JP2810891B2 - トリスフェノールのトリグリシジルエーテルおよびジアルカノールアミンより製造される付加物 - Google Patents

トリスフェノールのトリグリシジルエーテルおよびジアルカノールアミンより製造される付加物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、アルカノールアミンおよびトリ
スエポキシド樹脂の付加物に関する。良好な機械並びに
化学特性を有する塗料は公知であるが、通常水溶性ある
いは水混和性にする改良が必要である。多くの例におい
て、この改良は、硬化した塗料の所望の固体レベルにお
ける粘度の特性を低下させる。本発明は、得られる塗料
がすぐれた熱安定性および/または伸びを有するよう
な、アミンアルデヒド、ウレアアルデヒドあるいはフェ
ノールアルデヒド硬化システムを用いる水によって選ば
れる塗料システムにおける使用が適当な水溶性樹脂を提
供する。所望の程度の水溶性あるいは混和性を達成する
ために付加物の改良が必要な例において、本発明の付加
物は、匹敵するレベルの水溶性あるいは混和性を達成す
るために従来技術の付加物ほど改良は必要ない。
【0002】本発明は、(1)トリス(ヒドロキシフェ
ニル)アルカンの少なくとも1種のポリグリシジルエー
テルおよび/またはそのオキサゾリジノン改質誘導体を
(2)少なくとも1種のジアルカノールアミンと、0.
85:1〜1.1:1、好ましくは1:1〜1.05:
1のエポキシ当量に対するジアルカノールアミンのモル
比を与えるような量で反応させることにより製造され
る、72℃〜107.5℃のメトラー軟化点を有する未
硬化の、水溶性もしくは水混和性の付加物に関する。
【0003】本発明の付加物は、(B)アミンアルデヒ
ド樹脂、メラミンアルデヒド樹脂、ウレアアルデヒド樹
脂、フェノールアルデヒド樹脂あるいはそれらの混合物
より選ばれたこの付加物用の硬化量の適当な硬化剤、お
よび(C)この付加物と成分(B)の間の反応用の触媒
量の適当な触媒、を混合することにより硬化性組成物を
与える。
【0004】さらに本発明の付加物は、(B)アミンア
ルデヒド樹脂、メラミンアルデヒド樹脂、ウレアアルデ
ヒド樹脂、フェノールアルデヒド樹脂あるいはそれらの
混合物より選ばれたこの付加物用の硬化量の適当な硬化
剤、(C)所望によりこの付加物と成分(B)の間の反
応用の触媒量の適当な触媒、(D)水、および(E)所
望により有機溶媒を混合することにより、成分(D)が
総重量の25〜95、好ましくは35〜70重量パーセ
ントの量で存在し、成分(E)が総重量の0〜45、好
ましくは3〜20重量パーセントで存在する塗料を与え
る。
【0005】本明細書で用いた未硬化という語は、「未
硬化」付加物が不溶性、不融性物質でないことを意味す
る。しかし、この未硬化物質は硬化剤および/または硬
化触媒との反応により硬化し、不溶性、不融性物質にな
ることが可能である。未硬化状態にある物質は、周囲あ
るいは高温において可溶性、可融性および流動性であ
り、硬化した物質は周囲あるいは高温において不融性、
非流動性であり、水あるいは溶媒に不溶性である物質で
ある。
【0006】ここで用いることのできる適当なトリス
(ヒドロキシフェニル)アルカンのポリグリシジルエー
テルは、下式
【0007】
【化2】
【0008】(上式中、各Rは独立に1〜5、好ましく
は1〜2個の炭素原子を有する三価脂肪族炭化水素基を
表し、各R′は独立に水素または1〜4個の炭素原子を
有する一価炭化水素基を表し、各Xは水素、1〜4個の
炭素原子を有するアルキル基、またはハロゲン原子を表
し、nは0〜10、好ましくは0〜5の平均値を表し、
各xは独立に1または2の値を表す)で表されるものを
含む。
【0009】これらのポリグリシジルエーテルは、 Ray
mond W.Mahの米国特許第3,787,451号、 Paul
G.Schraderのカナダ第951,730号および1981
年10月30日出願の米国出願番号第316,586号
に記載されている方法により製造される。また、J.A.Cl
arkeの米国特許第3,687,897号および米国特許
第3,789,053号により完全に記載されているト
リス(ヒドロキシフェニル)アルカンのオキサゾリジノ
ン改質ポリグリシジルエーテルも適当である。
【0010】適当なジアルカノールアミンは、式HO−
R″−NH−R″−OH(式中、各R″は独立に1〜
7、好ましくは2〜4個の炭素原子を有する二価炭化水
素基を表す)で表されるものを含む。特に適当なジアル
カノールアミンは、ジエタノールアミン、ビス(3−プ
ロパノール)アミン、ビス(2−プロパノール)アミ
ン、ビス(4−ブタノール)アミン、ビス(3−ブタノ
ール)アミン、ビス(2−ブタノール)アミン、および
それらの混合物等を含む。
【0011】エポキシ樹脂−ジアルカノールアミン反応
生成物が完全に水溶性あるいは水混和性でなく、高程度
の水混和性あるいは水溶性を望む場合、得られる反応生
成物を酸、例えば酢酸、乳酸、プロピオン酸、安息香
酸、燐酸、およびそれらの混合物と反応させ、この生成
物をより水溶性あるいは水混和性にしてよい。ここで用
いてよい適当な硬化剤は、例えば、アミン−アルデヒド
樹脂、アルキル化アミン−アルデヒド樹脂、メラミン−
アルデヒド樹脂、アルキル化メラミン−アルデヒド樹
脂、ウレア−アルデヒド樹脂、アルキル化ウレア−アル
デヒド樹脂、フェノール−アルデヒド樹脂、アルキル化
フェノール−アルデヒド樹脂、およびそれらの混合物等
を含む。
【0012】トリス(ヒドロキシフェニル)アルカンの
ポリグリシジルエーテルとジアルカノールアミンの付加
物および適当な硬化剤との間の反応を行うに適当な触媒
は、例えば、燐酸、有機スルホン酸、例えばp−トルエ
ンスルホン酸並びにそれらのアリールおよびアルキルエ
ステルを含む。これらの硬化剤および触媒は、 LemDavi
s, Jr.の米国特許第3,651,169号並びに Leeお
よび NevilのHANDBOOKOF EPOXY RESINS, McGraw-Hill
社、1965年により詳細に記載されている。
【0013】ここで用いてよい適当な有機触媒は、例え
ば、樹脂が可溶であり、少なくともいくらか水に可溶で
あるあらゆる溶媒を含む。例えば、エチレンおよび酸化
プロピレンのグリコールエーテル、低分子量ケトン、例
えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピ
ルケトン等、アルコール、例えばメタノール、エタノー
ル、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等、
およびそれらの混合物等である。
【0014】有機溶媒の存在は必要ないが、少量、例え
ば総塗料の20重量パーセントまで用いた場合、塗料の
流れ特性を改良する。本発明の塗料は、所望により1種
あるいはそれ以上の、充填剤、顔料、色素、難燃剤、他
の添加物を含んでもよい。本発明はさらに以下の限定す
るものではない例によってより理解されるであろう。例1 ジエタノールアミン29.53g(0.281md) を窒
素下135℃に加熱し、プロピレングリコールモノメチ
ルエーテル(溶媒A)に溶解したエポキシ当量168を
有するトリス(4−ヒドロキシフェニル)メタンのトリ
グリシジルエーテル(ポリエポキシドA)を本質的に含
むエポキシ樹脂生成物の90%溶液50.0g(0.2
67当量)を約90分間かけてゆっくり加えた。この溶
液をさらに60分間135℃で蒸解した。次いで、この
反応混合物を約90℃に冷却し、水69.0gを加え
た。周囲温度に冷却すると、生成物は樹脂50.2重量
パーセント、溶媒A 3.3重量パーセントおよび水4
6.5重量パーセントの濃度で粘度13,000cks を
有する均質な溶液であった。例2 有機溶媒としてプロピレングリコールモノブチルエーテ
ル(溶媒B)に代え、例1を繰り返した。均質な溶液
は、周囲温度において320cks の粘度および樹脂5
0.2重量パーセント、溶媒B 3.3重量パーセント
および水46.5重量パーセントの濃度を有していた。例3 ジエタノールアミン194g(1.85mol )を窒素下
135℃に加熱し、溶媒A 45gに溶解したエポキシ
当量230を有するオキサゾリジノン改良ポリエポキシ
ドA 405g(1.76当量)を約90分かけて加え
た。次いでこの溶液をさらに60分間135℃で蒸解し
た。反応混合物を100℃未満に冷却し、水549gを
加えた。生成物は、粘稠な均質液体であった。酢酸1
1.0g(存在するアミンの量に対し10当量パーセン
ト)および水を加え、濃度50重量パーセントの均質溶
液にした。粘度は周囲温度において146,000cks
であった。塗料配合 例1および3からの水性樹脂溶液を表Iに記載した硬化
性塗料に配合した硬化剤、アミン−アルデヒド(Cymel
(商標)303,American Cyanamid Co. より入手可能
なヘキサメトキシメチルメラミン)またはフェノール−
アルデヒド(Varcum(商標)1035および2380
A, Reichhold Chemicals, Inc.より入手可能)を水性
樹脂溶液に混合した。ある場合、酸触媒、例えばp−ト
ルエンスルホン酸または燐酸も加えた。
【0015】
【表1】
【0016】塗料評価 通常、この塗料は研摩していない冷圧延鋼材にまたは N
o.44巻線ロッドによるアロジン(Alodine )1200
処理アルミニウムQ−パネル上に厚さ0.5〜1ミルで
塗布される。表II, III,IV,V,VIおよび VIIに記載
したように、塗布パネルを制御温度オーブン内で150
〜225℃において10〜60分間焼き付けた。硬化し
た塗料を以下のようにしてテストした。
【0017】1.メチルエチルケトン(MEK)耐性−
8層のチーズクロスで覆ったボール端を有する2ポンド
のハンマーをMEKで含浸し、焼付けパネル上をこすっ
た。パネル上の一往復サイクルを1MEK往復摩擦と考
える。200回の往復摩擦でもフィルムの損失はみられ
なかった。 2.沸騰水耐性−塗布パネルを30分間沸騰水に浸漬し
た。次いでパネルを取り出し、11ブレードクロスハッ
チナイフで1.5mm間隔で切った。スコッチテープ片を
スクラッチ表面に貼り、次いでテープをはがした。接着
の損失は全く見られなかった。
【0018】3.ガラス転移(Tg)−樹脂塗料を、硬
化後パネルから掻取り、 DuPont Model 1090示差走
査熱量計でTgを分析した。この塗料は250〜260
℃までTg変化は示さなかった。この点における発熱の
開始はさらに反応あるいは分解が可能であることを示
す。250℃以下のTg変化は全くみられなかった。 4.ASTM D−522の方法により伸び率が得られ
た。硬化樹脂の熱特性 塗料B,GおよびKをガラス繊維ブレード上に含浸さ
せ、オーブン内で275℃で1時間硬化した。比較のた
め、ポリエポキシドAを芳香族アミン硬化剤(ジアミノ
ジフェニルスルホン)(対照)と配合し、ガラス繊維ブ
レード上に含浸し275℃で1時間硬化した。
【0019】Mark B.Rollerの Journal of Coating Tec
hnology, 54巻、691号、33頁(1982年)に
記載されているようにTorsional Braid Analyzerにより
硬化サンプルの熱化学特性を分析した。また J.K.Gillh
amの"Developments in Polymer Characterization-3",
5章、 J.V.Dawkins編、Applied Science Publishers,
England (1982年)にも記載されている。
【0020】表 IIIの実験5および7(塗料Kおよび対
照)に、それぞれのTg、325℃および325℃が示
されている。しかし、実験1および3(塗料Bおよび
G)において、テストの間さらに反応がおこっているこ
とを示す多様な転移が分析により特徴付けられた。しか
し、驚くべきことに、最初の分析の間1.6℃/分の速
度で上記サンプルを375℃までした後、このサンプル
の再実験では、実験2,4および6(塗料B,Gおよび
K)においてそれぞれ約305℃,270℃および31
0℃のTgか得られた。一方、実験8(対照)のポリエ
ポキシドAは約310℃から225℃へのTgの低下と
なる熱不安定性を示した。
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】
【表4】
【0024】
【表5】
【0025】
【表6】
【0026】
【表7】
【0027】
【表8】
【0028】
【表9】
【0029】 表 VIII 硬化塗料1 の捩りブレード分析 実 験 塗 料 Tg2 Tg3 1 B 1804 − 2 B − 305 3 G 1605 − 4 G − 270 5 K 325 − 6 K − 310 7 対 照6 325 − 8 対 照6 − 225 1 例1からの樹脂溶液 2 サンプル硬化後275℃までのTgの分析値 3 375℃までサンプルを加熱後のTgの分析値 4 180℃および305℃において多様な転移が観察された 5 160℃および305℃において多様な転移が観察された 6 化学量論量のジアミノジフェニルスルホン(DADS)で硬化したポリエポ キシドA例4 The Dow Chemical Co.よりTACTIXR 742として入手可
能な、160のエポキシ当量を有する、100℃に加熱
したトリス(ヒドロキシフェニル)メタンのポリグリシ
ジルエーテル8g(0.05当量)に、表IXに示したよ
うに種々の量のジエタノールアミンを加えた。この混合
物を均質になるまで混合し、100℃でさらに30分間
保った。温度を150℃に上げ、さらに60分間保っ
た。次いでサンプルを冷却し、物理状態、水溶性および
メトラー軟化点(溶融流れ温度)を分析した。本発明の
例であり、1.1:1、1:1、0.9:1および0.
85:1のエポキシ当量あたりのジエタノールアミンの
モル比を用いたサンプルA,B,CおよびDは少なくと
も一部水に可溶であり、それぞれ72℃,78.6℃,
92.4℃および107.5℃のメトラー軟化点を有
し、サンプルが未硬化生成物であることを示した。他の
サンプルは水に不溶であり、不融性であり、硬化生成物
であることを示した。
【0030】 表 IX ジエタノールアミン 実 験 グラム 当 量 1 水溶性 メトラー軟化点6 、℃ A 5.77 0.055 1.1:1 有2 72 B 5.25 0.05 1:1 有2 78.6 C 4.73 0.045 0.9:1 有2 92.4 D 4.46 0.0425 0.85:1 一部5 107.5 E* 4.20 0.04 0.80:1 無3 不融性4 * 3.93 0.038 0.75:1 無3 不融性4 * 2.40 0.025 0.50:1 無3 不融性4 * 1.31 0.013 0.25:1 無3 不融性4 * 0.53 0.005 0.10:1 無3 不融性4 * 本発明の例ではない1 エポキシ当量に対するジエタノールアミンのモル比2 生成物は室温(〜25℃)において水に完全に溶解し
た。
【0031】3 生成物は室温(〜25℃)において水に
不溶であった。4 生成物は250℃で軟化せず、生成物が硬化したこと
を示す。5 生成物は室温(〜25℃)において一部のみ水に溶解
したが、室温において10%酢酸水溶液に完全に溶解し
た。6 軟化点はMettler Instrument Corp., Hightstown, N.
J.より入手可能なModel FP−5メトラー軟化装置を用
いて、2℃/min (0.033℃/s)の加熱速度で測
定した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ウィリィ エル.マイルズ アメリカ合衆国,テキサス 77422,ブ ラゾリア,ペカン オークス エステイ ツ,ロット 46,アールティー.2 (72)発明者 マイケル ピー.クビシアク アメリカ合衆国,カリフォルニア 94541,ヘイワード,イースト アベニ ュー 1764 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 59/14 C08G 59/32 C09D 163/00 - 163/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)少なくとも1種のトリス(ヒドロ
    キシフェニル)アルカンのポリグリシジルエーテルおよ
    び/またはそのオキサゾリジノン改質誘導体を(2)少
    なくとも1種のジアルカノールアミンと、0.85:1
    〜1.1:1のエポキシ基の当量に対するジアルカノー
    ルアミンのモル比を与える量で反応させることにより製
    造される、72℃〜107.5℃のメトラー軟化点を有
    する未硬化の、水溶性もしくは水混和性の付加物。
  2. 【請求項2】 (a)成分(1)が下式、 【化1】 (上式中、各Rは独立に1〜5個の炭素原子を有する三
    価脂肪族炭化水素基を表し、各R′は独立に水素または
    1〜4個の炭素原子を有する一価炭化水素基を表し、各
    Xは独立に水素、1〜4個の炭素原子を有するアルキル
    基、またはハロゲン原子を表し、nは0〜10の平均値
    を表し、各xは独立に1または2の値を表す)で表され
    るポリグリシジルエーテルであるかまたはそのオキサゾ
    リジノン誘導体であり、 (b)成分(2)が下式、 HO−R″−NH−R″−OH (上式中、各R″は独立に1〜7個の炭素を有する二価
    炭化水素基を表す)で表され、そして (c)エポキシ基の当量に対するジアルカノールアミン
    のモル比が0.9:1〜1.05:1である、請求項1
    記載の付加物。
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