JP2812216B2 - 管圧延方法 - Google Patents

管圧延方法

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JP2812216B2 JP6239536A JP23953694A JP2812216B2 JP 2812216 B2 JP2812216 B2 JP 2812216B2 JP 6239536 A JP6239536 A JP 6239536A JP 23953694 A JP23953694 A JP 23953694A JP 2812216 B2 JP2812216 B2 JP 2812216B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は継目無管、主に継目無鋼
管の製造に使用される管圧延方法に関し、更に詳しく
は、マンドレルミル等の延伸圧延機を用いた管圧延方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】継目無鋼管を製造する方法の一つとし
て、延伸圧延機を用いたものがある。この方法では、素
材である丸ビレットを加熱炉で加熱後、穿孔機で穿孔し
て中空素管となし、引き続きその素管を延伸圧延機で減
肉加工した後、外径を所定寸法に仕上げる。延伸圧延機
としては、生産性が高いマンドレルミルが使用される場
合が多くなってきている。マンドレルミルを用いた管圧
延を図1に示す。
【0003】マンドレルミルは、通常一対の孔型ロール
を備えた6〜8基の2ロールスタンド10により構成さ
れる。各ロールスタンド10での圧下方向は90°ずつ
順番にずれている。素管20は、心金棒30を挿入した
状態で各スタンド10に通され、各スタンド10に備わ
る一対の孔型ロール11,11と心金棒30との間で順
次減肉加工される。
【0004】ここで圧延材の肉厚を変更する場合、すな
わち同一外径で肉厚が異なる圧延材を製造する場合、通
常は孔型ロールの交換やロール位置の調整を行わず、孔
型に挿入する心金棒の外径を変更して孔型ロールと心金
棒の間隔(溝底肉厚)を変えることが行われる。これを
図2,3に示す。
【0005】図2,3では同一の孔型ロールが使用さ
れ、溝底部の孔型半径R0 は同一である。また、孔型半
径R0 の中心は心金棒の中心に一致しており、これがマ
ンドレルミルを用いた管圧延での基本となる。ロールギ
ャップをS0 に固定し、心金棒の外径をD1 からD2
小さくすることにより、孔型半径R0 の中心が心金棒の
中心に一致したままで、孔型ロールと心金棒の間隔(溝
底肉厚)がtG1からtG2に増大する。
【0006】ところで、圧延材の肉厚を変更する場合、
心金棒の外径を変更する以外に、心金棒の外径を一定に
し、ロール替えにより孔型寸法を変更する方法が考えら
れる。しかし、この方法は、ロール替えに伴い操業停止
を余儀なくされ、更にはロールを組み替える工数、ロー
ル保有数も膨大になるなどの欠点もあり、通常は採用さ
れない。
【0007】また、一対の孔型ロールを備えた圧延スタ
ンドは通常、ロール位置調整機構を装備しており、この
調整機構を用いることにより孔型ロールと心金棒の間隔
を調整することが可能である。しかし、心金棒の外径を
変えずにロール位置を変え、孔型ロールと心金棒の間隔
を変えると、その間隔が円周方向で不均一となる。
【0008】図3の状態からロールギャップを締め込ん
だ状態を図4に示す。ロールギャップをS0 からSに小
さくすることにより、孔型半径R0 の中心が心金棒の中
心から外れ、溝底肉厚はtG2から図2と同じtG1に減少
するが、孔型ロールと心金棒の間隔は円周方向で不均一
となり、その結果、円周方向の4ケ所(溝底から45°
の4位置)が肉厚のピークとなる偏肉を生じる。この偏
肉は図5に示すようにギャップの締め込み量を大きくす
るほど顕著になる。逆に間隔を増加させた場合には、円
周方向の4ケ所が薄肉部となる偏肉を生じる。
【0009】偏肉が許容される規格上の公差は管種によ
って異なるが、偏肉は製管ラインの各工程で発生するこ
と、及び寸法精度は製品品質の一部であることなどを考
慮すると、ロール位置調整(圧下位置の変更)で発生す
る偏肉量の許容値は高々2%程度である。このため圧下
位置の変更範囲は狭く、仮に圧下位置の変更により心金
棒の共用化を図ってもその効果は小さい。
【0010】このようなことから、現状では孔型ロール
やその位置を変えずにその孔型に挿入される心金棒の外
径を変える方法により、孔型ロールと心金棒の間隔を変
えて圧延材の肉厚変更に対応している。
【0011】ところが、この方法では圧延する肉厚の種
類に対応する膨大な本数の心金棒を保有する必要があ
る。通常、マンドレルミルによる圧延では0.5mmの肉
厚ピッチで圧延スケジユールが決定されており、心金棒
の外径は1.0mmピッチで変化する。更に1種類の肉厚
を圧延するには、圧延材から心金棒を引き抜いた後に冷
却し、次回の圧延のために潤滑剤を塗布する工程が存在
するために、通常10数本程度の心金棒が必要とされ
る。そのため、膨大な本数の心金棒が必要になる。
【0012】このような問題を解決するために開発され
た技術が、特開昭62−28011号公報に示されるス
タンド列最終段への4ロールスタンドの設置である。こ
の技術では、図6に示すように、素管の減肉を行う2ロ
ールスタンド列の出側に、4つの孔型ロールを組み合わ
せた4ロールスタンドを配置する。この4ロールスタン
ドは、圧下方向が直前の2ロールスタンドでの圧下方向
に対して45°ずれており、これにより2ロールスタン
ド列で生じた偏肉を解消する。図9にその効果が示され
ている。
【0013】2ロールスタンド列でロールギャップを締
め込んだときに円周方向4カ所に生じる増肉が、4ロー
ルスタンド通過により解消されている。これにより2ロ
ールスタンド列ではロールギャップの調整範囲が広が
る。その結果、同一の芯金棒で広い範囲の肉厚を圧延で
き、心金棒の種類を少なくすることが可能となる。類似
の技術は、特開昭60−87907号公報や特開平6−
87008号公報にも示されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】2ロールスタンド列の
出側に4ロールスタンドを組み合わせて行う芯金棒共用
化圧延では、2ロールスタンドでロールギャップを締め
込み、孔型半径の中心が心金棒の中心から外れた状態で
圧延を行うことにより、孔型半径の中心と心金棒の中心
が一致している通常圧延で得られる肉厚より薄い肉厚の
仕上げ管を得る。その後、2ロールスタンドでロールギ
ャップを締め込んだことよって発生する溝底から45°
の4位置をピークとする肉厚変動を、肉厚のピークと孔
型ロールの溝底位置とが一致した1基の4ロールスタン
ドによる圧延で解消する。
【0015】すなわち、4ロールスタンドは各孔型ロー
ルに圧下調整機構を有しており、同一外径の心金棒で異
なった肉厚を圧延するために2ロールスタンドでロール
圧下位置を変化した場合は、4ロールスタンドについて
も圧下調整を行って、2ロールスタンドにて発生した肉
厚変動を減少させる。
【0016】従って、この芯金棒共用化圧延では、4ロ
ールスタンドでの各ロールの高精度な圧下調整が、2ロ
ールスタンドでの肉厚変更範囲を拡大し、芯金棒共用化
の効果を引き出す上で重要な技術となる。しかし、4ロ
ールスタンドでの各ロールの圧下調整は次のような理由
から非常に困難である。
【0017】通常2ロールスタンドでは、一対のロール
を締め込んでロール同士を接触させ、更に一定の負荷を
加えて圧下機構の遊びを除去し、この状態をロール圧下
位置の零点として圧下位置設定を行う。従って、2ロー
ルスタンド列でのミルセンター調整、零点調整は比較的
容易に行える。しかし、3ロール以上の多ロールスタン
ドでは、ロールのフランジ部が平行でないため、ロール
を締め込んでロール同士を接触させて負荷を加えると、
圧下機構やロールが損傷する危険があり、2ロールスタ
ンドと同じ様な簡単な方法で零点調整を行うことはでき
ない。更にミルセンター調整もロール数が多くなるに従
って多くの工数を必要とするようになる。従って、4ロ
ールスタンドでは、ミルセンター調整、零点調整が本質
的に困難であり、ミルセンターや零点のずれが大となる
ので、各ロールの圧下量が不均一になる。
【0018】また、マンドレルミルに供給される素管は
穿孔機で穿孔されるが、加熱工程でのビレットの偏熱、
穿孔プラグの偏芯等の原因で穿孔時にスパイラル状の偏
芯偏肉が発生し、マンドレルミルにおいても偏芯偏肉が
ある状態で圧延が行われる。偏芯偏肉があるとマンドレ
ルミルでの圧延はミルセンターがずれた状態と同じ状態
になり、圧下量が比較的小さい4ロールスタンドではこ
れによる圧下量の不均一も問題になる。
【0019】このような4ロールスタンドでの圧下量の
不均一に対し、特開昭60−87907号公報、特開昭
62−28011号公報、特開平6−87008号公報
は、有効な対策を示していない。そのため、4ロールス
タンドが有効に機能しないという問題がある。
【0020】本発明の目的は、2ロールスタンド列の出
側に4ロールスタンドを組み合わせて行う芯金棒共用化
圧延において、4ロールスタンドでの各ロールの圧下量
を簡便な方法で均一にすることにより、4ロールスタン
ドの本来の目的である肉厚変動の減少効果を最大限に発
揮させる管圧延方法を提供することにある。
【0021】本発明は、1組の孔型ロール対を備えた複
数の2ロールスタンドの出側に、圧下方向が直交する2
組の孔型ロール対を備え且つ直前のスタンドに対して圧
下方向が45°ずれた4ロールスタンドを配置し、心金
棒を挿通した状態で素管をこれらのスタンド列に通し、
2ロールスタンド列で肉厚を減少させ、4ロールスタン
ドで円周方向の肉厚変動を減少させる管圧延を対象とす
る。
【0022】この管圧延では、2ロールスタンドでロー
ルギャップを締め込んだ場合の肉厚分布は4ロールの溝
底部を4つのピークとした肉厚分布となる。2ロールス
タンドでのロールギャップ締め込み量が小さい場合は4
つのピークの高さも低く、4ロールスタンドでの圧下量
も小さくなり、溝底部近傍だけの圧延となる。これに対
して、2ロールスタンドでのロールギャップの締め込み
量が大きくなると4のピークの高さが高くなり、必然的
に4ロールスタンドでの圧下量が大きくなり、周方向の
圧延範囲も大きくなる。そのため、ミルセンターのず
れ、ロール零調の誤差、素管の偏芯偏肉がある状況下
で、4ロールスタンドでの圧下量が小さい場合は、偏肉
の不均一圧延、極端な場合は片側が圧延されない現象が
発生し、4ロールスタンドでの圧下量が大きい場合は、
圧下量が大きくなる部分で新たな偏肉が発生し、極端な
場合は部分的な噛み出しが発生する。
【0023】本発明の管圧延方法は、このような状況下
でも4ロールスタンド本来の機能を発揮させて、2ロー
ルスタンドで発生した4つのピークを有する偏肉を効果
的に解消するため、圧延中に4ロールスタンドで各ロー
ルの圧延荷重が均一になるように、各ロールの圧下位置
を各々独立に制御するものである。
【0024】更に具体的には、圧延前に2ロールスタン
ドでロールギャップを締め込んだ場合に発生する4ピー
クの偏肉量を予測し、更にその偏肉量を4ロールスタン
ドで許容値以下とするのに必要な4ロールの圧延荷重
(各ロールで同一)を予測し、圧延中に圧延荷重の実績
値がその予測値に一致するように4ロールの圧下位置を
各々独立に制御する。
【0025】
【作用】4ロールスタンドでは、ミルセンター調整、ロ
ール零点調整が困難であり、また素管の偏芯偏肉が避け
られないため、各ロールの圧下量を意図的に均一化する
ことは不可能であるが、各ロールの圧延荷重が均一にな
るように各ロールの圧下位置を制御することは容易であ
る。
【0026】本発明の管圧延方法では、4ロールスタン
ドでこの制御を行うことにより、ミルセンター、ロール
零調がずれている場合、更には素管の偏芯偏肉がある場
合でも、各ロールの圧下量が結果的に均一化されること
になり、偏肉の修正を精度良く行うことが可能になる。
【0027】図7に本発明の管圧延方法に好適に使用さ
れる4ロールスタンドの構成を示す。また、図8にその
4ロールスタンドに装備される計算機の機能を示す。
【0028】4ロールスタンドは、2ロールスタンド列
から進出したマンドレルバー1が挿通した状態の素管2
を2対の孔型ロール3,3および3,3により圧延す
る。いずれの孔型ロール3も独立した圧下機構5と圧延
荷重を検出する荷重検出器6とを備えている。そして、
各圧下機構5を統括制御する圧下制御系7と、これに指
示を与える計算機8とにより、次のような圧下制御が行
われる。
【0029】圧延前に、圧延材の目標外径、目標肉厚、
材質、温度、使用する芯金棒の外径等を取り込み、2ロ
ールスタンド列でのロールギャップ締め込み量を決定す
る。締め込み量が決定されると、計算機はまずその2ロ
ールスタンド列で発生する円周方向の4位置をピークと
する肉厚変動の発生量を予測する。次いで、許容偏肉率
から、4ロールスタンドで減少させるべき肉厚変動量を
計算する。更に、その減少量を得るために必要な4ロー
ルの圧延荷重を予測する。
【0030】圧延が開始すると、計算機は各ロールで発
生する圧延荷重を取り込み、その実績値を前述した予測
値と比較し、両者が一致するように、実績の圧延荷重が
大きい場合はロール圧下位置をミルセンターから遠くな
る値とし、実績の圧延荷重が小さい場合はロール圧下位
置をミルセンターから近くなる値とする。このロール圧
下位置修正は、微小時間毎に一定ピッチで行う。これに
より4ロールで圧延荷重の予測値と実績値を一致させる
ことができる。
【0031】このような制御を行うことにより、ミルセ
ンター調整、ロール零調を精度よく行うことが困難な4
ロールスタンドを使用して、ミルセンター、ロール零調
がずれている場合、更には素管の偏芯偏肉がある場合で
も、偏肉の修正を精度良く行うことが可能になる。
【0032】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し、比較例と対比
することにより、本発明の効果を明らかにする。
【0033】6基の2ロールスタンドにおいて、外径1
73mm×肉厚36mmの素管を外径151mm×肉厚
25mmの仕上げ管に圧延する場合を通常圧延として、
心金棒共用化圧延を実施し比較した。心金棒共用化圧延
では、6基の2ロールスタンドの出側に1基の4ロール
スタンドを配置し、各スタンドでロールギャップを締め
込んだ圧延を行った。
【0034】そのときの圧延条件を表1に示す。6スタ
ンドのうち後段の2スタンドが仕上げスタンドである。
2スタンドでの溝底部の孔型半径R2 は73.5mm、孔
型半径角度θは50°とした。4ロールスタンドでの溝
底部の孔型半径R4 はR2 と同じ73.5mm、孔型半径
角度θは各ロールで最大圧下量を考慮して30°とし
た。
【0035】
【表1】
【0036】通常圧延では、図2に示すように、周方向
に均一な仕上げ管肉厚が得られるように、孔型半径R0
=73.5mmから決定される外径D1 =97mmの心金
棒で圧延を行った。このときのロールギャップS0 は、
孔型を設計したときのギャップである15mmの設定で
ある。図5に通常圧延として示すような仕上げ管の肉厚
分布が得られた。
【0037】比較のために、図4に示すように、芯金棒
の外径をD1 =97mmからD2 =87mmへ10mm
小さくすると共に、2ロールスタンドでロールギャップ
を設計ギャップS0 =15mmからS=5mmへ10m
m締め込んで圧延を行った。ギャップ締め込み量は10
mmである。溝底肉厚tG1は25mmとなっているが、
フランジ部分での肉厚t1 ′はtG1より大きくなってお
り、その結果、仕上げ管の肉厚分布は、図9に2ロール
圧延後として示すような肉厚変動の大きなものになる。
【0038】4ロールスタンド併用の心金棒共用化圧延
では、上記比較圧延と同様に2ロールスタンドでロール
ギャップを締め込んだ圧延を行う。その上で、2ロール
最終スタンドに対して圧下方向が45°ずれた4ロール
スタンドで圧延を行う。これにより、2ロール圧延にて
発生した溝底から45°の4位置ピークとする偏肉が解
消され、寸法精度の良好な仕上げ管が得られる。
【0039】心金棒の外径は、上記比較圧延と同じ87
mmとした。2ロールスタンドでのロールギャップも、
上記比較圧延と同じく設計ギャップから10mm締め込
んだ5mmとした。
【0040】2ロールスタンド列、4ロールスタンドで
のミルセンター調整は、実生産時と同様にロール組み替
え時にハウジングとロール孔型のセンターを調整した
後、ハウジングを圧延ラインに組み込む方法を使用し
た。
【0041】2ロールスタンド列でのロール零調は、こ
れも実生産時と同様に上下のロール同士を接触させ一定
の負荷を加えた時のロール圧下位置を零点とする方法を
使用した。4ロールスタンドについては、2ロールスタ
ンドと同様なロール零調が機構上の制約により行えない
ために、無負荷時のロールギャップを実測し、この値と
ロール圧下位置機構の指示値から補正を行い、零点を決
定した。
【0042】4ロールスタンドでのロール圧下位置設定
については、従来技術では圧延中のロール溝底部とバー
との間隔が目標肉厚となるようにミルスプリング量を予
測して無負荷時のロールギャップを設定し、圧延中はロ
ール圧下位置を一定とした。これに対して本発明では、
無負荷時のロール圧下位置設定は従来技術と同様に行
い、圧延が開始した後は図8の方法にてロール圧下位置
の調整を行った。
【0043】すなわち、まず、圧延前に2ロールスタン
ド列でロールギャップ締め込み量から4つのピークを有
する偏肉分布形状を予測した。その結果、偏肉ピークの
頂点から2mm圧延する必要のあることが分かり、その
ことと、その他、外径、肉厚、材質、素管温度とから、
圧延荷重の目標値を55トンと予測した。更に、この予
測値とミル剛性値とから、圧延中のミルスプリング量を
計算して、予めこの量を締め込んだロール圧下位置に設
定した。その後、圧延が開始されて圧延荷重が実測され
ると、実測値と予測値が等しくなるように、実測値>予
測値の場合はロールギャップ開、実測値<予測値の場合
はロールギャップ閉となるように、ロール圧下位置の調
整を各々のロールに対して独立に行った。
【0044】2ロールスタンド列でのロールギャップ締
め込みにより発生する肉厚変動は、ほぼロールギャップ
締め込み量によって決定されるために、ロールギャップ
締め込み量からの予測値で、本発明の制御に使用するの
に十分な精度を得ることができる。これに対して、4ロ
ールスタンドでの圧延荷重は様々な要因で変動するが、
2ロールスタンド列で発生した肉厚変動を一定値以内に
減少させる制御に使用するには十分な精度である。
【0045】このような制御を行って圧延した仕上げ管
の肉厚分布を従来技術の場合と比較して図9に示す。ま
た、その時の偏肉率の比較を第2表に示す。
【0046】
【表2】
【0047】2ロールスタンド列で圧延した後の仕上げ
管には偏肉率で4%、絶対値で約1mmの偏芯性偏肉が
ある。前述した比較圧延がこの場合に相当する。芯金棒
共用化圧延ではこの仕上げ管が更に4ロールスタンドに
て圧延され、その偏肉が修正されるが、このとき4ロー
ルスタンドのロール圧下位置が一定であると、ミルセン
ター、ロール零調の誤差がある場合、偏芯性偏肉がある
場合に4つのロールのセンターとバーのセンターが異な
った位置になり、バーの曲げ剛性により4つのロールの
圧下量が均等でなくなり、圧下量が過大になる位置では
4ロール圧延による新たな偏肉が発生する。その結果、
従来技術では4ロール圧延により35°と325°付近
の位置に新たな肉厚変動のピークが発生し、偏肉率で示
すと6.85%となった。これに対して、本発明では4ロ
ール圧延での肉厚変動の新たな発生はなく、偏肉率でも
4.05%と良好な値を示した。
【0048】なお、本発明の効果は、上述したような小
径サイズで得られるだけでなく、4ロールスタンドでの
圧延荷重に対してバーの曲げ剛性が相対的に大きくなる
中径サイズでも得られ、むしろ中径サイズでより顕著な
効果が得られる。
【0049】
【発明の効果】以上に説明した通り、本発明の管圧延方
法は、2ロールスタンド列でロールギャップを締め込ん
だ圧延を行い、これによって発生する円周方向の肉厚変
動を4ロールスタンドでの圧延により減少させて、芯金
棒の共用化を図る管圧延において、4ロールスタンドの
各ロールの圧延荷重が均一になるように各ロールの圧下
位置を独立に制御することにより、ミルセンター調整、
ロール零調を精度良く行うことが困難な4ロールスタン
ドを使用するにもかかわらず、その4ロールスタンドに
よる肉厚変動減少効果を効果的に発揮させることができ
る。その結果、芯金棒共用化の範囲が拡大し、仕上げ管
肉厚一定ピッチ変化する毎に行われていたバー替えの作
業が大幅に減少するだけではなく、バーの置き場、バー
を保有することによるコストが大幅に減少する。
【図面の簡単な説明】
【図1】マンドレルミルによる圧延を示す模式図であ
る。
【図2】2ロール仕上げスタンドでの圧延状況を示す模
式図である。
【図3】心金棒の外径を変更して肉厚を変更した状態を
示す模式図である。
【図4】ロールギャップを締め込んで肉厚を変更した状
態を示す模式図である。
【図5】ロールギャップ締め込み量と偏肉との関係を示
す図表である。
【図6】4ロールスタンドを併用した心金棒共用化圧延
を示す模式図である。
【図7】本発明に使用される4ロールスタンドの構成例
を示す模式図である。
【図8】4ロールスタンドでの制御例を示すフローチャ
ートである。
【図9】芯金棒共用化圧延の効果および心金棒共用化圧
延で本発明を実施したときの効果を示す図表である。
【符号の説明】
1 芯金棒 2 素管 3 孔型ロール 4 駆動軸 5 圧下機構 6 荷重検出器

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1組の孔型ロール対を備えた複数の2ロ
    ールスタンドの出側に、圧下方向が直交する2組の孔型
    ロール対を備え且つ直前のスタンドに対して圧下方向が
    45°ずれた4ロールスタンドを配置し、心金棒を挿通
    した状態で素管をこれらのスタンド列に通し、2ロール
    スタンド列で肉厚を減少させ、4ロールスタンドで円周
    方向の肉厚変動を減少させる管圧延において、 圧延中に4ロールスタンドでの各孔型ロールの圧延荷重
    が均一になるように、各孔型ロールの圧下位置を独立に
    制御することを特徴とする管圧延方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002035818A (ja) * 2000-07-28 2002-02-05 Sumitomo Metal Ind Ltd 継目無管の圧延装置および圧延制御方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002035818A (ja) * 2000-07-28 2002-02-05 Sumitomo Metal Ind Ltd 継目無管の圧延装置および圧延制御方法

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