JP2810324B2 - 脂質分解性水の製造用触媒 - Google Patents

脂質分解性水の製造用触媒

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JP2810324B2
JP2810324B2 JP6142166A JP14216694A JP2810324B2 JP 2810324 B2 JP2810324 B2 JP 2810324B2 JP 6142166 A JP6142166 A JP 6142166A JP 14216694 A JP14216694 A JP 14216694A JP 2810324 B2 JP2810324 B2 JP 2810324B2
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Nippan Kenkyujo Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、脂質分解性水の製造用
触媒に関し、さらに詳細には、水道水や地下水または純
水、電気分解水などの水を、脂質分解力があり、さらに
は抗菌力、臭気分解力も有し、かつ浸透力の高い水に改
水することができる脂質分解性水の製造用触媒に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、水には脂質を分解する性能は
なく、界面活性剤の使用や超音波などの機械的な力によ
るもの以外は、考えられなかった。また、従来の水は、
抗菌性や消臭性を有せず、飲料用以外には、水自体を、
美容・医療用に用いることは不可能であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の課題を背景になされたもので、水道水や地下水また
は純水や電気分解水などの水を、特定のセラミックスに
10分〜72時間程度接触させることにより、脂質分解
力があり、かつ抗菌力、臭気分解力も有し、浸透力の高
い水、すなわちこの水を皮膚、特に顔に使用すると、皮
脂を分解し、抗菌力により清潔にするとともに、吹き出
物(ニキビ)などを分解して治癒することが可能であ
り、頭皮に使用すると毛穴の皮脂を分解して抜毛の防止
および育毛に大きな効果があり、また飲料用に供する
と、口臭や体臭が消え、排便の臭気が薄れ、尿に脂質が
観察される、などの効果があり、さらにイオン交換水な
どの純水を用いて精密部品などの洗浄用に供すると、脂
質分解力により優れた洗浄効果を示し、かつ銀の溶出量
が0.03mg/l以下である水に改水することができ
る脂質分解性水の製造用触媒を提供することを目的とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、微粒子状のア
ルミノケイ酸塩鉱物および/またはケイ酸塩鉱物、微粒
子状の金属酸化物、微粒子状の金属水酸化物、ならびに
繊維状の金属酸化物の群から選ばれた少なくとも1種を
焼成して得られる多孔質状成形物の無機質の基材、およ
び/または、発泡金属および/または少なくとも表面が
多孔質状に処理もしくは粗面に処理された金属の基材の
表面を、下記(a)〜(d)成分を主成分とする組成物
からなる銀を含有するコーティング剤で加工してなるこ
とを特徴とする脂質分解性水の製造用触媒を提供するも
のである。 (a)(イ)一般式RSi(OR(式中、R
は炭素数1〜8の有機基、Rは炭素数1〜5のアルキ
ル基または炭素数1〜4のアシル基を示す)で表される
オルガノアルコキシシラン、該アルコキシシランの加水
分解物および/またはその部分縮合物、ならびに(ロ)
Si(OR(式中、Rは前記に同じ)で表され
るテトラアルコキシシラン、該テトラアルコキシシラン
の加水分解物および/またはその部分縮合物、および一
般式Zr(OR′)で表されるジルコニウム化合物
(式中、R′はいずれも同一または異なり、炭素数2〜
5の炭化水素残基を示す)、該ジルコニウム化合物の加
水分解物および/またはその部分重縮合物の混合物の群
から選ばれた少なくとも1種 (b)銀塩またはコロイダル銀を、銀換算で0.2〜1
0重量%、イオン交換、吸着、または固着した、ゼオラ
イト、シリカゲル、アルミノケイ酸塩鉱物およびアルミ
ノ−シリカゲルの群から選ばれた少なくとも1種の無機
化合物 (c)アルコール、ならびに (d)水
【0005】本発明に使用する基材は、コーティング剤
を塗布し加熱硬化させて、脂質分解性水の製造用触媒を
製造するための母体となるものである。脂質分解性水の
効果を最大限に発現させるためには、表面積が大きく、
かつ耐久性があり、安価な材料が好ましい。かかる基材
のうち、無機質の基材としては、微粒子状のアルミノケ
イ酸塩鉱物および/またはケイ酸塩鉱物、微粒子状の金
属酸化物、微粒子状の金属水酸化物、ならびに繊維状の
金属酸化物から選ばれる少なくとも1種を焼成して得ら
れる多孔質状成形物などが挙げられる。なお、微粒子状
とは、粒径が100μm以下、好ましくは1〜30μm
であり、また繊維状とは、直径が50μm以下、好まし
くは0.5〜20μm、繊維長が1〜1,000μm、
好ましくは10〜200μmのものである。
【0006】ここで、アルミノケイ酸塩鉱物およびケイ
酸塩鉱物としては、ゼオライト、カオリナイト、セピオ
ライト、長石、蛭石、高アルミナ粘土、シリマナイトな
どが挙げられる。また、金属酸化物としては、シリカゲ
ル、アルミナ、ジルコン、マグネサイト、酸化鉄、酸化
マンガンなどが、金属水酸化物としては、水酸化アルミ
ニウム、水酸化鉄などが、繊維状の金属酸化物として
は、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナ繊維
などが挙げられ、これらを800℃〜1,800℃で焼
成し、粒状、板状などに成形した多孔質状成形物が基材
として用いられる。金属の基材としては、不溶出性のも
のが好ましく、発泡金属および/または少なくとも表面
が多孔質状に処理もしくは粗面に処理された金属が好ま
しく、アルミニウム、鉄、ステンレス、銅、その他の合
金を前記のように処理したものが挙げられる。ここで、
発泡金属とは、例えばアルミニウムの発泡体などが例示
される。多孔質状の処理は、アルミニウムや鉄、ステン
レスなどを製造工程で多孔質状に処理したり、あるいは
繊維状の金属を融着するなどの処理が例示される。ま
た、粗面処理としては、ブラスト処理や酸・アルカリに
よりエッチング処理を施すことによってなされる。
【0007】かかる基材の形状は、粒状でも、板状で
も、どのようなものでもよく、粒状の場合、平均粒径
は、1〜50mm、好ましくは3〜30mmである。1
mm未満では破損し易く、また収納が難しくなり、一方
50mmを超えると、相対的に表面積が小さくなり好ま
しくない。また、板状の場合には、一辺が2〜300m
mが好ましい。2mm未満では、破損し易く、一方30
0mmを超えると、取り扱い難く、また割れやすくなり
好ましくない。本発明の脂質分解性水の製造用触媒は、
このような基材にコーティング剤を塗布して加熱硬化さ
せることにより得ることができる。
【0008】本発明において、コーテイング剤は銀を含
有するものであるが、このようなコーテイング剤として
は、以下の(a)〜(d)を含有する組成物を用いる。 (a)(イ)一般式RSi(OR(式中、R
は炭素数1〜8の有機基、Rは炭素数1〜5のアルキ
ル基または炭素数1〜4のアシル基を示す)で表される
オルガノアルコキシシラン、該アルコキシシランの加水
分解物および/またはその部分縮合物、ならびに(ロ)
Si(OR(式中、Rは前記に同じ)で表され
るテトラアルコキシシラン、該テトラアルコキシシラン
の加水分解物および/またはその部分縮合物、および一
般式Zr(OR′)で表されるジルコニウム化合物
(式中、R′はいずれも同一または異なり、炭素数2〜
5の炭化水素残基を示す)、該ジルコニウム化合物の加
水分解物および/またはその部分重縮合物の混合物の群
から選ばれた少なくとも1種
【0009】(b)銀塩またはコロイダル銀を、銀分換
算で0.2〜10重量%、イオン交換、吸着、または固
着した、ゼオライト、シリカゲル、アルミノケイ酸塩鉱
物、およびアルミノ−シリカゲルの群から選ばれた少な
くとも1種の無機化合物 (c)アルコール (d)水
【0010】この組成物は、基材の表面に、銀をイオン
の状態で吸着またはイオン交換させた大比表面積である
微粒状の無機化合物を、密着性、耐油性、耐久性、硬度
に優れたオルガノアルコキシシランやテトラアルコキシ
シラン、ジルコニウム化合物の加水分解により形成され
る超微粒子状のゲル膜で固着させるものである。
【0011】以下に、コーテイング組成物について構成
物質別に詳述する。 (a)(イ)式R1 Si(OR2 3 で表されるオルガ
ノアルコキシシラン、該アルコキシランの加水分解物、
および/またはその部分縮合物;本発明に使用されるオ
ルガノアルコキシシランは、水の存在により加水分解反
応および重縮合反応を生起して高分子量化し、さらに塗
膜となった場合に加熱または常温での放置により硬化す
るもので、本発明のコーテイング剤中においては結合剤
としての働きをするものである。
【0012】かかるオルガノアルコキシシラン中のR1
は、炭素数1〜8の炭素を有する有機基であり、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基
などのアルキル基、そのほかγ−クロロプロピル基、ビ
ニル基、3,3,3−トリフロロプロピル基、γ−グリ
シドキシプロピル基、γ−メタクリルオキシプロピル
基、γ−メルカプトプロピル基、フェニル基、3,4−
エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−アミノプロピル
基などである。また、オルガノアルコキシシラン中のR
2 は、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4の
アシル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチ
ル基、t−ブチル基、アセチル基などである。
【0013】これらのオルガノアルコキシシランの具体
例としては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチル
トリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチ
ルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラ
ン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルト
リメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、
γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプ
ロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロ
ロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロ
ロプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエ
トキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フ
ェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3,4−
エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、
3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシ
ランなどを挙げることができる。
【0014】これらのオルガノアルコキシシランのう
ち、特にメチルトリメトキシシランが好ましい。また、
これらのオルガノアルコキシシランは、1種または2種
以上を併用することができる。なお、かかるオルガノア
ルコキシシランは、酸性水媒体中で加水分解によってア
ルコールを遊離し対応するシラノールを生成するととも
に、重縮合が生起しオルガノポリシロキサン化合物を生
成する。
【0015】(ロ)Si(OR2 4 (式中、R2 は前
記に同じ)で表されるテトラアルコキシシラン、該テト
ラアルコキシシランの加水分解物および/またはその部
分縮合物、および一般式Zr(OR′)4 (式中、R′
はいずれも同一または異なり、炭素数2〜5の炭化水素
残基を示す)で表されるジルコニウム化合物およびこれ
らの加水分解物および/またはその部分重縮合物の混合
物から選ばれる少なくとも1種;Si(OR2 4 (式
中、R2 は前記に同じ)で表されるテトラアルコキシシ
ランとしては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエ
トキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ
−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシシラ
ン、テトラ−sec−ブトキシシシラン、テトラ−te
rt−ブトキシシシランなどが挙げられる。これらのテ
トラアルコキシシランは、1種でもまたは2種以上を併
用することもできる。
【0016】本発明に使用されるジルコニウム化合物Z
r(OR′)4 は、微量の水(空気中の湿度や基材の湿
度)の存在により加水分解し、該加水分解物が重縮合し
て部分重縮合物を生じ、さらに高分子量化して塗膜とな
った場合に加熱により硬化するもので、本発明のコーテ
ィング組成物中においては(イ)を構成するオルガノア
ルコキシシランとともに、テトラアルコキシシランと併
用して、結合剤としての働きをするものである。かかる
ジルコニウム化合物のR′は、同一または異なり、炭素
数2〜5の炭化水素残基であり、エチル基、n−プロピ
ル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基などである。
【0017】ジルコニウム化合物の具体例としては、例
えばジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテト
ラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−i−プロ
ポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジル
コニウムテトラ−sec−ブトキシド、ジルコニウムテ
トラ−tert−ブトキシドなどを挙げることができ
る。これらのジルコニウム化合物は、1種単独で使用す
ることも、または2種以上を併用することもできる。こ
れらの化合物のうち、ジルコニウムテトラ−n−ブトキ
シドが好ましい。
【0018】なお、かかるジルコニウム化合物は、急速
に加水分解することによってアルコールを遊離し、対応
するジルコニウムヒドロキシドを生ずるとともに、該ヒ
ドロキシドの生成によるヒドロオキシル置換基の重縮合
が行われ、該ヒドロキシドの部分重縮合物が生成し、さ
らに重縮合して完全重縮合物であるジルコニア成分が生
成する。従って、本発明におけるジルコニウム化合物と
は、前記一般式で示されるジルコニウム化合物のほか
に、その加水分解物や該加水分解物の部分重縮合物をも
包含するものである。かかる加水分解物または部分重縮
合物は、コーティング組成物中で前記ジルコニウム化合
物より生成したものでもよく、またコーティング組成物
調製の際にあらかじめ配合したものでもよい。
【0019】かかるジルコニウム化合物は、前記のテト
ラアルコキシシランと共に用いられるが、ジルコニウム
化合物/テトラアルコキシシラン(重量比)は、1/
0.5〜5が好ましい。1/5未満では、相対的にジル
コニウム化合物の割合が少なく短時間に加水分解が進行
しないため造膜性が悪く、一方1/0.5を超えるとジ
ルコニウム化合物の割合が多すぎて得られる組成物の保
存安定性が悪化し、また加水分解が早すぎて造膜性が悪
くなり、いずれも好ましくない。なお、(ロ)成分中に
は、B(OR1 3 (R1 は、前記に同じ)で表される
ホウ素化合物を、硬化促進剤として、(ロ)成分に対し
5〜50重量%程度添加することもできる。
【0020】(b)銀塩またはコロイダル銀を、銀換算
で0.2〜10重量%、イオン交換、吸着、または固着
した、ゼオライト、アルミノケイ酸塩鉱物、シリカゲ
ル、およびアルミノ−シリカゲルの群から選ばれた少な
くとも1種の無機化合物;(b)成分の銀担持無機化合
物は、本発明の脂質分解性水の製造用触媒に、脂質分解
機能を付与するもので、必須の成分である。(b)成分
における銀は、イオンまたは超微粒子状の状態で前記無
機化合物の担体に担持されるもので、脂質分解作用は、
その触媒機能、すなわち脂質の酸化によって生じるラジ
カルを消去するとともに、細分子化することによるもの
と考えられ、また前記触媒は、表面積が非常に大きいた
め、少量でも大きな脂質分解効果があり、しかも長時間
持続する。
【0021】かかる銀を担持させるには、銀塩、あるい
はコロイダル銀を用いる。銀塩としては、具体的には硝
酸銀、硫酸銀、塩化銀などを挙げることができる。ただ
し、本発明はこれらに限定されるものではない。これら
は、1種または2種以上を水に溶解させ混合水溶液とし
て使用される。銀塩であるものは、前記(a)成分を構
成するオルガノアルコキシシランの加水分解時における
酸性触媒としての働きもするものである。これらの金属
塩混合水溶液は、前記の無機化合物の担体に吸着または
イオン交換させることができる。コロイダル銀として
は、平均粒径が5mμ前後のものが好ましく、これは大
きな表面積をもつ前記無機化合物の表面に固着すること
ができる。
【0022】本発明の重合防止用触媒に使用する(b)
成分中の銀の含有量は、銀換算で好ましくは0.2〜1
0重量%、好ましくは1〜8重量%である。この銀が
0.2重量%未満では、本発明の目的である脂質分解力
が小さすぎ、一方10重量%を超えると、金属が吸着す
るには多すぎ、あるいはイオン交換容量が不足し、金属
が溶出することがあり好ましくない。この(b)成分
の、銀を担持する無機化合物としては、ゼオライト、シ
リカゲル、アルミノケイ酸塩鉱物、アルミノ−シリカゲ
ルからなる無機化合物の群から選ばれた少なくとも1種
が使用される。本発明の(b)成分は、これらの担体
に、銀塩の水溶液を接触させ、イオン交換または吸着さ
せたり、コロイダル銀と接触させて固着して得ることが
できる。
【0023】以下に、担体無機化合物について、成分別
に詳細に説明する (ゼオライト)本発明におけるゼオライトは、天然また
は合成ゼオライトで、一般式x M2/pO・Al2 3 ・y
SiO2 ・z H2 O(式中、Mはイオン交換可能な金
属イオンを表し、通常は、1価〜2価の金属であり、p
はこの原子価で、xは金属酸化物の係数、yはシリカの
係数、zは結晶水の数をそれぞれ示す)で表され、その
組成比および細孔径、比表面積などの異なる多くの種類
がある。
【0024】例えば、天然ゼオライトとしては、アナル
シン、チャバサイト、クリノプチロライト、エリオナイ
ト、フォジャサイト、モルデナイトなどがあり、一方合
成ゼオライトとしては、A型ゼオライト、X−型ゼオラ
イト、Y−型ゼオライト、T−ゼオライトなどを挙げる
ことができる。ゼオライトの形状は、粒子状がよく、そ
の粒子径は10μm以下が適する。好ましいゼオライト
は、粒子径が3μm以下、比表面積が150m2 /g以
上でSiO2 /Al2 3 のモル比が14以下のもので
ある。本発明においては、好ましくは、比表面積が大き
く吸着能に優れたゼオライトであり、前記の合成ゼオラ
イトである。
【0025】(シリカゲル)シリカゲルは、一般式Si
2 ・nH2 Oで表される化合物で、ガラス状の透明ま
たは半透明の粒子で、微細構造が粗ショウをなして、例
えば1gのものが450m2 以上の大きな比表面積をも
つものである。本発明においてシリカゲルとしては、耐
摩耗性に優れた薄膜を形成するために、平均粒径が10
μm以下が好ましい。
【0026】(アルミノケイ酸塩鉱物)縮合ケイ酸の一
部をアルミニウムで置き換えたアルミノケイ酸イオンと
各種の金属イオンからなる塩でゼオライトを除く、カオ
リナイト、ハロサイト、白雲母、モンモリロナイト、蛭
石、長石、その他の天然鉱物で、表面積が大きく、イオ
ン交換能も有している。アルミノケイ酸塩鉱物の粒子径
は、通常、0.1〜10μm、好ましくは0.5〜3μ
mである。
【0027】(アルミノ−シリカゲル)一般式Al2
3 ・mSiO2 ・nH2 O+Al(OH)3 で表される
非晶質のゲルで大表面積でシリカとアルミナの両機能を
もち、活性炭と混合成型したものもある。吸着性能に優
れる。粒径は0.5〜10μm、好ましくは0.5〜3
μmである。
【0028】なお、(b)成分としては、銀塩またはコ
ロイダル銀以外に、銅塩を用いたものでもよい。この銅
塩としては、硝酸銅(II) 、硫酸銅、臭化銅、酢酸銅な
どを挙げるとができる。
【0029】本発明の脂質分解性水の製造用触媒に使用
されるコーティング組成物中における(b)成分の割合
は、(a)成分として(イ)を使用する場合は、オルガ
ノアルコキシシラン(以下「(イ′)」ということがあ
る)換算で(イ)を100重量部として、通常、5〜1
00重量部、好ましくは10〜70重量部である。ま
た、(a)成分として(ロ)を使用する場合は、テトラ
アルコキシシラン(以下「(ロ′)」ということがあ
る)換算で(ロ)100重量部に対し、5〜100重量
部が好ましい。(b)銀担持無機化合物の使用量が、上
記のそれぞれの物質について、所定量未満では重合防止
効果がほとんどなく、一方所定量を超えると、組成物が
増粘しすぎたり、溶出することが起こったりして好まし
くない。
【0030】(c)アルコール類;アルコール類は、前
記(a)成分の濃度調整剤であり、さらに前記(a)成
分を構成するオルガノアルコキシシラン、テトラアルコ
キシシラン、あるいはジルコニウム化合物が水によって
加水分解された際に極度にゲル化することを防止するた
め、そのほか加水分解物の縮合反応を調節しながら水分
を共沸留去するためのものである。
【0031】このアルコールとしては、1価アルコール
または2価アルコールであるエチレングリコールもしく
はこの誘導体が使用でき、このうち1価アルコールとし
ては炭素数1〜5の低級脂肪族アルコールが好ましく、
具体的にはメタノール、エタノール、n−プロピルアル
コール、i−プロピルアルコール、sec−ブチルアル
コール、t−ブチルアルコールなどを挙げることがで
き、またエチレングリコールもしくはこの誘導体として
はエチレングリコール、エチレングリコールモノブチル
エーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル
などを挙げることができる。
【0032】これらのアルコール類は、好ましくはi−
プロピルアルコール、sec−ブチルアルコール、酢酸
エチレングリコールモノエチルエーテルである。これら
のアルコール類は、1種でもまた2種以上を併用するこ
ともできる。本発明の脂質分解性水の製造用触媒に使用
されるコーティング組成物中のアルコールの割合は、
(a)成分として(イ)を用いる場合、通常、(イ′)
換算で(イ)を100重量部として、15〜400重量
部、好ましくは40〜200重量部であり、また(a)
成分として(ロ)を使用する場合は、(ロ′)換算で
(ロ)を100重量部に対し、80〜800重量部が好
ましい。
【0033】(c)アルコールの使用量が、上記のそれ
ぞれの物質について、所定量未満では、組成物が二層分
離したりゲル化が生起したりし、一方所定量を超えると
相対的に他の成分が少なくなり、得られる材料の膜の密
着力が弱くなったり、薄膜すぎて目的とするものを作る
ことができない場合がある。
【0034】(d)水;水は、(a)成分となるオルガ
ノアルコキシシラン、あるいはテトラアルコキシシラ
ン、ジルコニウム化合物の加水分解に必須の成分である
とともに、粘度調節剤、乾燥速度調節剤、(a)〜
(b)成分、さらには必要に応じて使用される(e)充
填剤の分散媒としての役目を果たすものである。
【0035】この水としては、一般水道水、蒸留水、あ
るいはイオン交換水を用いることができる。特に、組成
物を高純度にする場合には、蒸留水またはイオン交換水
が好ましい。なお、この水としては、例えば(a)成分
を構成するオルガノアルコキシシランやテトラアルコキ
シシラン、ジルコニウム化合物の加水分解によって生じ
る水も包含されるものである。本発明の脂質分解性水の
製造用触媒に使用するコーティング組成物中における水
の割合は、(a)成分として(イ)を用いた場合は、通
常、(イ′)換算で(イ)を100重量部として、15
〜400重量部、好ましくは40〜250重量部であ
り、(ロ)を用いた場合は、(ロ′)換算で(ロ)の1
00重量部に対して、0〜25重量部、好ましくは0〜
15重量部である。(d)水の使用量が、上記のそれぞ
れの物質について、所定量未満では、(a)成分の加水
分解が充分に生起し難く、一方所定量を超えると本発明
に使用される組成物の安定性が悪化するようになる。
【0036】本発明の銀を含む塗膜を作成するためのコ
ーティング組成物は、前記(a)〜(d)成分を含有す
るものであるが、そのpHは2〜6.5が好ましく、p
H調整のため、酸を含有してもよい。さらに、必要によ
り、(e)充填剤も添加することができる。(e)充填
剤は、得られる塗膜の化粧性の発現、塗膜の表面積の拡
大による脂質分解力の向上、耐蝕性、耐久性、塗膜強度
の向上などの諸特性を発現するために使用されるもので
ある。
【0037】かかる(e)充填剤としては、例えば無機
顔料などの非水溶性の一般的な顔料または顔料以外の粒
子状もしくは繊維状の金属酸化物、炭化物、窒化物の1
種または2種以上のものであり、具体的にはシリカゲ
ル、合成ゼオライト、活性炭、二酸化ケイ素、酸化チタ
ン、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸
化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、カオリン、合
成ムライト、ジルコン(ケイ酸ジルコニウム)、炭化ケ
イ素、チタン酸カリウムなどを挙げることができるが、
これらに限定されるものではない。
【0038】また、塗膜の表面積の拡大のために、コロ
イド状の、シリカ、アルミナ、チタニア、超微粒子状
の、シリカ、アルミナ、チタニアなどを用いることもで
きる。その他、必要に応じてキレート剤、界面活性剤、
シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルカ
リ金属塩などの従来公知の添加剤を用いることができ
る。これらの(e)充填剤の使用量は、前記(a)成分
となるモノマー換算で(a)成分100重量部に対し、
30重量部以下程度用いることができる。
【0039】コーテイング組成物の固形分濃度は、通
常、10〜60重量%、好ましくは15〜45重量%で
あり、10重量%未満では得られる塗膜の厚さが薄すぎ
て重合防止効果が減少したり、塗膜強度が低すぎたり
し、一方60重量%を超えるとゲル化し易くなったり、
粘度が上昇しすぎたり、密着性が悪化したりするので好
ましくない。
【0040】コーテイング組成物を調製するには、まず
第1に以上のような(a)〜(d)成分、あるいは
(a)〜(e)成分を混合するが、この場合の混合方法
は、(a)〜(d)成分、あるいは(a)〜(e)成分
を同時に混合する方法、また(a)成分と(c)アルコ
ールの混合物に(b)成分、必要に応じて(e)成分を
加え、使用時に(d)水を混合する方法などを挙げるこ
とができる。なお、(b)成分は、あらかじめ銀を無機
化合物担体に担持させておかず、銀塩の水溶液と無機化
合物担体を(a)、(c)、(d)成分、あるいはさら
に(e)成分と混合してもよい。
【0041】本発明では、前記(a)〜(d)成分、あ
るいは(a)〜(e)成分をこのようにして混合したの
ち、使用することができるが、(a)成分として(イ)
を使用した場合には、全成分を混合した後、2〜72時
間、さらに好ましくは3〜24時間熟成を行うとよい。
この熟成時間が1時間未満では、(a)成分の加水分
解、重縮合反応が充分に進行せず、また反応熱が残り、
基材に塗布した場合にハジキ現象が起こり易く、一方7
2時間を超えると(a)成分の重縮合反応が進みすぎて
組成物の分散安定性が悪化し、また得られる膜の密度、
密着性、硬度が低下し、艶がなくなったりする場合があ
る。なお、熟成温度は、通常、10〜30℃の常温下で
行うことが好ましい。
【0042】本発明に用いられるコーティング組成物
は、高速撹拌機、ボールミル、その他の分散機により分
散させ、ろ過することにより、均一な安定性の良い分散
液とすることができる。前記コーティング剤の塗布は、
前記のように調製されたコーテイング組成物を、次いで
デイッピング、混練り、スプレー、刷毛などの塗装手段
により、基材の表面にコーテイングし、100〜400
℃で5〜120分加熱することにより容易に硬化し、脂
質分解性水の製造に優れる塗膜が得られる。前記コーテ
ィング剤の基材に対する割合は、0.2〜20重量%
(乾燥塗膜換算)が好ましく、さらに好ましくは0.5
〜5重量%である。
【0043】また、このようにして得られる本発明の脂
質分解性水の製造用触媒中の銀の含有量は、好ましくは
0.03〜1.5重量%、さらに好ましくは0.05〜
1.0重量%である。0.03重量%未満では、脂質分
解性水の製造効果が少なく、一方1.5重量%を超える
と、銀が溶出したり、密着力が低下したりして好ましく
ない。このようにして得られる脂質分解性水の製造用触
媒は、粒状のもの、板状などどのような形状でもよい。
粒状のものの場合、粒径は、1mm〜50mmが好まし
い。粒径が1mm未満では、破損し易く、また収納が難
しく、一方粒径が50mmを超えると、表面積が小さく
なったり、取り扱い難くなり好ましくない。
【0044】粒状のものは、図1に示すように、丸状
〔図1(A)〕、コンペイトウ状〔図1(B)〕、ある
いは円柱状〔図1(C)〕などの形状が挙げられる。ま
た、これらの粒状のものは、図2に示すような金網の収
納容器に入れて用いるとよい。図2において、(A)は
球状あるいは半球状の金網容器の上面図、(B)は箱状
の金網容器の斜視図、(C)はは円筒状の金網容器の斜
視図、(D)は合成樹脂(ポリプロピレンなど)製の袋
の斜視図である。しかしながら、容器に入れず、粒のま
ま入れてもかまわない。また、板状のものとして、図3
に、四辺形(A)、円板状(B)、円筒形の容器(C)
のものの斜視図を示したが、これらに限定されるもので
はなく、どのような形状でもよい。また、これらの厚さ
は、3〜50mmが好ましい。
【0045】本発明の脂質分解性水の製造用触媒は、水
中に0.1〜20重量%、好ましくは0.3〜5重量%
入れると、被処理水に脂質分解力を与える効果がある。
例えば、水道水や地下水または純水や電気分解水などの
水を、本発明の脂質分解性水の製造用触媒に10分〜7
2時間程度接触させることにより、脂質分解力があり、
かつ抗菌力、臭気分解力も有し、浸透力の高い水、すな
わちこの水を皮膚、特に顔に使用すると、皮脂を分解
し、抗菌力により清潔にするとともに、吹き出物(ニキ
ビ)などを分解して治癒することが可能であり、頭皮に
使用すると毛穴の皮脂を分解して抜毛の防止および育毛
に大きな効果があり、また飲料用に供すると、口臭や体
臭が消え、排便の臭気が薄れ、尿に脂質が観察される、
などの効果があり、さらにイオン交換水などの純水を用
いて精密部品などの洗浄用に供すると、脂質分解力によ
り優れた洗浄効果を示し、かつ銀の溶出量が0.03m
g/l以下である水に改水することができる。
【0046】
【作用】本発明の脂質分解性水の製造用触媒を水中に入
れると、触媒の大表面積から放射される遠赤外線エネル
ギーと水中の微量の酸により溶出される微量の銀イオン
(1〜20ppb)の作用により、水が強い励起状態に
なり、脂質の酸化によって生じるラジカルと反応して、
これを消去するとともに細分子化するものと考えられ
る。これにより、脂質分解力のある水に改質され、脂質
を分解する。また、この改質された水は、銀イオンによ
り好気性菌類の細胞表面を酸化して破壊することによる
抗菌力を有し(嫌気性菌類は、酸化作用に対し抵抗力が
強いため反応しない)、さらに臭気成分を酸化して分解
することによる脱臭力を有し、殺菌・脱臭が可能であ
る。
【0047】また、本発明で使用するコーテイング組成
物は、銀イオンの機能を最大限に発現すべく、担体とし
て、ゼオライト、シリカゲル、アルミノケイ酸塩鉱物、
アルミノ−シリカゲルなどの比表面積の大きいものを用
い、結合剤として加水分解型のシラン化合物(オルガノ
アルコキシシラン)、あるいはテトラアルコキシシラン
およびジルコニウム化合物を用い、塗膜そのものが超微
粒子を敷き詰めたような大表面積になるようにした。さ
らに、これが、多孔質状の基材に塗布されているので、
触媒機能を非常に有効に発現させることができる。
【0048】
【実施例】以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明は、特許請求の範囲を越えないかぎ
り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施
例中、部および%は、特に断らないかぎり重量基準であ
る。
【0049】実施例(脂質分解性水の製造用触媒の調
製) 水の脂質分解力試験、抗菌力試験などを調べるため、以
下のようにして、脂質分解性水の製造用触媒を作製し
た。まず、表1〜2に示すA〜Hの8種類のコーテイン
グ組成物を作製した。前記組成物Aは、調合槽の中に
(a)メチルトリメトキシシラン20部に、(c)イソ
プロパノール54部と(b)銀担持合成ゼオライト6
部を加え、軽く攪拌したのち、200メッシュのフィル
ターを通過させ、これに(d)イオン交換水20部を加
え、2,000rpmで15分間攪拌した。この混合液
を3時間熟成することにより、組成物Aを作製した。以
下、組成物B〜Hも同様にして作製した。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】注)表1〜2中、銀担持合成ゼオライト
の銀含有量は6.5%、銀担持合成ゼオライトの銀含
有量は4%、銀担持パイロフィライト(Al2 3 ・4
SiO2 ・H2 O)に銀含有量は0.8%、銀担持シリ
カゲルの銀含有量は0.5%、銀担持アルミノ−シリカ
ゲルの銀含有量(コロイダル銀)は1%、コロイド状ア
ルミナは水性で、その固形分濃度は20%である。
【0053】次に、表3に示す基材に、表1〜2に示し
たコーテイング組成物を塗布し、1S〜10Sの脂質分
解性水の製造用触媒を作製した。なお、基材は、粗面加
工された発泡アルミニウム、粗面加工されたステンレス
鋼以外は、表中の試料を1,100〜1,600℃で焼
成したものである。また、コーティング後の硬化条件
は、組成物A〜Hすべて280℃で30分間加熱したも
のである。また、基材の形状は、図1〜3に示した。
【0054】
【表3】
【0055】注)板の厚さは全て10mm、基材のう
ち、アルミニウムは発泡アルミニウムの表面を粗面加工
したもの、ステンレス鋼は表面を粗面加工したものであ
る。
【0056】試験例1(溶出試験) 実施例で得られた触媒1S〜5Sそれぞれを、浸漬水2
リットル中に1.0%浸漬させ、室温で24時間静置し
たのち、浸漬水を採取し、銀の溶出量を原子吸光光度法
により測定した。比較対照として、水道水、イオン交換
水についても測定した。また、触媒6S〜9Sは、浸漬
水2リットル中にそれぞれ1個、前記と同様にして浸漬
させ、測定した。さらに、触媒10Sは、水を1リット
ル入れ、室温で24時間静置したのち、前記と同様にし
て測定した。結果を表4に示す。
【0057】
【表4】
【0058】試験例2(脂質分解力試験) 本発明の触媒により製造された水の脂質分解力を調べる
ため、牛脂、菜種油、工業用潤滑油(スピンドル油)を
水中に滴下し、その状態を調べた。 (1)ポリ容器に水道水1リットルを入れ、これに触媒
1S、2S、3Sをそれぞれ1%入れ、6時間経過後に
取り出し、これに牛脂あるいはスピンドル油をそれぞれ
0.2%入れ、軽く攪拌したのち、その状態を観察し
た。対照として、本発明の触媒を入れていない水道水を
使用した。 牛脂を添加した場合を図4(A)〜(D)に、スピ
ンドル油を添加した場合を図5(A)〜(D)にそれぞ
れ示す。図4および図5から明らかなように、触媒1S
あるいは2Sを入れた水道水に脂質を添加すると、脂質
は瞬時に細分化され、軽く攪拌すると、一層細分化が進
む様子が観察される。一方、触媒3Sを入れた水道水お
よび水道水のみの水に、脂質を添加すると、脂質は瞬時
に膜を作り、攪拌してもまた直ぐに膜を作る状態が観察
される。
【0059】(2)ポリ容器にイオン交換水1リットル
を入れ、これに触媒1S、5Sをそれぞれ2%、あるい
は触媒9Sを入れ、3時間経過後それぞれを取り出し、
これに牛脂あるいは菜種油をそれぞれ0.2%入れ、軽
く攪拌したのち、その状態を観察した。対照として、本
発明の触媒を入れていないイオン交換水を使用した。 牛脂を添加した場合を図6(A)〜(D)に、菜種
油を添加した場合を図7(A)〜(D)にそれぞれ示
す。図6および図7から明らかなように、触媒1S、5
Sあるいは9Sを入れたイオン交換水に脂質を添加する
と、脂質は瞬時に細分化され、軽く攪拌すると、一層細
分化が進むが、細分化の状態は、水道水を使用したとき
に較べ、さらに細かくなっている様子が観察される。一
方、イオン交換水のみの場合、脂質を添加すると、脂質
は瞬時に膜を作り、攪拌してもまた直ぐに膜を作る状態
が観察される。
【0060】試験例3(脱脂力試験) 本発明の触媒により製造された水の脱脂力(脂質分解
力)を調べるため、牛脂(ラード)、および自動車潤滑
油を、アルミニウム板あるいはステンレス板にそれぞれ
塗布し、本発明の触媒により製造された水(以下「触媒
水」という)、および対照として、純水、また完全脱脂
確認用としてシクロヘキサンで抽出して、その脱脂力を
確認した。試験方法は、次のとおりである。
【0061】(1)使用材料 基材; アルミニウム板(75×150×1.0mmt) SUS304(鏡面板)(75×150×0.8mm
t) 油脂; 牛脂(ラード) 自動車用潤滑油(以下「潤滑油」という) 試験液; 触媒水1(イオン交換水に触媒1Sを3%浸漬し、2
4時間経過した水) 触媒水2(イオン交換水に触媒2Sを5%浸漬し、1
2時間経過した水) 純水(イオン交換水) シクロヘキサン(試薬1級)
【0062】(2)試験方法 基材をそれぞれ8枚用意し、初期重量を測定した。 基材それぞれ4枚ずつに、油脂2種を擦りつけて塗布
し、灯火で加熱して均質にし、放冷してから重量を測定
し、塗布量を求めた。 各試験液200mlを入れたポリ容器(100×15
0×50mmH)に、塗布基材1枚ずつを入れ、50℃
で30分間浸漬した。次に、この基材をエアースプレー
ガンを用いて、50℃の試験液で30秒間洗浄した。 洗浄後の基材を、灯火で乾燥し、放冷後の重量を測定
して、油脂の抽出量および抽出率を計算した。結果を表
5に示す。
【0063】
【表5】
【0064】試験例4(脂質分解力試験) 本発明の触媒により製造された水(以下「触媒水」とい
う)の脂質分解力を調べるため、顔に吹き出物(ニキ
ビ)がある16〜23才の男女各10人ずつを選び、1
5日間の試験を行った。試験方法は、次のとおりであ
る。 (1)使用材料 顔用マスク;綿布(厚手のガーゼ)を使用し、目、鼻、
口をくり抜いて作製した。 触媒水;イオン交換水に触媒5Sを3%浸漬し、48時
間経過した水。 (2)試験方法 顔用マスクに、触媒水を浸し、軽く絞ったのち、洗顔し
た後の顔に貼りつけるようにして約10分間セットし
た。これを1日1回ずつ15日間行った。
【0065】(3)試験結果 吹き出物が完全に無くなった。 ・・・・・ 7人 吹き出物が殆ど無くなった。 ・・・・・12人 吹き出物が半分位になった。 ・・・・・ 1人 吹き出物に対し効果がなかった。・・・・・ 0人 以上の試験結果から、触媒水が吹き出物の脂質を分解
し、これを綿布が吸い取り、さらに触媒水の抗菌力によ
り消毒された状態となって、大きな効果があったものと
推察される。
【0066】試験例5(抗菌力試験) (1)本発明の触媒により製造された水(以下「触媒
水」という)の抗菌力を調べるため、大腸菌および黄色
ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対する触
媒水の抗菌性について試験を行った。 (2)試験方法 触媒1S、5S、9Sおよび2S、4S、8Sをそれぞ
れ1%添加したイオン交換水に、大腸菌、黄色ブドウ球
菌、あるいはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の菌液を添
加して、30℃で保存し、1時間、6時間、あるいは2
4時間後の生菌数を測定した。結果を表6に示す。
【0067】
【表6】
【0068】試験例5(モニター試験) (1)本発明の触媒により製造された水(以下「触媒
水」という)の脂質分解力、抗菌力、消臭力、浸透力な
どを調べるため、男女各15人、計30人を選び、触媒
水を飲用として3ケ月間(61日)試飲させて、身体へ
の影響の状態を観察した。 (2)試験方法 触媒水は、水道水に触媒1Sを1%添加し、6時間以上
経過した水とした。この触媒水を、1日に0.6〜1.
2リットルずつ、常温水の状態で2ケ月間(61日)試
飲させた。
【0069】(3)自己診断による効果例は、30人
中、次のとおりである。 排便および排尿の臭いが殆ど無くなった。・・・28
人 尿中に脂肪が観察された。・・・・・・・・・・11
人 便通が良くなった。・・・・・・・・・・・・・10
人 口臭が消えた。・・・・・・・・・・・・・・・・5
人 体臭が薄れた。・・・・・・・・・・・・・・・・4
人 肩凝りがしなくなった。・・・・・・・・・・・・4
人 血糖値が下がり平常になった。・・・・・・・・・3
人 疲れが残らなくなった。・・・・・・・・・・・・5
人 副作用があった。・・・・・・・・・・・・・・・0
【0070】試験例6〔水の浸透力試験(水の線幅値の
測定)〕 本発明の触媒で処理した水の浸透力を調べるため、核磁
気共鳴装置(NMR)を使用して水の線幅値を測定し
た。水は、分子量18の単純な化合物であるが、水の分
子間に働く水素結合は大変強いため、液体の水は、水分
子が塊あるいは集団になった構造をとっており、その数
は大体5〜15個であり、かつ常に変化しているものと
考えられる。この動的な水の状態をとらえる方法とし
て、核磁気共鳴装置(NMR)を使用して水の分子の塊
の状態を核磁気の線幅という形で数値的に計測する方法
があり、この線幅の数値(線幅値)が小さいほど、分子
の塊が小さく、水の浸透力が高いというものである。測
定内容は、次のとおりである。
【0071】測定核種;17O(酸素17) 使用装置;JNM−EX270〔日本電子工業(株)
製〕 測定温度;20℃(温度制御測定) 検体水の線幅〔半値幅(ピークの高さ1/2の部分の幅
(太さ)〕で、単位はHz(ヘルツ)で表す。結果を表
7に示す。
【0072】
【表7】
【0073】
【発明の効果】本発明の脂質分解性水の製造用触媒を、
水道水や地下水または純水や電気分解水などの水に、1
0分〜72時間程度接触させることにより、脂質分解力
があり、かつ抗菌力、臭気分解力も有し、浸透力の高い
水、すなわちこの水を皮膚、特に顔に使用すると、皮脂
を分解し、抗菌力により清潔にするとともに、吹き出物
(ニキビ)などを分解して治癒することが可能であり、
頭皮に使用すると毛穴の皮脂を分解して抜毛の防止およ
び育毛に大きな効果があり、また飲料用に供すると、口
臭や体臭が消え、排便の臭気が薄れ、尿に脂質が観察さ
れる、などの効果があり、さらにイオン交換水などの純
水を用いて精密部品などの洗浄用に供すると、脂質分解
力により優れた洗浄効果を示し、かつ銀の溶出量が0.
03mg/l以下である水に改水することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粒状の触媒の形状を示す模式図であ
る。
【図2】本発明の粒状の触媒を入れる容器の上面図ある
いは斜視図である。
【図3】本発明の板状の触媒の形状を示す模式図であ
る。
【図4】水道水に牛脂を添加した場合の拡散状態を示す
模式図である。
【図5】水道水にスピンドル油を添加した場合の拡散状
態を示す模式図である。
【図6】イオン交換水に牛脂を添加した場合の拡散状態
を示す模式図である。
【図7】イオン交換水に菜種油を添加した場合の拡散状
態を示す模式図である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微粒子状のアルミノケイ酸塩鉱物および
    /またはケイ酸塩鉱物、微粒子状の金属酸化物、微粒子
    状の金属水酸化物、ならびに繊維状の金属酸化物の群か
    ら選ばれた少なくとも1種を焼成して得られる多孔質状
    成形物の無機質の基材、および/または、発泡金属およ
    び/または少なくとも表面が多孔質状に処理もしくは粗
    面に処理された金属の基材の表面を、下記(a)〜
    (d)成分を主成分とする組成物からなる銀を含有する
    コーティング剤で加工してなることを特徴とする脂質分
    解性水の製造用触媒。 (a)(イ)一般式RSi(OR(式中、R
    は炭素数1〜8の有機基、Rは炭素数1〜5のアルキ
    ル基または炭素数1〜4のアシル基を示す)で表される
    オルガノアルコキシシラン、該アルコキシシランの加水
    分解物および/またはその部分縮合物、ならびに(ロ)
    Si(OR(式中、Rは前記に同じ)で表され
    るテトラアルコキシシラン、該テトラアルコキシシラン
    の加水分解物および/またはその部分縮合物、および一
    般式Zr(OR′)で表されるジルコニウム化合物
    (式中、R′はいずれも同一または異なり、炭素数2〜
    5の炭化水素残基を示す)、該ジルコニウム化合物の加
    水分解物および/またはその部分重縮合物の混合物の群
    から選ばれた少なくとも1種 (b)銀塩またはコロイダル銀を、銀換算で0.2〜1
    0重量%、イオン交換、吸着、または固着した、ゼオラ
    イト、シリカゲル、アルミノケイ酸塩鉱物およびアルミ
    ノ−シリカゲルの群から選ばれた少なくとも1種の無機
    化合物 (c)アルコール、ならびに (d)水
  2. 【請求項2】 脂質分解性水の製造用触媒が、銀を0.
    03〜1.5重量%担持するものであり、かつ水に対す
    る銀の溶出量が水1リットルあたり0.03mg以下で
    ある請求項1記載の脂質分解性水の製造用触媒。
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