JP5331428B2 - ブレーキ摩擦材 - Google Patents
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このブレーキ摩擦材は、上記の補強材の他、フェノール樹脂などの結合材、黒鉛、二硫化モリブデンなどの潤滑材、カシューダスト、セラミック粉、金属粉などの摩擦調整材、硫酸バリウムなどの充填材、及び水酸化カルシウムなどのpH調整材などを数種混合し、その後、常温にて圧縮成形(予備成形)し、次いで、予め接着剤を塗布した裏金とともに加熱圧縮成形し、さらに熱処理した後、溝加工や表面研磨を施すことにより製造されている。
このブレーキ摩擦材は、摩擦材中に均一分散が容易な平均粒径が10〜20μmのチタン酸カリウム板状繊維を含んでいることから、剪断強度及び接着強度が高く、摩擦特性の安定性、異音の低減性に優れたものとなっている。
また、硬化性の良い変性無しのフェノール樹脂を含んでいることから、加熱成形の時間が短縮され、製造が容易なものとなっている。
しかしながら、本発明者等が提案したチタン酸カリウム板状繊維を含むブレーキ摩擦材においては、多車種にパッドを装着した場合、特定の車種、特定の条件下にて鳴きが発生するという問題があった。
特に、常用時の摩擦係数を0.45程度と高く設定した場合、鳴きが発生し易くなり、高くかつ安定した摩擦係数の確保と、鳴きの低減とを両立させることが難しい。
以上により、低温低速時から高温高速時までの幅広い範囲に亘って、摩擦係数を向上させかつ安定化することができ、鳴きの発生も防止することができる。
また、気孔率を15〜20%としたので、スチール繊維、銅繊維及び亜鉛粉それぞれの全質量を最適化することができ、したがって、剪断強度及び接着強度を高めることができ、摩擦特性の変動が小さくかつ安定性に優れたものとすることができ、異音の防止に優れたものとすることができる。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
ここで、強化繊維としてスチール繊維が好ましい理由は、このスチール繊維は、高温高湿等の環境下においてもブレーキ摩擦材が当接するディスクロータと凝着摩擦することで摩擦係数を向上させることができるので、摩擦特性の安定性、品質安定性に優れているからである。
この強化繊維は、その他の繊維として、アラミド繊維等の有機繊維、ロックウール、ウォラストナイト、チタン酸カリウム繊維等の無機繊維、等を含んでもよい。
さらに、この銅繊維の平均繊維径を50〜100μmと限定した理由は、平均繊維径が50μm未満では、摩擦係数の向上を図ることができず、また、平均繊維径が100μmを超えると、銅繊維の本数が減少し、このブレーキ摩擦材中での分散性が悪化するので、好ましくない。
ここで、亜鉛粉を用いた理由は、亜鉛が金属の中で融点が420℃と低く、融解熱も7.32kJ/molと小さく、モース硬度が2.5と柔らかいからである。
この摩擦調整材は、亜鉛粉以外の材料としては、有機系摩擦調整材及び無機系摩擦調整材のうちいずれか一方または双方が含まれていることが好ましく、有機系摩擦調整材としては、カシューダスト、ゴム粉等が、無機系摩擦調整材としては、珪酸ジルコニウム、アルミナ、酸化鉄、錫等の粉末が好適に用いられる。
充填材としては、硫酸バリウム等が好適に用いられる。
結合材としては、変性無しのフェノール樹脂等が好適に用いられる。
このブレーキ摩擦材は、必要に応じてpH調整材等を含有してもよい。このpH調整材としては、水酸化カルシウム等が用いられる。
「実施例1〜8」
実施例1〜8のプレーキパッド(ブレーキ摩擦材)を作製した。
まず、溶剤を用いて裏金を充分に洗浄し、この裏金にショットブラストまたはリン酸処理等の化成処理を施した後、摩擦材と接する面に接着剤を塗布し乾燥した。
実施例1〜8それぞれの配合量(質量%)を表1に示す。
次いで、この冷間圧縮成形品と上記の接着剤を塗布した裏金を、150℃に加熱した金型内にセットし、この温度にて40MPaの圧力で250秒加熱圧縮成形した。
次いで、この成型品を220℃にて6時間熱処理し、さらに、研磨加工、溝加工を施し、実施例1〜8のプレーキパッドとした。
スチール繊維の含有量が本発明の下限値より少ないプレーキパッドを比較例1、スチール繊維の含有量が本発明の上限値より多いプレーキパッドを比較例2、銅繊維の含有量が本発明の下限値より少ないプレーキパッドを比較例3、銅繊維の含有量が本発明の上限値より多いプレーキパッドを比較例4、銅繊維の平均繊維径が本発明の下限値より小さいプレーキパッドを比較例5、銅繊維の平均繊維径が本発明の上限値より大きいプレーキパッドを比較例6、亜鉛粉の含有量が本発明の下限値より少ないプレーキパッドを比較例7、亜鉛粉の含有量が本発明の上限値より多いプレーキパッドを比較例8、亜鉛粉の粒径が本発明の上限値より大きいプレーキパッドを比較例9とし、上記実施例1〜8と全く同様にして比較例1〜9のプレーキパッド(ブレーキ摩擦材)を作製した。
比較例1〜9それぞれの配合量(質量%)を表2に示す。
摩擦特性は、第2効力試験及び第1フェードリカバリ試験の2項目について、自動車技術会規格JASO C 406「乗用車−ブレーキ装置−ダイナモメータ試験方法」に基づき測定した。
パッド摩耗量も、自動車技術会規格JASO C 406「乗用車−ブレーキ装置−ダイナモメータ試験方法」に基づき測定した。
実施例1〜8の測定結果を表3に、比較例1〜9の測定結果を表4に、それぞれ示す。
また、実施例1〜8は、従来の製造方法をそのまま適用することができるので、製造に格別困難性はなく、製造が容易であることが確認された。
Claims (1)
- 少なくとも強化繊維、結合材、潤滑材、摩擦調整材、及び充填材を含有してなるブレーキ摩擦材において、
このブレーキ摩擦材の全体量を100質量%としたとき、
スチール繊維を5〜10質量%、平均繊維長が2〜3mmの銅繊維を5〜10質量%、粒径が5〜75μmの亜鉛粉を2〜5質量%、含有してなり、
前記銅繊維の平均繊維径は50〜100μmであることを特徴とするブレーキ摩擦材。
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