JP2567461Y2 - バランス装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、工作機械において、鉛
直軸線方向に移動するラムのバランス装置に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】竪型送り装置において、移動部の重量を
バランスさせて駆動部の負荷を軽減している。このバラ
ンス装置としては、ラムヘツドとウェイトとを滑車に掛
架したワイヤで連結したカウンタウェイト方式と、シリ
ンダとラムヘッドとを滑車に掛架したワイヤで連結した
シリンダ方式とが一般的に採用されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】上記カウンタウェイト
方式の場合は、滑車部での摩擦力による抵抗が発生し、
しかも移動質量がウェイト分だけ大きくなるため、ラム
ヘッドの加減速時の負荷が大きくなる不具合がある。ま
た、シリンダ方式の場合は、作動油のリークにより長期
間停止して移動するとシール部の抵抗変動によりバラン
ス力が不安定となり、高精度の位置決めには不向きであ
る。

【０００４】本考案の目的は、上記の問題に鑑みて、高
精度の位置決めを可能としたバランス装置を提供するこ
とである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本考案の要旨は、軸頭本体に鉛直軸線方向に移動可
能に案内され、昇降駆動装置により昇降動するラムと、
このラムに連結板を介して連結された廻り止めバーと、
前記ラムと平行に軸頭本体に回転可能に軸承され、かつ
ねじ回転用モータにより回転駆動されるねじと、このね
じに螺合され前記廻り止めバーをスプリングを介して支
持しているナットと、前記スプリングの荷重を検知する
ロードセルと、このロードセルの検出信号を入力してス
プリングの荷重が一定になるようにねじ回転用モータを
制御する制御装置とから成るものである。

【０００６】

【作用】上記の構成により、ラムの重量は廻り止めバー
を介してスプリングにより支持され、ラムの移動に伴い
制御装置からの位置指令によりねじ回転用モータによっ
てねじを回転し、ロードセルによりスプリング荷重を検
出してナットを前記ラムの移動量と等しい量だけ上下動
させ、スプリングのセット荷重を一定に保持し、ラム重
量をバランスするものである。

【０００７】

【実施例】以下本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。図１において、１は軸頭本体であり、図略の固定部
に固定されている。２は前記軸頭本体１に鉛直軸線方向
に移動可能に軸承されたラムである。このラム２の下端
には、例えば砥石ヘッド３等の加工ユニットが取付けら
れている。

【０００８】前記ラム２の上端には作動バー４が同軸線
上で結合され、この作動バー４はトラクション駆動装置
５により昇降動される。

【０００９】前記トラクション駆動装置５は、作動バー
４に接触するトラクション駆動ローラ６と、このトラク
ション駆動ローラ６を回転駆動するトラクション駆動モ
ータ７とから構成されている。

【００１０】８は軸頭本体１にラム２の軸線と平行な軸
線で移動可能に軸承された廻り止めバーである。この廻
り止めバー８とラム２とは連結板９で連結され、ラム２
並びに廻り止めバー８の双方が廻り止めされている。

【００１１】１０は前記廻り止めバー８と同軸線上に軸
頭本体１に回転可能に軸承されたねじであり、ねじ回転
用モータ１１と歯車１２により回転伝達されている。こ
のねじ１０にはナット１３がねじ１０のリードによって
上下動可能に螺合されている。このナット１３上と前記
廻り止めバー８との間にスプリング１４が介装され、廻
り止めバー８側に設けられたガイドバー３０をナット１
３の貫通穴３１に挿通させることによりナット１３の廻
り止めがなされる。前記軸頭本体１にねじ１０、ナット
１３、スプリング１４に廻り止めバー８を介してラム２
及び砥石ヘッド３等の重量が支えられている。

【００１２】１５はレーザ測長器であり、軸頭本体１に
固設されている。このレーザ測長器１５に対向してミラ
ー１６がラム２の下端部に固設され、これらレーザ測長
器１５とミラー１６とによりラム１の移動量センサを構
成している。

【００１３】４０は前記スプリング１４が対接する廻り
止めバー８に取り付けたロードセルであり、これにより
スプリング１４の荷重を検知してナット１３を一定の位
置に制御するセンサである。このロードセル４０はスプ
リング１４が対接するナット１３側へ取り付けてもよ
い。

【００１４】１９は前記トラクション駆動モータ７とね
じ回転用モータ11を制御するＮＣ制御装置である。この
ＮＣ制御装置１９とトラクション駆動モータ７とは比較
回路２０、駆動回路２１を介して接続され、ねじ回転用
モータ１１は比較回路２２に駆動回路２３を介して接続
されている。そして、前記レーザ測長器１５の検出信号
は前記比較回路２０に入力され、ロードセル４０の検出
信号は前記比較回路２２に入力される。

【００１５】本考案は上記の通りの構造であるから、ラ
ム２等の重量が廻り止めバー８を介してスプリング１４
によつてバランス支持される。また、ラム２はＮＣ制御
装置１９からの送り指令によってトラクション駆動装置
５により移動するが、この送り指令と実際のラム２の移
動量の差がなくなるように、ミラー１６とレーザ測長器
１５とにより前記ラム２の移動量を検出し、この検出信
号と送り指令信号とを比較回路２０で比較演算し、駆動
回路２１によりトラクション駆動モータ７を駆動する。

【００１６】一方、前記ラム２の移動により廻り止めバ
ー８も移動し、廻り止めバー８に対するナット１３の位
置によりスプリング１４のセット荷重が変更される。こ
のスプリング１４のセット荷重をロードセル４０により
検出し、これを比較回路２２によりＮＣ制御装置１９か
らのセット荷重指令とを比較演算し、スプリング１４の
実際のセット荷重と、指令によって与えられたセット荷
重とが等しくなるようねじ回転用モータ１１を駆動す
る。

【００１７】

【考案の効果】上記のように本考案は、軸頭本体に鉛直
軸線方向に移動可能に案内され、昇降駆動装置により昇
降動するラムと、このラムに連結板を介して連結された
廻り止めバーと、前記ラムと平行に軸頭本体に回転可能
に軸承され、かつねじ回転用モータにより回転駆動され
るねじと、このねじに螺合され前記廻り止めバーをスプ
リングを介して支持しているナットと、前記スプリング
の荷重を検知するロードセルと、このロードセルの検出
信号を入力してスプリングの荷重が一定になるようにね
じ回転用モータを制御する制御装置とから構成されたも
のであるから、ラムの移動重量を減少させ、サーボの応
答性の向上が図られるとともに、スプリングの撓み量に
より連続的に支持力の設定ができるので重量バランスを
完全に取ることができる。

【００１８】また、ロードセルによってスプリングのセ
ット荷重を検知してスプリングのセット荷重を制御する
ものであるから、構造が簡単であり低コストとなる。

【００１９】さらに、ナットの位置調整を行うねじ部に
セルフロック機能をもたせ、ラムの落下防止を可能とす
るものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案装置の断面図と制御回路との併図

【符号の説明】

１ 軸頭本体 ２ ラム ４ 作動バー ５ トラクション駆動装置 ６ トラクション駆動ローラ ７ トラクション駆動モータ ８ 廻り止めバー ９ 連結板 １０ ねじ １１ ねじ回転用モータ １３ ナット １４ スプリング １５ レーザ測長器 １６ ミラー １９ ＮＣ制御装置 ４０ ロードセル

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸頭本体に鉛直軸線方向に移動可能に案
   内され、昇降駆動装置により昇降動するラムと、このラ
   ムに連結板を介して連結された廻り止めバーと、前記ラ
   ムと平行に軸頭本体に回転可能に軸承され、かつねじ回
   転用モータにより回転駆動されるねじと、このねじに螺
   合され前記廻り止めバーをスプリングを介して支持して
   いるナットと、前記スプリングの荷重を検知するロード
   セルと、このロードセルの検出信号を入力してスプリン
   グの荷重が一定になるようにねじ回転用モータを制御す
   る制御装置とから成るバランス装置。