JP2814503B2 - 単結晶ダイアモンド膜複合体の製造方法 - Google Patents

単結晶ダイアモンド膜複合体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は大面積のエピタキシャル成長した単結晶ダイ
アモンド膜複合体に関し、半導体基盤やその他の電子機
器用の基盤等として各種の産業分野に広く応用出来る。
従来の技術 単結晶ダイアモンドは超高圧法によって、高温高圧の
もとに粒状の物が提供されている。しかし、そのサイズ
は大きくてもmm程度と非常に小さく、電子部品等の基盤
にはほど遠いものである。最近では低温低圧に於て、プ
ラズマ等の高温エネルギーを応用してダイアモンド薄膜
を形成する技術が発展してきている。大面積の膜の形成
は可能と成ってきているが、多結晶膜であり、その応用
は限られている。
発明が解決しようとする課題 本発明は、単結晶勝され、且つ大面積に渡る単結晶ダ
イアモンド膜を形成し、電子機器や半導体素子に適用可
能とすることを目的とする。
課題を解決するための手段 単結晶基盤を用い、その単結晶基盤上にエピタキシャ
ル成長させた単結晶ダイアモンド膜を設ける。
その製造方法は、単結晶基盤上に多結晶ダイアモンド
膜を形成する工程と、炭素を主とするイオン種をイオン
注入する工程と、熱処理を施すことによって前記多結晶
ダイアモンド膜をエピタキシャル成長せしめ単結晶化す
る工程とを含む。
作用 基盤に単結晶を使用することによって、基盤上に堆積
する炭素原子に異方性を付与することができる。
また上記の製造方法によれば、高い単結晶化が得られ
る。すなわち、基盤に単結晶を使用することのみでは、
基盤との界面の状況が理想的ではないために単結晶性は
完全ではない。イオン注入を行いダイアモンド膜及び界
面を乱すことにより、界面との整合性を向上し、且つ、
一般に低温では固相成長は非常に遅いが、結晶成長速度
を格段に向上することが出来、高い単結晶化が得られる
ものと推定される。
実施例 低温低圧のプラズマを用いて基盤上にダイアモンドを
成長させると上述の様に多結晶膜が成長する。基盤を高
温に加熱しても単結晶化せずやはり多結晶膜が成長す
る。
本発明においては、基盤に単結晶基盤を適用する。
又、適切なる方位を選ぶことによってさらに結晶度の向
上したダイアモンド膜を形成でき、大面積単結晶基盤上
にエピタキシャル成長し、且つ単結晶であるダイアモン
ド膜を有する単結晶ダイアモンド膜複合体を得ることが
できる。
さらに大面積化する為に、大面積単結晶基盤上の保護
層に設けた島状の開口部を通してエピタキシャル成長さ
せ、連続した膜でなく、島状に分割せしめることによっ
て、安定した大面積島状単結晶ダイアモンド膜複合体を
得る。
単結晶基盤としてGe単結晶を用いれば、さらに優れた
結晶度を持ち、またその(111)面を適用することによ
って一層優れた単結晶ダイアモンド膜複合体が得られ
る。
この様な単結晶ダイアモンド複合体は、大面積単結晶
基盤上に多結晶ダイアモンド膜を形成する工程と、炭素
を主としたイオン種をイオン注入する工程と、さらに熱
処理を施すことによってエピタキシャル成長せしめ単結
晶化する工程を少なくとも経ることによって製造でき
る。
又、保護層を設ける工程と、その保護層に開口部を設
ける工程を追加することによって、大面積島状単結晶ダ
イアモンド膜複合体の製造することができる。
さらに、アモルファスGe膜を介在させることによっ
て、安定した単結晶化が実現される。アモルアスGe膜を
介在せしめることによって界面の酸素などの有害元素を
除去し固相成長の阻害因子を取り除けた為と思われる。
以下に本発明の具体例を示す。
基盤としてSi,Ge,Snの単結晶を用い、2cmの薄い円盤
状に加工し、鏡面に化学機械的に研磨した洗浄な面を得
た。この面を各々(100)、(110)、(111)にほぼ一
致せしめた種々の試料を準備した後にダイアモンド膜の
プラズマ成長を行なった。原料ガスとして露点−90℃の
メタンを100cc/分、補助ガスとして露点−90℃の水素を
同時に混合して300cc/分を10mTorrの真空室内に送り、
上記基盤を約400℃に保った表面に500Wのrfプラズマ入
力下で分解、ダイアモンド化して基盤上に厚さ500A堆積
せしめた。堆積直後にさらに続けてイオン注入を行なっ
た。加速電圧100kVで、炭素イオン量は約10x1015/cm2
あった。これをさらにそのまま800℃の温度の20秒急速
加熱を行なった。この後、さらに続けてプラズマ成長を
行い、総厚さ0.3μmに成長させた。
得られた膜は、X線解析の結果、イオン注入前では微
細粒径のダイアモンド多結晶膜であり、イオン注入後で
はアモルファス状に変化し、さらに熱処理後には、第1
表に示す単結晶化度から判る様にかなりの試料が単結晶
状になっており、続けて成長した膜も同様の単結晶化度
を示すことが示された。なお、表中Pは不良を意味し、
非常に低い単結晶化度を示す。
次に基盤上に先ずGe薄膜を約10A蒸着した後に上記の
工程を経たところ、同様の単結晶化結果を得た。全体と
して単結晶化度は約2から3%の改善がなされた。
さらに300AのSiN膜を先ず形成し、そのSiN膜に5x10μ
m角の窓を開け、その上に上記の工程を経たところ、や
はり良好な単結晶化の結果を得た。全体として約3〜4
%の改善を得た。
両者を組み合わせて約5〜6%の改善が認められた。
発明の効果 本発明によれば、良好な大面積のダイアモンド単結晶
膜を得ることが出来る。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単結晶基盤上に多結晶ダイアモンド膜を形
    成する工程と、炭素を主とするイオン種をイオン注入す
    る工程と、熱処理を施すことによって前記多結晶ダイア
    モンド膜をエピタキシャル成長せしめ単結晶化する工程
    とを含むことを特徴とする単結晶ダイアモンド膜複合体
    の製造方法。
  2. 【請求項2】単結晶基盤上に保護層を設ける工程と、該
    保護層に島状の開口部を設ける工程と、多結晶ダイアモ
    ンド膜を形成する工程と、炭素を主とするイオン種をイ
    オン注入する工程と、熱処理を施すことによって、少な
    くとも前記保護層の開口部を通して前記多結晶ダイアモ
    ンド膜をエピタキシャル成長せしめ単結晶化する工程と
    を含むことを特徴とする単結晶ダイアモンド膜複合体の
    製造方法。
  3. 【請求項3】単結晶基盤がGe単結晶であり、(111)面
    を有していることを特徴とする請求項1または2に記載
    の単結晶ダイアモンド膜複合体の製造方法。
  4. 【請求項4】基盤とダイアモンド膜の間にアモルファス
    Ge膜を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載の単結晶ダイアモンド膜複合体の製
    造方法。
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