JP2014148569A - ブレーキ摩擦材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のブレーキ摩擦材は、少なくとも強化繊維、結合材、潤滑材、摩擦調整材、及び充填材を含有してなるブレーキ摩擦材において、前記強化繊維は、アルミニウムの含有率が6〜25質量%の鉄及びアルミニウムからなる鉄−アルミニウム合金繊維を含有している。
【選択図】なし
Description
このブレーキ摩擦材は、上記の補強材の他、フェノール樹脂などの結合材、黒鉛、二硫化モリブデンなどの潤滑材、カシューダスト、セラミック粉、金属粉などの摩擦調整材、硫酸バリウムなどの充填材、及び水酸化カルシウムなどのpH調整材などを数種混合し、その後、常温にて圧縮成形(予備成形)し、次いで、予め接着剤を塗布した裏金とともに加熱圧縮成形し、さらに熱処理した後、溝加工や表面研磨を施すことにより製造されている。
このブレーキ摩擦材は、強化繊維としてスチール繊維及び銅繊維を含有し、さらに亜鉛粉を含有していることから、高くかつ安定した摩擦係数の確保と、鳴きの低減とを両立させることができるものとなっている。よって、低温低速時から高温高速時までの幅広い範囲に亘って、摩擦係数を向上させかつ安定化することができ、鳴きの発生も防止することができるとされている。
また、強化繊維としてスチール繊維及び銅繊維を用い、かつ硬度の低い材料を用い、相手ロータの摩擦を抑制すると共に、この相手ロータの摺動面に銅等が付着して膜を生成することで、摩擦係数を安定させている。しかしながら、移着膜によりロータ表面が平滑化しているので、例えば、結露や雨等によりロータ表面に水分が付着した状態では、パッドがロータ表面に吸着することにより、異常な摩擦係数の上昇が生じ、その結果、異音が発生するという問題があった。
また、ブレーキ摩擦材の鉄と相手材である鋳鉄製ロータとが焼き付く際に、鉄の間にアルミニウムが介在することとなるので、ブレーキ摩擦材と相手材である鋳鉄製ロータとの焼き付きが、スチール繊維等と比べて少なくなり、したがって、ロータの摩耗を抑制することができ、異音の防止を図ることができる。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本実施形態のブレーキ摩擦材は、銅が含まれていないことを特徴としている。
ここで、この鉄−アルミニウム合金繊維におけるアルミニウムの含有率を6〜25質量%と限定した理由は、アルミニウムの含有率が6質量%を下回ると、アルミニウムの量が相対的に少なくなってしまい、耐食性の低下という不具合が生じる虞があるので好ましくなく、一方、アルミニウムの含有率が25質量%を超えると、アルミニウムの量が多すぎてしまい、耐食性の低下という不具合が生じる虞があるので好ましくない。
ここで、強化繊維として鉄−アルミニウム合金繊維が好ましい理由は、この鉄−アルミニウム合金繊維は、銅繊維やスチール繊維と比べて、ブレーキ摩擦材における高負荷での摩擦係数の安定化を図ることができるからである。
また、この鉄−アルミニウム合金繊維は、アルミニウムを含有することで、ブレーキ摩擦材と相手材である鋳鉄製ロータとの焼き付きが、スチール繊維等と比べて少なくなるので、ロータの摩耗の抑制、異音の防止を図ることができるからである。
ここで、鉄−アルミニウム合金繊維の含有率を10〜30質量%と限定した理由は、この範囲が鉄−アルミニウム合金繊維の高負荷での摩擦係数の安定化を図ることができる範囲であるからである。なお、鉄−アルミニウム合金繊維の含有率が10質量%未満では、高負荷での摩擦係数の安定化を図ることができず、また、ロータの摩耗を抑制することができず、異音の防止を図ることができないので好ましくなく、一方、鉄−アルミニウム合金繊維の含有率が30質量%を超えると、鉄−アルミニウム合金繊維の量が相対的に増加する結果、凝着摩擦による摩擦の影響が大きく、スキール音やグー音が発生し易くなるので、好ましくない。
ここで、この鉄−アルミニウム合金繊維の平均繊維径を上記の範囲に限定した理由は、平均繊維径が20μm未満では、摩擦係数の向上を図ることができず、また、平均繊維径が100μmを超えると、鉄−アルミニウム合金繊維の本数が減少し、このブレーキ摩擦材中での分散性が悪化するので、好ましくない。
鉄−アルミニウム合金を繊維に加工後、200〜500℃にて熱処理を施すことにより、この鉄−アルミニウム合金繊維の表面に、より強度の高い酸化アルミニウムからなる皮膜が形成されるので、鉄−アルミニウム合金繊維の耐食性を向上させることができ、品質をさらに向上させることができる。
潤滑材としては、黒鉛、コークス、三硫化アンチモン、二硫化モリブデン等が好適に用いられる。
充填材としては、硫酸バリウム等が好適に用いられる。
このブレーキ摩擦材は、必要に応じてpH調整材等を含有してもよい。このpH調整材としては、水酸化カルシウム等が用いられる。
さらに、自動車等のブレーキ摩擦材においては、摩耗粉が外部環境に放出されることから、既に、鉛、カドミウム、六価クロム等の使用が禁止されているが、近年においては、銅が水環境の微生物に悪影響を及ぼす虞があるとの理由で、ブレーキ摩擦材における含有が規制される状況になっている。
また、北米やロシア等の寒冷地での使用を考慮して、塩水を用いた浸漬や乾燥を繰り返し行う複合腐食試験を行った場合、摩擦材の腐食が激しく、機械的強度が低下する等の問題点があった。
また、ブレーキ摩擦材の鉄と相手材である鋳鉄製ロータとが焼き付く際に、鉄の間にアルミニウムが介在することとなるので、ブレーキ摩擦材と相手材である鋳鉄製ロータとの焼き付きが、スチール繊維等と比べて少なくなり、したがって、ロータの摩耗を抑制することができ、異音の防止を図ることができる。
したがって、北米やロシア等の冷間地域での融雪剤によるブレーキ摩擦材の強度低下に起因する不具合を防止することができる。
さらに、鉄−アルミニウム合金繊維を加工した後に熱処理を施すことにより、より強度の高い酸化アルミニウム皮膜を形成することができ、品質をさらに向上させることができる。
「実施例1〜3」
実施例1〜3のプレーキパッド(ブレーキ摩擦材)を作製した。
まず、洗浄剤を用いて裏金を充分に洗浄し、この裏金にショットブラストまたはリン酸処理等の化成処理を施した後、摩擦材と接する面に接着剤を塗布し乾燥した。
実施例1〜3それぞれの配合量(質量%)を表1に示す。
次いで、この冷間圧縮成形品と上記の接着剤を塗布した裏金を、150℃に加熱した金型内にセットし、この温度にて40MPaの圧力で250秒加熱圧縮成形した。
次いで、この成型品を220℃にて6時間熱処理し、さらに、研磨加工、溝加工を施し、実施例1〜3のプレーキパッドとした。
比較例1〜5プレーキパッド(ブレーキ摩擦材)を作製した。
ここでは、鉄−アルミニウム合金繊維の含有量が本発明の下限値より少ないプレーキパッドを比較例1、鉄−アルミニウム合金繊維の含有量が本発明の上限値より多いプレーキパッドを比較例2、鉄−アルミニウム合金繊維の替わりに銅繊維を用いたプレーキパッドを比較例3、鉄−アルミニウム合金繊維の替わりにスチール繊維を用いたプレーキパッドを比較例4、鉄−アルミニウム合金繊維の替わりにSUS430のステンレス繊維を用いたプレーキパッドを比較例5とし、上記実施例1〜3と全く同様にして比較例1〜5のプレーキパッド(ブレーキ摩擦材)を作製した。
比較例1〜5それぞれの配合量(質量%)を表1に示す。
摩擦特性は、第2効力試験及び第1フェードリカバリ試験の2項目について、自動車技術会規格JASO C 406「乗用車−ブレーキ装置−ダイナモメータ試験方法」に基づき測定した。
実施例1〜3及び比較例1〜5それぞれの測定結果を表2に示す。
また、実施例1〜3は、従来の製造方法をそのまま適用することができるので、製造に格別困難性はなく、製造が容易であることが確認された。
Claims (4)
- 少なくとも強化繊維、結合材、潤滑材、摩擦調整材、及び充填材を含有してなるブレーキ摩擦材において、
前記強化繊維は、アルミニウムの含有率が6〜25質量%の鉄及びアルミニウムからなる鉄−アルミニウム合金繊維を含有してなることを特徴とするブレーキ摩擦材。 - 前記ブレーキ摩擦材の全体量を100質量%としたとき、
前記鉄−アルミニウム合金繊維の含有率は10〜30質量%であることを特徴とする請求項1記載のブレーキ摩擦材。 - 前記鉄−アルミニウム合金繊維は、鉄−アルミニウム合金を繊維に加工後、表面に酸化皮膜が形成されるように熱処理が施されたことを特徴とする請求項1または2記載のブレーキ摩擦材。
- 前記ブレーキ摩擦材には銅が含まれていないことを特徴とする請求項1、2または3記載のブレーキ摩擦材。
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