JP2820215B2 - 熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物 - Google Patents
熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物Info
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Description
テルエラストマー(以下TPEという)に、架橋ゴムを
分散せしめた組成物に関するものであり、本発明組成物
は、従来のTPEよりも永久歪みの小さいエラストマー
を実現させると同時に、良好な成形性、離形性を保持す
ることができるため、従来永久歪みが大きくて展開でき
なかった高速かつ大変形を要求される用途(例えばジョ
イントカバー、衝撃吸収材等)にも利用できるものであ
る。また、本発明組成物に含まれるゴムの大部分は、T
PEよりも安価であるため、低コスト化も同時に実現で
きる。
トマー(TPE)は、その良好な成形性、耐熱老化性、
および耐薬品性を有しているため広い分野にわたって普
及している。その反面、TPEの高い弾性率も手伝って
永久歪みが問題とされるケースが多かった。また、永久
歪みの残らない無機の添加剤や、低応力化を狙ったゴム
の添加法が検討されているが、いずれもTPEとの相溶
性が悪いため、望んだ物性が得られなかったり、材料表
面に一部ゴムが露出する結果、成形性、離形性が悪化す
るという欠点があった。
来のTPEの各種利点(熱可塑性、耐油性等)を維持し
たまま、永久歪み性を改善することを課題とするもので
ある。
を解決すべく鋭意努力した結果、遂に本発明を完成する
に到った。すなわち本発明は、(a)熱可塑性ポリエス
テルエラストマーおよび(b)架橋反応可能なゴムを含
有する組成物であって、該組成物の引っ張り永久歪みが
(a)成分単体の75%以下であり、かつ(a)成分を
連続相とすることを特徴とする熱可塑性ポリエステルエ
ラストマー組成物である。
るTPEとは、高融点ポリエステルセグメント(ハード
セグメント)と分子量400〜6000の低融点重合体
セグメント(ソフトセグメント)とからなるブロック共
重合体であり、高融点ポリエステルセグメント構成部分
だけで高重合体を形成した場合の融点が150℃以上で
あり、低融点重合体セグメント構成成分のみで測定した
場合の融点ないし軟化点が80℃以下であるような構成
成分からなる熱可塑性ポリエステル系エラストマーであ
り、その融点は80℃以上である。
するポリエステルはテレフタル酸、イソフタル酸、1,
5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビ安息香
酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、4,4−
スルホニルジ安息香酸等の芳香族ジカルボン酸の残基と
エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメ
チレングリコール、ペンタメチレングリコール、2,2
−ジメチルトリメチレングリコール、ヘキサメチレング
リコール、デカメチレングリコール、p−キシレングリ
コール、シクロヘキサンジメタノール等のジオール残基
とからなるポリエステルあるいはこれら2種類以上のジ
カルボン酸あるいは2種類以上のジオールを用いたコポ
リエステル、あるいはp−(β−ヒドロキシエトキシ)
安息香酸、p−オキシ安息香酸等のオキシ酸及びそれら
の残基から誘導されるポリエステル、ポリピバロラクト
ンなどのポリラクトン、1,4−ビス(4,4´−ジカ
ルボキシジフェノキシ)エタンなどの芳香族エーテルジ
カルボン酸の残基と前述のジオール残基とからなるポリ
エーテルエステル、更に以上述べたジカルボン酸、オキ
シ酸、ジオール類などを任意の組成比で含む共重合ポリ
エステル類の内、融点が150℃以上のものを挙げるこ
とが出来る。この中でも芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジ
オールとからなる共重合ポリエステルが好ましく、特に
ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
リエステルセグメントとの共重合体の中で常温で実質的
に非晶の状態を示すものであり、そのセグメント構成部
分のみで測定した場合の融点あるいは軟化点が80度以
下のものをいう。その分子量は400〜6000が適当
である。また、TPE中の低融点重合体セグメント構成
成分の割合は3〜90%である。代表的な低融点重合体
セグメント構成成分としては、例えば、ポリオキシエチ
レングリコール、ポリオキシポリプロピレングリコー
ル、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリエー
テルグリコール類及びこれらの混合物さらにはこれらの
ポリエーテル構成成分を共重合した共重合ポリエーテル
グリコール類を示す。さらに炭素数2〜12の脂肪族ま
たは脂環族ジカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族また
は脂環族グリコールからなるポリエステル、例えば、ポ
リエチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペー
ト、ポリエチレンセバケート、ポリネオペンチルセバケ
ート、ポリテトラメチレンドデカネート、ポリテトラメ
チレンアゼテート、ポリヘキサメチレンアゼテート、ポ
リ−ε−カプロラクトン等の脂肪族ポリエステル及び2
種またはそれ以上の脂肪族、脂環族ジカルボン酸と2種
またはそれ以上の脂肪族、脂環族グリコールより得られ
る脂肪族共重合ポリエステル等をあげることが出来る。
更には、上記脂肪族ポリエステルと脂肪族ポリエーテル
の混合物または共重合体も挙げることが出来る。中で
も、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリ−ε−
カプロラクトンが好ましく、特にポリオキシテトラメチ
レングリコールが好ましい。
である架橋反応可能なゴムとは、室温で実質的にゴム弾
性を有し、かつ反応可能な官能基を有する高分子化合物
である。(b)成分のゴムについては特に制限するもの
ではないが、熱可塑性または、未架橋のもので成形時
(少なくとも150℃以上)において急速に分解、熱架
橋しないものが望ましい。例えば、ポリエチレン、ポリ
プロピレンなどの結晶性ポリオレフィンセグメントとポ
リビニルアセテート、ポリメチルアクリレート、ポリエ
チルアクリレートまたは、ポリエチレン−ポリプロピレ
ン共重合体、ポリエチレン−ポリプロピレンと共役二重
結合を有する化合物(例えば、1,3−ブタジエン、イ
ソプレン、クロロプレン)との共重合体(いわゆるEP
DM類)などまたはそれらの組み合わせで得られる非結
晶性セグメントとのジまたはマルチブロック共重合体、
いわゆるポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン
と1,3−ブタジエン、イソプレン等のジエン化合物の
ブロック共重合体、いわゆる、スチレン−ブタジエンゴ
ム。または、上記のように熱可塑性でなくても1,3−
ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、の重合体また
はこれらと、ポリエチレン、ポリプロピレン等のα−オ
レフィンや、アクリロニトリルとの共重合体、いわゆる
ジエン系ゴム。更にはこれらに一部、水素や酸化水素を
付加したものも挙げられる。また、以上の任意の混合
物、共重合体も本発明の定義する(b)成分に含まれ
る。これらの中でもポリオレフィン系エラストマーが好
ましく、特にエチレン−アクリル酸エステルマルチブロ
ック共重合体が好ましい。
官能基としては、(a)成分末端の水酸基またはカルボ
キシル基と反応する基であり、例えばエポキシ基、アミ
ノ基、イソシアネート基等の反応性に富む基が挙げられ
る。これら官能基の(b)成分への導入方法は特に制限
されるものではないが、例えば主鎖中に共重合体の形で
導入したり、ラジカル反応などの手法を用いてのグラフ
ト化反応によって導入する方法が簡便である。この中で
も(a)成分のカルボン酸末端と速やかに反応して、良
い相溶性が得られるエポキシ基が好ましく、グリシジル
メタクリレートを共重合体として導入した場合は特に良
好な結果が得られる。反応基濃度は、その官能基の種類
と(b)成分の繰り返し単位の分子量とに依存するが、
例えばエチレン−メチルアクリレ−ト−グリシジルメタ
クリレート共重合体の官能基濃度に関して言えば、10
〜1000個/106 gが適当である。中でも、相溶
性、成形性の観点から、70〜750個/106 gが好
ましく。特に、200〜500個/106 gが好まし
い。
(特に(b)成分量が(a)成分量を超える場合)させ
ると(a)成分が連続相とならない場合がある。この場
合は(b)成分の官能基を利用した動的架橋技術を用い
ると解決できる。架橋剤としては(b)成分の持つ官能
基と反応可能な官能基を2つまたはそれ以上含む必要が
あるが、添加の容易さと反応速度の観点から架橋剤は、
低分子化合物が好ましい。架橋剤の官能基濃度は、
(b)成分の官能基に対して、0.01〜3倍当量が適
当である。好ましい架橋剤の官能基は(b)成分の種類
によって千差万別であるが、(b)成分がエポキシ基を
有する場合は、反応可能な官能基としてカルボン酸基、
アミノ基、イソシアネート基等がある。架橋剤は上記の
官能基の内、2つまたはそれ以上の官能基を有する化合
物である必要があるが、イソシアネート基に関しては架
橋剤に他の官能基が存在するとその間の反応が生じるの
で好ましくない。
化合物の具体例を挙げるならば、アジピン酸、セバシン
酸、グルタール酸、ダイマー酸、テレフタル酸、イソフ
タル酸、トリメリット酸、3−(3´−プロパン酸)−
1,7−ヘプタン二酸、エチレンジアミン四酢酸等の多
カルボン酸、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレン
ジアミン、ジ−(アミノメチル)−ベンゼン、トリ−
(アミノメチル)−ベンゼン等の多アミン類、グリシ
ン、アラニン、β−アラニン、グルタミン酸等のアミノ
酸類、メチレン−ビス−フェニレンイソシアネート、ヘ
キサメチレンジイソシアネート等の多イソシアネート類
が挙げられる。以上の中でも入手のしやすさと反応速度
の観点から、エポキシ基に対してはアジピン酸が望まし
い。また、以上の官能基を含む高分子化合物も、本発明
の技術的範疇であることは言うまでもない。
発明の課題を解決する限り全く任意の配合量でよい。ま
た(b)成分を架橋する架橋剤、その他各種の添加剤が
含まれていても良い。 次に本発明組成物を得る方法と
しては、全く制限されるものではないが、例えば、ロー
ラーニーダ、単軸もしくは多軸スクリュー押出機等を用
いた溶融混合法を採用することができる。
しては、(b)成分が架橋反応可能なゴムであるので、
(a)成分中に(b)成分を微細に分散させることがで
き、その結果、界面を安定化させつつ材料全体の永久歪
みを低下せしめることができるものと思われる。さらに
(b)成分が(a)成分よりも体積分率が大きい場合で
も(a)成分が連続相となることができ、熱可塑性、成
形性そして離形性を保持することができるものと思われ
る。
り具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例に
よって制限を受けるものではなく、前・後期の主旨に適
合する範囲で変更して実施することはいずれも本発明の
技術的範囲に含まれる。なお引っ張り永久歪みに関して
は以下の方法によって測定した。引っ張り永久歪み:ま
ずJIS 1号ダンベルの伸長区間の境界に標線を引い
ておき、試料をクロスヘッドスピード1000mm/m
inで100%伸長後、停止して10分間保持し、試料
をチャックよりはずし、1時間以上放置した後の標線間
距離から永久歪みを求める。
(東洋紡績(株)製のP−55B(ハードセグメントが
ポリブチレンテレフタレート、ソフトセグメントが分子
量約1000のポリテトラメチレングリコールであり、
それらの繰り返し単位の比が5.5:1である熱可塑性
ポリエステルエラストマー))と(b)成分としてポリ
オレフィン系ゴム(住友化学(株)製;bond fa
st 20M)との表1に示す所定量をそれぞれ190
℃の条件下、30mm二軸押出機中で溶融混練してペレ
ット化した後、アジピン酸を所定量加えて再び同じ条件
で二軸押出機を通してそれぞれペレット化し、それらを
射出成形機を用いて目的のテストピースを得た。得られ
た各テストピースの引っ張り永久歪み性を表1に示す。
は従来のTPEの持つ熱可塑性、易成形性を保ったま
ま、永久歪み性を改善できるため、従来の他のエラスト
マーと比較して劣っていた分野にも展開できる。また、
従来法では成形困難、あるいは全く成形できない組成の
ものも成形できるという利点がある。さらに本発明にお
いて配合するゴムはその多くが従来のTPEよりも安価
であり、TPEの普及を阻害してきたコスト面も同時に
解決できる。従って本発明組成物は、従来のTPEの利
点である易成形性を犠牲にすること無しに、永久歪み性
が改善されるので、従来のTPEの市場展開が難しかっ
た用途(ジョイントカバー、衝撃吸収材等)にも有利に
展開でき、産業界に寄与すること大である。
Claims (1)
- 【請求項1】 (a)熱可塑性ポリエステルエラストマ
ーおよび(b)架橋反応可能なゴムを含有する組成物で
あって、該組成物の引っ張り永久歪みが(a)成分単体
の75%以下であり、かつ(a)成分を連続相とするこ
とを特徴とする熱可塑性ポリエステルエラストマー組成
物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2427393A JP2820215B2 (ja) | 1993-02-12 | 1993-02-12 | 熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2427393A JP2820215B2 (ja) | 1993-02-12 | 1993-02-12 | 熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06240116A JPH06240116A (ja) | 1994-08-30 |
JP2820215B2 true JP2820215B2 (ja) | 1998-11-05 |
Family
ID=12133610
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2427393A Expired - Lifetime JP2820215B2 (ja) | 1993-02-12 | 1993-02-12 | 熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2820215B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002275360A (ja) | 2001-03-16 | 2002-09-25 | Toyobo Co Ltd | 電気絶縁材料 |
-
1993
- 1993-02-12 JP JP2427393A patent/JP2820215B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06240116A (ja) | 1994-08-30 |
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