JP2812135B2 - コーナー倣い隅肉溶接装置 - Google Patents

コーナー倣い隅肉溶接装置

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JP2812135B2
JP2812135B2 JP5110635A JP11063593A JP2812135B2 JP 2812135 B2 JP2812135 B2 JP 2812135B2 JP 5110635 A JP5110635 A JP 5110635A JP 11063593 A JP11063593 A JP 11063593A JP 2812135 B2 JP2812135 B2 JP 2812135B2
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宏 村山
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、格子状スチフナー付き
パネル材のスチフナーが交差するコーナー部の隅肉溶接
が可能な溶接装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】格子状スチフナー付きパネル材は、例え
ば、船殻ブロックの組立部材として使用されている。こ
のような格子状スチフナー付きパネル材のスチフナーと
パネル材の隅肉溶接においては、スチフナーが交差する
コーナー部近傍(単に、コーナー部という)の溶接不可
能長さを無くすることが望ましい。この溶接不可能長さ
の短縮を図るために、図8に示すような溶接トーチの把
持部8が溶接線に平行に移動できる機能を有する隅肉溶
接装置1が開発され、使用されている。
【0003】この隅肉溶接装置1は、倣いローラ2を第
1のスチフナー3に当接させて走行するとき、溶接トー
チ6の先端がパネル板5と第1のスチフナー3の溶接線
7に沿って移動し、隅肉溶接ができるようになってい
る。隅肉溶接装置1が、矢印イの向きに走行して溶接し
て行くと、終には、第1のスチフナー3に直交する第2
のスチフナー4が障害となり、それ以上走行できない限
界点に達し、停止する。この限界点以降は、隅肉溶接装
置1は走行を停止したまま把持部8を隅肉溶接装置1の
走行方向に移動(移動距離L)させ、溶接することによ
って、コーナー部(スチフナー3とスチフナー4の交差
部の近傍)の溶接不可能長さの短縮を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、溶接ト
ーチの把持部が移動可能な機能を有する前記の隅肉溶接
装置においても、未だ、溶接不可能部分が残り、その部
分を後で人手により溶接しなければならないという問題
点がある。
【0005】即ち、図9において、隅肉溶接装置1の走
行限界点で溶接トーチ6をコーナー側に移動しても、溶
接トーチの把持部の移動機構上スチフナー4側に長さl
1 、スチフナー9側に長さl2 の溶接不可能部ができ
る。スチフナー4側とスチフナー9側で溶接不可能長さ
が異なるのは、溶接トーチの把持部8がスチフナー9側
寄りに取付けてあるためである。本発明は上記課題を解
決するためになされたものであり、上記溶接不可能部を
なくすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題は、2対のガイ
ドローラが被溶接部材面に磁石により溶接線と所定の間
隔で平行に固定された走行ガイドをはさむように設けら
れ、被溶接部材の上を溶接線と平行に移動可能な台車
と、前記台車上に設けられた前記被溶接部材面と平行な
平面内で台車の走行方向と直交する方向に移動可能な第
1の機枠と、第1の機枠を前記台車上で位置決め固定す
る位置決め固定手段と、第1の機枠上に設けられ、前記
被溶接部材面と平行な平面内で前記台車の移動方向と
交する方向に移動可能な第2の機枠と、第2の機枠上に
設けられ、前記被溶接材に垂直な回転軸を中心として溶
接ト−チを回動させる溶接ト−チ回動手段と、第2の機
枠に設けられ前記溶接ト−チ回動手段に同期して回動す
るカムと、第1の機枠に設けられ前記カムに係合しカム
の回動に応じて第2の機枠を前記被溶接部材面と平行な
平面内で台車の走行方向と直交する方向に移動させるカ
ムフォロアと、第1の機枠と第2の機枠間に設けられ前
記カムフォロアに引き寄せるように付勢する付勢手段と
を有し、前記カム形状は、前記溶接ト−チ回動手段によ
り溶接ト−チを回動したとき、溶接ト−チの先端が前記
台車の走行方向と平行に移動するような形状に形成され
ていることを特徴とするコ−ナ−倣い隅肉溶接装置によ
って解決する。
【0007】
【作用】本発明に係るコーナー倣い隅肉溶接装置におい
ては、従来技術における隅肉溶接装置と同様に、被溶接
部材の上を溶接線と平行に台車が移動することにより溶
接トーチの先端が溶接線に沿って移動する。台車が移動
限界に達したとき、溶接トーチ回動手段により溶接トー
チが台車の進行方向に向かって回動される。溶接トーチ
の回動に同期して第2の機枠に設けられているカムが回
動する。このカムには第1の機枠に設けられたカムフォ
ロアが係合しており、付勢手段によりカムとカムフォロ
アが接触している。カムの回動に伴ってカムの中心とカ
ムフォロアの中心間の距離が変化し、この変化に応じて
第2の機枠が、被溶接部材面と平行な平面内で台車移動
可能方向と異なる方向に移動する。
【0008】カムの形状は、溶接トーチ回動手段により
溶接トーチを回動したとき溶接トーチの先端が台車の走
行方向と平行に移動するような形状に形成されているの
で、溶接トーチの回動にともなって、溶接トーチの先端
は溶接線に沿って更に台車の進行方向に移動することに
なり、従来技術における隅肉溶接装置に比して溶接不可
能部を小さくすることができる。また、コーナー部の溶
接が終了した後、溶接トーチを回転させて中立位置に戻
し、装置を反対側コーナー部に向かって走行させれば両
側コーナー部の溶接ができる。
【0009】図5は、第2の機枠の移動方向が被溶接部
材面と平行な平面内で台車の移動可能方向と直角な場合
において、溶接トーチが回転したとき、溶接トーチの先
端を溶接線に倣わせるため溶接トーチの前進量を求める
図である。溶接トーチがOを回転中心とし、回転半径R
で中立位置Cから反時計方向にθ°だけ回転したとき、
溶接トーチの先端が溶接線に倣うため溶接トーチが前進
すべき量aは、図から下記の(1)式で求められる。 a=R(1− cosinθ)・・・(1)
【0010】よって、この場合には、溶接トーチの回動
手段の歯車の軸に取付けたカムの形状は、(1)式に基
づいて形成すればよい。また、(1)式に基づいてカム
の形状を形成したとき、回転半径Rの値が一定であるこ
とが前提となる。従って、溶接作業に先立ち、位置決め
手段により第1の機枠を移動させて目標の回転半径が得
られるように調整し、第1の機枠を台車上に固定してお
く必要がある。
【0011】なお、(1)式は、第2の機枠の移動方向
が被溶接部材面と平行な平面内で台車の移動可能方向と
直角な場合にあてはまるものであるが、第2の機枠の移
動方向はこれに限られるものではなく、溶接部材面と平
行な平面内で台車の走行方向と異なる方向であれば目的
を達成でき、カムの形状は適宜設計することができる。
【0012】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて以下に説明
する。図1は本発明装置の断面図、図2は第2の機枠の
機器を示す図1のA−A矢視図、図3は台車の機器を示
す図1のB−B矢視図、図4は本発明に係る溶接トーチ
の回動歯車列およびカム機構の斜視図である。
【0013】図において、走行台車40の上に第1の機
枠30が設けられている。走行台車40は、2個の駆動
車輪46と2個の従動車輪47を備えている。駆動車輪
46は、電動機43によりウオーム44およびウオーム
ホイール45を介して回転駆動される。走行台車40
は、2対のガイドローラ48と49を備えている。50
は走行ガイドで、複数個の磁石51を有している。走行
ガイド50は、磁石51がパネル板5に吸着することに
よりパネル板5に固定される。2対のガイドローラ4
8、49の間に走行ガイド50が位置するように走行台
車40を置くことにより、走行台車40は走行ガイド5
0に案内されて被溶接部材であるパネル板5の上を溶接
線と平行に走行する。
【0014】走行台車40の上に第1のリニアベアリン
グガイド(第1の案内手段)42がが設けられており、
このリニアベアリングガイド42が第1の機枠30を走
行台車の走行方向に直交する方向に移動可能に支持して
いる。走行台車40の上に軸支片55aおよび55bが
設けられており、これらの間にねじ棒56が回動可能に
設けられている。第1の機枠30の下面にねじ棒56に
螺合するナット部材35が取付けられ、位置決め手段を
構成している。ねじ棒56を回転することにより第1の
機枠30を第1のリニアベアリングガイド42上を前後
進させるとができる。このねじ棒56は溶接トーチ70
の先端を溶接線7に合わせ目的の回転半径を得るために
使用される。
【0015】第1の機枠30の上方に第2の機枠20が
設けられている。第1の機枠30上には2本の第2のリ
ニアベアリングガイド(第2の案内手段)36が設けら
れており、このリニアベアリングガイド36が第2の機
枠20を走行台車の走行方向に直交する方向に移動可能
に支持している。第2の歯車23の軸24は下部板20
bを貫通してその下端を下部板20bと第の機枠30
の間に突出している。軸24の突出部にカム27が取付
けられている。カム27は、回転角θ°により(1)式
の前進量aが得られるようにその外形が形成されてい
る。
【0016】第1の機枠30上にカム27と係合するカ
ムフォロア34が回転自在に設けられている。第2の機
枠の下部板20bの下面に固着する係止片32と第1の
機枠30の上面に固着する係止片31の間にコイルばね
(引張)33が取付けられている。このコイルばね33
は、第2の機枠20と軸24を介してカム27をカムフ
ォロア34側に引っ張っているので、カム27とカムフ
ォロア34は常に接触している。
【0017】第2の機枠20は、上下に間隔をもって配
設された上部板20aと下部板20bで構成されてい
る。電動機21が出力軸27を上部板20aを貫通させ
て上部板20a上に設けられており、出力軸27は上部
板20aと下部板20bの間に突出している。出力軸2
7に第1の歯車22が取付けられている。第1の歯車2
2に第2の歯車23が歯合しており、第2の歯車23の
軸24が上部板20aと下部板20bに軸受けによりに
回転可能に取付けられている。
【0018】第2の歯車23に扇形歯車25が歯合して
おり、扇形歯車25の軸26が上部板20aと下部板2
0bに軸受けにより回転可能に取付けられている。扇形
歯車25の歯の刻設部と反対側にブラケット60が取付
けられている。ブラケット60の先端部に調整ねじ61
とブロック63が取付けられており、ブロック63は調
整ねじ61により上下動できるようになっている。ブロ
ック63に把持ブロック62が取付けられいる。把持ブ
ロック62は、溶接トーチ70を把持するものである。
【0019】即ち、溶接ト−チ70は、電動機21を回
転することにより、第1の歯車22、第2の歯車23お
よび扇形歯車25を介して回動される。即ち、電動機2
1、第1の歯車22、第2の歯車23および扇形歯車2
5が、溶接ト−チ回動手段を構成しており、これらよ
り、溶接ト−チは、被溶接材であるパネル5に垂直な回
転軸26を中心として回動する。
【0020】また、図3に示すように、走行台車40の
溶接トーチ側の走行方向の両端部に走行限界リミットス
イッチLs4 、Ls5 が取付けられている。これらのリ
ミットスイッチが作動すると、電動機21が起動するよ
うになっている。
【0021】図6はコーナー部において、溶接トーチ7
0の旋回範囲を制御するリミットスイッチ(Ls)の配
置を示したものであり、溶接トーチ70の旋回角度を4
0°としているが、溶接トーチ70の旋回半径、走行限
界位置から近接するスチフナーまでの距離により旋回角
度が変るので、リミットスイッチLs2 とリミットスイ
ッチLs3 の取付け位置は旋回角度に合わせて変更しな
ければならない。
【0022】本発明装置による隅肉溶接方法の一例を次
に説明する。 走行ガイド50は溶接線(スチフナー3)に平行に
配置され、ねじ棒56により溶接トーチ70の先端が所
定の回転半径で隅肉溶接ができる位置にセットされる。
【0023】 図7(A)において、本発明装置80
が、P位置からスチフナー4側に走行し、Ls5 が作動
した位置で停止する。Ls5 が作動すると、電動機21
の出力軸27が反時計周りに回転し、回動手段を介して
溶接トーチ70が、中立位置から反時計周りに(スチフ
ナー4側に)旋回する。この間、軸24は時計周りに回
転し、カム27が同方向に回転する。カム27、カムフ
ロワー34およびコイルばね33の協同作用により溶接
トーチ70が、(1)式の前進量aだけ溶接線7の方向
に前進する。即ち、溶接トーチ70の先端は、溶接線7
に倣って直線運動する。扇形歯車の他方の側面25bが
リミットスイッチLs3 を叩くと溶接トーチ70の旋回
が停止する。このとき、溶接トーチ70の先端はスチフ
ナー4とスチフナー3のコーナー(イ)に位置する。な
お、この間は溶接を行わない。
【0024】 図7(B)において、リミットスイッ
チLs3 が作動すると、電動機21の出力軸27が時計
周りに回転する。溶接トーチ70は、溶接線に倣って溶
接しつつ、扇形歯車25の一方の側面25aがリミット
スイッチLs1 を叩くまで時計周りに旋回する。これに
より、コーナー部の(イ)〜(ロ)が隅肉溶接される。
扇形歯車25の一方の側面25aがリミットスイッチL
1 を叩くと、旋回を停止(位置:中立位置)する。
【0025】 図7(C)において、溶接トーチ70
が旋回を停止すると、溶接装置80がスチフナー9側に
走行を開始する。溶接装置80は、リミットスイッチL
4が作動するまで走行し、リミットスイッチLs4
作動した位置で停止する。この間、(ロ)〜(ハ)の範
囲が隅肉溶接される。
【0026】 図7(D)において、リミットスイッ
チLs4 が作動すると、溶接トーチ70が時計周りに旋
回を開始し、扇形歯車の一方の側面25aがリミットス
イッチLs2 を叩くと旋回を停止する。旋回の停止と同
時に溶接トーチの溶接が中止される。この間、コーナー
部の(ハ)〜(ニ)が隅肉溶接される。 その後、溶接装置80と走行ガイド50を他の箇所
に段取り変えして、その箇所について〜の工程を繰
り返し隅肉溶接を行う。
【0027】
【発明の効果】本発明装置においては、溶接トーチ回動
手段により溶接トーチを回動したとき、歯車列とカム機
構により溶接トーチの先端が台車の走行方向と平行に移
動するように構成されているので、次のような効果が得
られる。 (1)装置の小型化が可能となる。 (2)コーナー部全長の溶接が可能となり、従来装置で
発生していた人手による溶接が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の断面図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】図1のB−B矢視図である。
【図4】本発明に係る溶接トーチの回動歯車列およびカ
ム機構の斜視図である。
【図5】溶接トーチの前進量を求める図である。
【図6】本発明に係る溶接トーチの旋回範囲を制御する
リミットスイッチの配置図である。
【図7】本発明装置による格子状スチフナー付きパネル
材の隅肉溶接方法の説明図である。
【図8】従来装置の説明図である。
【図9】従来装置による格子状スチフナー付きパネル材
の隅肉溶接方法の説明図である。
【符号の説明】
20 第2の機枠 21 電動機 24 第2の歯車 25 扇形歯車 27 カム 30 第1の機枠 33 コイルばね 34 カムフロア 36 第2のリニアベアリングガイド 40 走行台車 42 第1のリニアベアリングガイド 70 溶接トーチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−15286(JP,A) 特開 昭64−15287(JP,A) 特開 平6−238448(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 9/127 503 B23K 9/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2対のガイドローラが被溶接部材面に磁石
    により溶接線と所定の間隔で平行に固定された走行ガイ
    ドをはさむように設けられ、被溶接部材の上を溶接線と
    平行に移動可能な台車と、前記台車上に設けられた前記
    被溶接部材面と平行な平面内で台車の走行方向と直交す
    方向に移動可能な第1の機枠と、第1の機枠を前記台
    車上で位置決め固定する位置決め固定手段と、第1の機
    枠上に設けられ、前記被溶接部材面と平行な平面内で前
    記台車の移動方向と直交する方向に移動可能な第2の機
    枠と、第2の機枠上に設けられ、前記被溶接材に垂直な
    回転軸を中心として溶接ト−チを回動させる溶接ト−チ
    回動手段と、第2の機枠に設けられ前記溶接ト−チ回動
    手段に同期して回動するカムと、第1の機枠に設けられ
    前記カムに係合しカムの回動に応じて第2の機枠を前記
    被溶接部材面と平行な平面内で台車の走行方向と直交す
    る方向に移動させるカムフォロアと、第1の機枠と第2
    の機枠間に設けられ前記カムフォロアに引き寄せるよう
    に付勢する付勢手段とを有し、前記カム形状は、前記溶
    接ト−チ回動手段により溶接ト−チを回動したとき、溶
    接ト−チの先端が前記台車の走行方向と平行に移動する
    ような形状に形成されていることを特徴とするコ−ナ−
    倣い隅肉溶接装置。
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