JP2820218B2 - 管のレーザ溶接装置及びその方法 - Google Patents

管のレーザ溶接装置及びその方法

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JP2820218B2
JP2820218B2 JP6214866A JP21486694A JP2820218B2 JP 2820218 B2 JP2820218 B2 JP 2820218B2 JP 6214866 A JP6214866 A JP 6214866A JP 21486694 A JP21486694 A JP 21486694A JP 2820218 B2 JP2820218 B2 JP 2820218B2
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智隆 林
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は管のレーザ溶接技術の改
良に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザ溶接は他の溶接方法と比べて熱源
のエネルギ密度が高いため溶込みが深く高速溶接が可能
であり、また総入熱量を少なくできるため溶接部の性能
も良好である。このため、鋼管の溶接法としても注目さ
れ、適用が進められている。また、上記レーザ溶接法に
高周波予熱を付加して更なる高速化を図る技術も提案
(特開昭56−168981号等)されている。
【0003】ところで、一般にレーザトーチにはシール
ドガスの吐出孔が設けられているので、溶接部をシール
ドガスで囲うことにより溶接部が大気で酸化する恐れは
ない。しかし、レーザトーチを管外に置いた場合は、管
の外面はガスシールできるが、管の内面はシールできな
い。そこで、管内の溶接部が酸化することになる。
【0004】本出願人は、先に特開平6−142959
号公報「レーザ溶接法による製管方法及びその装置」で
溶接部下方の管内面に不活性ガスを吹きつけ、且つ管内
に溶接スパッタを冷却しつつ押し流す水流を形成すると
いう発明を提案した。不活性ガスで溶接部の酸化を防
ぎ、水流でスパッタを無害化することをポイントとして
いる。詳しくは、シールドガス噴射口並びに水排出口を
備えた損傷防止部材に、レーザビームをかわす貫通孔を
開け、この貫通孔を下広がりの円錐形状とし、この貫通
孔にシールドガスの水平流を形成する。上に狭い貫通孔
であるから上昇する水蒸気の流れを妨げ、しかもシール
ドガスで確実に水蒸気を遮ることを特徴とする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、貫通孔を下広
がりの円錐形状としたために、水蒸気の流れは良好に遮
断できるものの、溶接部下部のガスシールが弱くなって
しまった。一方、平板状の金属帯を管状に曲げ成形する
際に、潤滑剤は不可欠であり、潤滑剤の一部が被溶接部
に残留し、この残留潤滑剤が溶接熱で分解してガス化す
る。弱いガスシールでは分解したガスを遮断する能力に
乏しく、溶接欠陥を招く恐れがある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】そこで、本発明
者等は前記貫通孔の形状を再検討し、且つシールドガス
の分布を見直すことでより好ましいシールド機構やシー
ルド方法が見出せるのではないかとの観点から研究を重
ね、満足し得るシールド機構やシールド方法を確立する
に至った。具体的には、管状に曲げ成形された金属帯の
管外にレーザトーチを配置し、管内にシールド機構を配
置して、前記レーザトーチからシールド機構に向って照
射したレーザビームにて金属帯の被溶接部をレーザ溶接
する管のレーザ溶接装置において、シールド機構を、管
内に挿通されるマンドレルと、このマンドレルの先端に
取付けられた箱体と、この箱体の中央にレーザビームを
通過させるために開けられた貫通孔と、前記箱体の内部
に形成されたガス室と、被溶接部の溶融池より大径のリ
ング状の上向きガス流れを形成すべく前記箱体に開けら
れた第1ガスノズルと、前記貫通孔へ水平向きガスを形
成すべく前記箱体に開けられた第2ガスノズルと、前記
ガス室へシールドガスを供給するガス供給路とから構成
する。
【0007】望ましくは前記ガス室を、第1ガスノズル
に通じる第1ガス室と第2ガスノズルに通じる第2ガス
室とに区分し、第1ガス室に第1ガス供給路を接続し、
第2ガス室に第2ガス供給路を接続し、第1ガスノズル
のガス噴出量と第2ガスノズルのガス噴出量とを互いに
独立して制御できるように構成する。
【0008】前記マンドレルにマンドレル回転手段を付
設し、前記箱体を被溶接部の移動に応じて揺動可能にす
ることが好ましい。
【0009】管状に曲げ形成した金属帯の被溶接部の管
外方からレーザビームを照射し、被溶接部の管内側をシ
ールドガスにて囲うことで酸化を防ぐ管のレーザ溶接方
法において、前記管内側のシールドガスを、弱い円柱状
ガス流れとこの円柱状ガス流れを囲う強い円筒状ガス流
れとで構成し、この円筒状ガス流れの内径を少なくとも
被溶接部の溶融池より大径とし、前記円柱状ガス流れで
溶融池へ向う空気や蒸気を阻止し、前記円筒状ガス流れ
で溶融池へ向う空気や蒸気を阻止し且つ潤滑剤の熱分解
ガスを掃気させる。
【0010】管内側のシールドガスをアルゴンガスと
し、前記レーザビームとともにヘリウムガスを管外側か
ら吹きつける。
【0011】
【実施例】本発明の実施例を添付図に基づいて以下に説
明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。図
1は本発明に係るレーザ溶接装置を備えたロール式管成
形設備の概略図であり、ロール式管成形設備1は平板状
の金属帯Wを、徐々に管状に曲げ成形する設備であり、
高速成形するために、潤滑剤を使用している。このロー
ル式管成形設備1の出側に、高周波加熱手段2、蒸気ブ
ロー手段3及びレーザ溶接装置4をこの順に配置する。
【0012】図2は本発明に係るレーザ溶接装置の平面
図であり、レーザ溶接装置のレーザトーチ5は一対のス
クイズロール6,6の間に配置され、又このレーザトー
チ5の下方、管状金属帯W内にシールド機構10が配置
されている。そして前記レーザトーチ5の上流側に、蒸
気ブロー手段3のガスパージノズル3a,3aを配置
し、更にこれらガスパージノズル3a,3aの上流側に
高周波加熱手段2のコンタクトチップ2a,2aを配置
する。2bは高周波発振器であり、この高周波発振器2
bから給電されたコンタクトチップ2a,2aはレーザ
溶接前の金属帯Wの端部W1,W1に通電する接触子で
ある。なお、コンタクトチップ2aは一例であり、例え
ば誘導加熱用の環状コイルでもよい。
【0013】図3は本発明に係るレーザ溶接装置の長手
断面図であり、金属帯Wは鼓状のスクイズロール6で幅
寄せされるためにレーザトーチ5の上流側でほぼ密接
(便宜上、密接部分を///、溶接ビード部分をXXX
のハッチングを付した。)し、この密接部分より上流部
分をブローするようにガスパージノズル3aとシールド
機構10を配置したものである。このガスパージノズル
3aから噴出されるガスは、圧縮空気、窒素ガス、アル
ゴンガス、ヘリウムガスが好適である。ただし、圧縮ガ
スは清浄化及び乾燥処置されたものを使用する。一方、
シールド機構10から噴出するガスはアルゴンガスであ
る。理由は後述する。
【0014】図4は本発明に係るシールド機構の第1実
施例図であり、シールド機構10は管内に挿通されるマ
ンドレル11と、このマンドレル11の先端に取付けら
れた箱体12と、この箱体12の中央にレーザビームを
通過させるために開けられた貫通孔13と、前記箱体1
2の内部に形成されたガス室14と、被溶接部の溶融池
より大径のリング状の上向きガス流れを形成すべく前記
箱体12に開けられた第1ガスノズル15…(…は複数
個を示す。以下同様。)と、前記貫通孔13へ水平向き
ガスを形成すべく前記箱体に開けられた第2ガスノズル
16…と、前記ガス室14へシールドガスを供給するガ
ス供給路17とからなる。
【0015】図5は図4の平面図であり、箱体12のほ
ぼ中央に貫通孔13が開けられ、この貫通孔13を囲う
ように2列の第1ガスノズル15…が開けられている。
【0016】以上に述べた管のレーザ溶接装置の作用及
びシールド機構(第1実施例)の作用を次に説明する。
図1において、ロール式管成形設備1で平板状の金属帯
Wを徐々に管状に曲げ成形する。高速成形するために潤
滑剤を使用する。この金属帯Wを高周波加熱手段2で予
熱して前記潤滑剤を気化させる。図2において、発生し
た蒸気のうち管の外側の分は蒸気ブロー手段3でブロー
し、管の内側の分はシールド機構10でブローしつつレ
ーザトーチ5で被溶接部を溶接する。
【0017】図6は本発明のシールド機構(第1実施
例)の作用図であり、金属帯Wの被溶接部W2へ管外方
からレーザビーム18を照射する際に、被溶接部W2の
管内側のシールドガスを、弱い円柱状ガス流れ21とこ
の円柱状ガス流れ21を囲う強い円筒状ガス流れ22と
で構成し、この円筒状ガス流れ22の内径を少なくとも
被溶接部W2に形成される溶融池W3より大径としたこ
とを特徴とする。なお、円柱状ガス流れ21は第2ガス
ノズル16…を介して貫通孔13に充満したシールドガ
スが貫通孔13の上下の開口から溢れ出たものをいい、
第1ガスノズル15…によって直接的に形成された円筒
状ガス流れ22よりは極く弱い。円柱状ガス流れ21で
図の下から上へ貫通孔13を介して溶融池W3へ向う空
気や蒸気を阻止し、また円筒状ガス流れ22で溶融池W
3下面へ水平に向う外からの空気や蒸気を阻止し且つ潤
滑剤の熱分解ガスを掃気させる。
【0018】上記の作用を実験によって確認したのでそ
の結果を説明する。
【0019】
【表1】
【0020】表1はシールド機構(第1実施例)のため
の実験条件を示す。すなわち、供試材は炭素鋼であり、
製品寸法は外径101.6mm×肉厚6.0mmの鋼管
であり、図1(即ち図2,3)の高周波加熱手段2にて
約1100℃まで予熱して残留潤滑剤を蒸発させ、蒸気
ブロー手段3にて管外を予めブローし、また管内を図4
のシールド機構10にてブローする。シールド機構10
の貫通孔13は15mmの円筒とし、第1ガスノズル1
5…は径1mm×16個×2列の仕様で開け、第2ガス
ノズル16…は径1mm×8個×4列(4段)の仕様で
開ける。溶接装置は25kWの炭酸ガスレーザ溶接機を
使用し、溶接速度は12m/minとし、レーザトーチ
からレーザビームを囲う形態で100%純度のヘリウム
ガスをシールドガスとして噴射する。
【0021】
【表2】
【0022】表2はシールド機構(第1実施例)に係る
溶接品質の評価表である。なお、溶接品質の評価は溶接
長さ200mmのサンプルを30本採取し、これらを透
過X線検査にかけ、1本でも不合格品がでた場合には溶
接品質を「不良」と判定し、且つ評価を「×」とした。
この判定は以降共通である。なお、第1実施例のシール
ド機構10は第1・第2ガスノズルの流量配分がノズル
面積比にのみ依存するので、シールドガス流量(リット
ル/分)は両者の和で示した。 比較例1:シールドガス流量を0としてみた。当然のこ
とながら、被溶接部に気泡が混入し、溶接品質は不良で
あった。 比較例2:そこでシールドガス(アルゴンガス)流量を
40リットル/分に設定したが、まだガス量が不足であ
って溶接品質は不良のままであった。
【0023】実施例1,2:シールドガス流量を80,
120リットル/分に設定したところ被溶接部に気泡が
残留する恐れが無くなり、溶接品質は良好であった。 比較例3:しかし、シールドガス流量160リットル/
分に増加したところ円柱状ガス流が溶融池を著しく押上
げるために、ビードの形状が不良となりアンダカットが
出現し、溶接品質は不良となった。従って、溶融池に直
接当るガス流は弱める必要があることが分かった。
【0024】図7は本発明に係るシールド機構の第2実
施例図であり、平面図は図5と同一であるから省略す
る。このシールド機構30は、ガス室を、第1ガスノズ
ル15…に通じる第1ガス室31と、第2ガスノズル1
6…に通じる第2ガス室32とに区分し、第1ガス室3
1に第1ガス供給路33を接続し、第2ガス室32に第
2ガス供給路34を接続し、第1ガスノズル15…のガ
ス噴出量と第2ガスノズル16…のガス噴出量とを互い
に独立して制御できるように構成したことを特徴とす
る。
【0025】
【表3】
【0026】表3はシールド機構(第2実施例)のため
の実験条件を示す。すなわち、供試材は炭素鋼であり、
製品寸法は外径101.6mm×肉厚6.0mmの鋼管
であり、図1の高周波加熱手段2にて約1100℃まで
予熱して残留潤滑剤を蒸発させ、蒸気ブロー手段3にて
管外を予めブローし、また管内を図7のシールド機構3
0にてブローする。シールド機構30の貫通孔は15m
mの円筒とし、第1ガスノズル15…は径1mm×16
個×2列の仕様で開け、第2ガスノズル16…は径1m
m×8個×1列(1段)の仕様で開ける。溶接装置は2
5kWの炭酸ガスレーザ溶接機を使用し、溶接速度は1
2m/minとし、レーザトーチからレーザビームを囲
う形態で100%純度のヘリウムガスをシールドガスと
して噴射する。即ち、第2実施例はシールド機構30を
第1・第2ガスノズルの流量を任意に変更できること及
び第2ガスノズルの数が極く少ないことに特徴がある。
【0027】
【表4】
【0028】表4はシールド機構(第2実施例)に係る
溶接品質の評価表である。 比較例4:シールドガスの総量を30リットル/分(2
0+10)としたために、シール効果が期待できずに溶
接品質は不良であった。 実施例3〜6:第2ガスノズルの流量を10リットル/
分に固定し、第1ガスノズルの流量を40,60,12
0,160リットル/分としたところいずれも溶接品質
は良好であった。 比較例5:第1ガスノズルの流量を160リットル/
分、第2ガスノズルの流量を0としたところ、溶接部に
気泡が発生し溶接品質は不良となった。第2ガスノズル
が機能しなかったために貫通孔を介して空気が被溶接部
に至ったためである。したがって、第2ガスノズルの流
量は必要である。 比較例6:第1ガスノズルの流量を0、第2ガスノズル
の流量を10リットル/分としたところ、溶接部は不良
であった。 以上はシールドガスをアルゴンガスとしたが、次にこれ
をヘリウムガスに替えて実験をした。
【0029】比較例7,8:第1ガスノズルの流量を4
0,160リットル/分、第2ガスノズルの流量を10
リットル/分としたにもかかわらず溶接品質は不良であ
った。ヘリウムガスは低密度であり、第1ガスノズルの
形成する円筒状ガス流れの遮断能力がアルゴンガスのそ
れに比較して著しく小さいためと推定できる。即ち、遮
断能力はガス流れの動圧に依存し、動圧が密度に一次比
例することからアルゴンガスの1/10の密度しかない
ヘリウムガスを使用するのは適当でない。
【0030】一方、10kW以上のレーザ溶接では、ア
ルゴンガスはガスプラズマが自己成長するので使用でき
ずにヘリウムガスを使用することが常識となっている。
本発明者等は、レーザビームのエネルギが高い管外をヘ
リウムガスでシールし、金属帯を貫通することでエネル
ギの弱まった管内をアルゴンガスでシールする方法を見
出し、その作用効果を以上の実施例及び比較例で確認し
たわけである。
【0031】実施例7,8:アルゴンガスに5%の酸素
を混合したシールドガスを採用した例であり、溶接品質
は良好であった。アルゴンガスが十分に重いガスであ
り、外気遮断能力が大きいので、自身に若干の酸素や空
気を含んでいても差支えないと言える。微量の酸素は逆
に溶接品質向上作用があるのでこのようにシールドガス
に微量の酸素などを混入できることは都合が良い。ま
た、実験では高純度のアルゴンガスを使用するが、安価
なやや低純度のアルゴンガスを使用することも可能にな
る。
【0032】図8(a),(b)は本発明に係るシール
ド機構の第3実施例図であり、シールド機構40はマン
ドレル11の基部にマンドレル移動手段41を付設し、
次に述べるレーザビーム位置制御機構で回転制御するも
のである。平板状の金属帯Wを管状に曲げ成形し、被溶
接部を真上に位置させるので理想的には被溶接部はライ
ン中心上にあるはずである。しかし、大径管では現実の
被溶接部は平面視で数mm〜数十mmずれることがあ
り、このずれ量をモニターしてレーザトーチ5を移動す
る必要がある。
【0033】そのためのレーザビーム位置制御機構43
は、例えば図8(b)に示す、端面位置計測器44(投
光器45,受光器46からなる)、面温度計47(例え
ば2色温度計)、演算器48からなる。端面位置計測器
44は光学的に金属帯の端面の位置を計測する。面温度
計47は被溶接部及びその付近の温度分布を計測する。
即ち、金属帯の端部が高温で、金属帯の他の部分は低温
であること及びギャップは当然低温であることから衝合
点を推定することができる。演算器48は端面位置演算
部49で金属帯の端面の位置を計算し、衝合点位置演算
部51で衝合点を計算し、双方の情報に基づいて制御量
演算部52でずれ量を計算する。
【0034】制御量演算部52の内容を図示したのが
(a)であり、幾何学的に衝合点53及びずれ量δが演
算できることを示す。(b)の制御部54はずれ量δを
0にする方向へ、レーザトーチ5を移動し、且つマンド
レル移動手段41を介してマンドレル先端の箱体12を
移動する。即ち箱体12をレーザトーチ5に合致させる
べく移動する。以上の構成によりレーザトーチ5及び箱
体12を現実の被溶接部に臨ませることができる。
【0035】
【表5】
【0036】表5はシールド機構(第3実施例)のため
の実験条件を示す。このシールド機構40は管外を高周
波加熱手段2で予熱し、図示せぬ蒸気ブロー手段で管外
をブローし、管内を図7と同様の上下分割式シールド機
構でブローするものであり、第1ガスノズルに100%
純度(正しくは、99.995%以上の純度であるが便
宜上100%純度と表記する。以下同。)のアルゴンガ
スを160リットル/分、流し、第2ガスノズルに10
0%純度のアルゴンガスを10リットル/分、流しつつ
実験をする。ただし、実験の都合で被溶接部に対してレ
ーザトーチ5並びにマンドレル11(箱体12)を2〜
10mm人為的に移動して、図8のシールド装置(第3
実施例)の必要性を確認することにした。
【0037】
【表6】
【0038】表6はシールド機構(第3実施例)に係る
溶接品質の評価表である。 実施例9〜11:レーザトーチ及びマンドレルを2,
4,6mm移動したところ溶接品質は良好であった。 比較例9:レーザトーチ及びマンドレルを8mm移動し
たところ、気泡の混入により溶接品質は不良となった。 比較例10:レーザトーチ及びマンドレルを10mm移
動したところ、気泡の混入及びアンダカットの発生によ
り溶接品質は不良となった。従って、ある程度(例えば
8mm)以上のずれ量が存在すると溶接不良が発生する
ため、特に大径管においてはレーザトーチ5のみなら
ず、マンドレル11(箱体12)を移動する必要があ
る。
【0039】尚、本実施例の第1ガスノズル15…は強
い円筒状ガス流れを形成すれば、数、列数、吹出し角度
は任意に変更して差支えない。また、第2ガスノズル1
6…は弱い円柱状ガス流れを形成すればノズルの数は任
意である。
【0040】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮
する。請求項1のレーザ溶接装置は、管内に配置するシ
ールド機構を、マンドレルと、このマンドレルの先端に
取付けられた箱体と、この箱体の中央にレーザビームを
通過させるために開けられた貫通孔と、箱体の内部に形
成されたガス室と、被溶接部の溶融池より大径のリング
状の上向きガス流れを形成すべく箱体に開けられた第1
ガスノズルと、貫通孔へ水平向きガスを形成すべく箱体
に開けられた第2ガスノズルと、ガス室へシールドガス
を供給するガス供給路とから構成し、第1ガスノズルで
強い円筒状ガス流れを形成して潤滑剤分解ガスを排除
し、第2ガスノズルで弱い円柱状ガス流れを形成して水
蒸気等を遮断するようにし、円柱状ガス流れが弱いため
に溶融池を変形する心配がなく、円筒状ガス流れが強い
ために遮断性能が高く、良好なレーザ溶接がなせる。
【0041】請求項2のレーザ溶接装置は、ガス室を、
第1ガスノズルに通じる第1ガス室と第2ガスノズルに
通じる第2ガス室とに区分し、第1ガス室に第1ガス供
給路を接続し、第2ガス室に第2ガス供給路を接続し、
第1ガスノズルのガス噴出量と第2ガスノズルのガス噴
出量とを互いに独立して制御できるように構成したの
で、円筒状ガス流れ/円柱状ガス流れの強弱を自由に変
更でき、シールドガスの適正な配分が容易に実施でき
る。
【0042】請求項3のレーザ溶接装置は、マンドレル
にマンドレル移動手段を付設し、前記箱体を被溶接部の
移動に応じて移動可能にしたので、被溶接部がシールド
ガスの外に位置して酸化されるなどの不都合は発生しな
い。
【0043】請求項4のレーザ溶接方法は、管内側のシ
ールドガスを、弱い円柱状ガス流れとこの円柱状ガス流
れを囲う強い円筒状ガス流れとで構成し、この円筒状ガ
ス流れの内径を少なくとも被溶接部の溶融池より大径と
し、前記円柱状ガス流れで溶融池へ向う空気や蒸気を阻
止し、前記円筒状ガス流れで溶融池へ向う空気や蒸気を
阻止し且つ潤滑剤の熱分解ガスを掃気させるようにした
ので、円柱状ガス流れが弱いために溶融池を変形する心
配がなく、円筒状ガス流れが強いために遮断性能が高
く、良好なレーザ溶接がなせる。
【0044】請求項5のレーザ溶接方法は、レーザビー
ムのエネルギが高い管外をヘリウムガスでシールし、金
属帯を貫通することでエネルギの弱まった管内をアルゴ
ンガスでシールする方法であり、重いアルゴンガスで管
内側のガスシールド性を十分に高めたことにより、溶接
品質の向上と安価なガスの使用による経済性とを図るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレーザ溶接装置を備えたロール式
管成形設備の概略図
【図2】本発明に係るレーザ溶接装置の平面図
【図3】本発明に係るレーザ溶接装置の長手断面図
【図4】本発明に係るシールド機構の第1実施例図
【図5】図4の平面図
【図6】本発明のシールド機構(第1実施例)の作用図
【図7】本発明に係るシールド機構の第2実施例図
【図8】本発明に係るシールド機構の第3実施例図
【符号の説明】
4…レーザ溶接装置、5…レーザトーチ、6…スクイズ
ロール、10,30,40…シールド機構、11…マン
ドレル、12…箱体、13…貫通孔、14…ガス室、1
5…第1ガスノズル、16…第2ガスノズル、17…ガ
ス供給路、21…弱い円柱状ガス流れ、22…強い円筒
状ガス流れ、31…第1ガス室、32…第2ガス室、3
3…第1ガス供給路、34…第2ガス供給路、41…マ
ンドレル移動手段、43…レーザビーム位置制御機構、
W…金属帯、W1…端部、W2…被溶接部、W3…溶融
池。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 26/00 - 26/14 B21C 37/08

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 管状に曲げ成形された金属帯の管外にレ
    ーザトーチを配置し、管内にシールド機構を配置して、
    前記レーザトーチからシールド機構に向って照射したレ
    ーザビームにて金属帯の被溶接部をレーザ溶接する管の
    レーザ溶接装置において、前記シールド機構は管内に挿
    通されるマンドレルと、このマンドレルの先端に取付け
    られた箱体と、この箱体の中央にレーザビームを通過さ
    せるために開けられた貫通孔と、前記箱体の内部に形成
    されたガス室と、被溶接部の溶融池より大径のリング状
    の上向きガス流れを形成すべく前記箱体に開けられた第
    1ガスノズルと、前記貫通孔へ水平向きガスを形成すべ
    く前記箱体に開けられた第2ガスノズルと、前記ガス室
    へシールドガスを供給するガス供給路とからなることを
    特徴とした管のレーザ溶接装置。
  2. 【請求項2】 前記ガス室を、第1ガスノズルに通じる
    第1ガス室と第2ガスノズルに通じる第2ガス室とに区
    分し、第1ガス室に第1ガス供給路を接続し、第2ガス
    室に第2ガス供給路を接続し、第1ガスノズルのガス噴
    出量と第2ガスノズルのガス噴出量とを互いに独立して
    制御できるように構成したことを特徴とする請求項1記
    載の管のレーザ溶接装置。
  3. 【請求項3】 前記マンドレルにマンドレル移動手段を
    付設し、前記箱体を被溶接部の移動に応じて移動可能に
    したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の管の
    レーザ溶接装置。
  4. 【請求項4】 管状に曲げ形成した金属帯の被溶接部の
    管外方からレーザビームを照射し、被溶接部の管内側を
    シールドガスにて囲うことで酸化を防ぐ管のレーザ溶接
    方法において、前記管内側のシールドガスを、弱い円柱
    状ガス流れとこの円柱状ガス流れを囲う強い円筒状ガス
    流れとで構成し、この円筒状ガス流れの内径を少なくと
    も被溶接部の溶融池より大径とし、前記円柱状ガス流れ
    で溶融池へ向う空気や蒸気を阻止し、前記円筒状ガス流
    れで溶融池へ向う空気や蒸気を阻止し且つ潤滑剤の熱分
    解ガスを掃気させることを特徴とした管のレーザ溶接方
    法。
  5. 【請求項5】 管内側のシールドガスをアルゴンガスと
    し、前記レーザビームとともにヘリウムガスガスを管外
    側から吹きつけることを特徴とした請求項4記載の管の
    レーザ溶接方法。
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