JP2833789B2 - 塊茎を形成する植物の形質転換法 - Google Patents

塊茎を形成する植物の形質転換法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、スポラミン・プロモーターを含む組換えプ
ラスミドで塊茎を形成する植物を形質転換する方法に関
するものである。
〔従来の技術〕
サツマイモ(Ipomoea batatas)の塊根には、他の器
官にほとんど存在しない蛋白質が多量に含まれ、その全
可溶性蛋白質の約80%を分子量20Kdをの蛋白質スポラミ
ンが占めている(Maeshima M.et al.,Phytochemistry,2
4,1899−1902(1985))。スポラミンはSDS−PAGEの解
析から、スポラミンAとスポラミンBが存在することが
知られている。スポラミンAとBに対するcDNAは、すで
に全塩基配列が明らかにされ(Hattori T.et al.,Plant
Mol.Biol.5,313−320(1985)、MurakamiS.et al.,Pla
nt Mol.Biol.7,343−355(1986))、これをもとにし
て、それぞれに対応するスポラミン核遺伝子の構造も明
らかにされている(Hattori T.,Nakamura K.,Plant Mo
l.Biol.11,417−426(1988))。
また、一般に植物由来の遺伝子のタンパク質を遺伝子
工学的手法を使い、他の植物で発現させる方法について
は、エレクトロポレーションにより行なう方法(Fromm
M.et al.,Proc Natl.Acad.Sci.USA82,5824−5828(198
5))、アグロバクテリウムを介した方法(Horsch R.B.
et al.,Science,227,1229−1231(1985))等の報告が
ある。
しかしながら、これらの方法を使って、スポラミンプ
ロモーターに所望の外来遺伝子を連結したプラスミドを
塊茎で外来遺伝子を特異的に発現した例はなく、目的の
部位でのみ発現するかどうか予測できなかった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、スポラミンプロモーター及び外来遺
伝子を含む組換えプラスミドで塊茎を形成する植物の細
胞を形質転換し、生育した塊茎を形成する植物形質転換
体の塊茎で外来遺伝子を特異的に発現させる方法を提供
することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、サツマイモの貯蔵タンパク質であるスポラ
ミンをコードする遺伝子のプロモーターに所望の遺伝子
および所望のターミネーターを連結したものを植物用発
現ベクターに組み込み組換え体プラスミドを得、該組換
えプラスミドで塊茎を形成する植物を形質転換し、前記
遺伝子を塊茎において発現させることを特徴とする塊茎
を形成する植物の形質転換方法に関する。
上記組換え体プラスミドは、スポラミンプロモーター
の下流に所望の外来遺伝子、さらにその下流に所望のタ
ーミネーターを連結して構成され、この組換え体プラス
ミドによる植物、例えば、バレイショの形質転換は該プ
ラスミドのアグロバクテリウム属に属する微生物への導
入を介して行われる。本発明の形質転換されたバレイシ
ョはその塊茎において所望の外来遺伝子が発現される。
更に本発明はバレイショでの特異的な発現が確認された
ことにより、他の塊茎植物(キクイモ、サトイモなど)
にも適用できる。また、それらの植物の塊茎において特
異的に所望の外来遺伝子を発現させる細胞を創製するこ
とができ、更にそれらの形質転換された植物細胞から植
物体を分化せしめることにより塊茎特異的発現植物体を
育種することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
サツマイモ塊根からスポラミン核遺伝子の取得はHatt
ori及びNakamura(Hattori and Nakamura,Plant Mol.Bi
ol.417(1988))の方法により行われる。
具体的には、サツマイモ塊根から調製したDNAをSau3A
で部分分解後、平均長17kbの断片とλEMBL3ベクターを
用いて、約2×106個の独立した組換え体ファージから
なる遺伝子ライブラリーを作成する。cDNAをプローブと
したプラークハイブリダイゼーションによって、スポラ
ミン遺伝子断片を含む組換え体ファージDNAを単離す
る。スポラミンゲノミッククローンについてスポラミン
遺伝子を含む領域の塩基配列を決定する。
前記の同定されたスポラミンゲノミッククローンをS1
マッピングにより転写開始点を決定し、転写開始点から
22塩基上流に典型的なTATA boxを含み、転写開始点を+
1として、+40〜−970のAlu I切断断片をプロモーター
として用いる(第1図参照)。即ち、スポラミンのプロ
モーターは、スポラミンをコードする遺伝子の5′非翻
訳領域のうち少なくとも転写開始点(+1)の上流側の
隣接塩基対(−1)、TATA Box配列を含む所望の長さDN
A鎖である。一方、サツマイモの塊根の中で発現してい
るタイプのゲノミッククローンの5′非翻訳領域におい
てクローンgSPO−Alの−90から−117とクローンgSPO−B
1(第2図参照)の−231から−259の間に28bpの相同配
列(これをP配列という)が存在する。また、クローン
gSPO−Alの−231から−254の間に2回(19bp)、クロー
ンgSPO−B1の−690付近に3回(22bp)の5′−AAATCA
(N)6TTA−3′を含む相同な繰り返し配列(これをQ
配列という)が存在する。更に、5′非翻訳領域のこれ
らのP配列及びQ配列をもたないゲノミッククローンgS
PO−X1はサツマイモの塊根中で発現していなかったので
これらの領域は塊根の中で特異的に働くのに関与してい
ることが推測されており、本発明でいうスポラミンをコ
ードする遺伝子のプロモーターは、P配列及びQ配列を
必須とするものである。
従って、スポラミンB1のプロモーターを用いる場合は
上記必須配列を含む5′非翻訳領域中のEcoR I部位から
スポラミンAlプロモーター相当領域を利用することがで
きる。(Hattori T.,Nakamura K.,Plant Mol.Biol.,11,
417−426(1988))。
本発明の組換えプラスミドは次の通り調製される。
下記に示す植物用発現ベクターを適当な制限酵素で切
断し、必要により適当なリンカーまたは、アニーリング
可能な組合せの塩基を複数個重合させる。このように加
工した植物用発現ベクターと両端を適当に加工した前記
プロモーターとベクターDNAを混合し、リガーゼを用い
て連結する。植物発現ベクターとしては、pLGVneo1103
(Hain et al.;Mol.Gen.Genet.199,161−168.(198
5))、BIN(Bevan,M(1984);Nuucleic Acids Res.12,
8711−8721.)、pGA492(G.An;Meth.Enzymol.153,292−
305.(1987))、pMON505(Horsch,R.and Klee,H.;Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA83,4428−4432.(1986))等を利
用することができる。更に、エレクトロポレーション等
の直接導入法の場合には、植物用発現ベクターとして、
pUC18(宝酒造(株))、pUC118(宝酒造(株))など
のpUC系ベクター等も使用することができる。本発明で
使用できる外来遺伝子は、これまでに単離されているあ
らゆる遺伝子を使うことができる。具体的には、グリシ
ニン遺伝子(Momma,T.et al.;FEBS Lett.188,177−122.
(1985))、チャルコン合成酵素遺伝子(Sommer,H.and
Saedler,H.;Mol.Gen.Genet.202,429−434.(198
6))、グルテリン遺伝子(Higuchi,W.and Fukazawa,
C.;Gene 55,245−253.(1987))、パタチン遺伝子(Mi
gnery,G.A.et al.;Nucl.Acids Res.12,7987−8000.(19
84))等があげられる。
本発明で使用できるターミネーターは、これまでに単
離されているいずれの植物用のターミネーターも使用す
ることができるが具体的には、ノパリン合成酵素のター
ミネーター(Depicken A.et al.,J.Mol.Appl.Gen.1,561
−573(1982))、オクトピン合成酵素のターミネータ
ー(Gielen J.,et al.,EMBO J.3,835−846(1984))等
を利用することができる。
上記、外来遺伝子を塊茎で発現させるためには、スポ
ラミンプロモーターを外来遺伝子の上流に連結すること
が必要である。
前記組換えプラスミドを塊茎を形成する植物植物体に
導入し、塊茎において所望の外来遺伝子を特異的に発現
させることができる。
前記組換えプラスミドを所望の植物細胞に導入する方
法としては、エレクトロポレーションにより行なう方法
(Fromm M.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.82,5824−582
8)、アグロバクテリウムを介した方法(Horsch R.B.et
al.,Science,227,1229−1231(1985))、マイクロイ
ンジェクションによる方法(Grossway A.et al.,Mol.Ge
n.Genet.202,179−185(1986))等があげられる。
植物細胞を植物体に再分化させる方法については、一
般に知られている。例えば、バレイショの場合、リーフ
ディスク(M.De Block,Theor.Appl.Genet.76,767−774
(1988))、チューバーディスク(Sheerman S.,et a
l.,Plant Cell Reports 7,13−16(1988))等からの再
分化が可能である。
スポラミンプロモーターを植物用発現ベクターに組み
込んだ植物発現組換えプラスミドは次の通り調製され。
スポラミンゲノミッククローンgSPO−Alについては服
部ら(Hattori T.,Nakamura K.,Plant Mol.Biol.11,417
−426(1988)によって既にその塩基配列が明らかにさ
れている。植物用発現組換えプラスミドを作成するため
には、第3図に示す通り、gSPO−Alクローンの5′非翻
訳領域のうち転写開始点を+1とし、40と−970の位置
にある制限酵素切断部位Alu Iで切断し、この断片(101
0bp)をクローニングベクターのブルースクリプトKS
(−)(ストラタジーン社製)のEcoR Vの位置にクロー
ニングし、このプラスミドからXba I−Cla I断片を得
た。この断片を植物用発現ベクターpGA492(G.An,Meth
Enzymol.153,292−305(1987))のXba I,Cla Iで切断
したものと連結し、これを植物用発現プラスミドspp−C
AT−00と命名した。
以下、実施例として、バレイショをあげるが本発明
は、これらに限定されるものでなく、芋を形成するキク
イモ、サトイモ等の植物体で同様に適用できる。
実施例 サツマイモ塊根貯蔵タンパク質スポラミンをコードす
るgSPO−Alのプロモーター領域のバレイショの塊茎での
発現の確認を次の通り行った。
1 核酸の分離 サツマイモ塊根組成からの高分子量のDNAとポリ
(A)+RNAは、服部ら(Hattori T.et al.(1985);Pla
nt Mol.Biol.5,313−320.)、村上ら(Murakami S.et a
l.(1986);Plant Mol.Biol.7,343−355.)によって報
告されているようにサツマイモ塊根(Ipomoea batatas
Lam cv.Kokei No.14)から分離した。
2 サツマイモゲノミックライブラリーの構築 1で得たサツマイモ塊根組成からの高分子量DNAをSau
3Aで部分的に消化し、アガロースゲル電気泳動で分画し
た。0.8μ(0.4μg)17−20kbのDNA断片、10μ
(1.0μg)EMBL3アーム、0.5μ10×ライゲーション
バッファー(500mMトリス塩酸(pH8.0)70mM塩化マグネ
シウム、10mMジチオスレイトール)、0.5μ 10mM ATP
(pH7.5)、0.5μ(3units)T4リガーゼ(東洋紡)を
混合し、滅菌蒸留水を加えて、全量を5μとし、室温
で1時間、4℃で一晩保温した。ゲルから17−20kbのDN
A断片を回収し、Bio−Rad社製のRDPミニカラムによって
精製し、BamH Iで消化したλEMBL3アーム(プロメガ社
製)に連結した。その後、連結されたDNAは、in vitro
でパッケージし(Maniatis T.et al.(1982);Mole−cu
lar Cloning.Cold Spring Harbor Laboratory.)、組換
えファージをE.coli系統NM539を使って増殖した。もう
一つのライブラリーはEcoR Iで消化し、脱リンとしたλ
gt10と高分子量DNAをEcoR Iで完全に消化し、電気泳動
で分画した4−6kbの断片を連結し、in vitroでパッケ
ージし、組換えファージをE.coli系統C600で増殖した。
3 ライブラリーの選択 ファージライブラリーからpIMO23(Hattori T.et a
l.,;Plant Mol.Biol.5,313−320.(1985))とpIMO336
(Murakami S.et al.,;Plant Mol.Biol.7,343−355.(1
986))のcDNA挿入部分を32P標識したものでプラークハ
イブリダイゼーション法(Maniatis T.et al.(1982);
Molecular Cloning.Cloning.Cold Spring Harbor Labor
atory.)によってスポラミンAとスポラミンBゲノミッ
ククローンを選択した。50%ホルムアミド、5×SSC、
5×デンハルト溶液(0.1%牛血清アルブミン、0.1%フ
ィコール、0.1%ポリビニルピロリドン)、1%SDS、50
mMりん酸ナトリウム(pH6.5)、250μg/ml変性牛胸腺DN
A、1mM EDTAの前処理溶液中で32P標識したプローブ(pI
MO23,pIMo336)と42℃で2〜4時間温度保温した。
その後、50%ホルムアミド、5×SSC、5×デンハル
ト溶液1%、SDS、50mMりん酸ナトリウム(pH6.5)、10
0μg/ml変性牛胸腺DNA、1mM EDTAのハイブリダイゼーシ
ョン溶液に100℃で5分間変性し、急冷した。
プローブに入れた溶液中で42℃で16時間以上保温し
た。反応が終わったら、液をとり出し、2×SSC、0.1%
SDS溶液で室温で2回洗った。さらに、2×SSC、0.1%S
DS溶液で42℃で15分間3回洗浄した。0.1×SSC、0.1%S
DSでさらに15分間2回洗浄した後、−70℃でオートラジ
オグラフィーを行った。陽クローンを精製し、分離した
DNAの最終的な同定をする前にcDNAプローブを使ってサ
ザンブロットハイブリダイゼーション(Mani−atis T.e
t al.(1982);Molecular Cloning.Cold Spring Harbor
Laboratory.)によって制限酵素切断地図を解析した。
4 DNAシークエンス解析 DNAシークエンスはジデオキシヌクレオオチド法(Mes
sing J.(1983);Meth.Enzymol.101,20−78.)にしたが
って行った。挿入部分の制限酵素切断地図断片をpUC119
(Vieira J.and Messing J.(1987);Meth.Enzymo.153
−3−11.)あるいはブルースクリプトKS(−)(スト
ラタジーン社製)にサブクローニングした。欠失クロー
ンのオーバーラッピングは、非対称的に切断されたプラ
スミドDNAのエクソナクレアーゼIII処理によって得た。
シークエンス反応のための一本鎖DNAはカナマイシン(2
5μg/ml)の存在下でM13K07ファージ(Vieira J.and Me
ssing J.(1987);Meth.Enzymol.153,3−11.)を感染
し、所望のプラスミドを含むE.coli細胞を救済すること
によって得た。
5 Slヌクレアーゼマッピング Slヌクレアーゼマッピング解析は基本的にManiatisら
の方法(Maniatis T.et al.(1982);Molecular Clonin
g.Cold Spring Harbor Labora−tory.)にしたがった。
塊根のポリ(A)+RNA2μgを80%ホルムアミドの存在
下で45℃、4時間、32P標識した一本鎖DNAとハイブリダ
イゼーションし、S1ヌクレアーゼ(BRL社製)で消化
し、8%ポリアクリルアミドシークエンシングゲルによ
って分離した。これによって転写開始点を求めた。
6 スポラミンプロモーターの分離とこれを植物発現ベ
クターに組み込んだ組換えプラスミドの構築 前記1−5において、同定し、転写開始点(+1)を
決定したgSPO−Alクローンを制限酵素Alu Iで切断した
断片(+40〜−970,1010bp)をブルースクリプトKS
(−)(ストラタジーン社製)のEcoR Vの部位にサブク
ローニングした。このプラスミドをXba I(5′)、Cla
I(3′)で切断し、スポラミンプロモーターを含む断
片を得た。この断片を植物用発現ベクターpGA492(An.
G.(1987);Meth.Enzymol.153,292−305.)のポリリン
カーのXba IとCla Iの間に挿入した。これを組換えプラ
スミドspp−CAT−00と命名した。この組換えプラスミド
は、E.coliに導入し、工業技術院微生物工業技術研究所
にspp−CAT−00として寄託されている。そして、その寄
託番号は微工研条寄第2546号(FERM BP−2546)であ
る。
7 組換えプラスミドspp−CAT−00のアグロバクテリウ
ムへの導入 組換えプラスミドspp−CAT−00をヘルバープラスミド
pRK2013をもつE.coli HB101(クローンテク社製)の存
在下でトリペアレンタル接合によってAgrobacterium t
umefaciens LBA 4404クローンテク社製)に導入した。
組換えプラスミドspp−CAT−00を持つE.coli HB101、ヘ
ルパープラスミドpRK2013を持つE.coli HB101と腫瘍形
成遺伝子が除去された改変非組換えプラスミドpAL4404
を持つA. tumefaciens LBA 4404の培養液をそれぞれ等量
ずつ混合し、抗生物質の入っていない培地上で28℃に一
晩静置した後、リファンピシリン(シグマ社製)(100
μg/ml)とテトラサイクリン(12.5μg/ml)とを含む培
地上にまき、spp−CAT−00を持つA. tumefaciensを選択
した。
8 バレイショ細胞への導入及び再分化 スポラミンプロモーターを植物用発現ベクターに組み
込んだ組換えプラスミドのバレイショへの導入は、チュ
ーバーディスク法(Fords B.G.et al.(1985);Nucl.Ac
ids Res.13−7327−7339.)を用いた。バレイショ(品
種 農林一号)の塊茎の皮をむき、数滴のツウィーン20
を含む1%次亜鉛素酸ソーダ溶液で5分間殺菌し、殺菌
蒸留水で3〜4回洗った。この塊茎あるいは無菌的に培
養した植物体のマイクロチューバーから殺菌したコルク
ボーラーで約1cmの円柱を打ち抜き、2−3mmの厚さのデ
ィスクに切り、7で作成したspp−CAT−00を持つA. tume
faciensの培養液中に浸した。数十秒浸した後、バレイ
ショカルスから誘導した懸濁培養液1mlをフィーダーと
して用いたMS修正培地(2%ショ糖、インドール酢酸0.
1μg/ml、ゼアチン1μg/ml)上に48時間置床した後、
カナマイシン(100μg/ml)とクラフォラン(500μg/m
l)(ヘキスト社製)を含むMS修正培地(ホルモンは上
と同じ)上に置いて、25℃(16時間明期、8時間暗期)
で培養した。3〜4週間後、ディスク表面からカルスが
形成され、シュートが誘導された。また、しばしばカル
スを経ないで直接シュートを形成するものもあった。こ
のシュートを切り取り、ホルモンを含まないMS培地(抗
生物質は上と同じ)で培養した。1〜2週間後に発根し
てきた植物体をピートモス:パーライト:パーミキュラ
イト(4:3:2)混合土のはいったビニールポット(直径1
0cm)に移植して人工気象室で育成した。
9 上記8の工程で得た植物体への遺伝子の導入とスポ
ラミンプロモーターの塊茎特異的な発現の確認 (1) DNAの解析 ポットに移植1〜2カ月後の形質転換バレイショ(T1
〜T5)の頂葉から4〜5番目の葉を採取し、Dellaporta
らの方法(Dellaporta S.L.et al.(1983);Plant Mol.
Biol.1,19−21.)に従ってTotal DNAを抽出した。10μ
gのDNAをHind IIIで完全に消化し、サザンブロトハイ
ブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション
には、32P標識したスポラミンAlプロモーター(EcoR I
−Sph I断片、990bp)をプローブとして行った。この結
果、第4図に示す通り、スポラミンAlプロモーターが1
コピー〜10コピー核DNAに組み込まれていることを確認
した。
(2) CAT検定 クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ
(CAT)活性は、基本的にGormanら(Gorman C.M.et al.
(1982);Mol.Cell.Biol.2,1044−1051.)によって述べ
られたように測定した。形質転換バレイショ(T1,T3,T
5)の植物組織(約500mg)に1.5倍容の抽出バッファー
(0.25Mトリス塩酸(pH7.5)、17%ショ糖、10mM EDT
A、1%システイン塩酸、1%アスコルビン酸)を加え
乳棒と乳鉢を用いて磨砕した。以上の操作は低温(4
℃)で行った。磨砕液を4℃で16,000rpmで7分間遠心
して得られた上清(粗抽出液)の一部を用いてタンパク
質含量とネオマイシンホスフォトランスフェラーゼの活
性を定量した。タンパク質定量は5%TCAで沈殿させた
後、Lowryらの方法(Lowry O.H.et al.(1951);J.Bio
l.chem.193,265−275.)に従って行った。CAT活性の測
定には、CAT阻害物質を不活性化するために、粗抽出液
を65℃3分間加熱処理し、再度16,000rpmで7分間遠心
して得た上清(CAT抽出液)をもちいた。CAT活性の測定
は、40μgタンパク質に相当するCAT抽出液にアセチルC
oA(終濃度2mM)と0.025μCiの14Cクロラムフェニコー
ル(54mCi/mmol)を加えて全量を45μとし、37℃で45
分間反応させた。氷冷後0.2mlの酢酸エチルで2回抽出
し、酢酸エチル層を乾燥後10μの酢酸エチルに再度溶
解しTLCプレートにスポットし、クロロホルム:メタノ
ール(94:6)で展開した後、プレートを乾燥させオート
ラジオ グラフィーを行った。この結果、第5図に示す
ようにバレイショ塊茎(T)のみでCAT活性が検出さ
れ、葉(L)、葉柄(P)、茎(S)、根(R)、スト
ロン基部(St)では検出なかった。
(3) NPT II検定 ネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼII(NPT
II)活性は、McDonnellら(McDonnell R.E.et al.(198
7);Plant Mol.Biol.Rep.5,380−386.)によって述べら
れたように測定した。15μのアッセイ混合液{5×反
応液(335mMトリス、210mM塩化マグネシウム、2M塩化ア
ンモニウム;1Mマレイン酸でpH7.1に調製する)220μ
、10mMATP、1μ、22mMネオマイシン1.4μ、1Mフ
ッカナトリウム10μ、γ−[32P]−ATPを3μCi加え
て全量を1mlとする}と15μgタンパク質を含む粗抽出
液を氷中で混合し、37℃で30分間イン キュベーション
した。100mMりん酸バッファー(pH7.5)、20mM ATPを前
処理したP81ペーパー上に20μスポットした。乾燥し
た後、10mMりん酸バンファー(pH7.5)中、80℃で30分
間(1回)、室温で15分間(3回)フィルターを洗い、
オートラジオグラフィーを行った。この結果、第5図に
示すように形質転換バレイショの葉(L)、葉柄
(P)、茎(S)、根(R)、ストロン基部(St)、塊
茎(T)のいずれにおいてもNPT II活性が検出された。
これらの結果からスポラミンプロモーターはバレイショ
の塊茎のみで特異的に働くものと考えた。
〔発明の効果〕
本発明の方法により、バレイショの塊茎において、の
み所望の外来遺伝子を発現させることができる。この方
法により、バレイショの品質、栄養価を高めることがで
き、バレイショの農産物資源としてしの付価の値を高め
ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、gSPO−Al遺伝子の全塩基配列とアミノ酸配
列、第2図は、gSPO−Bl遺伝子の全塩基配列とアミノ酸
配列、第3図は、スプラミンプロモーターを植物用発現
ベクターに組み込んだ組換えプラスミドの構築図、第4
図は、バレイショ形質転換体のサザンブロット解析を示
す図、第5図は、バレイショ形質転換体のCAT検定
(a)とNPT II検定(b)を示す図である。 G:グリシン、A:アラニン、V:バリン、L:イソロイシン、
S:セリン、T:スレオニン、D:アスパラギン酸、E:グルタ
ミン酸、N:アスパラギン、Q:グルタミン、K:リジン、R:
アルギニン、C:システィン、M:メチオニン、F:フェニル
アラニン、Y:チロシン、W:トリプトファン、H:ヒスチジ
ン、P:プロリン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 Plant Mol.Biol.,v ol.11(1988),p.417−426 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A01H 1/00 A01H 5/00 JICSTファイル(JOIS) BIOSIS(DIALOG)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】サツマイモのスポラミンをコードする遺伝
    子のプロモーターに所望の遺伝子および所望のターミネ
    ーターを連結したものを植物用発現ベクターに組み込み
    組換え体プラスミドを得、該組換え体プラスミドで塊茎
    を形成する植物を形質転換し、前記遺伝子を塊茎におい
    て発現させることを特徴とする塊茎を形成する植物の形
    質転換方法。
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