JP2796460B2 - 高Si含有ステンレス鋼の溶接材料 - Google Patents
高Si含有ステンレス鋼の溶接材料Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硫酸プラントや硝酸プ
ラントにおいて、高温、高濃度の環境下で稼動する吸収
塔、冷却塔、ポンプ、タンク等に適用する高Si含有ス
テンレス鋼の溶接材料に関する。
ラントにおいて、高温、高濃度の環境下で稼動する吸収
塔、冷却塔、ポンプ、タンク等に適用する高Si含有ス
テンレス鋼の溶接材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、Siを1〜4%含有するステンレ
ス鋼は、耐酸化性等に優れ、多方面で利用されている。
その溶接には、TIG溶接、MIG溶接等が用いられ、
その溶接材料は共金系が多い。一方、Siを5〜7%含
有するステンレス鋼は、高温、高濃度硫酸(97〜10
0%)、高温、高濃度硝酸等の過酷な環境で、耐食性が
要求されるような特殊な用途で使用されている。その溶
接には、TIG溶接が用いられ、その溶接材料も共金系
が使用されている。
ス鋼は、耐酸化性等に優れ、多方面で利用されている。
その溶接には、TIG溶接、MIG溶接等が用いられ、
その溶接材料は共金系が多い。一方、Siを5〜7%含
有するステンレス鋼は、高温、高濃度硫酸(97〜10
0%)、高温、高濃度硝酸等の過酷な環境で、耐食性が
要求されるような特殊な用途で使用されている。その溶
接には、TIG溶接が用いられ、その溶接材料も共金系
が使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】Siを5〜7%含有す
るステンレス鋼(大部分はオーステナイト系ステンレス
鋼である)の溶接において、特にSi含有量が6%以上
のステンレス鋼の溶接部はその硬度が著しく上昇して延
性は低下する。このため溶接部の曲げ試験(JIS規
格)において溶接したままでは合格しない。これは溶着
金属部の硬度が上昇し、延性が乏しいことに起因してい
る。このような溶着金属部の硬化についてはSi含有量
が5%程度においてもみられるが、前者ほど著しくはな
く、許容できる程度のものであり、曲げ試験にも合格す
る。
るステンレス鋼(大部分はオーステナイト系ステンレス
鋼である)の溶接において、特にSi含有量が6%以上
のステンレス鋼の溶接部はその硬度が著しく上昇して延
性は低下する。このため溶接部の曲げ試験(JIS規
格)において溶接したままでは合格しない。これは溶着
金属部の硬度が上昇し、延性が乏しいことに起因してい
る。このような溶着金属部の硬化についてはSi含有量
が5%程度においてもみられるが、前者ほど著しくはな
く、許容できる程度のものであり、曲げ試験にも合格す
る。
【0004】しかし、高温、高濃度硫酸用プラント等に
使用される高Siステンレス鋼は、耐食性の観点からS
iを6%以上含有するものを使用する場合が多いが、上
記のようにSi含有量が6%以上の溶接部は延性がかな
り低下し、曲げ試験に合格せず、大型溶接構造物の作製
は現実的に困難であった。従って、Si含有量が6%以
上のステンレス鋼の溶接部で延性が要求される場合は、
溶接部を溶体化処理して対応せざるを得ない。しかし、
溶体化処理には大型設備を必要とし、処理経費も相当に
必要になるところから、実際に適用することは困難であ
った。本発明は、上記の問題点を解消し、溶体化処理を
必要とせずに、通常のTIG溶接で溶接して十分な延性
と耐食性を得ることができるSi含有量5〜7%のオー
ステナイト系ステンレス鋼用の溶接材料を提供しようと
するものである。
使用される高Siステンレス鋼は、耐食性の観点からS
iを6%以上含有するものを使用する場合が多いが、上
記のようにSi含有量が6%以上の溶接部は延性がかな
り低下し、曲げ試験に合格せず、大型溶接構造物の作製
は現実的に困難であった。従って、Si含有量が6%以
上のステンレス鋼の溶接部で延性が要求される場合は、
溶接部を溶体化処理して対応せざるを得ない。しかし、
溶体化処理には大型設備を必要とし、処理経費も相当に
必要になるところから、実際に適用することは困難であ
った。本発明は、上記の問題点を解消し、溶体化処理を
必要とせずに、通常のTIG溶接で溶接して十分な延性
と耐食性を得ることができるSi含有量5〜7%のオー
ステナイト系ステンレス鋼用の溶接材料を提供しようと
するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、重量%でCが
0.04%以下、Siが4〜6%、Mnが1〜5%、C
rが15〜25%、Niが4〜25%、Pdが0.01
〜1.07%、残部が実質的にFeからなることを特徴
とするSiを5〜7%含有するオーステナイト系ステン
レス鋼用の溶接材料である。
0.04%以下、Siが4〜6%、Mnが1〜5%、C
rが15〜25%、Niが4〜25%、Pdが0.01
〜1.07%、残部が実質的にFeからなることを特徴
とするSiを5〜7%含有するオーステナイト系ステン
レス鋼用の溶接材料である。
【0006】本発明の溶接材料のSi含有量は、母材の
ステンレス鋼のSi含有量が6%より低い場合、基本的
には母材と同量とするか、溶着金属部分の延性を向上さ
せるために母材のSi含有量より低めに設定する。ま
た、Pd以外の成分も概略同様とする。
ステンレス鋼のSi含有量が6%より低い場合、基本的
には母材と同量とするか、溶着金属部分の延性を向上さ
せるために母材のSi含有量より低めに設定する。ま
た、Pd以外の成分も概略同様とする。
【0007】母材のSi含有量が6%を越える場合は、
溶接材料のPd含有量をPd(%)≧(1/K){母材
のSi(%)−溶接材料のSi(%)}(但し、Kは4
〜8)の式を満たすように含有させる。なお、Pd以外
の成分は母材と概略同量とする。この場合は、溶接材料
のSi含有量が6%より低いため、溶着金属部で十分な
延性を得ることができるが、母材よりSi含有量が低い
ために耐食性が低下する。これは、高温、高濃度硫酸中
の高Siオーステナイト系ステンレス鋼の耐食性がSi
含有量にほぼ支配されるためである。そこで、適量のP
dを添加することにより(図2参照)、耐食性を向上さ
せることができるのである。なお、Pdは金属組織的に
硬化を促進する作用を有しない。
溶接材料のPd含有量をPd(%)≧(1/K){母材
のSi(%)−溶接材料のSi(%)}(但し、Kは4
〜8)の式を満たすように含有させる。なお、Pd以外
の成分は母材と概略同量とする。この場合は、溶接材料
のSi含有量が6%より低いため、溶着金属部で十分な
延性を得ることができるが、母材よりSi含有量が低い
ために耐食性が低下する。これは、高温、高濃度硫酸中
の高Siオーステナイト系ステンレス鋼の耐食性がSi
含有量にほぼ支配されるためである。そこで、適量のP
dを添加することにより(図2参照)、耐食性を向上さ
せることができるのである。なお、Pdは金属組織的に
硬化を促進する作用を有しない。
【0008】上式のKは、次のように求めた。即ち、N
i:17.5%,Cr:17.5%残部Fe系の溶接材
料でSi添加量を5〜8.5%の範囲で変化させたもの
を使用し、母材を共金としてTIG溶接を行い、180
℃並びに220℃の98%の硫酸溶液中に24時間浸漬
して試験片の重量減を測定して腐食速度(gm-2h-1)
を算出し、図1に示した。図から明らかなように、Si
含有量が増加すると腐食速度が低下し、耐食性が向上す
ることが分かる。Si添加量に対する腐食速度の減少率
K1 は次式で示すことができ、 K1 =−(腐食速度)/(Si添加量) 図1のデータから好ましいK1 の範囲を求めると、K1
≒0.04(220℃)〜0.13(180℃)であっ
た。次いで、Ni:17.5%,Cr:17.5%,S
i:5.5%残部Fe系の溶接材料でPd添加量を0〜
1%の範囲で変化させたものを使用し、母材はPdを除
いて共金としてTIG溶接を行い、180℃並びに22
0℃の98%の硫酸溶液中に24時間浸漬して試験片の
重量減を測定して腐食速度(gm-2h-1)を算出し、図
2に示した。図から明らかなように、Pd含有量が増加
すると腐食速度が低下し、耐食性が向上することが分か
る。Pd添加量に対する腐食速度の減少率K2 は次式で
示すことができ、 K2 =−(腐食速度)/(Pd添加量) 図2のデータから好ましいK2 の範囲を求めると、K2
≒0.32(220℃)〜0.52(180℃)であっ
た。そして、K1 とK2 の比としてK(=K1 /K2 )
の範囲を算出すると、K=4(180℃)〜8(220
℃)であった。
i:17.5%,Cr:17.5%残部Fe系の溶接材
料でSi添加量を5〜8.5%の範囲で変化させたもの
を使用し、母材を共金としてTIG溶接を行い、180
℃並びに220℃の98%の硫酸溶液中に24時間浸漬
して試験片の重量減を測定して腐食速度(gm-2h-1)
を算出し、図1に示した。図から明らかなように、Si
含有量が増加すると腐食速度が低下し、耐食性が向上す
ることが分かる。Si添加量に対する腐食速度の減少率
K1 は次式で示すことができ、 K1 =−(腐食速度)/(Si添加量) 図1のデータから好ましいK1 の範囲を求めると、K1
≒0.04(220℃)〜0.13(180℃)であっ
た。次いで、Ni:17.5%,Cr:17.5%,S
i:5.5%残部Fe系の溶接材料でPd添加量を0〜
1%の範囲で変化させたものを使用し、母材はPdを除
いて共金としてTIG溶接を行い、180℃並びに22
0℃の98%の硫酸溶液中に24時間浸漬して試験片の
重量減を測定して腐食速度(gm-2h-1)を算出し、図
2に示した。図から明らかなように、Pd含有量が増加
すると腐食速度が低下し、耐食性が向上することが分か
る。Pd添加量に対する腐食速度の減少率K2 は次式で
示すことができ、 K2 =−(腐食速度)/(Pd添加量) 図2のデータから好ましいK2 の範囲を求めると、K2
≒0.32(220℃)〜0.52(180℃)であっ
た。そして、K1 とK2 の比としてK(=K1 /K2 )
の範囲を算出すると、K=4(180℃)〜8(220
℃)であった。
【0009】
【作用】本発明の溶接材料は、Siを5〜7%含有する
オーステナイト系ステンレス鋼母材に対して使用するも
のであり、Siの含有量を4〜6%の範囲にして延性を
確保し、Pdは0.01〜1.07%の範囲、好ましく
は0.2〜0.5%の範囲で添加することにより、耐食
性を向上させたもので、各成分の限定理由は以下の通り
である。 C:Cはステンレス鋼の耐食性に有害であるが、強度の
観点からある程度含有させる必要はある。しかし、0.
04%を越えると耐食性が大幅に低下するので、含有量
の上限値は0.04%ととした。 Si:Siは本発明の基本成分である。高温高濃度硫酸
用若しくは高温高濃度硝酸用の母材は、5〜7%程度の
Siを含有している。この母材に対して共金を溶接材料
として用いる場合は、Si含有量が6%を越えると溶着
金属部が著しく硬化して延性が低下する。それ故、溶接
材料のSi含有量の上限は6%ととする。また、溶接部
の延性を十分に得るためには、溶接材料のSi含有量は
母材と比較して低めに設定し、かつ、Pdの添加による
耐食性の向上が可能な範囲とし、Si含有量の下限を4
%とする。 Mn:脱硫剤として、また耐高温割れ性の向上のために
1〜5%含有させる。
オーステナイト系ステンレス鋼母材に対して使用するも
のであり、Siの含有量を4〜6%の範囲にして延性を
確保し、Pdは0.01〜1.07%の範囲、好ましく
は0.2〜0.5%の範囲で添加することにより、耐食
性を向上させたもので、各成分の限定理由は以下の通り
である。 C:Cはステンレス鋼の耐食性に有害であるが、強度の
観点からある程度含有させる必要はある。しかし、0.
04%を越えると耐食性が大幅に低下するので、含有量
の上限値は0.04%ととした。 Si:Siは本発明の基本成分である。高温高濃度硫酸
用若しくは高温高濃度硝酸用の母材は、5〜7%程度の
Siを含有している。この母材に対して共金を溶接材料
として用いる場合は、Si含有量が6%を越えると溶着
金属部が著しく硬化して延性が低下する。それ故、溶接
材料のSi含有量の上限は6%ととする。また、溶接部
の延性を十分に得るためには、溶接材料のSi含有量は
母材と比較して低めに設定し、かつ、Pdの添加による
耐食性の向上が可能な範囲とし、Si含有量の下限を4
%とする。 Mn:脱硫剤として、また耐高温割れ性の向上のために
1〜5%含有させる。
【0010】Cr:Crはステンレス鋼の基本成分であ
り、基本的に母材の含有量と同量とするため、高Siス
テンレス鋼の通常の範囲である15〜25%とする。 Ni:Crは高Siステンレス鋼において、オーステナ
イト組織にするために必要な元素であり、母材の含有量
と略同量とするため、4〜25%とする。 Pd:Pdは微量添加成分であるが、本発明の基本成分
であり、高温高濃度硫酸(98%,180〜220℃程
度)中における高Siオーステナイト系ステンレス鋼の
耐食性を向上するためには、0.01%以上の添加が必
要である。特に、母材のSi含有量が6%を越える場合
には、溶接部の延性を確保するために溶接材料のSi成
分を母材に対して低めに設定するので、溶着金属部のS
i含有量の不足による耐食性の低下を補う意味で上記の
ようにPdを添加する。また、母材のSi含有量が6%
以下の場合においても、Pdの添加により溶接部の耐食
性を向上させることができる。Pd添加量は、母材のS
i含有量によって適宜決定されるが、耐食性の向上はP
d1.07%を越えると飽和する。従って、Pd添加量
は0.01〜1.07%の範囲、好ましくは、0.2〜
0.5%の範囲で添加される。 P:Pは、耐食性並びに高温割れ性の観点から少ない方
が望ましく、0.03%以下とする。
り、基本的に母材の含有量と同量とするため、高Siス
テンレス鋼の通常の範囲である15〜25%とする。 Ni:Crは高Siステンレス鋼において、オーステナ
イト組織にするために必要な元素であり、母材の含有量
と略同量とするため、4〜25%とする。 Pd:Pdは微量添加成分であるが、本発明の基本成分
であり、高温高濃度硫酸(98%,180〜220℃程
度)中における高Siオーステナイト系ステンレス鋼の
耐食性を向上するためには、0.01%以上の添加が必
要である。特に、母材のSi含有量が6%を越える場合
には、溶接部の延性を確保するために溶接材料のSi成
分を母材に対して低めに設定するので、溶着金属部のS
i含有量の不足による耐食性の低下を補う意味で上記の
ようにPdを添加する。また、母材のSi含有量が6%
以下の場合においても、Pdの添加により溶接部の耐食
性を向上させることができる。Pd添加量は、母材のS
i含有量によって適宜決定されるが、耐食性の向上はP
d1.07%を越えると飽和する。従って、Pd添加量
は0.01〜1.07%の範囲、好ましくは、0.2〜
0.5%の範囲で添加される。 P:Pは、耐食性並びに高温割れ性の観点から少ない方
が望ましく、0.03%以下とする。
【0011】
(実施例1〜4、比較例1〜4)表1に記載の化学組成
(重量%)を有する母材1を用い、実施例1〜4並びに
比較例1〜4の溶接材料は、母材1に対してSi及びP
dの配合組成(重量%)を表2に記載のとおりに調整し
たものを使用した。これらの溶接材料を真空溶解して2
5kgのインゴットを得て、ステンレス鋼としての所定
の熱処理を施した後、放電加工でTIG溶接用ワイヤー
に加工した。そして、この溶接用ワイヤーを用いてTI
G溶接を行い、溶接部の曲げ試験及び腐食試験を行い、
表2にその結果を示した。なお、表中ΔSiは(母材の
Si量)─(溶接材料のSi量)である。
(重量%)を有する母材1を用い、実施例1〜4並びに
比較例1〜4の溶接材料は、母材1に対してSi及びP
dの配合組成(重量%)を表2に記載のとおりに調整し
たものを使用した。これらの溶接材料を真空溶解して2
5kgのインゴットを得て、ステンレス鋼としての所定
の熱処理を施した後、放電加工でTIG溶接用ワイヤー
に加工した。そして、この溶接用ワイヤーを用いてTI
G溶接を行い、溶接部の曲げ試験及び腐食試験を行い、
表2にその結果を示した。なお、表中ΔSiは(母材の
Si量)─(溶接材料のSi量)である。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】溶接継手は、長さ100mm、幅300m
m、厚さ15mmの母材の中央にV型開先を設け、TI
G溶接により突合せ継手を作製した。溶接試験に用いた
母材は、溶接材料のSi含有量とほぼ同量とした。母材
は真空溶解炉で25kgのインゴットを作製し、熱間鍛
造により板厚15mmに仕上げた後所定の溶体化処理を
施した。上記の溶接材料は25kgインゴットより、鍛
造、熱処理を施した後放電加工により、2mm×2mm
及び1.5mm×1.5mm断面を有するワイヤーを作
製した。TIG溶接条件は、全て電流80〜85A、電
位11V、溶接速度9〜10cm/minとし、シール
ドガスにはArを使用した。曲げ試験は、JISZ31
22の方法で行った。○は180o 合格、×はクラック
発生を意味する。腐食試験は、試験片(40mm×30
mm×3mm)を溶接継手部より採取し、180℃の9
8%硫酸液中に24時間浸漬し、試験片の重量減により
腐食速度算出した。表中耐食性の◎は腐食速度が0.1
2以下、○は0.12〜0.2、△は0.2〜0.2
5、×は0.25以上を意味する。表2から明らかなよ
うに、実施例1〜4の溶接材料を使用したTIG溶接部
は、全て曲げ試験を満足し、十分な延性を有することが
分かる。また、溶接部の耐食性は母材1と同等であり、
十分な耐食性を有することが分かる。しかし、比較例
1,2は曲げ試験を満足せず、また、比較例3,4は耐
食性が十分でないことが分かる。
m、厚さ15mmの母材の中央にV型開先を設け、TI
G溶接により突合せ継手を作製した。溶接試験に用いた
母材は、溶接材料のSi含有量とほぼ同量とした。母材
は真空溶解炉で25kgのインゴットを作製し、熱間鍛
造により板厚15mmに仕上げた後所定の溶体化処理を
施した。上記の溶接材料は25kgインゴットより、鍛
造、熱処理を施した後放電加工により、2mm×2mm
及び1.5mm×1.5mm断面を有するワイヤーを作
製した。TIG溶接条件は、全て電流80〜85A、電
位11V、溶接速度9〜10cm/minとし、シール
ドガスにはArを使用した。曲げ試験は、JISZ31
22の方法で行った。○は180o 合格、×はクラック
発生を意味する。腐食試験は、試験片(40mm×30
mm×3mm)を溶接継手部より採取し、180℃の9
8%硫酸液中に24時間浸漬し、試験片の重量減により
腐食速度算出した。表中耐食性の◎は腐食速度が0.1
2以下、○は0.12〜0.2、△は0.2〜0.2
5、×は0.25以上を意味する。表2から明らかなよ
うに、実施例1〜4の溶接材料を使用したTIG溶接部
は、全て曲げ試験を満足し、十分な延性を有することが
分かる。また、溶接部の耐食性は母材1と同等であり、
十分な耐食性を有することが分かる。しかし、比較例
1,2は曲げ試験を満足せず、また、比較例3,4は耐
食性が十分でないことが分かる。
【0015】(実施例5〜8、比較例5〜8)表1に記
載の化学組成(重量%)を有する母材2を用い、実施例
5〜8並びに比較例5〜8の溶接材料は、母材2に対し
てSi及びPdの配合組成(重量%)を表3に記載のと
おりに調整したものを使用し、実施例1と同様に溶接材
料を作成し、同様の曲げ試験及び腐食試験を行い、結果
を表3に示した。なお、腐食試験に使用する硫酸液の温
度は220℃に変更した。表3から明らかなように、実
施例5〜8の溶接材料を使用したTIG溶接部は、全て
曲げ試験を満足し、十分な延性を有することが分かる。
また、溶接部の耐食性は母材2と同等であり、十分な耐
食性を有することが分かる。しかし、比較例1,2は曲
げ試験を満足せず、また、比較例3,4は耐食性が十分
でないことが分かる。
載の化学組成(重量%)を有する母材2を用い、実施例
5〜8並びに比較例5〜8の溶接材料は、母材2に対し
てSi及びPdの配合組成(重量%)を表3に記載のと
おりに調整したものを使用し、実施例1と同様に溶接材
料を作成し、同様の曲げ試験及び腐食試験を行い、結果
を表3に示した。なお、腐食試験に使用する硫酸液の温
度は220℃に変更した。表3から明らかなように、実
施例5〜8の溶接材料を使用したTIG溶接部は、全て
曲げ試験を満足し、十分な延性を有することが分かる。
また、溶接部の耐食性は母材2と同等であり、十分な耐
食性を有することが分かる。しかし、比較例1,2は曲
げ試験を満足せず、また、比較例3,4は耐食性が十分
でないことが分かる。
【0016】
【表3】
【0017】
【発明の効果】本発明は、Si含有量が5〜7%の高S
iオーステナイト系ステンレス鋼の溶接材料において、
Pd添加量を調整することより高温高濃度硫酸や高温高
濃度硝酸の環境下で優れた耐食性と良好な延性を溶接部
に対して付与することが可能になり、大型構造物等への
適用も可能になった。
iオーステナイト系ステンレス鋼の溶接材料において、
Pd添加量を調整することより高温高濃度硫酸や高温高
濃度硝酸の環境下で優れた耐食性と良好な延性を溶接部
に対して付与することが可能になり、大型構造物等への
適用も可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】17.5Cr−17.5Ni−5〜8Si系の
溶接材料を用いたSi含有ステンレス鋼溶接部における
Si含有量と腐食速度の関係を示したグラフである。
溶接材料を用いたSi含有ステンレス鋼溶接部における
Si含有量と腐食速度の関係を示したグラフである。
【図2】17.5Cr−17.5Ni−5.5Si−P
d系の溶接材料を用いSi含有ステンレス鋼溶接部にお
けるPd含有量と腐食速度の関係を示したグラフであ
る。
d系の溶接材料を用いSi含有ステンレス鋼溶接部にお
けるPd含有量と腐食速度の関係を示したグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 義和 広島市西区観音新町四丁目6番22号 三 菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 長野 肇 東京都千代田区丸の内二丁目5番1号 三菱重工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−51888(JP,A) 特開 平6−271988(JP,A) 特開 昭55−161041(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 35/30
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%でCが0.04%以下、Siが4
〜6%、Mnが1〜5%、Crが15〜25%、Niが
4〜25%、Pdが0.01〜1.07%、残部が実質
的にFeからなることを特徴とするSiを5〜7%含有
するオーステナイト系ステンレス鋼用の溶接材料。 - 【請求項2】 母材のSi含有量が6%以上において、
次式を満たすPdを含有することを特徴とする請求項1
記載の溶接材料。 Pd(%)≧(1/K){母材のSi(%)−溶接材料
のSi(%)} 但し、K=4〜8
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26189191A JP2796460B2 (ja) | 1991-10-09 | 1991-10-09 | 高Si含有ステンレス鋼の溶接材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26189191A JP2796460B2 (ja) | 1991-10-09 | 1991-10-09 | 高Si含有ステンレス鋼の溶接材料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05104282A JPH05104282A (ja) | 1993-04-27 |
JP2796460B2 true JP2796460B2 (ja) | 1998-09-10 |
Family
ID=17368205
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26189191A Expired - Lifetime JP2796460B2 (ja) | 1991-10-09 | 1991-10-09 | 高Si含有ステンレス鋼の溶接材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2796460B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4319817B2 (ja) | 2001-11-19 | 2009-08-26 | 新日本製鐵株式会社 | 耐塩酸腐食性および耐硫酸腐食性に優れた低合金鋼およびその溶接継手 |
-
1991
- 1991-10-09 JP JP26189191A patent/JP2796460B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05104282A (ja) | 1993-04-27 |
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