JP2805443B2 - 旋盤の切削物位置決め金具 - Google Patents

旋盤の切削物位置決め金具

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JP2805443B2
JP2805443B2 JP21961794A JP21961794A JP2805443B2 JP 2805443 B2 JP2805443 B2 JP 2805443B2 JP 21961794 A JP21961794 A JP 21961794A JP 21961794 A JP21961794 A JP 21961794A JP 2805443 B2 JP2805443 B2 JP 2805443B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、比較的肉厚もしくは長
さの小さい切削物を旋盤のチャックに固定する際に、切
削物の軸芯が常に旋盤の軸芯に正しく合致するように固
定できる旋盤の切削物位置決め金具の構造に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】旋盤加工に際して、切削物をチャックに
固定する場合には、単純に切削物の外周面をチャックの
爪で掴ませると、切削物の軸芯が旋盤の軸芯に正しく合
致せずに曲がったまで固定されてしまうことがある。そ
のため従来では、図5に示すように、切削物1をチャッ
ク2に固定する場合の軸芯振れを無くすためには、切削
物1の背面1aをチャック2の内面2aに正しく当接さ
せることで切削物1の軸芯Xが旋盤の軸芯Yと正しく合
致するようにセットしてからチャック2の爪3を締めて
切削物1を固定する。
【0003】しかし、このような方法によっても、ただ
単に切削物1の背面1aをチャック2の内面2a方向へ
押し込んだだけでは、なお切削物1の軸芯Xが旋盤の軸
芯Yと正しく合致しない場合が生ずることがある。
【0004】このような問題に対処するため、従来で
は、切削物の背面をチャックの内面に正しく当接させる
ための手段として、切削物をチャック方向に押し付ける
シャンクに首振り自在な圧接部を設けて、この首振り自
在な圧接部を介して切削物をチャックの内面方向へ強く
押し付けることで、切削物の背面がチャックの内面に正
しく当接できるようにした芯出し装置が、例えば実開昭
54−73585号公報により知られている。
【0005】
【発明が解決すべき課題】しかしながら、前記のよう
に、切削物1の軸芯Xを旋盤の軸芯Yと正しく合致させ
るために、切削物1の背面1aをチャック2の内面2a
に正しく当接させることができるのは、切削物1の肉厚
もしくは長さLが大きくて、切削物1の背面1aをチャ
ック2の内面2aに当接してチャック2の爪3を締めて
固定しても、切削物1の切削部分1bがチャック爪3の
外側位置へ充分突出している場合であり、例えば図6の
ように、切削物1の肉厚もしくは長さLが小さく、その
切削物1の背面1aをチャック2の内面2aに当接させ
ると、切削物1の切削部分1bがチャック爪3の内側へ
隠れてしまうような場合には切削ができないという問題
がある。
【0006】このような肉厚もしくは長さLの小さい切
削物1を加工する際には、図7のように、チャック2の
内面2aに切削物1の背面1aと当接する当て金4を設
けて、切削物1の背面1aをこの当て金4に当接するこ
とで切削部分1bをチャック爪3の外側へ突出させると
共に、切削物1の軸芯Xと旋盤の軸芯Yとが正しく合致
するようにセットしてからチャック爪3を締めて切削物
1を固定する。
【0007】しかしながら、前記のような当て金4で
は、軸方向に沿った長さの調節が行えないという問題が
あり、また、常に当て金4は切削物1の直径よりも小さ
いものを使用しなければならず、図7の点線で示すよう
に、切削物1の直径Dが当て金4の直径よりも小さい場
合には、切削物1をチャック爪3で掴むことができない
ので、切削物1の直径Dに応じて各種の大きさの当て金
4を用意しておかなければならないという問題がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
従来のおける旋盤の切削物位置決め金具の問題点を解消
し、比較的肉厚もしくは長さの小さい切削物を旋盤のチ
ャックに固定する際に、切削物の軸芯が常に旋盤の軸芯
に正しく合致した状態で固定できるような切削物位置決
め金具の提供を目的とする。
【0009】本発明は、そのための具体的手段として、
一端にスピンドル穴内に挿入して固定されるテーパー状
楔ロッドを有し、他端にはチャック爪の内側で切削物の
背面と当接する半径方向に伸縮可能なラッパ状の位置決
め用当て金を備えており、前記楔ロッドと当て金とは、
当て金の基端筒状部が前記楔ロッドの大径側端部から突
出する筒形固定軸上に嵌合されることで互いに長さ方向
の位置調整が可能なように接続されており、前記固定軸
は軸方向に沿った複数の割り溝を有し、先端開口部に該
固定軸と当て金基端筒状部との圧着固定用のテーパーボ
ルトが螺着されていることを特徴とする。
【0010】この発明において、チャック爪の内側で切
削物の背面と当接する半径方向に伸縮可能なラッパ状の
位置決め用当て金としては、複数枚のバネ板の一端を夫
々ボス外周面に固定して基端筒状部を形成し、他端を自
由端としてラッパ状に拡開させた形状のものとすること
が好ましい。
【0011】
【作用】本発明に係る切削物位置決め金具は、一方の端
のテーパー状楔ロッドが旋盤のスピンドル穴内に挿入さ
れて固定されると共に、反対側のチャック爪の内側で切
削物の背面と当接する位置決め用当て金は、基端筒状部
が前記楔ロッドの大径側端部から突出する筒形固定軸上
に嵌合されているので、基端筒状部を筒形固定軸上で移
動することにより長さ方向を調整して、当て金の先端を
チャック爪の内側の所望の位置にセットすることができ
る。
【0012】また、切削物の背面と当接する位置決め用
当て金は、先端部が半径方向に伸縮可能なラッパ状に拡
開する形状になっているので、その先端部で直径の大き
い切削物の背面を当接支持することができると共に、切
削物の直径が位置決め用当て金のラッパ状先端部の拡開
した径よりも小さい場合には、まずチャック爪を閉じる
方向へ移動してラッパ状先端部の拡開径を縮小し、切削
物の背面をチャック爪の間からラッパ状先端部方向へ挿
入してから、更にチャック爪を閉じる方向へ移動すれ
ば、切削物の背面が径の縮小したラッパ状先端部で当接
支持されると共に、切削物の外周面がチャック爪で固定
される。
【0013】
【実施例】次に、本発明に係る切削物位置決め金具を、
図面に示す実施例について説明すると、図1に示すよう
に、この切削物位置決め金具は、先端の小径部16aが
旋盤主軸台11のスピンドル穴25内に挿入されて所定
の位置で固定されるテーパー状楔ロッド16と、他方の
先端15aがチャック12の爪13の内側で切削物10
の背面10aと当接するラッパ状の位置決め用当て金1
4とから構成されている。
【0014】前記楔ロッド16と前記当て金14とは、
楔ロッド16の大径部16bから突出させた筒形の固定
軸17上に、当て金14の基端筒状部18が摺動可能に
嵌合されることで互いに長さ方向の位置が調整可能なよ
うに接続されている。
【0015】前記位置決め用当て金14は、図2に示す
ように、複数枚の板バネ15を夫々間隙19を置いて筒
形に束ねることで形成されており、該板バネ15の後端
15bを楔ロッド16の筒形固定軸17上に嵌合される
ボス20の外周面に溶接固定することで前記基端筒状部
18が形成され、先端15aは自由端として夫々半径方
向に伸縮可能なるようにラッパ状に拡開させた形状から
なっている。
【0016】また、前記当て金14の前記基端筒状部1
8が嵌合される楔ロッド16の筒形固定軸17は、図3
に示すように、長さ方向に複数の割り溝21が設けられ
ていと共に、内周面に雌ネジ22が設けられており、こ
の軸の先端に首部にテーパー面24を有するテーパーボ
ルト23が螺着されている。
【0017】この切削物位置決め金具を使用する際は、
図1のように、楔ロッド16の筒形固定軸17における
テーパーボルト23を緩めて、該固定軸17に嵌合され
る当て金14の基端筒状部18が該固定軸17上を自由
に摺動できる状態とし、チャック12の前面から楔ロッ
ド16の先端小径部16aをチャック12のスピンドル
穴15内に挿入して、該楔ロッド16をスピンドル穴2
5内にしっかりと固定する。
【0018】次に、肉厚もしくは長さLの小さい切削物
10の形状に応じて、該切削物10の背面10aを当接
する当て金14の先端15aを、チャック2の前面12
aからどの程度突出させたらよいかを計って、当て金1
4を楔ロッド16の筒形固定軸17に沿って移動させ、
所定の固定位置が決定されたのち、筒形固定軸17の先
端のテーパーボルト23を締め付けることで、該筒形固
定軸17の径を内側から拡張して当て金14の基端筒状
部18内周面へ圧着させ、当て金14を楔ロッド16に
しっかりと接続固定する。
【0019】固定された当て金14の先端15aに、切
削物10の背面10aを正しく当接してチャック爪13
により切削物10の外周面を挾着することにより、肉厚
もしくは長さLの小さい切削物10を、チャック12の
前面12aから隔離した状態でその軸芯Xと旋盤の軸芯
Yとを同軸上に合致させ、チャック爪13により固定す
ることができる。
【0020】
【発明の効果】本発明に係る切削物位置決め金具では、
チャック爪13の内側で切削物10の背面と当接する位
置決め用当て金14を、旋盤のスピンドル穴内に固定さ
れるテーパー状楔ロッド16と長さ方向を調整可能なる
ように接続したので、当て金14の先端15aをチャッ
ク爪13の内側の所望の位置にセットすることにより、
肉厚もしくは長さLの小さい切削物10でも、その背面
10aをこの当て金の先端15aで軸芯Xが旋盤の軸芯
Yと同軸上に合致するように正しく支持して、チャック
爪13により切削可能な状態で固定することができる。
【0021】また、この位置決め用当て金14は、先端
15aが半径方向に伸縮可能なラッパ状に拡開した形状
になっているので、図1のように、直径Dが先端15a
の拡開径よりも大きい切削物10の背面10aを当接支
持できるだけでなく、図4のように、直径Dが先端15
aの拡開径よりも小さい切削物10の背面10aを当接
支持する場合でも、チャック爪13を広げた状態で切削
物10をチャック爪13の内側に位置させてから、チャ
ック爪13を閉じる方向へ移動することで、ラッパ状拡
開径を半径方向に縮小して切削物10を正しく固定する
ことができ、従って、従来のように直径の異なる切削物
に応じて当て金を交換することなく、1つの当て金で各
種の切削物の加工作業に適応することができるという効
果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る切削物位置決め金具の全体の構成
を示す断面図。
【図2】位置決め用当て金の斜視図。
【図3】楔ロッドの斜視図。
【図4】使用状態の一例を示す断面図。
【図5】従来の旋盤による切削工程の一例を示す断面
図。
【図6】同じく従来の旋盤による切削工程の一例を示す
断面図。
【図7】更に従来の旋盤による切削工程の別の一例を示
す断面図。
【符号の説明】
10:切削物 10a:切削物
背面 11:旋盤主軸台 12:チャック 12a:チャック前面 13:チャック
爪 14:当て金 15:板バネ 16:楔ロッド 16a:ロッド
小径部 16b:ロッド大径部 17:筒形固定
軸 18:基端筒状部 19:間隙 20:ボス 21:割り溝 22:雌螺子 23:テーパー
ボルト 25:スピンドル穴

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端にスピンドル穴内に挿入して固定さ
    れるテーパー状楔ロッドを有し、他端にはチャック爪の
    内側で切削物の背面と当接する半径方向に伸縮可能なラ
    ッパ状の位置決め用当て金を備えており、前記楔ロッド
    と当て金とは、当て金の基端筒状部が前記楔ロッドの大
    径側端部から突出する筒形固定軸上に嵌合されることで
    互いに長さ方向の位置調整が可能なように接続されてお
    り、前記固定軸は軸方向に沿った複数の割り溝を有し、
    先端開口部に該固定軸と当て金基端筒状部との圧着固定
    用テーパーボルトが螺着されていることを特徴とする旋
    盤の切削物位置決め金具。
  2. 【請求項2】 チャック爪の内側で切削物の背面と当接
    する半径方向に伸縮可能なラッパ状の位置決め用当て金
    が、複数枚のバネ板の一端を夫々ボス外周面に固定して
    基端筒状部を形成し、他端を自由端としてラッパ状に拡
    開させた形状からなる請求項1の旋盤の切削物位置決め
    金具。
JP21961794A 1994-08-23 1994-08-23 旋盤の切削物位置決め金具 Expired - Lifetime JP2805443B2 (ja)

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