JP2807260B2 - 耐応力腐食割れ性にすぐれた析出強化型Ni基単結晶合金 - Google Patents

耐応力腐食割れ性にすぐれた析出強化型Ni基単結晶合金

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JP2807260B2
JP2807260B2 JP1120434A JP12043489A JP2807260B2 JP 2807260 B2 JP2807260 B2 JP 2807260B2 JP 1120434 A JP1120434 A JP 1120434A JP 12043489 A JP12043489 A JP 12043489A JP 2807260 B2 JP2807260 B2 JP 2807260B2
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純二 星
敏行 島村
章 三橋
利夫 米澤
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、基本的にγ層の素地中にγ′相{Ni3(A
l,Ti)}やγ″相(Ni3Nb)などの金属間化合物が析出
すると共に、結晶構造および結晶方位が同一の単結晶の
組織を有し、かつ高強度とすぐれた耐食性を有し、さら
に例えば腐食環境下にある原子力発電用軽水炉などの構
造部材であるボルト材やピン材などとして用いた場合に
すぐれた耐応力腐食割れ性を示す析出強化型Ni基合金に
関するものである。
〔従来の技術〕
従来、上記のボルト材やピン材などの製造には、すぐ
れた耐食性と高強度が要求されることから、これらの特
性を具備した合金、すなわち重量%で(以下%は重量%
を示す)、 Cr:12/30%、Nb:0.5〜3%、 Ti:1〜5%、Al:0.2〜3%、 を含有し、残りがNiと不可避不純物からなる組成を有す
る析出強化型Ni基単結晶合金が用いられている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、上記の従来析出強化型Ni基単結晶合金は、高
強度を有し、かつ耐食性にすぐれているものの、上記ボ
ルト材のように腐食環境下で応力が付加された場合に十
分満足する耐食性を示さず、応力腐食割れを起し易いと
いう問題をもつものである。
〔課題を解決するための手段〕
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、上記
の従来析出強化型Ni基単結晶合金に着目し、これの具備
する高強度およびすぐれた耐食性を損なうことなく、こ
れにすぐれた耐応力腐食割れ性を付与すべく研究を行な
った結果、上記の従来析出強化型Ni基単結晶合金に、合
金成分としてCuとReを共存含有させると、耐応力腐食割
れ性が一段と向上するようになり、さらに加えてMoおよ
びWを含有させると耐食性の一層の改善がなされるよう
になるという知見を得たのである。
この発明は、上記知見にもとづいてなされたものであ
って、 Cr:10〜30%、Nb:0.1〜5%、 Ti:0.1〜8%、Al:0.1〜8%、 Cu:0.05〜0.5%、Re:0.05〜3%、 を含有し、さらにこれに加えて必要に応じて、 Moおよび/またはW:0.05〜3%、 を含有し、残りがNiと不可避不純物からなる組成を有す
る、高強度とすぐれた耐食性を有し、さらに一段とすぐ
れた耐応力腐食割れ性を有する析出強化型Ni基単結晶合
金に特徴を有するものである。
つぎに、この発明のNi基単結晶合金において、成分組
成範囲を上記の通りに限定した理由を説明する。
(a) Cr Cr成分には、合金の耐食性を向上させる作用がある
が、その含有量が10%未満では所望の耐食性を確保する
ことができず、一方その含有量が30%を越えると、凝固
温度範囲が広がるようになって単結晶化が困難となり、
この結果合金は多結晶化し易くなるが、多結晶組織と単
結晶組織を比較した場合、耐応力腐食割れ性は前者の方
が著しく劣ったものになることから、その含有量を10〜
30%と定めた。
(b) Nb Nb成分には、Niと結合してγ″相:(Ni3Nb)からな
る金属間化合物を形成し、これがγ相の素地中に析出し
て合金の強度を向上させる作用があるが、その含有量が
0.1%未満では所望の強度向上効果が得られず、一方5
%を越えて含有させても強度向上効果は飽和し、より一
層の向上効果は得られないことから、経済性を考慮し
て、その含有量を0.1〜5%と定めた。
(c) TiおよびAl これらの成分には、Niと結合して{Ni3(Ti,Al)}の
金属間化合物からなるγ′相を形成し、上記γ″相と共
に素地に析出して合金の強度を著しく向上させる作用が
あるが、その含有量がそれぞれTi:0.1%未満およびAl:
0.1%未満では所望の強度向上効果が得られず、一方そ
の含有量がそれぞれTi:8%およびAl:8%を越えると、Cr
の場合と同様に凝固温度範囲が広がって、単結晶化が困
難になることから、その含有量を、それぞれTi:0.1〜8
%、Al:0.1〜8%と定めた。
(d) Cu Cu成分には、合金の耐応力腐食割れを向上させる作用
があるが、その含有量が0.05%未満では所望のすぐれた
耐応力腐食割れ性を確保することができず、一方その含
有量が0.5%を越えると、合金の強度が低下するように
なることから、その含有量を0.05〜0.5%と定めた。
(e) Re Re成分には、Cu成分との共存において、耐応力腐食割
れ性を一段と向上させる作用があるが、その含有量が0.
05%未満では前記作用に所望の向上効果が得られず、一
方その含有量が3%を越えると、合金が脆化するように
なることから、その含有量を0.05〜3%と定めた。
(f) MoおよびW これらの成分には、Crとの共存において、合金の耐食
性をより一層向上させる作用があるので、必要に応じて
含有させるが、その含有量が0.05%未満では耐食性に所
望の向上効果が得られず、一方その含有量が3%を越え
ると、合金が脆化するようになることから、その含有量
を0.05〜3%と定めた。
なお、この発明のNi基単結晶合金に、BおよびZrのう
ちの1種または2種を含有させると、これらの成分が鋳
造合金独特の樹枝状晶の界面に偏析し、この結果合金の
被削性が一段と改善されるようになるので、特に快削性
が要求される場合に含有させるとよいが、その含有量は
0.005〜0.5%とするのが望ましく、これは0.005%未満
で所望の改善効果が得られず、一方0.5%を越えると合
金強度が低下するようになるという理由によるものであ
る。
〔実施例〕
つぎに、この発明のNi基単結晶合金を実施例により具
体的に説明する。
通常の高周波誘導炉を用い、それぞれ第1表に示され
る成分組成をもった溶湯を調製し、鋳造して直径:80mm
×長さ:100mmのインゴットとし、ついでこのインゴット
を真空炉内のるつぼで溶解した後、同じく真空炉内に設
置したセラミック鋳型に鋳造、このセラミック鋳型を取
り巻いて設置された高周波加熱コイルによる加熱帯から
前記セラミック鋳型を100〜300mm/hrの範囲内の所定の
引下げ速度で引出して外径:10mm×長さ:100mmの寸法を
もった丸棒状鋳片とし、この鋳片に、900〜1300℃の範
囲内の所定温度に60〜180分間保持後空冷の溶体化処
理、並びに500〜900℃の範囲内の所定温度に100〜200時
間保持の時効処理を施すことにより本発明Ni基合金鋳片
1〜5および従来Ni基合金鋳片をそれぞれ製造した。
ついで、この結果得られた各種のNi基合金鋳片につい
て、金属顕微鏡を用いて結晶構造を観察し、かつ強度を
評価する目的で室温での引張強さを測定し、また前記鋳
片より平行部直径:5mm×標点間距離:20mmの引張試験片
を切出し、この引張試験片を用い、原子力発電用軽水炉
の構造部材のうち、特にボルト材やピ ン材がさらされる条件を模擬した環境下、すなわち圧力
釜内において、H3BO3:(Bとして)約500ppm、LiOH:(L
iとして)約2ppm、H2:約30cc・STP/kg・H2O、DO:5ppb以
下、Cl-:0.1ppm以下を含有するpH:約7の水溶液中に上
記試験片を浸漬した状態で、温度:320℃、圧力:157kg/c
m2、歪速度:0.5μm/min.の条件で低歪速度引張試験(SS
RT法)を行ない、破断後の破面を観察して応力腐食割れ
破面率を測定し、さらに耐食性を評価する目的で、上記
水溶液中に、室温で500時間浸漬後、腐食減量測定の耐
食性試験を行なった。これらの結果を第1表に示した。
〔発明の効果〕
第1表に示される結果から、本発明Ni基合金鋳片1〜
5は、いずれもγ相の素地中にγ′相およびγ″相から
なる金属間化合物が分散析出した単結晶組織をもち、高
強度と、すぐれた耐応力腐食割れ性および耐食性を有
し、従来Ni基単結晶合金に比して一段とすぐれた耐応力
腐食割れ性をもつことが明らかである。
上述のように、この発明のNi基単結晶合金は、同種の
従来Ni基単結晶合金と同等の高強度とすぐれた耐食性を
有し、かつこれより一段とすぐれた耐応力腐食割れ性を
有し、さらにMoおよびWの含有によって耐食性がそれぞ
れ一層向上したものになり、したがってこれらの特性が
要求される、例えば腐食環境下にある原子力発電用軽水
炉などの構造部材として用いた場合に著しく長期に亘る
安定的使用を可能にし、高い信頼性が得られるなど工業
上有用な特性を有するのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島村 敏行 埼玉県桶川市上日出谷1230番地 三菱金 属株式会社桶川第二製作所内 (72)発明者 三橋 章 埼玉県大宮市北袋町1―297 三菱金属 株式会社中央研究所内 (72)発明者 米澤 利夫 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−170445(JP,A) 特開 昭62−180037(JP,A) 特開 昭62−56548(JP,A) 特公 昭62−49342(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 19/00 - 19/05 C30B 29/52

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Cr:10〜30%、Nb:0.1〜5%、 Ti:0.1〜8%、Al:0.1〜8%、 Cu:0.05〜0.5%、Re:0.05〜3%、 を含有し、残りがNiと不可避不純物からなる組成(以上
    重量%)を有することを特徴とする耐応力腐食割れ性に
    すぐれた析出強化型Ni基単結晶合金。
  2. 【請求項2】Cr:10〜30%、Nb:0.1〜5%、 Ti:0.1〜8%、Al:0.1〜8%、 Cu:0.05〜0.5%、Re:0.05〜3%、 を含有し、さらに、 Moおよび/またはW:0.05〜3%、 を含有し、残りがNiと不可避不純物からなる組成(以上
    重量%)を有することを特徴とする耐応力腐食割れ性に
    すぐれた析出強化型Ni基単結晶合金。
JP1120434A 1989-05-16 1989-05-16 耐応力腐食割れ性にすぐれた析出強化型Ni基単結晶合金 Expired - Lifetime JP2807260B2 (ja)

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JPS6256548A (ja) * 1985-09-04 1987-03-12 Toshiba Corp 耐応力腐食割れ特性に優れたニツケル基合金及びその製造方法
JPS62170445A (ja) * 1986-01-21 1987-07-27 Mitsubishi Metal Corp 耐応力腐食割れ性のすぐれた析出強化型Ni基鋳造合金
JPS62180037A (ja) * 1986-02-03 1987-08-07 Daido Steel Co Ltd 耐応力腐食割れ性に優れたオ−ステナイト系合金

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