JP2818070B2 - ウエブリブ形状品の成形方法および金型 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、金属材料の精密プレス
型鍛造法に関わり、特には、リブに囲まれた複数のウエ
ブを有してなるウエブリブ形状品の成形方法および金型
に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、精密型鍛造技術の進展に伴い、リ
ブに囲まれた複数のウエブを有してなり、その成形が困
難なウエブリブ形状品についてもニヤネットシェイプに
型鍛造されるようになっている。そして、これらウエブ
リブ形状品をニァネットシェイプに型鍛造するについて
は、通常、その概要説明断面図である〔図４〕の (a)図
に示すような上下金型(41),(42) を用いるコンベンショ
ナル鍛造法や、 (b)図に示すようにダイインサート(45)
内に上下ポンチ(46),(47) を圧入させるノードラフト鍛
造法が適用されていた。

【０００３】一方、近来では例えば航空機のアルミ合金
機体部材の傾向に見られるように、軽量化と構造強度と
を併せ達成するため、より大型なウエブリブ形状品を一
体に成形することが求められるようになっている。しか
し、大型のウエブリブ形状品を、コンベンショナルおよ
びノードラフト鍛造法にてニヤネットシェイプないしネ
ットシェイプに成形するには、非常に大きな力量のプレ
ス装置が必要とされ、これがウエブリブ形状品の大型化
の一つの阻害要因となっていた。そこで、プレス力量の
増大を必要としない成形技術が求められ、これに対応で
きるものとして、例えば「Forging,Eqipment,Material
s,and,Practis.(1973) 」に報告されているような逐次
鍛造法(Incremental Forging)が開発されている。

【０００４】この逐次鍛造法は、その概要説明断面図で
ある〔図５〕の (a)図〜 (c)図に示すように、上開放形
の金型(51)内に配置したブランクＢのウエブ成形部位そ
れぞれに、ウエブ形状に対応する先端形状を有するスタ
ンプ(52)を、順次かつ周期的に繰り返して圧入させて、
各ウエブＷおよびその周囲のリブＲを逐次に成形するこ
とで、比較的小さな力量のプレス装置にて大型のウエブ
リブ形状品の成形を可能とするものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記逐
次鍛造法では、比較的小さな力量のプレス装置で大型の
ウエブリブ形状品を成形できるものの、各ウエブ成形部
位にスタンプ(52)を圧入するに続いて離脱させて、順次
に各ウエブＷおよびその周囲のリブＲを成形して行くの
で、先に成形されたウエブ上が中空となり、この中空部
に対する材料の流れを規制し難いため、これに隣接する
他のウエブ成形部にスタンプを圧入させる際にメタルフ
ローが逆流して、引けや折れ込みなどの鍛造欠陥が発生
し易い。特に、薄肉なウエブリブ形状品を成形する場合
には欠陥の発生が顕著となり、これがため成形品の寸法
精度を高め難い。

【０００６】本発明は、上記従来技術の問題点を解消す
べくなされたもので、比較的小さな力量のプレス装置で
もつて大型のウエブリブ形状品を成形でき、しかも鍛造
欠陥の発生を抑えて高い寸法精度に成形することのでき
るウエブリブ形状品の成形方法および金型を提供するこ
とを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成とされている。すなわち、本
発明に係るウエブリブ形状品の成形方法は、リブに囲ま
れた複数のウエブを有してなるウエブリブ形状品をプレ
ス型鍛造するに際して、各ウエブ部を成形する金型のス
タンプ部を、金型内に配置されたブランクに個別かつ順
次に圧入させてゆき、各ウエブおよびその周囲のリブを
逐次に成形することを特徴とする。

【０００８】また、本発明に係るウエブリブ形状品の成
形金型は、リブに囲まれた複数のウエブを有してなるウ
エブリブ形状品を成形するインプレッションを備えた上
下金型であって、上金型が、上金型本体内に各ウエブ部
を成形する複数のスタンプ部を個別に上下動可能に有す
ると共に、上金型本体の上部に各スタンプ部それぞれに
連結させた圧下ロッドを貫通せしめて有し、それら圧下
ロッドの上部に段差圧下盤を備えてなることを特徴とす
る。

【０００９】

【作用】本発明の成形方法では、リブに囲まれた複数の
ウエブを有してなるウエブリブ形状品をプレス型鍛造す
るに際して、各ウエブ部を成形する金型の複数のスタン
プ部を、金型内に配置されたブランクに個別かつ順次に
圧入させてゆき、各ウエブおよびその周囲のリブを逐次
に成形するので、その成形に要するプレスの力量が小さ
くてすむ。また、成形中において各ウエブ上それぞれに
スタンプ部を個別に圧入させるので、それらの存在によ
りメタルフローを規制して逆流を抑制し、成形中におけ
るメタルフローの逆流に起因する引けや折れ込みなどの
鍛造欠陥の発生を防止できる。

【００１０】また、本発明の成形金型では、ウエブリブ
形状品を成形するインプレッションを備えた上下金型の
上金型が、上金型本体内に各ウエブ部を成形する複数の
スタンプ部を個別に上下動可能に有すると共に、上金型
本体の上部に各スタンプ部それぞれに連結させた圧下ロ
ッドを貫通せしめて有し、それら圧下ロッドの上部に段
差圧下盤を備えてなるので、下金型内に配置されたブラ
ンクに、上金型本体内の各スタンプ部を個別かつ順次に
圧入させてゆき、各ウエブおよびその周囲のリブを逐次
に成形することができる。また、各スタンプ部を個別か
つ順次にブランクに圧入させて成形することで、その成
形に要するプレスの力量を小さくすることができる。ま
た、成形中において各ウエブ上それぞれにスタンプ部を
個別に圧入させるので、それらの存在によりメタルフロ
ーを規制して逆流を抑制し、その逆流に起因する引けや
折れ込みなどの鍛造欠陥の発生を防止できる。

【００１１】

【実施例】本発明の実施例を図面を参照して、以下に説
明する。

【００１２】〔図１〕は本発明の実施例のウエブリブ形
状品の成形方法の概要説明図であって、 (a)図は成形初
期段階の状態を示す断面図、 (b)図は成形中間段階の状
態を示す断面図、 (c)図は成形終了段階の状態を示す断
面図、 (d)図は成形後のウエブリブ形状品の一部を切り
欠いて示す斜視図である。

【００１３】まず、本実施例に用いた金型の概要構成を
説明すると、〔図１〕の (a)図において、(1) は上金型
であって、この上金型(1) は、 (c)図に示す目的のウエ
ブリブ形状品Ｍの外郭形状に対応する断面形状の凹部(2
a)を下面に設けた本体部(2)と、この本体部(2) の凹部
(2a)内に個別に上下動可能に嵌入された複数のスタンプ
部(3) とを備えなり、通常のコンベンショナル金型の形
態をとる下金型(4) とで対をなし、両者間内部にウエブ
リブ形状品Ｍを成形するインプレッションを形成せしめ
たものである。

【００１４】ここで、上金型(1) のスタンプ部(3) それ
ぞれは、ウエブリブ形状品Ｍの各ウエブＷの平面形状に
対応する横断面形状の先端部(3a)を有してなり、それぞ
れの先端部(3a)間および下金型(4) 内側面との間に、各
ウエブＷの周囲に成形されるべきリブＲの形状に対応す
るインプレッションを形成するものとされている。

【００１５】(5) は圧下ロッドであって、この圧下ロッ
ド(5) は、上金型(1) の各スタンプ部(3) それぞれの上
方に位置する本体部(2) の上部壁を上下方向に貫通し、
それぞれの下端部を各スタンプ部(3) の上端部に連結さ
せると共に、拡径された上端部を本体部(2) の上面から
上方に突出させて上下動可能に複数挿設されてある。ま
た、これら圧下ロッド(5) は、互いに高さ方向の寸法を
同寸法とされると共に、拡径された上端部の上面を平滑
面に形成されてあり、この構成のもとで、上方からの圧
下力を各スタンプ部(3) に伝達するものとされている。

【００１６】(6) は段差圧下盤であって、この段差圧下
盤(6) は、上面を平滑面に形成される一方で、下面を所
定寸法の段差を有する２段平面に形成されて、厚肉部(6
a)と薄肉部(6b)とを有する平板状のもので、各圧下ロッ
ド(5) の上方に位置して配置されている。また、この段
差圧下盤(6) は、その両下側に配されたバネシリンダ
(7) を介して水平方向に移動可能に上金型(1) の本体部
(2) に支持されると共に、その側方に配設された駆動シ
リンダ(8) に連結されてあり、上方から加圧されていな
い無負荷状態では、この駆動シリンダ(8) の作動によっ
て段差のある横方向に任意のピッチで移動できるものと
されている。

【００１７】一方、バネシリンダ(7) は、段差圧下盤
(6) を下方から押し上げて支持し、この段差圧下盤(6)
が上方から加圧されない無負荷状態では、その厚肉部(6
a)の下面と各圧下ロッド(5) の上面との間に一定の間隔
を保たせて、駆動シリンダ(8)の作動による横方向への
移動を容易かつ円滑なものとする役割を果たす。

【００１８】上記構成の金型では、下面に段差を設けた
段差圧下盤(6) をプレスの圧下アンビルＡにて圧下さ
せ、かつ、その圧下の都度に段差圧下盤(6) の厚肉部(6
a)の横方向の移動位置を順次に変更することで、上金型
(1) の各スタンプ部(3) を個別かつ順次に圧下させるこ
とができる。

【００１９】次いで、上記構成の金型を用いた本実施例
のウエブリブ形状品の成形方法を説明する。

【００２０】まず、所定温度に加熱された平板状のブラ
ンクＢを下金型(4) 内に装入すると共に、これらの上に
上金型(1) および段差圧下盤(6) をセットする。このと
き、段差圧下盤(6) の厚肉部(6a)を、上金型(1) の各圧
下ロッド(5) の内の最外側に位置している第１の圧下ロ
ッド(5) の上方に位置させておく。

【００２１】次に、この状態で、プレスの圧下アンビル
Ａにより段差圧下盤(6) に圧下を加え、 (a)図に示すよ
うに、その厚肉部(6a)を介して第１の圧下ロッド(5) を
圧下させ、これに接続された第１のスタンプ部(3) の先
端部(3a)をブランクＢに圧入させる。このとき、第１の
スタンプ部(3) の先端部(3a)と下金型(4) との間のブラ
ンクＢの材料が圧縮されて流れ、これらの間にウエブＷ
が形成されると共に、その先端部(3a)の周囲には上方に
向かう材料の流れが生じてリブＲが形成される。

【００２２】なお、本実施例では、この圧下のストロー
クエンドにおいて、段差圧下盤(6)の薄肉部(6b)の下面
を第１の圧下ロッド(5) 以外の各圧下ロッド(5) に当接
させ、これにより第１のスタンプ部(3) 以外の各スタン
プ部(3) の先端部(3a)をブランクＢに軽く圧入させて、
このブランクＢを下金型(4) 内に馴染ませた。

【００２３】次いで、プレスの圧下アンビルＡを所定高
さ位置まで上昇させると共に、駆動シリンダ(8) によっ
て段差圧下盤(6) を横方向への移動させ、その厚肉部(6
a)を第１の圧下ロッド(5) に隣接する第２の圧下ロッド
(5) の上方に位置させた後に、再びプレスの圧下アンビ
ルＡにより段差圧下盤(6) に圧下を加え、 (b)図に示す
ように、その厚肉部(6a)を介して第２の圧下ロッド(5)
を圧下させ、これに接続された第２のスタンプ部(3) の
先端部(3a)をブランクＢに圧入させて、同様に第２番目
のウエブＷとその周囲のリブＲを形成せしめる。

【００２４】続いて、上記と同様に圧下アンビルＡを上
昇させると共に、段差圧下盤(6) を横方向への移動さ
せ、その厚肉部(6a)を、第２の圧下ロッド(5) に隣接す
る第３の圧下ロッド(5) の上方に位置させた後に、再び
プレスの圧下アンビルＡにより段差圧下盤(6) に圧下を
加え、 (c)図に示すように、その厚肉部(6a)を介して第
３の圧下ロッド(5) を圧下させ、これに接続された第３
のスタンプ部(3) の先端部(3a)をブランクＢに圧入させ
て、同様に第３番目のウエブＷとその周囲のリブＲを形
成せしめて、 (d)図に示すように、リブＲに囲まれた複
数のウエブＷを有してなるウエブリブ形状品Ｍに成形す
るのである。

【００２５】以上に述べた構成の金型および成形方法に
基づいて、長さ 150mm、幅 120mm、高さ36mmの外郭形状
とされた、アルミニウム合金材からなるウエブリブ形状
品Ｍを成形した。また、比較のために、従来のノードラ
フト鍛造法に基づいて、同材質で同形状のウエブリブ形
状品Ｍを成形した。なお、これらウエブリブ形状品Ｍの
リブ部Ｒの厚さｔr は 4.5mmに設定し、またウエブ部Ｗ
の厚さｔw も同 4.5mmに成形することを目標とした。

【００２６】そして、それぞれの成形に要した最大加圧
荷重と、得られた製品の形状寸法および表面品質を調べ
た。その結果、比較例のものは、その成形に要した最大
加圧荷重が 350ton に達したにもかかわらず、製品のウ
エブ厚さは 5.0mmで止まっていたのに対して、本実施例
のものは、比較例の場合よりも遙かに低い 240ton の最
大加圧荷重にて、製品のウエブ厚さを、目標値とほぼ同
等の 4.6mmに成形することができた。また、本実施例の
製品は、比較例のものと同様に、いずれも欠陥の無い健
全な表面品質のものであり、本発明方法が、従来の精密
鍛造法と同等ないしはそれ以上の寸法精度にて、しかも
遙かに低い加圧力量のもとでウエブリブ形状品を成形で
きるという優れた効果を有することを確認することがで
きた。また、本実施例の金型および成形方法では、その
加圧手段として用いるプレス装置は、複動式プレス装置
などの複雑で大掛かりな加圧装置でなく、極一般的な汎
用形の単動式プレス装置にて充分その目的を達成でき
た。一方、金型は、ダイセットの形でプレス装置に装着
することができ、その装脱も容易であった。

【００２７】以上に述べたように、プレスの圧下アンビ
ルの繰り返し圧下により、上金型の各スタンプ部を個別
かつ順次にブランクに圧入させて、複数のウエブとその
周囲のリブを逐次に成形する本実施例では、各加圧に要
する力量が小さくてすむので、比較的小さな力量のプレ
スでもって大型のウエブリブ形状品を成形することがで
きる。また、その加圧成形の過程において、逐次に成形
される各ウエブ上にスタンプ部が圧入されて存在するの
で、その周囲のリブ部におけるメタルフローを逆流させ
ることなく上方に向けて効果的に流すことができ、その
逆流に起因する引けや折れ込みなどの鍛造欠陥の発生を
防止することができる。

【００２８】なお、本実施例では、上金型の各スタンプ
部それぞれを、各１回の圧下によりブランクに圧入させ
て、目的とするウエブリブ形状品を成形するものとした
が、これは説明を簡明にするためであって、例えば、ウ
エブの周囲のリブの高さ寸法が比較的高く、かつ薄肉な
ウエブリブ形状品では、各スタンプ部のブランクに対す
る個別かつ順次な圧入を、各１回だけでなく、数次の圧
下の繰り返しにより、順次かつ周期的に行うことで最終
形状に成形することが望ましい。

【００２９】〔図２〕は本発明の例の実施例の金型の概
要構成を示す断面図であって、 (a)図正断面図、 (b)図
は (a)図のＣ−Ｃ断面図である。なお、本実施例の金型
は、下金型の構成が異なる点以外は、〔図１〕に示した
金型と実質的に同じであり、ここでは、〔図１〕と等価
な各部に同符号を付して説明を省略し、その差異点のみ
を要約して説明する。

【００３０】本実施例の金型では、段差圧下盤(6) が、
プレスの圧下アンビルＡの下端に取着された押盤(9) の
下面に水平方向に摺動可能に保持され、その側方の駆動
シリンダ(8) によって横方向に任意のピッチで移動でき
るものとされている。

【００３１】また、押盤(9) の両側には、(b) 図に示す
ように、下端を上金型(1) の本体部(2) に連結させた複
数の吊上桿(10)が上下方向に摺動可能に貫通して設けら
れてあり、圧下アンビルＡを加圧ストローク以上の高さ
に上昇させることで、この押盤(9) と吊上桿(10)を介し
て上金型(1) を上昇させて、下金型(4) 上を開放するも
のとされている。

【００３２】一方、下金型(4) は、金型本体(11)と下補
助金型(12)とからなる組立形金型とされ、その金型本体
(11)にインプレッションを設けている。また、金型本体
(11)のインプレッションのリブの背部に対応する部位の
底壁には、横断面形状が目の字状とされ、リブ厚さと略
同幅を有する溝状の貫通孔(11a) が設けられると共に、
この貫通孔(11a) 内に、同様に横断面形状が目の字状と
された下パンチ(13)が上下方向に摺動可能に挿設されて
いる。

【００３３】また、この下金型(4) の金型本体(11)と下
補助金型(12)との間には、プレス装置が備えるノックア
ウトピンＮによって上下方向に駆動され、その上方の下
パンチ(13)を支持して上下動させる押上梁(14)が配設さ
れる一方、下補助金型(12)内には、押上梁(14)との連携
もとで下パンチ(13)を支持して上下動させる複数の押上
シリンダ(15)が配設されてある。

【００３４】また、上金型(1) と下金型(4) の金型本体
(11)の周囲には、ヒータ(16)が周設設されてあり、この
ヒータ(16)によって、成形中のブランクＢの温度を一定
の範囲内の温度に保持できるものとされている。

【００３５】上記構成の本実施例の金型では、上金型
(1) の各スタンプ部(3) の個別かつ順次な圧入によるブ
ランクＢの加圧成形過程において、下金型(4) の下パン
チ(13)を、その上面がインプレッション面より僅少に低
くなる高さ位置に支持・固定させて、リブの背部に位置
するインプレッション面に凹部を形成し、この凹部内に
ブランクＢの材料を流し込ませる。そして、全てのスタ
ンプ部(3) の圧下が終了した時点において、下金型(4)
の下パンチ(13)を、ノックアウトピンＮおよび押上シリ
ンダ(15)によって、その上面がインプレッション面と同
一面となる高さ位置まで押し上げ、これにより材料の上
方への流れで形成されるリブの背部に引けが生じること
を防止する。また、その加圧成形が終了した時点におい
て、ノックアウトピンＮを更に上昇させることで、押上
梁(14)を介して下パンチ(13)をインプレッション内に向
けて突出させ、これにより成形されたウエブリブ形状品
を浮き上がらせて取り出すのである。

【００３６】このように構成された本実施例の金型で
は、被成形材の下金型(4) 内への装脱が容易であり、し
かも、加圧成形中の被成形材の温度を一定の範囲内に保
持して材料の流動性を高く維持できると共に、リブの背
部に材料の引けが生じることを防げるので、得られる製
品の寸法精度をより高める一方で、その生産性の向上を
図ることができる。

【００３７】なお、以上に述べた実施例の金型では、下
面に段差を設けた平板状の段差圧下盤を横方向に移動さ
せることで、上金型の各スタンプ部を個別かつ順次に圧
下するものとしたが、これは一例であって、例えば、そ
の別の実施態様の概念説明図である〔図３〕の (a)図に
示すように、段差圧下盤(6) をプレスの圧下アンビルＡ
に直接に取り付ける一方で、上下金型(1),(4) を水平方
向に移動可能に配置し、これらの相対的に横移動させる
ことで、上金型(1) の各スタンプ部(3) を個別かつ順次
に圧下させることができ、また、同 (b)図に示すよう
に、平板状の段差圧下盤の代わりに、下面の円周方向に
段差を設けた円盤状の段差圧下盤(36)を、各圧下ロッド
(5) の上方に配置し、この段差圧下盤(36)を回転動させ
ることで、上金型(1) の各スタンプ部(3) を個別かつ順
次に圧下させることもできる。

【００３８】

【発明の効果】以上に述べたように、本発明に係る成形
方法および金型によれば、比較的小さな力量の極一般的
なプレス装置でもって大型のウエブリブ形状品を成形で
き、しかも鍛造欠陥の発生を抑えて高い寸法精度に成形
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例のウエブリブ形状品の成形方法
の概要説明図であって、 (a)図は成形初期段階の状態を
示す断面図、 (b)図は成形中間段階の状態を示す断面
図、 (c)図は成形終了段階の状態を示す断面図、 (d)図
は成形後のウエブリブ形状品の一部を切り欠いて示す斜
視図である。

【図２】本発明の例の実施例の金型の概要構成を示す断
面図であって、 (a)図正断面図、 (b)図は (a)図のＣ−
Ｃ断面図である。

【図３】本発明の金型の別の実施態様の概念説明図であ
る。

【図４】従来の精密型鍛造法の概要説明断面図である。

【図５】従来の逐次鍛造法の概要説明断面図である。

【符号の説明】

(1) --上金型 (2) --本体部 (2a)--凹部 (3) --スタンプ部 (3a)--先端部 (4) --下金型 (5) --圧下ロッド (6) --段差圧下盤 (7) --バネシリンダ (8) --駆動シリンダ Ａ -- 圧下アンビル Ｂ -- ブランク Ｍ -- ウエブリブ形状品 Ｒ -- リブ Ｗ -- ウエブ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 庸介 兵庫県神戸市西区高塚台１丁目５番５号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (72)発明者 栄 輝 兵庫県神戸市西区高塚台１丁目５番５号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B21J 5/02 B21J 13/02 B21K 23/00

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 リブに囲まれた複数のウエブを有してな
   るウエブリブ形状品をプレス型鍛造するに際して、各ウ
   エブ部を成形する金型のスタンプ部を、金型内に配置さ
   れたブランクに個別かつ順次に圧入させてゆき、各ウエ
   ブおよびその周囲のリブを逐次に成形することを特徴と
   するウエブリブ形状品の成形方法。
2. 【請求項２】 リブに囲まれた複数のウエブを有してな
   るウエブリブ形状品を成形するインプレッションを備え
   た上下金型であって、上金型が、上金型本体内に各ウエ
   ブ部を成形する複数のスタンプ部を個別に上下動可能に
   有すると共に、上金型本体の上部に各スタンプ部それぞ
   れに連結させた圧下ロッドを貫通せしめて有し、それら
   圧下ロッドの上部に段差圧下盤を備えてなることを特徴
   とするウエブリブ形状品の成形金型。