JP2507177Y2 - 荷役クレ―ンのア―ム装置 - Google Patents

荷役クレ―ンのア―ム装置

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JP2507177Y2
JP2507177Y2 JP8235790U JP8235790U JP2507177Y2 JP 2507177 Y2 JP2507177 Y2 JP 2507177Y2 JP 8235790 U JP8235790 U JP 8235790U JP 8235790 U JP8235790 U JP 8235790U JP 2507177 Y2 JP2507177 Y2 JP 2507177Y2
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Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は荷物用バランサなどの荷役クレーンのアーム
装置として平行リンク機構を利用するものに係り、特に
リンクの長さ調整を容易化するための技術に関する。
〔従来の技術〕
荷役クレーンのアーム装置において、荷物を吊り下げ
てこれを前後左右に移動するとき、荷物の向きを一定に
保つ必要がある場合には、平行リンク機構を複合的に適
用したアーム装置を利用することが従来から行なわれて
いる。このアーム装置は、例えば特公昭和53−22337号
に記載されているように、特定リンクを共有する複数の
平行リンク機構によって構成され、アーム装置の先端に
取付けた荷物吊下具をどのような位置に移動しても荷物
吊下具は基端側拘束リンクの向きと常に一定の関係を維
持するようになっている。
〔考案が解決しようとする課題〕
しかしながら、複合的平行リンク機構を採用した従来
のアーム装置においては、夫々のリンクの長さが調節不
可能であったため、各リンクの支点間距離を高精度にす
るための加工が必要になり、仮りに加工誤差や組み立て
誤差により対向リンクに平行度がない場合には、最早、
荷物の吊り下げ向きを簡単に修正することができないと
いう問題点があった。特に、荷物の重量に見合ったトル
クで平衡をとりながら荷物をアームの運動範囲内で移動
させる荷役バランサに適用する場合、荷物のパレタイズ
やデパレタイズなどの運搬作業や加工機械に着脱される
治具や器具の搬送などに利用されるため、あらゆる移動
位置で荷物吊下具の向きが一定でなければ荷崩れの原因
にもなる。
また、斯る従来のアーム装置はアームの自重をバラン
スさせたリアームを昇降するのに、油圧シリンダなど複
数個のアクチェータを用いたり、或いはそれらアクチェ
ータに代えてそれらの作用点にワイヤで結合したウエイ
トを利用したりしていたので、前者にあっては複数個の
シリンダの同期動作制御が複雑で、しかも比較的大きな
駆動力を必要とし、また、後者の場合にはウエイトが結
合されている複数のワイヤーに同期的に張力を与える制
御が複雑になる。
本考案は上記従来の問題点を解消することを目的と
し、複合的な平行リンク機構のリンク長さ調整が容易で
あって、リンク機構の組み立て誤差や部品の加工誤差有
無にかかわらず荷物吊下具の向きを一定に維持すること
ができ、しかもアームの昇降動力を1箇所から与えるこ
とができると共に、前記昇降動力を小さくしようとする
ものである。
〔課題を解決するための手段〕
上記課題を解決するための手段として、本考案の荷役
クレーンのアーム装置は、スクリュー軸の上下動に追従
して支点が上下方向に案内されて変位する主アームを持
ち、該主アームの後部にはバランスウエイトを設けると
共に、同主アームの前方自由端部に吊下アームの上端部
寄りを回動自在に連結吊下させ、主アームの前記支点と
バランスウエイトとの間でリンクを主アームに枢支し、
且つ、前記吊下アームの上端部と前記リンクとの間に第
1コネクチングロッドを介在させて、第1平行リンク機
構を形成し、また、前記吊下アームの支点にはベルクラ
ンクを設け、当該ベルクランクの一作用端側に長さ調節
自在に第2コネクチングロッドを吊下して、吊下アーム
の下端部と当該第2コネクチングロッドの下端部とを荷
物吊下具取り付け用のブラケットを介して平行状態に連
結して、第2平行リンク機構を形成し、更に、前記ベル
クランクの他方の作用端側と前記スクリュー軸との間
を、長さ調節可能に第3コネクチングロッドを介して主
アームと平行に連結して第3平行リンク機構を形成した
構造を採用するものである。
前記コネクチングロッドによるリンク長さの調整は、
1例として、コネクチングロッドの一部を、対応する平
行リンク機構の支点連結部に設けたねじ部に螺着し、そ
のねじの嵌合深さを調節可能にすることで、所期の目的
を達成することができる。
〔作用〕
本考案の荷役クレーンのアーム装置は、リンク機構の
組み立て誤差や部品の加工誤差に応じて、各リンク機構
に含まれるコネクチンヂロッドを介してリンクの長さを
調節すれば、荷物吊下具の向きは所望の向きに変更可能
に支持される。また、アーム装置の自重はバランスウエ
イトにより予め平衡化され、その上でスクリュー軸を回
転駆動して、主アームの支点高さを変えながら、荷物吊
下具を昇降させ、このときの昇降動力はスクリュー軸1
箇所から与えられる。
〔実施例〕
第1図は本考案に係る荷役用バランサの一実施例を示
したもので、この荷役用バランサは、ベース1に立設さ
れた支柱3にベアリング5,5を介して水平方向に回転自
在に設けられていて、第1図の表裏面方向に対設された
サイドフレーム7,7上に、複合的な平行リンク機構によ
って構成されるアーム装置9と、このアーム装置9を昇
降駆動する駆動部11と、該駆動部11をマイクロコンピュ
ータ制御する制御部13、および操作部15を備えている。
尚、この荷役用バランサは前記支柱3上に設けずに天井
に敷設した軌道上をX,Y方向に走る移動台によって支持
することもできる。
この荷役用バランサは、アーム装置9の先端部に荷物
吊下具取り付け用のブラケット34を備え、フィンガを備
えた抱え込みハンドやバキューム吸着ハンドなど図示し
ない荷物吊下具が前記ブラケット34の底面側にボス部17
で位置決めされて取り付けられている。従って作業者は
その荷物吊下具の近傍を把持し、アーム装置9の旋回操
作は入力で行ない、また、アームの昇降移動は操作部15
を操作することによってマイクロコンピュータ制御で行
なわれるようになっている。
前記アーム装置9は、第1平行リンク機構21、第2平
行リンク機構22、及び第3平行リンク機構43を含んで構
成される。
即ち、ボールスクリュー軸61の上下動に追従して支点
用の支軸46が上下方向に縦溝ガイド55で案内されて変位
する主アーム24を持ち、該主アーム24の後部にはバラン
スウエイト47を設けると共に、同主アーム24の前方自由
端部に吊下アーム20の上端部寄りを支軸28で回動自在に
連結吊下させ、主アーム24の前記支軸46とバランスウエ
イト47との間でリンク26を主アーム24に支軸29で枢支
し、且つ、前記吊下アーム20の上端部と前記リンク26と
の間に第1コネクチングロッド23を介在させて、第1平
行リンク機構21を構成している。この第1平行リンク機
構21において、第1コネクチングロッド23の両端部は相
互に逆ねじの雌ねじを持ち、吊下アーム20の上端部に支
軸27で枢支した連結部23Aの雄ねじと、リク26に支軸30
で枢支した連結部23Bの雄ねじを両側からそれら雌ねじ
にねじ嵌合し、そのコネクチングロッド23を回すことに
より、回転方向に応じて支軸27と30の距離が調節可能に
なっている。
前記第2平行リンク機構22は、前記吊下アーム20の支
軸28にベルクランク33を固定し、当該ベルクランク33の
一作用端側の支軸37と前記荷物吊下具取り付け用のブラ
ケット34の支軸38の間に第2コネクチングロッド36を吊
下配置し、吊下アーム20の下端部と当該第2コネクチン
グロッド36の下端部とをブラケット34を介して平行状態
に連結して構成されている。この第2平行リンク機構22
において、第2コネクチングロッド36の両端部は相互に
逆ねじの雌ねじを持ち、支軸37でベルクランク33に枢支
した連結部36Aの雄ねじと、ブラケット34に支軸38で枢
支した連結部36Bの雄ねじを両側からそれら雌ねじにね
じ嵌合し、そのコネクチングロッド36を回すことによ
り、回転方向に応じて支軸37と38の距離が調節可能にな
っている。
次に、第3平行リンク機構43は、前記ベルクランク33
の他方の作用端側と前記ボールスクリュー軸61との間
を、長さ調節可能に第3コネクチングロッド40を介して
主アーム24と平行に連結して構成されている。この第3
平行リンク機構43において、第3コネクチングロッド40
の両端部は相互に逆ねじの雌ねじを持ち、支軸44でベル
クランク33に枢支した連結部40Aの雄ねじと、ボールス
クリュー軸61に支軸45で枢支した連結部40Bの雄ねじを
両側からそれら雌ねじにねじ嵌合し、そのコネクチング
ロッド40を回すことにより回転方向に応じて支軸44と45
の距離が調節可能になっている。尚、前記支軸46と支軸
45の距離は双方に枢支されたリンク41によって一定に保
たれるようになっている。
サイドフレーム7,7に対するアーム装置9の支持構造
は、前記支軸30に軸支したガイドローラ50をサイドフレ
ーム7の横溝ガイド51とアッパーガイド52で水平移動可
能に支持すると共に、前記支軸45,46の夫々に軸支した
ガイドローラ53,54をサイドフレーム7の縦溝ガイド55
に嵌入して垂直移動可能に支持されている。
従って、アーム装置9は、リンク41と共にガイドロー
ラ53,54を縦溝ガイド55に沿って上下させると、その移
動量に応じてガイドローラ50が横溝ガイド51を移動し
て、アーム装置9の昇降位置が決定される。特に第3平
行リンク機構43の作用により、そのリンク41の向きが縦
溝ガイド55に拘束されて鉛直方向に規制される結果、第
1平行リンク機構21及び第2平行リンク機構22の向きが
如何様に変化しても、リンク33,34の傾きは全く変わら
ず、これによって図示しない吊下具で把持した荷物はア
ーム装置9の昇降動中、いつも不変で、常に水平または
垂直など一定の向きに保たれる。尚、第2図にはアーム
装置9の昇降動の最大可動範囲が示されている。
前記複合的な平行リンク機構のアーム装置9は、支軸
30,46,39の中心が一直線上に配置されていて、支軸29,3
0,46の中心(点A,B,C)を3頂点とする三角形と支軸28,
39,46の中心(点E,D,C)を3頂点とする三角形とは相似
であり、また、三角形CFG(点Fは、バランスウエイト4
7の重心を通ってリンク26に平行な直線と、点C,Bを含む
直線との交点)も前記三角形と相似である。従って、縦
溝ガイド55内のC点と横溝ガイド51内のB点がその可動
範囲内でどの位置にあっても、長さDC、長さCB、長さBF
の比は一定で、前記D点に作用する荷物の重量をFd、C
点に作用される力をFc、B点に作用される反力をFb、そ
してバランスウエイト47の重量をFfとすると、B点回り
のモーメントの釣合より、 Fd・BD−Fc・CB−Ff・Bf=0 の関係を得ることができ、これを整理すると、 Fc=Fd・BD/CB−Ff・Bf/CB として表される。これにより、荷物の重量Fdが決定され
ればアーム装置9の昇降位置に拘らず力Fb,Fcは一定に
なる。したがって、荷物の重量Fdに釣り合う力でC点を
支えればD点、即ち荷物の高さが如何なる位置に変化し
ても釣合は維持される。尚、上記説明では理解を容易に
するためにアームの自重を無視し、また荷物の重心がD
点を通るものと仮定している。実際には荷物の形状など
によっても相違するが、アタッチメント取り付け部17の
中央近傍に位置する。
第1図のC点、即ちリンク41に力Fcを作用してこれを
上下させる前記駆動部11は、その駆動源としてトルクモ
ータ60を備えている。このトルクモータ60はサーボ機構
によく利用され、位相制御などによる駆動電圧の変化に
したがってトルク並びに速度を変えることのできる可逆
回転可能なモータであって、且つ静止若しくはそれに近
い状態で最も大きなトルクを発生する。トルクモータ60
の可逆回転は前記リンク41に接続されているボールスク
リュー軸61の上下動に変換される。ボールスクリュー軸
61とリンク41との接続は、例えば第3図のように支軸45
に挿通した結合子62にボールスクリュー軸61の上端部を
嵌入固定することによって行われている。
前記トルクモータ60とその駆動伝動の一例は第4図に
詳細に示されている。このトルクモータ60は、サイドフ
レーム7に固定したベースハウジング65の底面側に取付
けられ、そのモータ軸66は、ベースハウジング65の上に
固定したカバーハウジング67の内部に突出している。モ
ータ軸66には原動ギア68をキー69で一体回転可能に設
け、それらに噛合するギア70,71をその両側に配置し
て、上下のハウジング65,67で軸支する。ギア70とその
支軸73は一体回転し、同支軸73の上端部にディスク74を
固定すると共に、その下方に圧縮コイルスプリング75の
弾発力に抗してソレノイド76の電磁作用で吸着される可
動ディスク77を配置し、両ディスク74,77の間にブレー
キパッド79を介在させ、ソレノイド76の消磁時に圧縮コ
イルスプリング75の弾発力でブレーキパッド79を固定デ
ィスク74に押圧して負荷トルクによるモータ軸66の不要
な回転を抑止する電磁ブレーキを構成し、このような電
磁ブレーキを設けることによって、停電等によりモータ
が吊下げ能力を逸っしてもアームは上下動することはな
い。
カバーハウジング67にはボールスクリューナット81を
固定した中空状のホルダシャフト82を、前記ギア71の支
軸80に平行に、ベアリング84,85によって回転自在に支
持し、ホルダシャフト82の下端部には前記ギア71に噛合
するギア87をキー88で固定し、トルクモータ60の回転を
ボールスクリューナット81に伝達することができるよう
になっている。ボールスクリューナット81には前記ボー
ルスクリュー軸61にねじ嵌合されている。
第4図において、90は、ボールスクリューナット81の
回転方向と回転数を検出するためのパルスジェネレータ
であり、このパルスジェネレータ90はホルダシャフト82
の底面側に固定したディスク91と、このディスク91の表
裏面側に夫々対設された発光素子92,93と受光素子94,95
とから成り、ディスク91上には第5図に示したように、
その回転中心に対して鋭角をもって離間した相互に異な
る半径上に透過孔96,97が形成されている。透過孔96,97
の回転軌跡上には、前記発光素子92と受光素子94とから
なる検出部と、別の発光素子93と受光素子95とからなる
検出部とが同一半径上に配置され、透過孔96,97が発光
素子92,93と受光素子94,95との間を通過する毎にパルス
信号PULS1,PULS2を発生するように構成されている。デ
ィスク91の回転速度はそのパルス周期から検出可能であ
り、回転方向はパルス信号PULS1,PULS2の位相差から検
出可能である。即ち、ディスク91が右回転する場合には
パルス信号PULS2の位相が相対的に進み、左回転の場合
にはパルス信号PULS1の位相が相対的に進み、その位相
差からディスク91の回転方向を検出することができるよ
うになっている。
第6図は前記操作15及び制御部13を中心にした荷役用
バランサのブロック図である。
前記操作部15は、起動停止スイッチ100、リンクプレ
ート9を昇降させるためのトルク設定用操作レバー10
1、テンキー102、そしてモニタ用ディスプレイ103を有
する。
制御部13は、CPU104を中心に、その動作プログラムや
定数データが格納されたリード・オンリ・メモリ(以下
ROMという)105、CPU104の作業領域若しくはデータの一
時記憶領域などとして利用されるランダム・アクセス・
メモリ(以下RAMという)106、入力ポート107、外部バ
スインタフェース回路108、A/Dコンバータ109、D/Aコン
バータ110、タイマ・カウンタ111、前記電磁ブレーキを
構成するソレノイド76の通電用スイッチを制御するパワ
ー増幅回路114、および表示用コントローラ112がバス11
3に共通接続されて構成されている。
D/Aコンバータ110はトルクモータ60に対する駆動制御
データをアナログ信号に変換し、これを受けるモータド
ライバ120が位相制御を行ってトルクモータ60に駆動電
圧を出力する。また、トルクモータ60の駆動電圧は電圧
検出回路121によって検出されるように構成されてお
り、その検出電圧は前記A/Dコンバータ109でディジタル
信号に変換され、この信号はCPU104により、所定のサン
プリングタイミングをもって取り込まれるようになって
いる。
前記タイマ・カウンタ111は、トルクモータ60の回転
と連動するパルスジェネレータ90から出力されるパルス
信号PULS1,PLUS2を入力して、トルクモータ60即ちボー
ルスクリューナット81の回転方向並びにその回転速度を
検出し、更に、正逆回転に応じたボールスクリューナッ
ト81の回転数のアップカウント及びダウンカウントを行
う。例えばトルクモータ60が右回転するとボールスクリ
ュー軸61が下降し、左回転すると上昇する。したがっ
て、ボールスクリューナット81の回転方向からボールス
クリュー軸61の昇降方向が検出され、また、ボールスク
リューナット81の回転速度からボールスクリュー軸61の
昇降速度が検出される。さらにボールスクリューナット
81の正逆回転数の計数値によってボールスクリュー軸61
の昇降変位量の演算が可能になる。尚、タイマカウンタ
111に含まれるアップダウンカウンタは起動停止スイッ
チ100により起動が指示されるとイニシャライズリセッ
トされ、このときのリードスクリュー軸61の高さ位置が
原点になる。したがって、アップダウンカウンタは、そ
の位置を原点とするアーム装置9の昇降動に応じてアッ
プカウントとダウンカウンタのいずれかを選択的に行
う。
この制御部13は操作レバー101の操作に応じたアーム
装置9の昇降移動並びにその速度制御を行うと共に、操
作レバー101による昇降停止指令に従ってアームの高さ
を所望位置に保持する拘束制御と、アーム装置9の可動
範囲下限における降下停止制御を行う。上記制御のため
の処理ルーチンは起動停止スイッチ100により起動が指
示されることにより実行される。
なお、前記操作レバー101は、例えばポテンショメー
タに相当するものとして使用され、当該レバーの中立位
置でアームの停止、上向きでは上昇、下向きではアーム
を下降させるよう指示する。CPU104はマシンサイクル内
で割り当てられた所定のサンプリングタイミングに同期
して、操作レバー101からの指令を読み込み、これに応
じたデータをD/Aコンバータ110に与える。モータドライ
バ120はそのデータに応じて駆動電圧の位相制御を行っ
てトルクモータ60を駆動する。操作レバー101が下向き
である場合にはトルクモータ60のトルクが低下してアー
ム装置9は急激降下することがなく、操作レバー101が
上向きである場合にはトルクモータ60のトルク上昇によ
り左回転してアーム装置9は急激上昇することがない。
トルクモータ60にはアーム装置9の荷重と荷物の重さ
に応じた負荷トルクが作用しているので、トルクモータ
60のモータトルクをその負荷トルクに応じて決定してア
ーム装置9の昇降速度を制御するため、前記タイマカウ
ンタ111は例えばパルス信号PULS1の周期を計測し、CPU1
04がこれを取り込んで期待値と比較し、アーム装置9の
昇降速度が一定になるようにモータドライバ120をフィ
ードバック制御する。
操作レバー101を中立位置に戻すと、CPU104にアーム
装置9の停止指令が与えられる。停止指令が与えられた
CPU104は、モータトルクと負荷トルクとが釣り合って実
質的にボールスクリューナット81の回転を停止させるよ
うにモータドライバ120の制御を行う。この制御では、
タイマカウンタ111が計測するパルス信号PULS1の周期デ
ータをもとに、これが実質的に0を採るように、モータ
ドライバ120に駆動電圧の位相を制御させる。停止指令
があって、実際にアーム装置9の上昇状態が一定期間停
止制御されると、そのときのトルクモータ60の駆動電圧
が、電圧検出回路121で検出され、そのA/D変換データが
RAM106に退避され、次いでパワー増幅回路114を介して
ソレノイド76を消磁して、電磁ブレーキで機械的にボー
ルスクリューナット81をロックし、トルクモータの過
熱、電力消耗を防止する。再度アーム装置9の昇降が指
令されると、CPU104はRAM106に退避されている前記駆動
電圧のA/D変換データを利用してトルクモータ60の駆動
状態を速やかに停止前の状態に戻した後、ソレノイド76
を励磁して、アーム装置9をモータドライブする。
前記起動停止スイッチ100により、制御部13が起動さ
れてタイマカウンタ111がイニシャライズリセットされ
ると、それに含まれるアップダウンカウンタの計数値は
表示用コントローラ112を介してモニタ用ディスプレイ1
03に逐次表示される。前記タイマ・カウンタ111は、ト
ルクモータ60の回転に連動してパルスジェネレータ90か
ら出力されるパルス信号PULS1,PULS2を入力して、ボー
ルスクリューナット81の正逆回転に応じ、ボールスクリ
ューナット81の回転数のアップカウント及びダウンカウ
ントを行っているから、この表示はアーム装置9の昇降
動に従って漸次変化する。
アーム装置9の可動範囲下限における移動制限制御を
行うためには、アーム装置9の下限位置を特定するため
の位置データをテンキー102で入力する。例えば実際に
荷物をアームで支えて運搬して、荷物受渡地点の高さを
モニタ用ディスプレイ103で確認し、これをそのままテ
ンキー102から入力する。テンキー102から入力されたデ
ータは例えばタイマカウンタ111の比較値レジスタで保
持される。その後、同一の荷物運搬範囲でアーム装置9
を昇降させると、タイマカウンタ111はその比較値とア
ップダウンカウンタの計数値とを逐次比較し、その値が
一致したときは、操作レバー101からの停止指令と同様
の停止指令をCPU104に割込みで与える。このようにし
て、アーム装置9の停止位置をテンキー102の操作で設
定すれば、作業者は、大凡の目安を付けて操作レバー10
1を操作するだけで、常に一定の位置(高さ)でアーム
装置9を停止させることができ、したがって、製品の供
給位置や搬出位置が予め決められているパレタイズ作業
やデパレタイズ作業などにおいて、アームの停止位置を
手動操作する煩わしさがなく、ひいては作業能率を向上
させることができる。
アーム9の上昇限の停止位置制御は第6図に示したリ
ミットスイッチ115を利用してもよいが、テンキー102の
操作による入力値による制御を採用してもよい。この場
合には下限制御用比較値レジスタとは別の上限制御用比
較値レジスタを用意する。
なお前記外部バスインタフェース回路108は、荷役用
バランサがスタンドアロン的に利用される場合には、特
に必要ないが、例えば制御部13に対する初期設定データ
や荷役用バランサの異常を示すような状態信号などを生
産ラインや組み立てラインの集中管理システムとの間で
やりとりしたりするときに利用される。
以上本考案を実施例に基づいて詳細に説明したが、本
考案は実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸
脱しない範囲において種々変更可能で、例えばコネクチ
ングロッドによるリンク長さの調整構造は、左右の連結
部に逆ねじでねじ嵌合する構造に限定されず、コネクチ
ングロッドの途中をスライドさせてそれ自体の長さを調
節するものであってもよい。
〔考案の効果〕
本考案の荷役クレーンのアーム装置は、リンク機構の
組み立て誤差や部品の加工誤差があっても、それに応じ
て各リンク機構に含まれるコネクチングロッドを介して
リンク長さを調節することにより、荷物吊下具の向きを
簡単に一定の向きに変更することができ、また、これに
より、アーム装置構成部品に高い加工精度を要求する必
要がなくなり、コストの低減に貢献する。更に、アーム
装置の自重はバランスウエイトにより予め平衡化され、
その上でスクリュー軸を回転駆動して主アームの支点高
さを変えながら荷物吊下具を昇降させているから、比較
的小さなアーム昇降動力をスクリュー軸1箇所から与え
ることでアーム装置を無理なく昇降させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
図面は本考案に係る荷役クレーンのアーム装置の1実施
例を示すものであり、第1図は一部切欠した正面図、第
2図は可動範囲の限界位置におけるアームの変形状態を
示す説明図、第3図はアーム装置とアーム駆動部との結
合構造を示す正面断面図、第4図はアーム駆動部の正面
断面図、第5図はパルスジェネレータの概要を示す斜視
図、第6図は操作部及び制御部を示す荷役用バランサの
ブロック図である。 9……アーム装置、20……吊下アーム、21……第1平行
リンク機構、22……第2平行リンク機構、23……第1コ
ネクチングロッド、23A,23B……連結部、24……主アー
ム、26……リンク、33……ベルクランク、34……ホル
ダ、36……第2コネクチングロッド、36A,36B……連結
部、40……第3コネクチングロッド、40A,40B……連結
部、43……第3平行リンク機構、47……バランスウエイ
ト、61……ボールスクリュー軸。

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】スクリュー軸の上下動に追従して支点が上
    下方向に案内されて変位する主アームを持ち、該主アー
    ムの後部にはバランスウエイトを設けると共に、同主ア
    ームの前方自由端部に吊下アームの上端部寄りを回動自
    在に連結吊下させ、主アームの前記支点とバランスウエ
    イトとの間でリンクを主アームに枢支し、且つ、前記吊
    下アームの上端部と前記リンクとの間に第1コネクチン
    グロッドを介在させて、第1平行リンク機構を形成し、
    また、前記吊下アームの支点にはベルクランクを設け、
    当該ベルクランクの一作用端側に長さ調節自在に第2コ
    ネクチングロッドを吊下して、吊下アームの下端部と当
    該第2コネクチングロッドの下端部とを荷物吊下具取り
    付け用のブラケットを介して平行状態に連結して、第2
    平行リンク機構を形成し、更に、前記ベルクランクの他
    方の作用端側と前記スクリュー軸との間を、長さ調節可
    能に第3コネクチングロッドを介して主アームと平行に
    連結して第3平行リンク機構を形成した荷役クレーンの
    アーム装置。
  2. 【請求項2】前記コネクチングロッドの一部を、対応す
    る平行リンク機構の支点連結部に設けたねじ部に螺着し
    て、長さを調節可能にした請求項1記載の荷役クレーン
    のアーム装置。
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