JP2815199B2 - 湿式摩擦材料 - Google Patents

湿式摩擦材料

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は適当な潤滑油(冷却油)の存在の下に用いら
れる、いわゆる湿式のブレーキあるいはクラッチのフェ
ーシングまたはライニング用有機質摩擦材に関するもの
である。
(従来の技術) 従来より湿式の摩擦材料としては、焼結金属系摩擦材
料、ペーパー系摩擦材料、ウーブン系摩擦材料、モルー
ド系摩擦材料、ゴム系摩擦材料があり、モルード系摩擦
材料の中にはグラファイトあるいはコークスを主成分と
するグラファイト系摩擦材料があり、また樹脂を主成分
とするレジンモルード系摩擦材料がある。
これら摩擦材の中で焼結金属摩擦材料は、耐熱性に優
れ熱伝導率も高く、高負荷用途に用いられてきた。しか
し摩擦板が大型になると、加工上の制約から平行度を均
一にするのが難しくなって相手板と部分的な接触を生
じ、このためその領域で集中的な熱負荷を受けて焼付限
界を越え、あるいは塑性流動等を生ずるようになるとい
う不具合があった。
このため、摩擦板を弾性変形させて相手板と均一に全
面にわたって接触させることにより、熱の分散を行なう
ことが考えられた。このための摩擦材料としてペーパー
系、ゴム系、グラファイト系、レジンモルード系等があ
り、特にペーパー系およびゴム系は高負荷用途に採用さ
れる場合がふえている。
ペーパー系摩擦材料は、セルロース繊維を主成分とし
て各種添加成分を加えフェノール樹脂等で結合した抄紙
方法により作られるものであって、連通した気孔を40〜
50%程度有する。圧力による塑性変形量が大きいので相
手板と全面接触しやすく、いわゆるなじみ性が良いとさ
れる。セルロース繊維は油との親和性がよく、摩擦係数
が高いという長所もあって中、低負荷で仕事吸収率の高
い材料として多量に使用されている。
しかし、ペーパー系の欠点としては、繊維のからみに
よって弾性力を得ているので圧力変形後の復元応答性が
劣り、抄紙で繊維が一定方向に配向されるので相手板の
面粗さを1μm以下にする必要があり、その他に加圧時
のストローク調整等の問題や油種、圧力による摩擦係数
の変動もあり、負荷能力はゴム系よりかなり劣る。
これの改良として、特公昭53−27755号に開示される
バルブ粉を造粒した状態で添加した材料は、繊維の方向
性がランダムであり、ペーパー系の長所を維持しつつ耐
摩耗性、圧力応答性を改良している。
次にゴム系の場合は、弾性変形によって相手板との全
面接触を得るものである。このため弾性率が低く弾力性
に富む材料を用いる試みが多くなされた。結合材(バイ
ンダー)にフルオロエラストマーを使用した摩擦材料
(特開昭52−18749号、特開昭57−85878号)、エポキシ
樹脂とニトリルゴムを使用した材料(特公昭57−2733
号)、フェノール樹脂とニトリルゴムを使用した材料
(特開昭56−92983号)等が提案なされている。これら
はいずれも弾性率が10〜60kg/mm2程度であり、一般的に
用いられる係合圧力において望ましい弾力性を有し、ま
た部分当りを起しても熱によって軟かくなって全面接触
による処理エネルギー分散が可能である。こうしてある
使用条件下では非常に高い耐焼付性(耐熱性ではない)
を持つ材料も出現している。中、低吸収エネルギーの用
途で吸収仕事率が非常に高いものもゴム系の特徴であ
る。
しかしゴム系摩擦材には、ゴムの種類によって、ある
いはゴム系全部に共通して、欠点があった。
フッ素ゴム系は耐熱、耐油性に優れている。しかしフ
ッ素ゴム自体の強度は弱いので、必要な材料強度を得る
ためには高価な原料を多量に使用しなければならず、価
格面での問題があった。また同様の理由で多孔性の材料
やフィラーを多量に添加した材料を得ることは難しく、
摩擦特性の制約もあった。
フッ素ゴム以外のゴムは樹脂との結合性に富む材料が
多くバインダーとして他の樹脂と重合させたり、あるい
は樹脂と混合して加えたりすることが可能である。しか
しこれらゴムは耐熱性、耐油性および熱老化性などの点
で過酷な条件で使用されるブレーキ、クラッチ等には性
能上充分なものではなかった。例えばカルボキシ変性ニ
トリルゴムとエポキシ樹脂を共有結合によって結びつけ
たものをバインダーとした材料の場合は、吸収エネルギ
ーが小さいと非常に高い吸収仕事率が得られるが、吸収
エネルギーが大または材料全体の温度が高くなるような
条件、例えば連続スリップのような使用では、材料の座
屈や異常摩耗が生じたりする不具合が発生し、非常に低
い吸収仕事率しか適用できないものであった。またこれ
らゴムは、分子中に二重結合を残すものが多く、また熱
硬化性樹脂に比較し分子間の自由度が高いので、高温あ
るいはオイル添加剤の影響により分解、酸化、膨潤ある
いは化学反応を起して硬度、弾性率、強度などの諸物性
が変化し耐焼付性、摩擦係数、摩耗など摩擦特性を著し
く損なうという不具合も多々生じていた。
ゴムをバインダーの一部とする摩擦材は、通常のゴム
を成形方法すなわち混練ロール、バンバリーミキサー等
混練機で各成分を混合した後、カレンダーロールがけし
てシートを得て、それを型の中に入れて加熱硬化したり
圧縮トランスファー成形などで直接型に投入して硬化す
るなどの方法を用いるのであるが、材料の気孔率は数%
とごくわずかであってオイルの冷却効果が材料内部にま
でおよびにくく、また相手材との界面にあるオイルの排
出効果に支障をきたし、使用条件によっては摩擦係数の
低下などの不具合も生じていた。
さらにゴム系の大きな欠点として耐熱性の低さがあ
る。ゴムをバインダーの一部として用いると、一般的に
150℃異常になると材料強度は極端に弱くなり、200℃以
上になると強度低下はもちろんであるが例えば短時間で
も分解してしまう材料が多い。このため摺動による圧
縮、剪断力により材料の座屈や異常摩耗や摩擦係数低下
を生ずる。しかるに湿式用高負荷摩擦材料にとって比較
的短時間であっても200〜250℃に昇温された状態での材
料強度は非常に重要である。現像高負荷材料に求められ
る使用条件では、相手板はもちろんのこと摩擦板、潤滑
油全体が200〜250℃にまで達するような状況が考えら
れ、実際にもそのような事態が発生しているからであ
る。ただし現在多く用いられている潤滑油は引火点が23
0〜240℃であり、潤滑油全体がこれ以上の温度にさらさ
れることは安全上からも好ましくなく、この温度付近が
現状の最高使用温度と考えられる。
次にグラファイト系あるいはコークス系の摩擦材は、
耐熱性がゴム系、ペーパー系に比較して高いのであるが
弾性率はやや劣っており、ゴム系に比較し高吸収エネル
ギー向きではあるが負荷能力としてはやや劣るものであ
る。
レジンモルード系摩擦材はペーパー系とゴム系の中間
の性能を示すものが多く、比較的高い摩擦係数と、中程
度の吸収エネルギーにおける高い吸収仕事率を持ってい
る。耐熱性は高く、すなわち摩擦材料に一般的に使用さ
れるフェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミ
ン樹脂、ポリイミド樹脂のような熱硬化性樹脂は、短時
間の200〜250℃の温度条件下での使用においても摺動中
に必要とされる機械的要素も備えており、特にポリイミ
ド樹脂は250℃以上の温度に耐えることが可能である。
(本発明が解決しようとする課題) 本発明は前記材料の欠点を改良し、高負荷使用条件で
も長期にわたり安定したかつ高性能な摩擦特性を示す湿
式摩擦材料を提供すること目的とするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明の発明者の検討したところでは、摩擦材料の骨
格を形成するバインダーは、前記のように耐熱性が高く
て化学的にも安定な樹脂であるべきで、相手板との全面
接触に必要な弾力性は添加成分(フィラー)から得るべ
きである。弾力性を得るためのフィラーとしては、ゴム
が圧力応答性に優れ、荷重を加えた時の変形量が大き
く、荷重を取り除いた時の迅速な復元性があるという理
由で望ましい。このためゴムを粒子状態でフィラーとし
て添加することはかなり有効な手段である。しかしゴム
を必要な弾力性が得られるまで充分な量まで添加する
と、ゴムが熱や化学反応によって変化する可能性が大き
く、摩擦特性の安定を欠くものである。
そこで本発明の発明者はゴムのフィラーへの添加方法
について種々検討、実験し、本発明に到達したのであ
る。
すなわち、本発明は、重量%で5〜40%の熱硬化性樹
脂を結合成分とし、残部がフィラーである摩擦材料にお
いて、該フィラーには少なくともゴムを含浸または被覆
した膨張化黒鉛を含むことを特徴とする湿式摩擦材料、
または前記フィラーが膨張化黒鉛のほかに熱硬化性樹脂
で部分的に結合された多孔質パルプ造粒粉を含むことを
特徴とする湿式摩擦材料を内容とするものである。ゴム
を含浸または被覆した膨張化黒鉛の含有量は好ましくは
1〜60重量%であり、熱硬化性樹脂で部分的に結合され
た多孔質パルプ造粒粉を含む場合には造粒粉の気孔率は
好ましくは20〜70%である。
本発明の膨張化黒鉛は、天然または人造の黒鉛を物理
的あるいは化学的作用により六角状平面が層状に積み重
なった形の黒鉛の結晶の層間を数倍から数百倍に膨張さ
せたものである。
含浸用あるいはコート用のゴムは耐熱、耐油性に優れ
る一般的なゴムが用いられるが、好適な例には天然ゴ
ム、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、SBR
(スチレンブタジエンゴム)、アクリルゴム、チオコー
ルゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリ
コンゴム、フッ素ゴムおよびこれらのゴムの水素添加あ
るいは変性ゴムから選ばれるものである。
特許請求の範囲に規定された組成範囲は、どの成分も
この範囲をはずれると摩擦係数、耐摩耗性、耐久性、強
度等の摩擦材料の諸特性のいずれかに不都合を生じるも
のである。
すなわち熱硬化樹脂バインダーは、5重量%未満にな
ると材料強度が弱く材料の欠け、摩耗の増大となり、40
重量%を超えて多くなると高負荷時のプラスチックフロ
ーが発生したり、望む摩擦係数あるいは安定した摩擦係
数が得られないなどの不都合を生ずる。
特許請求の範囲第3項の限定の理由は、この範囲をは
ずれると不都合があるわけではないが、特にこの範囲が
添加効果が高く経済的なためである。
またバルブ造粒粉の気孔率限定の理由は、20%未満に
なると弾力性、含油性に乏しく、また70%を超えて多く
なると強度、みかけの塑性変形量等に問題が生じるため
である。
本発明摩擦材の製造方法は特に限定されないが、好適
な一例として粉末冶金的製造法があげられる。
フィラーおよび樹脂成分をV型ブレンダー、ヘンシェ
ルミキサー、レデイゲミキサー他適当な混合機により混
合し、型の中に投入し加圧成形する。加圧成形したグリ
ーン・コンパクトを加熱成形して、樹脂成分を反応させ
硬化する。加圧成形時に加熱を同時に行なうことはもち
ろん可能であり、また金属性支持体に加熱焼成と同時に
接着することも可能である。
(作用) 本発明の第1点はゴムを含浸またはコートした膨張化
黒鉛を添加するということであり、別の第2の点はさら
にこの材料にパルプ粉を主成分とし熱硬化性樹脂で結合
された造粒粉を添加することである。本発明は第1の点
だけでも充分な効果を発揮し、一つの独立した発明であ
るが、第2の点の造粒粉を添加することによって、単独
では著しく影響を受けるような添加剤の影響や熱の影響
を分散し、かつ動摩擦係数を上げ、動摩擦係数と静摩擦
係数の差を小さくするなどの摩擦特性の改善を行なうこ
とができる。
黒鉛は従来から典型的な潤滑成分として摩擦材に添加
され、熱容量が大きく、耐焼付性を大巾に向上させ、熱
安定性、化学的安定性に優れるものである。本発明は、
これをゴムと組合せることによって摩擦摺動材料用とし
て優れた効果のフィラーを形成し、また数倍から数百倍
にも膨れた膨張黒鉛にゴムが適量含浸あるいは被覆され
てために非常に少量の添加で添加効果が認められる。膨
張化黒鉛は、非常に圧縮性に優れていても復元性はごく
わずかなのであるが、本発明のゴムを含浸またはコート
したものは、圧力応答性に優れ、少量の添加量でも弾力
性におよぼす効果は非常に大きく、また熱や化学反応の
影響を受けても弾力性への影響が少ないものである。
パルプ粉を主成分とし熱硬化性樹脂で結合された造粒
粉を添加することは、前記のようにペーパー系摩擦材で
は従来からある技術であったが、これを樹脂結合摩擦材
に応用し、特にゴム含浸または被覆の膨張黒鉛と組合せ
ることによって、本発明独特の相乗効果が得られるので
ある。
本発明摩擦材料を前記のように粉末冶金的製法によっ
て製造すれば、連通した空孔を適当量有する材料を得る
ことができ、この気孔が摩擦材と相手材との界面にある
油を適切に排出し、あるいはまた材料内部から摩擦界面
への油の供給路となって、界面に存在する潤滑油量を調
整し、摺動速度−摩擦係数特性、界面圧力−摩擦係数特
性を良好に調整することが可能になる。また冷却媒体と
しての油は、連通した空孔により界面の冷却のみでな
く、材料内部の冷却をも行なうことができる。さらにま
たこの空孔は、材料の弾力性を高める作用も持つもので
ある。摩擦材製造における粉末冶金的製法およびそれに
よる前記のような効果は従来から知られたものである
か、本発明が粉末冶金的製法による製造が可能な材料に
よって摩擦材の改良をなしとげたという点に、本発明の
価値がある。
本発明の摩擦材料は、気孔率15〜70体積%、弾性率10
〜80kg/mm2であるものが特に良好な結果を示すが、気孔
率15%未満においても本発明のフィラーの効果は認めら
れた。
(実施例) 本発明の粉末冶金法での実施例を以下に説明する。こ
の実施例は本発明の効果を確認するためのものであり、
特許請求の範囲は実施例によって限定されない。
原料を第1表に示す。ただし、CTBNとはカルボキ変性
ニトリルゴムであり、また表示以外にも、「その他微量
の硬化剤、触媒、老化防止剤」は適宜加えられる。
表に示す各成分を表に示す重量%に秤量し、V型ミキ
サー、レデイゲミキサー、ヘンシェルミキサー等によっ
て混合し、外径335mm、内径283mm、深さ5mmの金型に充
填し、加圧成形した。得られた成形体を、ポリイミド樹
脂系は250℃、フェノール樹脂系は180℃にて、約4時間
硬化した。
得られたライニング(またはフェーシング)材の代表
的な物性値は、気孔率40%、抗折力強度200kgf/cm2、硬
度HR15Y24、弾性率35kgf/mm2であった。この製品片をス
チール製の芯板に接着剤にて接着し、潤滑油のため油溝
を機械加工により形成し、ライニング(またはフェーシ
ング)厚さを片面0.9mmまで研削して、実験に供した。
比較例としては、比較例1に混練シート法によるゴム
系摩擦材料を示し、比較例2に粉末冶金製法によるコー
クス・グラファイト系摩擦材料を示した。両者とも市販
品または市販品にきわめて近いものである。
比較例3は、通常の黒鉛にゴムを含浸または被覆した
フィラーを含有した比較例であり、比較例4は、膨張化
黒鉛とゴムとをそれぞれ単独に添加した比較例である。
以下に実験結果を説明する。単に実施例と書いてある
ものは、実施例3の結果を代表として示してある。
第1図はジーゼルエンジン油、S−3、10Wを用いて
油温120℃中に長時間浸漬した場合の実験結果である。
比較例1は浸漬時間の経過とともに弾性率が急激に大き
くなっており、ライニング材が硬くなってしまってい
る。また比較例2は経時変化はないが、弾性率が高く、
クラッチあるいはブレーキとしてエンゲージさせた時ヒ
ートスポットを発生し、焼付限度(限界負荷能力)の低
いものであった。実施例は安定した適度な弾性率を保持
していた。
第2図は同じオイルの中に浸漬した場合の膨潤につい
ての結果である。比較例1はオイルまたはオイル添加量
の影響により膨潤するのに対し、実施例が安定している
ことがわかる。
第3図および第4図は大気中で100℃、200℃の温度に
曝した場合の弾性率の経時変化を示したものである。実
施例が200℃の高温においても安定していることがわか
る。比較例1の200℃、1000時間後の弾性率が下がって
いるが、これは材料が硬くなった後、劣化してもろくな
ったためである。
第5図は180℃における摺動時の材料の座屈強度を示
す。たて軸はライニングにかけた実面積当りの荷重で、
横軸はその荷重で座屈が生じるまでに何サイクル耐えた
かのサイクル数を示す。比較例にくらべて実施例が3倍
以上の耐加重であることがわかる。さらに座屈の形態で
あるが、比較例は材料にクラックが入りボロボロである
が、実施例は荷重による沈み込みでありクラックは発生
していないものである。
第6図に焼付限界曲線を示す。曲線より上は危険領域
であり、曲線より下は安全領域である。実施例が非常に
高い焼付限界を示し、高負荷用途に適用できることがわ
かる。
第7図に吸収エネルギー約20kgf/cm2、吸収仕事率約1
0kgf/cm2・secという高負荷での5万サイクル耐久試験
結果を示す。単位面積当りの吸収エネルギーと実単位面
積当りの最大吸収仕事率の積は約650(kgfm)2/(cm2
(cm2・sec)であり、従来の約2倍以上の高負荷での耐
久試験で、安定した摩擦係数と許容できる摩耗量を有す
ることがわかる。
第2表に連続摺動すべりによるテスト結果を示す。デ
イスクは2枚(4面)を用い、オイルは油種#30、油量
8cc/cm2・min、油温100℃である。試験条件1は摺動速
度8.6m/sec、面圧3.1kgf/cm2であり、試験条件2は摺動
速度10.0m/aec、面圧7.0kgf/cm2である。試験条件2に
おける実施例は、15分で油温が引火点以上に上昇したた
めにテストを中止したのである。実施例は連続した摺動
にもすぐれた材料であることがわかる。
その他の弾性率として、第1図に示した実験と同一条
件により実施例2,比較例3および比較例4の初期段階に
おける弾性率を測定したところ、実施例2の弾性率が35
kgf/mm2、比較例3の弾性率が60kgf/mm2、比較例4の弾
性率が62kgf/mm2であった。
第3表に実施例1〜6と比較例1〜2における単位面
積当り吸収エネルギーと実単位面積当り最大吸収仕事率
との積の限界値を示した。ただしデイスクは外径335m
m、内径283.5mmの2枚(4面)であり、油はデイーゼル
エンジン油で油種#30、油温100℃、油量8cc/cm2・min
であり、サイクル数は200回であり、限界値は吸収エネ
ルギー20kgm/cm2におけるものである。比較例3は、実
施例2に対比して顕著に弾性率が高く、弾力性に及ぼす
ゴムの含浸または被覆の効果が少ないことがわかる。ま
た、比較例4は、加圧時の最初の変形は大きいが回復力
に乏しく、実施例2に対比して数回の加圧で顕著に弾性
率が高くなる。このように弾性率が高くなると、単位面
積当りの吸収エネルギーと実面積当りの最大吸収仕事率
との積の限界値が第3表に示すように顕著に低下する。
本発明の効果が高いことがわかる。
(発明の効果) 本発明優れた湿式摩擦材料を提供するものであるか
ら、本発明の工業的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明摩擦材料と比較のための摩擦材料との
摩擦特性測定実験において、経過時間と弾性率との関係
を示す曲線図、第2図は、同じく経過時間とライニング
厚変化率との関係を示す曲線図、第3図および第4図
は、同じく経過時間と弾性率との関係を示す曲線図、第
5図は、同じくサイクル数と実面積当り座屈荷重との関
係を示す曲線図、第6図は、同じく吸収エネルギーと吸
収仕事率との関係を示す曲線図、第7図は、同じく制動
回数と摩擦係数および摩耗率との関係を示す曲線図であ
る。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09K 3/14 F16D 69/02 WPI/L(QUESTEL)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で5〜40%の熱硬化性樹脂を結合成
    分とし、残部がフィラーである摩擦材料において、該フ
    ィラーには少なくともゴムを含浸または被覆した膨張化
    黒鉛(Exfoliated Graphite)を含むことを特徴とする
    湿式摩擦材料。
  2. 【請求項2】重量%で5〜40%の熱硬化性樹脂を結合成
    分とし、残部がフィラーである摩擦材料において、該フ
    ィラーには少なくともゴムを含浸または被覆した膨張化
    黒鉛および熱硬化性樹脂で部分的に結合された多孔質パ
    ルプ造粒粉を含むことを特徴とする湿式摩擦材料。
  3. 【請求項3】ゴムを含浸または被覆した膨張化黒鉛の含
    有量が1〜60重量%であることを特徴とする特許請求の
    範囲第1項および第2項記載の湿式摩擦材料。
  4. 【請求項4】熱硬化性樹脂で部分的に結合された多孔質
    パルプ造粒粉が20〜70%の気孔率を有するものであるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第2項記載の湿式摩擦材
    料。
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