路に関する。
【0002】
【従来の技術】メモリからデータを読み出す場合に必要
なセンスアンプは高精度な動作が要求されるため、定電
流を必要とする。図4はセンスアンプ(S/A)1に定
電流トランジスタTRを通して定電流を供給する場合の
概略構成を示している。定電流トランジスタTRが定電
流を流すためには、常に一定の基準電圧が必要であり、
これを定電圧回路2によって発生している。
【0003】一般的な定電圧回路2は、図5にその出力
特性を示すように、出力電圧OUTを常に一定値Vcに
保つように構成される。一例を挙げると、nチャネルの
MOSトランジスタのゲート・ドレイン間をショートし
た定電圧素子を必要段数直列に接続した定電圧回路は、
そのクランプ機能によって、電源電圧の変動によらず常
に一定の出力電圧OUTを出力し続ける。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した定電圧回路の
出力電圧の値Vcを決める場合には、次のような矛盾し
た2点を考慮する必要がある。即ち、(1)センスアン
プ1の駆動能力をできるだけ高めるためには、センスア
ンプそれ自体と定電流トランジスタTRのトランジスタ
サイズで規定される最大限の定電流を流すことが必要で
あり、このためには定電圧Vcをそれに見合う高い値に
設定する必要がある。(2)しかしながら、耐ノイズマ
ージンを充分にとるためには、定電圧Vcをむやみに高
く設定することができない(グランド線からのノイズを
拾い易くなる)。この様な理由から、従来は、上述した
2点の妥協点を探して定電圧Vcの値を決定しているた
め、センスアンプの駆動能力も耐ノイズマージンもいず
れも不十分になる欠点があった。
【0005】この発明は、センスアンプの高い駆動能力
がアドレス変化時にのみ必要であって、後は低い駆動能
力でも問題ない点に着目し、出力開始直後には高く、や
がて低い値に低下して一定値を保つ特性の定電圧を、ア
ナログ的変化をもって出力可能な定電圧回路を提供する
ことを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
この発明では、制御信号によってオン/オフするスイッ
チと、このスイッチと直列に接続されたコンデンサと、
このコンデンサと並列に接続された定電圧素子と、この
定電圧素子の出力端子と電源との間に接続されたプルア
ップ素子とを備えることを特徴としている。
【0007】
【作用】この発明の定電圧回路では、制御信号によって
オン/オフするスイッチがオフとなっている定常状態で
は、出力電圧は定電圧素子のクランプ特性によって低い
定電圧に保持される。これに対し、上記スイッチをオン
にすると、コンデンサの充電動作が開始され、やがて出
力電圧はスイッチと定電圧素子の抵抗分割比で定まる高
い定電圧に到達する。そして、スイッチをオフにすると
コンデンサは定電圧素子を通して放電するため、出力電
圧はやがて低い定電圧に復帰する。
【0008】この様な出力電圧切替型の定電圧回路を図
4の様なケースに用いると、センスアンプ1の能力を最
大に引き出す必要のあるアドレス変化時にスイッチをオ
ンにして高い定電圧を定電流トランジスタTRに印加す
ることができるため、センスアンプ1の駆動能力を高め
ることができる。この様にすると、ノイズマージンは少
なくなるが、この期間には図示せぬ出力バッファが変化
していないため、ノイズが少なく、狭いノイズマージン
でも安定したセンス動作が期待できる。そして、出力バ
ッファの変化によるグランド・バウンスがセンスアンプ
1に悪影響を与えるアドレス変化後の期間には、スイッ
チをオフにして低い定電圧を出力するため、センスアン
プ1のノイズマージンを拡大することができる。この様
にスイッチをオン/オフ制御する信号としてはアドレス
遷移検出(ATD)パルスが使用できる。
【0009】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の実施例を説
明する。図1はこの発明の基本構成図で、3は制御信号
によってオン/オフするスイッチ、Cはスイッチ3と直
列に接続されたコンデンサ、4はコンデンサCと並列に
接続された定電圧素子、5は定電圧素子4の出力端子と
電源との間に接続されたプルアップ素子である。このプ
ルアップ素子5の抵抗値は一般に高く設定される。
【0010】この様に構成された定電圧回路で、スイッ
チ3がオフの定常状態には、出力電圧OUTは定電圧素
子4のクランプ機能によって定まる低い定電圧を保持し
ている。これに対し、制御信号CTLによってスイッチ
3がオンすると、コンデンサCが充電を開始するため、
出力電圧OUTはスイッチ3及び定電圧素子4の直列合
成抵抗とコンデンサCの容量によって決定される充電時
定数で徐々に上昇する。この場合の定常値は、スイッチ
3と定電圧素子4の抵抗分割比で決定される高い定電圧
である。一方、制御信号CTLによってスイッチ3をオ
フにすると、出力電圧OUTはコンデンサCの放電に伴
い徐々に低下して、定電圧素子4のクランプ機能によっ
て決定される低い定電圧に復帰する。この場合の放電時
定数は、定電圧素子4の抵抗値とコンデンサCの容量値
によって決定される。
【0011】図2は図1の構成を具体化したこの発明の
一実施例を示す回路図である。本例の定電圧回路では、
スイッチ3としてpチャネルMOSトランジスタTR1
を用い、これをATD(アドレス遷移検出)パルスで制
御する。また定電圧素子4にはゲート・ドレイン間をシ
ョートした2段のnチャネルMOSトランジスタTR
2,TR3を用い、更にプルアップ素子5としては、ゲ
ートを接地したpチャネルMOSトランジスタTR4を
用いている。プルアップ用のトランジスタTR4は、オ
ン抵抗が極めて高くなるようにトランジスタサイズが設
定されている。これに対し、スイッチ用のトランジスタ
TR1のオン抵抗は小さく、また定電圧用のトランジス
タTR2,TR3のオン抵抗は、その直列合成値がコン
デンサCの充放電の時定数を適正にするように設定され
ている。
【0012】図3は図2の定電圧回路の動作波形図であ
る。以下、この図を参照しながら動作を説明する。スイ
ッチ用のトランジスタTR1はpチャネル型であるか
ら、ATDパルスをL(ロー)レベルに落とすとオンに
なる。このトランジスタTR1が時刻t0でオンになる
と、コンデンサCが充電を開始し、出力電圧OUTは徐
々に上昇する。このときの充電時定数はトランジスタT
R1のオン抵抗とコンデンサCの値で決定される。ま
た、充電の最終値は、トランジスタTR1,TR2,T
R3の抵抗分割比で決定される高い定電圧Vc1であ
る。
【0013】これに対し、時刻t1においてATDパル
スをH(ハイ)に戻すと、トランジスタTR1がオフす
るので、コンデンサCがトランジスタTR2,TR3を
通して放電を開始する。この場合の放電時定数は、トラ
ンジスタTR2,TR3の直列合成抵抗値とコンデンサ
Cによって決定される。また、この放電の最終値は、ト
ランジスタTR2,TR3でクランプされる低い定電圧
Vc2である。図3の例では時刻t2で放電が終了して
いる。
【0014】トランジスタTR2,TR3でクランプさ
れる定電圧Vc2は、C.T.Sahの飽和特性の式から
次のように求めることができる。即ち、トランジスタT
R4のオン抵抗が非常に高い場合、トランジスタTR3
のドレイン・ソース間電圧VDS3 、ゲート・ソース間電
圧VGS3 、スレッショルド電圧VTH3 の間には次の関係
がある(但し、KTR3 は定数である)。
【0015】
【数1】 0≒KTR3 (VGS3 −VTH32 ∴ VDS3 =VTH3 (∵ VDS3 =VGS3
【0016】同様に、トランジスタTR2については、
DS2 =VTH2 が成り立つ。この場合、スレッショルド
電圧VTH2 は基板効果によりその値が上昇してしまうた
め、Vc2は次のようになる。
【0017】
【数2】 VTH2 =VTH3 +{√(VDS3 )}/2 =VTH3 +{√(VTH3 )}/2 ∴ Vc2=VDS3 +VDS2 =2VTH3 +{√(VTH3 )}/2
【0018】この発明では、コンデンサCによる充放電
回路を付加して、出力電圧OUTをアナログ的に(緩慢
に)変化させている。この様にする利点は次の通りであ
る。即ち、図2の回路でコンデンサCを用いないとした
ら、出力電圧OUTはATD信号に同期してデジタル的
に変化する。単に、出力電圧OUTをVc1,Vc2で
切替えるのであれば、これでも良い。
【0019】ところが、この様なデジタル的な電圧変化
を導入すると、高電圧Vc1から低電圧Vc2への切替
が出力バッファの変化より遅れてしまうと、ノイズによ
る誤動作を引き起こす。逆に、高電圧Vc1から低電圧
Vc2への切替が出力バッファの変化より早すぎると、
高速動作に適さない。したがって、コンデンサCを用い
ないデジタル切替方式の場合は、切替タイミングの設定
が難しい。これに対し、この発明のように、アナログ的
に電圧変化させる場合は、切替時期のタイミング設定が
容易である。
【0020】尚、この発明は図2の実施例に限定される
ものではなく、図1の基本構成に含まれる回路形式であ
れば、使用する素子の種類や、素子数の制限はない。ま
た、実施例では、制御信号としてATD信号を用いた
が、同様の制御信号であっても構わない。さらには、セ
ンスアンプの定電流制御以外にも、定電圧を2段階に切
替える必要のある回路部分に適用することが可能であ
る。
【0021】
【発明の効果】以上述べたようにこの発明によれば、出
力開始直後には高く、やがて低い値に低下して一定値を
保つ特性の定電圧を、アナログ的変化をもって出力する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の基本構成図である。
【図2】 この発明の一実施例を示す回路図である。
【図3】 図2の動作波形図である。
【図4】 センスアンプの定電流制御系の構成図であ
る。
【図5】 従来の定電圧回路の出力特性図である。
【符号の説明】
1…センスアンプ、2…定電圧回路、3…スイッチ、4
…定電圧素子、5…プルアップ素子。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御信号によってオン/オフするスイッ
    チと、 このスイッチと直列に接続されたコンデンサと、 このコンデンサと並列に接続された定電圧素子と、 この定電圧素子の出力端子と電源との間に接続されたプ
    ルアップ素子とを備えることを特徴とする定電圧回路。
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