JP2819338B2 - 結晶引上げ装置 - Google Patents

結晶引上げ装置

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JP2819338B2 JP8687790A JP8687790A JP2819338B2 JP 2819338 B2 JP2819338 B2 JP 2819338B2 JP 8687790 A JP8687790 A JP 8687790A JP 8687790 A JP8687790 A JP 8687790A JP 2819338 B2 JP2819338 B2 JP 2819338B2
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晴久 原田
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、結晶引上げ装置に関し、特に、炉内で溶
融した液に種結晶を浸し回転しながらゆっくりと引上げ
て結晶を成長させる方法に用いる結晶引上げ装置に関す
る。
[従来の技術] 従来、光学素子や通常の半導体素子用のシリコン単結
晶を製造する方法としてCZ法が知られている。このCZ法
は、るつぼ内で溶融した液に種結晶を浸し、回転しなが
らゆっくりと引き上げて結晶を成長させる方法で、結晶
直径は引上げる速度と加熱温度とによって調節する。こ
こで、通常の半導体素子用の単結晶は、構造が比較的単
純なため、それ程引上げ条件を厳しく要求されないが、
光学素子に用いる単結晶の場合は、結晶構造が複雑なた
め、かなり厳しい引上げ条件が要求される。このような
CZ法に用いる単結晶引上げ装置として、従来、先端に回
転する軸を備えた接触型スピンドルを上下に移動するテ
ーブルに取付けたものが知られている。このテーブル
は、通常の接触型のスライドにより上下に移動するもの
であった。
[発明が解決しようとする課題] 前述のように、従来のCZ法に用いられる単結晶引上げ
装置は、先端に回転する軸を備えた接触型のスピンドル
を上下に移動するテーブルに取付けた構成となってお
り、そのテーブルは通常の接触型のスライドにより上下
に移動するものであった。
ここで、CZ法は、るつぼを使用するため、るつぼ内の
液に対流が生じるという不都合がある。対流が生じる
と、不純物がその対流によって結晶に混入するという問
題点が生じるとともに結晶欠陥が発生するという問題点
があった。このため、単結晶の引上げ時には、低速でか
つ移動速度のむらなく引き上げることが要求される。す
なわち、引上げ時の振動を極力防止して対流の発生を抑
制する必要がある。
しかし、従来の単結晶引上げ装置では、上記のように
結晶の引上げを行なうために上下に移動するテーブル
は、通常の接触型のスライドにより構成されているた
め、移動速度にむらがあり、引上げ時の振動を有効に防
止することは困難であった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになさ
れたもので、引上げ時の速度むらを極力防止することが
可能な結晶引上げ装置を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] この発明における結晶引上げ装置は、転り案内されて
粗に上下に移動する粗動テーブルと、粗動テーブルに取
付けられ、静圧案内されて上下に移動する微動テーブル
と、微動テーブルに取付けられ、その先端に種の結晶が
付けられ炉内の溶融している原料にその種を付け上方に
移動することによって結晶を成長させる引上げ部材とを
含む。
[作用] この発明にかかる結晶引上げ装置では、粗動テーブル
が転り案内されて上下に移動され、その粗動テーブルに
取付けられた微動テーブルが静圧案内されて上下に移動
され、その微動テーブルに取付けられた引上げ部材の先
端に種の結晶が付けられ、その種が炉内の溶融している
原料に付けられて上方に移動されることによって結晶が
成長されるので、結晶の引上げ動作は静圧支持された状
態で行なわれる。
[発明の実施例] 第1A図ないし第1C図は、本発明の一実施例を示した単
結晶引上げ装置の構造図である。第1A図ないし第1C図を
参照して、単結晶引上げ装置の構成について説明する。
まず、単結晶引上げ装置は、定盤1と、定盤1上に取り
付けられた支柱2と、支柱2に上下に移動可能に取付け
られた粗動テーブル4と、粗動テーブル4に上下に移動
可能に取付けられた微動テーブル10と、微動テーブル10
に一体的に取付けられたエアスピンドル6とを含む。
粗動テーブル4は、粗動テーブル4を上下に移動する
ために取付けられ、支柱2側に取付けられたスライドレ
ール3aとともにLMガイド3を構成するスライド本体3b
と、微動テーブル10の上下の移動のガイドとなるガイド
部5aとを含む。
微動テーブル10は、上記ガイド部5aとともに微動テー
ブル用の静圧エアスライド5を構成する可動テーブル部
5bと、微動テーブル10の移動位置を検出するためのリニ
アスケール11とを含む。
エアスピンドル6は、単結晶の引上げ時に回転を行な
うための回転軸6aと、エアスピンドル6の下方向にかか
る力を軽減するためにのバランスウェイト17にその一端
が取付けられたワイヤ15の他端を取付けるためのフック
61とを含む。
また、支柱2には、粗動テーブル4を回転によって上
下に移動させるボールネジ8が連結されたACサーボモー
タ9が取付けられており、また粗動テーブル4およびエ
アスピンドル6にかかる下方向の力を軽減するためのバ
ランスウェイト16,17に連結されたワイヤ15のガイドと
なるプーリ軸受部13a,13b,13c,14a,14b,14cが取付けら
れている。さらに、支柱2には、粗動テーブル4の上下
の位置確認を行なうためのリニアスケール12が取付けら
れている。
エアスピンドル6の回転軸6aの先端は、軸受端より約
400mm突出しており、この突出した回転軸6aの先端には
白金棒7が取付けられている。白金棒7の下方には炉30
が設置されている。
また、微動テーブル10には、微動テーブル10と粗動テ
ーブル4との位置ずれを防止するためのストッパ機構が
設けられている。すなわち、このストッパ機構は、微動
テーブル10に取付けられた支持部材31と支持部材31に取
付けられたシリンダ32と、後述するシリンダ32のピスト
ン軸に取付けられたストッパ部とから構成されている。
次に第1A図ないし第1C図を参照して、単結晶引上げ装
置の動作について説明する。まず、粗動テーブル4はス
トロークの上限位置にあり、微動テーブル10はストロー
クの下限位置にある。制御装置(図示せず)からの指令
によりACサーボモータ9が駆動される。これにより粗動
テーブル4は作業位置まで下降する。この状態では、エ
アスピンドル6の回転軸6aの先端に取付けられた白金棒
7の先端は炉30中に浸された状態になっている。この状
態で、エアスピンドル6を回転数設定範囲2〜300rpmの
中から設定された回転数で正転または逆転させる。この
回転と同時に、微動テーブル10を上昇させる。所定の時
間この運転を行ない単結晶の引上げ作業が終了した後、
エアスピンドル6を停止する。その後粗動テーブルを上
昇させる。ここで、粗動テーブル4の送り速度は最大で
たとえば150mm/minであり、エアスピンドル6の先端に
取付けられた白金棒7を炉30に接近または後退させる際
にこの送り速度を使用する。粗動テーブル4の駆動はボ
ールネジ8とACサーボモータ9とを用いてセミクローズ
ドループで制御する、すなわち、粗動テーブル4の移動
距離に相当する指令値(パルス数)とACサーボモータ9
に取付けたエンコーダの回転角を比較しその差をフィー
ドバックに制御することにより粗動テーブル4の移動距
離を制御する。なお、粗動テーブル4の移動距離の確認
は、リニアスケール12によって行なう。
微動テーブル10の送り速度は、最大でたとえば3.33mm
/minである。微動テーブル10は、エアスピンドル6の先
端に取付けられた白金棒7によって単結晶が成長される
際の引上げ動作を行うものであり、不純物の混入や結晶
欠陥の原因となる対流の発生を抑制するため引上げ時の
振動を極力防止する必要がある。本実施例では、これに
対応して、静圧エアスライドを使用するとともに、その
駆動を後述するボイスコイル型のリニアモータを用いて
行ない、さらに1/100μmのリニアスケール11を用いる
ことによりクローズドループ制御を行なっている。すな
わち、微動テーブル10の移動量をリニアスケール11によ
り計測し、その計測結果と移動させようとする値(指令
値)との差を取り、その差が零となるように駆動系に駆
動指示を与えることにより微動テーブル10の駆動を制御
している。本実施例ではこのように制御することによ
り、単結晶の引上げ時の速度むらを低減することがで
き、この結果、対流の原因となる振動をも極力防止する
ことができる。
微動テーブル10の取付けられているエアスピンドル6
は、単結晶を引上げる際に回転数設定範囲2〜300rpmの
中で設定された回転数で正転または逆転を一定サイクル
で繰返しながら回転される。ここで、白金棒7に単結晶
を良好な状態で成長させるためには、回転による振動を
極力防止する必要がある。本実施例ではこれに対応し
て、回転性能のよい静圧エアスピンドルを採用している
ため、回転による振動を有効に防止することができ良好
な状態で単結晶を成長させることができる。
第2図は、第1A図に示した単結晶引上げ装置の粗動テ
ーブルの構成を説明するための側面図である。前述のよ
うに粗動テーブル4には、支柱2側に取付けられたスラ
イドレール3aとともにLMガイド3を構成するスライド本
体3bと、微動テーブル10(第1A図参照)の静圧エアスラ
イドのガイドとなるガイド部5aとが取付けられている。
そして、粗動テーブル4の下方に加わる力を軽減するた
めに、バランスウェイト16が設けられており、バランス
ウェイト16と粗動テーブル4とはプーリ軸受部13a,13b,
14a,14bを介してワイヤ15によって連結されている。粗
動テーブル4の上下の移動は、ACサーボモータ9を駆動
することによって行なわれる。
第3A図および第3B図は、第2図に示した粗動テーブル
の上下の移動に使用するLMガイドの詳細を示した構造図
である。第3A図および第3B図を参照して、前述したよう
に、LMガイド3は、固定的に設置され、移動の際のガイ
ドとなるスライドレール3aと、実際に上下に移動するス
ライド本体3bとを含む。スライドレール3aとスライド本
体3bとの間にはボール3cが介在されており、スライド本
体3bのスライド動作に伴ってボール3cが回転する。
第4図は第1A図に示した単結晶引上げ装置の微動テー
ブルに使用する静圧エアスライドの詳細を示した構造図
である。第4図を参照して、静圧エアスライドは、粗動
テーブル4に取付けられ、スライド時のガイドとなるガ
イド部5aと、微動テーブル10側に取付けられた上下に移
動する可動テーブル部5bとからなり、可動テーブル部5b
には、さらに、軸受給気孔5cが設けられている。この軸
受給気孔5cに空気を供給することにより、非接触状態
で、移動が可能となり速度むらを極力防止することがで
きる。
第5A図および第5B図は、第1A図に示した単結晶引上げ
装置の微動テーブルを上下に移動させるためのボイスコ
イル型のリニアモータの詳細を示した構造図である。第
5A図および第5B図を参照して、ボイスコイル型のリニア
モータ20は、コイル部21と、ボビン22と、センターヨー
ク23と、外側ヨーク24とから構成されている。リニアモ
ータ20の駆動は、コイル部21に通電することにより、上
下方向の移動が可能となる。このリニアモータ20の外側
ヨーク24は、粗動テーブル4に取付けられ(第1B図参
照)、リニアモータ20の可動部は、微動テーブル10に取
付けられている。なお、リニアモータ20は推力が小さい
ものを使用しているが、微動テーブルは垂直に取付けら
れているので、下方向にかかる力を軽減する必要があ
る。本実施例では、この対策としてバランスウェイト17
(第1C図参照)を設けている。このバランスウェイト17
は、微動テーブル10の重量に相当するものを吊下げ、そ
のバランスの微調整はバランスウェイト17側にウェイト
を追加することにより行なう。
第6図は、第1図に示したエアスピンドルの詳細を示
した断面構造図である。第6図を参照して、エアスピン
ドル6は、回転軸6aとステータ6bとからなる。ステータ
6bは、バランスウェイト17(第1C図参照)をワイヤ15を
介して連結するためのフック61と、回転軸6aを回転させ
るためのモータ62と、外部から空気を供給するための給
気孔63,64,65と、スラスト軸受を構成するスラスト軸受
給気孔66、67と、ラジアル軸受給気孔68,69,70,71とを
含む。このような構成によるエアスピンドルでは、回転
軸6aは非接触状態で回転されることとなり回転による振
動が極力防止される。この結果、単結晶の引上げ時に発
生する対流を低減することができ品質特性の優れた単結
晶を成長させることができる。
第7図は第1C図に示したストッパ機構の詳細を示した
構造図である。第7図を参照して、ストッパ機構は、微
動テーブル10上に取付けられた支持部材31と、支持部材
31に取付けられたシリンダ32と、シリンダ32のピストン
軸32aの先端に取付けられた樹脂からなるストッパ部33
とを含む。シリンダ32は、ソレノイドバルブ(図示せ
ず)によって駆動され、その動作の条件としては、あら
かじめ制御系にソレノイドバルブの動作条件を設定して
おく。ストッパ機構の働く条件としては、たとえば、粗
動テーブル4が上下に移動している場合や制御系から異
常信号が発生した場合,非常停止ボタンが押された場合
などが考えられる。このストッパ機構を設けることによ
り、粗動テーブル4が早い速度で移動した場合に、リニ
アモータ20(第5A図および第5B図参照)の推力が粗動テ
ーブル4の移動によって生じる力に負けて粗動テーブル
4と微動テーブル10との間で位置ずれが起こる不都合を
防止することができる。また、運転中に異常が発生し、
制御系から異常信号が出て微動テーブル10および粗動テ
ーブル4の制御をOFFさせる場合でも、移動による慢性
力で粗動テーブル4と微動テーブル10との間に位置ずれ
が起こることを防止することができる。さらに、オペレ
ータが非常停止ボタンを押した場合にも上記と同様の効
果が得られる。
このように、微動テーブル10にエアシリンダ32による
ストッパ機構を設けたことにより、粗動テーブル4と微
動テーブル10との位置ずれを有効に防止することがで
き、微動テーブル10に関していえば、微動テーブル10の
駆動用のリニアモータ20に異常な力が加わることも防止
することができる。
以上説明したように、本実施例における単結晶引上げ
装置は、上下に移動する動作部を粗動テーブル4と微動
テーブル10とに分けて構成し、微動テーブル10には、非
接触で高分解能のリニアスケール11およびリニアモータ
20ならびに静圧エアスライド5a、5bを使用することによ
り、微動テーブル10の移動は、非接触に保たれる。ま
た、クローズドループ制御により微動テーブル10の駆動
を制御することにより超低速でかつ速度むらのない単結
晶の引上げを実現することができる。
また、粗動テーブル4と微動テーブル10のそれぞれに
対してバランスウェイト16,17を採用することにより、
単結晶の引上げ時にリニアモータに対し下方に過大な力
が加わることがなくモータの発熱量も少なくなる。この
結果、消費電力の削減を図ることができる。
さらに、微動テーブル10にはエアスピンドル6を取付
けて回転軸6aに連結した単結晶引上げ用の白金棒7を回
転させる構造としたため、回転軸6aの回転は非接触で行
なわれて振動が低減されるので、結晶引上げ中に起こる
対流を極力防止することができ、品質特性の優れた単結
晶を成長させることができる。また、引上げ速度はリニ
アモータ20により、引上げ時の回転数はエアスピンドル
6により容易に制御できるので、種々の引上げ条件の制
御が容易に行なえる。
[発明の効果] 以上のように、この発明によれば、粗動テーブルを転
り案内により上限に移動し、粗動テーブルに取付けた微
動テーブルを静圧案内により上下に移動し、その微動テ
ーブルに取付けた引上げ部材の先端に種の結晶を付けて
炉内の用意している原料にその種を付け上方に移動する
ことによって結晶を成長させることにより、結晶の引上
げ動作は静圧支持された状態で行なわれるので、引上げ
時の速度むらを極力防止することができる。この結果、
結晶の品質特性の向上を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
第1A図ないし第1C図は本発明の一実施例を示した単結晶
引上げ装置の構造図、第2図は第1A図に示した単結晶引
上げ装置の粗動テーブルの構成を説明するための側面
図、第3A図および第3B図は第2図に示した粗動テーブル
の上下の移動に使用するLMガイドの詳細を示した構造
図、第4図は第1A図に示した単結晶引上げ装置の微動テ
ーブルに使用する静圧エアスライドの詳細を示した構造
図、第5A図および第5B図は第1A図に示した単結晶引上げ
装置の微動テーブルを上下に移動させるためのリニアモ
ータの詳細を示した構造図、第6図は第1A図に示したエ
アスピンドルの詳細を示した断面構造図、第7図は第1C
図に示したストッパ機構の詳細を示した構造図である。 図において、3aはスライドレール、3bはスライド本体、
4は粗動テーブル、5aはガイド部、5bは可動テーブル
部、6はエアスピンドル、6aは回転軸、7は白金棒、8
はボールネジ、9はACサーボモータ、10は微動テーブ
ル、11はリニアスケール、15はワイヤ、16はバランスウ
ェイト、17はバランスウェイト、20はリニアモータ、30
は炉、32はシリンダ、32aはピストン軸、33はストッパ
部である。 なお、各図中、同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】転り案内されて粗に上下に移動する粗動テ
    ーブルと、 前記粗動テーブルに取付けられ、静圧案内されて上下に
    移動する微動テーブルと、 前記微動テーブルに取付けられ、その先端に種の結晶が
    付けられ炉内の溶融している原料に前記種を付け上方に
    移動することによって結晶を成長させる引上げ部材とを
    含む、結晶引上げ装置。
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