JP2831483B2 - 車体振動低減装置 - Google Patents
車体振動低減装置Info
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Description
し、特に、複数の気筒を有するエンジンのアイドリング
作動時や低負荷作動時において各気筒の燃焼ばらつきに
起因して発生するエンジンのいわゆる0.5次振動を低
減し、トラック等の車両におけるアイドリング時等の乗
り心地性を改善した車体振動低減装置に関するものであ
る。
筒を有する例えばディーゼルエンジンでは、特にアイド
リング作動時に、各気筒の燃焼ばらつきに起因して発生
するいわゆる0.5次振動の影響が顕著になる。従来の
技術では、このような0.5次振動を低減させる手段は
特別に提案されていない。また類似した技術としては、
先に本出願人が提案したエンジンのトルク制御装置があ
る(特開昭第63−212723号公報)。このトルク
制御装置は、運転時の燃焼圧力変動等に生じるトルク変
動を抑制し、これによりシリンダブロックの振動を低減
するようにしたものである。
技術ではトラック等の車両に搭載されたディーゼルエン
ジン等のアイドリング作動時に顕著に現れる0.5次振
動を低減させる装置は存在しない。一般的に、複数の気
筒を備えたエンジンの回転速度の波形特性は、気筒間で
燃焼状態のばらつきがある場合にはクランク角720°
に関して気筒数の数に等しい数の変動ピークを有する波
形となり、気筒間で燃焼状態のばらつきがない場合には
同じ負荷状態において前記変動ピークがなくなり、ほぼ
同じ高さの波形となる。ところで、燃焼状態を決める要
因の1つである燃料の供給量は、すべての気筒に関し常
に同じ量が供給されるわけではない。例えばガソリンエ
ンジンでは、気化器などでインテークマニホールドの形
状によって特定の気筒の燃料が少なくなることがあり、
またインジェクションで燃料を分配する場合においても
インジェクタの初期特性や経時変化に応じて燃料の流量
特性にばらつきが生じ、特定の気筒の燃料が少なくなる
ことがある。またディーゼルエンジンでも、噴射ポンプ
とインジェクタの流量特性にばらつきが生じるため、特
定気筒の燃料が少なくなることがある。このように複数
の気筒を有するエンジンでは気筒の燃料供給量がばらつ
くと気筒の間で燃焼状態のばらつきが発生し、これによ
って0.5次振動が発生する。具体的には、特定気筒の
燃焼が常に強かったりあるいは弱かったりすることによ
ってエンジンのトルクがばらつき、エンジンが車軸回り
のロール方向に加振される。例えば4気筒エンジンにお
いて、その回転速度が750r.p.m であるとすると、加
振周期は160 ms となり、その周波数は6.25Hzと
なる。この周波数はエンジンのロール固有値に近い振動
周波数となるので、エンジンはロール方向に共振する。
またFR車である場合には、エンジンだけではなく車体
までロール方向に共振する。このようにして、0.5次
振動が発生する。かかる0.5次振動はエンジンのアイ
ドリング作動時に乗員にとって特に顕著に感じられ、乗
員に対し非常な不快感を与え、車両の乗り心地を最悪な
ものとする。
ごとの燃料供給量のばらつきをなくせば、0.5次振動
をなくすことができ、乗り心地性を良くすることができ
る。例えばガソリンエンジンでは電子制御を用いて気筒
別に噴射量を調整する制御を行うことによりある程度
0.5次振動をなくすことができる。しかしながら、デ
ィーゼルエンジンでは電子制御が困難であり、従来、燃
料の気筒ごとの燃料供給量のばらつきの調整は、噴射ポ
ンプとインジェクタを組み合わせてその流量特性を調
べ、組み合わせを変更して再調整するという作業を繰り
返すことによって行っていた。このように燃料供給量の
ばらつきをなくすことにより0.5次振動をなくすとい
う装置構成は、効率が悪いと共に0.5次振動を有効に
低減させることができないという欠点を有していた。
ジンのアイドリング作動時や低負荷時において0.5次
振動そのものを直接抑制し、0.5次振動を低減するこ
とができる車体振動低減装置を提供することにある。
振動低減装置は、複数の気筒を備えるエンジンに適用さ
れ、これらの気筒の間の燃焼状態のばらつきに起因して
前記エンジンに生じる振動を低減する車体振動低減装置
であって、前記気筒のそれぞれの燃焼状態を別々に検出
し、これらの検出信号により前記振動の周期に対応する
周期を有する燃焼ばらつき信号を生成する燃焼ばらつき
検出手段と、この燃焼ばらつき検出手段が出力する前記
燃焼ばらつき信号により前記振動を打ち消す特性を有す
る制御用周期波信号を生成する制御信号発生手段と、前
記エンジンの出力軸と動力伝達機構を介して接続され且
つ前記制御用周期波信号を供給されこれに基づき負荷ト
ルクを発生する補機とから構成される。本発明に係る第
2の車体振動低減装置は、前記第1の装置構成におい
て、前記燃焼ばらつき検出手段が、エンジン回転速度検
出手段と燃焼ばらつき演算手段とを含み、エンジン回転
速度検出手段は各気筒の燃焼の強さに比例して変化する
回転速度信号を出力し、前記燃焼ばらつき演算手段は前
記回転速度信号から各気筒の燃焼の強さに比例する燃焼
ばらつき信号を出力するように構成される。本発明に係
る第3の車体振動低減装置は、前記第1の装置構成にお
いて、前記燃焼ばらつき検出手段が、前記気筒ごとのエ
ンジン回転加速度を検出する手段によって構成される。
本発明に係る第4の車体振動低減装置は、前記第1〜第
3のいずれか1つの装置構成において、前記制御信号発
生手段が、前記周期波信号の位相を調整する手段と、前
記周期波信号の振幅を調整する手段を備え、これらの各
手段により前記周期波信号が前記振動の波形特性に対し
て逆の特性を有する波形となるように変化させるように
構成される。本発明に係る第5の車体振動低減装置は、
前記第4の装置構成において、前記位相調整手段が最初
に調整動作を行い、次に前記振幅調整手段が調整動作を
行うように構成される。本発明に係る第6の車体振動低
減装置は、前記第4の装置構成において、前記位相調整
手段で得られた位相と前記振幅調整手段で得られた振幅
は、前記制御信号発生手段に備えられる記憶手段に記憶
され、通常の振動低減制御ではこの記憶された値を用い
て前記周期波信号を生成し、前記各気筒の燃焼ばらつき
が予め設定された規定値以上となったときには前記制御
信号発生手段が位相と振幅について再調整を行うように
構成される。本発明に係る第7の車体振動低減装置は、
前記第1〜第6のいずれか1つの装置構成において、前
記制御用周期波信号が正弦波であることを特徴とする。
本発明に係る第8の車体振動低減装置は、前記第1〜第
6のいずれか1つの装置構成において、前記制御用周期
波信号がデューティ50%の方形波であることを特徴と
する。本発明に係る第9の車体振動低減装置は、前記第
1〜第8のいずれか1つの装置構成において、前記補機
がオルタネータであることを特徴とする。本発明に係る
第10の車体振動低減装置は、前記第9の装置構成にお
いて、前記オルタネータの界磁電流を制御することを特
徴とする。本発明に係る第11の車体振動低減装置は、
前記第9の装置構成において、前記オルタネータの負荷
電流を制御することを特徴とする。本発明に係る第12
の車体振動低減装置は、複数の気筒を備えるエンジンに
適用され、これらの気筒の間の燃焼状態のばらつきに起
因して前記エンジンに生じる振動を低減する車体振動低
減装置であって、前記振動の周期に対応する周期的変動
を含む燃焼ばらつき信号を検出する燃焼ばらつき検出手
段と、この燃焼ばらつき検出手段が出力する前記燃焼ば
らつき信号により前記振動に対応する波形を取出す振動
波形取出し手段と、前記振動波形取出し手段の出力信号
を用いて前記振動を打ち消す特性を有する制御用周期波
信号を生成する制御信号発生手段と、前記エンジンの出
力軸と動力伝達機構を介して接続され且つ前記制御用周
期波信号を供給されこれに基づき負荷トルクを発生する
補機とから構成される。本発明に係る第13の車体振動
低減装置は、前記第12の装置構成において、前記燃焼
ばらつき検出手段が前記エンジンで発生する前記振動の
影響を受ける車両構成部分であり、前記振動波形取出し
手段がフィルタ手段であることを特徴とする。
減装置では、燃焼ばらつき検出手段で例えばエンジン回
転速度の変動を利用して気筒ごとの燃焼状態を検出し、
そのばらつきを求め、次に制御信号発生手段は得られた
燃焼ばらつき信号を用いて0.5次振動の周期を求め、
燃焼ばらつきを監視しながら位相と振幅を決定し最終的
に0.5次振動を打ち消すための正弦波等の制御用周期
波信号を発生し、この周期波信号で補機に負荷トルクを
発生させ、エンジンの0.5次振動を抑制する。前記第
12及び第13の本発明による車体振動低減装置では、
燃焼ばらつき検出手段で0.5次振動の影響を直接受け
る車両の部位から0.5次振動を含む振動要素を検出
し、振動波形取出し手段で0.5次振動成分の波形を取
出し、この波形に基づいて制御信号発生手段で0.5次
振動を打ち消すための制御用周期波信号を発生し、この
周期波信号で補機に負荷トルクを発生させ、エンジンの
0.5次振動を抑制する。
て説明する。
成を原理的に示すブロック図、図2は同車体振動低減装
置の構成を具体的に示す図である。
複数の気筒を有するエンジン1のクランク角にそれぞれ
同期する、燃焼トルクが最大となる角度を挾む±720
°/4N(Nは気筒数を意味する)の角度以内の2つの
区間のそれぞれに対応する区間パルス信号S1、及び気
筒判別信号S2を発生するクランク角信号発生装置2
と、2つの区間パルスによってエンジン1の回転速度を
検出する回転速度検出装置3と、回転速度検出装置3が
出力する回転速度に係る信号S3の変化に基づいて複数
の気筒の各気筒ごとの燃焼ばらつき状態を判定する演算
処理装置4と、演算処理装置4が前記の燃焼状態の判定
に基づいて作成した制御信号S4に同期させてエンジン
1のクランク軸に負荷を発生させる負荷トルク発生装置
5とから構成される。前記エンジン1はガソリンエンジ
ンやディーゼルエンジンなど任意な形式のエンジンであ
る。エンジン1の気筒数も任意であり、例えば4気筒で
あるときには前記2つの区間パルスは最大燃焼トルクを
発生する角度の±45°以内に発生することになる。演
算処理装置4はバックアップメモリ6を備えており、こ
のメモリには予め用意された各種データや演算処理装置
4で算出された所定のデータが記憶される。負荷トルク
発生装置5としては、エンジン1のクランク軸と動力伝
達機構で連結された各種補機のいずれか1つが使用さ
れ、この実施例では、負荷トルク制御装置5として制御
性の良いオルタネータを用いて説明する。オルタネータ
を負荷トルク制御する場合には、界磁電流制御方式と発
電電流制御方式を用いることができるが、ここでは界磁
電流制御方式で説明する。なお界磁コイルのインダクタ
ンスが大きいことに起因する応答性の低下は、印加され
る電圧を高くすることにより解決する。図2は負荷トル
ク発生装置5としてオルタネータ5Aを使用した車体振
動低減装置の具体的構成の例を示す。
たクランクプーリ、11はクランクプーリ10とベルト
12で連結されたプーリであり、プーリ11の回転中心
はオルタネータ5Aのロータコイル13回転中心と軸1
4で連結されている。クランク軸の回転はクランク角信
号発生装置であるクランク角センサ2aで検出され、そ
の検出信号は演算処理装置4に入力される。オルタネー
タ13で発生した交流電流は整流器15で整流され、バ
ッテリ16とICレギュレータ17とパワー部18に供
給される。ICレギュレータ17は入力電圧を調整して
界磁巻線19に所要の界磁電流を供給する。パワー部1
8は演算処理装置4で算出された前記制御信号S4を所
要のレベルまで昇圧し、これを界磁巻線19に供給す
る。このようにして、オルタネータ5Aは負荷トルク発
生装置として作用する。
装置の動作を図3〜図5を参照して説明する。エンジン
1の各気筒の燃料供給量にばらつきが存在すると各気筒
の燃焼状態にばらつきが生じ、このため、エンジン1の
トルクがばらつくため、エンジン回転速度も各気筒の燃
焼状態のばらつきに応じて変動する。これをエンジン回
転速度(Ne)の変化で示すと図3(A)のようにな
る。この図示例ではエンジン1は4気筒であると仮定し
ている。図3(A)で明らかなように、エンジン回転速
度の変化ではクランク角720°の範囲において気筒数
に等しい4つの変動ピークを有する波形となっている。
このエンジン回転速度波形において、各気筒ごとに回転
速度の極大値NTnと極小値NBnとが定義される。ここ
で、nは1〜4の整数である。このエンジン回転速度の
変化において、極大値NTnと極小値NBnを用いて気筒ご
との変動係数αn =NTn−NBn(n=1〜4)を計算す
ると図3(B)の如くなる。この変動係数αn の変化に
基づけば図3(C)に示す如き周期的な加振力がエンジ
ン1において発生していることを想定することができ、
更にこの周期的加振力によって図3(D)に示されるよ
うにエンジン1における0.5次振動成分を正弦波とし
て想定することができる。実際上図3(B)のαn によ
って知ることのできるエンジン1における0.5次振動
の正確な情報は周期のみであり、位相や振幅について
は、正確に知ることはできない。以上のように、エンジ
ン1から検出されるエンジン回転速度S3に基づいて変
動係数αn を計算すると、0.5次振動を予想すること
ができる。
するための制御手順を図4及び図5のフローチャートに
基づき説明する。最初のステップ31では、アイドルス
イッチがオン状態であるか否かが判定され、エンジン1
がアイドリング状態でないときには処理2が実行され
(ステップ33)、アイドリング状態であるときにはエ
ンジン1の冷却水の温度が80℃以上であるか否かが判
定される(ステップ32)。ステップ33の処理2の内
容はステップ36で実行される処理内容と同じである。
すなわち、アイドリング状態でないときにはバックアッ
プメモリ6に予め用意されたALT(オルタネート)制
御値によってALT制御が行われる。ステップ32にお
いて、水温が80℃より低いときにはステップ33に移
行してALT制御を行い、水温が80℃以上であるとき
にはステップ34に移って処理1を実行する。判断ステ
ップ31,32によれば、アイドリング状態であり且つ
暖気運転後であるという条件の下で本発明に係る振動低
減制御が行われる。処理1では、前記αn (n=1〜
4)を検出し、αn のばらつきを算出する。処理1に関
する詳細な内容は図5のフローチャートに示される。
ごとにその燃焼ばらつき状態をエンジン回転速度の変化
に基づいて検出するため、前述した通り変動係数αn を
算出する。前記2つの区間パルスのパルス幅を計測して
エンジン回転速度を求め、回転速度変化の高い値である
ピーク側をNT とし、低い側をNB とする。図5に示す
ように、ステップ51では4つの処理が実行される。す
なわち、エンジン回転速度NTnとNBnが読込まれ、変動
係数αn =NTn−NBnが計算され、各気筒のナンバー
(No.)を気筒判別信号S2を用いて判別し、気筒ご
とに求めたαn をαテーブルに収納し記憶する。このよ
うにして、各気筒についての変動係数α n が求められ
る。次のステップ52では4つの気筒についてステップ
51が実行された否かを判断し、更に次のステップ53
では規定回数分、変動係数αn が求められた否かを判定
する。この規定回数としては前記図3(A)のエンジン
回転速度において例えば5周期が設定され、この結果ス
テップ51〜53により当該5周期分における4つの気
筒の変動係数(全部で20個の変動係数データ)を算出
し、バックアップメモリ6のαテーブルに記憶する。次
に、20個の前記変動係数αn をαテーブルが読み出し
て、気筒ごとの平均値、すなわち、
テップ55では、次式、
を計算する。このようにしてαn に関する気筒ごとのば
らつきσを制御指標として0.5次振動低減に関する以
下の制御が実行される。
のばらつきσが求められると、次にはこのσが規定値x
よりも大きいか否かが判定される(ステップ35)。こ
の規定値xは負荷の状態に対応して決められた値であ
る。ばらつきσが規定値xよりも小さいときにはステッ
プ36で処理2が実行され、規定値xよりも大きいとき
にはステップ37〜44が実行される。ステップ36で
は0.5次振動が抑制されているのでバックアップメモ
リ6に入っているALT制御値データを用いてALT制
御を実行・継続する。一連のステップ37〜44は、
0.5次振動が大きく発生しているのでこれを低減する
調整制御を実行するためのステップを示している。
示された制御信号(負荷トルクはこの信号に対応する)
の波形を参照して、振動低減制御の手順について説明す
る。前述した通り変動係数αn が算出されると、エンジ
ン1で発生する0.5次振動の周期を知ることができ
る。そこで、演算処理装置4はこの周期情報を用いて当
該周期を有する正弦波を制御信号S4として出力しオル
タネータ5Aに与える(図3(E)の上段に示す波
形)。調整前の波形では周期は正しく与えられている
が、振幅と位相は適当に与えられている。但し、振幅は
できるだけ小さい振幅として与えられる。次に先ず制御
信号S4の位相θを調整する(ステップ37〜39)。
位相の調整では、先ず位相θを所定量ずらし、処理1に
よりそのときのαn のばらつきを求めて記憶し(ステッ
プ38)、かかる操作を、位相を前記所定量づつずらし
ながら行い、1周期分行う。そして記憶したαn の複数
のばらつきの中において、ばらつきが最も小さい値とな
る箇所の位相を最適な位相θとしてバックアップメモリ
6に最終的に記憶する(後述するステップ43におい
て)。ばらつきの最小値は、ステップ39による判定に
よって得ることができる。こうして得られた位相調整後
の制御信号の波形を、図3(E)の中段に示す。次に、
制御信号の振幅Aを調整する(ステップ40〜42)。
振幅の調整では、最初振幅を小さい値に設定しておき、
振幅を所定量づつ増していく(ステップ40)。振幅を
増す度にステップ41で前記処理1を実行し、αn のば
らつきを計算する。そして得られたαn がそれ以前に求
めたすべてのばらつきに比較して最小値であるか否かを
判定する(ステップ42)。以上の操作をステップ42
で最小値が求められるまで繰返し行う。振幅を次第に大
きくしていくと、ばらつきは段々小さくなるが、その変
化において限界の振幅になった時、その時の振幅Aを最
適値として、バックアップメモリ6の中に最終的に記憶
する(後述するステップ43において)。こうして得ら
れた振幅調整後の制御信号の波形を図3(E)の下段に
示す。
記位相θと振幅Aはステップ43においてALT制御値
としてバックアップメモリ6に記憶される。なお記憶時
期はこれに限定されず、実際上どの段階で記憶してもか
まわない。またステップ43では、最終的な制御信号の
波形が得られた時の振幅調整での最終的な最小値のばら
つきσを前記規定値xとして設定・記憶する。前記ステ
ップ35で明らかなように、この規定値xによって今後
の経時変化で制御信号が不適当になったか否かを判定す
るのに使用する。ステップ44では、ステップ36と同
様に処理2が実行され、バックアップメモリ6に記憶さ
れたALT制御値θとAを用いて制御信号S4を出力さ
せ、オルタネータ5Aに負荷トルクを発生させ、エンジ
ン1で発生する0.5次振動を低減する。図3(E)の
下段に示された最終的な制御信号すなわち調整終了後の
負荷トルクの波形は、図3(D)で示された0.5次振
動の波形に対して完全に逆の波形となっているので、
0.5次振動はほとんど打ち消され、図3(F)に示す
ように調整後の変動係数αn はほぼ一定となる。
戻り、処理1が実行され、αn のばらつきをチェック
し、ばらつきが規定値x(=σ)に対し例えば10%増
加している場合にはステップ37〜44を実行して再調
整を行う。すなわち、経時変化に対し学習制御を行う。
ステップ34の処理1で得られたばらつきが規定値xに
対し所定条件を満たしているときには前記調整によって
得られバックアップメモリ6に記憶されたALT制御値
を用いて制御信号を発生し、オルタネータ5Aに与え、
振動低減の制御を行う。
である。図6の(A),(B),(C),(D),
(F)は前記図3の(A)〜(D),(F)とそれぞれ
同じである。この実施例で異なる点は図3の(E)に示
されるように制御信号としてデューティ50%の方形波
を用いる点である。この方形波は周期がエンジンサイク
ルの1サイクルとし、位相と振幅の調整に仕方は前記実
施例において正弦波で説明した場合と同じである。振幅
の調整においてその最大値を制限された場合には、この
方形波によれば0.5次振動が強いため振動抑制効果が
高くなるという利点を有する。
0.5次振動をエンジン回転速度によって検知し、周期
的信号を利用して逆位相の0.5次振動波形を制御信号
として生成し、これに対応する負荷トルクを補機で発生
させ、0.5次振動を低減するように構成される。
るためのフローチャートを示す。この実施例による振動
低減制御では、制御の手順が簡易化されるという特徴を
有している。図7に示される処理フローは720°/N
(Nは気筒数)ごとに実行される。図7においてステッ
プ61,62,63は図5で説明したステップ51,5
2,53の内容とそれぞれ同じである。ステップ62と
63において条件が満たされたとき、すなわち規定回数
につき全気筒の変動係数αn を求めた後ステップ64に
移行する。ステップ64ではその時点で既に振動低減制
御が行われているか否かを調べ、制御中であればステッ
プ68で本制御の前後の回転速度変化を調べ、ステップ
69でその制御の効果が不十分であると判定したときに
は、後述する制御信号のパルス幅PW を、
テップ64で制御中でないと判定されたときには、各気
筒ごとの回転速度の変動係数αnをバックアップメモリ
6のαテーブルから規定回数分取出し、その平均値を各
気筒ごと算出する(ステップ65)。ステップ66と6
7では、気筒ごとの回転速度変化分の平均値に基づき燃
焼の弱い気筒、あるいは燃焼の強い気筒の有無を調べ
る。その結果燃焼の弱い気筒に存在すればステップ70
で後述する制御タイミングt1又はt2を設定し、一
方、燃焼が強い気筒が存在すればステップ71で制御タ
イミングt3を設定し、これらのタイミングでオルタネ
ータ5Aに対しパルス幅PW の制御信号を出力する。
れ、エンジン回転速度の変化と前記ステップ70又は7
1で出力される制御信号のタイミングを対比して示した
ものである。図8(A)は、燃焼が弱いと判定された気
筒が存在するときに、その気筒の爆発上死点からエンジ
ンロール固有値の1/2周期に相当する時間t1後に、
負荷トルクの中心が来るように制御を行う場合である。
この制御量(パルス幅PW )は燃焼の落ち込み量に応じ
て変えるが、この落ち込みはステップ65で平均値を基
に検出したものであるから、たまに燃焼の落ち込みがあ
っても、平均的に落ち込んでいれば同じ制御量で制御す
ることになる。これは、エンジンがロール方向に共振し
ているときには、常に同じように負荷を与えた方が制御
効果が大きいからであり、このタイミングで制御を行う
とエンジン1は、一度大きく振動しても、元の位置に戻
ってくるところで逆の方向に力が働くため、振動が抑制
される。
と判定された場合に、その気筒から360°後に相当す
る時間t2後に、気筒の爆発トルクを弱める方向に負荷
トルクを発生させ、0.5次振動を1次振動に変化させ
る場合である。この場合には振動周期が早くなるので、
振動の振れ幅が小さくなり、更に共振していたものも共
振しなくなる。この原理からすると、エンジン1の気筒
数が4気筒以上の場合には、360°に拘らず振動次数
を高めるように加振するなら、何度でも良いが、負荷ト
ルクの発生頻度はなるべく少ない方が、エンジンの負荷
が小さくてすむので、好ましい。制御量は落ち込みの平
均値に応じて定める点は前記の図8(A)の制御方法と
同じである。
定された場合の制御を示す。このときの制御タイミング
t3は、当該気筒の爆発に合わせて負荷トルクを発生す
るように定められ、これによって強く燃焼している気筒
の爆発力を直接弱めて0.5次振動を抑制する。
ごとに検出したエンジン回転速度型その変動係数αn を
求めて行ったが、p°回転する時間をTとしたときαn
/Tなる加速度を見て燃焼状態を調べることもできる。
しかし、本実施例では、アイドリング状態のような速度
変化のない場合の振動を問題としているから、T=一定
としてもαn によって燃焼状態を見ても効果に変りはな
い。
するときに、図8(A)の方法で制御したときのエンジ
ン回転速度、エンジン振動、フロア振動、回転速度変動
値、制御信号(負荷トルク)の実測値を示すものであ
る。エンジン回転速度とフロア振動に付いては、本発明
による制御を実施しない場合を実線、行った場合を破線
で示している。この例から明らかなようにフロア振動が
大幅に抑制されている。
図9に基づいて説明された実施例では、エンジン1にお
いて発生する0.5次振動の発生パターンをエンジンの
回転速度の変化から検知し、その発生パターンに応じた
タイミングで当該振動をキャンセルするためのトルクを
負荷トルク発生装置において発生させるように構成され
ている。
他の検出方法を説明する。前記の各実施例ではエンジン
回転速度の変化を用いて0.5次振動についての情報を
得るように構成した。0.5次振動については図10及
び図11に示すようにエンジン1及び車体71における
0.5次成分を含む各部位から取出すことが可能であ
る。図10中4つの72は車輪を示す。図10におい
て、2つの波形を示すD1は、既に説明したエンジン回
転速度の変動波形(上段)を用いて演算処理によりO.
5次振動の波形73を取出すことを示している。D2は
筒内圧力センサ74を用いて筒内圧力の気筒ごとの平均
を表す波形75を求め、更に演算処理を施すことにより
0.5次振動を取出すことを示している。D3はエンジ
ン1に設けられたノックセンサ等の振動センサ76を用
いてエンジン振動77を検出し、更にフィルタを用いて
0.5次振動を取出すことを示している。D4はエンジ
ン1に設けられたマウント78(荷重センサが内蔵され
る)や車体71に取り付けられた車高センサ等の振動セ
ンサ79を用いてマウント振動又はフロア振動80を検
出し、これにフィルタを用いて、0.5次振動を取出す
ことを示している。前記のように前記の各部位はエンジ
ン1で発生する0.5次振動の影響を受け、その成分を
含んでいるため、これらにより、当該振動に係る情報を
検出し、0.5次振動成分を取出すことができる。
他の例を示している。D5は前記オルタネータ5Aの発
電電流18の波形を利用し、フィルタを用いて0.5次
振動を取出すようにしたものである。オルタネータ5A
の駆動軸はエンジン1のクランク軸に連結されているた
め、その発電電流の中には0,5次振動の成分が含まれ
ている。従ってオルタネータの発電電流を用いれば0.
5次振動を取出すことができる。同様に、D6に示すよ
うにバッテリ82の端子はオルタネータ5Aの出力端子
と接続されているために、バッテリ端子の電圧変動83
を用いても0.5次振動成分を取出すことができる。
ィルタを用いて直接に0.5次振動成分の波形を検出で
きる構成を有する場合には、前記実施例の如く演算処理
装置4において燃焼状態のばらつきを計算するを必要は
なく、0.5次振動を打ち消すための逆位相の波形を有
した制御信号を直接的に作ることができる。
ータ5Aに与えられる制御量Cの決定方法を示してい
る。制御量Cの定め方を詳細に述べると、制御量Cは少
なくとも4つの制御量要素C1 〜C4 と比例定数kによ
って、例えば次の式、
うにエンジン回転速度と加振力検出量一定ラインとによ
って決まる制御量であり、制御量C1 マップに従って与
えられる。制御量C2 は図13に示されるようにエンジ
ン回転速度とエンジン負荷一定ラインとによって決まる
制御量であり、制御量C2 マップに従って与えられる。
制御量C3 は図14に示されるようにエンジン燃焼温度
Tf に対応して決まる制御量であり、更に制御量C4 は
図15に示されるようにオルタネータ温度TA に対応し
て制御量である。このように、演算処理装置4において
エンジン回転速度の変化等を基準にして0.5次振動を
検出し、これを抑制する目的で生成された制御信号S4
によって与えられる制御量Cは、エンジン1の運転状態
の変化に対応して適宜に調整されたものとなっている。
但しエンジンに応じて任意の制御量Cを選択できるよう
に構成することも可能である。
用することができる他の補機の例を示す。図16におい
て、1は前述したエンジンであり、10はエンジン1の
クランク軸に固設された前記クンクプーリである。本発
明に係る車体振動低減装置の負荷トルク発生装置として
は、図16で明らかなように、前記オルタネータ5A以
外にクランクプーリ10と動力伝達機構とで連結された
パワーステアリングモータ5B、オイルポンプ5C、エ
アコンのコンプレッサ5D、ウォータポンプ5Eなどの
補機を用いることができる。なお各補機において図16
中TALT はオルタネータの負荷トルク、TPSはパワース
テアリングモータの負荷トルク、TOI L はオイルポン
プの負荷トルク、TCOMPはコンプレッサの負荷トルク、
及びT WAT はウォータポンプの負荷トルクをそれぞれ
示しており、これらは各補機の発生トルクを意味する。
よれば次の効果が生じる。
気筒の燃焼の強弱のばらつきを検出し、この燃焼状態の
のばらつきに基づいてエンジンで発生する0.5次振動
の周期情報を取出し、この周期情報に基づいて当該振動
を打ち消すための制御用周期波信号を発生させ、その位
相と振幅を、前記燃焼状態のばらつきが小さくなるよう
に調整し、前記周期波信号で補機に負荷トルクを発生さ
せるようにしたため、0.5次振動を有効に抑制するこ
とができ、これにより車両の横揺れをなくし、特にエン
ジンのアイドリング作動時等における乗り心地を良好な
ものにすることができる。
影響を受ける車両の部位から当該振動成分を含む信号を
取出し、この信号から前記0.5次振動成分を検出し、
この検出情報に基づき制御用周期波信号を発生し、補機
に0.5次振動を打ち消す負荷トルクを発生させるよう
にしたため、0.5次振動を有効に抑制することがで
き、前記と同様な効果が発揮される。
原理的構成を示すブロック図である。
である。
ある。
明するためのフローチャートである。
チャートである。
るためのタイミングチャートである。
ある。
ある。
ある。
ある。
ある。
ある。
機の例を示す説明図である。
Claims (13)
- 【請求項1】 複数の気筒を備えるエンジンに適用さ
れ、これらの気筒の間の燃焼状態のばらつきに起因して
前記エンジンに生じる振動を低減する車体振動低減装置
であって、前記気筒のそれぞれの燃焼状態を別々に検出
し、これらの検出信号により前記振動の周期に対応する
周期を有する燃焼ばらつき信号を生成する燃焼ばらつき
検出手段と、この燃焼ばらつき検出手段が出力する前記
燃焼ばらつき信号により前記振動を打ち消す特性を有す
る制御用周期波信号を生成する制御信号発生手段と、前
記エンジンの出力軸と動力伝達機構を介して接続され且
つ前記制御用周期波信号を供給されこれに基づき負荷ト
ルクを発生する補機とからなることを特徴とする車体振
動低減装置。 - 【請求項2】 請求項1記載の車体振動低減装置におい
て、前記燃焼ばらつき検出手段は、エンジン回転速度検
出手段と燃焼ばらつき演算手段とを含み、前記エンジン
回転速度検出手段は各気筒の燃焼の強さに比例して変化
する回転速度信号を出力し、前記燃焼ばらつき演算手段
は前記回転速度信号から各気筒の燃焼の強さに比例する
前記燃焼ばらつき信号を出力することを特徴とする車体
振動低減装置。 - 【請求項3】 請求項1記載の車体振動低減装置におい
て、前記燃焼ばらつき検出手段は、前記気筒ごとのエン
ジン回転加速度を検出する手段によって構成されること
を特徴とする車体振動低減装置。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の車
体振動低減装置において、前記制御信号発生手段は、前
記周期波信号の位相を調整する手段と、前記周期波信号
の振幅を調整する手段を備え、これらの各手段により前
記周期波信号が前記振動の波形特性に対して逆の特性を
有する波形となるように変化させることを特徴とする車
体振動低減装置。 - 【請求項5】 請求項4記載の車体振動低減装置におい
て、前記位相調整手段が最初に調整動作を行い、次に前
記振幅調整手段が調整動作を行うことを特徴とする車体
振動低減装置。 - 【請求項6】 請求項4記載の車体振動低減装置におい
て、前記位相調整手段で得られた位相と前記振幅調整手
段で得られた振幅は、前記制御信号発生手段に備えられ
る記憶手段に記憶され、通常の振動低減制御ではこの記
憶された値を用いて前記周期波信号を生成し、前記各気
筒の燃焼ばらつきが予め設定された規定値以上となった
ときには前記制御信号発生手段が位相と振幅について再
調整を行うように構成されることを特徴とする車体振動
低減装置。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の車
体振動低減装置において、前記制御用周期波信号は正弦
波であることを特徴とする車体振動低減装置。 - 【請求項8】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の車
体振動低減装置において、前記制御用周期波信号はデュ
ーティ50%の方形波であることを特徴とする車体振動
低減装置。 - 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項に記載の車
体振動低減装置において、前記補機はオルタネータであ
ることを特徴とする車体振動低減装置。 - 【請求項10】 請求項9記載の車体振動低減装置にお
いて、前記オルタネータの界磁電流を制御することを特
徴とする車体振動低減装置。 - 【請求項11】 請求項9記載の車体振動低減装置にお
いて、前記オルタネータの負荷電流を制御することを特
徴とする車体振動低減装置。 - 【請求項12】 複数の気筒を備えるエンジンに適用さ
れ、これらの気筒の間の燃焼状態のばらつきに起因して
前記エンジンに生じる振動を低減する車体振動低減装置
であって、前記振動の周期に対応する周期的変動を含む
燃焼ばらつき信号を検出する燃焼ばらつき検出手段と、
この燃焼ばらつき検出手段が出力する前記燃焼ばらつき
信号により前記振動に対応する波形を取出す振動波形取
出し手段と、前記振動波形取出し手段の出力信号を用い
て前記振動を打ち消す特性を有する制御用周期波信号を
生成する制御信号発生手段と、前記エンジンの出力軸と
動力伝達機構を介して接続され且つ前記制御用周期波信
号を供給されこれに基づき負荷トルクを発生する補機と
からなることを特徴とする車体振動低減装置。 - 【請求項13】 請求項12記載の車体振動低減装置に
おいて、前記燃焼ばらつき検出手段は前記エンジンで発
生する前記振動の影響を受ける車両構成部分であり、前
記振動波形取出し手段はフィルタ手段であることを特徴
とする車体振動低減装置。
Priority Applications (1)
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JP7639191A JP2831483B2 (ja) | 1991-04-09 | 1991-04-09 | 車体振動低減装置 |
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Family
ID=13604023
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JP7639191A Expired - Fee Related JP2831483B2 (ja) | 1991-04-09 | 1991-04-09 | 車体振動低減装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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DE19721298C2 (de) * | 1997-05-21 | 2001-09-06 | Mannesmann Sachs Ag | Hybrid-Fahrantrieb für ein Kraftfahrzeug |
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1991
- 1991-04-09 JP JP7639191A patent/JP2831483B2/ja not_active Expired - Fee Related
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