JP2801863B2 - 気泡利用熱回収装置 - Google Patents

気泡利用熱回収装置

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JP2801863B2
JP2801863B2 JP6249142A JP24914294A JP2801863B2 JP 2801863 B2 JP2801863 B2 JP 2801863B2 JP 6249142 A JP6249142 A JP 6249142A JP 24914294 A JP24914294 A JP 24914294A JP 2801863 B2 JP2801863 B2 JP 2801863B2
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二郎 西村
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Kajima Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工場、建物等から出る
余剰熱や、無駄に捨てられていることが多い都市排熱等
を効率よく回収し、高温液体、又は、高温液体と低温液
体とを同時に製造することができる気泡利用熱回収装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、工場、建物等から出る余剰熱や、
地下鉄排熱等の都市排熱を回収する場合、一般に、排熱
通路内に熱交換器を設置し、同熱交換器で排気と熱媒体
とを間接的に熱交換させ、熱媒体を介して熱回収し、
又、場合によっては回収した熱を更にヒートポンプによ
り昇温して熱の不足している場所へ搬送し、直接暖房用
熱源として利用したり、或いは、吸収冷凍機等の駆動熱
源として利用し、これにより冷・温水を製造して冷・暖
房等に供したりしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように熱交換器を設置し、同熱交換器で排気と熱媒体と
を間接的に熱交換させて熱回収するような方法では、熱
交換効率に限界があるために充分な熱回収が行い得ない
問題があった。特に、広域にわたって分散している地下
鉄排熱等の現在あまり利用されていない都市排熱を有効
に回収するのは難しかった。また、排熱からの熱回収に
より直接温水等の高温液体を製造することは容易である
が、直接冷水等の低温液体を製造できる技術は見当たら
ず、冷凍機の駆動熱源として利用し、冷凍機で間接的に
低温液体を製造しているのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ため、本発明に係る気泡利用熱回収装置は、排熱源から
の排気を吸い込んで高温高圧状態に圧縮する高圧ブロア
と、前記排気から排熱を回収する液体を収容する高温熱
回収槽と、同高温熱回収槽の下部に設けられ、前記高圧
ブロアで高温高圧状態に圧縮された排気を高温熱回収槽
内の液体中に気泡として吹き込み、同気泡と液体とを直
接接触させて熱回収させる排気ヘッダーとを具備して
り、前記高温熱回収槽内の液面上に蒸発による熱損失を
防ぐ蒸発防止材を配設してなることを特徴とするもので
ある。
【0005】また、本発明に係る気泡利用熱回収装置
は、排熱源からの排気を吸い込んで高温高圧状態に圧縮
する高圧ブロアと、同高圧ブロアで圧縮された排気を冷
却する一次冷却器と、同一次冷却器で冷却された排気を
更に冷却する二次冷却器と、断熱膨張された低温低圧の
排気から冷熱を回収する液体を収容する低温熱回収槽
と、同低温熱回収槽の下部に設けられ、前記二次冷却器
からの排気を断熱膨張させ低温低圧状態として低温熱回
収槽内の液体中に気泡として吹き込み、同気泡と液体と
を直接接触させて冷熱を回収させる断熱膨張器と、前記
低温熱回収槽内の低温液体を前記二次冷却器に循環さ
せ、排気を冷却したのち低温熱回収槽内にヘッダーより
散布する低温液体循環系と、高圧ブロアからの高温高圧
状態の排気から排熱を回収する液体を収容する高温熱回
収槽と、同高温熱回収槽内に設けられた加熱器と前記一
次冷却器との間で熱媒体を循環させ、高温高圧状態の排
気から排熱を回収させる熱媒体循環系とを具備してなる
ことを特徴とするものである。
【0006】
【作用】本発明に係る気泡利用熱回収装置は、上記のよ
うに構成されているので、高圧ブロアで高温高圧状態に
圧縮された排気を高温熱回収槽下部の排気ヘッダーから
気泡として高温熱回収槽内の液体中に吹き込み、この気
泡が液体中を上昇する間における液体との直接接触によ
る気・液体間の熱交換によって排気から熱回収を図り、
これにより液体を加熱して高温液体を製造し、高温熱回
収槽内に蓄えることができる。さらに、高温熱回収槽内
の液面上に蒸発防止材を配設して液面からの蒸発による
熱損失を防止しているため、蓄熱時における熱損失が最
小限に抑えられる。
【0007】また、本発明に係る気泡利用熱回収装置
は、上記のように構成されているので、高圧ブロアで高
温高圧状態に圧縮された排気を一次冷却器及び二次冷却
器で順次冷却して低温高圧状態の排気となし、これを断
熱膨張器で断熱膨張させることによって低温熱回収槽内
の液体を冷却すると共に、断熱膨張により低温低圧状態
となった排気を気泡として低温熱回収槽内の液体中に吹
き込み、この気泡が液体中を上昇する間における液体と
の直接接触による気・液体間の熱交換によって液体を冷
却し、低温液体を製造することにより低温熱回収槽内に
蓄えることができる。一方、一次冷却器で高温高圧状態
の排気と熱交換し、これを冷却することにより加熱され
た熱媒体を熱媒体循環系を介して高温熱回収槽内に設け
られた加熱器に循環させ、高温熱回収槽内の液体と熱交
換させて液体を加熱することにより高温液体を製造し、
高温熱回収槽内に蓄えることができる。従って、低温液
体と高温液体を同時に製造することができる。
【0008】
【実施例】以下に本発明の実施例を図1及び図2に基づ
いて説明する。図1は本発明の第1の実施例に係る気泡
利用熱回収装置の構成図、図2は本発明の第2の実施例
に係る気泡利用熱回収装置の構成図である。第1の実施
例は、排熱からの熱回収により高温液体を製造する場合
の例を示すもので、外気の熱、工場、建物等から出る余
剰熱、或いは、地下鉄からの排熱等無駄に捨てられてい
る都市排熱などの排気1を回収して吸い込み、これを高
温高圧状態に圧縮する高圧ブロア2と、水等の液体3を
収容する高温熱回収槽4と、高温熱回収槽4の底部に設
けられ、高圧ブロア2から配管5を介して送られてくる
高温高圧状態の排気を高温熱回収槽4内の液体3中に気
泡6として吹き込む排気ヘッダー7とを備えている。
【0009】また、高温熱回収槽4内の液体3の液面上
には、発砲スチロール製の球又は板より構成された蒸発
防止材8が配設され、液面からの蒸発による熱損失を防
止するようにしている。更に、高温熱回収槽4には、上
部に排気ファン9を設置すると共に、液体3中に蓄えら
れた高温液体の熱を取出し、例えば暖房用熱源として供
給するための熱取出し用熱交換器10が設けられてい
る。
【0010】しかして、上記実施例によると、排熱源か
らの排気1は高圧ブロア2に吸い込まれて高温高圧状態
に圧縮され、配管5を経て高温熱回収槽4の底部に設け
られている排気ヘッダー7に送られ、ここから微細な気
泡6として高温熱回収槽4内の液体3中に吹き込まれ
る。気泡6はその半径が小さければ小さい程、体積当た
りの表面積を大きくでき、液体3との接触面積を大きく
して熱交換量を増やすことができるため、排気を高温熱
回収槽4内の液体3中に気泡6として吹き込む排気ヘッ
ダー7は、極力微細な気泡6を作ることができるように
構成することが望ましい。液体3中に吹き込まれた気泡
6は、液体3中を上昇する間に液体3と直接接触し、気
・液体間の熱交換によって液体3を加熱した後、排気フ
ァン9によって外部に排出され、一方、気泡6との直接
接触によって加熱された液体3は、高温液体となって高
温熱回収槽4内に蓄えられ、必要時に熱取出し用熱交換
器10を介して取り出され、暖房用熱源等として利用さ
れる。
【0011】このように高圧ブロア2により高温高圧状
態に圧縮された排気1を気泡6として高温熱回収槽4内
の液体3中に吹き込み、気泡6と液体3との直接接触に
よる熱交換によって熱回収するようにしているため、熱
交換器を用いて間接的に熱交換するようにしたものに比
べ、熱交換効率を向上させ充分な熱回収を図ることがで
きる。また、高温熱回収槽4内の液体3の液面上に蒸発
防止材8を配設し、液面からの蒸発による熱損失を防止
しているため、蓄熱時における熱損失を最小限に抑える
ことができる。なお、高圧ブロア2の駆動に安価な深夜
電力を利用し、夜間に装置を運転して高温液体を製造す
ることにより高温熱回収槽4に蓄熱しておき、これを日
中に取出して利用することによってランニングコストを
安くすることができる。
【0012】次に、排熱からの熱回収により高温液体と
低温液体とを同時に製造できる第2の実施例を図2に基
づいて説明する。第2の実施例に係る気泡利用熱回収装
置は、排熱源からの排気11を回収して吸い込み、これ
を高温高圧状態に圧縮する高圧ブロア12と、水等の液
体13を収容する低温熱回収槽14と、低温熱回収槽1
4の下部に設けられ、低温高圧状態とされた排気を断熱
膨張させ低温低圧状態として低温熱回収槽14内の液体
13中に気泡15として吹き込み、同気泡15と液体1
3とを直接接触させて冷熱を回収させる断熱膨張器16
と、高圧ブロア12から断熱膨張器16に排気を送る配
管17と、この配管17途中に設けられ、高温高圧の排
気と熱交換してこれを冷却する一次冷却器18と、一次
冷却器18の下流側で配管17途中に設けられ、中温高
圧の排気と熱交換してこれを冷却する二次冷却器19
と、低温熱回収槽14内の低温液体13をポンプ20を
介して二次冷却器19に循環させ、排気を冷却したのち
低温熱回収槽14内にヘッダー21より散布する低温液
体循環系22と、低温熱回収槽14の上部に設けられた
強制排気ファン23と、低温熱回収槽14内の低温液体
13を利用側との間で循環させる利用側配管24と、水
等の液体25を収容する高温熱回収槽26と、高温熱回
収槽26内に設けられた加熱器27と、一次冷却器18
と加熱器27との間でポンプ28を介して熱媒体を循環
させ、高温高圧状態の排気から排熱を回収させる熱媒体
循環系29と、熱媒体循環系29の途中に切換弁30及
びバイパス回路31を介して接続された冷却塔32と、
高温熱回収槽26内に設けられた熱交換器33を含むヒ
ートポンプ34と、ヒートポンプ34で昇温された熱媒
体を利用側へ循環される利用側配管35とから構成され
ている。
【0013】しかして、排熱源から排出された排気11
は高圧ブロア12に吸い込まれて高温高圧状態に圧縮さ
れ、配管17を経て低温熱回収槽14の底部に設けられ
ている断熱膨張器16へと送られる。排気11はこの途
中で一次冷却器18、二次冷却器19により順次冷却さ
れ、低温高圧状態の排気となる。低温高圧状態の排気
は、断熱膨張器16で急激に断熱膨張され、低温低圧状
態となり断熱膨張器16から低温熱回収槽14内の液体
13中に、できるだけ微細な気泡15として吹き込まれ
る。この断熱膨張によって低温熱回収槽14内の液体1
3が冷却されると共に、微細な気泡15が液体13中を
上昇する間の気泡15と液体13との直接接触による熱
交換によっても液体13は更に冷却される。これは所謂
エアーサイクル冷凍の原理を利用したもので、フロンガ
スや炭酸ガスを使用していないため、環境問題への影響
を皆無とすることができる。
【0014】気泡15は液体13中を上昇し液面上で開
放されるが、これを強制排気ファン23によって強制排
気することにより、液面上での蒸発現象を促進しその蒸
発潜熱によって更に液体13を冷却することができる。
また、この間低温熱回収槽14内の液体13の一部は、
ポンプ20を有する低温液体循環系22を介して二次冷
却器19に循環され、配管17中の排気と熱交換して排
気を冷却したのち、ヘッダー21から低温熱回収槽14
内に散布されるが、この際の蒸発潜熱によっても液体1
3を冷却することができる。以上のようにして排気から
の冷熱回収により製造された低温液体13は、低温熱回
収槽14内に蓄えられ、必要時に利用側配管24から取
出されて冷房用熱源等として利用される。
【0015】一方、一次冷却器18で高温高圧状態の排
気を冷却することによって熱媒体循環系29内の熱媒体
に回収された熱は、ポンプ28により高温熱回収槽26
内に設けられた加熱器27に循環され、加熱器27で高
温熱回収槽26内の液体25と熱交換してこれを加熱し
高温液体25を製造する。高温液体25は高温熱回収槽
26内に蓄えられ、これを直接利用側へ循環させて暖房
用熱源等として利用したり、或いは、ヒートポンプ34
の温熱源として利用し、更に高温の温水を製造して利用
側配管35に供給するなどして多様に利用される。な
お、高温熱回収槽26内の高温液体25の温度が高くな
り過ぎないように温度を検知し、設定温度になったとき
切換弁30により熱媒体を冷却塔32にバイパスさせ、
回収熱を大気に放熱することにより高温液体25の温度
調節をすることができる。
【0016】このように第2の実施例によると、排気か
らの熱回収により高温液体の製造と同時に低温液体を製
造することができ、しかも、エアーサイクル冷凍の原理
を利用したものであるため、環境問題への影響もなく安
全であり、かつ、それぞれの機器が一般的な市販品を利
用でき、その組み合わせによって構成できるため、イニ
シャルコストを低く抑えことができると共に、維持管理
を容易化することができる。
【0017】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明に係る気
泡利用熱回収装置によれば、排気の気泡と液体との直接
接触による熱交換により熱回収するようにしているた
め、熱交換器を用いて間接的に熱交換させて熱回収する
ものに比べ、熱交換効率を向上させ充分な熱回収を行い
ことができるので、高温液体を効率よく製造することが
できる。また、高温熱回収槽内の液面上に蒸発防止材を
配設して液面からの蒸発による熱損失を防止することに
より、蓄熱時における熱損失を最小限に抑えることがで
きる。また、エアーサイクル冷凍の原理を組み込むこと
により、高温の熱回収による高温液体の製造と同時に低
温液体を製造することができる。しかも、排気からの熱
回収のみで高温液体、或いは、高温液体と低温液体を同
時に製造できるため、環境問題への影響もなく安全であ
り、かつ、特殊な機器を必要とせず一般的な市販品の組
み合わせによって構成できるため、製造コストも安く、
又、維持管理が容易である等の多大の効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る気泡利用熱回収装
置の構成図である。
【図2】本発明の第2の実施例に係る気泡利用熱回収装
置の構成図である。
【符号の説明】
1、11 排気 2、12 高圧ブロア 3、13、25 液体 4、26 高温熱回収槽 6、15 気泡 7 排気ヘッダー 8 蒸発防止材 14 低温熱回収槽 16 断熱膨張器 18 一次冷却器 19 二次冷却器 21 ヘッダー 22 低温液体循環系 23 強制排気ファン 27 加熱器 29 熱媒体循環系 30 切換弁 31 バイパス回路 32 冷却塔

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排熱源からの排気を吸い込んで高温高圧
    状態に圧縮する高圧ブロアと、前記排気から排熱を回収
    する液体を収容する高温熱回収槽と、同高温熱回収槽の
    下部に設けられ、前記高圧ブロアで高温高圧状態に圧縮
    された排気を高温熱回収槽内の液体中に気泡として吹き
    込み、同気泡と液体とを直接接触させて熱回収させる排
    気ヘッダーとを具備してなり、 前記高温熱回収槽内の液面上に蒸発による熱損失を防ぐ
    蒸発防止材を配設してなる ことを特徴とする気泡利用熱
    回収装置。
  2. 【請求項2】 前記蒸発防止材を発砲スチロール製の球
    又は板により構成してなることを特徴とする請求項1記
    載の気泡利用熱回収装置。
  3. 【請求項3】 排熱源からの排気を吸い込んで高温高圧
    状態に圧縮する高圧ブロアと、同高圧ブロアで圧縮され
    た排気を冷却する一次冷却器と、同一次冷却器で冷却さ
    れた排気を更に冷却する二次冷却器と、断熱膨張された
    低温低圧の排気から冷熱を回収する液体を収容する低温
    熱回収槽と、同低温熱回収槽の下部に設けられ、前記二
    次冷却器からの排気を断熱膨張させ低温低圧状態として
    低温熱回収槽内の液体中に気泡として吹き込み、同気泡
    と液体とを直接接触させて冷熱を回収させる断熱膨張器
    と、前記低温熱回収槽内の低温液体を前記二次冷却器に
    循環させ、排気を冷却したのち低温熱回収槽内にヘッダ
    ーより散布する低温液体循環系と、高圧ブロアからの高
    温高圧状態の排気から排熱を回収する液体を収容する高
    温熱回収槽と、同高温熱回収槽内に設けられた加熱器と
    前記一次冷却器との間で熱媒体を循環させ、高温高圧状
    態の排気から排熱を回収させる熱媒体循環系とを具備し
    てなることを特徴とする気泡利用熱回収装置。
  4. 【請求項4】 前記低温熱回収槽の上部に強制排気ファ
    ンを設けてなることを特徴とする請求項3記載の気泡利
    用熱回収装置。
  5. 【請求項5】 前記熱媒体循環系の途中に切換弁及びバ
    イパス回路を介して冷却塔を接続してなることを特徴と
    する請求項3記載の気泡利用熱回収装置。
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