JP2806834B2 - 新規フッ素系ブロックコポリマー及びその製法 - Google Patents

新規フッ素系ブロックコポリマー及びその製法

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JP2806834B2
JP2806834B2 JP7218846A JP21884695A JP2806834B2 JP 2806834 B2 JP2806834 B2 JP 2806834B2 JP 7218846 A JP7218846 A JP 7218846A JP 21884695 A JP21884695 A JP 21884695A JP 2806834 B2 JP2806834 B2 JP 2806834B2
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正祥 建元
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】本発明は、新規フッ素系ブロックコポリマ
ー及びその製法に関し、更に詳しくは2種の異なる性質
を有するブロックから成るブロックコポリマー及びその
製法に関する。 【0002】 【従来の技術】特開昭53−3495号公報には、含フ
ッ素系多元セグメント化ポリマーの製法が記載されてい
るが、本発明で規定する構造を有する特定の含フッ素ブ
ロックコポリマーは記載されておらず、その有用な用途
についても記載されていない。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、潤滑
性能および保護性能等に優れた新規含フッ素ブロックコ
ポリマーおよびその製法を提供することにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様によ
れば、分子内に少なくとも2種のブロックを有するブロ
ックコポリマーであって、うち少なくとも1種は、 【0005】(1) 【化3】 【0006】[式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞ
れ0または正の整数であって、2≦a+b+c+d+e+f≦
200および1≦a+c+d+fを満足する数である。]で
示される繰り返し単位を含むホモポリマー鎖またはブロ
ックポリマー鎖ブロック(以下、ブロックAという。)
であり、他方のブロックは、テトラフルオロエチレンホ
モポリマーブロック(以下、ブロックBという。)であ
り、後者のブロックがブロックコポリマー全体の1〜9
5重量%を占め、ブロックコポリマー全体の数平均分子
量が1×103〜1×106であることを特徴とするブロ
ックコポリマーが提供される。 【0007】本発明の新規含フッ素ブロックコポリマー
の代表的なものとしては、ブロックA−BまたはA−B
−Aの配列からなるものが挙げられる。 【0008】本発明のブロックコポリマーは次の製法に
よって得られる。すなわちブロックAからなるポリマー
鎖であり、少なくとも一方の分子末端にヨウ素原子を結
合したアイオダイド化合物ならびにラジカル発生源の存
在下に、テトラフルオロエチレンを重合させることによ
って得られる。 【0009】含フッ素オレフィンの連鎖反応は、アイオ
ダイド化合物からヨウ素を引き抜く、いわゆる連鎖移動
反応により停止を受けはするが、結果的に生ずるポリマ
ー末端とヨウ素の結合が前記アイオダイド化合物の炭素
−ヨウ素結合と同様の反応性を有するためにラジカル発
生源により再び容易にラジカル化され、他のラジカル重
合性の化合物の存在下にその付加生長反応を行うことが
可能で、あたかもイオン重合における生長リビング末端
のごとく高分子のポリマー鎖を継続することができる。 【0010】上記のごとく製造されたブロックコポリマ
ーは、少なくとも一方の末端にヨウ素原子を有する。さ
らに必要に応じ、この末端ヨウ素原子は適宜に他の原子
または原子団によって置換することにより、該ブロック
コポリマーを安定化または活性化することができる。他
の原子および原子団の例としては、水素、フッ素、塩
素、臭素、−CF2H、−CF2Z、−CH2OH、−C
2CH2OH、−COZ、−COR、−COOH、−C
OOM、−COOR、−CF2R、−CH2NH2、−C
2CH2NH2、−CH2NCO、−CH2CH2N−C
O、−CN、−N3、−CH2OCOR、−SO3H、−
SO3M、−PO(OH)2、 【0011】 【化18】 、−CH2CH2SiRn(OR)3-n 【0012】 【化19】−CHCHSiRn(OR)3-n [式中、Zはフッ素、塩素または臭素、Mはアンモニウ
ム基または1価金属原子、Rはアルキル基またはアリー
ル基、nは1〜3の数を表す。]が挙げられる。 【0013】なお、ヨウ素を結合していないブロックコ
ポリマーの末端は、前記ブロックを含むアイオダイド化
合物を合成する際に使用された開始剤の種類により異な
る。 【0014】本発明のブロックコポリマーの製造に使用
する前記アイオダイド化合物 (すなわち、少なくとも一
方の末端にヨウ素原子を有するブロックAから成る化合
物)は、前記(1)のブロックの少なくとも1種を含む既
知化合物を公知の方法によってヨウ素化することにより
得られる。前記(1)のブロックを含む化合物は特開昭6
0−137928号公報、特開昭60−202112号
公報および特開昭61−113616号公報に記載され
ている。 【0015】 【0016】ラジカル重合反応における前記アイオダイ
ド化合物とテトラフルオロエチレンとの量的割合は、形
成されるブロック単位が所望の重量となるように適宜決
定すればよい。 【0017】ラジカル発生源としては、従来知られてい
るものをそのまま使用することが可能である。好ましく
はラジカル発生源は光および熱であり、これらはアイオ
ダイド化合物におけるI−C結合を選択的に開裂するこ
とができる。光としては赤外領域から紫外領域に至る広
範な光を使用することが可能である。化学紫外線を使用
することも不可能ではないが、I−C結合のみならず、
他の結合からもラジカルを発生させる欠点がある。同様
の欠点はイオン化放射線を使用した場合にも認められ
る。ラジカル発生源として熱のみを使用する場合、20
0℃以上に加熱するのが望ましい。 【0018】さらに他のラジカル発生源として、連鎖移
動反応を実質的に生起せず、ラジカル重合反応条件下に
適度の分解速度を持つ既知のラジカル開始剤を使用する
ことも可能である。かかるラジカル開始剤として無機ま
たは有機の過酸化物、アゾ化合物、有機金属化合物、金
属などを例示することができる。これらのうち、有機金
属化合物はヨウ素原子のみならず他の原子または原子団
を引き抜いてラジカルを生成することがあるので、必ず
しも好適なものとは言えない。特に好ましいラジカル開
始剤としては、過硫酸塩、過酸化水素、(RfCO)2‐O
2、RfOORf、RfC(O)OORf、(Rf)3COOC
(O)OC(Rf)3、N22、Rf-N-N-Rf、Hg(Rf)2
Li、K、N2、Mg、Zn、Hg、Alなどがある (ここ
で、Rfはポリフルオロアルキル基である) 。なお、こ
れらのラジカル開始剤を使用する場合には、その濃度を
できる限り低く保持し、ラジカル間の結合による停止を
できるだけ抑制し、連鎖生長反応を優先させることが望
ましい。 【0019】ラジカル重合反応の温度は、反応が生起
し、生成ポリマー鎖の熱分解が起こらない限り、自由に
選択できるが、通常−20〜150℃程度である。ただ
し、ラジカル発生源として熱を用いるときはさらに高温
が採用され、200℃以上、場合により250℃程度の
高温が採用される。 【0020】圧力については特に限定されないが、通常
常圧ないし自生圧力の範囲で重合が行われる。 【0021】ラジカル重合反応は、既知の形態、たとえ
ば塊状、溶液、懸濁、乳化など、いずれの形態でも行い
得る。すべての工程を通して同一の形態であってもよ
く、各工程毎に異なって形態を採用してもよい。反応系
の均一性に鑑み、通常は、乳化重合の採用が最も推奨さ
れる。乳化重合に次ぐものとして、ラジカルの攻撃に本
質的に不活性な溶媒の存在下における溶液重合または懸
濁重合が採用されてよい。このような溶媒の具体例とし
て、パーフルオロ(ジメチルシクロブタン)、パーフルオ
ロシクロヘキサン、ジクロロテトラフルオロエタン、ト
リクロロトリフルオロプロパン、ポリフルオロアルカン
鎖、パーフルオロ(エチレングリコールメチルエチルエ
ーテル)などを挙げることができる。 【0022】本発明のブロックコポリマーは、潤滑性
能、保護性能等が優れており、種々の用途に供し得るも
のである。就中、グリースとして使用するのに好適であ
る。従来のグリースのように基油に増稠剤として添加す
ることもできるが、ブロックコポリマー自体をグリース
として使用することも可能である。それは、本発明のブ
ロックコポリマーが基油の役割をする潤滑性に富んだブ
ロック構造 (ブロックA) と、増稠剤の役割をして粘性
を付与するブロック構造 (ブロックB) を兼ね備えてい
ることによる。 【0023】そこで本発明では、分子内に2種のブロッ
クを有するブロックコポリマーであって、一方のブロッ
クは、粘性液体を構成するホモポリマー鎖またはランダ
ムコポリマー鎖ブロックであり、他方のブロックは、前
記ブロックと結合してブロックコポリマーを半固体状な
いし固体状に形成する作用を有するポリテトラフルオロ
エチレンホモポリマー鎖ブロックであるブロックコポリ
マーからなるグリースが提供される。 【0024】なお、本明細書において、 「粘性液体を構
成する」 とは、37.8℃において、粘度が10〜50
0cStの液体であることをいう。また、 「ブロックポリ
マーを半固体状ないし固体状に形成する作用を有する」
とは、前記ブロックと結合してブロックポリマーの稠度
を (ASTM D 271−60Tに従って) 87〜4
75にする作用を有することをいう。 【0025】JISによるグリースの定義によると、グ
リースは、 「液状潤滑剤と増稠剤からなる半固体状又は
固体状の潤滑剤」 と定義され、液状潤滑剤(基油)に増稠
剤を加えた混合物である。そして、耐熱性グリース組成
物として、基油としてのパーフルオロポリエーテルおよ
び増稠剤としてのポリテトラフルオロエチレン粉末から
成る組成物が知られている。しかし、このようなグリー
ス組成物は、基油と増稠剤の相溶性が悪い為、長時間の
使用により基油と増稠剤が分離してしまうという避けら
れない問題を有していた。 【0026】しかし、上記のようなブロックコポリマー
を単一成分グリースとして使用すると、従来のグリース
組成物が持つ欠点が無く、安定した状態で長期間使用す
ることができる。 【0027】ブロックコポリマー自体をグリースとして
使用する場合、ブロックBの割合がブロックコポリマー
全体の10〜30重量%であることが好ましい。ブロッ
クBの割合が1〜10重量%である時は、ブロックコポ
リマーの末端基を−COOM(ここで、Mは1価の金属
原子である。) にして用いることが好ましい。また、数
平均分子量は、1×103〜3×104の範囲が好まし
い。また、このようなブロックコポリマーは、有機液体
との親和性に優れており、有用なグリース組成物をも提
供する。 【0028】粘性液体を構成するホモポリマー鎖又はラ
ンダムコポリマー鎖ブロックとしては、上記のブロック
(1)から成るブロックコポリマーに加え、既知の合成潤
滑油から幅広く選択することができる。そのような合成
潤滑油の例として以下のものを挙げることができる。 【0029】(1)合成炭化水素油 (たとえば、式: −(CH2CHR1)n− [式中、R1は水素原子、Cm2m+1またはCm
m-1、(mは1〜8の整数、m′は5、6または7)、n
は正の整数である。]で示されるα−オレフィンオリゴ
マー、および 【0030】 【化20】 [式中、R2およびR3は、それぞれ炭素数4〜20のア
ルキル基である。]で示されるアルキルベンゼン); 【0031】(2)ポリエーテル (たとえば、式: 【化21】R−O−[CH2−CHR5−O]n−R6 [式中、R4、R5およびR6は、それぞれ水素原子、メチ
ル基またはエチル基、nは8〜100の数である。]で示
されるポリアルキレングリコール、および 【0032】 【化22】 [式中、nは8〜100の数である。]で示されるポリフ
ェニルエーテル); 【0033】(3)エステル (式: 【化23】 で示されるジエステル、および式: 【0034】 【化24】 [式中、nは4〜20の数である。]で示されるネオペン
チルポリオールエステル); 【0035】(4)シリコーン油 (たとえば、式: 【化25】 [式中、Rは、水素原子、メチル基、エチル基またはフ
ェニル基、m およびnはそれぞれ4〜100の数であ
る。]アルキルメチルシリコーン、および式: 【0036】 【化26】 [式中、xおよびyはそれぞれ4〜100の数である。]で
示されるフルオロシリコーン)。 【0037】ブロックコポリマーを半固体状ないし固体
状に形成する作用を有するブロックを形成するホモポリ
マー鎖又はランダムコポリマー鎖としては、ポリエチレ
ンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリス
チレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステルなどのポリアク
リレート、フッ素樹脂などを例示することができる。 【0038】これらの粘性液体を構成するブロックと、
ブロックコポリマーを半固体状ないし固体状に形成する
ブロックの組合わせの中で好ましい組合せとしては、 (1)フッ素系ポリマー鎖ブロック−フッ素系樹脂ブロッ
ク (2)非フッ素系ポリマー鎖ブロック−フッ素系樹脂ブロ
ック (3)フッ素系ポリマー鎖ブロック−非フッ素系樹脂ブロ
ック が挙げられる。 【0039】(1)は、前述した本発明の新規含フッ素ブ
ロックコポリマーに相当する。従って、以下上記(2)お
よび(3)について詳述する。 【0040】(2)非フッ素系ポリマー鎖ブロック−フッ
素系樹脂ブロック このような、ブロック構造を有するブロックコポリマー
は、例えば式: 【化27】CF3(CF2)zI [式中、zは5〜100の数を表す。]で示されるハロゲ
ン化炭化水素を、ビニル基、ビニレン基、アリル基を有
する炭化水素、エステル系リン酸エステル、シリコーン
などにラジカル的に付加して調製することがてきる。必
要ならば、生成分子末端に結合したヨウ素を、LiAl
4などの金属水素化物、亜鉛/塩化水素、NiおよびP
dなどの触媒による接触水素添加などにより除去してブ
ロックコポリマーを安定化することもできる。 【0041】例えばシリコーンの場合、以下のような反
応によりブロックコポリマーを調製することができる: 【化28】 【0042】 【化29】 【0043】又は 【化30】 【0044】α−オレフィン系オリゴマーからも例えば 【化31】 【0045】またエステルの場合、アリルエステルから
は例えば以下の反応によりブロックコポリマーを調製す
ることができる: 【化32】 【0046】(3)フッ素系ポリマー鎖ブロック−非フッ
素樹脂ブロック このようなブロック構造を有するブロックコポリマー
は、例えば下記の反応に従って調製することができる。 【化33】【0047】アクリル酸メチルの代わりにスチレンを用
いた時も同様に 【化34】 が得られる。 【0048】このようなブロックコポリマーは、グリー
スとして有用なばかりでく、自動車エンジンオイル用の
添加剤としても有用である。自動車エンジンオイルにP
TFE系固体潤滑剤を配合することによりエンジンシリ
ンダー/ピストン間の潤滑性能を向上し、燃料消費効率
の向上をはかることは知られている。しかし、PTFE
固体潤滑剤の遊離が問題となる。上記ブロックコポリマ
ーはこのような用途に適合する潤滑剤を提供するもので
ある。 【0049】従って、本発明の更に別の態様では、分子
内に少なくとも2種のブロックを有するブロックコポリ
マーであって、少なくとも1種のブロックは、粘性液体
を構成するホモポリマー鎖またはランダムコポリマー鎖
ブロックであり、他のブロックの少なくとも一種は、前
記ブロックと結合してブロックコポリマーを半固体状な
いし固体状に形成する作用を有するホモポリマー鎖また
はランダムコポリマー鎖ブロックであるブロックコポリ
マー0.5〜60重量%および残部の有機液体から成る
グリース組成物が提供される。このようなグリース組成
物は、磁気記録媒体の表面潤滑剤として有用である。 【0050】さらに上記ブロックコポリマーは、上述の
オイル添加剤や増稠剤として有用であるばかりでなく、
離型剤やインクなどの調製にも使用することができる。
ブロックAとブロックBとの割合を選択することによ
り、グリース状からワックス状まで種々の性状のブロッ
クコポリマーを得ることができる。更に、ある種のブロ
ックコポリマーは、撥水撥油処理剤、塗料添加剤(レベ
リング剤)、電子写真技術におけるトナー助剤(オフセッ
ト防止剤)などとして有用である。 【0051】 【実施例】以下、実施例および参考例を示し、本発明を
更に詳細に説明する。 参考例1 【化35】F(CF2CF2CF2O)nCF2CF2COOH (nの平均=26) 200g (4.46×10-2モル)に水
酸化カリウム水溶液80ml (水酸化カリウムを4.8
7g含む) を、トリクロロトリフルオロエタン100m
lの存在下、攪拌しながら加えて、カリウム塩とした。
IRスペクトルにおいて1770cm-1の-C(=O)-OH
を示すピークが完全に1680cm-1の-C(=O)-OKを
示すピークに移行したのを確認した。 【0052】合成したカリウム塩を100℃真空下で乾
燥し粒状にした。粒状カリウム塩200g (0.044
モル) をトリクロロトリフルオロエタン600mlに窒
素気流下分散させ、ヨウ素100g (0.394モル)
を加えた。そして、この混合物を200℃に加熱し、
1.5時間保持して末端のヨウ素化を行った。反応前カ
リウム塩は粒状固体であったのに対して、反応生成物は
白濁したオイルであった。IRスペクトルにおいて16
80cm-1の-C(=O)-OKを示すピークが完全に消え
て、910cm-1に-CF2CF2Iを示すピークが生成している
のを確認した。又生成したオイルについて19FNMRを
測定してみると、−12.5ppmにピークが出来ており、
-OCF2CF2Iの生成を確認した。 白濁したオイル
をトリクロロトリフルオロエタンに溶解して−20℃で
静置しておくと、白濁物は下に沈み、透明な上澄液から
沈澱物を濾去し、濾液からトリクロロトリフルオロエタ
ンを留去して透明なF(CF2CF2CF2O)nCF2CF2
I(nの平均=26) 176gを得た。 【0053】参考例2 1lオートクレーブにCF3(CF2)2I276.8g (0.
80モル) 、ジ(3,5,6−トリクロロパーフルオロヘ
キシルパーオキサイド)45.3g (6.52×102モル)
およびCF2=CF(OC37)300g (1.13モル)
を仕込み、テトラフルオロエチレンガスを圧入し、20
℃の温度下、0.5〜0.3kg/cm2の圧力範囲で4
1.5時間重合を行った。 【0054】重合後、オイル状生成物 【化36】 (m/n=32/68、数平均分子量840) 175gを得
た。 【0055】実施例1 1lオートクレーブに参考例1で得たF(CF2CF2
2O)nCF2CF2I (nの平均=26) 140g (3.0
7×102モル) 、トリクロロトリフルオロエタン60
0mlおよび開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイ
ド8.25×102g(5.6×104モル) を仕込み、テト
ラフルオロエチレンガスで内部空間を置換した後、12
0℃まで昇温した。撹拌下テトラフルオロエチレンガス
を圧入し、6.1〜6.4kg/cm2の圧力範囲で27.
6時間重合を行った。重合前は完全に透明であった溶液
が、重合後は白濁した混合物となっていた。トリクロロ
トリフルオロエタンを完全留去すると、グリース状の重
合生成物 (数平均分子量5240)161gが得られた。
ポリテトラフルオロエチレン (PTFE) ブロックの含
有量は13重量%であった。 【0056】実施例2 実施例1と同様にして、参考例1で得たF(CF2CF2
CF2O)nCF2CF2I(nの平均=26)200g (4.8
9×102モル) 、トリクロロトリフルオロエタン50
0mlおよび開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイ
ド0.19g (1.32×103モル) を仕込み、テトラフ
ルオロエチレンガスで内部空間を置換した後、120℃
まで昇温した。撹拌下テトラフルオロエチレンガスを圧
入し、6.6〜7.1kg/cm2の圧力範囲で54.4時
間重合を行った。重合後トリクロロトリフルオロエタン
を留去すると、ワックスに近いグリース状の重合生成物
(数平均分子量6200) 303gが得られた。PTF
Eブロックの含有量は34重量%であった。 【0057】実施例3 100mlオートクレーブに参考例1で得たF(CF2
2CF2O)nCF2CF2I (nの平均=26)7.69g
(1.69×103モル) 、トリクロロトリフルオロエタ
ン30mlおよび開始剤として t−ブチルパーオキシイ
ソブチレート2.20×102g (1.51×104モル) を
仕込み、ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチ
レン (モル比75/25) 混合ガスで内部空間を置換し
た後、80℃まで昇温した。撹拌下先と同じビニリデン
フルオライド/テトラフルオロエチレン混合ガスを圧入
し、3〜5kg/cm2の圧力範囲で12.56時間重合
を行った。重合首領後、ワックス状の重合生成物 (数平
均分子量5520) 9.33gが得られた。ビニリデンフ
ルオライド/テトラフルオロエチレ共重合ブロックの含
有量は18重量%であった。このブロックコポリマー
は、トリクロロトリフルオロエタン以外にテトラヒドロ
フランに可溶である。 【0058】実施例4 1l オートクレーブに参考例2で得た 【化37】 (m/n=32/68)97g (0.12モル)、トリクロロ
トリフルオロエタン410cc、ジ(3,5,6−トリク
ロロパーフルオロヘキシルパーオキサイド0.14g
(1.94×10-4モル) を加えた後、テトラフルオロエ
チレンガスを圧入し、20℃の温度下、2.0〜1.5k
g/cm2の圧力範囲で4.3時間重合を行った。重合後
トリクロロトリフルオロエタンを留去するとグリース状
の重合生成物(数平均分子量980)118gが得られ
た。PTFEブロツクの含有量は18重量%であった。 【0059】実施例5 実施例1で得たグリース状の重合生成物50g をトリ
クロロトリフルオロエタン225mlに分散させ、50
℃に加熱し、そこにフッ素/窒素混合ガス(フッ素10
重量%)を20〜30ml/minの流量で8.6時間吹き
込み、重合生成物のフッ素化を行った。フッ素化生成物
のIRスペクトルを測定すると、910cm-1の−CF
2CF2Iを示すピークは完全に消えていた。また、エタ
ノールを加えても着色せず、ヨウ素が遊離してこないこ
とを確認した。よって、末端ヨウ素原子がなくなってい
ることがわかる。 【0060】応用例1 実施例5で得たグリース状の重合生成物 (以下 「ブロツ
クグリース」 という。) について下記の試験を行った。
なお、比較として基油にF(CF2CF2CF2O)nCF2
CF3 (n平均=28)、増稠剤にポリテトラフルオロエ
チレン粉末を用い、重量比で67:33(基油:増稠剤)の
割合で混合したグリース(以下非ブロックグリースと称
する)を使用した。 【0061】外観 目視の場合、ブロックグリースが透明だったのに対し、
非ブロックグリースは白色であった。これはブロックグ
リースが基油と増稠剤が化学的に結合したブロツク構造
を有しているため両者の相容性が増し透明度が高くなっ
たためと考えられる。また、偏光顕微鏡(倍率:200
倍)で粒子の大きさを観察してみたが、非ブロックグリ
ースでは直径1〜5×10-5m 程度のポリテトラフル
オロエチレンの粒子が観察されたのに対してブロックグ
リースでは粒子が観察されなかった。このことより、ブ
ロックグリースは非ブロックグリースよりも粒子が細か
く均一であることがわかる。 【0062】粒子沈降性 トリクロロトリフルオロエタンにブロックグリースまた
は非ブロックグリースを加えて、濃度が10重量%のデ
ィスパージョンを作り、静置して粒子の沈降状態を調べ
た。その結果、非ブロックグリースについてはすぐに粒
子が沈降したが、ブロックグリースについては2日間デ
ィスパージョンは安定であった。これより、ブロックグ
リースは非ブロックグリースに比較して、有機液体との
分離は起こりにくいと考えられる。 【0063】潤滑性 コーン・プレート型回転粘度計を用いて、粘度 (剪断応
力−剪断速度曲線) を求めた。ブロックグリースについ
ての結果を第1図に、非ブロックグリースについての結
果を第2図に示す。測定方法は、30℃と80℃の温度
下において、3分間かけて307.2sec-1(非ブロック
グリースの場合は3072sec-1)まで、剪断速度を上げ
た後、0.2分間その剪断速度を維持して、次に3分間
かけて剪断速度を0に下げるという方法である。第1図
および第2図において、ブロックグリース、非ブロック
グリースともに、30℃、80℃の温度下で、 「帰り」
(降温時) の剪断応力の方が 「行き」 (昇温時) の剪断
応力より低くなっており、どちらのグリースもチキソト
ロピー的性質を示していることがわかる。 しかし、非
ブロックグリースについては剪断速度を上げるとほぼ直
線的に剪断応力も上がっていくが、ブロックグリースに
ついては、一旦、極大値を示した後、剪断速度を上げる
につれて、逆に応力は少しずつ下がってくる。また、ブ
ロックグリースについては、かなりはっきりした降伏値
がみられたが、非ブロックグリースについては、明確な
降伏値はみられなかった。 【0064】グリースの性質としては、少々の応力を得
たぐらいでは流れ出さず(降伏値を持ち)、ひとたび流れ
出すと今度は容易に流れるという性質が望ましい。した
がって、ブロックグリースの方が非ブロックグリースよ
り好ましい性質を示しているといえる。 【0065】応用例2 実施例2で得た重合生成物を実施例5と同様の方法によ
り、フッ素化した。このフッ素化した重合生成物70.
0gにF(CF2CF2CF2O)n−CF2CF3 (n平均=
28)なる潤滑油49.8gを加えてグリース組成物を調
製した。このグリース組成物は透明度が高く半固体状で
あった。このグリース組成物は200℃以下の温度で滴
点を持たず、また、200℃、30時間の条件で離油度
を測定した値は0であった。 【0066】実施例6 Cl(CF2CFCl)2Cl20mlにC37O−(CF2
O)24-CF2CF2I10gおよびアゾビスイソブチロニ
トリル0.05gを溶解し、50mlのエアータイト反応
器に仕込み、空気遮断下にアクリル酸メチルを10g注
入した後、攪拌下に70℃に昇温すると10分を経ない
うちに系内が白濁し始め、重合の開始が確認された。3
時間の後に80℃に再昇温後、更に3時間継続し、反応
を終了した。C37O-(CF2O)24-CF2CF2IはC
l(CF2CFCl)2Clに可溶であるが、生成したグリ
ース状乳白色粘稠体はこの溶媒に不溶の成分を多く含い
でいた。一方、C37O-(CF2O)24-CF2CF2Iが
完全に不溶のアセトンには該不溶成分は逆に溶解する。
GPCによりブロックポリマーの生成したことが確認で
きた。この溶液に濾紙を浸漬、乾燥すると撥水撥油性を
示した。
【図面の簡単な説明】 【図1】 ブロックグリースについて30℃と80℃で
剪断応力と剪断速度の関係を示す図である。 【図2】 非ブロックグリースについて30℃と80℃
での剪断応力と剪断速度の関係を示す図である。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.分子内に2種のブロックを有するブロックコポリマ
    ーであって、一方のブロックは、 (1) 【化1】 [式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ0または正
    の整数であって、2≦a+b+c+d+e+f≦200および
    1≦a+c+d+fを満足する数である。]で示される繰り
    返し単位を含むホモポリマー鎖またはブロックポリマー
    鎖ブロックであり、他方のブロックは、テトラフルオロ
    エチレンホモポリマーブロックであり、後者のブロック
    がブロックコポリマー全体の1〜95重量%を占め、ブ
    ロックコポリマー全体の数平均分子量が1×103〜1
    ×106であることを特徴とするブロックコポリマー。 2.分子内に2種のブロックを有するブロックコポリマ
    ーであって、一方のブロックは、 【化2】[式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ0または正
    の整数であって、2≦a+b+c+d+e+f≦200および
    1≦a+c+d+fを満足する数である。]で示される繰り
    返し単位を含むホモポリマー鎖またはブロックポリマー
    鎖ブロックであり、他方のブロックは、テトラフルオロ
    エチレンホモポリマーブロックであり、後者のブロック
    がブロックコポリマー全体の1〜95重量%を占め、ブ
    ロックコポリマー全体の数平均分子量が1×103〜1
    ×106であるブロックコポリマーの製法であって、該
    ブロック(1)から成り、少なくとも一方の分子末端にヨ
    ウ素原子を有する化合物およびラジカル発生源の存在
    下、テトラフルオロエチレンを重合させることを特徴と
    する製法。
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