JP2805146B2 - 可逆的記録材料及びその記録方法 - Google Patents

可逆的記録材料及びその記録方法

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JP2805146B2 JP20187497A JP20187497A JP2805146B2 JP 2805146 B2 JP2805146 B2 JP 2805146B2 JP 20187497 A JP20187497 A JP 20187497A JP 20187497 A JP20187497 A JP 20187497A JP 2805146 B2 JP2805146 B2 JP 2805146B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は可逆的記録材料及び
その記録方法に関するもので、特に高分子フィルム、
紙、金属表面、その他の固体表面上に側鎖型高分子液晶
薄膜を形成し、光または熱による書換えを可能とした記
録材料及びこの記録材料に対して階調記録をおこなう記
録方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、事務処理における書類の量は増加
の一途をたどり、省スペース、省資源の観点から紙に代
替し得る記録媒体が望まれている。このような記録媒体
には、薄さ、フレクシビリティー、書換え可能、さらに
レーザー・プリンタあるいはサーマル・プリンタ等によ
り容易に記録が行えるという性格が要求される。 【0003】かかる要求から、種々の記録材料が提案さ
れており、たとえば特開昭60−193691号公報に
はサーマル・ヘッドによって書込み、水または水蒸気に
よって消去するというフルオラン系の顕色反応を利用し
た感熱記録紙が開示されている。しかしながら、この方
法では、記録方法がサーマル・ヘッドに限られるため解
像度に限界があり、また長期保存性にも劣るという問題
を抱えている。 【0004】あるいは特開昭60−180887号公報
には、ブレンド・ポリマーの相分離により生じた均一層
と不均一層との間の光散乱の差にもとづく可逆的な記録
例が開示されているが、相分離域の狭さ及び消去時アニ
ール温度の高さ(200℃から5℃/minで徐冷)を
考えると使用条件に制約がある。 【0005】さらに、特開昭58−125247号公報
には、高分子液晶を利用した書換え可能記録媒体が示さ
れているが、記録あるいは消去のいずれかの過程に電界
印加を必要とし、このため媒体が電極ではさまれたサン
ドイッチ構造をとらねばならず、構造が複雑になる。 【0006】また、シバエフ(Shibaev)らは、
液晶の温度を上げてクリアリング・ポイントよりやや低
い温度に保持したままレーザー光を照射し、これによる
加熱で液晶の方位が乱れて光散乱を生じた状態を記録さ
れた状態とし、その後電界バイアスをかけて再び一方向
に液晶を並べ換えることにより消去する方法を提案して
いる[ポリマー・コミュニケーションズ(Polyme
r Communications)第24号364ペ
ージ(1983年)]。しかし、保温と電界印加を要す
る点で実用性が高いとは言えない。 【0007】また、応用物理学会1986年春期年次大
会4p−B−13および4p−B−14の講演、ならび
にジャパン・ディスプレイ(Japan Displa
y’86 抄録第290ページ)では、コレステリック
相状態の高分子液晶の下地にレーザー光あるいはサーマ
ル・ヘッドにより結晶方位を乱して書込みを行う方法が
発表された。しかし、読出す際に円偏光板が必要であ
り、紙の代替としては実際的ではない。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来技
術においては記録材料の構成が複雑であること、読出し
に際して偏光板等の周辺装置が必要であること、使用温
度が高いこと等の問題点があった。さらに上記いずれの
方法においても階調記録は達成されていない。 【0009】そこで本発明では、取り扱い性、解像度、
長期安定性に優れ、電界印加や読出し用の周辺機器を必
要とせず、さらに階調記録やコピーにも対応できる有用
な可逆的記録材料及びその記録方法を提供することを目
的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の目
的を達成すべく長期にわたり鋭意研究を重ねた結果、あ
る種の高分子液晶が光または熱により可逆的に透明状態
と白濁状態をとり、この種の記録材料として有用である
ことを見出した。 【0011】本発明に係る可逆的記録材料は、このよう
な知見にもとづいて完成されたものであって、等方相転
移温度がガラス転移温度よりも高い側鎖型高分子液晶を
主体とする光熱記録層が基体上に形成されてなり、側鎖
型高分子液晶のポリドメイン構造が凍結された前記光熱
記録層に対し、光あるいは熱を印加することで、等方相
状態に転移され、急冷によりガラス転移温度以下でこの
等方相状態が凍結され、情報が記録されることを特徴と
するものである。 【0012】以上のように構成された本発明に係る可逆
的記録材料は、側鎖型高分子液晶が用いられているた
め、光または熱により可逆的に透明状態と白濁状態をと
り得る。この側鎖型高分子液晶は、側鎖メンゲンの運動
性がフレキシブルなアルキル鎖によって主鎖の運動とデ
カップルされていることにより、電場応答や相転移速度
等の高速化が期待できるからである。 【0013】また、本発明に係る記録方法は、等方相転
移温度がガラス転移温度よりも高い側鎖型高分子液晶を
主体とする光熱記録層が基体上に形成されてなり、前記
光熱記録層の側鎖型高分子液晶のポリドメイン構造が凍
結された可逆的記録材料に対し、パルス幅変調されたレ
ーザ光を照射することにより段階的に等方相を形成し、
これをガラス転移温度以下で凍結し、階調記録すること
を特徴とするものである。 【0014】以上のように構成された本発明に係る記録
方法は、側鎖型高分子液晶を主体とする光熱記録層に対
して記録を行っている。このため、この手法によれば、
容易に階調記録を行うことができる。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係る可逆的記録材
料及びその記録方法の実施の形態を詳細に説明する。 【0016】本発明において、使用される側鎖型高分子
液晶としては、例えば、下記化1に示すような化合物が
挙げられる。しかしながら、本発明において、側鎖型高
分子材料は、これらの化合物に限定されるものではな
く、クリアリング・ポイントがガラス転移点よりも高い
温度域にあって、液晶を示す基(メソゲン基)が側鎖に
あればいかなる化合物であっても良い。 【0017】 【化1】 【0018】これらの側鎖型高分子液晶は、クリアニン
グ・ポイントをガラス転移点よりも高い温度域にもつこ
とが特徴である。ここでクリアニング・ポイントとは、
クロス・ポーラライザーを用いた観測において温度の上
昇につれ液晶相形成により光学的異方性が顕著に増大
し、これにともなって透過光強度がピークに達した後、
等方相への移行により透過光強度が急峻にゼロとなる温
度と定義される。上記側鎖型高分子液晶の分子量は1
0,000〜200,000の範囲であることが望まし
く、これより小さい領域では成膜性が劣り、またこれよ
り大きい領域では成膜時の溶媒に対する溶解性が低いと
いう実用上の問題がある。 【0019】たとえば、化1式中(b)で示したシアノ
ビフェニル系高分子液晶について分子量、熱的性質、お
よび光学的性質を検討した一例を表1にまとめた。 【0020】 【表1】 【0021】これらの分子量の差異は、重合時のモノマ
ーの初期濃度の違いにより生じたものであるが、いずれ
も同じ転移機構を示す。この中で、分子量が29.4×
104のサンプルは上述したような理由により実用上不
適当である。 【0022】次に記録材料の構成であるが、基本的には
ガラス、高分子材料、紙、金属等の適当な基板上に光熱
記録層を形成したものが使用される。これらに対し、さ
らに用途に応じて基板と光熱記録層との間に反射膜とな
る金属蒸着膜や着色フィルム等を設けたり、また光熱記
録層の表面保護の目的で高分子フィルムをラミネートし
てもよい。たとえば、光記録媒体等への応用を念頭にお
いたものでは、図1に示すように、基板1と光熱記録層
3との間に反射膜および熱拡散層としてのアルミニウム
蒸着膜2が必要となり、またサーマル・ヘッドで印字を
行うための記録媒体としての使用を意図したものではヘ
ッドの接触による光熱記録層3上への傷発性を防ぐた
め、保護膜が必要になる。 【0023】また、光熱記録層3には必要に応じて適当
な吸収波長領域をもつ光熱変換用の色素を分散させる。
これにより、効率の良い書込みが可能となる。 【0024】このようにして構成された光熱記録材料に
対する記録方法としては、レーザーによるピットの生
成、レーザー・スキャンによる階調記録、ネガ型マスク
とフラッシュ光による密着露光、サーマル・プリンタに
よる直接記録等が考えられる。 【0025】ここで、レーザーによるピットの生成を例
として記録および消去の手順を説明する。まず上記側鎖
型高分子液晶を適当な溶媒に溶解し、あらかじめアルミ
ニウムを蒸着したガラス基板上に塗布し、乾燥させる。
この状態では光熱記録層はアモルファス状態であり、光
学的に透明である。この材料をガラス転移点とクリアリ
ング・ポイントの中間域のある温度からアニールすると
微小な液晶ドメインが生成して600nm以下の波長の
光が散乱し、若干白濁して見えるようになる。こうして
反射率を低下させた材料にレーザー光が当たると、照射
された部分に分散している色素が光エネルギーを熱エネ
ルギーに変換するので、その部分の温度がクリアリング
・ポイント以上にまで上昇する。すると、液晶ドメイン
が成長して粒径5〜20μmのアモルファス相となるた
め透明となり、散乱の効果が減少する一方で下地のアル
ミニウム膜による反射率が増大する。この際、側鎖型高
分子液晶に対する色素の添加量を調節することにより白
濁した背景と透明な記録部とのコントラストを調整する
ことができる。 【0026】この記録情報は、クリアリング・ポイント
に相当する約120℃の温度からアニールすることによ
り完全に消去できる。この時、数秒以内に元の透明な液
晶ガラス状態が回復され、繰り返し使用が可能となる。 【0027】本発明における記録原理は、図2に示すよ
うな液晶の相転移挙動にもとづいている。過冷却あるい
は過熱が起こらない限り液晶は常により低エネルギー状
態をとる。先ず、液晶ガラス相(A)の温度を上げてゆ
くと、ガラス転移点(Tg)を越えた所で液晶相(B)
となり、さらにクリアリング・ポイント(Tcl)を越
えて不安定液晶相(C)に移行する。しかし、不安定液
晶相(C)は高エネルギー状態であるので、実際には等
方相(D)が達成される。これを再び冷却すると、通常
は等方相(D)から不安定相(E)を経て等方性アモル
ファス相(F)に至る経路をとらずに、不安定相(E)
より安定な液晶相(B)へ、また等方性アモルファス相
(F)はより安定な液晶ガラス相(A)へそれぞれ移行
する。しかし、この側鎖型高分子液晶では、ガラス転移
温度Tgより低い温度では分子運動が凍結するため、等
方性アモルファス相(F)も出現する。液晶ガラス相
(A)は、液晶ドメインの存在により光を散乱させるの
で白濁して見え、一方等方性アモルファス相(F)は透
明である。したがって、この現象を応用した記録過程は
図3(A)に示すようになる。この図3(A)におい
て、液晶ガラス相(A)から液晶相(B)を経て等方相
(D)に至る昇温過程を実施した後、等方相(D)から
不安定相(E)を経て等方性アモルファス相(F)に至
る降温過程を速やかに実施すれば、不安定相(E)から
液晶相(B)への変化を抑制し、等方性を保ったまま光
熱記録層を等方性アモルファス相(F)に凍結させるこ
とができる。一方、消去過程では、図3(B)に示すよ
うに、等方性アモルファス相(F)から不安定相(E)
を経て等方相(D)へ至る昇温過程の途中で、上記不安
定相(E)における保持時間を長くとる(アニールす
る)ことにより、光熱記録層をエネルギー的に安定な液
晶相(B)に移行させ、さらに冷却して液晶状態に凍結
させる。 【0028】本発明の可逆的記録材料は、クリアリング
・ポイントをガラス転移点よりも高い温度域に持つ側鎖
型高分子液晶からなり、これを使用した記録材料は光ま
たは熱を受けて液晶ドメインの構造が変化した際の反射
率の変化をもって情報を記録し、これを室温で保持する
ことができる。すなわち、あらかじめクリアリング・ポ
イントより低い温度からアニールを行って液晶相を形成
(白濁)させた記録層は、光または熱を受けるとその部
分にアモルファス相を形成し透明となる。この記録層を
再びクリアリング・ポイント以上にまで加熱した後アニ
ールを行うと元の液晶状態に戻り、繰返し記録が可能と
なる。 【0029】 【実施例】以下、本発明を具体的な実施例により説明す
るが、本発明がこれら実施例に限定されるものでないこ
とは言うまでもない。 【0030】実施例1 まず、シアノビフェニル系液晶モノマーを合成した。こ
の液晶モノマーの合成方法は次の通りである。 【0031】すなわち、5−ブロモ吉草酸をベンゼン
中、塩化チオニルの存在下にて還流し、この反応混合物
を65℃、0.05mmHgで減圧蒸留して、88%の
収率で5−ブロモ吉草酸クロライドを得た(式1)。こ
の酸クロライドを無水エーテル中で水素化リチウム・ア
ルミニウムを触媒として室温で還元し、この反応混合物
を125℃、20mmHgで減圧蒸留して、74%の収
率で5−ブロモ−1−ペンタノールを得た(式2)。一
方、4−ヒドロキシ−4´−シアノビフェニルに水酸化
カリウム水溶液を添加してカリウム塩を形成させ、エバ
ポレータ及び真空乾燥機で水分を除去した(式3)。こ
のカリウム塩を、あらかじめモレキュラー・シーブで脱
水したメタノールに溶解し、上記5−ブロモ−1−ペン
タノールを徐々に滴下し、12時間還流することによ
り、54%の収率で4−n−(1−ヒドロキシペンチル
オキシ)−4´−シアノビフェニルを合成した(式
4)。反応生成物の薄層クロマトグラムには、目的物質
と原料以外に3個のスポットが認められたため、ヘキサ
ン:エーテル(1:1)を展開溶媒としてシリカゲル・
カラム・クロマトグラフィーにより分離精製を行った。
さらに4−n−(1−ヒドロキシペンチルオキシ)−4
´−シアノビフェニルをアクリル酸クロライドと混合
し、トリエチルアミンの存在下でベンゼン中、室温で反
応させ、アクリレート系液晶モノマーを80%の収率で
得た(式5)。ここまでの収率は、出発物質に対して3
0%であった。以上の反応は、下記化2により表され
る。 【0032】 【化2】 【0033】次に、上記液晶モノマーのラジカル重合に
より側鎖型高分子液晶を合成した。合成に際しては、上
記モノマーをジメチルホルムアミドに溶解し、モノマー
に対して0.5重量%の割合で重合開始剤であるAIB
N(アゾビスイソブチルニトリル)を添加し、ロータリ
ーポンプで脱気したアンプル中にて60℃で48時間反
応させた。重合生成物はメタノール中で2回再沈澱させ
て、未反応モノマーと分離した(収率80〜90%)。
この時、初めのモノマー濃度を適当に選ぶことにより重
合度を変化させることができるが、本実施例ではモノマ
ー濃度を10重量%として分子量3.2×104の側鎖
型高分子液晶を得た。 【0034】このようにして得られた側鎖型のアクリレ
ート系高分子液晶を用いて、アルゴン・レーザーで記
録、ヘリウム・ネオン・レーザーで再生を行うための光
熱記録材料を作成した。すなわち、上記側鎖型高分子液
晶200mgをシクロヘキサン1mlに溶解し、アルゴ
ン・レーザーの波長に相当する514.4nmに吸収を
持ち、かつヘリウム・ネオン・レーザーの波長に相当す
る633nmでは透明なスーダンI(α−フェニル−β
−ナフトール)を側鎖型高分子液晶に対して0〜20%
添加した。この混合液を、あらかじめ0.2μmの厚さ
にアルミニウムを真空蒸着したガラス基板の上にスピン
ナーを用いて0.3〜1.5μmの厚さに塗布し、60
℃で2時間減圧乾燥した。 【0035】スーダンIを5%含有した高分子液晶薄膜
記録材料における液晶ガラス状態(I)とアモルファス
・ガラス状態(II)の反応スペクトルを図4に示す。
これを見ると、514.5nmにおける吸収は大きい
が、633nmにおける吸収はほとんどなく、両点にお
ける反射率には約40%の差が生じている。したがっ
て、記録と再生に上記2種類のレーザーを使い分けるこ
とにより感度の良い記録・再生を行うことができる。 【0036】この材料を用いてアルゴン・レーザー(ビ
ーム径1.5μm、出力15〜60mW、パルス・レー
ト50パルス/秒、パルス幅150nsec、500n
sec、1μsec、10μsec)で書込みを行う
と、パルス幅150μsec〜1μsecではレリーフ
を形成することなく照射部分がアモルファス化され、直
径2μmのピットが形成された(10μsecではレリ
ーフが形成された。)。 【0037】さらに、この材料を120℃からアニール
すると、数秒で元のガラス状態に戻すことができ、繰返
し記録が可能であった。 【0038】スーダンI10重量部を側鎖型高分子液晶
100重量部に対して添加した材料において、立上り感
度0.09J/cm2、20%の反射率変化が生じるし
きいエネルギー密度0.63J/cm2が達成された。 【0039】実施例2 半導体レーザー(780nm)による記録・再生を可能
とするため、側鎖型高分子液晶に赤外線吸収色素(三井
東圧;商品名 PA−1006)を添加した側鎖型高分
子液晶薄膜を実施例1と同様の方法で作成した。ただ
し、本実施例で使用した側鎖型高分子液晶の分子量は
7.1×104とした。また、記録は色素濃度5%以上
の時に行われるが、このままではレリーフが生じやすく
繰返し記録によって表面が荒れるので、これを防止する
ため材料表面に9μm厚のPETフィルムをラミネート
した。これにより側鎖型高分子液晶薄膜に基づく干渉は
消え、反射率変化を確保するための膜厚制御も容易とな
る。 【0040】この材料に対して半導体レーザーで記録・
再生を行うと、ピット径2μm、立上り感度1J/cm
2、20%の反射率変化を生じるしきいエネルギー密度
10J/cm2となり、ラミネートによる感度低下、レ
リーフの形成は見られなかった。再生光として上記赤外
線吸収色素の吸収領域に含まれない波長の光(たとえば
ヘリウム・ネオン・レーザーの633nm)を用いれ
ば、反射率の差が大きくとれる。 【0041】実施例3 密着露光及びレーザー・スキャンによる画像形成の可能
性について検討した。この実験に使用した光熱記録材料
の構成は図1に示したものと同等であり、図5(A)に
示すように、ガラス基板11上に0.2μm厚のアルミ
ニウム蒸着層12を介して膜厚1.2μmの光熱記録層
13を形成した後、図には示していないが実施例2に記
載した方法に準じてラミネートを施した。添加色素とし
てはスーダンIあるいはスーダン・ブルーを使用した。
ただし、使用した側鎖型高分子液晶の分子量は、レーザ
ー・スキャンの場合には3.2×104とし、密着露光
の場合には3.2×104、7.1×104、16.5×
104の3種類とした。 【0042】i)密着露光 密着露光では、図5(A)に示すように、側鎖型高分子
液晶からなる光熱記録材料表面にネガ型のマスク14を
密着し、理想科学工業製のTORAPEN−UP TU
−250のフラッシュ光を用いて露光した。その結果、
図5(B)に示すように、照射部分13aがアモルファ
ス・ガラス相となって記録され、10μm幅の線を充分
に描写できる解像度を持つことがわかった。 【0043】ii)レーザースキャン この実施例に使用した実験系を図6に示す。この図にお
いて、アルゴン・レーザー発振機6から出た光は変調機
7でパルスレート100kHzのパルス変調を受け、そ
の後互いに直角に配置されたガルバノ・ミラー8a及び
8bを用いて主走査方向及び副走査方向にスキャンさ
れ、レンズ9を介して光熱記録材料10に照射される。
レーザー照射条件は、スーダンIを使用した場合、レー
ザー出力100mW、スキャン周波数5Hz、スキャン
時間4分40秒とした。このとき、液晶ガラス相が段階
的にアモルファス・ガラス相に転移することにより、連
続的な階調が得られた。 【0044】以上、実施例3のi)及びii)で使用し
た材料は、アニールにより繰返し記録が可能であった。
また、ネガ型に記録した場合、反射型の投写によりスク
リーンに投影するすることができた。 【0045】実施例4 分子量3.2×104、7.1×104、16.5×10
4の3種類の側鎖型高分子液晶を使用して、取扱いの容
易な紙上の材料の作成を試みた。すなわち、側鎖型高分
子液晶1重量部を5重量部のシクロヘキサンに溶解し、
スーダン・ブルーあるいは赤外線吸収色素を側鎖型高分
子液晶の重量に対して2〜5%の割合で添加したもの
を、あらかじめ0.2μm厚にアルミニウムを蒸着した
A4サイズのPETフィルム(100μm厚)上にコー
ターを用いて塗布後、60℃で2時間減圧乾燥して、5
μm厚の側鎖型高分子液晶薄膜を形成した。この材料に
対して実施例3のi)に記載の方法でフラッシュ光によ
る露光を行うと、両色素とも2%の割合で添加した場合
にコントラスト比が最適値となり、スーダン・ブルーで
は4.1赤外線吸収色素では10であった。また、いず
れの材料もアニールにより繰返し記録が可能であった。 【0046】実施例5 実施例4に記載した材料、及び同様の材料で色素を含ま
ないものについて、通常のサーマル・プリンタによる記
録を行ったところ、加熱部分がアモルファス・ガラス相
となって記録された。ヘッドの接触による材料上への傷
の発生は、材料表面に保護膜を設けることで解決され
た。記録結果は、直接肉眼で見ることができ、コピーを
とることもできる。また、このようにサーマル・ヘッド
の記録を行った場合にも、アニールにより繰返し記録が
可能であった。 【0047】実施例6 実施例4及び実施例5に記載の材料と同様の材料におい
て、アルミニウム反射膜の代わりに下地として着色した
フィルムや紙を介在させた場合にも、側鎖型高分子液晶
の膜厚を10〜100μmとすることでフラッシュ光に
よる画像形成及びサーマルプリンタによる記録を行うこ
とができ、記録部分は下地の色が透けて見えた。アニー
ルにより繰返し記録も可能であった。 【0048】上述した実施例1から実施例6から明らか
なように、本実施例では、従来の液晶の相転移を利用し
た情報記録と比較して、短時間に容易な装置で記録・消
去を行うことができる。すなわち、従来の情報記録とし
てスメチック性を応用したものがあるが、これは、記録
あるいは消去の何れかに電界印加が必要であり、大がか
りな装置を要した。また、従来、コレステリック性を応
用したものは、プレーナー構造をとらせるのに時間がか
かり、読み出しに円偏光板を要する等の取扱い上の不便
さがあった。 【0049】これに対して、上述した本発明にかかる可
逆的記録材料では、ランダムに分子が配向した液晶相を
下地として用い、記録時には時間をかけて液晶を成長さ
せる代わりに瞬時(1μsec以下)にアモルファス・
ガラス化するため応答が早く、アニールによる消去時間
も短い。しかも、液晶ドメインの光散乱を応用している
ために、特定の方向に分子を配向させるための電界印加
の必要がなく材料の構成が簡略になるうえ、コントラス
ト比も約10と高いので直接肉眼で記録結果を見ること
ができる。 【0050】さらに、レーザー・スキャン時にパルス幅
変調を行うことにより、段階的にアモルファス・ガラス
相を形成して階調記録を達成することができる。 【0051】また、例えば、側鎖型のアクリレート系高
分子液晶は、ガラス転移温度が約40℃と常温より高い
ため、通常の保存環境では分子運動が凍結されており、
安定性が高い。 【0052】 【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
係る可逆的記録材料及びその記録方法では、側鎖型高分
子液晶が用いられ、この側鎖型高分子液晶の等方相転移
温度がガラス転移温度よりも高い。このため、本発明に
よれば、取り扱い性、解像度、長期安定性に優れ、電界
印加や読出し用の周辺機器を必要とせず、さらに階調記
録やコピーにも対応できる有用な可逆的記録材料及びそ
の記録方法を提供することができる。したがって、本発
明の可逆的記録材料は、感熱記録紙や光記録媒体として
使用可能であるばかりか、スクリーン投影やコピーも可
能である。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係る可逆的記録材料の構成例を示す断
面図である。 【図2】液晶の自由エネルギーと温度との関係を示す特
性図である 【図3】(A)は可逆的記録材料を用いた記録過程を示
す概念図であり、(B)はこの消去過程を示す概念図で
ある。 【図4】可逆的記録材料の相変化に伴う反射スペクトル
変化を示す特性図である。 【図5】(A)は密着露光における可逆的記録材料の記
録前の状態を示す断面図であり、(B)は同材料の記録
後の状態を示す断面図である。 【図6】レーザー・スキャンによる画像形成装置の一例
を示す構成図である。 【符号の説明】 1 基板、2 アルミニウム蒸着膜、3 光熱記録層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G09F 9/30 378 B41J 3/20 109Z 109A (72)発明者 瀬戸 順悦 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−160847(JP,A) 特開 昭60−179294(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41M 5/36 B41J 2/32

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.等方相転移温度がガラス転移温度よりも高い側鎖型
    高分子液晶を主体とする光熱記録層が基体上に形成され
    てなり、 側鎖型高分子液晶のポリドメイン構造が凍結された前記
    光熱記録層に対し、光あるいは熱を印加することで、等
    方相状態に転移され、急冷によりガラス転移温度以下で
    この等方相状態が凍結され、情報が記録されることを特
    徴とする可逆的記録材料。 2.上記側鎖型高分子液晶の分子量が10000〜20
    0000であることを特徴とする請求項1記載の可逆的
    記録材料。 3.基体上に反射層を介して光熱記録層が形成され、さ
    らにこの光熱記録層を覆って表面保護膜が形成されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の可逆的記録材料。 4.等方相転移温度がガラス転移温度よりも高い側鎖型
    高分子液晶を主体とする光熱記録層が基体上に形成され
    てなり、前記光熱記録層の側鎖型高分子液晶のポリドメ
    イン構造が凍結された可逆的記録材料に対し、 パルス幅変調されたレーザ光を照射することにより段階
    的に等方相を形成し、これをガラス転移温度以下で凍結
    し、階調記録することを特徴とする記録方法。
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