JP2795671B2 - インク定着処理装置を備えたインクジェットプリンタ - Google Patents

インク定着処理装置を備えたインクジェットプリンタ

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、紙、フィルムなどの記録媒体にインク液を
吐出付着させて、記録を行なうインクジェットプリンタ
に関する。
〔従来の技術〕
インクジェットプリンタにおいては、第6図に示すよ
うに、搬送手段(図示せず)により案内搬送される普通
紙、フィルム等の記録媒体1がプラテンロール2に支持
され、押え板4により面出しが行なわれて、記録媒体1
の記録面と印字ヘッド3のインクノズル31のヘッド面と
の距離が一定に保持される。そして、印字ヘッド3のイ
ンクノズル31からインク液を記録媒体1の記録面へ吐出
させ、該インク液が記録媒体1に付着することにより文
字あるいは画像の記録がなされる。
そして、上述のインク液は一般的に、水あるいは有機
溶媒に染料、顔料を溶解あるいは分散させたものが使用
されており、記録媒体である普通紙は通常、サイズ処理
がなされて、発水性を有し、またフィルムも通常、発水
性を有する。このため、記録媒体のインク液の吸収定着
性が悪く、記録媒体にインク液のにじみや流れが発生
し、このにじみや流れの現象は、特にフルカラー仕様の
場合、すなわち、3種あるいは4種のインク液を記録媒
体に重ね合わせて記録を行なう場合に顕著である。そこ
で、従来、上記のにじみや流れの現象(インク吸収定着
性)を改善するものとしては、 (1)紙やフィルム等にあらかじめインク吸収層をコー
ティングした処理紙、処理フィルム等の記録媒体を用い
たり、 (2)インク液が吸収定着するまで記録後の記録媒体を
水平に保持させる機構をプリンタに設けたり、 (3)記録後の記録媒体の記録面に熱風を吹きかけて定
着速度を早めていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上述した従来の技術にあっては、 (1)の場合、記録媒体として処理紙、処理フィルム
しか使用できずランニングコストが高く、またハガキ等
の特殊なものには使用できず、 (2)の場合、水平の送り機構が必要なため、プリン
タ全体が大型となり、 (3)の場合、熱風が印字ヘッドのインクノズルにも
吹きかかる場合があり、このためインクノズルが乾燥し
やすく、印字品位が低下するという問題点がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、
ランニングコストが高くならず、プリンタ全体も大型に
ならず、さらに印字品位の低下が伴わずに、あらゆる記
録媒体に対応できるインク定着処理装置を備えたインク
ジェットプリンタを提供とすることを目的としている。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、本発明は、インクジェット
プリンタにおいて、前記インクジェットプリンタに着脱
可能であって、記録前の記録媒体の記録面にインク吸収
層を形成するインク定着処理装置が設けられており、前
記インク定着処理装置は、 前記インクジェットプリンタに着脱可能なカートリッ
ジ式ボックスと、 前記カートリッジ式ボックスに支持され、搬送される
記録媒体の第1の圧着ロールおよび第2の圧着ロール
と、 前記カートリッジ式ボックスに支持され、シート基材
にあらかじめインク吸収層がコーティングされてなるイ
ンク吸収層付シート基材を、第1の圧着ロールおよび第
2の圧着ロールとによりインク吸収層が前記記録媒体の
記録面に押圧された状態で搬送する巻出しロールおよび
巻取りロールと、 水蒸気の吐出ノズルを備え、該吐出ノズルが記録媒体
とインク吸収層との接触部、あるいは記録媒体に接触す
る前のインク吸収層へ向くように前記カートリッジ式ボ
ックスに支持される加湿器とからなる。
または、前記インク定着処理装置は、 インクジェットプリンタに着脱可能なカートリッジ式
ボックスと、 インク吸収剤を収容し、該インク吸収剤の長尺状のス
リットノズルを備え、該スリットノズルのノズル開口
が、搬送中の記録媒体の記録面に対向するように前記カ
ートリッジ式ボックスに支持されるインク吸収剤押し出
し器と、 前記カートリッジ式ボックスに支持され、前記インク
吸収剤押し出し器によりインク吸収剤が塗布された記録
媒体が巻きかけられるヒートロールとからなる場合もあ
る。
〔作 用〕
上記のとおり構成された本発明においては、記録媒体
は、搬送される際、記録面に、インク吸収層が形成さ
れ、この後、記録媒体のインク吸収層に記録がなされ
る。
詳しく説明すると、請求項1の発明においては、記録
媒体は、搬送される際に、第1の圧着ロールおよび第2
の圧着ロールとにより、巻出しロールから送出され巻取
りロールへ搬送されるインク吸収層付シート基材のイン
ク吸収層に一様に圧接され、そして、加湿器の吐出ノズ
ルからの水蒸気が、記録媒体とインク吸収層との接触
部、あるいは記録媒体に接触する前のインク吸収層へ吹
きかかることによりインク吸収層の粘度が増して、イン
ク吸収層が記録媒体の記録面に一様に転写して、転写後
の記録媒体のインク吸収層に記録がなされる。
一方、請求項2の発明においては、記録媒体は、搬送
される際、記録面に、インク吸収剤押し出し器のスリッ
トノズルから押し出されるインク吸収剤が一様に塗布さ
れ、そして、ヒートロールの熱によりインク吸収剤が乾
燥して、記録媒体にインク吸収層が形成され、記録媒体
の該インク吸収層に記録がなされる。
〔実施例〕
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明す
る。
本実施例のインク定着処理装置を備えたインクジェッ
トプリンタは、従来のインクジェットプリンタを改良し
たものであり、それらの相違点を説明する。
第1図に示すように、プラテンロール2の印字ヘッド
3と反対側には、インクジェットプリンタのフレーム
(図示せず)に着脱可能で、シート状の記録媒体11の搬
入用の開口部111および搬送用の開口部112が形成された
カートリッジ式ボックス11が配設されている。そして、
プラテンロール2の印字ヘッド3と反対側で、カートリ
ッジ式ボックス11内の上部には、プラテンロール2と平
行に第1の圧着ロール5が配設されており、この第1の
圧着ロール5の下方には、ロール面が第1の圧着ロール
5のロール面に当接する第2の圧着ロール6がカートリ
ッジ式ボックス11に支持されている。そして、記録媒体
11は、第1の圧着ロール5およびプラテンロール2に巻
きかけられて、第1図中矢印で示す向きに搬送される。
一方、シート基材であるPETフィルム92の片面にあらか
じめインク吸収層91がコーティングされてなるインク吸
収層付PETフィルム9は、第1および第2の圧着ロール
5,6によりインク吸収層91を介して記録媒体11の記録面
に押圧されながら、第2の圧着ロール6の下方に位置
し、かつカートリッジ式ボックス11に支持された巻出し
ロール7、巻取りロール8により搬送される。これらの
第1および第2の圧着ロール5,6、巻出しロール7、巻
取りロール8は図示しないプリンタの駆動手段に駆動機
構(図示せずを介して連結されて、同期回転し、それら
の回転方向は第1図中矢印で示すように、それぞれ左、
右、右、右である。
さらに、上部側端に水蒸気103の吐出ノズル101を有す
る超音波加湿器は、吐出ノズル101が記録媒体11とイン
ク吸収層91との接触部へ向くように、カートリッジ式ボ
ックス11の側部外面に着脱可能に支持されており、この
吐出ノズル101は、第2図に示すように、幅方向(矢印
A方向)に移動可能なスライド式エッジコントローラ10
2を有しており、水蒸気103の吐出幅が可変になってい
る。
次に、本実施例の動作について説明する。
図示しない送出部からの記録媒体11は、第1の圧着ロ
ール5、プラテンロール2に巻きかけられて、印字ヘッ
ド3が位置するヘッド部へ搬送されるとともに、インク
吸収層付PETフィルム9は、巻出しロール7から送出さ
れ、第2の圧着ローラ6に巻きかけられ、巻取りロール
8へ搬送される途中において、第3図に示すように、第
1および第2の圧着ロール5,6によりインク吸収層91
介して記録媒体11の記録面に圧着される。そして、超音
波加湿器10の吐出ノズル101から吐出された水蒸気10
3は、記録媒体11とインク吸収層91との接触部に吹きか
かるため、インク吸収層91の粘性が増して、インク吸収
層9,が記録媒体11の記録面に一様に転写される。そし
て、インク吸収層91が転写された記録媒体11は、ヘッド
部へ送られ、印字ヘッド3のインクノズル31から吐出さ
れるインク液がインク吸収層91に付着する。
上述のとおり、本実施例によれば、記録前の記録媒体
11にインク吸収層91を形成するインク定着処理装置を保
有するので、ハガキ等のあらゆる記録媒体にも対応で
き、ランニングコストが高くならず、また、熱風を要し
ないのでインクノズル31の乾燥が顕著でなく、印字品位
が低下しない。さらに水平の送り機構を有しないので、
プリンタ全体が大型にならない。また、本実施例では、
インク定着処理装置がプリンタ着脱可能であるので、イ
ンク吸収層付PET吹9の補充およびインク定着処理装置
内にトラブルが発生した場合のメンテナンスが容易であ
る。
上述のインク吸収層91は、デンプンやケンの価度の低
いポリビニルアルコールなどが好適であり、さらに、シ
リカや酸化チタンなどの無機顔料を添加するといっそう
好ましい。そして、このインク吸収層91は、ロールコー
ターやグラビアコーター等により一般的な塗布方法であ
らかじめPETフィルム92に塗布することができる。ま
た、上記実施例では、インク吸収層付PETフィルム9の
シート基材としてPETフィルム92を用いたが、これに限
られず、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリエチレン等
の市販のフィルムでよい。そして、超音波加湿器10の吐
出ノズル101から吐出される水蒸気103の量は、インク吸
収91と記録媒体11との接触部のみが吸水する程度でよ
く、水蒸気の吐出量が大きすぎると記録前に過熱などに
より記録媒体11の脱水を行う必要がある。
次に、本発明の第2実施例について説明する。
第4図に示すように、プラテンロール2の印字ヘッド
3と反対側には、インクジェットプリンタのフレーム
(図示せず)に着脱可能で、記録媒体12の搬入用の開口
部161および搬出用の開口部162が形成されたカートリッ
ジ式ボクス16が形成されている。そして、カートリッジ
式ボックス16内の上部には、プラテンロール2と平行に
ヒートロール12が配設されている。送りロール13は、ロ
ール面がヒートロール12のロール面に当接し、ヒートロ
ール12の下方に位置するようにカートリッジ式ボックス
16に支持されている。一方、インク吸収剤押し出し器14
は、第5図に示すように、インク吸収剤15を収容する中
空円柱状のタンク141と、タンク141に連通する長尺状の
スリットノズル142とからなり、該スリットノズル142
ノズル開口が送りロール13のロール面に対向し、送りロ
ール13の下方に位置するように、カートリッジ式ボック
ス16に支持されている。
上述のタンク141内にはトルクロール143が収容されて
おり、送りロール13が回転することにより、トルクロー
ル143も回転して、タンク141内に圧力がかかり、スリッ
トノズル142から一定流量のインク吸収剤15が吐出され
るようになっている。そして、カートリッジ式ボックス
16内には送りロール13を強制的に加熱するヒーター151
が設けられている。これらのヒートロール12、送りロー
ル13は図示しないプリンタの駆動手段に駆動機構(図示
せず)を介して連結されて、同期回転し、それらの回転
方向は第4図中矢印で示すように、それぞれ右、左であ
る。
次に、本実施例の動作について説明する。
図示しない送出部からの記録媒体12は、送りロール1
3、ヒートロール12、プラテンロール2に巻きかけられ
て、印字ヘッド3が位置するヘッド部へ搬送される途中
において、第5図に示すように、記録面、インク吸収剤
押し出し器14のスリットノズル142から押し出されるイ
ンク吸収剤15が一様に塗布され、ヒータ151およびヒー
トロール12の熱により該インク吸収剤15が乾燥して、記
録媒体12にインク吸収層17が形成される。このインク吸
収層17が形成された記録媒体12は、ヘッド部へ送られ、
印字ヘッド3のインクノズル31から吐出されるインク液
がインク吸収層17に付着して、記録がなされる。
上述のとおり、本実施例においても、記録前の記録媒
体12にインク吸収層17を形成するインク定着処理装置を
保有するので、ハガキ等のあらゆる記録媒体にも対応で
き、ランニングコストが高くならず、また、熱風を要し
ないのでインクノズル31の乾燥が顕著でなく、印字品位
が低下しない。さらに水平の送り機構を有しないので、
プリンタ全体が大型にならない。また、本実施例では、
インク定着処理装置がプリンタに着脱可能であるので、
インク吸収剤押し出し器14内へのインク吸収剤15の補充
およびインク定着処理装置内にトラブルが発生した場合
のメンテナンスが容易である。
上述のインク吸収剤15は、デンプンやケン価度の低い
ポリビニルアルコールなどが好適であり、さらに、シリ
カや酸化チタンなどの無機顔料を添加するといっそう好
ましい。
〔発明の効果〕
本発明は上述のとおり構成されているので、以下に記
載する効果を奏する。
本発明においては、水平の送り機構が不要で、インク
ノズルの乾燥進行が顕著でないので、プリンタ全体の大
型化および印字品位の低下が伴なうことなく、さらにラ
ンニングコストも高くなく、インク液のにじみや流れの
現象を防止できる。
さらに請求項1に記載の発明においては、上記効果の
他、インク吸収層付シート基材の補充およびインク定着
処理装置内にトラブルが発生した場合のメンテナンスが
容易である。
また、請求項2に記載の発明においては、請求項1の
効果の他、インク吸収剤の補充およびインク定着処理装
置内にトラブルが発生した場合のメンテナンスが容易で
ある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のインク定着処理装置を備えたインクジ
ェットプリンタの第1実施例の一部を断面にした側面
図、第2図は第1図の超音波加湿器10の斜視図、第3図
は第1図の要部の詳細図、第4図は本発明の第2実施例
の一部を断面にした側面図、第5図は第4図の要部の斜
視図、第6図は従来のインクジェットプリンタの要部側
面図である。 11,12……記録媒体、2……プラテンロール、 3……印字ヘッド、31……インクノズル、 4……押え板、 5……第1の圧着ロール、 6……第2の圧着ロール、7……巻出しロール、 8……巻取りロール、 9……インク吸収層付PETフィルム、 91,17……インク吸収層、 92……PETフィルム、 10……超音波加湿器、101……吐出ノズル、 102……スライド式エッジコントローラ、 103……水蒸気、 11,16……カートリッジ式ボックス、 111,112,161,162……開口部、 12……ヒートロール、13……送りロール、 14……インク吸収剤押し出し器、 141……タンク、 142……スリットノズル、 143……トルクロール、15……インク吸収剤、 151……ヒーター。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】記録前の記録媒体(11,12)の記録面にイ
    ンク吸収層(91,17)を形成するインク定着処理装置が
    着脱可能に設けられているインクジェットプリンタであ
    って、 前記インク定着処理装置が、 前記インクジェットプリンタに着脱可能なカートリッジ
    式ボックス(11)と、 前記カートリッジ式ボックス(11)に支持され、搬送さ
    れる記録媒体(11)の第1の圧着ロール(5)および第
    2の圧着ロール(6)と、 前記カートリッジ式ボックス(11)に支持され、シート
    基材(92)にあらかじめインク吸収層(91)がコーティ
    ングされてなるインク吸収層付シート基材(9)を、第
    1の圧着ロール(5)および第2の圧着ロール(6)と
    によりインク吸収層(91)が前記記録媒体(11)の記録
    面に押圧された状態で搬送する巻出しロール(7)およ
    び巻取りロール(8)と、 水蒸気(103)の吐出ノズル(101)を備え、該吐出ノズ
    ル(101)が記録媒体(11)とインク吸収層(91)との
    接触部、あるいは記録媒体(11)に接触する前のインク
    吸収層(91)へ向くように前記カートリッジ式ボックス
    (11)に支持される加湿器(10)とからなるインク定着
    処理装置を備えたインクジェットリンタ。
  2. 【請求項2】記録前の記録媒体(11,12)の記録面にイ
    ンク吸収層(91,17)を形成するインク定着処理装置が
    着脱可能に設けられているインクジェットプリンタであ
    って、 前記インク定着処理装置が、 前記インクジェットプリンタに着脱可能なカートリッジ
    式ボックス(16)と、 インク吸収剤(15)を収容し、該インク吸収剤(15)の
    長尺状のスリットノズル(142)を備え、該スリットノ
    ズル(142)のノズル開口が、搬送中の記録媒体(12
    の記録面に対向するように前記カートリッジ式ボックス
    (16)に支持されるインク吸収剤押し出し器(14)と、 前記カートリッジ式ボックス(16)に支持され、前記イ
    ンク吸収剤押し出し器(14)によりインク吸収剤(15)
    が塗布された記録媒体(12)が巻きかけられるヒートロ
    ール(12)とからなるインク定着処理装置を備えたイン
    クジェットプリンタ。
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