JP2827092B2 - 人工漁礁 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は人工漁礁、さらに詳
しくは好漁場を形成すべく使用される集魚効果を備えた
人工漁礁の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種人工漁礁としては、例えば
実開昭５５−８８６６７号公報所載の考案が存在する。

【０００３】即ち、この従来のものは図４に示すよう
に、中空半球状の漁礁本体１ａに多数の透孔１０を穿設
し、且つ該漁礁本体１ａ内に多数の栗石１１を収納した
ものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の人工漁礁は、漁礁本体１ａ内に栗石１１を収納する
ものであるために、海底への設置作業が非常に煩雑であ
るという問題点があった。

【０００５】また、特殊形状の漁礁本体１ａを使用する
ものであるために、その製作費用が嵩むという難点を有
し、且つ製作可能な漁礁本体１ａの大きさにも一定の限
界があって大型化を図ることも困難であった。

【０００６】ところで、近年省資源や省エネルギー等の
観点から、各種廃棄物の再利用が盛んに試みられてはい
るが、例えば使用済のコンクリート製電柱等は撤去後
に、破砕して産業廃棄物として処理されているのが実情
であり、かかる一連の破棄処分には膨大な費用を要する
ことも相俟って、破棄電柱等の再利用の要請が非常に強
い。

【０００７】それ故に、本発明はこのような状況に鑑み
て上記従来の問題点を解決するためになされたものであ
り、簡易で且つ安価に製作できると共に、取扱い容易な
人工漁礁の提供を課題とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】即ち、本発明が上記課題
を解決するために採った手段は、使用済のコンクリート
製電柱２を交差させて複数段に段積みされた漁礁本体１
と、上下に位置する前記コンクリート製電柱２の交差部
分を相互に連結するコンクリート製の支柱３とからな
り、且つ前記支柱３の下端部が最下段のコンクリート製
電柱２よりも下方に突出してなる人工漁礁において、前
記支柱３内に鉄筋５が配された点にある。

【０００９】

【作用】従って、上記構成を特徴とする人工漁礁は、海
底等に沈降させて所定位置に設置されるのであるが、各
棒状体２により潮流等が適度に遮蔽されて集魚効果を発
揮することとなる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て図面に従って説明する。

【００１１】図１に於いて、１は使用済のコンクリート
製電柱２を交差させて複数段に段積みした漁礁本体を示
す。即ち、かかる漁礁本体１は、最下段に複数の電柱２
が所定間隔を有して配され、その上に複数の電柱２を９
０゜交差させて略同間隔に配して２段目が形成され、さ
らにその上に前記最下段の各電柱２と向きと配設位置を
一致させて複数の電柱２を配して３段目が形成されてな
り、その上に同様にして数段の電柱２が格子状に段積み
されたものである。尚、電柱２の長さとしては、例えば
１３ｍ乃至１６ｍのものが使用されるが、その具体的な
長さは任意に変更可能である。

【００１２】３は漁礁本体１の電柱２が交差する所定の
部位を連結すべく上下方向に設けられたコンクリートか
らなる角柱状の支柱を示し、該支柱３は図２（イ）のよ
うに吊下用のフック４が上端から突出する８本の支柱３
ａと、同図（ロ）の如く支柱３ａよりも細い４本の支柱
３ｂとからなり、各支柱３ａ，３ｂ内には鉄筋５が配さ
れると共に、その下端部は最下段の電柱２よりも約４０
〜５０ｃｍ程下方に夫々突出するように構成されてい
る。

【００１３】本実施形態は以上のような構成からなり、
かかる人工漁礁は例えばクレーン船等に載せて設置すべ
き海上に搬送し、そのクレーンにより人工漁礁の支柱３
ａに設けたフック４にワイヤーを介して８卓で吊下せし
め、海中に沈めて海底等に設置して使用されるのである
が、構造的にその沈降作業も比較的短時間で行うことが
できる。

【００１４】この場合、各支柱３の下端部は最下段の電
柱２よりも下方に突出されてなるため、該支柱３を介し
て海底等の設置面６に設置されることとなる。従って、
該設置面６と漁礁本体１間には図１（ロ）の如く空間Ａ
が形成されるために、潮の流れを妨げたり、設置面６を
傷めるようなことはない。

【００１５】また、かかる人工漁礁は比較的大きな構造
物であり、且つ大変強固であるために、波浪や潮流によ
って傾倒したり、移動したり、或いは破損することもな
く、安定した状態で長期に亘って設置し得ると共に、例
えば底引網等による影響を受けることもないので、稚魚
の保護が図れるばかりではなく、産卵場としても最適で
ある。

【００１６】また、漁礁本体１の側面に開設される開口
部Ｂの面積は電柱２の外径により決定されることになる
が、かかる開口面積が適当に設定されて、潮流等が適度
に遮蔽されるため、別途遮蔽板の如きものを使用する必
要はなく、良好な集魚効果が得られる。

【００１７】さらに、最下段の電柱２からの支柱３の突
出量は容易に変更できるため、これを適宜変更，調整す
ることにより設置面の土質等に応じた人工漁礁を製作で
きる利点もある。

【００１８】さらに、電柱２及び支柱３は夫々弱アルカ
リ性のコンクリートからなるため、カジメやアカモク等
の有用藻類の種糸の巻付けが容易であり、併せて電柱２
間には比較的大きな空間Ｂが形成されるので、藻類の成
育条件を十分に満たすことになる。

【００１９】また、本実施例に係る人工漁礁は段積され
た使用済のコンクリート製電柱２を鉄筋５が配されたコ
ンクリートからなる支柱３を介して連結するという非常
に簡易な構成からなるために、容易に製作できる利点が
あり、しかも使用済の電柱２を再利用するものであるた
めに、安価で且つ資源の有効利用が図れる結果、環境行
政の一助に大いに寄与し得ることとなる。

【００２０】尚、上記実施形態に於いては、使用済の電
柱２を段積みして漁礁本体１を構成したが、本発明は決
してこれに限定されず、例えば使用済の下水管やコンク
リート製の枕木に取着されたレールを同様にして段積み
して漁礁本体１としても構わない。後者の場合は、レー
ル側を上向き或いは下向きの何れに配してもよいが、下
向きに配すると安定感が得られる利点があり、また該レ
ールの鉄分により集魚効果が向上することになる。

【００２１】さらに、鉄筋５が配されたコンクリートか
らなる支柱３は上記実施例の如く棒状体２の適当な交差
部分に設ければよく、全ての交差部分に設ける必要はな
い他、その具体的な形状等も問わない。

【００２２】その他、使用済電柱２の交差角度等も本発
明の意図する範囲内に於いて任意に変更可能である。

【００２３】

【発明の効果】叙上の様に、本発明は使用済電柱を交差
させて複数段に段積みされた漁礁本体と、上下に位置す
る前記使用済電柱の交差部分を相互に連結すべく鉄筋５
が配されたコンクリート製の支柱とからなるという非常
に簡易な構成であるため、漁礁本体を特殊形状に形成す
る従来の人工漁礁に比して、安価で且つ容易に製作でき
るという格別の効果を得るに至った。

【００２５】また、前記使用済電柱や枕木を備えたレー
ル等を採用することにより、その再利用が図れることと
なって、環境行政の一助に大いに寄与し得るという特有
の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態を示し、（イ）は人工漁礁
の平面図、（ロ）は正面図。

【図２】（イ）及び（ロ）は要部拡大断面図。

【図３】従来例を示す断面図。

【符号の説明】

１…漁礁本体 ２…棒状体 ３…支柱 ７…基板 ８…連結部材 ９…脚部材

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 使用済のコンクリート製電柱（２）を交
   差させて複数段に段積みされた漁礁本体（１）と、上下
   に位置する前記コンクリート製電柱（２）の交差部分を
   相互に連結するコンクリート製の支柱（３）とからな
   り、且つ前記支柱（３）の下端部が最下段のコンクリー
   ト製電柱（２）よりも下方に突出してなる人工漁礁にお
   いて、前記支柱（３）内に鉄筋（５）が配されてなるこ
   とを特徴とする人工漁礁。
2. 【請求項２】 コンクリート製枕木を備えた使用済のレ
   ール（２）を交差させて複数段に段積みされた漁礁本体
   （１）と、上下に位置する前記コンクリート製枕木を備
   えた使用済のレール（２）の交差部分を相互に連結する
   コンクリート製の支柱（３）とからなり、且つ前記支柱
   （３）の下端部が最下段のコンクリート製枕木を備えた
   使用済のレール（２）よりも下方に突出してなり、しか
   も前記支柱（３）内には鉄筋（５）が配されてなること
   を特徴とする人工漁礁。