JP2829230B2 - 柑橘類果実の浮皮抑止剤 - Google Patents

柑橘類果実の浮皮抑止剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば温州ミカン等の
柑橘類果実の浮皮の発生を抑止する浮皮抑止剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】例えば温州ミカン等の柑橘類の果実で
は、通常は相互に密着している果皮とじょう嚢とが分離
してしまうことがあり、この現象は浮皮と呼ばれてい
る。浮皮は様々な要因が関与して発生するとされている
が、それらの内でも、収穫間近になってからの降雨量が
多い等の理由で柑橘類果樹の土壌からの養分の吸収が活
発となり特に窒素が過剰に吸収された結果、果実が二次
肥大することが主たる原因とされている。この二次肥大
の過程では、まず果皮が肥大し次いで肥大が砂じょうに
及ぶ。この際、砂じょうを内包しているじょう嚢と果皮
との間に存在するアルベド層の組織が弱いと、果皮の急
速な肥大に同調できずにアルベド層が断絶することがあ
る。アルベド層はじょう嚢への養分の供給路となってい
るため、アルベド層が断絶するとじょう嚢への養分供給
が停止されることになり、じょう嚢(砂じょう)の生長
が停止してしまう。果皮の肥大とじょう嚢の生長停止と
によって果皮とじょう嚢との間に空隙が発生した状態が
浮皮である。
【0003】浮皮が発生すると果実の成熟が不十分とな
る等、果実の商品価値を低下させるばかりでなく腐敗の
原因ともなるため、その抑止策が求められていた。従
来、浮皮対策としては、炭酸カルシウムまたはその水和
剤などを果実に散布することが広く行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、炭酸カ
ルシウムは不溶性であるために果皮表面に散布してもこ
れが果実内部に吸収されるわけではなく、果皮表層に作
用するのみで果皮の二次肥大そのものへの対処ではなか
った。しかもこの炭酸カルシウムの散布も、例えば雨量
が多い等の気象条件によっては、その効果は必ずしも十
分に発揮されないことがあった。このような、炭酸カル
シウムの散布等のいわば対症療法的な手法では手遅れの
感があり、根本的な浮皮対策が求められていた。また、
果実表面に残留した炭酸カルシウムは白色を呈して外観
上好ましくないので、出荷時までにこれを除去する作業
が行われており、この面からも対策が求められていた。
【0005】
【発明の背景】周知のように、植物、動物を問わず多細
胞生物の体は多数の細胞から形成されており、生物が生
活を営んでゆくためには一定の体型を保持する必要があ
る。動物では体を支える骨格が発達しているが、植物に
はそれに相当するものはみあたらない。他方、植物の細
胞はレンガのように丈夫であるが動物の細胞は豆腐のよ
うに軟らかい。植物の細胞と動物の細胞とのこのような
差異は、細胞壁の有無によるものである。植物の個々の
細胞は薄い膜に包まれており、さらにその外側をペクチ
ン、セルロース、リグニンなどを成分とする厚くて丈夫
な細胞壁が囲んでいる。植物にあっては、この細胞壁が
動物の骨格の代わりを務めているわけである。従って、
細胞壁の形成不良は即組織の弱さにつながり幾多の生理
障害の原因となっている。
【0006】細胞壁の生成に至るまでの細胞のあり方と
して個々の細胞を包んでいる膜はほとんどペクチンが主
成分である。このペクチンの生成には硼素が重要元素と
いわれ、硼素が欠乏すると細胞の分裂が衰えて生育に重
大な影響を与える。また、植物細胞では細胞膜の周囲を
取り囲んでいる細胞壁は、ほとんど純粋のペクチンから
なる中葉にカルシウムが取り込まれペクチン酸カルシウ
ムとなって、細胞同士を強固に結合すると共に植物体の
骨格としての役割を果たしている。
【0007】上述のように、細胞壁の構造等から、カル
シウムと硼素は不即不離の関係にあって、どちらが欠け
ても植物生理が正常に行われなくなる。特に、強固な細
胞壁の形成には、カルシウムと硼素とが必要かつ十分な
だけ植物体内に存在することが不可欠といえる。
【0008】発明者は、柑橘類の果皮およびアルベド層
を形成する細胞の細胞壁を強化すれば、急激な二次肥大
をおさえて浮皮を生じることがない程度に、果皮および
アルベド層を強固にできることに想到し、鋭意研究の結
果、強い細胞を育てることによって浮皮を防止する強い
組織作りを実現するために本発明を完成した。
【0009】
【課題を解決するための手段および作用】本発明の柑橘
類果実の浮皮抑止剤は、蟻酸カルシウムおよび水溶性の
硼素化合物を有効成分として含有することを特徴とす
る。以下、本発明の柑橘類果実の浮皮抑止剤についてさ
らに詳細に説明する。
【0010】本発明に使用される蟻酸カルシウムは水溶
性で、溶解度16.6g/100g(20℃)である。
この蟻酸カルシウムと併用される水溶性の硼素化合物と
しては、硼酸や硼砂等のアルカリ金属の硼酸塩がある。
本発明の柑橘類果実の浮皮抑止剤は、上述の蟻酸カルシ
ウムと硼素化合物との混合水溶液として柑橘類の植物体
に直接散布される。特に、柑橘類の葉面に散布すると有
効成分の吸収効率がよく効果的である。混合水溶液とし
た際の蟻酸カルシウムの濃度は、100倍(1%濃度)
〜1,000倍(0.1%濃度)の範囲が好ましく、2
00倍〜800倍程度がより好ましい。同様に硼素化合
物では、1,000倍(0.1%濃度)〜10,000
倍(0.01%濃度)が好ましく、3,000倍〜8,
000倍程度がより好ましい。また、両者の配合比は、
蟻酸カルシウムに対して硼素化合物を5〜10%とする
のが適当である。前記比率で混合したものを希釈して用
いる場合の希釈倍率は、300倍〜1,000倍が適当
である。なお、上記の希釈倍率で施用すれば、硼素の過
剰を原因とする障害が発生するおそれは殆どないが、混
合水溶液の濃度は柑橘類の樹種や施用時期によって適量
とされる硼素量を基準として決定するのが好ましい。
【0011】混合水溶液とするには、例えば粉末の蟻酸
カルシウムと硼素化合物とを適宜の配合比で秤量し所望
の希釈率とする量の水で溶解するか、それぞれ別個に適
宜の水量で希釈したものを混合してもよい。上述のよう
に植物体に散布された蟻酸カルシウムおよび硼素化合物
は、主に葉面や果実の表面から吸収される。このため、
例えば土壌を介して根から吸収させる場合に比べて、吸
収効率はきわめて高くなる。また、未吸収の蟻酸カルシ
ウムあるいは硼素化合物の結晶が果実表面に残留するこ
とはほとんどないので、果実の外観を損なって商品価値
を低下させることもない。
【0012】柑橘類果実の浮皮抑止剤を施用する時期は
特に限定されない。例えば温州ミカンでは、開花前(5
月初旬〜同中旬)および落花後から果実の肥大盛期(5
月下旬〜8月上旬)までの両期間に、7日〜10日間隔
で施用するのが好ましい。また、柑橘類は常緑であるの
で周年施用が可能であり、周年施用すれば一層効果的で
ある。
【0013】葉面散布によって果樹に吸収されたカルシ
ウムおよび硼素は、果樹および果実の生理作用を良好な
ものとすると共に細胞膜を強化する。果実においては、
果皮およびアルベド層を構成する細胞の細胞膜が強化さ
れる。このため、例えば果実の成熟期における降雨等で
多量の窒素が吸収されて果実が二次肥大することがあっ
ても、上述のように強固な細胞壁を備える果皮自体が急
激に膨出することはなく、また同様に強固なアルベド層
は果皮の膨張圧に十分に耐える。したがって、収穫間近
になっての二次肥大があっても浮皮を生ずるような果皮
の膨張、アルベド層の断絶は起こらないので、浮皮は効
果的に抑止される。
【0014】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。蟻酸カル
シウムおよび硼酸を秤量混合して本発明の浮皮抑止剤と
し、これを水で希釈して、開花前の5月上旬に2回、果
実の肥大期に相当する5月下旬〜8月上旬にかけて3
回、温州ミカンに葉面散布した。
【0015】この浮皮抑止剤を散布した温州ミカンの浮
皮発生率は無散布の温州ミカンの浮皮発生率よりも低率
であり、両者には有意の差が認められた。また、収穫期
の果実表面には、未吸収の蟻酸カルシウムまたは硼酸の
残留は認められなかった。
【0016】なお、この実施例は温州ミカンを対象とし
ているが、本発明の柑橘類果実の浮皮抑止剤は、ハッサ
ク、バレンシア等のオレンジ、イヨカン等、様々な柑橘
類の細胞を強固にする効果があることから、細胞の脆弱
さを原因とする各種の生理障害にも有効である。
【0017】さらに、蟻酸カルシウムと硼素化合物との
配合比、希釈倍率、施用期間および散布間隔等も上記実
施例に限定されるものではなく、柑橘類の品種や生育時
期などに応じて適宜とすることが可能である。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の柑橘類果
実の浮皮抑止剤は、浮皮の発生を効果的に抑止できる。
また、本発明の柑橘類果実の浮皮抑止剤は、その成分の
一部が収穫期の果実表面に残留することもない。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蟻酸カルシウムおよび水溶性の硼素化合
    物を有効成分として含有することを特徴とする柑橘類果
    実の浮皮抑止剤。
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