JP2018002775A - ブレーキ摩擦材 - Google Patents
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Abstract
Description
このブレーキ摩擦材は、上記の繊維材の他、フェノール樹脂等の結合材、黒鉛、二硫化モリブデン等の潤滑材、アルミナ粉、ジルコンサンド、カシューダスト、セラミック粉、金属粉等の摩擦調整材、硫酸バリウム等の充填材、および水酸化カルシウム等のpH調整材を混合することにより、強度、接着性、摩擦特性、摩耗特性、鳴き特性等のブレーキ特性を満足するように調整されている(特許文献1参照)。
また、以下の特許文献3では、モース硬度7以上の研削材として安定化ジルコニア、珪酸ジルコニウム、およびアルミナからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とし、銅を含有していなくても高速・高負荷での摩擦係数を得ることが可能なブレーキ摩擦材が開示されている。さらに、以下の特許文献4では、強化繊維としてウォラストナイトを含有することを特徴とし、製造時に亀裂や割れによる不良率の低下を抑制し、静止摩擦係数が異常に高くなり過ぎることを防止することでグー音等の異音を防止することが可能なブレーキ摩擦材が開示されている。
そこで本発明では、摩耗特性に優れ、十分な摩擦特性と鳴き特性が得られるブレーキ摩擦材を提供することを目的とする。
酸化ジルコニウムとチタン酸カリウムの所定量配合により、ディスクロータ等の被制動部材の表面にトランスファフィルムが形成され、優れた摩耗特性が得られる。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1に一例として、ディスクブレーキ用のブレーキパッド1を示す。このブレーキパッド1は、バックプレート2と、バックプレート2の表面に接着されたブレーキ摩擦材3とからなっている。このブレーキパッド1は、バックプレート2において車両の非回転部に支持されることになり、バックプレート2のブレーキ摩擦材3と反対側がディスクブレーキキャリパで押圧されることにより、ブレーキ摩擦材3が車輪とともに回転するディスクに接触してディスクの回転にブレーキをかけるものである。
本実施形態のブレーキ摩擦材3において、前記強化繊維としてアラミド繊維などを適用することができ、前記結合材としてフェノール樹脂などを適用することができ、前記潤滑剤として黒鉛、コークス、三硫化アンチモン、二硫化モリブデンなどを適用することができる。また、有機系摩擦調整材としてカシューダスト、ゴム粉などを適用することができ、無機系摩擦調整材としてマイカなどの粉末あるいは亜鉛粉末、錫粉末などの金属粉末を適用することができ、充填材として硫酸バリウムなどを適用することができ、pH調整材として水酸化カルシウムなどを適用することができる。
ブレーキ摩擦材3に含まれている金属繊維はアスペクト比40以上60以下(40〜60)の金属繊維であることが好ましい。アスペクト比40〜60の金属繊維として、例えば銅繊維、スチール繊維などを適用することができる。アスペクト比40〜60の金属繊維を用いることでブレーキ摩擦材3に効果的な導電性を付与することができ、溶剤を用いた塗装を行う必要が無くなり、粉体塗装を採用できるようになる。
金属繊維のアスペクト比が40未満であると、繊維長が短くなるため粉体塗装に必要な導電性を十分に得ることができないという問題があり、金属繊維のアスペクト比が60を超えるようであると、材料混合時の分散性が悪化するという問題がある。
繊維径が30μm未満では,繊維長が短くなるため,導電性を十分に確保できなくなり、繊維径が80μmを超えるようでは金属繊維1本あたりの体積が増加し,ブレーキ摩擦材3の単位体積あたりに含まれる金属繊維の本数が減少し,導電性を満足に得ることができなくなる。
即ち、酸化ジルコニウムとチタン酸カリウムを上述の範囲に従い配合することで制動の繰り返しによりディスクロータ等の被制動部材表面に平滑なトランスファフィルムを形成でき、このトランスファフィルムの生成により相手攻撃性を緩和して優れた摩耗特性を発揮できる。
さらに、ブレーキ摩擦材3に含まれている金属繊維のアスペクト比を40〜60の範囲とすることで、ブレーキ摩擦材3に効果的に導電性を付与することができ、粉体塗装を可能とする。これにより溶剤塗装を用いる必要が無くなるため、環境負荷を低減できる。例えば、ブレーキ摩擦材3の導電性を利用して静電塗装を行えば、塗装工程において溶剤が不要となり、環境面で負担の少ない製造が可能となる。
次に、以下の表1、表2に示すように酸化ジルコニウムを6〜16質量%、チタン酸カリウムを20〜31質量%、鉱物繊維(ウォラストナイト)を5〜11質量%、金属繊維として銅繊維を7〜16質量%含有し、更に、アラミド繊維、フェノール樹脂、黒鉛/三硫化アンチモン(一例として、黒鉛5質量%、三硫化アンチモン5質量%)、カシューダスト/ゴム粉(一例として、カシューダスト2.5質量%、ゴム粉2.5質量%)、無機摩擦調整材(マイカ)、水酸化カルシウム、硫酸バリウムを個々に所定量配合して実施例1〜9、比較例1〜9のための原料混合物を作製した。なお、ここで用いた金属繊維の繊維径は60μmであり、アスペクト比50の金属繊維を用いた。表1、表2において各成分の配合量の単位は全て質量%を示す。
これらのブレーキパッドについて、摩耗量評価、寿命の推定、摩擦特性の測定および鳴き特性評価を行った。
寿命の推定は自動車工業規格JASO C 427での評価結果と実車での摩耗量を比較することにより行った。
また、自動車市場においてはブレーキ摩擦材の効力に対し、フェード時の摩擦係数μが0.2以下程度の場合にフェード性に優れない、と判断されるので、同等の判断基準とした。フェードとは、ブレーキの繰り返しによりディスクパッドが高温になり、摩擦係数が急激に低下する現象として知られており、ブレーキ摩擦材に含まれているフェノール樹脂等の有機分の熱分解物が摩擦界面を潤滑するために、摩擦抵抗が減少する現象として知られている。フェード時の摩擦係数μが0.2以下程度の場合にフェード性に優れないと判断する技術の例として特開2010−222555号公報、特開2010−285558号公報に記載の技術が知られている。
フェード時の摩擦係数μの求め方は、JASO C 406に規定された方法に従った。
以上の評価結果について以下の表3、表4に纏めて示す。
表1と表3に示す実施例の結果を見ると、実施例1〜実施例9のブレーキパッドは摩耗特性を満足し、かつ十分な摩擦特性と鳴き特性を確保可能なことを確認できた。
また、これらのブレーキパッドを製造した工程は従来のブレーキパッドの製造工程と変わらないので製造工程は従来方法をそのまま適用することができ、製造に格別困難性はなく、製造が容易な特徴を有する。
本発明の望ましい範囲より酸化ジルコニウムを少なくした比較例1は、寿命が短く摩耗特性が悪化し、酸化ジルコニウムを多くした比較例2はブレーキ鳴きの頻度が1%を超えたのでブレーキ鳴きが発生した。
本発明の望ましい範囲よりチタン酸カリウムの配合量を少なくした比較例3は寿命が短く摩耗特性が悪化し、チタン酸カリウムの配合量を多くした比較例4はブレーキ鳴きの頻度が1%となりブレーキ鳴きが発生した。
本発明の望ましい範囲より鉱物繊維の配合量を少なくした比較例5はブレーキ摩擦材の気孔率が低下し、フェード時のμが0.2を下回って低下し、鉱物繊維の配合量を多くした比較例6は寿命が短く摩耗特性を満足できなかった。
本発明の望ましい範囲より金属繊維の配合量を少なくした比較例7は摩擦係数が上昇してブレーキ鳴きが発生し、金属繊維を多くした比較例8はフェード時のμが0.2を下回って低下した。
比較例9はモース硬度5.0を超える材料(珪酸ジルコニウム)を添加した試料であるが、摩耗特性が悪化し、摩擦係数が上昇したことによりブレーキ鳴きの頻度が1%を超えたのでブレーキ鳴きが発生した。
これらの実施例に対し、実施例1の配合比であるが、銅繊維の繊維径とアスペクト比を以下の表5に示すように変更した実施例と、銅繊維の繊維径とアスペクト比を以下の表5のように変更した参考例の試料を作製し、各試料の導電率を測定した。
銅繊維のアスペクト比は40〜60の範囲が望ましく、40未満であると繊維長が長いために粉体塗装に必要な導電率を得ることができ難く、60を超えると材料混合時の分散性の悪化により必要な導電率を得ることができない。
銅繊維(金属繊維)の繊維径が30〜80μmの場合は粉体塗装に必要な導電率を得られるが、銅繊維径25μmあるいは銅繊維径90μmでは抵抗値が大きくなりすぎるので粉体塗装には不都合となるおそれがある。
2 バックプレート
3 ブレーキ摩擦材
Claims (4)
- 少なくとも強化繊維材、結合材、摩擦調整材、充填材、およびpH調整材を含有してなるブレーキ摩擦材において、前記ブレーキ摩擦材の全体量を100質量%としたとき、
酸化ジルコニウムを7質量%以上かつ15質量%以下、チタン酸カリウムを21質量%以上かつ30質量%以下、鉱物繊維を6質量%以上かつ10質量%以下、金属繊維を8質量%以上15質量%以下含有することを特徴とするブレーキ摩擦材。 - 前記酸化ジルコニウム以外のモース硬度5.0以上の材料を含有しないことを特徴とする請求項1に記載のブレーキ摩擦材。
- 前記鉱物繊維は、ロックウールまたはウォラストナイトであることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ摩擦材。
- 前記金属繊維のアスペクト比が40〜60であることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ摩擦材。
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CN108644268A (zh) * | 2018-04-25 | 2018-10-12 | 武城县水兴橡塑摩擦材料有限公司 | 一种摩擦材料及其制备方法 |
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