JP2803316B2 - 4輪駆動式自動車 - Google Patents

4輪駆動式自動車

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JP2803316B2
JP2803316B2 JP2103972A JP10397290A JP2803316B2 JP 2803316 B2 JP2803316 B2 JP 2803316B2 JP 2103972 A JP2103972 A JP 2103972A JP 10397290 A JP10397290 A JP 10397290A JP 2803316 B2 JP2803316 B2 JP 2803316B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、駆動力配分を制御できる4輪駆動式自動車
に関する。
[従来の技術] 4輪駆動式自動車において、従来より、前輪側に伝達
されるトルクと、後輪側に伝達されるトルクの比とを運
転状態に応じて制御するように構成された駆動力伝達装
置が種々知られている。
例えば、センターデフにVCU(ビスカス・カップリン
グ・ユニット)等の差動制限装置を付設して、センター
デフの回転数差を適当に規制するようにした駆動力伝達
装置も開発されている。
そして、このような駆動力伝達装置によって、車両の
走行状態等に応じて、種々の制御を行なうことが考えら
れる。
[発明が解決しようとする課題] ところで、上述したような駆動力伝達装置を用いて、
特に高速走行時に、安定した走行をできるようにしてド
ライバーが運転を容易に行えるようにしたいという要請
がある。
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、高速
時にあっても安定した走行を最大限に行なえるようにし
た、4輪駆動式自動車を提供することを目的としてい
る。
[課題を解決するための手段] このため、本発明の4輪駆動式自動車は、車両に搭載
され前後輪の出力軸間の差動を選択的に制限可能な差動
制限手段と、該差動制限手段を制御する制御手段と、該
車両の走行速度を検出する車速検出手段と、該車両の走
行加速度を検出する加速度検出手段とをそなえ、上記制
御手段が、車両が高速走行しているか否かの判定に用い
る閾値として予め設定された設定車速から、上記差動制
限手段による差動制限の解除に要する時間と上記加速度
検出手段により検出された走行加速度との積を減じた速
度よりも、上記車速検出手段により検出された車速の方
が大きくなったときに、該車両が高速走行していると判
断して、上記差動制限手段による差動制限を解除するこ
とを特徴としている。
[作 用] 制御手段が、高速走行しているか否かの判定に用いる
閾値として予め設定された設定車速から、差動制限手段
による前後輪の出力軸間の差動制限の解除に要する時間
と加速度検出手段により検出された走行加速度との積を
減じた速度よりも、車速検出手段により検出された車速
の方が大きくなったときに、車両が高速走行していると
判断して、上記差動制限手段による差動制限を解除す
る。すなわち、高速時に差動制限を解除する際に、高速
走行の閾値として予め設定された設定車速に実際の車速
が到達する前に、現車速と現加速度とから車速が設定車
速に達する時点を予測して、この時点よりも、差動制限
の解除に要する時間(タイムラグ)だけ以前に、差動制
限の解除を開始することになる。したがって、高速運転
が安定して行なわれるようになる。
[実 施 例] 以下、本発明の実施例について説明すると、第1〜17
図は本発明の一実施例としての4輪駆動式自動車を示す
もので、第1図はその構成を請求項の内容に対応させて
示す制御系の基本ブロック図、第2図はその全体構成
図、第3図はその油圧系の構成を示す説明図、第4図は
その各制御状態の関係を示すブロック図、第5図はその
差動効果を説明するためのグラフ、第6〜13図はいずれ
もその制御系の差動を説明するための問題解析図、第14
〜17図はいずれもその差動を説明するためのグラフであ
る。
本実施例の構成を示す第1〜3図において、符号2は
エンジンであって、同エンジン2の出力はトルクコンバ
ータ4及び自動変速機6を介して出力軸8に伝達され
る。出力軸8の出力は、中間ギア10を介して前輪と後輪
とのエンジントルクを所要の状態に配分する作動装置と
しての遊星歯車式差動装置12に伝達される。
この遊星歯車式差動装置12の出力は、一方において減
速歯車機構19,前輪用の差動歯車装置14を介して車軸17
L,17Rから左右の前輪16、18に伝達(出力)され、他方
においてベベルギヤ機構15,プロペラシャフト20及びベ
ベルギヤ機構21,後輪用の差動歯車装置22を介して車軸2
5L,25Rから左右の後輪24、26に伝達(出力)される。遊
星歯車式差動装置12は、従来周知のものと同様にサンギ
ア12a、同サンギア12aの外方に配置されたプラネタリギ
ア12bと、同プラネタリギア12bの外方に配置されたリン
グギア12cとを備え、プラネタリギア12bを支持するキャ
リア12dに自動変速機6の出力軸8の出力が入力され、
サンギア12aは前輪用出力軸27および減速歯車機構19を
介して前輪用差動歯車装置14に連動され、リングギア12
cは後輪用出力軸29およびベベルギヤ機構15を介してプ
ロペラシャフト20に連動されている。
また、遊星歯車式差動装置14には、その差動を拘束す
ることにより前輪と後輪とのエンジンの出力トルクの配
分を変更しうる駆動力配分制御手段としての油圧多板ク
ラッチ28が付設されている。
すなわち、油圧多板クラッチ28は、サンギヤ12a(又
はリングギア12c)とキャリア12dとの間に介装されてお
り、自身の油圧室に作用される圧力によって摩擦力が変
わり、サンギヤ12a(又はリングギア12c)とキャリヤ12
dとの差動を拘束するようになっている。
したがって、遊星歯車式差動装置12は、油圧多板クラ
ッチ28を完全フリーの状態からロックさせた状態まで適
宜制御することにより、前輪側及び後輪側へ伝達される
トルクを、前輪:後輪が約33:67程度から50:50の間で制
御することができる。具体的には、油圧多板クラッチ28
の油圧室内の圧力がゼロで完全フリーの状態のときは、
前輪:後輪が33:67程度であり(前輪系と後輪系との負
荷バランス等によって異なるが一般的にはこの程度の値
となる)、油圧室内の圧力が設定圧(9kg/cm2)とされ
て油圧多板クラッチ28がロック状態にあって、差動制限
が実質的にゼロとなると、前輪:後輪が50:50となって
直結状態となる。即ち、油圧多板クラッチ28は、前後の
各出力軸間の差動を選択的に制限可能な差動制御手段と
して構成される。
また、符号30はステアリングホイール32の中立位置か
らの回転角度、即ち操舵角θを検出する操舵センサ、
34a,34bはそれぞれ車体の前部および後部に作用する横
方向の加速度GF,GRを検出する横加速度センサ、36は車
体に作用する前後方向の加速度GXを検出する前後加速度
センサ、38はエンジン2のスロットル開度θを検出す
るスロットルセンサ、39はエンジン2のエンジンキース
イッチ、40、42、44、46はそれぞれ左前輪16、右前輪1
8、左後輪26、右後輪28の回転速度を検出する車輪速セ
ンサであり、これらスイッチ及び各センサの出力は制御
手段としてのコントローラ48に入力されている。なお、
コントローラ48には、車輪速センサ40〜46の検出結果に
基づき車速を算出する機能を有するので、車輪速センサ
40〜46及びこの車速算出機能から車速検出手段が構成さ
れる。また、コントローラ48には、この算出された車速
からさらに走行加速度を算出する機能(加速度算出手
段)もそなえられている。
符号50はアンチロックブレーキ装置であり、このアン
チロックブレーキ装置50はブレーキスイッチ50Aと連動
して作動する。つまり、ブレーキペダル51の踏込時にブ
レーキスイッチ50Aがオンとなると、これに連動してア
ンチロックブレーキの作動信号が出力されて、アンチロ
ックブレーキ装置50が作動する。また、アンチロックブ
レーキの作動信号が出力されるときには同時にその状態
を示す信号がコントローラ48に入力されるように構成さ
れている。また、52はコントローラ48の制御信号に基づ
き点灯する警告灯である。
なお、コントローラ48は、図示しないが後述する制御
に必要なCPU、ROM、RAM、インタフェイス等を備えてい
る。
符号54は油圧源、56は同油圧源54と油圧多板クラッチ
28の油圧室との間に介装されてコントローラ48からの制
御信号により制御される圧力制御弁系(以下、圧力制御
弁と略す)である。
また、この自動車には自動変速機がそなえられてお
り、符合110は自動変速機のシフトレバー110Aの選択シ
フトレンジを検出するシフトレバー位置センサ(シフト
レンジ検出手段)であり、この検出情報もコントローラ
48に送られる。
なお、油圧多板クラッチ28に関する油圧系の詳細は第
3図に示してある。
即ち、第3図に示すように、リザーバは自動変速機6
のものを兼用しており、同リザーバ6内のオイルを吸引
するポンプ58はその吐出口からチェック弁60及び圧力制
御弁62を介して油圧多板クラッチ28の油圧室に接続され
ている。圧力制御弁62は、油圧多板クラッチ28の油圧室
とポンプ58とを連通する第1位置と、該油圧室と自動変
速機6のリザーバとを連通する第2位置とをとることが
できる。
チェック弁60と圧力制御弁62との間の通路には設定圧
(9kg/cm2)で開弁してオイルを自動変速機6のリザー
バへ逃すリリーフ弁64が設けられ、またこの通路にはア
キュムレータ66及び圧力スイッチ68が接続されている。
圧力スイッチ68の検出信号はコントローラ48に入力され
ている。なお、ポンプ58を駆動するモータ58aはコント
ローラ48の制御信号により制御される。
次に、エンジン出力制御手段としてのトラクションコ
ントロールシステム101について説明する。すなわち、
エンジン2は、アクセスペダル112の踏み込み量に応じ
て開度が制御される主スロットル弁102をそなえてお
り、アクセルペダル112および連結策等とともにアクセ
ルペダル系エンジン出力調整装置(人為的エンジン出力
調整装置)を構成している。そして、アクセルペダル系
エンジン出力調整装置と独立して制御されるエンジン出
力制御手段としての副スロットル弁103が、エンジン2
の吸気通路内において主スロットル弁102と直列的に設
けられている。この副スロットル弁103はモータにより
駆動され、モータは後輪速センサ44,46前輪速センサ40,
42、エンジン回転数センサ104、エンジン負荷センサ105
等の検知結果にもとづき駆動制御される。
このようなトラクションコントロールシステム101に
よるエンジン出力の制御を、以下、駆動力制御(又はエ
ンジン出力制御)Bと称する。
一方、油圧多板クラッチ28により遊星歯車式作動装置
12の作動を拘束する制御を、以下、駆動力配分制御(又
はセンターデフ制御)Aと称する。
次に、コントローラ48の作動、即ち同コントローラ48
による制御内容を第4〜18図に示すブロック図および問
題解析図(PAD:Problem Analysis Diagram)に従って説
明する。
ところで、上述のセンターデフ制御Aとエンジン出力
制御Bとは、まずセンターデフ制御Aを行なって、更に
制御が必要とされると、センターデフ制御Aに加えて、
エンジン出力制御Bが実行される。ただし、制御の種類
によっては、エンジン出力制御Bは行なわれず、センタ
ーデフ制御Aのみを行なう。
センターデフ制御Aとエンジン出力制御Bとを行なう
場合には、、第6図に示すように、まず、コントローラ
48において、制御に必要なRAM内の所要メモリ領域をク
リアする等の初期処理が行われる(ステップa1)。
ついで、15msごとにサンプリングが行われ(ステップ
a2)、各センサからのデータ入力が行われ(ステップa
3)、センサの出力信号に応じてセンターデフ制御Aを
行うかどうかが判断され(ステップa4)、センターデフ
制御Aを行うべき状況にあると判断した場合は、駆動力
配分制御手段28の圧力制御弁62へ制御信号が出力され、
センターデフ制御A、つまり、油圧室へ油圧が供給され
て油圧多板クラッチ28により遊星歯車式差動装置12の作
動を拘束するセンターデフ制御Aを行なう(ステップa
5)。
ここで、エンジン出力制御Bを行うかどうかの判断
は、後述の各制御種類に応じて決定されるが、各制御に
おいては、センターデフ制御Aにより得られる車両駆動
状態の改善が不足するかどうかがコントローラ48で判断
され(ステップa6)、センターデフ制御Aのみ制御では
不足な場合にエンジン出力制御Bが行われる(ステップ
a7)ように構成されている。
ところで、エンジン出力制御Bはいわゆるトラクショ
ンコントロールであり、コントローラ48からトラクショ
ンコントロールシステム101へ制御信号が出力され、エ
ンジンの出力を所要の状態に減じる。
トラクションコントロールでは、通常、車両が急発進
または急加速してスリップ状態となったとき、後車輪速
センサ44,46と前車輪速センサ40,42とにより前後車輪間
の回転速の差を読み取り、かつエンジン回転数センサ10
4、エンジン負荷センサ105によりエンジン2の運転状態
を検知して演算を行ない、演算結果に対応したモータの
作動を行なわせて、副スロットル弁103を閉方向に駆動
させる。
これにより、エンジンへの流入空気量を制御してエン
ジンの回転トルクをおさえスリップを制止させる。
しかしながら、本実施例ではトラクションコントロー
ルに先立ち、センターデフ制御Aにより前後輪間の駆動
力配分を調整して前後輪の空転を止める作動を行なう。
これにより、車輪が空転するような低摩擦路の走行時
においても車輪の空転を停止させることができる。
また、このセンターデフ制御Aのみで車輪の空転が停
止しない場合、エンジン2の出力を低下させるエンジン
出力制御Bが行なわれ、確実に車輪の空転が停止され
る。
上述の空転の停止は実験により確認されており、フィ
ーリングよく車輪の空転が確実に停止される利点があ
る。
すなわち、第5図は、本実施例における装置の直線状
低摩擦路における実験結果を示しており、同図におい
て、曲線L1は車体の実速度の変化を示し、曲線L2〜L4
空転車輪の車輪速を車速換算して示し、このうち曲線L2
はセンターデフ・フリーの状態のもの、曲線L3はセンタ
ーデフ制御Aを行なった場合のもの、曲線L4はセンター
デフ制御Aのエンジン出力制御Bを併せて行なった場合
のものである。そして、領域はセンターデフ制御Aに
より車輪の空転が抑制された領域、領域はエンジン出
力制御Bにより車輪の空転抑制された領域を示してい
る。
このように、センターデフ制御Aの作動のあとにエン
ジン出力制御Bを作動させ、両制御を併せることによ
り、例えば制御開始後1秒足らずの間に、空転がほとん
ど解消される。
なお、問題解析図(PAD)において、ステップa4,a6に
おけるような判断ステップについては右上端がYESルー
ト、右下端がNOルートを示しており、次の処理が接続さ
れていないものについては、スタートとエンドとを結ぶ
基本ラインに復帰するものとして表示されている。
また、ステップa7のような次処理の指定されていない
ステップについては、そのステップの処理の後、スター
トとエンドとを結ぶ基本ラインに復帰するものとして表
示されている。
ところで、センターデフ制御Aに付加してエンジン出
力制御Bを行なうのは、上述のような車輪の空転に関わ
る制御が主なものとなり、車輪の空転に関わらない制御
の場合、センターデフ制御Aのみを行なう。
本実施例において行なわれる制御は、その優先順位に
記述すると、ブレーキON制御[制御(1)]、高速走行
制御[制御(2)]、駆動力大制御[制御(3)]、ス
ピン制御[制御(4)]、ドリフト制御[制御
(5)]、縦スリップ制御[制御(6)]、直結4WD制
御[制御(7)]があり、これらの制御は第4図に示す
ように、相互に関係している。なお、第4図中のセンタ
ーデフフリーは、ブレーキON制御[制御(1)]および
高速走行制御[制御(2)]に相当する。
このうち、車輪の空転に関わる制御は、スピン制御
[制御(4)]、ドリフト制御[制御(5)]、縦スリ
ップ制御[制御(6)]であり、これらの制御について
は、前述のように、センターデフ制御Aに付加してエン
ジン出力制御Bを行なう場合があるが、他の制御[制御
(1)〜(3),(7)]については、センターデフ制
御Aのみが行なわれる。
以下、これらの各制御(1)〜(7)について順次説
明する。
(1)ブレーキON制御 第1,2図に示すように、本実施例ではブレーキペダル5
1の踏み込みに応じて作動する制動手段(ブレーキ)50B
に、制動手段50Bにおける制動力を所要の状態に制限す
るブレーキ制限装置としてのアンチロックブレーキ装置
50が装備されている。
このアンチロックブレーキ装置50は、ブレーキスイッ
チ50AがON状態になると作動状態となり、このアンチロ
ックブレーキの作動信号を受けたコントローラ48によっ
て、車輪速センサ40,42,44,46の検出信号等に基づいた
制御によってアンチロックブレーキ装置50が作動する。
一方、駆動力配分制御手段としての多板クラッチ28
は、ブレーキペダル51が踏み込まれていないブレーキス
イッチ50AのOFF状態においては、通常の作動を行なう
が、ブレーキペダル51が踏み込まれてブレーキスイッチ
50AがON状態になるとともにコントローラ48から多板ク
ラッチ28へ作動停止信号、つまり、油圧供給停止信号が
出力されて、多板クラッチ28の結合が禁止される。
すなわち、作動停止信号は、多板クラッチ28の油圧室
の油圧が0となるように圧力制御弁56の作動を規制する
もので、ブレーキスイッチ50AのON時には、センターデ
フがフリーとなる。以下、この状態をセンターデフ・フ
リーと称する。このとき、車両は遊星歯車式差動装置12
の駆動力配分を通じて運転されることとなる。
この動作に関して行なわれるコントローラ48内の処理
について説明すると、第7図に示すように、15msごとの
サンプリングによりブレーキスイッチ50Aの状態が入力
され(ステップb1)、ブレーキステップスイッチ50AがO
N状態にあるかどうかが判断される(ステップb2)。ブ
レーキスイッチ50AがON状態にあると、ブレーキ制御フ
ラグが「1」とされる(ステップb3)。
次いで、ブレーキ制御フラグが「1」かどうかが判断
されれ(ステップb4)、ブレーキ制御フラグ「1」のと
きには、ブレーキスイッチ50AがOFF状態になっているか
どうかが判定され(ステップb5)、ブレーキスイッチ50
AがOFF状態になっていれば、ブレーキ制御フラグが
「0」とされる(ステップb6)。
次いで、ブレーキ制御フラグが「1」かとうかの判断
(ステップb7)の後、ブレーキ制御フラグが「1」のと
きには、センターデフ・フリーの制御(ステップb8)と
して、多板クラッチ28の結合作動を解除させる解除信号
の出力が、コントローラ48から多板クラッチの圧力制御
弁56へ向け行なわれる。
そして、トラクションコントロールシステム101を非
作動状態にする処理(ステップb9)が行なわれる。
したがって、ブレーキスイッチ50AがON状態にある
と、ステップb1,b2,b3,b4,b5,b7,b8,b9の順に進んで、
センターデフ・フリー制御Aと、トラクションコントロ
ールシステム101を非作動状態にする処理とが行なわれ
る。
一方、ブレーキスイッチ50AがOFF状態に切り替わる
と、ステップb1,b2,b4,b5,b6の順に進んで、ステップb6
で、ブレーキ制御フラグが「0」に切り換えられる。
これにより、センターデフ・フリーの状態(ステップ
b8)、トラクションコントロールオフの状態(ステップ
b9)が解除され、遊星歯車式差動装置12および多板クラ
ッチ28が通常の作動に復帰する。
上述のような制御により、アンチロックブレーキシス
テム101の作動時には、駆動力配分制御手段28の作動を
制限して、制御の干渉を回避することができ、アンチロ
ックブレーキシステム101の性能が十分に発揮される。
すなわち、駆動力配分制御手段12,28は、現在の走行
状態に対応して駆動力配分の制御を行なうため、制動に
適した配分状態とならない場合が予想され、危険回避上
も好ましくないが、このブレーキON制御を行なうことに
より、制動が優先されるため、安全性が十分に確保され
る。
(2)高速走行制御 第1図に示すように、本実施例では、車速検出手段と
して車輪速センサ42,40,44,46が各車輪16,18,24,26に付
設されており、これらの出力信号として自動車の走行速
度がコントローラ48へ入力されるようになっている。
コントローラ48は駆動力配分制御手段としての多板ク
ラッチ28および圧力制御弁56へ作動信号を出力する。
ところで、自動車の高速走行時に多板クラッチ28を作
動させたままで低速走行時と同様に走行すると、前輪側
へトルクが流れ、ひきずられる状態となって、動力循環
を招来する。
このため、駆動力配分制御手段としての多板クラッチ
28の作動を停止させ、前述のセンターデフ・フリーの状
態にして後輪側への配分トルクを増大することが望まし
い。
また、高速走行時には多板クラッチ28内の作動油によ
り遠心油圧が発生し、所定以上の高速域では前述のセン
ターデフ・フリーの状態に制御できなくなって、センタ
ーデフはある程度拘束された状態になる。
このような状態において、安定した高速走行を行なう
ため、また、高速を脱した場合に他の制御を遅滞なく行
なうために、他板クラッチ28は油圧を供給しないセンタ
ーデフ・フリーの状態にしておくことが望ましい。
したがって、本制御は、高速走行時にセンターデフ・
フリーとすることを基本としている。
そして、このセンターデフ・フリーへの移行は、車速
Vが所定高速V0に確実に達すると判断される時点で予め
行なわれる。
すなわち、 V0:遠心油圧によりセンターデフ・フリーにならない速
度(定数)(この車速は、高速走行しているか否かの判
定に用いる閾値として予め設定される設定車速である) T0:直径4WDからセンターデフ・フリー(即ち、差動制限
解除)になるのに要する時間(定数) V :車速 a :車体加速度 とすると、 車速Vが所定高速V0に達することが確実な速度V′
は、 V′=V0−T0×a であり、V>V′となったときにセンターデフ・フリー
とすればよい。
したがって、この時点で、多板クラッチ28の作動解除
信号がコントローラから圧力制御弁56へ出力される。
これにより、デフロック(差動制限)からデフフリー
(差動制限解除)への切替のタイムラグをも考慮に入れ
てデフフリーへの制御を開始することで、デフフリーが
必要であると判断した時点から実際にデフフリーが実行
されるまでの間に生じる油圧多板クラッチ(差動制限手
段)28による前後輪間でのひきずり(動力循環)を回避
することができて、高速走行安定性や、延いては、燃費
低下の防止を図ることができる。
この動作に関し、コントローラ48内の処理について説
明すると、第8図に示すように、15msごとのサンプリン
グにより車輪速センサ42,40,44,46の出力信号が入力さ
れ(ステップf1)、車速Viが演算されるとともに、加速
度aがa=(Vi−Vi-1)/T により算出される(ステップf2)。
ここで、 Viは今回のサンプリングによる車速、 Vi-1は前回のサンプリングによる車速、 Tはサンプリング時間(15ms) である。
ついで、前述の値V′が算出され(ステップf3)、現
在の車速ViがV′より大きいかどうか判断される(ステ
ップf4)。
Vi>V′の場合には、高速制御フラグが「1」とされ
(ステップf5)、V′をV″として記憶する(ステップ
f6)。
ついで、高速制御フラグが「1」であるかどうかを判
断し(ステップf7)、高速制御フラグが「1」であれ
ば、Vが前回のV″より小さいかどうかを判断する(ス
テップf8)。
車速が減少していればVが前回のV″より小さくなる
ので、ステップf9へ進み、車速が減少していなければV
が前回のV″より小さくないので、ステップf14へ進
む。
ステップf9へ進むと、タイマセットされているか判断
し、タイマセットされていなければタイマセットし(ス
テップf10)、タイマセットされていればタイマの値が
ある値を超えているか判断する(ステップf11)。そし
て、タイマの値がある値を超えていれば、高速制御フラ
グを「0」として(ステップf12)、タイマをクリヤす
る(ステップf13)。
一方、ステップf14へ進んだ場合も、タイマをクリヤ
する。
さらに、ステップf15では、高速制御フラグが「1」
であるかどうかの判断をして、高速制御フラグが「1」
であれば、センターデフをフリーにする信号(つまり、
多板クラッチ28の結合作動解除信号)の出力が行なわれ
る(ステップf16)。
したがって、加速走行時に、車速ViがV′より大きく
なると、ステップf4から、ステップf5,f6,f7,f8,f14と
進んで、ステップf14でタイマリセットし、さらに、ス
テップf15,f16と進んで、ステップf16で、センターデフ
をフリーとする。
このような制御は、加速走行している間、続行され
る。この場合において、高速走行を続ける間、ステップ
f14よりタイマがクリアされ、リセットされ続ける。
そして、車速Vが減じ、前回のV″よりVが小さくな
ると、ステップf8でYESルートをとり、ステップf9を介
しステップf10でタイマがリセットされる。
このとき、はじめは、タイマはある値より大きくない
ため、ステップf11からf15,f16と進んで、高速制御フラ
グを「0」とすることなく、センターデフ・フリーの状
態が継続される。
そして、ステップf11において、タイマのカウント値
が所定のある値を超えるまでこのような状態が続けら
れ、タイマのカウント値が所定のある値を超えると高速
制御フラグが「0」に変更され(ステップf12)、タイ
マがクリアされ(ステップf13)て、センターデフが通
常の作動状態に復帰する。
ところで、上述のタイマカウントは、チャタリングの
防止のためであり、所定時間以上減速状態にあることを
確認した場合に高速走行制御をキャンセルすることを意
図している。
このチャタリングの防止は、高速制御フラグを「1」
とする車速を例えば140km/hとし、高速制御フラグを
「0」に復帰させる車速を100km/hとして、高速制御に
移行する車速と解除する車速とに差を設けるようにし
て、行なってもよい。
なお、本制御において、エンジン出力制御Bは行なわ
ない。
このような高速制御を行なうことにより、前輪側へト
ルクがひきずられる状況が回避され、動力循環が回避さ
れて、最高速走行を向上させることができる。
また、高速走行状態を脱したとき、センターデフ等の
各種制御を遅滞なく行なえる。
(3)駆動力大制御 第2図に示すように、本実施例では、シフトレンジ検
出手段としてシフトレバー位置センサ110が装備される
とともに、エンジン2のスロットル開度θを検出する
スロットルセンサ38が設けられており、これらの検出信
号がコントローラ48へ入力されるようになっている。
コントローラ48は駆動力配分制御手段としての多板ク
ラッチ28および圧力制御弁56へ作動信号を出力する。
ところで、車両の走行時において、ドライバーが大き
な駆動力を欲しいと思っているとき、駆動力配分制御手
段の装備にかかわらず、直結4輪駆動状態で運転を行な
うことが望ましい。
したがって、本制御は、ドライバーが大きい駆動力を
欲しいときとして、シフトレンジがLレンジまたはRレ
ンジにある場合であって、スロットル開度がキックダウ
ン領域にある場合を選択し、この場合において、多板ク
ラッチ28を完全結合状態とすることにより、遊星歯車式
差動装置12の差動を許容しないようにして、直結4輪駆
動状態にすることを内容としている。
この制御に関し、コントローラ48内の処理について説
明すると、第9図に示すように、15msごとのサンプリン
グによりシフトレンジ検出手段としてのシフトレバー位
置センサ110とスロットルセンサ38からの入力信号が読
み込まれ(ステップd1)、シフトレバーがLレンジまた
はRレンジにあるかどうか(ステップ7d2)、スロット
ル開度がキックダウンの領域にあるかどうか(ステップ
d3)の各条件がそれぞれ判断される。
両条件を満たす場合には、駆動力大制御フラグが
「1」に変更され(ステップd4)、ステップd5,d6,d10
を経て、ステップd11に進んで、多板クラッチ28を完全
結合状態とする直結4WD制御が行なわれる。これは、コ
ントローラ48から圧力制御弁56へ油圧供給位置への作動
信号を出力し、油圧室の油圧を高めることにより行なわ
れる。
このときには、駆動力を減じる制御であるトラクショ
ンコントロール(エンジン出力制御B)は解除される
(ステップd12)。
一方、運転状態が変わって、シフトレンジがLレンジ
でもRレンジでもなくなった場合はステップd6からステ
ップd7へ進み、スロットル開度が50%以下になった場合
には、ステップd8からステップd9へ進んで、各ステップ
d7,d9で、駆動力大制御フラグを「0」に復帰する。こ
の場合、ステップs11,s12へは進まないので、直結4WD状
態が解除され、駆動力大制御状態から通常の状態へ復帰
する。
上述のような制御により、ドライバーが大きな駆動力
を欲するときは、直結4WD走行となって、各輪を通じて
確実に駆動力が発揮されるようになり、所望の動力性能
が得られる。
(4)スピン制御 本制御は、シフトレバー位置センサ110の出力信号お
よび操舵角センサ30の出力信号に基づき、シフトレバー
がLレンジまたはRレンジになく、且つ、スピン条件が
成立していることを条件に行なわれる。
スピン条件は、ハンドル角θの角速度θ′とヨー
角加速度とから走行状態が所要の領域にあるかどうかを
判断する。
上述の条件が満足される場合、前述の駆動力配分制御
(センターデフ制御)Aによって、センターデフの作動
を拘束するとともに、エンジン出力制御Bのフィードバ
ック制御が行なわれる。
本制御によれば、スピンが回避され、運転不能が回避
される。
また、スピン条件不成立、且つ、車輪空転条件不成立
であるとともに、シフトレンジがR,Lレンジにないか横
加速度に関する条件が不成立であるかの状態になると、
本制御は解除される。
(5)ドリフト制御 本制御は、レバー位置センサ110の出力信号および横
加速度センサ34a,34bの検出信号に基づき、シフトレン
ジがR,Lレンジにないこと、および横加速度において所
要の条件が成立していることを条件に行なわれる。
本制御では、センターデフ制御Aが解除され、エンジ
ン出力制御Bが、フィードバック制御により行なわれ
る。
本制御によれば、ドリフトを検知、運転不能を回避す
ることができる。
本制御は、シフトレンジがR,Lレンジである場合、又
は、横加速度において所要の条件が不成立になるととも
に主スロットル弁102の開度と副スロットル弁103の開度
とが一致した場合に、解除される。
(6)縦スリップ制御 本制御は、レバー位置センサ110の出力信号およびス
ロットルセンサ38および車輪速センサ40,42,44,46の検
出信号に基づき、シフトレンジがR,Lレンジでないこ
と、エンジンの運転がアイドル状態でないこと、車輪の
空転条件が成立していることという条件をいずれも満た
しているときに行なわれる。
本制御では、センターデフ制御Aが行なわれるととも
にエンジン出力制御Bも行なわれる。
本制御によれば、前輪速と後輪速との差により車輪の
空転を検知し、運転性を向上させることができる。
本制御は、スピン条件が不成立であることおよび空転
条件が不成立であることを満たすとともに、アイドル状
態であるか、シフトレンジがR,Lレンジであるか、ハン
ドル角θが大きいかのいずれかが満たされたときに解
除される。
(7)直結4WD準備制御 第2図に示すように、本実施例では、遊星歯車式差動
装置12を拘束して駆動力配分状態を制御するため、油圧
式多板クラッチ28が装備されているが、他の特別な制御
(1)〜(6)を行なわない通常の走行時には多板クラ
ッチ28は完全に結合しない中間結合状態に制御される。
ところで、この中間結合に際し、多板クラッチ28内の
作動油には、車両走行に伴い遠心油圧が発生する。
また、多板クラッチ28内の摩擦数(クラッチディス
ク)はリターンスプリングにより付勢されており、この
リターンスプリング力により遠心油圧に抗して中間結合
状態を実現する。
ところで、多板クラッチ28内の遠心油圧P1は、第14図
のグラフに示すように、車速Vの増加に対して高まる特
性を持っており、車速Vによってはリターンスプリング
力FSより大きい場合もあるし、小さい場合もある。
したがって、多板クラッチ28は、遠心油圧P1がリター
ンスプリング力FSより大きい場合、直結状態になり、小
さい場合、センターデフ・フリーの状態になる。
このように車速Vに対応してセンターデフ・フリーと
なる油圧が異なるため、圧力制御弁56における制御油圧
を一定にした場合には、定車速時にはセンターデフ・フ
リーになるものの、車速が上昇すると直結状態になって
しまう可能性がある。
そこで、多板クラッチ28の制御油圧は、車速Vに対応
した補正油圧P1によって補正を施すようにしている。
また、第15図に示すように、エンジントルクTeに対応
して駆動力の配分比が変化するため、本制御では、エン
ジントルクTeに対応させて、所要の駆動力配分比に制御
するための油圧P2を演算によって又は予め記憶されたマ
ップに基づいて求め、この油圧P2を基本にして所要の制
御を行なう。
さらに、第16図に示すように、ステアリングホイール
32の中立位置からの回転角度、すなわち、ハンドル角θ
に対応して、タイトコーナーブレーキング現象を回避
するため、制御油圧を油圧P3に対応する分だけ差し引く
補正を行なう。
そして、エンジントルクに対応した所要の駆動力配分
比を得るための油圧P2は、変速段の状態に応じても変化
するため、第17図に示すような特性にもとづき、各変速
段に対応した油圧P2を求め、制御油圧を基本とする。
この制御に関し、コントローラ48内の処理について説
明すると、第10図に示すように、15msごとのサンプリン
グにより、ハンドル角θが操舵センサ30から、車速V
が車輪速センサ40,42,44,46から、スロットル開度がス
ロットルセンサ38から、エンジン回転数Neがエンジン回
転数センサ104から、変速段iSが変速段センサ130から、
それぞれコントローラ48へ入力される(ステップe1)。
次いで、他の制御則が検知されない通常走行時である
かどうかが判断され(ステップe2)、ステップe3〜e6に
おいて、多板クラッチ28における制御油圧が演算され
る。
すなわち、ステップe3で、車速Vに対応した補正油圧
P1が求められる。ステップe4で、エンジントルクTeおよ
び変速段iSに対応して、第15図に一点鎖線で示す4:6の
駆動力配分比を得られるような油圧P2が求められる。ス
テップe5で、タイトコーナブレーキを回避するための補
正油圧P3がハンドル角θに対応して求められる。
ステップe6では、これらの演算結果から、多板クラッ
チ28に与えられるべき制御油圧Pが、 P=FS−P1+P2−P3 により求められる。
ここで、FSはリターンスプリング力を示す。
そして、制御油圧Pを発生させるためのデューティー
Dが、例えばD=f(P)等の関係から求められ(ステ
ップe7)、このデューティーDに対応する制御信号が圧
力制御弁56へ出力される(ステップe8)。
これにより、多板クラッチ28は所要は中間結合状態と
なり、ドライバーが運転しやすい駆動力配分比(この例
では、前輪4:後輪6の比)の状態で通常の運転が行なわ
れる。
このときには、車速V,エンジントルクTe,変速段iS
変化しても自動的に制御油圧Pが調整され、ステアリン
グホイール32を急激に回転させても、タイトコーナーブ
レーキングが回避される。
ところで、上述の(1)〜(7)の制御はコントロー
ラ48により統合された状態でその番号の順に優先されて
実行される。
すなわち、第11図に示すように、コントローラ48にお
いて、対応するRAMのクリアセット等が初期設定として
行なわれ(ステップS1)、次いで15msごとのサンプリン
グループが実施される(ステップS2)。
このサンプリングループは、入力仕様A1と、入力仕様
に基づいて行なわれる計算仕様A2と、計算仕様の結果に
基づいて行なわれる出力仕様A3とからなる。
入力仕様A1では、車輪速入力I1、ハンドル角入力I2、
Gセンサ入力I3、その他の入力I4が行なわれる。
計算仕様A2では、データ計算C1、検知処理C2、解除C
3、判定処理C4の各処理が順次行なわれ、さらに、操作
仕様C5が行なわれる。
データ計算C1については、図中に右側に記載の各計算
が行なわれる。操作仕様C5については、センターデフ制
御用の油圧(SOL)の計算およびエンジン出力(ENG出
力)の計算が行なわれる。
ところで、検知処理C2は、第12図に示すように、ブレ
ーキON制御C21〜縦スリップ制御C26の各制御条件につい
て入力データおよび算出データが合致しているかどうか
が順に検討され、合致が検知された時には該当する各制
御のフラグKEN1〜KEN6が「1」となり、非検知時には
「0」の状態が継続される。
また、解除処理C3は、ブレーキON制御C31〜縦スリッ
プ制御C36の各制御に関する解除条件について、入力デ
ータおよび算出データが合致しているかどうかが順に検
討され、合致が検知された時には該当する各制御の解除
フラグKAI1〜KAI6が「1」となり、非検知時にはKAI1〜
KAI6の「0」の状態が継続される。
次いで、判定処理C4は、第13図(a),(b)に示す
流れにしたがって行なわれ、KEN1〜KEN6およびKAI1〜KA
I6の値により、行なうべき制御の種類を示す制御フラグ
HANが1〜7のいずれかに決定される。
なお、フラグHANは、1〜7のいずれかを採り、フラ
グHANの各数値1〜7はそれぞれ制御(1)〜(7)
(図中のステップD1〜D7が相当する)に対応する。
これにより、各フラグHANの値に基づいて、第12図に
示すように、各制御(1)〜(7)が行なわれる。
ところで、第13図(a),(b)において、ステップ
B1は、前回フラグHANが1の制御であった場合に、今回
の制御の種類(フラグHANの種類)が決定される流れが
記載されており、他のステップB2〜B7についても、それ
ぞれ前回フラグHANが2〜7制御であった場合における
同様の記載となっている。
このように、各ステップB1〜B7において、前回のフラ
グHANから、今回のフラグHANがHAN=1〜7のいずれか
一つに決定される。
したがって、ある種の制御を行なうべき状況が続く場
合、15msごとの区切られた制御を複数回継続させ、異な
る状況になった場合、15msの区切りを転換時期として制
御種類が変更される。
このようなシステムで制御を行なうことにより、HAN
=1〜7の各種制御が数字の若い方を優先させて行なわ
れる。
これにより、各種制御が階層構造となり、制御間の干
渉が防止される。
[発明の効果] 以上詳述したように、本発明の4輪駆動式自動車によ
れば、車両に搭載され前後輪の出力軸間の差動を選択的
に制限可能な差動制限手段と、該差動制限手段を制御す
る制御手段と、該車両の走行速度を検出する車速検出手
段と、該車両の走行加速度を検出する加速度検出手段と
をそなえ、上記制御手段が、車両が高速走行しているか
否かの判定に用いる閾値として予め設定された設定車速
から、上記差動制限手段による差動制限の解除に要する
時間と上記加速度検出手段により検出された走行加速度
との積を減じた速度よりも、上記車速検出手段により検
出された車速の方が大きくなったときに、該車両が高速
走行していると判断して、上記差動制限手段による差動
制限を解除するという構成により、差動制限状態から差
動制限解除への切替のタイムラグをも考慮に入れて差動
制限解除への制御を開始することになり、差動制限解除
が必要であると判断した時点から実際に差動制限解除が
実行されるまでの間に生じる差動制限手段による前後輪
間でのひきずり(動力循環)を回避することができ、高
速走行安定性を高める効果、即ち、高速時にあっても安
定した走行を最大限に行なえる効果や、延いては、燃費
低下の防止を図ることができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1〜17図は本発明の一実施例としての4輪駆動式自動
車を示すもので、第1図はその構成を請求項の内容に対
応させて示す制御系の基本ブロック図、第2図はその全
体構成図、第3図はその油圧系の構成を示す説明図、第
4図はその各制御状態の関係を示すブロック図、第5図
はその作動効果を説明するためのグラフ、第6〜13図は
いずれもその制御系の作動を説明するための問題解析図
(PAD)、第14〜17図はいずれもその作動を説明するた
めのグラフである。 2……エンジン、4……トルクコンバータ、6……自動
変速機、8……出力軸、10……中間ギア、12……差動装
置としての遊星歯車式差動装置、12a……サンギア、12b
……プラネタリギア、12c……リングギア、12d……キャ
リア、14……差動歯車装置、15……ベベルギヤ機構、16
……前輪、17L,17R……車軸、18……前輪、20……プロ
ペラシャフト、21……ベベルギヤ機構、22……差動歯車
装置、24……後輪、25L,25R……車軸、28……油圧多板
クラッチ(差動制限手段)、30……操舵センサ、32……
ステアリングホイール、34a,34b……横加速度センサ、3
8……スロットルセンサ、39……エンジンキースイッ
チ、40,42,44,46……車輪速センサ、48……コントロー
ラ(制御手段)、50……アンチロックブレーキ装置、50
A……ブレーキスイッチ、50B……ブレーキ(制動手
段)、51……ブレーキペダル、52……警告灯、54……油
圧源、56……圧力制御弁系(圧力制御弁)、58……ポン
プ、60……チェック弁、62……圧力制御弁、64……リリ
ーフ弁、66……アキュムレータ、68……圧力スイッチ、
101……エンジン出力制御手段としてのトラクションコ
ントロールシステム、102……主スロットル弁(人為的
エンジン出力調整装置としてのアクセルペダル系エンジ
ン出力調整装置)、103……副スロットル弁、104……エ
ンジン回転数センサ、105……エンジン負荷センサ、110
……シフトレンジ検出手段としてのシフトレバー位置セ
ンサ、110A……シフトレバー、130……変速段センサ、
A……駆動力配分制御(センターデフ制御)、B……駆
動力制御(エンジン出力制御)。
フロントページの続き (72)発明者 橋口 雅幸 東京都港区芝5丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (72)発明者 澤瀬 薫 東京都港区芝5丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (72)発明者 品田 健一郎 東京都港区芝5丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (72)発明者 田中 俊三 東京都港区芝5丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (72)発明者 伊藤 善仁 東京都港区芝5丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−20437(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60K 17/348

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両に搭載され前後輪の出力軸間の差動を
    選択的に制限可能な差動制限手段と、 該差動制限手段を制御する制御手段と、 該車両の走行速度を検出する車速検出手段と、 該車両の走行加速度を検出する加速度検出手段とをそな
    え、 上記制御手段が、車両が高速走行しているか否かの判定
    に用いる閾値として予め設定された設定車速から、上記
    差動制限手段による差動制限の解除に要する時間と上記
    加速度検出手段により検出された走行加速度との積を減
    じた速度よりも、上記車速検出手段により検出された車
    速の方が大きくなったときに、該車両が高速走行してい
    ると判断して、上記差動制限手段による差動制限を解除
    する ことを特徴とする、4輪駆動式自動車。
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