JP2821726B2 - 表面に砂粒混合の化粧材を表出するコンクリートブロックおよびそのの製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、擁壁、護岸、宅造等を
構築するコンクリートブロックの表面に自然石材の砂粒
混合材あるいは廃材を破砕して砂粒状とした混合材を化
粧層として表面に表出するコンクリートブロックおよび
その製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】擁壁、護岸、宅造等を構築するコンクリ
ートブロックの表面に自然石面を表出したコンクリート
ブロックが近年盛んに開発されている。この自然石面の
表出はほぼ同じ大きさの粒揃いの石塊でないと固化後脱
落して見苦しくなる欠点を有している。また粒揃いの石
塊を常時集荷することは困難であった。

【０００３】さらにこの製造方法では目地部形成用の造
形材や砂等を面パレット内に配し、自然石塊をこの層中
に並置する等多くの手間と作業時間を必要としていた。
その上コンクリートの硬化後面パレットの剥離において
は目地部の造形材を除去する作業等手数が掛る工程が多
く、このため製品価格も高価となる問題点を有してい
る。

【０００４】また面パレット内に凹凸粗面状に形成した
樹脂板を張着することによって表面を凹凸粗面としたコ
ンクリート製品は表面がコンクリート色の白一色となる
ため環境に調和しない。このため顔料を入れて着色した
製品もあるが構築後風雨に暴されると色褪せて見苦しい
構築体となる欠点を有している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の上記
欠点を解消するために開発されたものでブロック表出面
を表出する表出化粧材は何処でも入手できる自然石材の
砂粒、火山砂礫あるいはガラス、陶器および鋳造の際に
出るガラス状の廃材を粉砕して砂粒状とした表出化粧材
を使用して簡単な製造方法で大量生産できるコンクリー
トブロックおよびその製造方法を提供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、何処でも入手
できる自然石材の砂、砂粒、小塊あるいは前記のような
廃材を砂粒状に破砕して自然石材に疑似した表出化粧材
を周縁が斜めの立上り形状とした深さのある面パレット
の底面に水抜き用の細孔を設けた面パレット内に供給し
て、この上から水を噴射して平に均らし、上方に設けた
山谷凹凸形状の押型の押圧と面パレット底面からの振動
で化粧材層中に残溜している水分を底面の水抜き用の細
孔より脱水して表出化粧面材を押型の山谷凹凸状に締固
めて成形し、この化粧面材が湿気を保有しているまま面
パレットを型枠内底部に配置する。

【０００７】このように型枠内に面パレットを装置して
上方より通常通りに硬練り、あるいは軟練りのコンクリ
ートを投入して振動と押圧によってコンクリートを締固
め、面パレット内の化粧材層の上層部をコンクリート中
に埋入固着してコンクリート固化後面パレットを剥離す
ることで表出化粧材がコンクリートに付着している層と
付着していない層との間の層間分離で上層の砂粒はブロ
ック表出面に埋入して化粧層を形成し、下層部の化粧材
は面パレット内に残置されて再使用することができる。

【０００８】

【作用】このようにして成形されたコンクリートブロッ
クの化粧材表出面はコンクリートペーストの表出がな
く、砂粒混合の化粧材の素肌そのままの色彩と形状が表
面に顕現され、その凸出部と凹部は芯はコンクリートで
あって表出面全面が自然石や廃材等の砂粒混合化粧材で
表出されたコンクリートブロックが得られる。

【０００９】

【実施例】添付図面により本発明を説明すると、図１は
本発明方法を実施するための装置であり、Ａは砂粒混合
の表出化粧材Ｓの投入部であって、コンベアー（１０）
上に間欠的に送られる空の面パレットＰにホッパー（１
２）から表出化粧材Ｓとなる砂粒混合材を投入して後水
噴射ノズル（１７）より水を噴射して面パレットＰ上に
盛上っている表出化粧材Ｓを平に均らすと共に化粧材層
Ｓに水を含浸させる。このようにして水を含浸して平に
均らされた化粧材層Ｓ入りの面パレットＰ−１は次の押
型装置Ｂに送られる。

【００１０】化粧材投入部Ａにおいて符号（１０）はチ
ェンコンベアー、（１１）はチェンの底面に取付けたチ
ェンレールである。（１２）は砂粒混合材を貯溜してい
るホッパーであって下部には適量を面パレットＰに供給
する給材函（１３）がシリンダー（１２）の作動によっ
て前後に摺動する。（１４）は閉塞板であって給材函
（１３）の後部に固着されている。また（１５）はホッ
パーの下口を閉塞する閉塞板である。

【００１２】本発明に使用される面パレットＰは図２お
よび図３を参照して、周縁が斜めの立上り形状とした深
さのある面パレットＰの底面に水抜き用の細孔（２０）
を設けたもので、図２に示す面パレットＰは小形のブロ
ック成形用のものであり、図３に示す面パレットＰはク
レーン等を使って吊り上げながら積工するような大形の
ブロック成形用の面パレットであって符号（２１）は補
強用のリブを示す。

【００１３】そして前述のように表出化粧材層Ｓの形成
された面パレットＰ−１は押型装置Ｂに送られ押型Ｔの
押圧によって凹凸形状の表出化粧面が形成される。この
押型装置Ｂでは、コンベアー（１０）によって送られて
来た表出化粧材Ｓ入りの面パレットＰ−１は振動板
（４）上に載置される。振動板（４）は下面に振動機
（５）を設け機枠（２）によって支持されている。
（３）は防振ゴムであって振動機（５）の振動を振動板
（４）以外への振動の伝達を阻止するもので振動の効率
を上げるものである。

【００１４】この振動板（４）の上方には押型Ｔが配さ
れている。この押型Ｔは図４乃至図７に示すように面パ
レットＰに係合する相似の形状をしていて下面には硬質
ゴムや樹脂等によって成形された山谷凹凸形状の凹凸部
（６）が形成されている。この押型Ｔはシリンダー
（７）によって上下動するものである。図中の符号
（１）は機枠であり、（８）はシリンダー（７）の上下
動を正確に作動させる案内軸であり、（９）は案内軸
（８）を支えるメタルであって、この案内軸（８）の上
部には押型Ｔの下降度合を調整するネジが設けられてい
る。

【００１５】この押型装置Ｂでは、表出化粧材投入部Ａ
で水を噴射することによって十分に浸潤している表出化
粧材層Ｓが形成されている面パレットＰ−１を振動板
（４）に載置して振動と上方からの押型Ｔの押圧によっ
て表出化粧材層Ｓの水分は絞り出されて面パレット底面
の細孔（２０）から脱水され押型Ｔの下面の凹凸型
（６）によって山谷凹凸状の表出面に形成されて締固め
られ面パレットＰ−２内の表出化粧材層は図示のＳ−１
状となって水分を含んだまま成形機側Ｃに送られる。

【００１６】成形機での成形については面パレットを使
用する一般の積みブロックの成形と同様であるため特に
図示していないが、押型装置Ｂから送られて来る山谷凹
凸状の表出化粧層Ｓ−１が形成されている面パレットＰ
−２は型枠の内底部に装置され、コンクリートを投入し
て振動と押圧でブロックを成形し、硬練りコンクリート
を使用する即時脱型の場合は成形終了と同時に面パレッ
トに置載されたまま脱型されて養生装置に送られる。ま
た軟練りのコンクリートを使用する場合はコンクリート
の固化を待って型枠を分解して面パレットごと養生装置
に送られる。

【００１７】本発明方法にあっては、養生硬化後の面パ
レットの剥離に当っては、面パレット自体にはコンクリ
ートの付着がなく、面パレットの底面に設けられている
表出化粧材層の上層部のみがコンクリート中に埋入され
ているため、従来のような面パレット剥離装置の必要は
なく唯ブロックを挟持して持ち上げるのみで表出化粧材
がコンクリートの付着している層と付着していない層と
の間の層間分離で簡単に面パレットの剥離ができ、上層
部はコンクリート側に固着してブロックＤの表出面は図
８乃至図１０に示すような凹凸面となって、かつ全面に
砂粒層Ｓの固着した化粧面となり、また面パレットに残
された下層部は再使用ができる。

【００１８】

【発明の効果】本発明において、ブロックＤの表出面の
押型で成形した表出材の山谷凹凸状部はコンクリートを
充填して振動押圧でコンクリートを締固め成形する操作
工程で成形した山谷凹凸形状の表出材は自動的に多少変
形し、ブロックＤに表出される形状は趣の違った化粧面
となり、しかも廃材であるガラス、陶器および鋳造時に
生じるガラス状廃材の砂粒状に疑似破砕した表出化粧
材、あるいはこれらと自然石の砂粒小塊混合化粧材がブ
ロックＤの表出面全面に表出されるためこのブロックの
構築体は趣を変えた景観および審美性が高く更に乱反射
光で構築体の所在確認ができ、事故を未然に防止する作
用効果も奏する。

【００１９】この発明のコンクリートブロックの製造方
法は、表出化粧材が完全に締固め成形されているため即
時脱型する硬練りコンクリートは勿論のこと、表出材が
細密度に締固められているので型枠と共に養生する軟練
りコンクリートを充填することも可能で両者いずれの成
形方法にも採用できるもので、コンクリートブロック表
出面の凹凸形状全面に表出化粧材を表現する要望に十分
対応できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の方法を実施するための装置

【図２】小形のブロックに使用する面パレットの断面図

【図３】大形のブロックに使用する面パレットの断面図

【図４】自然石単体突出型を設けた小形の押型の断面図

【図５】自然石単体突出型を設けた大形の押型の断面図

【図６】一連の突出型を設けた小形の押型の断面図

【図７】一連の突出型を設けた大形の押型の断面図

【図８】大形のブロックＤの平面図

【図９】小形のブロックＤの平面図

【図１０】平板形ブロックＤの平面図

【符号の説明】

（１）…機枠 （２）…振動板の機枠 （３）…防振ゴム （４）…振動板 （５）…振動機 （６）…押型の凹凸面 （７）…シリンダー （８）…案内軸 （９）…案内軸支持メタル （１０）…チェンコンベアー （１１）…コンベアーのチェンレール （１２）…ホッパー （１３）…給材函 （１４）…閉塞板 （１５）…ホッパー下口の閉塞板 （１６）…給材函のシリンダー （１７）…水噴射ノズル （２０）…面パレットの水抜き細孔 （２１）…面パレットの補強リブ Ａ…砂粒給材部 Ｂ…押型成形部 Ｃ…成形機側 Ｄ…ブロック Ｐ…面パレット Ｐ−１…化粧材層の平に形成された面パレット Ｐ−２…化粧材層が凹凸状となった面パレット Ｑ…押型 Ｓ…砂粒 Ｓ−１…押型によって成形された表出化粧層

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】面パレット底面に水抜き用の細孔を形成
   し、該面パレットに自然石材又は廃材の砂、砂粒および
   これらの小塊混合の化粧材の適量を供給し、上方より水
   を噴霧して化粧層を平に均らし、山谷凹凸形状の押型で
   押圧すると共に底面から振動を付勢して化粧材層に残留
   している水分を脱水して締固め成形した凹凸状の表出化
   粧材層入りの面パレットを型枠内底に配しコンクリート
   を投入して押圧と振動で成形し、養生固化後面パレット
   を化粧材層間分離で剥離することを特徴とした表面に砂
   粒混合の化粧材を表出するコンクリートブロックの製造
   方法。
2. 【請求項２】自然石材の砂、砂粒、小塊あるいは廃材を
   前記自然石の砂、砂粒および小塊状に類似破砕した表出
   化粧材を凹凸状の化粧材層としたことを特徴とした請求
   項１に記載の製造方法により製造した化粧材を表出した
   コンクリートブロック。