JP2804183B2 - 糖化タンパク質の検出試薬 - Google Patents

糖化タンパク質の検出試薬

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JP2804183B2
JP2804183B2 JP4773391A JP4773391A JP2804183B2 JP 2804183 B2 JP2804183 B2 JP 2804183B2 JP 4773391 A JP4773391 A JP 4773391A JP 4773391 A JP4773391 A JP 4773391A JP 2804183 B2 JP2804183 B2 JP 2804183B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、糖化タンパク質の検出
試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】糖硼酸複合体は、糖、糖アルコールおよ
びその誘導体のようなポリオキシ化合物のうち、シス位
の隣りあった水酸基を有する化合物の水溶液に硼酸塩を
加える事で形成される[化学大辞典6、第363頁、共
立出版、昭和56年10月15日第26刷発行]。
【0003】前述の原理を応用した分離・精製手段とし
て、硼素水素化物の誘導体であるボロン酸を用いたボロ
ン酸アフィニティークロマトグラフィーが広く用いられ
ている。詳しく説明すると、ボロン酸残基は、弱アルカ
リの条件下で水酸イオンと結合し、ボロン酸陰イオン
(pK値8.66)の形となり、シス−ジオール基を有
する化合物と安定なエステルを形成する。そして、pH
を6以下に下げると、ボロン酸陰イオンは減少し、減少
に伴ってシス−ジオール基とのエステルが解離する。図
6にこの荷電変化とシス−ジオール基との反応様式を示
した。ボロン酸アフィニティークロマトグラフィーの応
用に関しては、リボヌクレオチドや酵素基質精製の例が
総説[蛋白質核酸酵素、別冊第22号、第72から75
頁、1980年3月発行]に詳しく紹介されている。ま
た近年、ボロン酸アフィニティークロマトグラフィーを
糖尿病関連物質である糖化ヘモグロビン[グリコヘモグ
ロビン、糖化タンパク質(Glycated Protein)の一種]
の測定に適用した例が報告されている[臨床検査、33,
8,879-884,1989 ]。
【0004】一方、同様の原理を応用した糖化タンパク
質の検出試薬の開発が行われている。例えば、蛍光物質
を標識として結合したボロン酸誘導体が、糖化アルブミ
ンの検出試薬として報告されている[クリニカ シミカ
アクタ(Clinica ChimicaActa),149,13,1985 ]。こ
の報告では、検出する対象を糖化アルブミン、蛍光物質
を標識として結合したボロン酸誘導体をダンシルフェニ
ルボロン酸としている。そして、糖化アルブミンとダン
シルフェニルボロン酸が結合することにより、蛍光波長
が530nmから490nmに変化することを応用し、人血
清中のアルブミンの糖化割合の測定にダンシルフェニル
ボロン酸が有用であると報告している。
【0005】また、蛍光物質を標識として結合したボロ
ン酸誘導体を糖化ヘモグロビンの免疫学的測定法に用い
た報告がある[米国特許4,861,728 ]。この報告では、
検出する対象を糖化ヘモグロビン、蛍光物質を標識とし
て結合したボロン酸誘導体をフィコエリスリンの結合し
たm−アミノフェニルボロン酸誘導体としている。そし
て、糖化ヘモグロビンとフィコエリスリンの結合したm
−アミノフェニルボロン酸誘導体を反応させた後、ヘモ
グロビンに対する抗体の結合した樹脂片と接触させ、樹
脂片上にヘモグロビンを捕捉し、ヘモグロビンの吸収波
長によるヘモグロビン総量測定と蛍光測定による糖化ヘ
モグロビン量測定にてヘモグロビンの糖化割合を測定し
ている。
【0006】以上の報告例に示した蛍光物質を標識とし
て結合したボロン酸誘導体は、糖化タンパク質の特異的
な検出試薬としては非常に有用である。
【0007】しかし、蛍光物質は、温度、蛍光物質濃
度、液性、共存物質の影響を強く受けることが知られて
おり[蛍光・りん光分析法、平木敬三・西川泰治、19
84年11月25日発行、共立出版]、蛍光物質を標識
として結合したボロン酸誘導体も同様に、前述の影響を
受けると考えられるため、検出試薬として使用できない
場合もあると考えられた。加えて、蛍光測定法は、比色
測定法ほど一般的でなく、測定機器の普及が不十分であ
る為、蛍光物質を標識として結合したボロン酸誘導体
は、使用が制限されると考えられた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、これらの
欠点を鑑み、汎用的に使用できる糖化タンパク質の検出
試薬の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、糖化タン
パク質の検出を汎用的に行うべく鋭意研究を重ねている
際に、ボロン酸誘導体を酵素にて標識した本発明の検出
試薬が糖化タンパク質の検出試薬として比色測定法のみ
ならず、蛍光測定法や発光測定法にも使用できることを
見いだし、本発明に到達した。
【0010】すなわち本発明は、 (1) ペルオキシダーゼまたはアルカリフォスファターゼ
より選ばれた1種以上の酵素を標識物として結合したジ
ヒドロキシボリル基を含有するボロン酸誘導体からなる
ことを特徴とする糖化タンパク質の検出試薬。
【0011】(2) ジヒドロキシボリル基を含有するボロ
ン酸誘導体が、アミノフェニルボロン酸誘導体である前
記(1) 項に記載の糖化タンパク質の検出試薬。に関する
ものである。
【0012】本発明の酵素を標識物として結合したボロ
ン酸誘導体からなる糖化タンパク質の検出試薬は、微量
物質の測定に用いられている酵素免疫測定法(EIA)
の酵素標識した抗体と同様に、ボロン酸誘導体に標識し
た酵素の触媒作用を利用する為、比色測定法を感度良く
行うことができる。また、酵素基質を選択することによ
り、蛍光測定法や発光測定法による検出も可能である。
従って、測定の自由度が広くなる。
【0013】以下、本発明について詳細に述べるが、下
記に挙げる物質および物質群に限定されるものではな
い。
【0014】ボロン酸誘導体としては、3−ヒドロキシ
フェニルボロン酸、4−アミノフェニルボロン酸等のジ
ヒドロキシボリル基を含有するボロン酸誘導体を合成し
て用いることができるが、市販のm−アミノフェニルボ
ロン酸が好ましく使用される。
【0015】また、m−アミノフェニルボロン酸のアミ
ノ基に適当な官能基やスペーサー(spacer)を導入し、
アミノフェニルボロン酸誘導体として使用することもで
きる。例えば、無水s−アセチルメルカプトコハク酸を
反応させ、チオール基を導入して使用することができ
る。つまり、m−アミノフェニルボロン酸と無水s−ア
セチルメルカプトコハク酸を脱水ピリジンに懸濁し、室
温で12時間放置することによりチオール基を導入する
ことができる。
【0016】また同様に、無水コハク酸を反応させてカ
ルボキシル基を導入したN−(m−ジヒドロキシボリル
フェニル)スクシナミックアシッド[N−(m-Dihydrox
yborylphenyl) succinamic acid ]を合成して使用する
ことができる。
【0017】さらに、スペーサーとして、アミノ酸、タ
ンパク質、脂肪族ジアミン、脂肪族モノアミノモノカル
ボン酸等を導入したアミノフェニルボロン酸誘導体が使
用できる。つまり、アミノ基を持つスペーサーは、例え
ばグルタルアルデヒド等を用いて、カルボキシル基を持
つスペーサーは、水溶性カルボジイミド等を用いてm−
アミノフェニルボロン酸に導入することができる。
【0018】m−アミノフェニルボロン酸以外のジヒド
ロキシボリル基を含有するボロン酸誘導体も、官能基や
スペーサーを導入して使用することができる。
【0019】ボロン酸誘導体と酵素を結合させるには、
架橋試薬として、例えば、グルタルアルデヒド、過ヨー
ソ酸、N−スクシニミジルマレイミド化合物、水溶性カ
ルボジイミド[1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ
プロピル)カルボジイミド塩酸塩、1−サイクロヘキシ
ル−3−(2−モルフォリノエチル)カルボジイミド・
メソ−p−トルエンスルフォネートなど]等が使用でき
る。
【0020】架橋試薬の使用方法および官能基やスペー
サーの導入方法に関する詳細は、「酵素免疫測定法」
[第3版、第75から151頁、医学書院、1987年
5月15日発行]や「実験と応用 アフィニティークロ
マトグラフィー」[千畑一郎・土佐哲也・松尾雄志、第
30から109頁、講談社サイエンティフィック、19
84年2月20日第4刷発行]などに記載された公知の
手法を参照し、応用することができる。
【0021】標識物として酵素を結合したボロン酸誘導
体の測定は、ボロン酸に標識する酵素の種類により、公
知の測定法を用いることができる。
【0022】つまり、比色測定は、ペルオキシダーゼを
標識した場合、o−フェニレンジアミン、3,3´,
5,5´−テトラメチルベンチジン、4−クロル−1−
ナフトール等を基質として、アルカリフォスファターゼ
を標識した場合、4−ニトロフェニル・フォスフェー
ト、5−ブロモ−4−クロル−3−インドールフォスフ
ェート等を基質として行うことができる。
【0023】蛍光測定は、ペルオキシダーゼを標識した
場合、4−ヒドロキシフェニル酢酸、3−(4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオン酸等を基質として、アルカリ
フォスファターゼを標識した場合、4−メチルウンベリ
フェリルフォスフェート等を基質として行うことができ
る。発光測定は、ペルオキシダーゼを標識した場合、ル
ミノール・過酸化水素系等で行うことができる。詳細
は、前述の「酵素免疫測定法」第56から73頁を参照
し、適用できる。
【0024】
【作用】以上、本発明はペルオキシダーゼまたはアルカ
リフォスファターゼより選ばれた1種以上の酵素を標識
物として結合したジヒドロキシボリル基を含有するボロ
ン酸誘導体を検出試薬として用いたので、糖化タンパク
質の検出が汎用的な比色測定法により容易に行なうこと
ができ、また、酵素基質の選択により、蛍光測定法や発
光測定法による検出も可能な検出試薬を提供できる。
【0025】
【実施例】以下に実施例を示し、さらに詳細な説明をす
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0026】[実施例−1] ヒト血清アルブミンの糖化割合の測定 糖化アルブミンの結合した吸着体の調製 ヒト血清アルブミン50mg(シグマ社製)とD−グル
コース750mgおよび水素化ホウ素ナトリウム4mg
を1.5mlの10mM(Mはモル/lを示す。)リン
酸緩衝液pH8.0に溶かし、37℃で10日間保持し
た。
【0027】このアルブミンを“セファデックスG−2
5”(ファルマシア社製ゲルクロマトグラフィー用担
体)、溶出液0.25M酢酸アンモニウム緩衝液pH
9.0のゲルろ過クロマトグラフィーにて脱塩後、m−
アミノフェニルボロン酸(アルドリッチ社製)をブロム
シアンにて活性化した“セファロース4B”(ファルマ
シア社製クロマトグラフィー用担体)に結合させた吸着
体を用いたアフィニティークロマトグラフィーを溶出液
0.25M酢酸アンモニウム緩衝液pH9.0、2M酢
酸緩衝液pH3.0として行い、溶出液0.25M酢酸
アンモニウム緩衝液pH9.0にて溶出されるアルブミ
ンを非糖化アルブミン分画、2M酢酸緩衝液pH3.0
にて溶出されるアルブミンを糖化アルブミン分画として
分離・精製した。糖化アルブミンの結合した吸着体は、
1N水酸化ナトリウムにてpH8.0とした糖化アルブ
ミン分画を、ブロムシアンにて活性化した“セファロー
ス4B”に添加し、4℃、24時間放置して得た。
【0028】ペルオキシダーゼ標識化フェニルボロン
酸誘導体の調製 西洋わさび由来ペルオキシダーゼ4mg(シグマ社製)
とm−アミノフェニルボロン酸16mgを2mlの0.
5M硼酸緩衝液pH9.0に溶解し、グルタルアルデヒ
ド(25w/w%)、5μlを添加して、室温、48時
間反応させた。さらに、水素化ホウ素ナトリウム、2m
gを添加し、室温、3時間反応させた。
【0029】“セファデックスG−25”、溶出液0.
25M酢酸アンモニウム緩衝液pH9.0のゲルろ過ク
ロマトグラフィーにて脱塩後、糖化アルブミンを結合し
た吸着体でアフィニティークロマトグラフィーを溶出液
0.25M酢酸アンモニウム緩衝液pH9.0、2M酢
酸緩衝液pH3.0として行い、2M酢酸緩衝液pH
3.0にて溶出するペルオキシダーゼ標識化フェニルボ
ロン酸誘導体を分離・精製した(図4)。
【0030】溶出したペルオキシダーゼ標識化フェニル
ボロン酸誘導体は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノ
メタンを添加して、pH8.5とした後、透析チューブ
(セルロースチューブ)に入れ、0.25M酢酸アンモ
ニウム緩衝液pH9.0に対して透析した。
【0031】尚、図4のクロマトグラムのピークの内、
左側のピークはボロン酸誘導体と結合しなかったペルオ
キシダーゼであり、右側のピークが本発明のペルオキシ
ダーゼ標識化フェニルボロン酸誘導体のピークである。
このことは、ペルオキシダーゼそのものを、前述のアフ
ィニティークロマトグラフィーにかけた場合、ペルオキ
シダーゼは吸着体に保持されず溶出することからも裏付
けられる(図5)。
【0032】以上の調製法により得られたペルオキシダ
ーゼ標識化フェニルボロン酸誘導体の分子の簡略モデル
を図1に示す。
【0033】ヒト血清アルブミンの糖化割合の測定 非糖化アルブミンと糖化アルブミンを混合し、ヒト血清
アルブミン濃度が正常人血清中アルブミン濃度である3
g/dl、糖化アルブミンの割合が10,20,40,
60,80,100%である試料を調製した。
【0034】この試料20μlを生理食塩水にて100
倍に希釈し、希釈試料を調製した。
【0035】希釈試料500μlを試験管に分注し、3
7℃の水浴中で5分間加温した。引き続き、抗ヒト血清
アルブミン抗体固定化担体を試験管内に入れ、5分間反
応させ、糖化アルブミンならびに非糖化アルブミンを担
体に捕捉した。担体と液相を分離した後、担体を生理食
塩水にて洗浄し、ペルオキシダーゼ標識化フェニルボロ
ン酸誘導体溶液[2U/ml(Uは酵素活性の単位であ
るユニットを示す。)、0.25M酢酸アンモニウム緩
衝液pH9.0]400μlを添加し、37℃、30分
間反応させた。担体を0.25M酢酸アンモニウム緩衝
液pH9.0にて洗浄後、37℃に加温した1mg/m
lのο−フェニレンジアミン溶液(0.1Mリン酸クエ
ン酸緩衝液pH6.0、5mM過酸化水素含有)500
μlを添加し、37℃、10分間反応させた。10分
後、1N硫酸2.0mlで反応を停止し、492nmの
吸光度を測定した。
【0036】測定の結果を図3に示す。図3に示したと
おり、糖化アルブミンの割合[糖化割合]と試料ブラン
クを差引いた吸光度(△A492nm)の間で直線性に
優れた検量線を作成することができた。測定に必要な時
間は約1時間、必要試料量は20μlであり、短時間、
微量検体でのヒト血清アルブミン糖化割合の測定が可能
となった。
【0037】このように基質として加えたο−フェニレ
ンジアミン溶液がペルオキシダーゼの結合量に応じて発
色するので、糖化割合を精度よく検出できる。
【0038】尚、図2は抗ヒト血清アルブミン固定化担
体に捕捉された糖化アルブミンのシス−ジオール基に本
発明のペルオキシダーゼ標識化フェニルボロン酸誘導体
が結合した状態を示す簡略モデル図である。
【0039】[実施例−2] 蛍光測定法によるヒト血清アルブミン糖化割合の測定 実施例−1に従い、糖化アルブミンの割合が0,50,
100%である試料を調製し、測定操作を行ない、前述
の「酵素免疫測定法」の第61から62頁に従い、ペル
オキシダーゼ標識化フェニルボロン酸誘導体の基質を3
−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸として蛍光
測定した。
【0040】測定の結果、実施例−1と同様に糖化アル
ブミンの割合と蛍光強度との間で直線性に優れた検量線
を作成することができた。
【0041】このように基質として用いた3−(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオン酸が、ペルオキシダーゼ
の結合量に応じて蛍光を発するので、糖化割合を感度よ
く検出できる。
【0042】[実施例−3] ニトロセルロース膜に結合した糖化アルブミンの検出 ニトロセルロース膜と糖化アルブミンの結合 ニトロセルロース膜(東洋瀘紙社製)をドットプレート
(東洋瀘紙社製)に固定し、0.01から100μgま
での糖化アルブミンを段階的に各ドットプレートの穴に
添加し、室温、15分間静置後、吸引することにより、
糖化アルブミンをニトロセルロース膜に吸着させた。続
いて、糖化アルブミンの吸着したニトロセルロース膜を
牛血清アルブミン1g/dl溶液(0.25M酢酸アン
モニウム緩衝液pH9.0)に浸し、室温、30分間静
置した。
【0043】アルカリフォスファターゼ標識化フェニ
ルボロン酸誘導体の調製 アルカリフォスファターゼ(シグマ社製)5mgおよび
m−アミノフェニルボロン酸8mgを2mlの0.5M
硼酸緩衝液pH9.0に溶解し、グルタルアルデヒド
(25w/w%)5μlを添加して、4℃、1時間静置
した。以後、実施例−1のペルオキシダーゼ標識化フェ
ニルボロン酸誘導体と同様のゲルろ過クロマトグラフィ
ーにて脱塩し、アルカリフォスファターゼ標識化フェニ
ルボロン酸誘導体を得た。
【0044】糖化アルブミンの検出 アルカリフォスファターゼ標識化フェニルボロン酸誘導
体溶液(0.5U/ml,0.25M酢酸アンモニウム
緩衝液pH9.0、牛血清アルブミン1g/dl含有)
に糖化アルブミンの吸着したニトロセルロース膜を浸
し、室温、15分間反応させた。0.25M酢酸アンモ
ニウム緩衝液pH9.0にて洗浄後、アルカリフォスフ
ァターゼ基質溶液[5−ブロモ−4−クロル−3−イン
ドールフォスフェイト2.5mg/50μl(N,N−
ジメチルホルムアミド)およびニトロブルーテトラゾリ
ウム5mg/15ml(0.1Mトリス塩酸緩衝液pH
9.5)を混合して調製]に浸して、室温で30分間反
応させた。
【0045】反応の結果、1μg以上の糖化アルブミン
は青色に検出できた。
【0046】[実施例−4] セルロースアセテート膜電気泳動後の糖化タンパク質泳
動像の検出 セルロースアセテート膜電気泳動 ヒトグロブリンおよびヒトヘモグロビンを、実施例−1
の糖化アルブミンの製法に従い糖化タンパク質にした。
また、糖化タンパク質として前述の実施例−1と同様の
糖化アルブミンも用意した。そして、ヒト血清アルブミ
ン、ヒトグロブリン、ヒトヘモグロビンおよび上述した
各糖化タンパク質を試料とし、「臨床検査法提要」[金
原出版、第414から420頁、昭和58年6月30日
発行]に従ってセルロースアセテート膜電気泳動を行っ
た。
【0047】N−(m−ジヒドロキシボリルフェニ
ル)スクシナミックアシッドを用いたペルオキシダーゼ
標識化フェニルボロン酸誘導体の調製 N−(m−ジヒドロキシボリルフェニル)スクシナミッ
クアシッドは、文献[バイオケミストリー(Biochemist
ry),9,22,4396,1970]に従って合成した。つまり、
1.37gのm−アミノフェニルボロン酸と1.1gの
無水コハク酸に脱水ピリジン5mlを加え、室温、12
時間静置した。次に、イオン交換水5mlを添加し、室
温、1時間静置した後、減圧下、水分除去した。脱イオ
ン水10mlに溶解し、塩酸にてpH1.0とし、氷冷
して結晶化させた。詳細は、前記文献に従った。
【0048】ペルオキシダーゼ(東洋紡績株式会社製)
20mgおよびN−(m−ジヒドロキシボリルフェニ
ル)スクシナミックアシッド10mgを脱イオン水2m
lに溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプ
ロピル)カルボジイミド塩酸塩100mgを加えた。1
N塩酸を加えながらpH5.5に保持し、1時間反応さ
せた後、4℃、12時間静置した。以後、実施例−1の
ペルオキシダーゼ標識化フェニルボロン酸誘導体と同様
に分離・精製した。
【0049】タンパク質と糖化タンパク質の検出 タンパク質および糖化タンパク質の検出は、「臨床検査
法提要」に従い、ポンソー3R染色法にて行った。
【0050】糖化タンパク質の検出は、まず、電気泳動
終了後のセルロースアセテート膜を5%トリクロロ酢酸
に2分間浸し、タンパク質および糖化タンパク質をセル
ロースアセテート膜に固定した。
【0051】引き続き、0.25M酢酸アンモニウム緩
衝液pH9.0にて洗浄し、ペルオキシダーゼ標識化フ
ェニルボロン酸誘導体溶液(2.0U/ml、0.25
M酢酸アンモニウム緩衝液pH9.0、牛血清アルブミ
ン1g/dl含有)に浸して、室温、15分間反応させ
た後、0.25M酢酸アンモニウム緩衝液pH9.0に
て洗浄した。洗浄後、ペルオキシダーゼ基質溶液(2.
8mM4−クロル−1−ナフトール、20mM過酸化水
素含有、20mMトリス塩酸緩衝液pH7.4)に浸
し、15分間反応させた。
【0052】反応の結果、糖化タンパク質の泳動像は、
青色に検出されたが、糖化していないタンパク質は検出
されなかった。一方、ポンソー3R染色法では、糖化タ
ンパク質および糖化していないタンパク質の全ての泳動
像が赤色に検出された。
【0053】[実施例−5] 発光検出法によるヒト血清アルブミンの糖化割合の測定 過ヨーソ酸を用いたペルオキシダーゼ標識化フェニル
ボロン酸誘導体の調製 西洋わさび由来ペルオキシダーゼ4mg(シグマ社製)
を1mlの0.05M硼酸緩衝液pH9.0に溶解し、
0.1mlの0.1M過ヨーソ酸ナトリウム水溶液を添
加し、室温で20分間反応させた。さらに、m−アミノ
フェニルボロン酸6mgを0.1mlの0.5M硼酸緩
衝液pH9.0に溶解し、添加して、室温で24時間反
応させた。ペルオキシダーゼ標識化フェニルボロン酸誘
導体の分離・精製は、実施例−1に従って行った。
【0054】糖化アルブミンの発光検出 実施例−3に従い、糖化アルブミンの割合を10,2
5,50,75,100%とした試料をニトロセルロー
ス膜に吸着させた後、実施例−4と同様に調製したペル
オキシダーゼ標識化フェニルボロン酸誘導体溶液を各ド
ットプレートの穴に添加し、室温、15分間反応させ
た。
【0055】0.25M酢酸アンモニウム緩衝液pH
9.0にて洗浄し、牛血清アルブミン1g/dl溶液
(0.25M酢酸アンモニウム緩衝液pH9.0)に1
5分間浸した後、発光試薬溶液(1.25mMルミノー
ル、2.7mM過酸化水素、0.136mMp−ヨード
フェノール含有0.1Mトリス塩酸緩衝液pH8.5)
に浸して、室温、1分間反応させた。発光試薬溶液より
取り出したニトロセルロース膜は、暗室にて、化学発光
検出用感光フィルム“ハイパーフィルム−ECL”(Hy
perfilm-ECL,アマシャム社製)と密着させ、フィルムを
1分間露光した。
【0056】“ハイパーフィルム”は、既知の方法[モ
レキュラークローニング(Molecular cloning,2nd e
d)、コールドスプリングハーバーラボラトリー(Cold S
pring Harbor Laboratory)、第E27頁、1989]
に従い、現像した。現像の結果、試料の吸着したドット
部分は、糖化割合が大きくなるほど強く感光し、黒く現
像された。
【0057】
【発明の効果】このように、本発明の検出試薬によっ
て、汎用的な比色測定法による糖化タンパク質の検出を
可能とした。さらに、酵素基質の選択により、蛍光測定
法や発光測定法による検出も可能である。
【0058】また、該試薬は、ニトロセルロース膜に吸
着した糖化タンパク質やセルロースアセテート膜電気泳
動後の糖化タンパク質の泳動像を特異的に検出すること
も可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】ペルオキシダーゼとm−アミノフェニルボロン
酸をグルタルアルデヒドで結合した場合の本発明の酵素
を標識として結合したボロン酸誘導体(ペルオキシダー
ゼ標識化フェニルボロン酸誘導体)の簡略モデル図を示
す。
【図2】ペルオキシダーゼ標識化フェニルボロン酸誘導
体と抗ヒト血清アルブミン抗体固定化担体に捕捉された
糖化アルブミンが結合した状態を示す簡略モデル図を示
す。
【図3】糖化アルブミンの割合(糖化割合)と吸光度と
の関係を表した標準曲線を示す。
【図4】ペルオキシダーゼ標識化フェニルボロン酸誘導
体の調製法で得られたペルオキシダーゼとペルオキシダ
ーゼ標識化フェニルボロン酸誘導体の混合液を糖化アル
ブミンの結合した吸着体のアフィニティークロマトグラ
フィーにかけた場合のクロマトグラムを示す。
【図5】ペルオキシダーゼを糖化アルブミンの結合した
吸着体のアフィニティークロマトグラフィーにかけた場
合のクロマトグラムを示す。
【図6】ボロン酸残基の液性による荷電変化ならびにシ
ス−ジオール基との反応様式を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12Q 1/42 C12Q 1/28 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペルオキシダーゼまたはアルカリフォス
    ファターゼより選ばれた1種以上の酵素を標識物として
    結合したジヒドロキシボリル基を含有するボロン酸誘導
    体からなることを特徴とする糖化タンパク質の検出試
    薬。
  2. 【請求項2】 ジヒドロキシボリル基を含有するボロン
    酸誘導体が、アミノフェニルボロン酸誘導体である請求
    項1に記載の糖化タンパク質の検出試薬。
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