JP2829516B2 - 繊維素系糸の抗菌・防ダニ染色加工方法 - Google Patents

繊維素系糸の抗菌・防ダニ染色加工方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紡績工程で得られ
る各種の繊維素系糸の抗菌・防ダニ染色加工方法に関
し、更に詳細には、耐久性に富む抗菌・防ダニ効能を付
与しながらも、編立ち、織り工程での糸絡み、糸切れ等
のトラブルの発生がなく当該糸が本来持っている柔味、
触感を安定して保持させることができ、更に抗菌・防ダ
ニ効能の付与を肉眼で容易に視認し得る繊維素系糸の抗
菌・防ダニ染色加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の繊維素系糸(以降、単に糸と称す
る)から成る繊維製品に対する抗菌染色加工は、専ら、
編み、織り加工処理されたシート状物に抗菌染色加工処
理を施していた。これは、糸に抗菌加工を施した場合、
これが一時的な付与となり耐久性に乏しく、特に耐洗濯
性を持たせる加工方法としては問題点が多いところか
ら、余り行われていないのが現状である。その最大の理
由及び問題点として挙げられるのは、抗菌加工した糸
は、硬味(ゴワゴワとした感じ)があって、その後の工
程の編み加工、織り加工の際、糸絡みや、糸切れによる
トラブルが多く発生し、また、編み・織り上がりでの風
合いが悪く、しかも触感(肌触り)も良くないことであ
る。
【0003】現状では、糸の抗菌加工の一般的な方法と
しては、綿糸等の天然繊維糸は紡糸前のワタ状の時に抗
菌剤(水溶液)を付与し、合成繊維糸の場合は、紡糸原
材に銀、銅又は化学物質の抗菌剤を混合後、紡糸するよ
うにしている。何れの場合も抗菌剤として化学合成剤が
多く使用されることもあって、計画多量生産方式に適し
たものであり、最近になって当業者にとり時流に適応す
るものとして注目される小ロット加工対応方式の抗菌加
工方法としては必ずしも適当でない。
【0004】この小ロット加工対応方式の範疇に属する
糸の染色加工方法として、スペース・ダイイング(Sp
ace Dyeing)と称されるものがあり、これが
糸の抗菌加工方法に適用して有効であることが十分考え
られる。ところで、スペース・ダイイングとは糸の多色
染を同時に行う方法であり、製品、商品の外観として多
色織物調子、経・緯糸染調子のデザインを特徴とした染
色加工に利用されており、例えば(日本染色新聞社 昭
和47年8月発行、「荒井周著、新捺染技術」第6章ス
ペース・ダイング(Space Dyeing)、P1
75〜P179参照)によれば、綛糸捺染の一つとし
て、染液フェルトと加圧ロールとを有する綛糸捺染機を
用いたものがあり、これは、8〜10綛の総糸を染液フ
ェルト・加圧ロール間に通して、綛をいくらかの距離づ
つ移動させながら染液を含んだ染液フェルト上へ加圧ロ
ールを圧着させて、その部分を着色するようにしたもの
である。
【0005】このようなスペース・ダイイングを用いる
ことによって、小ロット加工に対応した糸の抗菌加工が
行えるとしても、前述したように抗菌加工した糸の柔味
が損なわれる点は依然として解決されなく、従って、糸
段階での抗菌加工処理が当業界において今なお普及する
には至っていない。
【0006】ところで、最近特に問題視されているの
は、衛生害菌、メチシリン耐性黄色ブドウ状球菌(MR
SA)や大腸菌O−157に対する防御効能、また、雑
菌に対しての増殖抑制効能を有する抗菌加工処理につい
ては、多くの提案がなされるとともに、この種加工処理
が施されてなる衣料品など各種製品が市場に提供される
に至っているが、それらは、前述する如き菌に対する防
御特性あるいは増殖抑制特性のみに特定されるものであ
って、使用目的が限られる点で斯界の要望に充分応え得
るものとは言いがたく、例えば、アトピー皮膚炎、室内
ダニ、その他衛生害虫等に対する保健面でも優れた効能
を併せ発揮し得る多目的製品の出現が強く望まれている
ところであるが、今なお、研究開発の段階であって具体
的に製品化されるには至っていないのが実状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題点の解消を図るために成されたものであり、従っ
て、本発明の目的は、スペース・ダイイング方法が持つ
小ロット加工適応性を有効に利用しながら、糸の本来の
柔味を損なうことなく、かつ、編み・織りの加工工程で
の糸絡み、糸切れを確実に防いで、編み・織り上がり後
の製品段階での風合い及び触感を良好にすることがで
き、しかも耐久性に優れた抗菌効果及び防ダニ効果を併
せて奏し得る如き繊維素系糸の抗菌・防ダニ染色加工方
法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するため以下に述べる構成としたものである。即
ち、本発明における請求項1の発明は、繊維素系糸を綛
状糸にして、この綛状糸に対して、トラガント粉糊液と
植物抗菌抽出液、抗菌効能粉体又は抗菌効能カプセル状
物とを主成分に含み均一に混合してなる水溶性糊液をス
ペース・ダイイング方法によって注染し、これを湿った
ままで、高圧下において蒸熱処理を30分前後の時間行
わせることを特徴とする繊維素系糸の抗菌・防ダニ染色
加工方法である。
【0009】また、本発明における請求項2の発明は、
上記請求項1の発明における前記水溶性糊液に、水溶性
ロジン又は繊維反応型水溶性ウレタンの洗濯耐久補強剤
が成分として含まれることを特徴とする繊維素系糸の抗
菌・防ダニ染色加工方法である。
【0010】また、本発明における請求項3の発明は、
上記請求項1の発明における前記水溶性糊液に、松の木
抽出液の洗濯耐久補強剤とドクダミ、ムクゲ木抽出液、
丁子、ニガキの4種から選ばれた少なくとも1種とが成
分として含まれることを特徴とする繊維素系糸の抗菌・
防ダニ染色加工方法である。
【0011】また、本発明における請求項4の発明は、
上記請求項1、2又は請求項3の発明に関して、スペー
ス・ダイイング方法が、多孔板又は網板から成る染色台
上に搭載された前記綛状糸に対し、前記水溶性糊液を上
方からの流下により部分的に横縞状に注染し、これに相
前後して上下からの挟持による加圧及び下方からの余剰
水溶性糊液の吸引を行って、略瞬時的に水溶性糊液を均
等浸透させることにより、綛状糸の繊維素系糸にある程
度の規則性を持つランダムなパターンの染色加工を施す
方法であることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態について添付図面の実施例装置を参照しながら説明す
る。図1には、本発明の実施例に係るスペース・ダイイ
ング装置の概要構成が示され、図2には、同じく蒸熱処
理装置の概要構成が示される。
【0013】図1図示のスペース・ダイイング装置は、
精錬又は下晒の処理を施した繊維素系糸を綛にして形成
される綛状糸Yに対して注染を行う装置であり、水溶性
糊液が貯留される液タンク5と、所定量の前記水溶性糊
液が注液される横長の直方体状に形成した染液プール1
と、液タンク5・染液プール1間を連絡する送液管中に
介設されてモータ9により駆動される注液ポンプ6と、
中間仕切板によって仕切られる複数の区画域を備える色
分け仕切り染枠2と、多数の通孔を板体に縦横両方向に
分散して有する構造の多孔板又は網板から成る染色台3
と、該染色台3の下面部に一体的に合着される吸引ノズ
ル4と、該吸引ノズル4に抽液管を介して連絡される真
空タンク7と、該真空タンク7に抽液管を介して連絡さ
れてモータ10により駆動される真空ポンプ8とを含ん
で、上記スペース・ダイイング装置が構成される。
【0014】このような構造のスペース・ダイイング装
置において、染色台3は水平方向に横置きされ、その上
面部に複数個の前記綛状糸Yが横並べに搭載される。色
分け仕切り染枠2は、綛状糸Yを搭載している染色台3
の真上に水平方向に横置きさせ配設される。この色分け
仕切り染枠2は、染色台3に対して平行を保持した状態
で接近・離間し得るように、上下に平行移動可能に設け
られていて、色分け仕切り染枠2と染色台3とで綛状糸
Yを上下から挟圧することが可能な構造となっている。
一方、染液プール1は、色分け仕切り染枠2の直上方に
設けられていて、該プール底部に接続して垂下させた複
数本の注液管11により、色分け仕切り染枠2の複数の
区画域のうちの任意の区画域を選択して該域内に水溶性
糊液を注液し得るようになっている。なお、図1におい
て、12は前記抽液管の途中に介設した開閉弁である。
【0015】上記スペース・ダイイング装置を用いて行
う抗菌・防ダニ染色加工方法について以下に説明する。
先ず、注染するための水溶性糊液の調製を行う。この水
溶性糊液の内容については後述する。次に、染色加工す
べき綛状糸Yの例えば8〜10綛を染色台3上に横方向
に並べて載置する。染液プール1及び仕切り染枠2を降
下させ、該仕切り染枠2と染色台3とで綛状糸Yをサン
ドイッチ状に挟み付けるようにして、適当な圧力を綛状
糸Yに加える。続いて、調製した水溶性糊液を染液プー
ル1に供給する。この場合、染液プール1に設けられる
液位検出器(フロートスイッチ等)によって注液ポンプ
6の自動運転を行わせて、染液プール1内の液位を一定
レベルに保持させる。ここで、染液プール1の水溶性糊
液を例えば図1に示されるように、色分け仕切り染枠2
における一つ置きの区画域に注液するようにセットして
おくが、この区画域の選定は任意であり、また、前記水
溶性糊液と一般に通常用いられる一種又は複数種の色が
異なる顔料及び染料と組み合わせて区画域毎に注液させ
るようにすることも可能であり、種々の変形、組合せに
なる染色加工を行い得ることは言うまでもない。
【0016】色分け仕切り染枠2を通じて水溶性糊液を
綛状糸Yに注染し、図に細分線を施してなるように、綛
状糸Yに対して部分的に横縞状に注染しながら、これと
相前後して開閉弁12を開かせて、真空圧に保持されて
いる真空タンク7と吸引ノズル4とを連通する。これに
よって、綛状糸Yに対する上方からの水溶性糊液注染と
下方からの強力吸引とが行われるため、水溶性糊液を略
瞬時的に綛状糸Yに均等浸透させることが可能であり、
効率的なスペース・ダイイングが行われる。
【0017】スペース・ダイイングが終わった綛状糸Y
を染色台3から取り上げ、次に、図2に示される蒸熱処
理装置によって蒸熱処理を行わせる。図2図示装置は、
綛状糸Yを収納させる密閉構造の処理用タンク13を備
えていて、該処理用タンク13には、開閉弁がそれぞれ
介設されている蒸気供給管14、真空吸引管15及び給
気管16が接続され、さらに、蒸気トラップを備えるド
レン管17、タンク内温度を計測する温度計19、タン
ク内正圧を計測する圧力計20及びタンク内真空度を計
測する真空圧力計21が付設される。
【0018】染色台3から取り上げた綛状糸Yを処理用
タンク13に収納して該タンク内の金網台18上に搭載
する。蒸熱処理に先立って、真空吸引管15を介し真空
ポンプ8により処理用タンク13内を所定値(例えば、
−600kg/cm)の負圧にする。これは、蒸熱斑
による染斑の発生を防ぐためであって、場合によっては
この負圧処理は省略することもできる。次いで、真空吸
引を止めて給気管16を開かせて真空破りを行った後、
蒸気供給管14から処理用タンク13内に110℃程度
の過熱蒸気を送り込み、高圧下において蒸熱処理(スチ
ーミング)を30分間程度行わせる。その後、蒸気供給
を止めて減圧と排気を行って、綛状糸Yを処理用タンク
13から取り出して、水洗(脱糊)→ソーピング(脱
糊)→フィックス(固着)→オイリング(柔軟、帯電防
止)→脱水からなる周知の仕上加工を行うことにより一
連の染色・仕上加工が終了する。
【0019】前記水溶性糊液は、水溶性トラガント粉の
糊液と植物抗菌抽出液、抗菌効能粉体又は抗菌効能カプ
セル状物とを主成分に含み、更に、松の木抽出液、繊維
反応型水溶性ウレタン等洗濯耐久補強剤を加え、また、
必要に応じ触媒を混合して生成した水溶性の糊状を成す
液剤である。なお、糊液の粘度は綛状糸Yを形成する糸
の太さ、素材の種類等の性状によって濃淡調製される。
植物抗菌抽出液、抗菌効能粉体は、同じ抗菌植物から抽
出した効能液、カプセル化した効能剤が使用され、丁
子、ニガキ、ムクゲ、ユウカリ等が好適な例である。そ
の他にもウコン、ケイヒ、ヒバ、カンゾウ等が挙げられ
る。この中で松の木抽出液と丁子、ニガキ、ムクゲの組
合せになるものは抗菌及び防ダニの点で相乗的な効果を
奏することが明らかとなった。この抗菌効能の対象とし
ては、黄色ブドウ状菌、大腸菌に加えて白癬菌が挙げら
れ、また、忌避効果の対象としては、室内ダニを挙げる
ことができる。なお、洗濯耐久補強剤としては水溶性ウ
レタンの他に、グリオキザール系樹脂も使用可能であ
る。また、糊剤としてトラガント樹粉(ゴム)の他、ア
ラビアゴム、セネガルゴム等がある。トラガントゴムと
は、ギリシャ、トルコ等の地域に産するアストラガルス
属灌木の分泌液を干し固めた植物性のものであって、染
色後の水洗で容易に脱糊し、繊維上に硬味の触感を残さ
ない特徴があることが知られている。
【0020】植物抗能体の抽出方法としては、丁子の場
合は、乳化剤と共に水で抽出するのが抗能物質をより多
く抽出し得ることから好ましく、通常はアルコール抽出
を行っている。ニガキ、ムクゲ、ユウカリについては、
I,P,A混合アルコールと共に一定期間(3〜6ヶ
月)浸した抽出液を使用するが、通常は粉体で使用す
る。
【0021】ここで本発明方法が適用される繊維素系糸
とは、綿、麻、再生繊維、その他各繊維の単独糸及び混
合糸並びにこれらの繊維素繊維を主とするポリエステ
ル、アクリル、ポリアミド、新合成繊維との混合糸を総
称し、必要に応じて精錬漂白、蛍光増白、染色等の処理
を施したものである。
【0022】本発明は、以上述べたような注染を行うこ
とにより、綛状糸の糸中心部に例えば柔軟浸透剤のトラ
ガント糊成分と補強剤である松の木抽出液、水溶性ウレ
タンが滲透し、ウエット状での蒸熱で水溶性ロジン(松
の木抽出液)と水溶性ウレタンとが架橋するとともに、
トラガント糊皮膜がウレタン及び水溶性ロジンを内包し
て二重構造となり、これによってウレタンが繊維に反応
し、かつ、ロジンが物理的定着を齎す結果、強固に定着
して、抗菌・防ダニ効能物質の耐久性はより一層増大す
るのである。このときの固定化条件は、前述するよう
に、負圧吸引後の高温高圧スチーミングを30分程度の
間行うことである。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0024】〔実施例1〕本実施例は、請求項2の発明
に係る例であって、精錬、漂白、マーセル化の各工程を
常法により行い、漂白処理後又は染色後、下記〔表1〕
に示される水溶性糊液を用いて綿100%(60双糸)
の綛条糸に対しスペース・ダイイングで染色を施す。
【0025】
【表1】
【0026】染色工程として、スペース・ダイイング→
湿ったままの蒸熱、110℃を30分間一回転バック式
水洗機(噴射式水洗機も可)により50℃で10分水洗
→ハンギングドライヤで乾燥。このようにして得られた
実施例1の抗菌性能試験の結果は下記〔表2]に示され
る通りであり、スペース・ダイイング方法とウエット蒸
熱処理とにより、松の木抽出液(水溶性ロジン)が抗菌
効果を有すると共に、定着機能も発揮して耐久性能が頗
る向上する。
【0027】
【表2】
【0028】上記実施例1に対して、その水溶性糊液に
おける水溶性トラガント糊材、抗菌効能抽出液、松の木
抽出液(ロジン)及び繊維反応型ウレタン樹脂に替え
て、当業界で代表的なものとされている抗菌剤と洗濯耐
久補強剤を使用した他は、実施例1と同質の綛条糸に同
様の染色工程の加工を施してなる二つの比較例I、II
を対象に挙げて、抗菌性能について三者を比較した。な
お、比較例Iは、抗菌剤に有機シリコン第四級アンモニ
ューム塩を用いて洗濯耐久補強剤は使用しないものであ
り、比較例IIは、抗菌剤に有機シリコン第四級アンモ
ニューム塩、洗濯耐久補強剤にアクリル樹脂をそれぞれ
使用したものである。それらの抗菌性能試験の結果は下
記〔表3〕に示される通りである。
【0029】
【表3】
【0030】上記〔表3〕を参照すれば明らかである
が、黄色ブドウ状球菌に対して実施例1の場合は、比較
例I、IIに比べて強い抗菌効果を有し、しかも洗濯に
対する耐久性にも格段に優れていることが立証される。
【0031】〔実施例2〕本実施例は、請求項3の発明
に係る例であって、前記実施例1における水溶性糊液
に、松の木抽出液とドクダミ、ムクゲ、丁子、ニガキの
4種から選ばれた少なくとも1種とが成分として含まれ
てなり、この水溶性糊液を染色加工することにより、前
記抗菌効果に加えて、白癬菌に対する抗菌効果並びに室
内ダニ、ヤケヒョウダニに対する忌避効果を有する相乗
効果が奏される。
【0032】ここで参考として、ドクダミその他植物抗
菌効能抽出液の単品での効果、挙動を挙げると下記〔表
4〕の通りである。
【0033】
【表4】
【0034】また、実施例2の各例における水溶性糊液
の成分については下記〔表5〕に示される通りである。
【0035】
【表5】
【0036】上記実施例2の各例について、抗菌性能試
験並びにダニ忌避性能試験を行ったところ、下記〔表
6〕に示される結果の通りである。即ち、実施例1の場
合と同じ効果に加えて、白癬ハロー阻止効果並びにダニ
忌避効果に優れた結果が得られ、従来のこの種加工手段
では不可能とされていた相乗的効果が奏されることが明
らかとなった。
【0037】
【表6】
【0038】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実
施され、以下に記載されるような効果を奏する。即ち、
本発明は、実施の形態並びに実施例の説明によっても明
らかなように、本発明方法によって得られる綛状糸に注
染して付与されてなる抗菌効能粉体抽出液が70回の洗
濯繰り返しを行っても、その脱落度が極めて少なく、従
って、抗菌効果が長期間に亘り持続して耐久性能の点で
非常に優れている。しかも、抗菌効能に優れていること
と相俟って、白癬菌阻止効果及びダニ忌避効果も発揮さ
れることとなり、従来のこの種製品では得られなかった
相乗効果が奏される。
【0039】本発明はまた、綛状糸に対して、抗菌・防
ダニ効能を持つ水溶性糊液をスペース・ダイイング方法
によって部分的に注染するようにしたから、本来の抗菌
・防ダニ効能を発揮するのに必要、かつ適正な量を糸に
付与しながら糸自体の風合いを保持させることが可能で
あり、しかも、編み・織り上がった最終製品の全面に均
一・分散して付与したり、又はソックス等の場合に足裏
部分や爪先部分に集中して付与させたりすることができ
て、本来の抗菌・防ダニ効能を有効に発揮させ得る利点
がある。また、編み・織り上がった最終製品に対して抗
菌剤が付着していることが、例えば霜降り状等の色柄と
して肉眼で確実に視認できるばかりでなく、意匠的な効
果も充分に奏されるものであって、以上述べる如く本発
明は斯界に益する処多大な発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るスペース・ダイイング装
置の概要構成図である。
【図2】本発明の実施例に係る蒸熱処理装置の概要構成
図である。
【符号の説明】
1…染液プール、 2…色分け仕切り染枠、 3
…染色台、4…吸引ノズル、 5…液タンク、
6…注液ポンプ、7…真空タンク、 8
…真空ポンプ、 9…モータ、10…モータ、
11…注液管、 12…開閉弁、13
…処理用タンク、 14…蒸気供給管、 15…
真空吸引管、16…給気管、 17…ドレン
管、 18…金網台、19…温度計、
20…圧力計、 21…真空圧力計、Y…綛状
糸、
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D06P 1/44 D06P 1/44 Z

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維素系糸を綛状糸にして、この綛状糸
    に対して、トラガント粉糊液と植物抗菌抽出液、抗菌効
    能粉体又は抗菌効能カプセル状物とを主成分に含み均一
    に混合してなる水溶性糊液をスペース・ダイイング方法
    によって注染し、これを湿ったままで、高圧下において
    蒸熱処理を30分前後の時間行わせることを特徴とする
    繊維素系糸の抗菌・防ダニ染色加工方法。
  2. 【請求項2】 前記水溶性糊液に、水溶性ロジン又は繊
    維反応型水溶性ウレタンの洗濯耐久補強剤が成分として
    含まれる請求項1記載の繊維素系糸の抗菌・防ダニ染色
    加工方法。
  3. 【請求項3】 前記水溶性糊液に、松の木抽出液の洗濯
    耐久補強剤とドクダミ、ムクゲ木抽出液、丁子、ニガキ
    の4種から選ばれた少なくとも1種とが成分として含ま
    れる請求項1記載の繊維素系糸の抗菌・防ダニ染色加工
    方法。
  4. 【請求項4】 スペース・ダイイング方法が、多孔板又
    は網板から成る染色台上に搭載された前記綛状糸に対
    し、前記水溶性糊液を上方からの流下により部分的に横
    縞状に注染し、これに相前後して上下からの挟持による
    加圧及び下方からの余剰水溶性糊液の吸引を行って、略
    瞬時的に水溶性糊液を均等浸透させることにより、綛状
    糸の繊維素系糸にある程度の規則性を持つランダムなパ
    ターンの染色加工を施す方法であることを特徴とする請
    求項1、2又は3に記載の繊維素系糸形状物の抗菌・防
    ダニ染色加工方法。
JP9111703A 1997-03-24 1997-03-24 繊維素系糸の抗菌・防ダニ染色加工方法 Expired - Lifetime JP2829516B2 (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108560180A (zh) * 2018-02-07 2018-09-21 海宁市美元达经编有限公司 一种抗菌内衣面料的生产工艺

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JPH10266072A (ja) 1998-10-06

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