JP2801232B2 - 顕微鏡装置 - Google Patents

顕微鏡装置

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JP2801232B2
JP2801232B2 JP63502306A JP50230688A JP2801232B2 JP 2801232 B2 JP2801232 B2 JP 2801232B2 JP 63502306 A JP63502306 A JP 63502306A JP 50230688 A JP50230688 A JP 50230688A JP 2801232 B2 JP2801232 B2 JP 2801232B2
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ロバート ジー メッサーシュミット
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は顕微鏡観察の一般的な分野、特にフーリエ変
換赤外線(FT−IR)顕微鏡分光光度測定の分野に関する
ものである。
市販のFT−IR分光光度計が実用化されるにつれて試料
の赤外線分析が広く実用化されている。一方、FT−IR顕
微鏡分光光度観察は、顕微鏡観察される試料の大きさに
ついて制約が課せられている。試料が小さすぎる場合周
囲領域からの放射エネルギーが検出器に入射してしま
い、顕微鏡の視野内の全ての材料の結合された特徴を含
むスペクトラムが生じてしまう。この現像は分光混合
(spectroscopic mixing)と称せられており、赤外線顕
微鏡の場合特に重要な課題である。けだし、赤外線放射
の波長が長くなると固有の解像力が例えば可視光の顕微
鏡と比べて一層低下してしまうためである。この分光混
合は、混合スペクトラムから既知の材料のスペクトラム
を電子的に減算することにより除去することができる。
しかしながら、電子的減算処理を行うには、観察しよう
とする物体を囲む隣接区域のスペクトラムとしての特徴
及びこの特徴の相対強度の両方を知らなければ実行でき
ない。実際的には、周囲材料のスペクトラムを分離する
ことができないため、電子的減算に適正に作動しない場
合がある。
いかなる顕微鏡の解像力も回折の効果により制限され
てしまう。回折は放射エネルギーの波長、光学系の開口
数及び放射の空間的コヒーレンス性に依存する。物体を
解像できる最小距離はレーリー基準(Rayieigh's crite
rion)の語で表現され、このレーリー基準は顕微鏡の開
口数によって分割される放射エネルギーの波長の0.61倍
として数学的に規定される。一方、回折作用は、解像力
を原理的に制限するものとしてではなく実際的に制限す
るものとして長い間理解されていた。従って、放射エネ
ルギーの波長だけが顕微鏡の解像力を制限することにな
る。
ミンスキーによる米国特許第3,013,476号は、共焦点
走査型顕微鏡について従来技術となる事項を開示してい
る。この共焦点顕微鏡は焦平面に位置する2個のピンホ
ールを用いている。一方のピンホールは光源と対物レン
ズとの間の実像面に配置され、対物レンズによりピンホ
ールから出射する光は試料上に集束される。第2のピン
ホールは対物レンズと検出器との間の実像面に配置さ
れ、試料からの光は第2のピンホール上に集束される。
試料は試料像面に配置され走査パターンsとして移動さ
れ、検出器はテレビジョンのラスタ走査に対応する入力
信号を発生する。ミンスキーの特許は以下の事項を開示
する。すなわち、共焦点走査型顕微鏡においては、検出
器は試料像面の外部からの光をほとんど受光しないか
ら、光学的に厚い透過性試料に対して視野深度が減少す
る。
また、共通点顕微鏡では、像面の外部から検出器に入
射する迷光の光量を減少させることにより画像のコント
ラストが増大することも述べられている。この共焦点顕
微鏡におけるすぐれた視野深度解像度により解像力が見
掛上増大する。オックスフォード大学のシェパードとウ
ィルソンは、走査型共焦点顕微鏡においては、共焦点装
置のない同一の光学系を用いる場合に予測される以上の
実際的な解像力の増加が得られると述べている。しかし
ながら、この実際的な解像力は改良は高々2.4倍程度に
すぎず、しかも画像コントラストの低下を伴ってしま
う。つまり、見掛上の解像度の低下を伴ってしまう。
共焦点顕微鏡の分野における動向は、明らかに試料の
像と形成する走査型顕微鏡装置を製造する方向にある。
走査型顕微鏡装置の解像力は、放射エネルギーに対する
試料の移動によって制限される。既知の実験では、共焦
点顕微鏡の実際の点対点の解像力を決定しようとする試
みは行われていない。
共焦点顕微鏡における画像形成の現在の数学的モデル
は、顕微分光光度測定の分野における画像形成について
不十分な説明しか与えていない。共焦点顕微鏡の伝達関
数は集光光学系及び焦平面開口の伝達関数の複雑な積分
を含んでいる。公開されている唯一の正確な数学的な解
は、完全にコヒーレントな放射エネルギー又は完全にイ
ンコヒーレントな放射エネルギーを放出する点光源を点
対称結像する特別な場合を含んでいる。一方、顕微分光
光度測定は、部分的にコヒーレントな放射エネルギーを
用いることも必然的に含んでいる。放射エネルギー源
は、試料の大きさ及び形状によって決定される効果的な
空間寸法を有している。放射エネルギーの波長範囲は観
察されるべき試料の分光特性の波長範囲により決定され
る。従って、部分的にコヒーレントな放射エネルギーを
用いる共焦点顕微鏡の光学性能は顕微分光光度観察を行
う場合極めて重要であり、実験的に決定する必要があ
る。
効率と関連する実際的な問題のために共焦点顕微鏡を
顕微分光光度観察に使用することは考えられていなかっ
た。通常の共焦点顕微鏡は強力な光源としてレーザを用
いて単色性の光を光源側のピンホール開口に向けて供給
する。一方、通常の分光系、特にFT−IR分光光度系は広
い周波数範囲に亘たる一定振幅の放射エネルギーの光源
を有していない。さらに、共焦点顕微鏡は試料を結像す
るだけであり、異なる組成の試料の領域間を識別するよ
うに構成されていない。従って、共焦点顕微鏡観察の理
論及び通常の共焦点走査型顕微鏡は一般的に顕微分光光
度観察に実際的に利用されず、特にFT−IR顕微分光光度
観察に利用されていない。
本発明は、第1に以下の知見に関するものである。す
なわち、顕微鏡は、少なくとも2個の遠隔像面において
結像エネルギーをマスキングすることにより試料上の観
察区域の像の空間的精細度を相当程度改良することがで
きる。第2に、上記知見に基づき顕微鏡観察特に顕微分
光光度観察を行うことができる顕微鏡装置に関するもの
である。
特に、市販のFT−IR分光光度系と結合して用いられる
ユニバーサル顕微鏡は、試料の一区域を選択及びマスキ
ングする可視光顕微鏡と、マスクされた区域をサンプリ
ングする赤外線顕微鏡とを具えている。可視光顕微鏡及
び赤外線顕微鏡は、試料像面の同一の区域を空間に規定
するため1又はそれ以上の遠隔像面マスクと試料像面と
の間で共通の光路を共有し、可視光及び赤外線エネルギ
ーは2回マスクされる。すなわち、放射エネルギーが試
料表面に入射するときと、放射エネルギーが試料に存在
するときである。第1の像面マスクは試料像面の目標区
域外からの放射エネルギーを除去する。第2の像面マス
クは第1のマスク又は集光レンズ系で回折された目標区
域外からのエネルギーを除去する。第1の遠隔像面は、
間にある試料像面に位置する試料を透過し又は試料で反
射することによって形成された分光光度情報及び別の画
像情報を有する放射エネルギーによって第2の遠隔像面
上に効果的に結像される。
本発明の好適実施例は可視光及び赤外線を共用できる
顕微鏡を有しており、この共用顕微鏡は直立型又は反転
型のいずれにおいても透過モード及び反転モードの間で
簡単に切換えることができる。可視光での観察により操
作者は直立モード及び反転モードの両方において可視光
に対して不透明であるが赤外線放射エネルギーに透明な
試料を適切にマスクすることにより同時に反転モードで
試料を観察することができる。従って、操作者はFT−IR
分光光度計の赤外線放射エネルギービームを選択した区
域に照射する前に観察区域を選択することができる。
実験によれば、たとえ赤外線放射の波長が可視光の波
長よりも10倍以上大きくても、可視光のマスクで規定さ
れた試料像面における区域の空間体な拡がりは、赤外線
放射によって解像された区域とほぼ同一である。部分的
にコヒーレントな放射エネルギーを用いて得られた解像
度の改良は、完全にコヒーレントな放射の点光源及び完
全にコヒーレントな放射の点光源の共焦点画像形成の特
別な場合の理論的研究から予測されるものから十分超え
ている。8μm以下の径の試料は、2〜25μmの赤外線
放射エネルギーによって分光学的に十分に分離される。
本発明は添付図面により理解されることができる。
第1図は試料像面を本発明によるマスクされた遠隔像
面間に配置した共用型顕微鏡の構成を示す線図、 第2図は分光混合の現象及び本発明がいかにして課題
を解決するかを理解するのに有用な線図、 第3図はインコヒーレントな放射エネルギーを用いる
場合のマスクされた顕微鏡対物レンズの回折パターンを
示す図、 第4図は本発明によって得たスペクトラムを示すグラ
フである。
本明細書において、“放射エネルギー”という文言
は、電子的検出器を用いて顕微鏡試料を観察するために
用いられる電磁放射を意味する。これに対して、“可視
光”という文言は、試料を検鏡者に対して可視化する電
磁放射を称するものとする。可視光は放射エネルギーよ
り短い波長を有することが好ましい。
第1図は本発明を用いて使用される一般的な顕微鏡を
示す。図面を簡単略化すると共に本発明の理解のため、
当業者に広く知られているように集光レンズを外側に向
く矢印で表示し遠隔像面を破線で表示する。放射エネル
ギービーム1はモード選択ミラー211に入射する。
反射モード操作において、ミラー211は放射エネルギ
ーをミラー213及び215に向けて反射する。ミラー215に
より第1収束性対物レンズ217を経て放射エネルギーを
試料像面200に向けて反射する。この対物レンズ217はカ
セグレニアンミラーレンズとするのが好適である。しか
しながら、本発明による顕微鏡では、試料像面に収束さ
せる前に、放射エネルギーを試料像面200から物理的に
離れている第1の遠隔像面202に収束させる。第1図に
は図示されていない第1の可変開口絞りは、任意の調整
可能な幾何学形状を遠隔像面202上に空間的に規定す
る。第1の収束対物レンズ217は第1の遠隔像面を試料
像面200に投影して試料像面200上の入射放射エネルギー
によって照明される区域を選択する。第1の収束対物レ
ンズ217は遠隔試料像面を試料像面200上に投影するの
で、第1の可変開口絞りは入射放射エネルギー及び反射
放射エネルギーの両方を空間的に規定する。
透過モードにおいて、モードミラー211を切換えるこ
とにより放射エネルギーを放射源からミラー231に直接
伝播させる。入射放射エネルギーは第2の遠隔像面204
に焦点を形成する。第2の遠隔像面の第2の可変開口絞
り(図示せず)により任意の幾何学形状を空間的に規定
する。第2の収束性対物レンズ233は好ましくはカセグ
レニアンミラーレンズとされ、この第2の対物レンズに
より第2の遠隔像面を試料像面上に投影して試料像上に
放射エネルギーによって照明される区域を選択する。第
1の収束性対物レンズ217により試料像面200を透過した
放射エネルギーを第1の遠隔像面202に収束させる。第
1の遠隔像面202の第1の可変開口絞りは、第2の遠隔
像面における第2の可変開口絞りの像に対応する照明さ
れた区域の形状を第1の遠隔像面において空間的に規定
する。ミラー215,213及び211によって透過放射エネルギ
ーを検出器まで伝播させる。
第1図に示す顕微鏡装置は、試料像面を種々のモード
で観察し得るように構成されている。この顕微鏡装置
は、モードミラー211により反射モードで作動するの
で、入射エネルギービームはミラー231により第2の遠
隔像面を通過する。適切なビームスプリッタを用いて入
射放射エネルギーと反射放射エネルギーとを分離する必
要がある。同様に、この顕微鏡装置は透過モードでも作
動し、第1の収束性対物レンズ217により光源からの放
射エネルギーを試料像面に入射させる。第2の収束性対
物レンズ233により透過した放射エネルギーを集光し、
集光した放射エネルギーをミラー231により検出器に入
射させる。この顕微鏡装置は、入射放射エネルギーを第
2の収束性対物レンズに入射させ、第1の収束性対物レ
ンズ217を用いて試料を透過した放射エネルギーを集光
することにより並びに第2の収束性対物レンズ233を用
いて試料で反射した放射エネルギーを集光することによ
り透過/反射モードで作動する。また、この顕微鏡装置
は、入射放射エネルギーを第1の収束性対物レンズ217
に入射させ、第2の収束性対物レンズ233を用いて試料
を透過した放射エネルギーを集光し並びに第1の収束性
対物レンズ217を用いて試料で反射した放射エネルギー
を集光することにより透過/反射モードで作動する。
放射エネルギーを用いる操作モードの多くは通常用い
る必要がないと考えられている。従って、透過及び反射
モードだけを有する顕微鏡は、機械的構造の簡単化及び
経済性の観点より好ましいものである。一方、残りのモ
ードは、試料操作の容易性及び観察の確実性をチェック
する上で特に有用である。
第1遠隔像面202における透過区域の形状は反射観察
ビームを用いて接眼部219により決定することができ、
この接眼部はフリッパミラー(flipper mirror)221
と、フラットミラー229とが結合されて像試料面200及び
第1遠隔像面202の両方の結合像を肉眼観察するための
手段となる。フリッパミラー221は好ましいことに放射
エネルギーをブロックするので、部分的に透過性のフリ
ッパミラー221によりランプ225のフィラメントから放出
された可視光だけで像面200及び202が観察される。
試料像面は、ランプ235のフィラメント234からの可視
光の透過性観察ビームを用いて観察することができる。
第2の収束性対物レンズ233は、部分的に透過性のミラ
ー237により第1遠隔像面204に達した可視光を結像す
る。第1の収束性対物レンズ217は、ミラー221及び229
により可視光を接眼部219に入射させる。
第1図に示す顕微鏡装置は、可視光から成る多数の付
加的な観察ビームを発生させることができる。この顕微
鏡装置は、ランプ235のフィラメント234からの反転反射
観察ビームを用いることができる。部分的に透過性のミ
ラー237は可視光ビームの一部を試料像面200に向かって
反射する。ミラー239は反射光をミラー241に向けて反射
する。この光を伝達光学系245及び247によりミラー243
を経て接眼部219に入射させる。さらに、接眼部219は伝
達光学系で構成できるので、本発明による顕微鏡装置
は、反射された光で遠隔像面202及び204のマスキングを
同時に観察させるランプ225及び235からの2本の反射観
察ビームを用いて観察することができる。試料が可視光
に対して不透明であるが放射エネルギーには透過性の場
合、2本の反射ビームにより各遠隔像面を同一形状にマ
スキングすることができる。さらに、ランプ225は、ミ
ラー227及び239を用いて反転透過観察ビームを発生する
ことができる。
この顕微鏡の光路は、放射エネルギーが通る光路に対
して対称であり、或いは像試料面に対する可視光の光路
に対称である。従って、本発明の顕微鏡は、特別な測定
を行うのに必要な場合通常の直立型顕微鏡を反射型顕微
鏡に容易に変換される。
本発明の好適実施例は、可視光及び放射光が共通の光
路をとるいかなる位置においてもミラー光学系全体を用
いる。例えば可視光に対して透過性であり顕微鏡に用い
られる多くの材料は赤外光に対して不透明であり、赤外
線放射エネルギー及び可視光を同一像面に収束させるこ
とができる屈折レンズは全く知られていない。可視光で
試料をマスクし放射エネルギーで試料を観察するために
は、放射エネルギーで形成される像面と可視光によって
形成される像面とを正確に一致させる必要がある。
試料によって光学的な歪みが生ずるため、収束性対物
レンズを調整する必要がある。例えば、試料によって観
察像に球面収差が生ずるおそれがあることは当該技術分
野において既知である。この球面収差は、以下の式に従
って収束性対物レンズ217及び233の1次ミラーと2次ミ
ラーとの間隔を減少させることにより補正することがで
きる。
Kt(ni 2−1)/ni 3 ここで、t=試料の厚さ ni=試料の屈折率 K=顕微鏡対物レンズに特有な定数 この式の誘導及び利用は当業者にとって理解されてお
り、従って本発明の要件ではない。
第2図は顕微分光光度計の解像度を制限する分光混合
の現象を示す。第2a図は3個の試料材料A,B及びCを線
図的に表わす。第2b図は材料Bの領域からの放射エネル
ギー強度を表わすプロフィール401を示す。プロフィー
ル401の部分401aは領域Aに回折された放射エネルギー
を表わす。同様に、第2c図は材料Cからの放射エネルギ
ーに対応するプロフィール402を示す。プロフィール402
bは材料Cから材料Aの領域に回折された放射エネルギ
ーを表わす。第2d図は材料Aからの放射エネルギーのプ
ロフィールに対応するプロフィール403を示す。プロフ
ィール403a及び403bは材料Aの領域から材料BとCを含
む領域にそれぞれ回折された放射エネルギーを表わす。
材料B及びCからの放射エネルギーの存在により、材
料Aのスペクトラムは3個の材料の全てのスペクトラム
が混合されたものとなる。この分光混合は種々の方法で
補正することができる。本発明の顕微鏡装置は、試料像
面における材料Aの形状に対応する目標領域の空間的限
定を介して分光混合を最小にする。空間的限定は、はじ
めに試料像面に対応する実際の像面における目標領域の
外部からの放射エネルギーを除去し、次に試料像面に対
応する実際の像面における目標領域から外部へ回折され
る放射エネルギーを除去することを意味する。入射放射
の空間的な広がりを制限することにより、材料B及びC
はプロフィール403a及び403bからの放射エネルギーだけ
が入射する。試料を2回マスキングすることにより材料
B及びCに入射したエネルギーが除去されると共に試料
の分光混合が実質的に減少される。遠隔像面における放
射エネルギーのマスキングは試料表面における“近距離
場”マスキングが好ましい。けだし、近距離場マスキン
グは試料を破壊するおそれがあるためである。遠隔像面
マスキングは実際にはより一般的であり光学的に厚い試
料の内部を観察する場合すぐれた光学的な性能を発揮す
る。
多段実像面マスクを用いる顕微鏡の精細度は通常の顕
微の解像度と同じようには決定されない。照明された目
標区域の割合としての空間的精細度の改良は、以下のよ
うに設定する限り遠隔像面マスクによって形成される放
射エネルギーの波長に依存しない。i)マスクは試料面
に同一形状の目標区域を画成する。ii)目標区域の最小
寸法は放射エネルギーの波長よりも大きい。もし、これ
らの条件に適合すれば、目標区域の幾何学的形状は短波
長の放射を用いて設定できると共に目標区域を拡大する
ことなく一層長い波長の放射エネルギーを用いて観察す
ることができる。空間的精細度は、目標区域の試料のコ
ントラストにより制限される場合がある。回折量は隣接
する材料間の屈折率の差に比例するから、高いコントラ
ストの試料部分は低いコントラストの試料部分よりも一
層大きなエネルギーを隣接する区域に回折する。実験的
実証は争う余地のないものではないが、2個以上の遠隔
像面をマスキングすることは空間的精細度が増加するよ
うにはならない。
第3図は本発明による回折原理を図示する。第3a図は
回折をおこす端部500を示す。第3b図のプロファイル502
は、完全にインコヒーレントな点光源からの放射エネル
ギーを用いて遠隔像面において端部500により1回マス
クした後の顕微鏡対物レンズの回折されたエネルギー分
布を表わす。プロファイル504は第2の遠隔像面でマス
クされた第1の遠隔像面からの放射エネルギーに対する
対応するプロファイルを表わす。主回折ローブのエネル
ギーはマスクの端部により近接して取り出されるので、
遠隔像面からの放射エネルギーを2回マスクすることに
より回折リングのエネルギー量が有効に低減する。マス
ク端部が円形開口のように形成されている場合、放射エ
ネルギー中に含まれる95%のパワーが4次又は5次まで
の回折像内に含まれる。一方、2回マスクされた顕微鏡
対物レンズの場合、95%のパワー閾値は1次の回折リン
グ内に位置する。
1次の回折暗部の位置は、コヒーレントな放射の場合
インコヒーレント放射の場合よりも回折端部に一層近づ
くことが従来知られている。従って、コヒーレント放射
が望ましい。それにもかかわらず、遠隔像面における空
間的精細度によってもインコヒーレントな放射を用いる
顕微鏡対物レンズの解像度が改善される。部分的にコヒ
ーレントな放射を用いて得られた解像度も同様に増大す
る。
主な回折ローブの拡がりを減少させる別の方法は、顕
微鏡対物レンズ特に集光レンズをアポダイゼーションす
ることである。一方、アポダイゼーションによってパワ
ーは回折リングに伝えられ開口の大部分をブロックする
ことにより処理効率が低くなる。本発明の好適実施例
は、入射放射のわずかな割合だけをブロックするカセグ
レニアンミラーレンズの形態をしたアポダイゼーション
された対物レンズを用いる。解像力は、S/N比の低下を
犠牲にして対物レンズを一層広い範囲に亘ってアポダイ
ゼーションすることにより改良することができる。しか
しながら、本発明によって得られたS/N比は、市販のFT
−IR分光光度計の検出器よりも一層高感度な赤外線検出
器を用いる必要がある。開口をアポダイブすることによ
って得られた顕微鏡の解像度の増加は、距離効率の損失
を劣化させるものとは考えられない。
実 施 例 第4図は遠隔像面で放射エネルギーを2回マスキング
して得た人間の頭髪の赤外線透過スペクトラムを示す。
1回は入射放射エネルギーをマスキングし、1回は透過
した放射エネルギーをマスキングした。頭髪を試料像面
に配置し、頭髪を透過した赤外線放射エネルギーをFT−
IR分光光度計のコンピュータに接続する。頭髪は、試料
像面で顕著な回折を発生する高いコントラストの試料と
なる。吸収バンド601は、頭髪が赤外線放射エネルギー
の全吸収を呈するものとして既知の領域に対応してい
る。プロファイル611は、可視光を用いて4−シャッ
タ、試料と検出器との間に位置決めした遠隔像面におけ
る可変開口を調整して頭髪の形状に対応する矩形断面区
域を試料像面に規定して得たスペクトラムに対応する。
波数が約2950と3500との間の放射エネルギーは頭髪周囲
の区域からの回折放射エネルギーに対応する。次に、プ
ロファイル613は、同様にして光源と(検出器)試料と
の間の遠隔像面をマスキングして得たスペクトラムであ
る。吸収バンドにおける検出器に到達する迷光となる放
射エネルギーの量は減少している。この吸収バンドにお
ける検出器に到達する約3%の放射エネルギーは試料像
面上の試料区域外の区域からのものである。プロファイ
ル615は透過した赤外線放射エネルギーを両方の遠隔像
面においてマスキングすることによって得たスペクトル
に対応しているから、両方のマスクは試料像面上の同一
区域を実質的に規定していることになる。プロファイル
615は吸収バンドにおいて予測される全吸収を呈してい
る。
本発明の原理、好適実施例及び操作モードは本明細書
において説明されている。保護されるべき本発明は、本
明細書で説明した形態に限定されるものと解放されるべ
きではなく、限定するというより例示したものと解釈さ
れるべきである。本発明の精神から逸脱することなく当
業者によって変形や変更が可能である。従って、上述し
た詳細な説明は一例として考えられるべきであり、添付
した請求の範囲に記載した本発明の範囲及び精神を限定
するものと解釈してはならない。
フロントページの続き (56)参考文献 特公 昭51−39547(JP,B2) 実公 昭54−42952(JP,Y2) 実公 昭55−24566(JP,Y2) 実公 昭54−42913(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02B 21/00 - 21/36

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】放射エネルギービームを発生する放射源
    と、 反射モードと透過モードとの間でモード選択を行うモー
    ド選択手段と、 第1の遠隔像面と試料像面との間で放射エネルギーを集
    束させるように位置決めされている第1の集束性対物レ
    ンズと、 前記第1の遠隔像面に位置決めされ、第1の遠隔像面に
    おいて任意の可変形状を空間的に規定する第1の可変絞
    りと、 試料像面と第2の遠隔像面との間で放射エネルギーを集
    束するように位置決めされている第2の集束性対物レン
    ズと、 第2の遠隔像面に位置決めされ、第2の遠隔像面におい
    て任意の可変形状を空間的に規定する第2の可変絞り
    と、 試料で反射し又は試料を透過した放射エネルギービーム
    を受光する光検出器とを具え、 前記放射源から発生した放射エネルギービームを前記モ
    ード選択手段を経て試料に入射させ、試料を通過した放
    射エネルギービームを前記モード選択手段を経て光検出
    器に入射させ、前記放射源からモード選択手段までの光
    路の一部が、前記モード選択手段から前記光検出器まで
    の光路の一部と共通の光路を構成する顕微鏡装置。
  2. 【請求項2】(1) 前記第2の集束性対物レンズが第
    2の遠隔像面からの放射エネルギービームを試料像面に
    入射させ、第1の集束性対物レンズが試料像面を透過し
    たエネルギービームを第1の遠隔像面に入射させる透過
    モード、 (2) 前記第1の集束性対物レンズが、第1遠隔像面
    からの放射エネルギービームを試料像面に入射させると
    共に、試料像面で反射した放射エネルギービームを第1
    の遠隔像面まで戻す反射モード、 (3) 前記第2の集束性対物レンズが、第2遠隔像面
    からの放射エネルギービームを試料像面に入射させると
    共に試料像面で反射した放射エネルギービームを第2の
    遠隔像面まで戻し、前記第1の集束性対物レンズが、試
    料像面を透過した放射エネルギービームを第1の遠隔像
    面に入射させる透過/反射モード、 (4) 前記第1の集束性対物レンズが第1遠隔像面か
    らの放射エネルギービームを試料像面に入射させ、第2
    の集束性対物レンズが試料像面で透過した放射エネルギ
    ービームを第2の遠隔像面に入射させる反転透過モー
    ド、 (5) 前記第2の集束性対物レンズが、第2の遠隔像
    面からの放射エネルギービームを試料像面に入射させる
    と共に、試料像面で反射した放射エネルギービームを第
    2の遠隔像面まで戻す反転反射モード、 (6) 前記第1の集束性対物レンズが、第1遠隔像面
    からの放射エネルギービームを試料像面に入射させると
    共に試料像面で反射した放射エネルギービームを第1の
    遠隔像面まで戻し、前記第2の集束性対物レンズが試料
    像面を透過した放射エネルギービームを第2の遠隔像面
    に入射させる反転透過/反射モード、 のいずれかのモードで動作する請求項1に記載の顕微鏡
    装置。
  3. 【請求項3】前記いずれかの操作モードを選択する手段
    を具える請求項2に記載の顕微鏡装置。
  4. 【請求項4】前記操作モードを選択する手段が、反射モ
    ード及び透過モードから成るグループの中から選択され
    る請求項3に記載の顕微鏡装置。
  5. 【請求項5】可視光を発生する可視光源、及びこの可視
    光を顕微鏡の光路に入射させる手段をさらに具え、前記
    動作モード、加えて、 (1) 前記第2の集束性対物レンズが、第2遠隔像面
    からの可視光ビームを試料像面に入射させ、前記第1の
    集束性対物レンズが試料像面を透過した可視光ビームを
    第1の遠隔像面に入射させる透過観察モード、 (2) 前記第1の集束性対物レンズが、第1の遠隔像
    面で反射した可視光ビームを試料像面に入射させると共
    に試料像面からの可視光ビームを第1の遠隔像面に戻す
    反射観察モード、 (3) 前記第1の集束性対物レンズが、第1の遠隔像
    面からの可視光ビームを試料像面に入射させ、第2の集
    束性対物レンズが試料像面を透過した可視光ビームを第
    2の遠隔像面に入射させる反転透過観察モード、 (4) 前記第2の集束性対物レンズが、第2の遠隔像
    面からの可視光ビームを試料像面に入射させると共に、
    試料像面で反射した可視光ビームを第2の遠隔像面に戻
    す反転反射観察モード、 (5) 前記第1の集束性対物レンズが、第1の遠隔像
    面からの第1の可視光ビームを試料像面に入射させると
    共に試料像面で反射した可視光ビームを第1の遠隔像面
    に戻し、前記第2の集束性対物レンズが、第2の遠隔像
    面からの第2の可視光ビームを試料像面に入射させると
    共に試料像面で反射した可視光ビームを第2の遠隔像面
    に戻すデュアル反射観察モード、 のいずれかの観察モードで動作する請求項2に記載の顕
    微鏡装置。
  6. 【請求項6】前記第1又は第2の可変絞りの形状を調整
    するために前記可視光で視覚観察する手段をさらに具え
    る請求項5に記載の顕微鏡装置。
  7. 【請求項7】前記観察モードを選択する手段を具える請
    求項6に記載の顕微鏡装置。
  8. 【請求項8】さらに、顕微鏡装置に入射されるべき放射
    エネルギービームまたは可視光ビームのいずれかを選択
    する手段を具える請求項6に記載の顕微鏡装置。
  9. 【請求項9】請求項1に記載の顕微鏡装置において、前
    記光検出器が、放射エネルギー源からの放射エネルギー
    ビームと観察用可視光ビームとの共通の光路を伝搬する
    放射エネルギービームを受光するように構成され、 この顕微鏡装置がさらに、 前記共通の光路上に位置する試料像面に任意形状の試料
    像を形成する手段と、 (i)前記試料像面に対応する実像面において、前記任
    意形状区域以外の区域からの放射エネルギーを除去する
    手段、及び (ii)前記試料像面に対応する実像面において、前記任
    意形状の内部からこの任意形状の外側の区域へ回折され
    る放射エネルギーを除去する手段を含み、試料像面にお
    いて試料像を空間的に規定する手段と、 前記試料像面からの放射エネルギーを検出器に入射させ
    る手段とを具える顕微鏡装置。
  10. 【請求項10】前記任意形状の区域の外部からの放射エ
    ネルギーを除去する手段が、 前記試料像面から共通光路に沿って離れた位置に第1の
    遠隔像面を形成する手段と、 前記第1の遠隔像面を前記試料像面上に結像する手段
    と、 第1の調整可能なマスクによって形成される任意形状
    が、前記試料像面の任意形状に対応するように前記第1
    の調整可能なマスクを第1の遠隔像面に位置決めする手
    段とを具える請求項9に記載の顕微鏡装置。
  11. 【請求項11】前記任意形状の内部区域からこの区域の
    外部に回折する放射を除去する手段が、前記試料像面を
    共通の光軸上の第1の遠隔像面上に結像する手段を有す
    る請求項10に記載の顕微鏡装置。
  12. 【請求項12】さらに、前記共通の光路に沿って伝搬す
    る可視光を受光し、前記第1遠隔像面の第1の調整可能
    なマスクを照明しこの第1の調整可能なマスクの像を試
    料上に投影して、前記放射エネルギーと同一の任意形状
    の可視光の像を空間的に規定する手段と、 前記試料像面上の任意形状を観察する手段とを備える請
    求項11に記載の顕微鏡装置。
  13. 【請求項13】前記第1の遠隔像面を第2の遠隔像面上
    に結像する手段が、第1及び第2のミラー素子を有する
    カセグレニアンミラーレンズの少なくとも一部を具え、
    前記カセグレニアンミラーレンズが、第1のミラー素子
    と第2のミラー素子との離間距離を調整する手段を具
    え、前記ミラーレンズが放射エネルギー及び可視光の両
    方の像を結像し、 前記試料像面を第1の遠隔像面上に結像する手段が、前
    記カセグラニアンミラーレンズの少なくとも一部を具え
    る請求項12に記載の顕微鏡装置。
  14. 【請求項14】前記任意形状の区域の内部からその外部
    に回折する放射エネルギーを除去する手段が、 前記光軸に沿って試料像面から離れた位置に第2の遠隔
    像面を形成する手段と、 前記試料像面を第2の遠隔像面上に結像する手段と、 第2の調整可能なマスクによって形成された任意形状
    が、試料像面上の任意形状と対応するように、前記第2
    の調整可能なマスクを位置決めする手段とを具える請求
    項10に記載の顕微鏡装置。
  15. 【請求項15】前記第1および第2の調整可能なマスク
    並びに試料像面の第1の調整可能なマスクを照明するよ
    うに共通の光軸に沿い、前記放射エネルギーと同一の任
    意形状に空間的に規定される可視光を受光する手段と、 前記試料像面上の任意形状を観察するように前記可視光
    を観察する手段とを具える請求項14に記載の顕微鏡装
    置。
  16. 【請求項16】前記第1の遠隔像面を第2の遠隔像面に
    結像する手段が、第1及び第2のミラー素子を有する第
    1のカセグレニアンミラーレンズの少なくとも一部を具
    え、この第1のカセグレニアンミラーレンズが、第1ミ
    ラー素子と第2ミラー素子との離間を調整する手段を有
    し、前記第1のカセグレニアンミラーレンズが放射エネ
    ルギー及び可視光の両方の像を結像し、 前記試料像面を第2の遠隔像面上に結像する手段が、第
    1及び第2のミラー素子を有する第2のカセグレニアン
    ミラーレンズの少なくとも一部を具え、この第2のミラ
    ーレンズが、第1ミラー素子と第2ミラー素子との離間
    を調整する手段を有し、第2のミラーレンズが放射エネ
    ルギー及び可視光の両方の像を結像する請求項15に記載
    の顕微鏡装置。
  17. 【請求項17】さらに、前記試料像面から離れた1又は
    それ以上の別の遠隔像面を形成する手段と、 前記試料像面を前記1又はそれ以上の別の遠隔像面上に
    結像する手段と、 1又はそれ以上の別の調整可能なマスクを前記1又はそ
    れ以上の別の遠隔像面に位置決めする手段とを具える請
    求項10に記載の顕微鏡装置。
  18. 【請求項18】前記第1の遠隔像面が、実像面が介在す
    ることなく、前記共通の光路に沿って順次配置されてい
    る請求項11に記載の顕微鏡装置。
  19. 【請求項19】前記第1の遠隔像面及び第2の遠隔像面
    が、実像面が介在することなく共通の光路に沿って順次
    形成されている請求項14に記載の顕微鏡装置。
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