JP2813265B2 - 脂質資化性酵母及びそれを用いる廃水の処理方法 - Google Patents
脂質資化性酵母及びそれを用いる廃水の処理方法Info
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Description
それを用いる廃水の処理方法に関し、詳しくは製油工場
での精製工程等の工程、食品類の処理工程等において生
ずる脂質含有廃水を脂質資化性酵母と接触させ、脂質
(以下、n−ヘキサン抽出物質という。)を資化させて
n−ヘキサン抽出物質濃度を低減させる方法とそれに用
いる脂質資化性酵母に関する。
して200mg/リットル以上含有する廃水を排出する
製油工場、かりん糖,煎餅などの揚げ物製菓工場、ケー
キ製造工場、ハム・ソーセージ製造工場、缶詰工場、水
産物加工工場、食堂・レストラン等の食品関連事業所な
どから排出される廃水の処理に有用である。
抽出物質濃度200〜300000mg/リットルと幅
広く、一般にSSを300〜100000mg/リット
ル含有する。このSSの主体は、脂質が固形化したもの
である。したがって、これら廃水を公共水域に放流する
場合、予め活性汚泥処理,接触酸化処理などの処置を施
すことが必要である。
ては、n−ヘキサン抽出物質として200〜500mg
/リットルまでは、油脂分離槽を設置して処理し、50
0mg/リットルを越える場合は、加圧浮上分離槽を設
置して脂質等を除去した後、残存有機物を活性汚泥法な
どの生物処理により好気的に除去する方法が一般的であ
る。
を焼却,投棄,埋立などにより最終的に処分する必要が
ある上に、通常の生物学的好気処理では脂質が汚泥に吸
着して活性汚泥が酸素不足になったり、浮上したりし
て、十分な効果が得られなかった。
として、光合成細菌やバチルス属の細菌を用いて処理す
る方法(例えば特公昭51−43311号、同53−1
6226号、特開平3−94898号など)が知られて
いる。これらの方法は、油脂の分離工程を必要としない
ので、工程を簡略化できる利点はあるが、微生物の脂質
資化能力に難点がある上に、固液分離のために遠心分離
装置等の設備を必要とするという問題がある。
脂を資化させる方法(特公昭55−12316号、同5
9−13276号など)も提案されているが、満足し得
る効果が得られていない。
生物としては、キャンディダ属,アスペルギルス属,リ
ゾプス属,ペニシリウム属,シュードモナス属などに属
するものが知られているが、工業的にリパーゼを生産す
る場合は、キャンディダ・シリンドラセ(Candidacylind
racea)ATCC14830が良く用いられている。リパーゼは、
油脂を加水分解したり、エステル交換する酵素として、
合成油の製造、油脂の改質、臨床診断薬、洗剤、廃水処
理などに広く使用されている。しかし、油脂を高濃度に
含有する廃水の処理にリパーゼを用いる場合、常にリパ
ーゼを供給するか、固定化する必要がある。また、リパ
ーゼによる分解で生じた脂肪酸は、前記活性汚泥法など
で好気的に処理すると、該汚泥に吸着して汚泥を浮上さ
せたり、希釈水により濃度を低下させる必要がある等の
問題がある。
の作用機構は、まず廃水中の油脂がリパーゼによりエス
テル結合が加水分解され、生成した脂肪酸がβ酸化によ
り分解される。そこで、本発明者らは脂質をn−ヘキサ
ン抽出物質として200mg/リットル以上含有する廃
水を酵母で直接処理する方法の確立を目的として、動物
性油脂や植物性油脂のエステル結合を加水分解するリパ
ーゼ活性が高く、しかも高級脂肪酸を酸化する能力に優
れた酵母を検索すべく、自然界から分離し、検討した。
その結果、数種の酵母が上記目的に適合することを見出
し、本発明を完成するに至った。
植物性油脂のエステル結合を加水分解するリパーゼ活性
を有し、且つ高級脂肪酸を酸化する能力に優れている、
キャンディダ・インターメディアN2株(FERM P
−12766)、キャンディダ・シャタヴィN4株(F
ERM P−12768)、キャンディダ・フルヴィア
ティリスN6株(FERM P−12770)、キャン
ディダ・ヴィスワナテイN8株(FERM P−127
72)、キャンディダ・シュウドラムビカN9株(FE
RM P−12773)およびキャンディダ・ヘレニカ
N10株(FERM P−12774)よりなる群から
選ばれた少なくとも1種の脂質資化性酵母あるいは該酵
母とキャンディダ属、ハンゼヌラ属、トリコスポロン
属、ピヒア属に属する脂質資化性酵母とを組み合わせ
て、動物性油脂、植物性油脂、高級脂肪酸などの脂質含
有廃水に添加し、該脂質を資化させることを特徴とする
脂質含有廃水の処理方法に関する。
ン抽出物質濃度が200mg/リットル以下に低減されな
い場合は、酵母処理を多段にすることができる。さら
に、酵母処理のみでは放流規制値を満足しない場合は、
酵母処理槽の後段に活性汚泥法あるいは接触酸化法を設
置することも可能である。
よって自然界から分離されたものであり、各種の動物性
油脂,植物性油脂の他、カプリル酸,カプリン酸,ラウ
リン酸,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,
オレイン酸,リノール酸,リノレイン酸,アラキジン
酸,アラキドン酸などの高級脂肪酸を資化する性質を有
しており、これらを含む廃水と接触させることにより、
これらを分解、資化する能力がある。
離、採取できるものであるから、上記の性質を有してい
ればよく、特定の菌種に限定されるものではないが、具
体的な菌株およびその寄託番号を示せば次の通りであ
る。 微生物名 微工研寄託番号 キャンディダ・インターメディアN2株 (Candida intermedia) FERM P-12766 キャンディダ・シャタヴィN4株 (Candida schatavii) FERM P-12768 キャンディダ・フルヴィアティリスN6株 (Candida fluviatilis) FERM P-12770 キャンディダ・ヴィスワナテイN8株 (Candida visuwanathii) FERM P-12772 キャンディダ・シュウドラムビカN9株 (Candida pseudolambica) FERM P-12773 キャンディダ・ヘレニカN10株 (Candida hellenica) FERM P-12774
ものであるが、これらの酵母の菌学的性質を示せば次の
通りである。 YM培地での生育状況 N2株:栄養細胞の形態は円形または楕円形、大きさ 1.0-3.0×2.0-6.0 μm N4株:栄養細胞の形態は伸長形、 2.0-4.0×2.0-7.0 μm N6株:栄養細胞の形態は円形または楕円形、 1.0-4.0×2.5-7.0 μm N8株:栄養細胞の形態は円形または楕円形、 2.5-5.0×3.0-8.0 μm N9株:栄養細胞の形態は円形または楕円形、 2.0-4.5×2.0-7.5 μm N10株:栄養細胞の形態は円形または楕円形、 2.0-4.0×3.0-10.0μm
通りである。
リー培地での生育、各温度での生育は第2表の通りであ
る。
n、J.A.Barnett and D.Yarrow、Cambridge University
Press(1985)に基づいて同定を行った結果、N2株はキ
ャンディダ・インターメディア(Candida intermedia)、
N4株はキャンディダ・シャタヴィ(Candida schatavi
i) 、N6株はキャンディダ・フルヴィアティリス(Cand
ida fluviatilis) 、N8株はキャンディダ・ヴィスワ
ナテイ(Candida visuwanathii)、N9株はキャンディダ
・シュウドラムビカ(Candida pseudolambica) 、N10
株はキャンディダ・ヘレニカ(Candida hellenica) と同
定された。
行う場合、これらを単独で用いる他、2種以上を組合わ
せて使用することができる。また、必要に応じて公知の
脂質資化性酵母、例えば特公昭55−12316号公
報,同59−13276号公報に記載のキャンディダ・
トロピカリス, キャンディダ・ペリクロサなどのキャン
ディダ属酵母やハンゼヌラ・アノマラ,ハンゼヌラ・フ
ァビアニ,ハンゼヌラ・ピイジェリンキィーなどのハン
ゼヌラ属酵母等を併用したり、さらにはトリコスポロン
属,ピヒア属などに属する酵母と併用することもでき
る。
発明はこれらに制限されるものではない。 実施例1 大豆油を唯一の炭素源とする合成廃水を用いて回分式で
各々の酵母による脂質の除去率を測定した。すなわち、
蒸留水1リットルあたり大豆油20.0g,NH4NO3 4.0
g,KH2PO4 4.7g, Na2HPO4・12H2O 0.3g, MgSO4
・7H2O 1.0g, FeSO4・7H2O 0.01g,CaCl2 ・2H
2O 0.01g, MnSO4・4H2O 0.01g,酵母エキス0.
1gを含む合成廃水(n−ヘキサン抽出物質 20000mg/
リットル,BOD 27800mg/リットル,CODcr 570
00mg/リットル)を500ml容の振盪フラスコに50ml
づつ分注し、120℃で15分間加熱殺菌した。YM寒
天培地のスラント上で30℃で24時間培養した酵母を
上記廃水に接種し、30℃で7日間振盪培養したのち、
n−ヘキサン抽出物質の重量を測定した。なお、油脂の
抽出は、実際の分解率を測定するため、酵母を遠心分離
することなしに行った。そのn−ヘキサン除去率を第3
表に示す。
母による脂質の除去率を測定した。製油工場廃水(n−
ヘキサン抽出物質 4700 mg/リットル、BOD 7000 mg
/リットル、COD 17400mg/リットル、TOC 3870m
g /リットル)に硫安をケルダール窒素として440 mg/
リットルになるように添加した。これを50ml容の振盪
フラスコに20ml分注し、120℃で15分間加熱殺菌
した。YM寒天培地のスラント上で30℃にて24時間
培養した酵母を上記廃水に接種し、これを25℃で7日
間振盪しつつ培養した。培養した混合液を静置し、上澄
液についてn−ヘキサン抽出物質を測定した。結果を第
4表に示す。
比が100:3になるように硫安を添加し、20リット
ルの反応槽で回分処理を行った。酵母は前述のキャンデ
ィダ・インターメディアN2株(FERM P-12766), キャンデ
ィダ・シャタヴィN4株(FERM P-12768), キャンディダ・
フルヴィアティリスN6株(FERM P-12768), キャンディダ
・ヴィスワナテイN8株(FERM P-12772), キャンディダ・
シュウドラムビカN9株(FERM P-12773), キャンディダ・
ヘレニカN10 株(FERM P-12774)の6株を混合して用い、
BOD容積負荷は5〜50kgBOD/m3・日、酵母濃度
5000〜50000 mg/リットル、温度20℃とした。回分処
理の結果を連続的に図示したものを第1図に示す。
規な菌株であり、動物性油脂や植物性油脂のエステル結
合を加水分解するリパーゼ活性が高く、しかも高級脂肪
酸を酸化する能力に優れている。そのため、製油工場,
各種食品工業の工場,食堂・レストラン等から排出され
る脂質含有廃水を該酵母を用いて直接処理することがで
きる。しかし、酵母による直接処理により、酵母槽1槽
ではn−ヘキサン抽出物質濃度が200mg/リットル以
下にまで低減されない場合は、酵母槽を多段にしてn−
ヘキサン抽出物質を200mg/リットル以下に低減す
る。また、酵母処理でn−ヘキサン抽出物質濃度が20
0mg/リットル以下に低減されても放流規制値を満足し
ない場合は、活性汚泥法あるいは接触酸化法を後段で使
用する。
水を回分処理した結果を連続的に示したものである。
Claims (2)
- 【請求項1】 動物性油脂や植物性油脂のエステル結合
を加水分解するリパーゼ活性を有し、且つ高級脂肪酸を
酸化する能力に優れている、キャンディダ・インターメ
ディアN2株(FERM P−12766)、キャンデ
ィダ・シャタヴィN4株(FERM P−1276
8)、キャンディダ・フルヴィアティリスN6株(FE
RM P−12770)、キャンディダ・ヴィスワナテ
イN8株(FERM P−12772)、キャンディダ
・シュウドラムビカN9株(FERMP−12773)
およびキャンディダ・ヘレニカN10株(FERM P
−12774)よりなる群から選ばれた少なくとも1種
の脂質資化性酵母。 - 【請求項2】 動物性油脂や植物性油脂のエステル結合
を加水分解するリパーゼ活性を有し、且つ高級脂肪酸を
酸化する能力に優れている、キャンディダ・インターメ
ディアN2株(FERM P−12766)、キャンデ
ィダ・シャタヴィN4株(FERM P−1276
8)、キャンディダ・フルヴィアティリスN6株(FE
RM P−12770)、キャンディダ・ヴィスワナテ
イN8株(FERM P−12772)、キャンディダ
・シュウドラムビカN9株(FERM P−1277
3)およびキャンディダ・ヘレニカN10株(FERM
P−12774)よりなる群から選ばれた少なくとも
1種の脂質資化性酵母あるいは該酵母とキャンディダ
属、ハンゼヌラ属、トリコスポロン属、ピヒア属に属す
る脂質資化性酵母とを組み合わせて、動物性油脂、植物
性油脂、高級脂肪酸などの脂質含有廃水に添加し、該脂
質を資化させることを特徴とする脂質含有廃水の処理方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8028892A JP2813265B2 (ja) | 1992-03-03 | 1992-03-03 | 脂質資化性酵母及びそれを用いる廃水の処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8028892A JP2813265B2 (ja) | 1992-03-03 | 1992-03-03 | 脂質資化性酵母及びそれを用いる廃水の処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0662837A JPH0662837A (ja) | 1994-03-08 |
JP2813265B2 true JP2813265B2 (ja) | 1998-10-22 |
Family
ID=13714091
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8028892A Expired - Lifetime JP2813265B2 (ja) | 1992-03-03 | 1992-03-03 | 脂質資化性酵母及びそれを用いる廃水の処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2813265B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4274596B2 (ja) * | 1998-05-11 | 2009-06-10 | 有限会社オッペンハイマー テクノロジー ジャパン | 油含有排水の処理方法および処理装置 |
JP2001129580A (ja) * | 1999-11-02 | 2001-05-15 | Kl Plant Kk | 油脂含有排水の処理装置 |
JP5640211B2 (ja) * | 2009-03-27 | 2014-12-17 | 国立大学法人名古屋大学 | リパーゼまたはその分泌微生物と加水分解生成物分解微生物との複合効果による油脂含有排水の処理方法とグリーストラップ浄化方法及び油脂分解剤 |
-
1992
- 1992-03-03 JP JP8028892A patent/JP2813265B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0662837A (ja) | 1994-03-08 |
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