JP2004197435A - 土と固化剤を用いた改良土塊による基礎の補強受圧部とその施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課 題】基礎形状を小形化して運搬を容易にし、資材コストの低減に加え運搬コストの低減を図ると共に、条件の悪い施工現場においても作業性を向上させることができる一方、基礎形状が小形化しても高い支持力を確保でき、更に現行の基礎と併用すれば、より安定した強度が得られる基礎補強用の受圧部であって、簡易な構成ゆえに施工現場で容易に施工できる補強受圧部を提供すること。
【解決手段】基礎2,3を具備して立設されたフェンス等の支柱1において、該支柱1乃至基礎2,3に作用する水平荷重に対抗させるため、水平荷重を受ける前記基礎2,3の天端部の反対側に、当該基礎2,3が設置されている場所乃至その近傍の土と固化剤を混練,転圧してほぼ一定形状の改良土塊を形成し、該土塊を前記基礎の補強受圧部4に形成したこと。
【選択図】 図1
【解決手段】基礎2,3を具備して立設されたフェンス等の支柱1において、該支柱1乃至基礎2,3に作用する水平荷重に対抗させるため、水平荷重を受ける前記基礎2,3の天端部の反対側に、当該基礎2,3が設置されている場所乃至その近傍の土と固化剤を混練,転圧してほぼ一定形状の改良土塊を形成し、該土塊を前記基礎の補強受圧部4に形成したこと。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフェンス,ガードケーブル,ガードロープ,標識,電柱など様々な形態の支柱の基礎に適用して有用な効果を発揮するようにした改良土塊による前記基礎の補強受圧部に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、高速道路や高速鉄道などと民地の境界には、それぞれの目的でスノーフェンスや防獣フェンスなどの設備が設けられているが、このようなフェンス設備では、風圧や雪圧,衝突,雪崩,落石、或は、設置したロープの展張力などによって設置したフェンスなどが倒れたり傾いたりしないように、基礎を設けた上に支柱を立て、この支柱にフェンス体を取付ける設置態様が採られている。
【0003】
上記の点は、上記フェンス以外のロックネット,ストーンガード,スノーガード,ガードレール,ガードケーブル,遮音壁,標識,街路灯などにおいても同様である。
【0004】
上記の従来設備の支柱では、その基礎を形成するため、既製品のコンクリート基礎を用いる場合には、その基礎を現場に搬入してこの基礎を入れる穴を掘削し、この掘削穴に当該基礎を据え付けて埋め戻している。また、鋼管基礎の場合には、その鋼管を人力又は機械により地中に打込み、更に、場所打ちコンクリート基礎では、必要とする大きさの穴を掘削して型枠を配備し、その中にコンクリートを打設して基礎としている。
【0005】
しかし、上記の従来タイプの基礎は必ずしも平坦地のみに築造,設置される訳ではなく、例えば防獣フェンスやスノーフェンスなどでは山岳地,原野,高所など足場が悪く工事を施工し難い場所が多く、しかも基礎に用いるコンクリート基礎や鋼管基礎は重量も大きいためその取扱いは困難をきわめ、作業性の悪い上記のような場所では多大な労力を必要とするのみならず、危険性も高い。
【0006】
因みに、基礎の大きさやその根入れ深さは、既製コンクリート基礎ではケーソン設計法に基づき基礎底面における鉛直地盤反力度及び当該地盤の許容鉛直支持力度並びに基礎全面における水平地盤反力度及び地盤の許容水平力度(地盤の受動土圧強度)に基づき決定され、また、鋼管基礎では、極限地盤反力法により最大地盤反力度及び受動土圧強度に基づき決定されるが、こられの基礎の形状,寸法が受ける力は地盤の条件により決定されるため、上述のような足場が悪いなどの施工が困難な現場では、土圧等に対する必要十分な耐力を持つ基礎の施工はきわめて困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明では、基礎形状を小形化して運搬を容易にし、資材コストの低減に加え運搬コストの低減を図ると共に、条件の悪い施工現場においても作業性を向上させることができる一方、基礎形状が小形化しても高い支持力を確保でき、更に現行の基礎と併用すれば、より安定した強度が得られる基礎補強用の受圧部であって、簡易な構成ゆえに施工現場で容易に施工できる補強受圧部を提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明補強受圧部の構成は、基礎を具備して立設されたフェンス等の支柱において、該支柱乃至基礎に作用する水平荷重に対抗させるため、水平荷重を受ける前記基礎の天端部の反対側に、当該基礎が設置されている場所乃至その近傍の土と固化剤を混練,転圧してほぼ一定形状の改良土塊を形成し、該土塊を前記基礎の補強受圧部に形成したことを特徴とするものである。
【0009】
本発明においては、前記支柱が控え柱を具備した構造であるときは、当該控え柱の基礎部に対しても、上記構成のほぼ一定形状の改良土塊による補強受圧部を設置する。
【0010】
また、本発明においては、前記支柱がその回りの全方向から水平力を受ける場合には、上記構成の改良土塊による補強受圧部を前記支柱の基礎の全周乃至半周或は一部を根巻きする態様で設置する。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に改良土塊による本発明補強受圧部の実施形態の例について、図を参照して説明する。図1は改良土塊による本発明補強受圧部の第一例の設置形態を説明するための側断面図、図2は図1の平面図、図3は改良土塊による本発明補強受圧部の第二例の側断面図、図4は図3の平面図、図5は改良土塊による本発明補強受圧部をアンカーに適用した例の側断面図、図6,図7はいずれも改良土塊による本発明補強受圧部を支柱の基礎を根巻した態様で設置した例の平面図、図8は改良土塊による本発明補強受圧部を控え柱の基礎部に適用した例の側断面図である。
【0012】
図1において、1は、例えば水平に近い現地盤G1とこの地盤G1に連続した傾斜した地盤G2の境界に沿って設置する、例えばフェンス(図示せず)の支柱で、この支柱1は、従来技術ではフェンス設置位置に打込んだ鋼管基礎2に支持されて立設される。
【0013】
図3は、前記鋼管基礎2に代えて支柱1を支持するために設置されたコンクリート基礎3を示しているが、図1の従来の鋼管基礎2も、図3のコンクリート基礎3も、傾斜地盤G2の側から支柱に対して崩落して来る雪崩や岩石などによる強大な水平力Hoに耐えるには、その基礎2や3の打込み深さの長大化や大型化を不可欠とするが、山間部などの施工環境が悪い場所では、事実上そのような対応は不可能であったことは、先にも述べた通りである。
【0014】
そこで本発明では、上記の従来基礎2,3の問題点を解消するため、従来の基礎2や3における水平荷重を受ける基礎天端部に、その水平荷重の作用方向とは反対方向の側面に、現場の土と一例としてセメント系固化剤を混練攪拌して転圧することによりほぼ一定形状をなす改良土塊を形成し、この土塊を前記基礎2,3の補強受圧部4,5に形成することにより、前記基礎2,3を補強するようにした。本発明において用いる固化剤は、セメント系のほか合成樹脂系固化剤や水ガラス系固化剤など、地盤改良に通常用いられる固化剤であればよい。
【0015】
本発明では、基礎2,3が設置された施工現場において、当該基礎2,3が受ける水平力Hoの作用方向の反対面に接した地盤G1を、改良土塊により形成する補強受圧部4,5の大きさに沿って掘削し、この掘削土に一例としてセメント系固化材を投入し、その土とセメント系固化材とをよく混練攪拌してから転圧することにより改良土塊を形成し、この土塊を本発明の基礎補強用の受圧部4,5に形成する。これによって前記基礎2,3の水平力が作用する方向の反対側面に当該基礎2,3の補強受圧部4,5が形成,設置されるのである。
【0016】
上記のようにして設置される本発明補強受圧部4,5は、基礎2,3の天端部に掛かる水平荷重を吸収分散することとなるので、基礎2,3自体の耐水平荷重を軽減できる。これにより、基礎2,3の長さや大きさを従来より短くしたり、小形化しても、従来の長大,大形の基礎と同等の耐荷重性能を得ることが可能になる。
【0017】
また、改良土塊による本発明補強受圧部4,5は、基礎2,3に対しその施工現場で設置することができ、これにより一体となる基礎2,3と補強受圧部4,5は、全体の投影面積が大きくなるので、基礎2,3に作用する水平荷重に対する水平地盤反力度を高めることができる。
【0018】
更に、本発明補強受圧部4,5は、基礎2,3が設けられる施工現場の土を使用するから、この受圧部4,5を形成するための材料調達が容易になるほか、施工現場に搬入する材料を軽減することができ、しかも、低コストで施工して提供することが可能になる。
【0019】
また、基礎2,3へ掛かる水平荷重は、基礎2,3の天端部に最も大きくかかるため、その荷重の向きとは反対面の当該天端部に小規模な本発明による補強受圧部4,5を設置するだけで、大きな耐力効果が得られる。
【0020】
上記のような効果が得られる改良土塊による本発明補強受圧部は、図5に例示したアンカー6に対しても適用できる。即ち、ワイヤロープ7によって谷側にアンカー6が引張られる水平荷重Hfに対抗するため、アンカーの受圧側に改良土塊による本発明補強受圧部8を設置することによって大きな耐水平荷重強度を発現させることが出来る。
【0021】
また、本発明では、図6,図7に例示するように、鋼管基礎2に対して、本発明補強受圧部41,42を、当該基礎2を根巻きするように設置することにより、耐水平荷重強度を一層高めることができる。ここで、図6は鋼管基礎2の外周をほぼ半周根巻きした態様で本発明受圧部41を設けた例の平面図、図7は鋼管基礎2の全周を根巻きした本発明受圧部42の例である。なお、根巻きの範囲は図6,図7の例に限られず、全周或は半周の範囲外であってもよい。図6,図7の本発明補強受圧部41,42を具備した支柱1は、ガードレールや遮音壁の支柱、或は、街路灯や各種標識用などの支柱として好適である。
【0022】
改良土塊による本発明補強受圧部は、図8にしめすように支柱1にワイヤロープ7による引張り力が作用する支柱1に設けられる控え柱9の基礎部に対して適用してもよい。図8の本発明補強受圧部10は、その内部に控え柱9の根入れ部位を埋設して設けると共に、その控え柱9の先端には鉄板などによる荷重分散板11を設けている。この場合において、鋼管基礎2に対しても本発明補強受圧部4を形成するかどうかは任意であるが、この受圧部4を設けなくても支柱11は大きな水平荷重耐力を示す。
【0023】
実際に従来の鋼管基礎のみと、改良土塊による本発明補強受圧部を設置した鋼管基礎とにおいて、水平荷重を漸時大きくした場合の鋼管基礎の必要な長さを実験により比較したところ、表1の結果が得られた。なお、実験条件は次の通りである。
【0024】
基礎構造 鋼管基礎
鋼管断面 φ190.7mm×t4.5mm(SKT400)
受圧部形状 高さ40cm×幅60cm×厚さ20cm
地盤条件 自然地盤、砂質上
土の単位質量 1.8t/m3
土の内部摩擦角 ψ=30度
壁面摩擦角 δ=−ψ/3−10度
N値=15
水平荷重重心 h=50cm
受圧部が負担する水平荷重P
P=1/2・kp・r・h2・B
kp:受動土圧係数4.143
r:土の単位質量1.8t/m3
h:受圧部高40cm
B:受圧部抵抗幅60cm×3
【0025】
【表1】
【0026】
上記表から判ることは、本発明補強受圧部を設置した基礎では、その受圧部と基礎によって水平荷重を分担して支えるので、地盤に打込む鋼管基礎の長さが短かくて済み、水平力Hoが1000kgf以下では、受圧部がその水平力Hoを支えるため、当該基礎には実質上水平力が作用しない場合と同一視でき、従って鋼管基礎は短かくても足りることが明白である。なお、表において鋼管基礎に水平力Hoが作用しないとみなしても、その鋼管基礎の長さを115〜55cmとしているのは、高さ40cmの本発明受圧部を当該基礎に対して設ける必要があること並びに作用する曲げモーメントを支持する必要があるからである。
【0027】
【発明の効果】
本発明は以上の通りであって、フェンス等の支柱のために設けられる基礎に対し、水平荷重を受ける前記基礎の天端部の反対側に、当該基礎が設置されている場所近傍の土と固化剤を混練,転圧して形成したほぼ一定形状の改良土塊によって前記基礎の補強受圧部を形成し設置したので、次の諸効果が得られる。
【0028】
改良土塊による補強受圧部が基礎の天端部に掛かる水平荷重を吸収分散することとなり、基礎の耐水平荷重を軽減できる。これにより、基礎の長さや大きさを従来より短くしたり、小形化しても、従来の長大,大形の基礎と同等の耐荷重性能を得ることが可能になる。
【0029】
基礎に改良土塊による本発明補強受圧部を設置することにより、基礎と補強受圧部を併せた全体の投影面積が大きくなるので、基礎に作用する水平荷重に対する水平地盤反力度を高めることができる。
【0030】
本発明補強受圧部は、基礎が設けられる施工現場の土を使用するから、材料の調達が容易であるほか、施工現場に搬入する材料を軽減することができ、かつ、安価な製品として提供できる。
【0031】
基礎へ掛かる水平荷重は、基礎の天端部に最も大きくかかるため、その荷重の向きとは反対面の当該天端部に小規模な本発明補強受圧部を設置するだけで、大きな耐力効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明補強受圧部の第一例の設置形態を説明するための側断面図
【図2】図1の平面図
【図3】本発明補強受圧部の第二例の側断面図
【図4】図3の平面図
【図5】本発明補強受圧部をアンカーに適用した例の側断面図
【図6】本発明補強受圧部を支柱の基礎に根巻き態様で設置した例の平面図
【図7】本発明補強受圧部を支柱の基礎に根巻き態様で設置した例の平面図
【図8】本発明補強受圧部を控え柱の基礎部に適用した例の側断面図
【符号の説明】
1 支柱
2 鋼管基礎
3 コンクリート基礎
4,41,42 本発明補強受圧部
G1,G2 地盤
【発明の属する技術分野】
本発明はフェンス,ガードケーブル,ガードロープ,標識,電柱など様々な形態の支柱の基礎に適用して有用な効果を発揮するようにした改良土塊による前記基礎の補強受圧部に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、高速道路や高速鉄道などと民地の境界には、それぞれの目的でスノーフェンスや防獣フェンスなどの設備が設けられているが、このようなフェンス設備では、風圧や雪圧,衝突,雪崩,落石、或は、設置したロープの展張力などによって設置したフェンスなどが倒れたり傾いたりしないように、基礎を設けた上に支柱を立て、この支柱にフェンス体を取付ける設置態様が採られている。
【0003】
上記の点は、上記フェンス以外のロックネット,ストーンガード,スノーガード,ガードレール,ガードケーブル,遮音壁,標識,街路灯などにおいても同様である。
【0004】
上記の従来設備の支柱では、その基礎を形成するため、既製品のコンクリート基礎を用いる場合には、その基礎を現場に搬入してこの基礎を入れる穴を掘削し、この掘削穴に当該基礎を据え付けて埋め戻している。また、鋼管基礎の場合には、その鋼管を人力又は機械により地中に打込み、更に、場所打ちコンクリート基礎では、必要とする大きさの穴を掘削して型枠を配備し、その中にコンクリートを打設して基礎としている。
【0005】
しかし、上記の従来タイプの基礎は必ずしも平坦地のみに築造,設置される訳ではなく、例えば防獣フェンスやスノーフェンスなどでは山岳地,原野,高所など足場が悪く工事を施工し難い場所が多く、しかも基礎に用いるコンクリート基礎や鋼管基礎は重量も大きいためその取扱いは困難をきわめ、作業性の悪い上記のような場所では多大な労力を必要とするのみならず、危険性も高い。
【0006】
因みに、基礎の大きさやその根入れ深さは、既製コンクリート基礎ではケーソン設計法に基づき基礎底面における鉛直地盤反力度及び当該地盤の許容鉛直支持力度並びに基礎全面における水平地盤反力度及び地盤の許容水平力度(地盤の受動土圧強度)に基づき決定され、また、鋼管基礎では、極限地盤反力法により最大地盤反力度及び受動土圧強度に基づき決定されるが、こられの基礎の形状,寸法が受ける力は地盤の条件により決定されるため、上述のような足場が悪いなどの施工が困難な現場では、土圧等に対する必要十分な耐力を持つ基礎の施工はきわめて困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明では、基礎形状を小形化して運搬を容易にし、資材コストの低減に加え運搬コストの低減を図ると共に、条件の悪い施工現場においても作業性を向上させることができる一方、基礎形状が小形化しても高い支持力を確保でき、更に現行の基礎と併用すれば、より安定した強度が得られる基礎補強用の受圧部であって、簡易な構成ゆえに施工現場で容易に施工できる補強受圧部を提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明補強受圧部の構成は、基礎を具備して立設されたフェンス等の支柱において、該支柱乃至基礎に作用する水平荷重に対抗させるため、水平荷重を受ける前記基礎の天端部の反対側に、当該基礎が設置されている場所乃至その近傍の土と固化剤を混練,転圧してほぼ一定形状の改良土塊を形成し、該土塊を前記基礎の補強受圧部に形成したことを特徴とするものである。
【0009】
本発明においては、前記支柱が控え柱を具備した構造であるときは、当該控え柱の基礎部に対しても、上記構成のほぼ一定形状の改良土塊による補強受圧部を設置する。
【0010】
また、本発明においては、前記支柱がその回りの全方向から水平力を受ける場合には、上記構成の改良土塊による補強受圧部を前記支柱の基礎の全周乃至半周或は一部を根巻きする態様で設置する。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に改良土塊による本発明補強受圧部の実施形態の例について、図を参照して説明する。図1は改良土塊による本発明補強受圧部の第一例の設置形態を説明するための側断面図、図2は図1の平面図、図3は改良土塊による本発明補強受圧部の第二例の側断面図、図4は図3の平面図、図5は改良土塊による本発明補強受圧部をアンカーに適用した例の側断面図、図6,図7はいずれも改良土塊による本発明補強受圧部を支柱の基礎を根巻した態様で設置した例の平面図、図8は改良土塊による本発明補強受圧部を控え柱の基礎部に適用した例の側断面図である。
【0012】
図1において、1は、例えば水平に近い現地盤G1とこの地盤G1に連続した傾斜した地盤G2の境界に沿って設置する、例えばフェンス(図示せず)の支柱で、この支柱1は、従来技術ではフェンス設置位置に打込んだ鋼管基礎2に支持されて立設される。
【0013】
図3は、前記鋼管基礎2に代えて支柱1を支持するために設置されたコンクリート基礎3を示しているが、図1の従来の鋼管基礎2も、図3のコンクリート基礎3も、傾斜地盤G2の側から支柱に対して崩落して来る雪崩や岩石などによる強大な水平力Hoに耐えるには、その基礎2や3の打込み深さの長大化や大型化を不可欠とするが、山間部などの施工環境が悪い場所では、事実上そのような対応は不可能であったことは、先にも述べた通りである。
【0014】
そこで本発明では、上記の従来基礎2,3の問題点を解消するため、従来の基礎2や3における水平荷重を受ける基礎天端部に、その水平荷重の作用方向とは反対方向の側面に、現場の土と一例としてセメント系固化剤を混練攪拌して転圧することによりほぼ一定形状をなす改良土塊を形成し、この土塊を前記基礎2,3の補強受圧部4,5に形成することにより、前記基礎2,3を補強するようにした。本発明において用いる固化剤は、セメント系のほか合成樹脂系固化剤や水ガラス系固化剤など、地盤改良に通常用いられる固化剤であればよい。
【0015】
本発明では、基礎2,3が設置された施工現場において、当該基礎2,3が受ける水平力Hoの作用方向の反対面に接した地盤G1を、改良土塊により形成する補強受圧部4,5の大きさに沿って掘削し、この掘削土に一例としてセメント系固化材を投入し、その土とセメント系固化材とをよく混練攪拌してから転圧することにより改良土塊を形成し、この土塊を本発明の基礎補強用の受圧部4,5に形成する。これによって前記基礎2,3の水平力が作用する方向の反対側面に当該基礎2,3の補強受圧部4,5が形成,設置されるのである。
【0016】
上記のようにして設置される本発明補強受圧部4,5は、基礎2,3の天端部に掛かる水平荷重を吸収分散することとなるので、基礎2,3自体の耐水平荷重を軽減できる。これにより、基礎2,3の長さや大きさを従来より短くしたり、小形化しても、従来の長大,大形の基礎と同等の耐荷重性能を得ることが可能になる。
【0017】
また、改良土塊による本発明補強受圧部4,5は、基礎2,3に対しその施工現場で設置することができ、これにより一体となる基礎2,3と補強受圧部4,5は、全体の投影面積が大きくなるので、基礎2,3に作用する水平荷重に対する水平地盤反力度を高めることができる。
【0018】
更に、本発明補強受圧部4,5は、基礎2,3が設けられる施工現場の土を使用するから、この受圧部4,5を形成するための材料調達が容易になるほか、施工現場に搬入する材料を軽減することができ、しかも、低コストで施工して提供することが可能になる。
【0019】
また、基礎2,3へ掛かる水平荷重は、基礎2,3の天端部に最も大きくかかるため、その荷重の向きとは反対面の当該天端部に小規模な本発明による補強受圧部4,5を設置するだけで、大きな耐力効果が得られる。
【0020】
上記のような効果が得られる改良土塊による本発明補強受圧部は、図5に例示したアンカー6に対しても適用できる。即ち、ワイヤロープ7によって谷側にアンカー6が引張られる水平荷重Hfに対抗するため、アンカーの受圧側に改良土塊による本発明補強受圧部8を設置することによって大きな耐水平荷重強度を発現させることが出来る。
【0021】
また、本発明では、図6,図7に例示するように、鋼管基礎2に対して、本発明補強受圧部41,42を、当該基礎2を根巻きするように設置することにより、耐水平荷重強度を一層高めることができる。ここで、図6は鋼管基礎2の外周をほぼ半周根巻きした態様で本発明受圧部41を設けた例の平面図、図7は鋼管基礎2の全周を根巻きした本発明受圧部42の例である。なお、根巻きの範囲は図6,図7の例に限られず、全周或は半周の範囲外であってもよい。図6,図7の本発明補強受圧部41,42を具備した支柱1は、ガードレールや遮音壁の支柱、或は、街路灯や各種標識用などの支柱として好適である。
【0022】
改良土塊による本発明補強受圧部は、図8にしめすように支柱1にワイヤロープ7による引張り力が作用する支柱1に設けられる控え柱9の基礎部に対して適用してもよい。図8の本発明補強受圧部10は、その内部に控え柱9の根入れ部位を埋設して設けると共に、その控え柱9の先端には鉄板などによる荷重分散板11を設けている。この場合において、鋼管基礎2に対しても本発明補強受圧部4を形成するかどうかは任意であるが、この受圧部4を設けなくても支柱11は大きな水平荷重耐力を示す。
【0023】
実際に従来の鋼管基礎のみと、改良土塊による本発明補強受圧部を設置した鋼管基礎とにおいて、水平荷重を漸時大きくした場合の鋼管基礎の必要な長さを実験により比較したところ、表1の結果が得られた。なお、実験条件は次の通りである。
【0024】
基礎構造 鋼管基礎
鋼管断面 φ190.7mm×t4.5mm(SKT400)
受圧部形状 高さ40cm×幅60cm×厚さ20cm
地盤条件 自然地盤、砂質上
土の単位質量 1.8t/m3
土の内部摩擦角 ψ=30度
壁面摩擦角 δ=−ψ/3−10度
N値=15
水平荷重重心 h=50cm
受圧部が負担する水平荷重P
P=1/2・kp・r・h2・B
kp:受動土圧係数4.143
r:土の単位質量1.8t/m3
h:受圧部高40cm
B:受圧部抵抗幅60cm×3
【0025】
【表1】
【0026】
上記表から判ることは、本発明補強受圧部を設置した基礎では、その受圧部と基礎によって水平荷重を分担して支えるので、地盤に打込む鋼管基礎の長さが短かくて済み、水平力Hoが1000kgf以下では、受圧部がその水平力Hoを支えるため、当該基礎には実質上水平力が作用しない場合と同一視でき、従って鋼管基礎は短かくても足りることが明白である。なお、表において鋼管基礎に水平力Hoが作用しないとみなしても、その鋼管基礎の長さを115〜55cmとしているのは、高さ40cmの本発明受圧部を当該基礎に対して設ける必要があること並びに作用する曲げモーメントを支持する必要があるからである。
【0027】
【発明の効果】
本発明は以上の通りであって、フェンス等の支柱のために設けられる基礎に対し、水平荷重を受ける前記基礎の天端部の反対側に、当該基礎が設置されている場所近傍の土と固化剤を混練,転圧して形成したほぼ一定形状の改良土塊によって前記基礎の補強受圧部を形成し設置したので、次の諸効果が得られる。
【0028】
改良土塊による補強受圧部が基礎の天端部に掛かる水平荷重を吸収分散することとなり、基礎の耐水平荷重を軽減できる。これにより、基礎の長さや大きさを従来より短くしたり、小形化しても、従来の長大,大形の基礎と同等の耐荷重性能を得ることが可能になる。
【0029】
基礎に改良土塊による本発明補強受圧部を設置することにより、基礎と補強受圧部を併せた全体の投影面積が大きくなるので、基礎に作用する水平荷重に対する水平地盤反力度を高めることができる。
【0030】
本発明補強受圧部は、基礎が設けられる施工現場の土を使用するから、材料の調達が容易であるほか、施工現場に搬入する材料を軽減することができ、かつ、安価な製品として提供できる。
【0031】
基礎へ掛かる水平荷重は、基礎の天端部に最も大きくかかるため、その荷重の向きとは反対面の当該天端部に小規模な本発明補強受圧部を設置するだけで、大きな耐力効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明補強受圧部の第一例の設置形態を説明するための側断面図
【図2】図1の平面図
【図3】本発明補強受圧部の第二例の側断面図
【図4】図3の平面図
【図5】本発明補強受圧部をアンカーに適用した例の側断面図
【図6】本発明補強受圧部を支柱の基礎に根巻き態様で設置した例の平面図
【図7】本発明補強受圧部を支柱の基礎に根巻き態様で設置した例の平面図
【図8】本発明補強受圧部を控え柱の基礎部に適用した例の側断面図
【符号の説明】
1 支柱
2 鋼管基礎
3 コンクリート基礎
4,41,42 本発明補強受圧部
G1,G2 地盤
Claims (4)
- 基礎を具備して立設されたフェンス等の支柱において、該支柱乃至基礎に作用する水平荷重に対抗させるため、水平荷重を受ける前記基礎の天端部の反対側に、当該基礎が設置されている場所乃至その近傍の土と固化剤を混練,転圧してほぼ一定形状の改良土塊を形成し、該土塊を前記基礎の補強受圧部に形成したことを特徴とする基礎の補強受圧部。
- 支柱が控え柱を具備した構造であるときは、当該控え柱の基礎部に対しても、上記構成によるほぼ一定形状の改良土塊による受圧部を設置した請求項1の補強受圧部。
- 改良土塊による補強受圧部を前記支柱の基礎の全周乃至半周若しくは一部を根巻きする態様で設置した請求項1又は2の補強受圧部。
- 基礎の天端部に作用する水平荷重の作用方向とは反対方向の当該基礎の側面に、その基礎が設けられる現場の土と固化剤を混練して転圧することによりほぼ一定形状の改良土塊を形成し、この土塊を前記基礎の補強受圧部に形成することを特徴とする基礎の補強受圧部の施工方法。
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2002
- 2002-12-19 JP JP2002367934A patent/JP2004197435A/ja active Pending
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