JP2827845B2 - 地すべり抑止用鋼管杭 - Google Patents

地すべり抑止用鋼管杭

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JP2827845B2
JP2827845B2 JP26842693A JP26842693A JP2827845B2 JP 2827845 B2 JP2827845 B2 JP 2827845B2 JP 26842693 A JP26842693 A JP 26842693A JP 26842693 A JP26842693 A JP 26842693A JP 2827845 B2 JP2827845 B2 JP 2827845B2
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pipe pile
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ネジ継手部によ
り継杭される地すべり抑止用鋼管杭に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】地すべり抑止用鋼管杭は、地すべり地帯
に設置されるので、その施工場所は重機等の搬入が困難
な急斜地であることが多く、打撃により杭を打ち込むこ
とが不可能なため、プレボーリングした孔に杭を建て込
んでいる。ところで、地すべり抑止用鋼管杭の全長は、
現地の状況によって相違するが、一般に20〜30mに
達する場合が多い。しかし、輸送等の制限があるため、
5m程度の鋼管杭を現場で継杭しながら施工するのが通
常である。この継杭作業は、不安定な作業環境下で行な
われるため、迅速且つ確実な作業が強く要求される。
【0003】このような、地すべり抑止用鋼管杭及びそ
の施工には、以下のような特徴がある。 外径が小さく厚さが大きい(小径厚肉杭)。 地すべりの崩壊面は、どの面で起こるかを予測する
ことが難しいため、継手部分に杭本体と同等の強度(特
に曲げ強度)が要求される。 上記のようにボーリングマシン等で予め地盤に
削孔してから鋼管杭を孔中に挿入し、設置するという施
工法による。 山岳地斜面上の非常に狭い場所で施工するため、特
別な機械を使用しにくい。また、使用すると多くの人手
や時間がかかったりして不経済になる。
【0004】そして、このような地すべり抑止用鋼管杭
の継杭は、従来、現場での溶接作業によって実施されて
いる。しかしながら、このような作業環境が悪い所での
現場溶接は、下記に示す問題点を有している。 継杭作業に多くの時間を要する。例えば、外径φ3
00mm×厚さ30mm程度の鋼管杭を溶接で継杭する
場合には、2〜3時間必要である。 溶接部の品質が天候に大きく左右される。 熟練した溶接工が必要であるが、優れた溶接技能工
を確保しにくい。
【0005】地すべり抑止用鋼管杭では、以上述べたよ
うに、従来から溶接による継杭方法が使用されている
が、これに代わって継杭にネジ継手を使用する方法が検
討されている。このようネジ継手を使用する技術につ
いては、既に、以下に示す技術が開示されている。
【0006】(1)実開昭57−133645号公報:
(以下、「先行技術1」という)図14は先行技術1
よる鋼管杭を示す断面図である。先行技術1は、鋼管杭
全般を対象とした継手であるが、以下の理由から地すべ
り抑止用鋼管抗には不適当である。 雄ネジ3、3を有する継手金物19の中央付近の断
面係数を杭本体部1、1と同等に確保するのは、小径で
厚肉の杭の場合、困難であり、継手部の曲げ耐力は、杭
本体部より小さくなる。 該技術による継手はテーパネジを採用していないた
め締め付け時に大きな締め付けトルクを必要とし、その
ためネジ込みとそのトルクの管理に特別な機械が必要に
なり、山岳斜面上の狭い場所で施工する地すべり抑止用
鋼管杭には向かない。
【0007】(2)実開昭59−98923号公報:
(以下、「先行技術2」という)図15は先行技術2
よる鋼管杭を示す断面図、図16は平面図である。先行
技術2は地すべり抑止用鋼管杭を対象とするものであ
り、そのテーパネジ付継手管は、継手部9(継手金物2
0)の外径が杭本体1よりも大きいため、強度上は問題
なく設計することができるが、継手部の外径を杭本体よ
り大きくすると、地盤の削孔径大きくせざるを得ず、
削孔量が増え、施工費が増大する。このため、全体工事
費が従来の溶接方法よりも大きくなり、現実的でない。
【0008】(3)実開平2−112728号公報:
(以下、「先行技術3」という)図17は先行技術3
よる鋼管杭を示す断面図である、先行技術3は建造物の
基礎杭を対象としたネジ継手式鋼管杭であるが、テーパ
ネジが用いられてないためネジ込みに特別な機械を必要
とするとともに、先行技術2と同様に継手部9の外径が
杭本体1よりも大きくなるため、地すべり抑止用鋼管杭
としては不適当である。また、継手部9は杭本体1の
部にそのまま、または、端部を拡径してからネジ加工す
るため継手部強度は杭本体より弱くならざるを得ない。
即ち、ネジ底部分の残厚は杭本体にくらべ、ネジ山高さ
分だけ薄くなり、その結果雄ネジ、雌ネジとも、ネジ底
部分の断面積と断面係数が小さくなるため、継手部の引
張耐力、剪断耐力および曲げ耐力は、杭本体より小さく
ならざるを得ない。また、雌ネジ終点部も断面積が減少
し、引張耐力および剪断耐力が減る。
【0009】(4)特開平4−70414号公報:(以
下、「先行技術4」という)図18は先行技術4による
鋼管杭を示す一部断面図、図19は図18の拡大断面図
である。先行技術4では、テーパネジが用いられてない
ためネジ込みに特別な機械を必要とする。また、強く締
め付けることにより曲げ強度を大きくすることができる
と記載されているが、締め付け力は理論上曲げ強度の増
加には寄与しない。従って、継手金物19の中央付近
(フランジ21の両側)においては、小径で厚肉の鋼管
杭の場合、曲げ強度は杭本体1より小さくならざるを得
ないので、実用上地すべり抑止用鋼管抗には不適当であ
る。
【0010】(5)特開昭64−71916号公報:
(以下、「先行技術5」という) 先行技術5は地すべり
抑止用鋼管杭の継手構造を示しているが、その継手部
は、テーパにより杭本体と同一外径の印籠継手とすると
ともに、その継手部の溶接接合後に、杭本体よりも外径
の大きい円筒状スリーブ金具を継手部に被せ、該スリー
ブ金具内に接着剤を注入することにより継手部を補強す
るようにした構成となっている。従って、この継手部
は、溶接による内側継手部と、その内側継手部を円筒状
スリーブ金具と接着剤で覆う外側継手部の二重継手構造
となっているものであり、継手強度は主として外側継手
部の円筒状スリーブで負担させることになっているた
め、継手部の外径は円筒状スリーブ金具を用いることか
ら当然に杭本体よりも大きくならざるを得ないものであ
る。継手部の外径が杭本体より大きくなると、先行技術
2で述べたと同様の問題がある。加えて、上記のような
二重継手構造では、継杭作業に多大の時間、手数を要す
るという問題がある。
【0011】(6)特公平4−13594号公報:(以
下、「先行技術6」という) この先行技術6は主に油井
管(ケーシング)を対象とした継手構造を示しており、
その継手部はテーパネジによるものであるが、継手部の
外径は管本体よりも大きくなっている。また、油井管で
は特にシール性が要求されるため、最もリークの危険の
少ない雌ネジ継手部の奥内部に雄ネジ継手部の先端面が
当接するショ ルダー部が設けられている。 しかしなが
ら、これらの先行技術には、地すべり抑止用鋼管抗にお
いて、その継手部の外径を杭本体よりも大きくしないと
いう考えの基に継手部を構成したものは見られない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】そこで、この発明は、
地形的悪条件下で地すべり抑止用鋼管抗の継杭作業を実
施しなければならないことに鑑み、下記に示す課題を解
決する地すべり抑止用鋼管抗を提供することを目的とす
るものである。 継手部の外径が杭本体より大きくならないこと。 地すべり抑止用鋼管抗の継杭作業が特別な締め付け
機械を使用せずに人力で短時間に実施できること。 継手部の曲げ強度が杭本体と同等以上であること。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明は、端部にテー
パネジからなる雌ネジ継手部を有する鋼管杭本体と、端
部に前記雌ネジ継手部と同じテーパ角度を持つテーパネ
の雄ネジ継手部を有する鋼管杭本体とをネジ込み結合
してなる地すべり抑止用鋼管杭であって、前記雌ネジ継
手部の外径が、前記雌ネジ継手部を有する鋼管杭本体の
外径および前記雄ネジ継手部を有する鋼管杭本体の外径
とほぼ等しく、前記雌ネジ継手部の雌ネジおよび前記雄
ネジ継手部の雄ネジの各々は、ネジ込む方向を向いた
ジ山前面が、ネジ込む方向に対して斜め方向を向く角度
に形成され、ネジ込む方向と反対の方向を向いたネジ山
後面が、ネジ込む方向に対して直角以下であって直角に
近い角度に形成され、且つ、少なくとも前記雄ネジ継手
には、ネジ込み完了時に前記雌ネジ継手部の先端面が
当接する位置にショルダー部が設けられていることに特
徴を有するものである。また、前記雌ネジ継手部および
前記雄ネジ継手部のネジ山は、1/5から1/10のテ
ーパ角度、5から10mmのネジ山ピッチ、および、2
から4mmのネジ山高さを有するものである
【0014】
【作用】次に、この発明を、上述のように構成した理由
を、図面を参照しながら説明する。
【0015】(1)雌ネジ継手部および雄ネジ継手部
は、両継手部が同じ勾配を有するテーパネジ継手とす
る。 図1はこの発明の地すべり抑止用鋼管杭の1実施態
様を示す一部断面図、図10は現場での継杭作業の様子
を示す断面図である。図10に示すように、現場での継
杭作業は、山岳斜面22の地盤削孔した孔13の中に
雌ネジ継手部2を上端に位置させて先行杭(下杭)1a
を設置した後、雄ネジ継手部3を下端に位置させて後行
(上杭)1bをクレーン(図示せず)等で吊り下げて
下杭1a,上杭1bのネジ継手部2,3を当接して噛み
合わせネジ込むことにより行なわれる。長尺重量物であ
る後行杭(上杭)1bがブラブラ揺れて両者を合わせに
くいが、図1に示すように、ネジ継手部2,3はテーパ
ネジであるので、容易に噛み合わせることができ、多少
のずれがあっても噛み合わせ可能である。図1におい
て、1cは杭周面、1dは杭周面を示す。
【0016】 雌ネジ継手部および雄ネジ継手部の必要なネジ山の
数は、そのピッチ等により異なるが、我々の試設計によ
れば、15〜30山程度になる。テーパネジは、テーパ
の角度とネジ山の間隔、ネジ山高さおよびネジ山の形状
を適当に調整することにより、数回転でネジ込みを終了
させることができ、そのため機械を使わず、人力でネジ
込みが可能になるという利点を有する。実用上、回転数
は3〜5回転程度に設定する。このような、ネジ山とす
るには、ネジ山のテーパ角度は1/5から1/10、ネ
ジ山ピッチは5から10mm、および、ネジ山高さは2
から4mmが好ましい。これに対して、従来の平行ネジ
では、噛み合わせてからネジ込み完了までにネジ山の数
だけ後行杭を回転させる必要がある。しかし、地すべり
抑止用鋼管杭の施工現場は、一般に山腹の狭い斜面上で
あるため、作業環境が極めて悪く、特殊なあるいは大型
締め付け機械を使用しにくいため、15〜30回も回
転することは容易でない。このような理由から、継手部
は、人力で数回転でネジ込みが完了するようなテーパネ
ジとしている。
【0017】(2)雌ネジ継手部の外径は、鋼管杭本体
の外径とほぼ同一にする。継手部の外径を杭本体より大
きくすると削孔径も大きくなり、工事費が増大するの
で、雌ネジ継手部の外径は杭本体の外径とほぼ同一にす
る。また、雌ネジ継手部の外径を杭本体の外径と同一に
しても、テーパネジであるため雄ネジ継手部のネジ終点
部におけるネジ底部の厚みを確保することができ、断面
係数を大きくとることができるので、継手部の曲げ強度
を杭本体と同等以上にすることができる。
【0018】(3)雌ネジ継手部の雌ネジおよび雄ネジ
継手部の雄ネジの各々は、ネジ込む方向を向いた面(ネ
ジ山前面)が、ネジ込む方向に対して斜め方向を向く角
度に形成され、ネジ込む方向と反対の方向を向いた面
(ネジ山後面)が、ネジ込む方向に対して直角以下であ
って直角に近い角度に形成されている。 一般に用いられているネジ山の形状は、三角形、台
形、長方形、または、これらに近似した形状である。図
7、図8に示すように、三角形および台形のネジ山は、
継手部9の圧縮側だけでなく、引張側も大きな曲げモー
メントが作用したとき、ネジが外れようとする動きが発
生する。圧縮側は、後述するショルダーを設けることに
よりこれを防止できるが、引張側はその効果が出るはず
はなく、雌雄ネジが外れて十分な曲げ強度を得ることが
できない。また、図9に示すように、長方形のネジ山
は、接触部面が杭軸方向と直角に近い角度であるため、
摩擦抵抗が大きく、人力でネジ込むことができない。
【0019】 図2および図4はこの発明の地すべり抑止用鋼管杭
のネジ継手部の断面図、図3はネジ継手部のネジ山の拡
大断面図である。図4に示すように、雌ネジ継手部2を
有する先行杭1aを地盤に設けた孔の中に入れて固定
し、次に、雌ネジ継手部2と雄ネジ継手部3とを噛み合
わせて後行杭1bを回転させてネジ込むときに、図2お
よび図3に示すネジ山形状であれば、ネジ込む方向Rを
向いた面(ネジ山前面)14が、ネジ込む方向Rに対し
て斜め方向を向く角度(具体的には、ほぼ60〜30°
の角度)に形成され、雌・雄ネジ継手部2と3の接触部
が杭軸方向に対して斜めに当接するために、後行杭1b
の重量Wによってその接触部15に発生する摩擦力を小
さくすることができる。一方、ネジ込む方向Rに対して
直角以下であって直角に近い角度をもった面(ネジ山後
面)16同士は、隙間が開くため(17は隙間)、摩擦
力は発生しない。この結果、人力でもネジ込むことが可
能となる。
【0020】 鋼管杭に地すべり力が作用したとき、図5に示すよ
うに、鋼管杭1には曲げモーメントが発生し、杭断面の
中立軸18の片側には引張力が、他方側には圧縮力が発
生する。継手部9にも同様な力が発生する。引張力が作
用している部分においては、図6に示すように、引張側
は、引張力が杭軸方向(引張力作用方向)に対して直角
以下であって直角に近い角度(具体的には、80〜90
°の角度)をなすネジ山後面16同士で雌・雄のネジ継
手部2、3が接触しているため、ネジ山には互いにずれ
ようとする動きが発生しにくく、従って、曲げに対して
十分な抵抗を有する。
【0021】(4)少なくとも雄ネジ継手部には、ネジ
込み完了時に雌ネジ継手部の先端面が当接する位置にシ
ョルダー部を設ける。即ち、少なくとも外部ショルダー
部を雄ネジ継手部に設ける。 図6に示すようにショルダー部がないと、圧縮側に
おいては、ネジ山の接触部の面は、杭軸方向に対して斜
めの方向であるため、雄ネジ継手部3は、杭断面の内側
方向に、雌ネジ継手部2は杭断面の外側方向に、各々動
こうとする動きが発生してネジ同士がネジが外れようと
する。
【0022】 そこで、ショルダー部を設けることにより、このよ
うな動きを、ネジ継手部の先端面を他方のショルダー部
に当接させて抑える。図1、図2、図4においては、雄
ネジ継手部3雌ネジ継手部2のネジ込みが完了時に
ネジ継手部2の先端面2aが当接する位置にショルダー
部8が設けられ、これにより、雌ネジ継手部2のネジ
込みが完了時に、雌ネジ継手部2の先端面2aが雄ネジ
継手部3に 設けられたショルダー部8に当接し、上述
で述べた動きを抑えることができる。また、外部ショル
ダー部8によると、力伝達面の面圧を低減することがで
きると同時に、曲げに対する抵抗力を増大させることが
できる。なお、同図面では、ショルダー部は雄ネジ継手
部3に設けられているが、ショルダー部は雌・雄両ネジ
継手部に設けてもよい。上記(1)〜(4)の作用によ
り、継手部は、曲げモーメントに対して大きな曲げ強度
を有することができる。
【0023】 更に、ショルダー部はネジ込み時雄ネジの進みに対
するストッパーの役割を果たす。そのため、過大なネジ
込みトルクが加わっても、ネジが限度以上に進んでネジ
部が破損することがない。即ち、ストッパーを設けるこ
とにより、ネジ込み時トルク管理が不要になるという利
点を持つ。
【0024】
【実施例】次に、この発明を図面に示す実施例に基づい
て、更に詳細に説明する。本発明地すべり抑止用鋼管杭
のネジ継手部の曲げ強度について調べた。内径φ31
8.5mm×厚さt25mmの寸法を有する鋼管を杭本
体として使用した。前記杭本体を2本用意し、1本の端
部にテーパネジの雌ネジ継手部2を、もう1本の端部に
テーパネジの雄ネジ継手部3を、それぞれ接続した。ネ
ジ山のテーパ角度は1/6、ネジ山ピッチは8.5m
m、および、ネジ山高さは2.4〜2.5mmであっ
た。また、雌ネジ、雄ネジは、ネジ山前面の角度がα=
45°、ネジ山後面の角度がβ=87°となるように形
成した。そして、この2本を雌ネジ継手部2と雄ネジ継
手部3とによりネジ結合し(10はネジ螺合部)、この
発明の範囲内の地すべり抑止用鋼管杭(以下、「本発明
鋼管杭」という)を調製した。調製した本発明鋼管杭の
継手部の軸方向の断面形状を図11に示す。本発明鋼管
杭は、杭本体1が65kg鋼、雌ネジ継手部2および雄
ネジ継手部3が杭本体1より材料強度が高い80kg鋼
からなっており、杭本体1と雌ネジ継手部2、雄ネジ継
手部3とは工場において溶接によって接続を実施した。
4はその溶接部である。
【0025】次いで、図12に示すように継手部9を中
心にして両端を支点11の上に載置した。次いで、継手
部9の両側上面の載荷点12から下方に荷重Pをかける
ことにより、4点載荷純曲げ試験を実施し、曲げ耐荷力
を調べた。その結果を図13に示す。なお、試験におい
ては、図12に示すように、支点11,11間の距離は
5400mm、荷重をかける載荷点12,12間の距離
は1500mmであった。比較のため、本発明鋼管杭に
使用した鋼管杭1と同寸法、同材質の鋼管(以下、「比
較用鋼管」という)を使用し、同条件の4点載荷純曲げ
試験を実施した。その結果を図13に併せて示す。な
お、図13において、Aは本発明鋼管杭、そして、Bは
比較用鋼管を示し、全断面降伏荷重(118.45t
f)、縁降伏荷重(86.15tf)は、鋼材の理論上
の耐荷力を示す。
【0026】図13に示すように、本発明鋼管杭はその
継手部において、比較用鋼管と同等以上の曲げ耐荷力を
有していた。この結果、本発明鋼管杭は、継手部を含む
ほぼ全長にわたってどの部分でも継手部なしの鋼管杭の
曲げ耐力と同等の耐荷力を均一に有していることがわか
る。
【0027】次に、上述の実験に使用したものと同じ形
状、寸法の本発明鋼管杭を使用して継杭を実施した。即
ち、図10に示すように、ウインチまたはクレーン(図
示せず)で後行杭1bを吊り、先行杭1aと鉛直芯をあ
わせた後、徐々に後行杭1bを降下させた。後行杭1b
の雄ネジ継手部3の先端が先行杭1aの雌ネジ継手部2
に当たったら、後行杭1bの重量の一部を吊りワイヤ5
で負担する程度に半吊り状態にした。次いで仮設足場6
上の作業員7が、後行杭1bを約2回転素手で回転させ
てネジ込んだ。次に、チェーントング(小道具)を用い
て、ネジ継手部の先端がショルダー部に当たるまで約
1.5回転締め込んだ。
【0028】上述の実験および継杭作業に使用した本発
明鋼管杭は、実作業に使用する実物大の鋼管杭である。
そして、我々は、上記継杭作業が、一人の作業員による
人力だけで、2〜3分の短時間で、最後まで締め込むこ
とができることを確認した。しかも、この作業に従事し
た作業員は、ネジ継手施工は初体験であった。この結
果、従来の溶接工法では数時間要する作業時間を本発明
では著しく短縮することができることがわかった。ま
た、継手のネジ形状に関し、ネジ山前面の角度が45°
の場合に加え、60°および80°の場合についても確
認試験を行った結果、45°の場合と同等の結果が得ら
れた。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、以下に示す工業上有用な効果がもたらされる。 本発明の地すべり抑止用鋼管杭は、テーパネジによ
り継杭が可能なので、締め付け機械および特殊な技能を
用いなくとも、人力でネジを締め込むことができ、継杭
に要する作業時間を大幅に短縮できるとともに、工事費
用を大幅に低減することができる。また、締め込み時の
トルク管理も不要である。 ネジ継手部は杭本体とほぼ同一外径であるため、掘
削径を大きくする必要がなく、施工費を低減することが
できる。 テーパネジ式の継手であるため、継手部の外径を杭
本体とほぼ同一径としても、剪断強度および引張強度は
勿論、杭本体と同等の曲げ強度を得ることができる。 少なくとも雄ネジ継手部にはネジ込み完了時、雌ネ
ジ継手部の先端面が当接する外部ショルダー部が設けて
あるので、曲げによる軸圧縮力がかかったときでも、ネ
ジの外れを防止できると同時に、継手部の曲げ耐力を増
大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の地すべり抑止用鋼管杭の1実施態様
を示す一部断面平面図である。
【図2】この発明の地すべり抑止用鋼管杭のネジ継手部
を示す断面図である。
【図3】図2のネジ継手部のネジ山の拡大断面図であ
る。
【図4】この発明の地すべり抑止用鋼管杭のネジ継手部
を示す断面図である。
【図5】曲げモーメントが作用している状態を示す説明
図である。
【図6】大きな曲げが発生したときの継手部の動きを説
明する断面図である。
【図7】ネジ山の形状が三角形のネジ継手を示す断面図
である。
【図8】ネジ山の形状が台形のネジ継手を示す断面図で
ある。
【図9】ネジ山の形状が長方形のネジ継手を示す断面図
である。
【図10】現場での継杭作業の様子を示す断面図であ
る。
【図11】実施例に使用された本発明鋼管杭の継手部を
示す断面図である。
【図12】実施例における試験方法を示す説明図であ
る。
【図13】曲げ試験における本発明鋼管杭と比較用鋼管
の試験結果を示すグラフである。
【図14】先行技術1の鋼管杭を示す断面図である。
【図15】先行技術2の鋼管杭を示す断面図である。
【図16】先行技術2の鋼管杭の平面図である。
【図17】先行技術3の鋼管杭を示す断面図である。
【図18】先行技術4の鋼管杭を示す一部断面図であ
る。
【図19】図18の拡大断面図である。
【符号の説明】 1 鋼管杭本体 1a 先行杭 1b 後行杭 1c 杭外周面 1d 杭内周面 2 雌ネジ継手部 2a 先端面 3 雄ネジ継手部 4 溶接部 5 ワイヤ 6 仮設足場 7 作業員 8 ショルダー部 9 継手部 10 ネジ螺合部 11 支点 12 荷重をかける載荷点 13 孔 14 ネジ山前面 15 接触部 16 ネジ山後面 17 隙間 18 中立軸 19 継手金物 20 継手金物 21 フランジ 22 山岳斜面 R ネジ込む方向 W 後行杭の重量
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 玄 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 前野 博之 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−71916(JP,A) 特公 平4−13594(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E02D 5/24

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 端部にテーパネジからなる雌ネジ継手部
    を有する鋼管杭本体と、端部に前記雌ネジ継手部と同じ
    テーパ角度を持つテーパネジの雄ネジ継手部を有する鋼
    管杭本体とをネジ込み結合してなる地すべり抑止用鋼管
    杭であって、前記雌ネジ継手部の外径が、前記雌ネジ継手部を有する
    鋼管杭本体の外径および前記雄ネジ継手部を有する鋼管
    杭本体の外径とほぼ等しく、 前記雌ネジ継手部の雌ネジおよび前記雄ネジ継手部の雄
    ネジの各々は、ネジ込む方向を向いたネジ山前面が、ネ
    ジ込む方向に対して斜め方向を向く角度に形成され、ネ
    ジ込む方向と反対の方向を向いたネジ山後面が、ネジ込
    む方向に対して直角以下であって直角に近い角度に形成
    され、且つ、少なくとも前記雄ネジ継手部 には、ネジ込み完了時に前
    雌ネジ継手部の先端面が当接する位置にショルダー部
    が設けられていることを特徴とする地すべり抑止用鋼管
    杭。
  2. 【請求項2】 前記雌ネジ継手部および前記雄ネジ継手
    部のネジ山は、1/5から1/10のテーパ角度、5か
    ら10mmのネジ山ピッチ、および、2から4mmのネ
    ジ山高さを有することを特徴とする請求項1記載の地す
    べり抑止用鋼管杭。
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