JP2805461B2 - 建造物の基礎構造及び基礎施工方法 - Google Patents

建造物の基礎構造及び基礎施工方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建造物の基礎施工
方法に関する。更に詳しくは、交換あるいは撤去などに
より不要となった廃コンクリート電柱を使用して、一般
家屋その他の建造物の基礎を施工する方法に関するもの
である。
【0002】
【従来技術】一般家屋その他の建造物を建てる際には、
まず基礎が施工される。基礎は、地業といわれる部分と
基礎スラブといわれる部分から構成されている。すなわ
ち、所要数の杭が適宜間隔で深く打ち込まれ、その上部
に割栗石が所要深さで敷き詰められて地業部分が施工さ
れる。次に、その上に鉄筋を施工し、コンクリートを打
って基礎スラブ部分が形成される。基礎の施工の際に打
ち込まれる杭は、ビルディングなどのように規模の大き
な建造物を施工する場合は、強度に優れ、複数を接続し
ながら深く打ち込むことができる鉄杭またはコンクリー
ト杭が使用されている。また、規模がそれほど大きくな
い一般家屋などを施工する場合は、木杭が使用されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の基
礎施工用の杭には、次のような課題があった。すなわ
ち、鉄杭やコンクリート杭は、強度の点や、接続が可能
で深く打ち込むことができる点において優れているが、
価格が高いため、一般家屋などの施工には使用しにく
い。また、木杭の場合は安価であるので一般家屋などの
施工に好適であるが、複数を接続して深く打ち込むこと
は困難であり、更に腐食しやすいために、強度の点で鉄
杭やコンクリート杭に劣っている。
【0004】本発明は、上記課題を解消するもので、杭
を打ち込むにあたって複数を接続しながら深く打ち込む
ことができ、耐腐食性にも優れ、これにより十分な強度
を備えると共に、安価な杭を使用することにより基礎の
全体的な施工費用も安価にできる、建造物の基礎施工方
法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に講じた本発明の手段は次のとおりである。第1の発明
にあっては、建造物の基礎構造であって、この構造は、
廃コンクリート電柱を杭として使用して形成されている
地業と、当該地業の上部に形成されている基礎スラブ
と、を備えている、建造物の基礎構造である。
【0006】第2の発明にあっては、建造物の基礎構造
であって、この構造は、廃コンクリート電柱を杭として
使用し、廃コンクリート電柱の径小側を先部として打ち
込み、廃コンクリート電柱の基部側の孔口に次の廃コン
クリート電柱の先部を差込んで接続し、所要深さまで順
次打ち込んで形成されている地業と、当該地業の上に形
成されている基礎スラブと、を備えている、建造物の基
礎構造である。
【0007】第3の発明にあっては、最上部に打ち込ま
れている廃コンクリート電柱の鉄筋が露出させてあり、
この鉄筋が基礎スラブの鉄筋に固着してある、第1また
は第2の発明に係る建造物の基礎構造である。
【0008】第4の発明にあっては、建造物の基礎施工
方法であって、この方法は、廃コンクリート電柱を杭と
して使用して地業を形成し、更にその上部に基礎スラブ
を形成して基礎を施工する、建造物の基礎施工方法であ
る。
【0009】第5の発明にあっては、建造物の基礎施工
方法であって、この方法は、廃コンクリート電柱を杭と
して使用し、廃コンクリート電柱の径小側を先部として
打ち込み、廃コンクリート電柱の基部側の孔口に次の廃
コンクリート電柱の先部を差込んで接続し、所要深さま
で順次打ち込んで地業を形成し、更にその上に基礎スラ
ブを形成して基礎を施工する、建造物の基礎施工方法で
ある。
【0010】第6の発明にあっては、最上部に打ち込ま
れている廃コンクリート電柱の鉄筋を露出させ、この鉄
筋を基礎スラブの鉄筋に固着する、第4または第5の発
明に係る建造物の基礎施工方法である。
【0011】廃コンクリート電柱は、長さが約7mのも
のから約17mのものまで様々であり、施工の際の諸条
件により、適宜選択して使用される。また、廃コンクリ
ート電柱となる電柱の形状は上部側が次第に径小となっ
たほぼ円筒状で、内部の孔は全長にわたり設けてあり、
外形と同様に上部側が次第に径小となっている。電柱の
下端部の直径は、一般的なもので約40cm、上端部の
直径は約19cmである。また、電柱の上端部と下端部
には、破壊して取り除くことが可能な頭盤と底盤が設け
てある。なお、電柱の周壁内部には補強のために鉄筋が
施してある。
【0012】(作 用)廃コンクリート電柱を基礎施工
用の杭として使用することにより、廃コンクリート電柱
自体の優れた強度と耐腐食性の作用により、強靱な基礎
の施工が可能となる。廃コンクリート電柱は、基部側の
孔口に先端部を差込んで複数接続することができる。従
って、打ち込みの際に廃コンクリート電柱を順次接続
し、必要な深さに打ち込むことが可能となる。 廃コン
クリート電柱の鉄筋を露出させて基礎スラブの鉄筋に固
着すると、廃コンクリート電柱と基礎スラブがより強固
に一体化し、基礎の全体的な強度も向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明を図面に示した実施例の形
態に基き、更に詳細に説明する。図1は本発明において
杭として使用される廃コンクリート電柱の正面図、図2
は廃コンクリート電柱を使用して基礎を施工した状態を
示す説明図、図3は図2におけるA−A拡大断面図であ
る。符号1はコンクリート製の廃コンクリート電柱で、
上部側が径小となった円筒状である。廃コンクリート電
柱1の先端側には頭盤11が取り付けてあり、基端側に
は底盤12が設けてある。頭盤11と底盤12は、廃コ
ンクリート電柱1の内部の孔10の両端部を塞いでお
り、破壊することによって取り除くことができる。
【0014】廃コンクリート電柱1の側面には、足場ボ
ルトを取着するためのねじ孔13が両面に所要数交互に
設けてある。また、廃コンクリート電柱1の先部寄りの
ねじ孔13aは、下部寄りのねじ孔13と周方向へ90
度位置をずらして設けてある。更に、廃コンクリート電
柱1の先部寄りには、上記ねじ孔13aと周方向へ90
度位置をずらして貫通孔14が設けてある。
【0015】図1、図2、図3を参照して本発明に係る
建造物の基礎施工方法を説明する。 まず、廃コンクリート電柱1の先部に、ガイド部材2
を四箇所に取り付ける。ガイド部材2はL型鋼を所要長
さに切ったもので、貫通孔14に長ボルトB1によって
二個取り付けてあり、それよりやや基部寄りには、ねじ
孔13aにボルトB2によって二個取り付けてある。
【0016】作業機械(穴堀建柱機)を使用して、施
工地の所要箇所にガイド孔を開け、これに、上記廃コン
クリート電柱1を先部を下に向けて建て込む。このと
き、廃コンクリート電柱1はガイド部材2の作用によ
り、周方向に回転せず、まっすぐに打ち込むことができ
る。 廃コンクリート電柱1の基部が地面からやや突出した
状態になるまで打ち込んだら、底盤12を破壊して取り
除いておく。そして、次に建て込む廃コンクリート電柱
1の先部の頭盤11を取り除き、孔10の孔口に先部を
差し込む。また、差し込まれる側の廃コンクリート電柱
1の基部には二箇所に補強用(割れ防止用)の金属製の
バンド3が取り付けられる。
【0017】差し込んだ側の廃コンクリート電柱1を
更に打ち込み、以下同様に接続して所要深さまで打ち込
み、廃コンクリート電柱1の基部が所要長さ地面から突
出した状態になるようにする。そして、廃コンクリート
電柱1の基部を一部破壊して、内部の鉄筋15を放射状
に水平方向へ伸ばしておく。なお、各廃コンクリート電
柱1の孔10は全長にわたり連通しており、この孔10
にコンクリートを流し込んで強度を更に向上させること
ができる。また、コンクリートに代えて孔10に砂利を
充填しておくこともできる。
【0018】施工地において廃コンクリート電柱1の
建て込みが終了したら、地面に割栗石4を敷く。これに
よって、基礎の地業部分が施工されたことになる。 割栗石4の上に基礎スラブを施工するための鉄筋5を
配筋し、この鉄筋5と上記廃コンクリート電柱1の鉄筋
15を溶接により固着する。そして、コンクリート6を
打設して基礎スラブを施工する。
【0019】図4は廃コンクリート電柱を使用して基礎
を施工した他の形態を示す説明図である。本形態におい
ては、擁壁7の下部の基礎の施工状態を示している。廃
コンクリート電柱1は長さ方向に所要本数接続されて地
中に横方向に埋設されており、更に三列並設されてい
る。なお、廃コンクリート電柱1にはガイド部材2は設
けられていない。本実施例の形態では、廃コンクリート
電柱1の孔10が連通しているので、基部側へ若干の下
り勾配をつけて施工することにより、貫通孔14から水
を導入する排水路の機能を持たせることができる。本発
明は図示の実施例の形態に限定されるものではなく、特
許請求の範囲の記載内において種々の変形が可能であ
る。
【0020】
【発明の効果】本発明は上記構成を備え、次の効果を有
する。 (a)廃コンクリート電柱を基礎施工用の杭として使用
することにより、廃コンクリート電柱自体の優れた強度
と耐腐食性の作用により、強靱な基礎の施工が可能とな
る。また、廃コンクリート電柱は基部側の孔口に先端部
を差込んで複数接続することができる。従って、打ち込
みの際の廃コンクリート電柱の接続が比較的容易にで
き、必要な深さに打ち込むことが可能となる。
【0021】(b)廃コンクリート電柱は専用につくら
れた鉄杭やコンクリート杭と比較して安価であるので、
それを杭として使用することにより、基礎施工における
全体的な費用も安価に抑えることができる。また、基礎
施工用の杭としての使用は、廃材である廃コンクリート
電柱の有効な処理手段となり得るものである。
【0022】(c)廃コンクリート電柱の鉄筋を露出さ
せて基礎スラブの鉄筋に固着するようにしたものにあっ
ては、廃コンクリート電柱と基礎スラブがより強固に一
体化し、基礎の全体的な強度も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において杭として使用される廃コンクリ
ート電柱の正面図。
【図2】廃コンクリート電柱を使用して基礎を施工した
状態を示す説明図。
【図3】図2におけるA−A拡大断面図。
【図4】廃コンクリート電柱を使用して基礎を施工した
他の形態を示す説明図。
【符号の説明】
1 廃コンクリート電柱 10 孔 11 頭盤 12 底盤 13、13a ねじ孔 14 貫通孔 15 鉄筋 2 ガイド部材 B1 長ボルト B2 ボルト 3 バンド 4 割栗石 5 鉄筋 6 コンクリート 7 擁壁

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建造物の基礎構造であって、この構造
    は、 廃コンクリート電柱を杭として使用して形成されている
    地業と、 当該地業の上部に形成されている基礎スラブと、を備え
    ていることを特徴とする、 建造物の基礎構造。
  2. 【請求項2】 建造物の基礎構造であって、この構造
    は、 廃コンクリート電柱を杭として使用し、廃コンクリート
    電柱の径小側を先部として打ち込み、廃コンクリート電
    柱の基部側の孔口に次の廃コンクリート電柱の先部を差
    込んで接続し、所要深さまで順次打ち込んで形成されて
    いる地業と、 当該地業の上に形成されている基礎スラブと、を備えて
    いることを特徴とする、 建造物の基礎構造。
  3. 【請求項3】 最上部に打ち込まれている廃コンクリー
    ト電柱の鉄筋が露出させてあり、この鉄筋が基礎スラブ
    の鉄筋に固着してあることを特徴とする、 請求項1または2記載の建造物の基礎構造。
  4. 【請求項4】 建造物の基礎施工方法であって、この方
    法は、 廃コンクリート電柱を杭として使用して地業を形成し、
    更にその上部に基礎スラブを形成して基礎を施工するこ
    とを特徴とする、 建造物の基礎施工方法。
  5. 【請求項5】 建造物の基礎施工方法であって、この方
    法は、 廃コンクリート電柱を杭として使用し、廃コンクリート
    電柱の径小側を先部として打ち込み、廃コンクリート電
    柱の基部側の孔口に次の廃コンクリート電柱の先部を差
    込んで接続し、所要深さまで順次打ち込んで地業を形成
    し、更にその上に基礎スラブを形成して基礎を施工する
    ことを特徴とする、 建造物の基礎施工方法。
  6. 【請求項6】 最上部に打ち込まれている廃コンクリー
    ト電柱の鉄筋を露出させ、この鉄筋を基礎スラブの鉄筋
    に固着することを特徴とする、 請求項4または5記載の建造物の基礎施工方法。
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JP5140136B2 (ja) * 2010-11-01 2013-02-06 三谷セキサン株式会社 地盤改良体、地盤改良方法

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