JP2828423B2 - 数値制御による総形工具の加工装置 - Google Patents

数値制御による総形工具の加工装置

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワイヤ放電加工機
を加工手段として用い、予め前加工した総形エンドミル
や総形ヘールバイト等の工具素材の刃先形成部分に所望
の切刃形状と逃げ面を数値制御プログラムに従う放電加
工法により加工、製作する数値制御による総形工具の加
工装置に関し、特にゴム金型等の加工に当たって普通の
エンドミルで加工できない形状の溝加工を行うのに使用
する総形エンドミルや総形ヘールバイトの加工、製作に
適用して、得るべき所望の切刃形状と逃げ面の加工を行
う総形工具の加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】金型、特にゴム金型等を金属素材から切
削加工方法で製造する場合に、普通のエンドミルでは加
工できない形状の溝加工を有した金型を製造しなければ
ならない場合が多多発生している。このような場合に
は、総形エンドミルを用いたフライス加工方法、総形ヘ
ールバイトを用いたヘール加工方法が従来から遂行され
ている。
【0003】このような総形エンドミルや総形ヘールバ
イト等の総形工具は、得るべき所望の切刃形状を総形工
具の切刃部分に有することが必要とされ、従って総形工
具の切刃部の加工、製作には、従来から種々の加工手段
が提案され、実用化されている。例えば、プロファイル
グラインダを加工手段として用い、予め前加工した総形
工具の工具素材の切刃部分に研削加工法で得るべき所望
の切刃形状や逃げ面を加工、製作する方法がとられてい
る。
【0004】他方、所謂ワイヤ放電加工技術を用いて切
削工具を始めとする種々の工具の切刃部を加工する方法
も提案されている。例えば、特開平7−299632号
公報は、カッターヘッドの外周部分に形成した複数の保
持溝内に各々が刃部を有した複数のカッターブレードを
組付けた総形フライスの該カッターブレードを個々に、
ワイヤ放電加工によりワイヤ電極を傾けたり、カッター
ブレードを傾斜させた状態で形状加工を行って製作する
ようにした加工方法を開示している。
【0005】また、特開平3−117565号公報は、
円筒状のマンドレル体に多数の円盤状のディスクカッタ
ーをマンドレル軸方向に等間隔に、かつ平行共軸に備え
たマルチ・ディスク・カッターを製造するときに、円筒
状のマンドレル素材を流体浴中で回転させ、そのマンド
レル素材に多数の長尺ワイヤを接線方向に整列させて両
者間に電圧パルスを印加し、電気腐食、つまり放電加工
をおこなって円筒状マンドレルに多数の溝を切り込み、
溝間にカッター刃を形成するようにした加工方法を開示
している。
【0006】更に、特開平7−88721号公報は、ワ
イヤ電極走行経路をワークの加工形状に対応した形状に
して、ワーク、特にR座付きパンチのようなプレス加工
に用いるパンチの先端刃部の形状をワイヤ放電加工によ
り加工するようにした加工方法を開示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、上述した
従来の技術に係る総形工具およびその他の種々の工具の
加工方法は、ゴム金型等の製造に当たり、普通のエンド
ミルで加工できない形状の溝、例えば、溝底にエンドミ
ル先端の刃では切削できない断面形状や切削困難な断面
形状を有した部分が存在したり、複数の溝における各溝
毎に断面形状を異にする等の場合に使用する総形エンド
ミルや総形ヘールバイトにおける得るべき所望の切刃形
状を加工する場合には、そのまま適用できない種々の問
題点を有している。
【0008】例えば、上述したプロファイルグラインダ
により研削加工を行う場合には、グラインダ、つまり砥
石を被研削域に切り込んで行く必要があるが、砥石の幅
よりも狭い溝ではもちろん、加工が不可能であり、また
溝の幅寸法に応じて砥石を適切に交換する必要がある。
しかも、熟練した作業者の手動操作により研削加工を行
っているが、複雑な形状の場合には、正確な所望形状を
得ることが困難であった。
【0009】また、特開平7−299632号公報に開
示されたワイヤ放電加工方法によるカッターブレードの
加工方法では、総形フライスの複数のカッターブレード
を次々に加工する過程で、カッターヘッドの軸心回りの
角度割り出しと位置決めとを行う手段を持たないため、
カッターヘッドにカッターブレードを取り付けた状態の
まま加工することが不可能であり、故に、複数の刃数の
総形エンドミルの切刃形状を加工することは不可能であ
る。
【0010】更に、特開平3−117565号公報に開
示された工具の加工方法は、多数の等間隔、平行共軸の
研磨カッターディスクを加工することに特徴を有したも
のであることから、切刃に傾斜部分や特殊形状を加工す
ることはなく、故に、テーパ加工機能を駆使することが
ないため、総形工具の所望形状の切刃形状および逃げ面
の加工には適用できない不具合がある。
【0011】また、特開平7−88721号公報に開示
されたワイヤ放電加工装置によりR座付きパンチを加工
する方法では、いわば、当該パンチ加工の専用機として
形成された加工装置により加工するものであるから、こ
れを用いて側面に切刃形状を持つ総形エンドミルや総形
ヘールバイトの加工をすることは不可能である。上述の
ような従来技術に鑑みて、近時の金型、特にゴム金型の
製造に用いられて、金型成形で製造される成形製品の形
状需要に従う得るべき所望形状の切刃形状を有した総形
エンドミルや総形ヘールバイトの刃先部分を高精度、高
能率で加工することができる工具加工装置の提供が要請
されている。
【0012】上述の要請に鑑みて、本発明の目的は、得
るべき所望形状の切刃形状を持った総形工具の切刃部形
状と逃げ面とを高精度にかつ、高能率で自動加工するこ
とができる総形工具の加工装置を提供せんとするもので
ある。また、本発明の他の目的は、上述した高精度、高
能率の自動加工をワイヤ放電加工機を用いて数値制御に
より実現する総形工具の加工装置を提供せんとするもの
である。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、事前に工具
径、工具長等に応じて基本形状を前加工した総形工具の
素材の切刃形成部分に得るべき所望形状の切刃形状を加
工し、かつ逃げ面を加工するために、テーパ加工機能と
割り出し位置決め可能な回転割出軸とを具備したワイヤ
放電加工機を備え、かつ同ワイヤ放電加工機を数値制御
により制御する制御手段を備え、同ワイヤ放電加工機の
回転割出軸に上記総形工具の素材をワークとして装着
し、予め得るべき所望形状の切刃形状に応じて作成され
た数値制御プログラムに基づいて、ワイヤ電極とワーク
との相対的な移動を制御することに従って放電加工によ
り総形工具の切刃形成部分に切刃と逃げ面との加工を自
動的に遂行するものである。
【0014】即ち、本発明よれば、得るべき所望形状の
切刃形状を持った総形工具の刃先部の形状を加工する装
置において、垂直方向に走行するワイヤ電極とワークと
を相対移動させながら放電加工を行い、かつテーパ加工
を行うことができるワイヤ放電加工手段と、予め工具
径、工具長に応じた基本形状をシャンク部や刃部に前加
工した前記総形工具の工具素材に、切刃加工工程の前記
総形工具の切刃形状及び逃げ面加工工程の前記総形工具
の2番逃げ面形状を数値制御プログラムに従って連続的
放電加工する際の加工条件を設定・登録する加工条件
登録手段と、前記ワイヤ放電加工手段に設けられ、前記
総形工具の工具素材をワークとして装着するワーク取付
部を先端に有すると共に該ワーク取付部に前記工具素
材のシャンク部を装着して前記工具素材を割り出し位置
決め可能な水平軸線まわりの割出軸を有した回転割出軸
手段と、前記総形工具に形成する所望の切刃形状及び2
番逃げ面形状の数値制御プログラムに前記設定・登録し
た加工条件を加えた加工プログラムを前記ワイヤ放電加
工手段に対して実行し、かつ該ワイヤ放電加工手段のテ
ーパ加工機能を用いて前記総形工具の工具素材に対して
数値制御放電加工を行い、前記総形工具の切刃形状の加
を行う切刃加工工程と2番逃げ面形状の加工を行う逃
げ面加工工程とを連続的に遂行させる制御手段と、を具
備した数値制御による総形工具の加工装置が提供され
る。
【0015】
【作用】上述のように、ワイヤ放電加工手段を加工手段
に用いた数値制御による総形工具の加工装置によれば、
切刃形状が種々異なる断面形状を有する場合にも、或い
は、刃溝の底部に普通のエンドミルでは所望の形状に加
工することができない鋭角部分等の隅部断面形状を有し
ている場合やプロファイルグラインダでは繰り返しグラ
インダを交換しながら加工を進捗させなければならない
複雑な刃溝形状を有した総形工具を加工対象とする場合
でも1回の段取りを行うだけで所望の切刃形状に加工す
ることが可能になるのである。この結果、高能率で加工
を進捗させることができるのである。しかも、逃げ面の
加工、例えば、1番取り、2番取りによる2段の逃げ面
、まず切刃加工工程で前者の1番取りを含めた加工を
遂行して1番逃げ面を加工し、逃げ面加工程で後者の
2番取りによって2番逃げ面を加工することもワイヤ電
極とワークとの相対的な角度を傾けてテーパ加工をする
ことにより、結局、連続した加工工程の間に簡単に達成
し得る利点を有し、総形工具の加工の簡便性を向上させ
ることができるのである。
【0016】なお、総形工具は、特にゴム金型の加工、
製造に適した総形エンドミルおよび総形ヘールバイトの
何れであっても容易に本発明の加工装置を適用して加
工、製作することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面に示す実
施形態に基づいて、更に詳細に説明する。図1は、本発
明に係る数値制御による総形工具の加工装置によって製
作、加工された種々異なる断面形状の切刃形状を有した
2枚刃の総形エンドミルの正面図と同総形エンドミルに
よりワークに切削加工される加工形状の断面図、図2
は、図1のA−A線から見た総形エンドミルの断面図、
図3は、本発明に係る数値制御による総形工具の加工装
置の構成に用いられるワイヤ放電加工機、特に、ワイヤ
電極が垂直方向に走行する領域でワークとの間で放電加
工を遂行する実施形態のワイヤ放電加工機とワークの取
付け状態を図示した正面図と基本構成のブロック図、図
4は図3の矢印Bの方向から見た側面図、図5は、ワイ
ヤ放電加工機の数値制御・電源装置に設けられたディス
プレイ画面の表示データの一例を示す略示図、図6は、
に示すワイヤ放電加工機に具備された顕微鏡を通し
て2枚刃の総形エンドミルの底面形状を目視した場合の
工具端面状態を示す顕微鏡視野図であり、(a)が総形
エンドミルの前加工素材のすくい面加工が正しく行われ
た場合の顕微鏡十字線とすくい面との関係を示した図、
(b)は総形エンドミルの前加工素材のすくい面加工が
不足して顕微鏡十字線とすくい面との間に不一致がある
場合の図である。図7は、本発明による総形工具の加工
装置によって加工、製作された切刃形状を有する側面加
工用の総形ヘールバイトの一例を示した図で、(a)は
正面図、(b)は同(a)図の矢印Cの方向から見た底
面図、図8は、本発明による総形工具の加工装置によっ
て加工、製作された底面加工用の総形ヘールバイトの形
状と同総形ヘールバイトによりワークに加工された加工
溝の形状を示す斜視図、図9は、本発明に係る数値制御
による総形工具の加工装置の構成に用いられるワイヤ放
電加工機、特に、ワイヤ電極が水平方向に走行する領域
でワークとの間で放電加工を遂行する実施形態のワイヤ
放電加工機とワークの取付け状態を図示した正面図であ
る。
【0018】図1を参照すると、本発明の数値制御によ
る総形工具の加工装置により製作、加工された総形工具
の一例である総形エンドミル10が図示されており、こ
の総形エンドミル10はシャンク部12と、そのシャン
ク部12の先端領域に設けられる切刃形成領域14とを
有し、後者の切刃形成領域14には2枚刃の切刃16
と、夫々の切刃16に対応して設けられるすくい面18
とを有し、図示例では、一方のすくい面18が図示に現
れた状態で示されている。このような総形エンドミル1
0をワークWに予め形成した孔内に送り、その長尺方向
の軸心の回りに矢印Mで示す方向に回転させると、ワー
クWの孔の側面は総形エンドミル10の切刃16の形状
に対応した断面形状を有する溝20が切削、加工される
のである。
【0019】図示から明らかなように、総形エンドミル
10の切刃16は刃溝底の断面が鋭角形状部16aや、
円弧形状部16b、台形形状部16c等の種々、異なる
形状を有し、切刃16の形状をシャンク部12とすくい
面18のみが予め前加工された工具素材の切刃形成領域
14に得るべき所望形状の切刃として切刃16を加工、
製作することは、既述のような従来の加工方法や装置で
は略不可能であり、因って、これを高加工能率で達成す
べく本発明による数値制御による総形工具の加工方法お
よび装置によって達成するものである。なお、図2は、
図1のA−A線から見た断面図であって、総形エンドミ
ル10の切刃16における台形形状部16cにおいて断
面したものであり、2枚刃の切刃16、16に対応して
すくい面18、18を有し、更に本発明の加工装置によ
って加工、製作された1番逃げ面17と2番逃げ面19
との両者が設けられている様子を示している。なお、後
述するワイヤ放電加工機によるワイヤ放電加工時に工具
素材に対して放電加工を施すワイヤ電極30が1番逃げ
面17と2番逃げ面19とで異なる方向に走行すること
示している。
【0020】さて、ここで、上記総形エンドミル10を
例とする総形工具を加工、製作するために用いられるワ
イヤ放電加工機の一例、特に、ワイヤ電極30が垂直方
向に走行する構造を有したワイヤ放電加工機と、本発明
に係る総形工具の加工を実施するためのシステム構成を
図3、図4を参照して説明する。図3、図4において、
本実施形態のワイヤ放電加工機は、基本構造部としてベ
ッド32、コラム34、このコラム34により支持され
たクイル36、上記ベッド32上に設けられたワーク取
付台38とを備え、クイル36はY軸スライダ40を介
してY軸方向(図3の紙面に垂直な方向)に、また同Y
軸スライダ40の上部のX軸スライダ42を介してY軸
に直交したX軸方向に、上記コラム34に対して相対的
に摺動移動可能に設けられている。また、クイル36は
上記のX軸、Y軸と直交したZ軸方向にも所要に応じて
摺動変位が可能に設けられているのである。クイル36
は、その下端にワイヤ電極30の走行を案内する上ヘッ
ド44を有し、この上ヘッド44と上下に対向した下ヘ
ッド46は、上記X軸スライダ42と連設、形成されコ
ラム34の前面からワーク取付台38の内部に向けて水
平方向に突出したアーム48(図4の点線表示を参照)
の上端に保持されている。同アーム48は、X軸スライ
ダ42と連設されることによりX軸、Y軸方向へ一体と
なって移動可能である。故に、上下ヘッド44、46を
X軸方向、Y軸方向に一体移動させて、両ヘッド間に張
設されたワイヤ電極30を常時、縦方向の垂直姿勢に維
持させることができるのである。図3に破線で示した長
孔部分はアーム48が突出し、かつ、X軸、Y軸方向の
移動を許容するために設けられた空間領域である。
【0021】ワイヤ電極30は図示されないワイヤ電極
供給源(例えば、ワイヤ電極ボビン)からガイドローラ
やテンションローラ等の周知のワイヤ送りローラ系を経
て上ヘッド44から下ヘッド46に向けて走行し、この
走行の間にワーク取付台38に保持されたワークWとの
間で放電加工現象を利用したワイヤ放電加工を遂行する
のである。
【0022】本発明の加工装置による総形工具の加工の
実施においては、上記のワーク取付台38の一端に設け
られた後述する回転割出装置50が有するチャック52
に総形工具の工具素材をワークWとして掴持、保持し、
このワークWとの間でワイヤ電極30が相対移動しなが
ら放電加工を遂行し、かつ後述するように、ワイヤ電極
30の走行方向を垂直方向から傾けるテーパ加工作用を
も遂行することにより、ワークWの切刃形成部14に対
して切刃16や1番逃げ面17、2番逃げ面19を加工
する。
【0023】さて、上述したクイル36は、上下のヘッ
ド44、46の間を走行するワイヤ電極30を垂直走行
姿勢に維持した状態でワーク取付台38に保持されたワ
ークWに対して直交2軸のX軸、Y軸方向に相対移動す
ると共に、X軸スライダ42に対してU軸スライダ56
を介してX軸と平行なU軸方向に移動変位可能に、かつ
V軸スライダ58を介してY軸と平行なV軸方向に移動
変位可能に設けられている。つまり、このクイル36の
U軸方向の移動変位とV軸方向の移動変位とは同クイル
36に保持された上ヘッド44をアーム48に保持され
た下ヘッド46に対する相対変位動作として遂行され、
故に、上ヘッド44から下ヘッド46に向けて走行する
ワイヤ電極30は垂直方向から傾斜するようになる(図
4に示した傾斜されたワイヤ電極30を参照)。そし
て、このようにワイヤ電極30を傾斜させた状態でワー
クWとの間に相対移動を付与すると、ワークWには垂直
面に対して傾いた傾斜面、つまりテーパ面が形成される
ことからU軸スライダ56、V軸スライダ58を備えた
ワイヤ放電加工機はテーパ加工機能を有したワイヤ放電
加工機と定義されるのである。
【0024】本実施形態では、ワーク取付台38上に載
置された構造を有する回転割出装置50、すなわち、X
軸と平行な水平軸線の回りに割出回転を付与可能な回転
割出装置50に備えられたチャック52に予め前加工さ
れた総形工具10の工具素材としてのワークWのシャン
ク部12を把持せしめ、従ってワークWを回転割出装置
50の回転軸線のまわりに割出回転を付与し得る状態で
装着するのである。
【0025】なお、後述するように、本実施形態のワイ
ヤ放電加工機ではクイル36の下端に適宜のブラケット
腕60aを介して保持された顕微鏡60を有し、この顕
微鏡60は回転割出装置50の回転軸線に一致させ得る
ように設けられた十字線を顕微鏡視野内に有し、この顕
微鏡60を介して回転割出装置50のチャック52に装
着されたワークWを目視すると、正しく装着されたワー
クWの中心が上記の十字線の交点に一致して見ることが
できるように具備されている。上記顕微鏡60はクイル
36に設けることにより、実質的に回転割出装置50の
回転中心に対してX軸、Y軸、Z軸の3軸方向に移動可
能であり、従ってチャック52にワークWを装着する前
に、予め回転割出装置50の回転中心に十字線の交点を
目視で調節、一致させ、その後にワークWを装着するこ
とにより顕微鏡60の視野内の十字線の交点を基準にワ
ークWの形状、寸法等の計測を行うことができることは
言うまでもない。
【0026】ここで、ワーク取付台38上に回転割出装
置50をX軸と直交するY軸と平行な水平軸線の回りに
割出回転が可能なように載置してもよく、この場合、ク
イル36の下端に保持された顕微鏡60は、回転割出装
置50の回転軸心に一致させ得るように設ける必要があ
る。なお、上述した上、下ヘッド44、46間を走行す
るワイヤ電極30とワーク取付台38の回転割出装置5
0に設けられたチャック52に装着されるワークWとの
間で遂行されるワイヤ放電加工は、一定の加工槽64の
内部を加工領域として遂行され、また、ベッド32の内
部には点線で図示されたベッドタンク66が設けられ
て、このベッドタンク66から加工液が図示されていな
い配管系を経て上、下ヘッド44、46および加工槽6
4内に供給されて加工領域で冷却、除塵等の用途に使用
され、かつ適宜に冷却、浄化されてベッドタンク66へ
回収される構成となっている。
【0027】上述した機械的構成を有するワイヤ放電加
工機は、また図示の数値制御・電源装置70を本発明の
構成要素における制御手段として具備し、放電加工電力
の供給と共に放電加工の数値制御を行うシステム構成を
備えている。数値制御・電源装置70は、内部にワーク
Wに対して所望の切刃形状や逃げ面の加工を実行するた
めの数値制御プログラム、総形エンドミル10の刃数、
逃げ面のテーパ角度、切刃16の刃厚等の加工データを
入力するための加工データ入力手段72、入力された上
記加工データや個々のワークWの加工条件、例えば材
質、オフセット量等並びにワイヤ放電加工機の各可動部
分に対する基本動作指令等を含めた基本システムプログ
ラム等を登録、記憶する記憶手段74、演算手段を有し
て入力された加工データ等からワークWに対して数値制
御による所定の放電加工作用を実施するための加工プロ
グラムを作成、実行するプログラム実行手段76、プロ
グラム実行手段76から出力された数値制御による加工
プログラムに従ってワイヤ放電加工機の各可動部分、つ
まり、Y軸スライダ40、X軸スライダ42、クイル3
6、U軸スライダ56、V軸スライダ58、回転割出装
置50、ワイヤ電極30の走行機構(図示略)等にワー
クWの切刃形状や逃げ面の放電加工に必要な移動々作を
実行させる移動制御指令を形成、送出する移動制御手段
78とを具備して構成されている。
【0028】上述した構成を有するワイヤ放電加工機を
用いてワークWに得るべき所望形状を有した切刃16を
加工し、1番、2番の逃げ面17、19を加工するには
先ず、予め総形エンドミル10の基本形状としての所定
の径、長さを有したシャンク12、所定の長さの切刃部
外形、すくい面18等が加工された工具素材をワークW
としてワイヤ放電加工機の回転割出装置50におけるチ
ャック52に軸線を水平にして装着する。この段階で、
ワークWに前加工段階で形成されたすくい面18と素材
外径との交点を顕微鏡60の視野スクリーン内の基準十
字線に一致させてワークWの正確な設定位置を確立す
る。このような正確な設定位置の確立状態は図6の
(a)に図示されている。
【0029】次いで、数値制御・電源装置70の加工デ
ータ入力手段72から予め作成されている総形エンドミ
ル10の上述した加工データを入力し、かつ、ワークW
の材質や前加工段階の素材の形状、寸法を顕微鏡60を
介して計測することにより得た設計値に対する誤差値等
に応じたオフセット量を入力する。入力された加工デー
タ等は、数値制御・電源装置70のディスプレイ画面上
に図5に示すように表示され、このディスプレイ画面上
の表示データを確認してから切刃形状および逃げ面の加
工プロセス開始される。
【0030】すなわち、数値制御・電源装置70のプロ
グラム実行手段76が入力された加工データやワークW
のデータ、基本システムプロセス等に基づいて同ワーク
Wに対して実行すべき数値制御による加工プログラムを
作成し、実行すべく移動制御手段78に加工プログラム
を送出する。このとき、移動制御手段78は、上述した
諸可動部分を移動させる移動指令を順次に送出して数値
制御プログラムに基づく加工開始点からワイヤ電極30
とワークWとの間の放電加工を開始せしめ所望の切刃形
状に従う加工軌跡をたどる放電加工を進捗させる。
【0031】ここで、上、下ヘッド44、46間を走行
するワイヤ電極30と回転割出装置50のチャック52
に装着されたワークWとの間では、X軸、Y軸の両直交
軸方向の相対移動を合成することにより直線軌跡、曲線
軌跡に沿って加工を進捗させることが可能であり、ま
た、回転割出装置50によりワークWに割出回転を付与
することにより、2枚刃、3枚刃等の刃数に応じてワー
クWの切刃形成部14を所定の加工位置に位置決めし、
放電加工を進捗せしめることができるのである。
【0032】このように、直線軌跡、曲線軌跡に沿って
自在に細い線材形状のワイヤ電極30とワークWとの間
で放電加工を進行させるワイヤ放電加工において、所望
の切刃形状に応じて予め作成した数値制御プログラムに
より決定される所定の加工軌跡をたどり、加工を進捗さ
せることが可能であることから、図1に示した鋭角の切
刃溝16a、円弧状の隅角溝16b、台形状の隅角溝1
6c等の種々異なる刃溝形状についても何ら支障なく、
加工を進捗させることができるのである。
【0033】そして、回転割出装置50によるチャック
52の割出回転も切刃形状の加工の進行に合わせて自動
的に付与されるので、2枚刃あるいは3枚刃等の複数の
刃数を有した総形エンドミル10でも自動的に各切刃1
6に就いて切刃形状の加工が遂行されるのである。更
に、切刃形状とは別にU軸、V軸の移動をクイル36に
付与することにより上ヘッド44を下ヘッド46に対し
て相対変位させ、その結果ワイヤ電極30を垂直走行姿
勢から傾け、ワークWに対してテーパ加工を施すことが
可能となり、故に、このテーパ角度を予め加工データ入
力手段72から入力したテーパ角度データに一致させる
ことによって、所望の1番、2番等の逃げ角度を有した
逃げ面17、19を加工、製作することができるのであ
る。
【0034】なお、既述のように、本発明によれば、ワ
イヤ放電加工機に顕微鏡60を具備し、従って2枚刃の
総形エンドミル10の加工に当たり、ワークWを回転割
出装置50のチャック52に装着したとき、総形エンド
ミル10の工具素材が前加工段階で正しく加工されてい
れば、同素材の外径とすくい面18との交点が顕微鏡の
視野スクリーン内の基準十字線に対して、図6の(a)
で示すように、線上に正しく整合し、このようにワーク
Wの軸心回りの初期位置を正確に確立しておくことによ
り、数値制御による切刃形状の放電加工は常時、ワーク
Wの一定位置から開始され、高精度の切刃加工、製作が
実現される。更に、回転割出装置50によりワークWに
180°の割出回転を単純に付与すれば、2枚刃の総形
エンドミル10における2枚の切刃16が正しく合同に
加工され、高精度の2枚刃総形エンドミルを加工でき
る。
【0035】他方、総形エンドミル10の工具素材の前
加工段階で、例えば、すくい面18の加工時の切除量が
不足して前加工に誤差を含んで加工されたとしても、元
々、この種の前加工段階における加工誤差量は大きな誤
差ではないことから、工具素材の外径とすくい面18と
の交点が顕微鏡の視野内の十字線に対して図6の(b)
に示すように、線上に正しく整合しないような場合で
も、各切刃16を加工、製作する段階で、上記素材の外
径とすくい面18との交点を顕微鏡60の視野内の十字
線に一致する位置まで意識的に回転割出装置50の回転
でワークWを軸心回りに回転させ、十字線上に一致させ
た位置を初期位置に確立、設定して切刃16や1番、2
番の逃げ面17、19の加工を遂行すれば、やはり2枚
の切刃16は全く合同に切刃形状を有して高精度に加工
をすることができるのである。
【0036】図7は、本発明による数値制御による総形
工具の加工装置によって加工、製作される他の総形工具
の実施形態として総形ヘールバイト80の切刃形状を図
示している。同図7において、総形ヘールバイト80
は、ヘール加工装置の主軸に装着されるシャンク部82
と切刃形成部分84に形成された切刃86及びすくい面
88とを有した工具構造を有し、切刃86はその切刃先
の裏面側に逃げ面87を有している。このような総形ヘ
ールバイト80を用いてワークWに得るべき所望形状の
溝を加工する際には、図8に示すように、ヘール加工装
置の主軸90にシャンク部82を装着、固定し、他方、
ヘール加工装置のワークテーブル(図示略)にワークW
を搭載、固定し、主軸90とワークテーブルとの間で互
いに直交するX軸、Y軸両方向の相対移動により総形ヘ
ールバイト80による切削加工を進行させる構成を有
し、図8には矢印Nで示す方向に切削加工が進行し、ワ
ークWの表面に総形ヘールバイト80の切刃86の形状
に応じた加工溝92を加工している状態を図示してい
る。シャンク部82には切削抵抗を吸収するスリット8
1が設けられるが、同スリット81は総形ヘールバイト
80の工具素材の前加工の段階で加工、製作されてい
る。
【0037】なお、ヘール加工装置は主軸90を縦軸線
に沿った下方向に下動させて総形ヘールバイト80に切
り込み送りを付与し得ると共に、縦軸線回りにC軸回転
させることにより、総形ヘールバイト80を直線のみな
らず、曲線方向にも移動させて曲線軌跡に沿って加工溝
92を形成することができるのである。この場合に、図
7に示すように、総形ヘールバイト80の切刃86が切
刃形成部分84の側面領域に種々形状の異なる切刃形状
を有する場合には、上述したヘール加工装置により総形
ヘールバイト80を加工運動させることによって、ワー
クWの凹所の側壁面に沿って切刃86の形状に対応した
加工溝を形成することも可能となるのである。
【0038】図7(a)、(b)に示す切刃形状の切刃
86と逃げ面87を有した総形ヘールバイト80を既述
した図3、図4に示すワイヤ放電加工機で数値制御によ
り放電加工する場合には、総形エンドミル10の場合と
同様に、総形ヘールバイト80の工具素材に予めすくい
面88を形成し、回転割出装置50のチャック52に工
具素材をワークWとして装着する。このときに、図7に
示すようにシャンク部82が既述した総形エンドミル1
0の円筒形シャンク部12と異なり、角形シャンク部8
2を有しているが、この場合には適宜の円筒外形を有し
た治具を用いる等によって、チャック52に装着するこ
とにより、何らの支障もなく角形シャンク部82を有す
るワークWを装着することができる。
【0039】次いで、上記すくい面88を顕微鏡60の
視野スクリーン内の基準十字線における水平線に一致さ
せて初期位置を設定、確立してから、数値制御プログラ
ムに従って既述の総形エンドミル10の切刃16や逃げ
面17を同様に加工することができる。特に、逃げ面8
7の形成では、ワイヤ電極30を垂直方向の走行方向か
ら加工データとして入力される所望の逃げ角に応じた傾
き角度(テーパ角度)を付与した状態で走行させ、所望
の切刃形状の加工をX軸、Y軸の相対移動により既述と
同様に遂行すれば、簡単に、図7(a)に示す種々の異
なる切刃形状を有する総形ヘールバイト80を高能率
に、かつ1回の段取りだけで自動的に進捗させ、加工を
完成させることが可能となる。
【0040】さて、上述においては、本発明による数値
制御により総形エンドミル10、総形ヘールバイト80
等の総形工具をワイヤ放電加工機を用いて数値制御によ
り加工する場合を説明し、特に、ワイヤ電極30を垂直
方向に走行するワイヤ放電加工機を用いて遂行する場合
に就いて説明したが、使用するワイヤ放電加工機は、図
3および図4に示したワイヤ電極30の垂直方向の走行
方式に限るものではなく、次に、図9に図示する水平方
向のワイヤ電極30の走行方式を有したワイヤ放電加工
機を用いて得るべき所望形状の切刃形状を有した総形工
具を加工することも可能である。
【0041】図9を参照すると、本実施形態に係るワイ
ヤ放電加工機は、ベッド100、このベッド100上に
立設されたコラム102、このコラム102の中央部に
設けられたワークベース104、同ワークベース104
から突出形状で設けられ、縦方向(Y軸方向)と該Y軸
方向と直交した図9の紙面に垂直なX軸方向に移動が可
能なワークヘッド106、このワークヘッド106の下
端部に設けられた縦軸(B軸)回りの旋回をチャック1
10を介して後述のワークホルダ112に付与する旋回
台108、コラム102の下方部から水平方向に加工槽
120内に突出したアームの先端に保持されているワイ
ヤ電極30のガイド用の左、右ガイド114、116、
後述するワイヤ送り機構によって走行駆動されるワイヤ
電極30を使用済み後に案内、回収するようにベッド1
00上に設けられたワイヤ回収筒122、同ワイヤ回収
筒122により回収された使用済みのワイヤ電極30を
受容する使用済ワイヤ収納装置124等を具備してい
る。なお、上記の左、右ガイド114、116における
本実施形態では、左ガイド114が図示のように縦方向
のV軸方向と該V軸方向と直交するU軸方向に移動変位
可能に設けられ、後述のようにワークWに対して、所
謂、テーパ加工を施す場合に用いるために設けられてい
る。また、右ヘッド116は図示のようにX軸、Y軸と
直交した水平なZ軸方向に例えば、ワークWの外径寸法
の大小に応じて左、右ヘッド114、116間の距離を
調節するための移動変位をさせ得るように設けられてい
る。
【0042】また、上記のワイヤ送り機構は、ワイヤ供
給ボビン130から送り出されるワイヤ電極30をガイ
ドローラ131、132を経てワイヤ繰出装置133の
ワイヤ繰出ローラ134に送給する機構を有している。
また、ワイヤ繰出装置133は、ワイヤ繰出ローラ13
4とエンドレスベルト135との間で挟持された状態の
ワイヤ電極30に対し、ワイヤ繰出モータM1の駆動に
より繰出力を付与し、更に、下方のダンシングローラ1
36の領域でスイングアーム138を介してワイヤ張力
調整錘139により走行するワイヤ電極30に対してワ
イヤ張力の調整作用を付与し、次いでガイドローラ13
7を経て、ワイヤ送給装置140に送る構成を有してい
る。
【0043】なお、角度センサ138aはスイングアー
ム138の揺動支軸上に取付けられて同スイングアーム
138の揺動角を検出してワイヤ繰出ローラ134を駆
動する上記駆動モータM1を制御して、下流側のダンシ
ングローラ136に向かうワイヤ電極30の繰出量を制
御し、ワイヤ張力を一定に保持している。ワイヤ送給装
置140に達したワイヤ電極30は、同ワイヤ送給装置
140の内部でワイヤ送給ノズル141を経て所定の走
行方向に向けて送り込まれ、押付ローラ142、143
を経る間に既述の左、右ヘッド114、116に対して
押付作用を受けて、正しく水平方向の走行姿勢を維持す
るように案内される。ワイヤ電極30は、左、右のヘッ
ド114、116の間を水平走行する間にホルダ112
に保持された総形工具の工具素材であるワークWとの間
で加工槽120内で放電加工を遂行し、その後、牽引ロ
ーラ144、ピンチローラ145による牽引力を受けて
既述したワイヤ回収筒122に向けて、牽引、指向され
る構成を有している。
【0044】なお、上記のワイヤ送給装置140にはワ
イヤ電極30に対してワイヤ送給ノズル141に向けて
ワイヤ送りローラ140a、ピンチローラ140bを経
て送り込むワイヤ送り駆動モータM2が、上記ワイヤ送
りローラ140aの駆動モータとして設けられており、
また、同様の駆動モータM3が牽引ローラ144とピン
チローラ145と駆動するように設けられている。
【0045】上述した構成を有するワイヤ電極30の水
平走行方式の構造を有したワイヤ放電加工機によって
も、ワイヤ電極30とワークヘッド106のホルダ11
2に保持された総形工具のワークWとの間で放電加工を
進行させることが可能であり、しかも放電加工は、ワー
クWとワイヤ電極30との間で、X軸、Y軸の両軸方向
における相対移動により同ワークWに対して所望の切刃
形状に応じた加工軌跡を数値制御プログラムに基づいて
進捗させることが可能であることから、既述した前実施
形態のワイヤ電極30が垂直走行方式のワイヤ放電加工
機を使用する場合と同様に、総形工具の切刃を得るべき
所望の切刃形状となるように加工、製作することができ
る。しかも、ワークヘッド106の旋回台108の旋回
駆動によりチャック110を介してホルダ112に保持
したワークWに縦軸線回りの旋回を付与することができ
るから、この旋回角度を割出角度に用いれば、2枚刃、
3枚刃等の複数の切刃を有する総形エンドミル10を加
工、製作する場合にも何ら支障なく、高精度に切刃形状
の自動加工を達成することができる。
【0046】更に、本実施形態では、左ヘッド114を
U軸またはV軸方向に移動変位させてワイヤ電極30の
走行方向を水平方向から下方又はワークW側へ傾けてワ
イヤ放電加工を遂行させれば、テーパ加工が可能とな
り、従って総形工具の逃げ面を数値制御により加工する
ことが可能となる。なお、上述した図9に示すワイヤ電
極30の水平走行方式のワイヤ放電加工機を用いる場合
において、ワイヤ放電加工機が上述したコラム102か
らワークベース104を介して水平に突出したワークヘ
ッド106における縦形配置のチャック110、ホルダ
112にワークWを装着し、ワークヘッド106のX
軸、Y軸、チャック110およびホルダ112の割出旋
回を介してワークWをワイヤ電極30に対して相対的に
移動させるようにした構成は、別の実施形態の構成とす
ることも可能である。
【0047】すなわち、例えば、ベッド100上の加工
槽120内部に水平面内でX軸、Y軸の直交両軸方向へ
スライダ機構を介して移動可能に設けたワークテーブル
にワークWの保持用のチャックを設け、また同ワークテ
ーブルを縦軸回りに割出旋回可能に設けておけば、同様
に総形工具の切刃部に得るべき所望切刃形状を放電加工
し、かつ逃げ面をテーパ加工により加工、形成すること
が可能なことは容易に理解できよう。
【0048】
【発明の効果】以上の種々の実施形態の記載から明らか
なように、本発明よれば、事前に工具径、工具長等に応
基本形状をシャンク部や刃部に前加工した総形工具
の素材の切刃形成部分に得るべき所望形状の切刃形状を
加工するために、テーパ加工機能と割り出し位置決め可
能な回転割出軸とを有し、垂直方向に走行するワイヤ電
極を備えたワイヤ放電加工機を用い、同ワイヤ放電加工
機の割出回転軸装置に上記総形工具の素材(ワーク)の
シャンク部を水平軸線周りに回転可能に装着し、予め得
るべき所望形状の切刃形状に応じて作成された数値制御
プログラムに基づいて、ワイヤ電極とワークとの相対的
な移動を制御手段で制御することによって放電加工によ
り総形工具の切刃形成部分に切刃と2番逃げ面との加工
切刃加工工程および逃げ面加工工程により連続的にか
自動的に遂行するものであるので、得るべき切刃形状
が複雑な形状であったり、複数の切刃を持つ総形エンド
ミル等の総形工具の加工においても1回の段取りで自動
的に切刃、逃げ面の加工、製作を終了させて1個の完成
した総形工具を得ることが可能であり、従って、高能率
で、しかも自動加工により総形工具の加工、製作を達成
できると言う効果を得ることができる。
【0049】また、総形工具の工具素材を割出位置決め
することにより逃げ面の1番、2番取り加工や必要に応
じて工具の不要個所の切除をも容易に行うことができる
のである。更に、細いワイヤ電極をワークの細隙域内に
侵入させて走行させることもできることから、従来のグ
ラインダ(砥石)を用いた研削加工では加工が不可能で
あった細溝形状の切刃溝をも自在に加工可能である点で
著しい加工性能の向上効果が得られるのである。また、
従来のプロファイルグラインダを用いた場合にはとか
く、熟練作業者に頼る加工方法となっていたが、本発明
による数値制御によるワイヤ放電加工機を制御した加工
装置では、特定の熟練者を必要とせず、故に、総形工具
の製作時間の短縮を図ることも可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る数値制御による総形工具の加工装
置によって加工、製作された種々異なる断面形状の切刃
形状を有した2枚刃の総形エンドミルの正面図と同総形
エンドミルによりワークに切削加工される加工形状の断
面図である。
【図2】図1のA−A線から見た総形エンドミルの断面
図である。
【図3】本発明に係る数値制御による総形工具の加工装
置の1実施形態を成すワイヤ放電加工機、特に、ワイヤ
電極が垂直方向に走行する領域でワークとの間で放電加
工を遂行する実施形態のワイヤ放電加工機とワークの取
付け状態を図示した正面図と基本構成のブロック図であ
る。
【図4】図3の矢印Bの方向から見た側面図である。
【図5】図5は、ワイヤ放電加工機の数値制御・電源装
置に設けられたディスプレイ画面の表示データの一例を
示す略示図である。
【図6】図3に示すワイヤ放電加工機に具備された顕微
鏡を通して2枚刃の総形エンドミルの底面形状を目視し
た場合の工具端面状態を示す顕微鏡視野図を示してお
り、(a)が総形エンドミルの前加工素材のすくい面加
工が正しく行われた場合の顕微鏡十字線とすくい面との
関係を示した図、(b)は総形エンドミルの前加工素材
のすくい面加工が不足して顕微鏡十字線とすくい面との
間に不一致がある場合の図である。
【図7】本発明による総形工具の加工装置によって加
工、製作された切刃形状を有する側面加工用の総形ヘー
ルバイトの例を示した図であり、(a)は正面図、
(b)は同(a)図の矢印Cの方向から見た底面図であ
る。
【図8】本発明による総形工具の加工装置によって加
工、製作された底面加工用の総形ヘールバイトの形状と
同総形ヘールバイトによりワークに加工された加工溝の
形状を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る数値制御による総形工具の加工装
置の他の実施形態として用いられるワイヤ放電加工機、
特に、ワイヤ電極が水平方向に走行する領域でワークと
の間で放電加工を遂行する実施形態のワイヤ放電加工機
とワークの取付け状態を図示した正面図である。
【符号の説明】
10…総形エンドミル 12…シャンク部 14…切刃形成部分 16…切刃 17…1番逃げ面 18…すくい面 19…2番逃げ面 30…ワイヤ電極 36…クイル 40…Y軸スライダ 42…X軸スライダ 44…上ヘッド 46…下ヘッド 50…回転割出装置 52…チャック 56…U軸スライダ 58…V軸スライダ 70…数値制御・電源装置 72…加工データ入力手段 74…記憶手段 76…プログラム実行手段 78…移動制御手段 80…総形ヘールバイト 82…シャンク部 84…切刃形成部分 86…切刃 87…逃げ面 88…すくい面 106…ワークヘッド 108…旋回台 110…チャック 114…左ヘッド 116…右ヘッド W…ワーク
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−299632(JP,A) 特開 昭58−10423(JP,A) 特開 平3−234427(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23H 7/02 - 7/20

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 得るべき所望形状の切刃形状を持った総
    形工具の刃先部の形状を加工する装置において、垂直方向に 走行するワイヤ電極とワークとを相対移動さ
    せながら放電加工を行い、かつテーパ加工を行うことが
    できるワイヤ放電加工手段と、 予め工具径、工具長に応じた基本形状をシャンク部や刃
    部に前加工した前記総形工具の工具素材に、切刃加工工
    程の前記総形工具の切刃形状及び逃げ面加工工程の前記
    総形工具の2番逃げ面形状を数値制御プログラムに従っ
    連続的に放電加工する際の加工条件を設定・登録する
    加工条件登録手段と、 前記ワイヤ放電加工手段に設けられ、前記総形工具の工
    具素材をワークとして装着するワーク取付部を先端に有
    すると共に該ワーク取付部に前記工具素材のシャンク
    部を装着し前記工具素材を割り出し位置決め可能な
    平軸線まわりの割出軸を有した回転割出軸手段と、 前記総形工具に形成する所望の切刃形状及び2番逃げ面
    形状の数値制御プログラムに前記設定・登録した加工条
    件を加えた加工プログラムを前記ワイヤ放電加工手段に
    対して実行し、かつ該ワイヤ放電加工手段のテーパ加工
    機能を用いて前記総形工具の工具素材に対して数値制御
    放電加工を行い、前記総形工具の切刃形状の加工を行う
    切刃加工工程と2番逃げ面形状の加工を行う逃げ面加工
    工程とを連続的に遂行させる制御手段と、 を具備したことを特徴とする数値制御による総形工具の
    加工装置。
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