JP2797360B2 - 光磁気記録方法 - Google Patents

光磁気記録方法

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JP2797360B2 JP1006453A JP645389A JP2797360B2 JP 2797360 B2 JP2797360 B2 JP 2797360B2 JP 1006453 A JP1006453 A JP 1006453A JP 645389 A JP645389 A JP 645389A JP 2797360 B2 JP2797360 B2 JP 2797360B2
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【発明の詳細な説明】 以下の順序で本発明を説明する。
A 産業上の利用分野 B 発明の概要 C 従来の技術 D 発明が解決しようとする課題 E 課題を解決するための手段 F 作用 G 実施例 H 発明の効果 A 産業上の利用分野 本発明は、光磁気記録方法例えばレーザー光照射によ
る光(熱)磁気記録方法であって、その記録の読出しは
カー回転角の検出によって行うことができるようにした
光磁気記録方法に関わる。
B 発明の概要 本発明は、光磁気記録媒体の基本構造が、それぞれ垂
直磁気異方性を有する第1及び第2の磁性薄膜が面内磁
気異方性もしくは小さい垂直磁気異方性を有する第3の
磁性薄膜を介して順次磁気的に結合された構造を採るも
のであるが、第1の本発明は、さらに第1の磁性薄膜が
第1の構成膜と第2の構成膜とにより構成するものであ
り、第2の本発明は、さらに第1の磁性薄膜上にカー回
転角の大なる光磁気再生薄膜が第1の構成膜上に磁気的
に結合して積層された構成をとり、第1の構成膜のキュ
リー温度TC11より第2の構成膜のキュリー温度TC12を大
とするものであり、第2の本発明における光磁気再生膜
は、2MSRhRHCR+2MS11h11HC11<σwa+2MS12h12H
C12(ここに、MSR,MS11及びMS12、hR,h11及びh12、HCR,
HC11及びHC12はそれぞれ上記光磁気再生薄膜、第1及び
第2の各構成膜の飽和磁化、膜厚、保磁力であり、σwa
は上記第2の構成膜と上記第2の磁性薄膜との間の磁壁
エネルギー)を満足する構成をとり、第1及び第2の本
発明においては、各媒体に対して上記キュリー温度TC11
近傍で第2の磁性薄膜の磁気モーメントの反転が生じる
ことなく、かつ第2の構成膜の磁気モーメントが第2の
磁性薄膜の磁気モーメントに追従して変化するに充分な
温度T1に加熱する第1の加熱状態と、キュリー温度TC12
以上でかつ第2の磁性薄膜の磁気モーメントを反転させ
るに充分な温度T2に加熱する第2の加熱状態とを、記録
しようとする情報信号に応じて変調し、それぞれ第1の
磁性薄膜の第2の構成膜の磁化に追従して第1の構成膜
にも記録磁化を形成し、さらに光磁気再生薄膜に記録磁
化を形成するものであって情報の記録を行い、かつこの
記録を他の情報に書き換えるいわゆるオーバーライト
(overwrite)が可能な状態にするものであり、安定し
た記録及び再生とを行わしめる。
C 従来の技術 光磁気相互作用によって情報ビット(磁区)の読み出
しを行う記録媒体に対してのその情報の光(熱)磁気記
録方法においては、垂直磁化膜による磁性薄膜を有する
記録媒体に対し、その磁化の方向を膜面に垂直な一方向
に予め揃えるいわゆる初期化を施しておき、この磁化方
向と反対向きの垂直磁化を有する磁区をレーザー光照射
等の局部加熱により形成することによって、2値化され
た情報ビットとして情報を記録している。
光(熱)磁気記録方法においては、情報の書き換えに
先立って、記録された情報の消去(上記初期化に相当)
の過程すなわち消去のための時間を要し、高転送レート
での記録を実現できない。これに対し、このような独立
の消去過程の時間が不要とされた重ね書きによるいわゆ
るオーバーライト方式による記録方式が種々提案されて
いる。このオーバーライト方式の光磁気記録方法の中で
有望視されている方法としては、例えば媒体に対する外
部磁場変調法と、記録用のヘッドの他に消去用のヘッド
を設ける2ヘッド法とが知られている。外部磁場変調法
とは、例えば特公昭60−48806号公報に開示されている
ように、膜面に垂直な磁化容易軸を有する非晶質フェリ
磁性薄膜記録媒体に対する昇温用ビームの照射領域に入
力デジタル信号電流の状態に対応する極性の磁場を印加
することにより記録を行うものである。
ところで、上述のような外部磁場変調法によって情報
転送レートの高い高速記録を行おうとすると、例えばMH
zオーダで動作する電磁石が必要となる。このような電
磁石の作製は困難であり、また作製できたとしても消費
電力及び発熱が大きく実用的でないという問題点があ
る。また、2ヘッド法では、余分なヘッドを必要とし、
2つのヘッドを離して設置しなければならず、ドライブ
システムへの負担が大きく、経済性が悪く、量産にも向
かない等の問題点を有している。
そこでレーザー光等による媒体の加熱温度を切換制御
するのみで容易に書き換えすなわちオーバーライトが可
能な光磁気記録方法が有用である。
本出願人は、このような問題点の解決をはかる光
(熱)磁気記録方法を、特開昭63−52354号出願、及び
特開昭63−52535号出願で提供した。これら出願で提案
された光(熱)磁気記録方法は、第1及び第2の希土類
−遷移金属磁性薄膜の積層構造による熱磁気記録媒体を
用い、所要の第1の外部磁場の印加の下に第1の磁性薄
膜のほぼキュリー温度TC1以上でかつ第2の磁性薄膜の
副格子磁化の反転が生じない第1の温度T1に加熱する第
1の加熱状態と、温度TC1以上でかつ第2の磁性薄膜の
副格子磁化を反転させるに充分な第2の温度T2に加熱す
る第2の加熱状態とを、記録しようとする情報例えば
“0",“1"に応じて切換変調し、冷却過程で、第1及び
第2の磁性薄膜の交換結合力により第1の磁性薄膜の副
格子磁化の向きを第2の磁性薄膜の副格子磁化の向きに
揃えて、例えば“0",“1"の記録ビット(磁区)を第1
の磁性薄膜に形成すると共に、第2の外部磁場によっ
て、或いは第2の磁性薄膜組成を、その補償温度が室温
から第2の温度T2間に存在するように選定することによ
って、室温で第1の外部磁場のみによって第2の磁性薄
膜の副格子磁化が反転するようにして、オーバーライト
が可能な状態を得るようにするものである。
この場合、消去のための特別の過程(時間)を要する
ことがなく高転送レート化を図ることができるとか、上
述した2ヘッド方式あるいは外部磁場変調方式による場
合の諸課題を解決できる。
上記特開昭63−52534号出願による光(熱)磁気記録
方法について説明すると、この記録方法では、第10図に
温度Tに対応して上述した第1及び第2の各磁性薄膜
(1)及び(2)における各磁化状態を各図示の薄膜
(1)及び(2)内に矢印をもって模式的に示すよう
に、室温TR下において、両磁性薄膜(1)及び(2)の
磁化の向きが同一である状態Aと、互いに逆向きの状態
Bとの2態様によって例えば“0",“1"の情報の記録が
なされる。そして、これら記録は、外部磁場Hexの印加
と、レーザー光照射による第1及び第2の加熱温度T1
T2による加熱によって行われる。まず例えば状態Aにあ
る部位に対してレーザー光を照射して、このレーザー光
の強度あるいは照射時間を記録信号に応じて変調制御し
てその加熱温度Tを、第1の磁性薄膜(1)のほぼキュ
リー温度TC1以上でかつ所要の外部磁場Hexによって第2
の磁性薄膜(2)に磁化反転の生じない第1の加熱温度
T1に加熱する。このような加熱を行うと第1の磁性薄膜
(1)は磁化を失う状態Cを示すが、この加熱が終了し
て磁性薄膜(1)及び(2)の積層膜が温度TC1に下が
ると第1の磁性薄膜(1)に磁化が生じる。このとき、
第2の磁性薄膜(2)との交換結合力が支配的となるよ
うになされていて、これによって第1の磁性薄膜(1)
の磁化の向きは、第2の磁性薄膜(2)と同一の向きと
される。つまり、状態Aを生じさせて、例えば“0"の情
報の記録を行う。
一方、加熱温度Tを、上述の温度T1より高くかつ第2
の磁性薄膜(2)の磁化を外部磁場Hexにより反転させ
るに充分な第2の加熱温度T2に加熱する。このような加
熱を行うと第1の磁性薄膜(1)の磁化を失い、第2の
磁性薄膜(2)の磁化が反転した状態Dが生じるが、こ
の加熱が終了して磁性薄膜(1)及び(2)の積層膜が
温度TC1に下がると第1の磁性薄膜(1)に第2の磁性
薄膜(2)による交換結合力によって状態E、すなわち
もとの初期状態とはその磁化の向きが逆の状態が形成さ
れるが、このとき外部補助磁場HSUbの印加によって室温
TR近傍で第2の磁性薄膜(2)の磁化の向きを反転させ
両磁性薄膜(1)及び(2)間には磁壁MWが生じた磁化
状態B、つまり磁化状態Aとは第1の磁性薄膜(1)の
磁化の向きのみが反転した状態Bを生じさせて例えば
“1"の情報の記録を行う。
このように状態A及び状態Bにより情報“0",“1"の
記録がなされるものである。そして、この場合これら状
態A及び状態Bのいずれにおいてもこれの上に光強度変
調オーバーライトが可能である。すなわちいずれの状態
A、状態Bからも温度T1及びT2の加熱を行う場合、状態
Cの過程を経ることによって前述したと同様に温度T1
びT2の選定によって初期の状態が状態Aであるか状態B
であるかを問わず情報“0"及び“1"によって状態A及び
状態Bのオーバーライトが可能となる。
上述の構成による光磁気記録媒体では、その第1及び
第2の磁性薄膜(1)及び(2)の積層膜の界面には、
交換エネルギーが働いており、このために第1の状態B
では磁壁MWが発生するものであり、磁壁エネルギーσ
は、 (A1及びA2,K1及びK2は第1及び第2の磁性薄膜(1)
及び(2)の交換定数、垂直磁気異方性定数) そして、そのオーバーライトのために必要な条件は、
室温(−20℃〜60℃)において状態Bから状態Aへの移
行が生じることがないようにするための条件は、 HC1>HW1=σW/2MS1h1 ‥‥(2) である。
また状態Bから状態Eへの移行が生じないようにする
ための条件は HC2>HW2=σW/2MS2h2 ‥‥(3) の条件を満足することが必要である。
さらにまた状態Eにおいて、その第1の磁性薄膜
(1)が、外部補助磁場HSUbによって反転してしまうこ
とがないようにするためには、 HC1±HW1>HSUb ‥‥(41) を満足する必要がある。ここに左辺の+−は、第1の磁
性薄膜(1)が希土類金属優勢膜であり、第2の磁性薄
膜(2)が遷移金属優勢膜である場合は「+」となり、
第1及び第2の磁性薄膜(1)及び(2)が共に遷移金
属優勢膜である場合は「−」となる。
一方状態Eから状態Bへの移行を生ぜしめるために
は、 HC2+HW2<HSUb ‥(42) を満足することが必要である。
また、さらに加熱温度が第1の磁性薄膜(1)のキュ
ーリー温度TC1近傍において、状態Cから状態Aへの移
行、すなわち第1の磁性薄膜(1)の磁化の向きが第2
の磁性薄膜(2)の磁化の向きに揃えられるためには、 HW1>HC1+Hex ‥‥(5) 式の条件が満足されることが必要であり、さらに状態C
から状態Eへの移行が生じないために、 HC2−HW2>Hex ‥‥(6) 式の条件が満足されることが必要である。
尚、上記各式においてHW1及びHW2は(2)(3)式で
定義された交換結合力による実効的磁界、HC1及びHC2
MS1及びMS2、h1及びh2はそれぞれ第1及び第2の磁性薄
膜の保磁力、飽和磁化、厚さである。
これらより明らかなように、室温においては上記
(2)式及び(3)式を満足し得る上で磁壁エネルギー
σは小さい方が望ましいが、実際には例えば文献:イ
ンターマグ'87(Intermag'87)BB−07よりK〜4×106e
rg/cm3,A=2×10-6erg/cmと推定すると、 σW2.5erg/cm3 という可成り高い値を示す。
一方、2層膜ヒステリシスループからの実測値ではσ
=3〜8erg/cm2にある。今、仮にσ=5erg/cm2
し、HCMS0.45×106erg/cm2を用いてHex=2kOeとして
上記(6)式を室温TRで確保するには、すなわちHC2−H
W2>2kOeを確保するには、h2=1100Å,HC2=4kOe,HW2
2kOe程度となり、第2の磁性薄膜(2)の膜厚h2が大き
くなるとともに(42)式より外部補助磁場HSUbが大きく
なる。
一方、光磁気記録媒体からの記録の再生は光例えばレ
ーザー光照射によってその情報ビットすなわち磁区にお
けるカー回転角θkの相違を検出してその読み出しを行
う。この場合、その再生膜としてカー回転角θkが大き
い磁性薄膜を用いることが望まれる。ところが一般にキ
ュリー温度が低い磁性薄膜はカー回転角が小さい。した
がって上述した第1及び第2の磁性薄膜(1)及び
(2)の積層構造による磁気記録媒体を用いる場合、そ
の再生層としての第1の磁性層は、前述した動作を行わ
しめる上でそのキュリー温度TC1が低く選ばれているこ
とからカー回転角θkは比較的小さくなるという問題が
ある。これに対して例えば特開昭63−48637号公報に開
示された光磁気記録媒体においては、その第1の磁性薄
膜上に再生層としてキュリー点が高いすなわちカー回転
角の大きい再生層を設けるという方法がとられている。
D 発明が解決しようとする課題 前述の第10図で説明した光磁気記録方法においては、
その室温での磁壁エネルギー密度σを小さくし、かつ
上記(42)式を満足させるようなσの温度特性を改善
することによって第2の磁性薄膜(2)の膜厚h2及び外
部補助磁場HSUbの減少をはかるものとして本出願人は先
に特願昭63−174695号出願「熱磁気記録方法」及び特願
昭63−272400号出願「熱磁気記録方法」の提案をなし
た。
上記特願昭63−174695号出願で提案された記録方法に
おいては、第11図に示すように、各磁気記録媒体(10)
を用意するものである。この熱磁気記録媒体(10)は、
垂直磁気異方性を有する第1及び第2の磁性薄膜(1)
及び(2)が面内磁気異方性もしくは小さい垂直磁気異
方性を有する第3の磁性薄膜(3)を介して順次磁気的
に結合されて積層された積層膜を有してなる。
そしてこの記録媒体(10)に対してレーザー光照射に
よる温度Tを第10図で説明したと同様に第11図に示すよ
うに、第1及び第2の温度T1及びT2に加熱することによ
る情報記録を行う。すなわち、第1の磁性薄膜(1)の
ほぼキュリー温度TC1以上でかつ第2の磁性薄膜(2)
の磁気モーメントの反転の生じない第1の温度T1に加熱
する第1の加熱状態と、第1の磁性薄膜(1)のキュリ
ー温度TC1以上でかつ第2の磁性薄膜(2)の磁気モー
メントを反転させるに充分な第2の温度T2に加熱する第
2の加熱状態とを、記録しようとする情報信号に応じて
変調し、それぞれの加熱状態から冷却することにより上
述した状態A及び状態Bを得る。
このような方法においても、第1の磁性薄膜(1)の
磁化状態によって情報記録を行うものであるが、この方
法による場合、第1及び第2の磁性薄膜(1)及び
(2)が面内磁気異方性もしくは小さい垂直磁気異方性
を有する第3の磁性薄膜(3)を介して磁気的に結合さ
れていることによって、第1及び第2の磁性薄膜(1)
及び(2)間の磁壁エネルギーσが低減化され、これ
によって前記(42)式の条件が満たされやすくなり、前
記状態EからBへの移行のための外部補助磁場HSUbの低
減化をはかることができると共に積層膜全体の厚さの低
減化をはかることができる。
ところが、この第1〜第3の磁性薄膜(1)〜(3)
による3層構造においても、温度T1及びT2を与える光強
度変調オーバライトを実現するのに、少くとも下記(1
1)式及び(12)式を満足する必要がある。すなわち、
第1の磁性薄膜(1)のキュリー温度TC1の直下の温
度、すなわちTC1の近傍でこれより低い高温度では、第
2の磁性薄膜(2)の磁化状態の第1の磁性薄膜(1)
への転写が生じるために、すなわち状態Cから状態Aへ
の移行,及び状態Dから状態Eへの移行を生ぜしめるた
めに前記(5)式に対応して、 σwa>2MS1h1HC1 ‥‥(11) を満足することが必要であり、片や室温では第1の磁性
薄膜(1)の記録磁区の保存あるいは再生時において、 σwa<2MS1h1HC1 ‥‥(12) が満たされることが必要となる。ここにσwaは、第1及
び第2の磁性薄膜(1)及び(2)間、つまりほぼ第3
の磁性薄膜(3)の位置に存在する磁壁エネルギーで前
記σwに対応する。またこれら条件式(11)及び(12)
において外部磁場は、保磁力HC1が1kOe〜2kOe程度にあ
るに比し、例えば200〜300(Oe)程度の小さい値である
ことからこれを無視している。
このように室温付近と第1の磁性薄膜(1)のキュリ
ー温度TC1直下の高温下とで、σwaと2MS1h1HC1の大小関
係が逆転しなければならないことになる。すなわち、第
12図に示すようにEHC1=2MS1h1HC1,Ewa=σwaの各温度
特性の関係を実線曲線(31)及び破線曲線(32)で示す
ように、所要の温度T1でそのエネルギーの大小関係が逆
転することが要求されることになる。この場合、σwaと
2MS1h1HC1とが等しくなる温度T1が、おおよそ第1の磁
性薄膜(1)の磁化が第2の磁性薄膜(2)の磁化に揃
うすなわち消去温度となる。
実際には、式(11)及び式(12)が単に満足されれば
よいわけではなく、第1の磁性薄膜(1)のキュリー温
度TC1直下の温度では(σwa−2MS1h1HC1)が大きいほど
よく、一方室温付近では(2MS1h1HC1−σwa)が大きい
ほど記録ビットすなわち磁区が安定に保存される。ま
た、量産時には温度T1を安定に制御する必要があるが、
上述の3層構造では実際上Ewa及びEHC1の温度特性に大
きな差が生じないことによってEwaまたはEHC1の変動に
対して温度T1が大きく変化してしまう。
一方、上述の3層構造による光磁気記録媒体におい
て、その再生出力を上げる上で前述したカー回転角θk
の大きい再生層を設けることを想定すると、第11図に模
式的に示すように、基板(21)上に再生層すなわちキュ
リー温度が高いすなわちカー回転角θkの大きい垂直磁
化膜よりなる再生層(22)とさらにこれの上に順次第11
図で説明した第1の磁性薄膜(1),第3の磁性薄膜
(3),第2の磁性薄膜(2)を順次積層して構成する
ことになる。ところが、この場合第14図に示すように各
磁性膜上に矢印をもってその遷移金属例えば鉄Feのスピ
ンの方向を示すように先の記録状態が再生層(22)と第
2の磁性層(2)とのスピンの向きが逆の向きである場
合オーバライトに当ってのT1の温度とした場合に第1の
磁性薄膜(1)における磁化の向きが再生層(22)及び
第2の磁性薄膜(2)からの両者のスピンによって不安
定な状態となり、第1の磁性薄膜(1)が第2の磁性薄
膜(2)の磁化状態に追従すなわち転写して例えば第11
図で説明した状態Aがスムーズに得られなくなる場合が
生じてくる。そして、この転写がスムーズに行われるた
めには σwa>2MS1h1HC1+2MSRhRHCR ‥‥(13) であることが必要となる。ここにMSR,hR及びHCRは再生
層(22)の飽和磁化,膜厚及び保磁力である。そして、
この場合再生層(22)と第2の磁性薄膜(1)との界面
磁壁エネルギーは2MSRhRHCRに比べて充分大きいものと
する。このように、再生層(22)が設けられることによ
って(13)式の右辺が大となるので、(13)式を成立し
易くするには例えば再生層(22)の膜厚hRを薄くしなけ
ればならないことになり再生層としての効果が薄くなる
という問題が生じてくる。そして、この再生層の厚さの
犠牲を回避するにはσwaを大きくする必要が生じてくる
が、この場合は前述した第3の磁性薄膜(3)として室
温で面内磁化あるいは小さい垂直磁化膜を設けることと
相容れなくなる。
本発明の1の目的は、上述した第1及び第2の磁性薄
膜と両者間に介在する第3の磁性薄膜との3層構造を基
本構造とするものにおいてその第1の磁性層のキュリー
温度TC1直下の温度及び室温下で共に前記(11)式及び
(12)式を確実に満足することができるようにし、さら
にその温度T1を上述した消去温度T1を安定に設定できる
ようにすることである。
本発明の他の目的は、上述した3層の基本構造におい
て再生層すなわちカー回転角の大きい光磁気再生薄膜を
設ける場合における不安定性の課題の解決をはかること
にある。
E 課題を解決するための手段 先ず第1の発明は、第1図にその略線的断面図を示す
ように、それぞれ垂直磁気異方性を有する第1の構成膜
(11)と第2の構成膜(12)とより成る第1の磁性薄膜
(1)と、垂直磁気異方性を有する第2の磁性薄膜
(2)とが、第1の磁性薄膜(1)の第1の構成膜
(11)と第2の磁性薄膜(2)との間に面内磁気異方性
もしくは小さい垂直磁気異方性を有する第3の磁性薄膜
(3)を介して順次磁気的に結合されて積層された積層
膜を含む光磁気記録媒体S1を用いる。そして、ここに第
1の磁性薄膜(1)の第1の構成膜(11)のキュリー温
度Tc11より第2の構成膜(12)のキュリー温度Tc12が大
にされるものであり、キュリー温度Tc11近傍で、第2の
磁性薄膜(2)の磁気モーメントの反転が生ずることが
なく、かつ第1の磁性薄膜(1)の第2の構成膜(12
の磁気モーメントが第2の磁性薄膜(2)の磁気モーメ
ントに追従して変化するに充分な温度T1に加熱する第1
の加熱状態と、キュリー温度Tc12以上でかつ第2の磁性
薄膜(2)の磁気モーメントを反転させるに充分な温度
T2に加熱する第2の加熱状態とを、記録しようとする情
報信号に応じて変調し、それぞれ加熱状態から冷却する
ことにより第1の磁性薄膜(1)の第2の構成膜(12
の磁化に追従して第1の構成膜(11)にも記録磁化を形
成するする。
また、第2の発明は、第2図にその略線的断面図を示
すように、それぞれ垂直磁気異方性を有する第1の構成
膜(11)と第2の構成膜(12)とより成る第1の磁性薄
膜(1)と、垂直磁気異方性を有する第2の磁性薄膜
(2)とが、第1の磁性薄膜(1)の第1の構成膜
(11)と第2の磁性薄膜(2)との間に面内磁気異方性
もしくは小さい垂直磁気異方性を有する第3の磁性薄膜
(3)を介して順次磁気的に結合されると共に、上記第
1の磁性薄膜の第1の構成膜(11)上に磁気的に結合す
る光磁気再生薄膜(4)が積層された積層膜を含む光磁
気記録媒体S2を用いる。そして、ここに第1の磁性薄膜
(1)の第1の構成膜(11)のキュリー温度Tc11より第
2の構成膜(12)のキュリー温度Tc12が大とされるもの
であり、更にその光磁気再生薄膜(4)は、 2MSRhRHCR+2MS11h11HC11<σwa+2MS12h12HC12 ‥‥(21) (ここに、MSR,MS11及びMS12、hR,h11及びh12、HCR,H
C11及びHC12はそれぞれ光磁気再生薄膜(4)、第1及
び第2の構成膜(11)及び(12)の各飽和磁化、膜厚、
保磁力であり、σwaは第2の構成膜(12)と第2の磁性
薄膜(2)との間の磁壁エネルギー)を満足し、かつカ
ー回転角θkが第1の構成膜(11)に比して大に選ばれ
る。このような光磁気記録媒体S2が用いられて、上述し
たキュリー温度TC11近傍で、第2の磁性薄膜(2)の磁
気モーメントの反転が生じず、かつ第1の磁性薄膜
(1)の第2の構成膜(12)の磁気モーメントが第2の
磁性薄膜(2)の磁気モーメントに追従して変化するに
充分な温度T1に加熱する第1の加熱状態と、上記キュリ
ー温度TC12以上でかつ第2の磁性薄膜(2)の磁気モー
メントを反転させるに充分な温度T2に加熱する第2の加
熱状態とを、記録しようとする情報信号に応じて変調
し、それぞれの加熱状態から冷却することにより第1の
磁性薄膜(1)の第2の構成膜(12)の磁化に追従して
第1の構成膜(11)及び光磁気再生薄膜(4)にも記録
磁化を形成するようにする。
そして、上述の各構成において、第1の磁性薄膜
(1)の第1及び第2の構成膜(11)及び(12)のキュ
リー温度TC11及びTC12と、第2及び第3の磁性薄膜
(2)及び(3)の各キュリー温度TC2及びTC3とは、T
C11<TC12<TC3,TC2に選定される。
F 作用 第1図で説明した第1の発明によれば、第1の磁性薄
膜(1)を、第1及び第2の構成膜(11)及び(12)に
よって構成し、各構成膜(11)及び(12)のキュリー温
度TC11及びTC12を、第2の磁性薄膜(2)側の構成膜
(12)のキュリー温度TC12を大に、つまり、TC11<TC12
としたことに特徴を有する。すなわち本発明によるとき
は、例えば第3図に示すように、2層構造による第1の
磁性薄膜(2)の実効的保磁力エネルギーは、それぞれ
キュリー温度の相違する第1及び第2の構成膜(11)及
び(12)のエネルギーは、曲線(411)で示すEHC11(=
2MS11h11HC11)と、曲線(412)で示すEHC12(=2MS12h
12HC12)との和、すなわち曲線(41)となり、キュリー
温度TC11近傍で変曲点を有し、TC11より低い室温側で急
峻な温度特性を示す。一方、Ewaは曲線(42)で示すよ
うに直線的特性を示すので、温度T1より低い温度では両
者の差が大となり記録情報ビットすなわち磁区が安定に
保持され、また、光磁気記録媒体の製造において、Ewa,
EHC11及びEHC12に多少の変動が生じた場合でも、両特性
曲線(42)及び(41)の交叉する温度T1が大きく変動す
ることが回避される。そして、温度T1近傍の高い温度で
は、第1の磁性薄膜(1)が、第2の構成膜(12)のみ
による特性に依存することになることから、第1の磁性
薄膜(1)の実効的厚さは、第2の構成膜(12)の厚さ
h12のみの薄い膜厚となり、(11)式をも満足すること
ができる。
また第2図で説明した第2の本発明によれば、更に加
えて、カー回転角θkの大きい光磁気再生薄膜(4)が
設けられる構成がとられ、かつ前記(21)式を満足する
構成としたことによってオーバーライトに当って第1の
磁性層(1)がキュリー温度の高い光磁気再生薄膜
(4)による磁化の向きによって不安定性を招来するこ
となく第1の構成膜(11)のキュリー温度TC11近傍で、
確実に第1の構成膜(11)が第2の構成膜(12)に追従
して記録磁化が生じるようになされる。
G 実施例 第1の本発明方法における光磁気記録媒体S1は、第1
図に示すようにガラス板やアクリル板等の光透過性基板
(5)の一方の面に、保護膜又は干渉膜となる透明な誘
電体膜(6)を介して第1の磁性薄膜(1)を構成する
第1及び第2の構成膜(11)及び(12)と、第3の磁性
薄膜(3)と、第2の磁性薄膜(2)とを順次積層形成
する。
第1図の磁性薄膜(1)の第1及び第2の構成膜
(11)及び(12)は希土類−遷移金属薄膜で比較的垂直
磁気異方性Kuが大きい材料例えばTbFeCoで構成される。
両構成膜(11)及び(12)は共に希土類優勢膜或いは遷
移金属優勢膜のいずれによっても構成し得るが以下の条
件を満す必要がある。すなわち第2の構成膜(12)のキ
ュリー温度TC12直下で σwa>2MS12h12HC12+2MS12h12Hex ‥‥(31) TC11直下で σwa>2MS11h11HC11+2MS11h11Hex ‥‥(32) (ここに、σwbは第1の構成膜(11)と第2の構成膜
(12)との界面の磁壁エネルギー密度,Hexは外部磁場す
なわち外部記録磁場である。)なる条件を満すものとす
る。
また、第2の本発明方法における光磁気記録媒体S
2は、上述した第1の本発明方法における光磁気記録媒
体S1の構成に加えて第2図に示すように光磁気再生薄膜
(4)が設けられる。すなわち、この第2の本発明方法
における光磁気記録媒体S2についても、第2図に示すよ
うにガラス板やアクリル板等の光透過性基板(5)が設
けられ、その一方の面に、保護膜又は干渉膜となる透明
の誘電体膜(6)を介して、光磁気再生薄膜(4)と、
第1の磁性薄膜(1)を構成する第1及び第2の構成膜
(11)及び(12)と、第3の磁性薄膜(3)と、第2の
磁性薄膜(2)とを順次積層形成する。
そして、これら光磁気記録媒体S1及びS2の各膜
(6),(11),(12),(3),(2)、或いは各膜
(6),(4),(11),(12),(3),(2)の積
層形成は、それぞれ例えばマグネトロン型スパッタリン
グ装置を用い例えば多源スパッタリングすなわち多源タ
ーゲットから連続的ないしは同時的に積層スパッタリン
グして形成し得る。
各光磁気記録媒体S1及びS2の第3の磁性薄膜(3)
は、室温で面内磁気異方性もしくは第1及び第2の磁性
薄膜(1)及び(2)に比し小さい垂直磁気異方性の例
えば1×10-6erg/cm3以下であることが好ましくかつそ
の有効異方性定数Kの温度特性曲線が上に凸の特性ない
しは直線的特性を示す希土類優勢金属膜で、室温での飽
和磁化MSが0〜450emu/cm3であることが望まれる。
また匣体S1及びS2において第2の磁性薄膜(2)は、
垂直磁気異方性の大きいGdTbFeCoによって構成し得る。
先ず光磁気記録媒体S1による第1の発明について、実
施例を挙げて説明する。
実施例1 下記表1に示す組成,磁気的特性及び膜厚を有する各
磁性薄膜(11),(12),(3),(2)を有する第1
図に示した構成の光磁気記録媒体S1を作製した。
この光磁気記録媒体S1を用いて光磁気記録を行う場合
の動作態様を第4図の磁化状態図をもって説明する。第
4図において各膜(11),(12),(3)及び(2)中
に遷移金属Feのスピンの向きを矢印をもって示す。この
場合、外部磁場Hex及び外部補助磁場HSUbの方向は磁性
薄膜(2)の組成によって変るが図示の場合は、遷移金
属優勢膜として示した。第1図の温度T1は、例えば第1
の構成膜(11)のキュリー温度TC11直下の温度に選定
し、第2の温度T2は第2の構成膜(12)のキュリー温度
TC12より大に選定する。この場合においても第8図或い
は第9図で説明したと同様の状態を採って、状態A及び
B、すなわち第1及び第2の磁性薄膜(1)及び(2)
が同一の向きに磁化された状態Aと逆向きに磁化された
状態Bによる情報の記録がなされる。そしてこの場合、
例えばレーザー光照射して第1の加熱温度T1(第3図の
消去温度T1)とすると前記(32)式及び第3図の曲線
(41)及び(42)の交叉によってこれよりの冷却過程で
状態A及びBのいずれの場合でも第2の構成膜(12)の
スピンの向きは、第2の磁性薄膜(2)の向きに揃えら
れた状態Cが生じ冷却過程での第1の構成膜(11)のキ
ュリー温度TC11直下で前記(32)式が成立するようにな
されていることによって第1の構成膜(11)は、第2の
構成膜(122)のスピンの向きが揃えられる。このよう
にして状態A及びBのいずれにおいても第1の温度T1
よって状態Aへのオーバライトがなされる。そして同様
に例えばレーザー光の照射による第2の磁性薄膜(2)
のキュリー温度TC2より高いすなわち第1及び第2のキ
ュリー温度TC11及びTC12より高い第2の温度T2の加熱に
よって外部磁場(記録磁場)Hexによって第2の磁性薄
膜(2)のスピンの向きが反転され、冷却過程によって
前記条件(31)式及び(32)式によって第1の磁性薄膜
(1)の第1及び第2の構成膜(11)及び(12)のスピ
ンの向きが共に第2の磁性膜(2)のスピンの向きに揃
えられた状態Eが生じる。そして室温に冷却された状態
で、この状態Eから外部補助磁場HSUbによって第2の磁
性薄膜(2)のスピンが反転して状態Bが生じるように
なされる。これがため外部補助磁場HSUbは HSUb>HC2+σwa/2MS2h2 ‥‥(33) なる条件に選定される。そして、本実施例の第1の磁性
薄膜(1)における保磁力エネルギーと第1及び第2の
磁性薄膜間の磁壁エネルギーの温度特性は第3図に示さ
れるように室温近傍で磁壁エネルギーが曲線(42)で示
されるように充分小さいことから(33)式における外部
補助磁場HSUbは充分小さくすることができる。
一方この状態Bの第1の磁性薄膜(1)の第1及び第
2の構成膜(11)及び(12)の磁化状態が安定に保持さ
れるには、 比較例1 第9図で説明した3層構造による光磁気記録媒体を用
いた。この場合の各膜の組成,磁気的特性及び膜厚を表
2に示す。
この場合の第1及び第2の磁性薄膜(1)及び(2)
間の磁壁エネルギーEwa(=σwa)及び第1の磁性薄膜
(1)の保磁力エネルギーのそれぞれの温度特性を曲線
(51)及び(52)に示す。
これら実施例1及び比較例1において第3図及び第5
図における消去温度T1の変動について考察する。第3の
磁性薄膜(3)の膜厚h3等の変動に対しての磁壁エネル
ギーEwaの変化は、それぞれ20℃において、第3の磁性
薄膜(3)の膜厚h3=125ÅでEwa≒2erg/cm2でありh3
150ÅでEwa≒1.6erg/cm2となる。比較例1による第5図
の場合σwa=2erg/cm2でEHC1=Ewaとなる温度T1は、約1
30℃であり、実施例1による第3図ではσwa=1.6erg/c
m2でT1≒165℃となることがわかる。そして通常製作上
σwaは0.2erg/cm2程度の誤差が生ずるので、いま仮にσ
wa=1.8erg/cm2(20℃において)となった場合を考える
と、第5図から比較例1の3層膜ではT1≒148℃となる
に比し第3図の実施例1ではT1=162℃となる。従って
σwaの0.2erg/cm2の変動に対して3層膜ではT1は18℃の
変化であるにし、実施例1の本発明の4層膜では3℃の
変化にとどまる。
このように、第1の磁性層をキュリー点の異なる2層
で構成することにより、量産時のEwaまたはEHCの変動に
対する温度T1の変化を低減することが可能となる。
尚、上述の構成でTC12−TC11が10〜70℃とすることが
望ましい。これは10℃未満では、第3図で説明した効果
が余り生じないこと、また70℃を超えると、つまりTC12
が余り高くなると、第2の温度T2を高くする必要から大
きな記録パワーを必要としてくることに困る。
次に第2図の光磁気記録媒体S2による第2の発明につ
いて実施例を挙げて説明する。
実施例2 下記表3に示す組成,磁気的特性及び膜厚を有する各
磁性薄膜(4),(11),(12),(3),(2)を有
する第2図に示した構成の光磁気記録媒体S2を作製し
た。
そして、ここに、光磁気再生薄膜(4)の厚さhRを75
Åとした光磁気記録媒体S2Aと、光磁気再生薄膜(4)
の厚さhRを150Åとした光磁気記録媒体S2Bとを作製し
た。これら媒体S2A及びS2Bは共に前記(21)式が成り立
つように構成される。これら光磁気記録媒体S2A及びS2B
を用いて光磁気記録を行う場合の動作態様を第6図に示
す。第6図において各膜(4),(11),(12),
(3)及び(2)中に遷移金属Feのスピンの向きを矢印
をもって示す。この場合においても第1の温度T1は第1
の構成膜(11)のキュリー温度TC11に選定するものと
し、第2の温度T2は第2の構成膜(12)のキュリー温度
TC12より大きく選定する。この場合においても第8合図
あるいは第9図で説明したと同様に状態AおよびBすな
わち、第1及び第2の磁性薄膜(1)及び(2)が同一
の向きに磁化された状態Aと逆向きに磁化された状態B
による情報の記録がなされる。そして、この場合再生薄
膜(4)は共に第1の磁性薄膜(1)と同一の向きに磁
化された状態にある。そしてこの場合例えばレーザー光
照射して例えば第1の構成膜(11)のキュリー温度TC1
直下の加熱温度T1とすると、第3図の特性から第1の構
成膜(11)と第2の磁性薄膜(2)のスピンの向きがそ
ろえられるがこの時、光磁気再生薄膜(4)はそのキュ
リー温度TCRが高いことから先の状態が状態Aであるか
状態Bであるかによって状態CAあるいは状態CBの2態様
がとられる。しかしながらこれが冷却されて室温TRに近
づくにつれて、前記(21)式に選定されていることによ
って、すなわち光磁気再生薄膜(4)の保磁力エネルギ
ーと第1の構成膜(11)の保磁力エネルギーの和が、第
2の構成膜(12)と第2の磁性薄膜(2)との間の磁壁
エネルギーσwaと第2の構成膜(12)の保磁力エネルギ
ーの和に比して小に選定されることによって仮え、状態
CBが生じても冷却過程で状態Aへと確実に移行する。す
なわち第1の温度T1によって状態Aによる情報記録がな
される。そして同様に例えばレーザー光の照射による第
2の磁性薄膜(2)のキュリー温度TC2より高いすなわ
ち第1及び第2のキュリー温度TC11及びTC12より高い第
2の温度T2の加熱によって外部磁場(記録磁場)Hexに
よって第2の磁性薄膜(2)のスピンの向きが反転さ
れ、冷却過程によって前記条件(31)式及び(32)式に
よって第1の磁性薄膜(1)の第1及び第2の構成膜
(11)及び(12)のスピンの向きが共に第2の磁性薄膜
(2)のスピンの向きに揃えられた状態Eが生じる。そ
して室温に冷却された状態で、この状態Eから外部補助
磁場HSUbによって第2の磁性薄膜(2)のスピンが反転
して状態Bが生じるようになされる。これがため外部補
助磁場HSUbは前述した(33)式の条件に選定され、更に
実施例1で説明したと同様に外部補助磁場HSUbは充分小
さくすることができる。
比較例2 第11図で説明した3層構造に再生層(22)を積層した
光磁気記録媒体を用い、下記表4に示す組成磁気的特性
及び膜厚を有する各層(22)及び薄膜(22),(1),
(3),(2)を有する光磁気記録媒体を作製した。
そしてここに再生層(22)の膜厚hRをそれぞれhR=75
Å及びhR=150Åとした媒体SCA及びSCBを作製した。
これら各実施例2及び比較例2における媒体S2A,S2B
及びSCA及びSCBに対して、実際に外部磁場Hexを印加し
てその強さを変化させた場合のオーバーライト時のC/N
の測定結果を第7図に示す。同図において曲線(71)
(72)(73)(74)はそれぞれ媒体S2A,S2B,SCA,SCB
測定結果でこれらを比較して明らかなように曲線(71)
(72)で示された本発明による実施例2は曲線(73)及
び(74)で示される比較例2に比して格段にC/Nの改善
がはかられる。この場合記録条件はレーザー光の媒体と
の相対線速度を11.3m/sとし、記録周波数を5MHzとし、
対物レンズの開口数N.A.=0.53,レーザー波長を780nmと
した場合である。
このように第2の発明においてはオーバーライトにお
けるノイズの改善がはかられることがわかる。
上述した各例においては、第2の磁性薄膜(2)が単
層構造を有する場合であるが、この第2の磁性薄膜
(2)についても例えば2層構造とすることができる。
例えば第8図に示すように第1図で説明した光磁気記録
媒体S1においてその第2の磁性薄膜(2)を第1及び第
2の構成膜(21)及び(22)によって構成する。これら
第1及び第2の構成膜(21)及び(22)は、その保磁力
HC21及びHC22の温度特性が、第9図中曲線(91)及び
(92)に示すように、HC21及びHC22の室温における保磁
力HC21R及びHC22RがHC21R>HC22Rであ、各キュリー温度
TC21及びTC22がTC21<TC22である各垂直磁気異方性を有
する磁性薄膜によって構成し、記録時ノイズの低減化,
再生C/N(S/N)の向上をはかるようにした構造をとるこ
ともできる。この2層構造による第2の磁性薄膜(2)
とする構成は、例えば第2図で説明した光磁気再生薄膜
(4)を有する媒体S2に適用することもできるなど、上
述した例に限らず種々の変形変更を採り得る。
H 発明の効果 上述した第1の発明によれば、第1の温度T1の設定を
ばらつきなくすなわち安定に動作させることができ、C/
N(S/N)の改善をはかることができると共に、室温にお
ける磁壁エネルギーσw(σa)の低減化によって外部
補助磁場の低減化をはかることができる。
また第2の発明によれば、カー回転角θkが大きい光
磁気再生薄膜(4)を設けたことにより再生出力の向上
をはかると共にこのカー回転角θの大きいすなわちキュ
リー温度の高い光磁気再生薄膜(4)を設けたことによ
る動作の不安定性及びノイズの増大化の改善をはかるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図,第2図及び第8図は、夫々本発明方法に用いる
光磁気記録媒体の略線的断面図、第3図及び第5図は夫
々磁壁エネルギーと第1の磁性薄膜の保磁力エネルギー
の温度特性図、第4図及び第6図は磁化状態図、第7図
はオーバーライトのC/Nの測定結果を示す図、第9図は
保磁力の温度特性曲線図、第10図及び第11図は本発明と
対比される光磁気記録方法の磁化状態図、第12図は、本
発明方法に対して比較される例の磁壁エネルギーと保磁
力エネルギーの温度特性曲線図、第13図は対比例の構成
図、第14図はその説明図である。 (1)は第1の磁性薄膜、(11)及び(12)はその第1
及び第2の構成膜、(2)及び(3)は第2及び第3の
磁性薄膜、(4)は光磁気再生薄膜である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−5234(JP,A) 特開 昭63−316343(JP,A) 特開 昭63−48637(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 11/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】それぞれ垂直磁気異方性を有する第1の構
    成膜と第2の構成膜とより成る第1の磁性薄膜と、垂直
    磁気異方性を有する第2の磁性薄膜とが、上記第1の磁
    性薄膜の上記第1の構成膜と上記第2の磁性薄膜との間
    に面内磁気異方性もしくは小さい垂直磁気異方性を有す
    る第3の磁性薄膜を介して順次磁気的に結合されて積層
    された積層膜を含む光磁気記録媒体を用い、 上記第1の磁性薄膜の上記第1の構成膜のキュリー温度
    Tc11より上記第2の構成膜のキュリー温度Tc12が大で、 上記キュリー温度Tc11近傍で、上記第2の磁性薄膜の磁
    気モーメントの反転が生じず、かつ上記第1の磁性薄膜
    の上記第2の構成膜の磁気モーメントが上記第2の磁性
    薄膜の磁気モーメントに追従して変化するに充分な温度
    T1に加熱する第1の加熱状態と、上記キュリー温度Tc12
    以上で、かつ上記第2の磁性薄膜の磁気モーメントを反
    転させるに充分な温度T2に加熱する第2の加熱状態と
    を、記録しようとする情報信号に応じて変調し、 上記それぞれの加熱状態から冷却することにより上記第
    1の磁性薄膜の第2の構成膜の磁化に追従して上記第1
    の構成膜にも記録磁化を形成することを特徴とする光磁
    気記録方法。
  2. 【請求項2】それぞれ垂直磁気異方性を有する第1の構
    成膜と第2の構成膜とより成る第1の磁性薄膜と、垂直
    磁気異方性を有する第2の磁性薄膜とが、上記第1の磁
    性薄膜の上記第1の構成膜と上記第2の磁性薄膜との間
    に面内磁気異方性もしくは小さい垂直磁気異方性を有す
    る第3の磁性薄膜を介して順次磁気的に結合されると共
    に、上記第1の磁性薄膜の第1の構成膜上に磁気的に結
    合する光磁気再生薄膜が積層された積層膜を含む光磁気
    記録媒体を用い、 上記第1の磁性薄膜の上記第1の構成膜のキュリー温度
    Tc11より上記第2の構成膜のキュリー温度Tc12が大で、 上記光磁気再生薄膜が、2MSRhRHCR+2MS11h11HC11<σw
    a+2MS12h12HC12(ここに、MSR,MS11及びMS12、hR,h11
    及びh12、HCR,HC11及びHc12はそれぞれ上記光磁気再生
    薄膜、第1及び第2の構成膜の各飽和磁化、膜厚、保磁
    力であり、σwaは上記第2の構成膜と上記第2の磁性薄
    膜との間の磁壁エネルギー)を満足し、かつカー回転角
    が上記第1の構成膜に比して大で、 上記キュリー温度Tc11近傍で、上記第2の磁性薄膜の磁
    気モーメントの反転が生じず、かつ上記第1の磁性薄膜
    の上記第2の構成膜の磁気モーメントが上記第2の磁性
    薄膜の磁気モーメントに追従して変化するに充分な温度
    T1に加熱する第1の加熱状態と、上記キュリー温度TC12
    以上でかつ上記第2の磁性薄膜の磁気モーメントを反転
    させるに充分な温度T2に加熱する第2の加熱状態とを、
    記録しようとする情報信号に応じて変調し、 上記それぞれの加熱状態から冷却することにより上記第
    1の磁性薄膜の第2の構成膜の磁化に追従して上記第1
    の構成膜及び上記光磁気再生薄膜にも記録磁化を形成す
    ることを特徴とする光磁気記録方法。
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