JP2801310B2 - 二方向形状記憶コイルばねの製造方法 - Google Patents
二方向形状記憶コイルばねの製造方法Info
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- JP2801310B2 JP2801310B2 JP31457789A JP31457789A JP2801310B2 JP 2801310 B2 JP2801310 B2 JP 2801310B2 JP 31457789 A JP31457789 A JP 31457789A JP 31457789 A JP31457789 A JP 31457789A JP 2801310 B2 JP2801310 B2 JP 2801310B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は形状記憶合金からなり自発形状変化量の大き
い二方向形状記憶コイルばねの製造方法に関するもので
ある。
い二方向形状記憶コイルばねの製造方法に関するもので
ある。
高温相と低温相であるマルテンサイト相の形状も記憶
する二方向形状記憶効果を利用したコイルばねの開発が
行なわれている。二方向形状記憶コイルばねは、温度の
上下に対して可逆的に繰り返し変形動作するものであ
る。具体的には第１図に示ように（ａ）の低温において
伸びているものが（ｂ）の高温において縮み、また
（ｃ）の低温において伸び、（ｄ）の高温において縮む
形状変化を可逆的に繰り返すものである。また上記とは
逆に低温で縮んでいるものが、高温で伸び低温で縮み、
さらに高温で伸びる形状を可逆的に繰り返すものもあ
る。
する二方向形状記憶効果を利用したコイルばねの開発が
行なわれている。二方向形状記憶コイルばねは、温度の
上下に対して可逆的に繰り返し変形動作するものであ
る。具体的には第１図に示ように（ａ）の低温において
伸びているものが（ｂ）の高温において縮み、また
（ｃ）の低温において伸び、（ｄ）の高温において縮む
形状変化を可逆的に繰り返すものである。また上記とは
逆に低温で縮んでいるものが、高温で伸び低温で縮み、
さらに高温で伸びる形状を可逆的に繰り返すものもあ
る。
二方向形状記憶効果は、一方向形状記憶材料を強度に
変形したり、拘束状態で熱処理を行なったり、繰り返し
トレーニングを施したりすると現れることが知られてい
る。
変形したり、拘束状態で熱処理を行なったり、繰り返し
トレーニングを施したりすると現れることが知られてい
る。
しかしコイルばねにおいて伸ばす方向に強加工できて
も、縮む方向に強加工する事はコイルばねが密着するの
で限度があるため、自発形状記憶変化量の大きい高温で
伸び、低温で縮む二方向形状記憶コイルばねの作製は非
常に困難であった。
も、縮む方向に強加工する事はコイルばねが密着するの
で限度があるため、自発形状記憶変化量の大きい高温で
伸び、低温で縮む二方向形状記憶コイルばねの作製は非
常に困難であった。
本発明は上記の問題について検討の結果、形状記憶コ
イルばねに自発形状変化量の大きく、かつ記憶特性の優
れた二方向形状記憶コイルばねが得られる製造方法を開
発したものである。
イルばねに自発形状変化量の大きく、かつ記憶特性の優
れた二方向形状記憶コイルばねが得られる製造方法を開
発したものである。
本発明は、形状記憶合金線をコイルばねに成形し形状
記憶熱処理を行なった後、該コイルばねを軸方向に逆転
する方向に巻変え、二方向形状記憶処理を施した後、該
コイルばねが密着する前まで加熱した後、再び軸方向に
逆転する方向に巻変えることを特徴とする二方向形状記
憶コイルばねの製造方法である。
記憶熱処理を行なった後、該コイルばねを軸方向に逆転
する方向に巻変え、二方向形状記憶処理を施した後、該
コイルばねが密着する前まで加熱した後、再び軸方向に
逆転する方向に巻変えることを特徴とする二方向形状記
憶コイルばねの製造方法である。
すなわち本発明は、例えば第２図に製造工程の概略図
を示すように形状記憶合金線を第１工程として、例えば
右巻のコイルばねに成形し、第２工程において、このま
まの右巻きの状態で形状記憶熱処理を施し、次いで第３
工程において、このコイルばねを軸方向に逆転する方向
に巻変えを行なうものである。すなわち右巻のコイルば
ねを左巻きのコイルばねに巻変えを行なうのである。こ
の方法を詳しく説明すると、第３図に示すようにコイル
ばね（１）をそのままの心棒（３）に通し、その一端を
固定端子（４）により固定し、別の一端を心棒（３′）
の固定端子（４′）に固定し、心棒（３′）をコイルば
ねの巻き方向と逆向きの矢印方向に回転して心棒（３）
のコイルばね（１）を心棒（３′）に密着状態または間
隔をもったコイルばね（１′）に巻変えを行なうもので
ある。この際コイルばね（１）は第４図（ａ）に示すよ
うに最初のコイルばねが右巻きであれば巻変えにより
（ｂ）図のように左巻きとなり、コイルの巻畳み順序は
（ａ）図のの左端に位置するものが巻変えにより
（ｂ）図ののように右端に位置するようにそれぞれ逆
転するものである。
を示すように形状記憶合金線を第１工程として、例えば
右巻のコイルばねに成形し、第２工程において、このま
まの右巻きの状態で形状記憶熱処理を施し、次いで第３
工程において、このコイルばねを軸方向に逆転する方向
に巻変えを行なうものである。すなわち右巻のコイルば
ねを左巻きのコイルばねに巻変えを行なうのである。こ
の方法を詳しく説明すると、第３図に示すようにコイル
ばね（１）をそのままの心棒（３）に通し、その一端を
固定端子（４）により固定し、別の一端を心棒（３′）
の固定端子（４′）に固定し、心棒（３′）をコイルば
ねの巻き方向と逆向きの矢印方向に回転して心棒（３）
のコイルばね（１）を心棒（３′）に密着状態または間
隔をもったコイルばね（１′）に巻変えを行なうもので
ある。この際コイルばね（１）は第４図（ａ）に示すよ
うに最初のコイルばねが右巻きであれば巻変えにより
（ｂ）図のように左巻きとなり、コイルの巻畳み順序は
（ａ）図のの左端に位置するものが巻変えにより
（ｂ）図ののように右端に位置するようにそれぞれ逆
転するものである。
次に上記のコイルばねを、第４工程において、二方向
形状記憶処理を施すものである。この処理は、例えばコ
イルばねを引伸ばす引張り加工を与える強加工や、この
引張り加工を与えた状態のまま熱処理を施す拘束時効、
或いは、引張り加工を与えた状態のまま高温と低温の温
度サイクルを繰り返し付与するトレーニングなどの方法
により行なうものである。
形状記憶処理を施すものである。この処理は、例えばコ
イルばねを引伸ばす引張り加工を与える強加工や、この
引張り加工を与えた状態のまま熱処理を施す拘束時効、
或いは、引張り加工を与えた状態のまま高温と低温の温
度サイクルを繰り返し付与するトレーニングなどの方法
により行なうものである。
そして第５工程においては、前工程の伸びた状態のコ
イルばねを密着前まで加熱して二方向形状記憶処理効果
を十分にコイルに与えるものである。この密着まで加熱
するというのは、前の第２工程と第３工程において右巻
きを左巻きに巻変えたため、この第５工程により加熱す
ると左巻きのコイルが右巻きの元の形状に回復しようと
して前記の第４図（ａ）、（ｂ）に示したように巻畳み
順序が逆転して入れ替るのであるが、実際には密着状態
までしか移動できず、余分の回復力は、密着コイルをず
らす方向の応力となるか、コイルばね自体に歪を与える
応力となって作用するため、コイルに悪影響を及ぼす。
また前工程の強加工、拘束時効、繰り返しトレーニング
などの二方向形状記憶処理の効果が一部失われるので密
着するのを避け、密着する前の状態で加熱を止めるので
ある。この加熱温度はAs点（マルテンサイト逆変態開始
温度）〜As＋200℃の範囲で行なうことが望ましい。
イルばねを密着前まで加熱して二方向形状記憶処理効果
を十分にコイルに与えるものである。この密着まで加熱
するというのは、前の第２工程と第３工程において右巻
きを左巻きに巻変えたため、この第５工程により加熱す
ると左巻きのコイルが右巻きの元の形状に回復しようと
して前記の第４図（ａ）、（ｂ）に示したように巻畳み
順序が逆転して入れ替るのであるが、実際には密着状態
までしか移動できず、余分の回復力は、密着コイルをず
らす方向の応力となるか、コイルばね自体に歪を与える
応力となって作用するため、コイルに悪影響を及ぼす。
また前工程の強加工、拘束時効、繰り返しトレーニング
などの二方向形状記憶処理の効果が一部失われるので密
着するのを避け、密着する前の状態で加熱を止めるので
ある。この加熱温度はAs点（マルテンサイト逆変態開始
温度）〜As＋200℃の範囲で行なうことが望ましい。
次に上記の密着前まで加熱したコイルばねを第６工程
として右巻きに再巻替えを行ない、続いて第７工程にお
いて加熱処理して二方向形状記憶コイルばねとするもの
である。
として右巻きに再巻替えを行ない、続いて第７工程にお
いて加熱処理して二方向形状記憶コイルばねとするもの
である。
上記の工程を経て得られたコイルばねは、自発形状変
化量が大きく、かつ高、低温の形状を正確に記憶し、特
に低温で縮む特性が優れたものが得られるものである。
化量が大きく、かつ高、低温の形状を正確に記憶し、特
に低温で縮む特性が優れたものが得られるものである。
しかして本発明において用いられる形状記憶合金線は
Ni−TiおよびNi−Ti系合金あるいはCu−Zn−Al、Cu−Al
−NiなどのCu系合金その他公知の形状記憶合金が適用で
きる。このうち自発形状変化量、耐食性などの点からNi
−TiおよびNi−Ti系合金の線が特に望ましい。
Ni−TiおよびNi−Ti系合金あるいはCu−Zn−Al、Cu−Al
−NiなどのCu系合金その他公知の形状記憶合金が適用で
きる。このうち自発形状変化量、耐食性などの点からNi
−TiおよびNi−Ti系合金の線が特に望ましい。
なお上記の第４工程の二方向形状記憶処理として行な
う強加工は、引張りの剪断歪量を７〜12％の範囲で行な
うことが望ましく、時効処理はAf点＋20℃〜250℃で５
分間〜２時間施すことが良く、またトレーニングはMf点
以下Af点以上の温度で加熱、冷却を５〜100サイクルの
範囲で行なうのが好ましい。
う強加工は、引張りの剪断歪量を７〜12％の範囲で行な
うことが望ましく、時効処理はAf点＋20℃〜250℃で５
分間〜２時間施すことが良く、またトレーニングはMf点
以下Af点以上の温度で加熱、冷却を５〜100サイクルの
範囲で行なうのが好ましい。
またコイルばねと同様な形状、機能を有する各種ばね
にも適用が可能であり、線の形も丸線、角線、異径線な
ど各種のものが適用できる。
にも適用が可能であり、線の形も丸線、角線、異径線な
ど各種のものが適用できる。
以下に本発明の一実施例について説明する。
Niが49.5at％、Tiが50.5at％の組成のNi−Ti合金線を
D/d＝９、ピッチ間隔5mm、ｎ＝10のコイルばね形状に成
形した後、この形状で450℃に１時間保持して形状記憶
処理を行なった。このコイルばねのAs点は70℃である。
このコイルばねを軸方向に対して逆転する方向に巻変え
を行なった。次いでこのコイルばねに200mmまで伸ばす
引張り加工を施して二方向形状記憶処理を施した。その
後、80℃に徐々に加熱しコイルばねが完全に密着する前
に加熱をやめた。そしてコイルばねを再度軸方向に対し
て逆転する方向に巻変えを行なった。このコイルばねの
高温（120℃）と低温（20℃）での自由長変化を第５図
に示す。比較のため再巻変え前に加熱を行なわない例と
完全に密着させた温度まで加熱例を示す。図から明らか
なように本発明によるコイルばねは従来のものに比べ自
由長変化が大きくサイクルに対しても安定していること
が確認された。
D/d＝９、ピッチ間隔5mm、ｎ＝10のコイルばね形状に成
形した後、この形状で450℃に１時間保持して形状記憶
処理を行なった。このコイルばねのAs点は70℃である。
このコイルばねを軸方向に対して逆転する方向に巻変え
を行なった。次いでこのコイルばねに200mmまで伸ばす
引張り加工を施して二方向形状記憶処理を施した。その
後、80℃に徐々に加熱しコイルばねが完全に密着する前
に加熱をやめた。そしてコイルばねを再度軸方向に対し
て逆転する方向に巻変えを行なった。このコイルばねの
高温（120℃）と低温（20℃）での自由長変化を第５図
に示す。比較のため再巻変え前に加熱を行なわない例と
完全に密着させた温度まで加熱例を示す。図から明らか
なように本発明によるコイルばねは従来のものに比べ自
由長変化が大きくサイクルに対しても安定していること
が確認された。
上記実施例では強加工による二方向形状記憶処理を示
したが、拘束時効、繰り返しトレーニングでも同様の結
果が得られる。
したが、拘束時効、繰り返しトレーニングでも同様の結
果が得られる。
以上に説明したように本発明によれば比較的簡単な方
法により、自発形状変化量が大きくかつ高温と低温の繰
り返しサイクルにおける形状を正確に記憶した二方向形
状記憶コイルばねが得られるもので工業上顕著な効果を
奏するものである。
法により、自発形状変化量が大きくかつ高温と低温の繰
り返しサイクルにおける形状を正確に記憶した二方向形
状記憶コイルばねが得られるもので工業上顕著な効果を
奏するものである。
第１図は二方向形状記憶コイルばねの動作を示す図。第
２図は本発明の一実施例に係る二方向形状記憶コイルば
ねの製造工程を示す概略図、第３図は本発明の製造工程
中の軸方向に逆転する巻変えを説明する図。第４図は巻
変えによるコイルの巻畳み順序を説明する図。第５図は
本発明の二方向形状記憶コイルばねの温度サイクルとコ
イルばね長さの関係を示す線図である。 1,1′……コイルばね、3,3′……心棒、 4,4′……固定端子。
２図は本発明の一実施例に係る二方向形状記憶コイルば
ねの製造工程を示す概略図、第３図は本発明の製造工程
中の軸方向に逆転する巻変えを説明する図。第４図は巻
変えによるコイルの巻畳み順序を説明する図。第５図は
本発明の二方向形状記憶コイルばねの温度サイクルとコ
イルばね長さの関係を示す線図である。 1,1′……コイルばね、3,3′……心棒、 4,4′……固定端子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平３−13551（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−13552（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−13553（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) C22F 1/10 C22F 1/18 B21F 35/00 F16F 1/02 C22F 1/08
Claims (3)
- 【請求項１】形状記憶合金線をコイルばねに成形し形状
記憶熱処理を行なった後、該コイルばねを軸方向に逆転
する方向に巻変え、二方向形状記憶処理を施した後、該
コイルばねが密着する前まで加熱した後、再び軸方向に
逆転する方向に巻変えることを特徴とする二方向形状記
憶コイルばねの製造方法。 - 【請求項２】二方向形状記憶処理としてコイルばねに強
加工、拘束時効、繰り返しトレーニングの内、いずれか
１種類もしくは２種類以上の処理を施すことを特徴とす
る請求項１記載の二方向形状記憶コイルばねの製造方
法。 - 【請求項３】再巻変え前に行う加熱の温度はAs点（マル
テンサイト逆変態開始温度）〜As点＋200℃の範囲で行
なうことを特徴とする請求項１記載の二方向形状記憶コ
イルばねの製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP31457789A JP2801310B2 (ja) | 1989-12-04 | 1989-12-04 | 二方向形状記憶コイルばねの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP31457789A JP2801310B2 (ja) | 1989-12-04 | 1989-12-04 | 二方向形状記憶コイルばねの製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH03177549A JPH03177549A (ja) | 1991-08-01 |
| JP2801310B2 true JP2801310B2 (ja) | 1998-09-21 |
Family
ID=18054967
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP31457789A Expired - Fee Related JP2801310B2 (ja) | 1989-12-04 | 1989-12-04 | 二方向形状記憶コイルばねの製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2801310B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN110315007B (zh) * | 2019-07-01 | 2021-07-02 | 昌河飞机工业（集团）有限责任公司 | 螺旋初拉力弹簧加工方法 |
| CN111844655B (zh) * | 2020-07-18 | 2021-12-03 | 宁波博纳机械有限公司 | 一种塑料产品加工用注塑机 |
-
1989
- 1989-12-04 JP JP31457789A patent/JP2801310B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH03177549A (ja) | 1991-08-01 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |