JP2795340B2 - フラットシームの縫目構造 - Google Patents

フラットシームの縫目構造

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JP2795340B2
JP2795340B2 JP4578295A JP4578295A JP2795340B2 JP 2795340 B2 JP2795340 B2 JP 2795340B2 JP 4578295 A JP4578295 A JP 4578295A JP 4578295 A JP4578295 A JP 4578295A JP 2795340 B2 JP2795340 B2 JP 2795340B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スポーツウェア等、そ
れに類するもので、縫目はあくまでもフラットで、肌に
刺激を与えず、しかも引張強度において一般縫合品の2
倍近いものを必要とする競技用ウェア等、特にスポーツ
選手が着用する衣類などを縫製する際に用いられるフラ
ットシーム(flat seam)の縫目構造に関する。
【0002】
【従来の技術】スポーツウェア等、それに類するもの
で、縫目はあくまでもフラットで、肌に刺激を与えず、
しかも引張強度において一般縫合品の2倍近いものを必
要とする競技用ウェア等、スポーツ選手が着用する衣類
は、たとえば競技のしやすさなどの点から選手の動きに
対応できる伸縮性を有するものが望まれる。このため、
素材である布には伸縮性を有するものが選ばれ、その布
を縫着する縫目構造には、伸縮性を有する環縫いが選ば
れる。この従来技術の縫目構造は、縫着すべき2枚の布
を突合わせて一部重ねた状態で、この積重領域およびそ
の積重領域に連なる一方あるいは他方の布のうち少なく
ともどちらかの布にわたって、縫製方向に沿い、たとえ
ば6mmなどに予め定められる幅L1で、その幅方向に
相互に間隔をあけ平行に針糸によって形成される4本の
縫目から成る第1縫目と、各布に関して針の下降方向上
流側となる領域で、第1縫目を構成する4本の縫目にそ
れぞれ係合し、上飾り糸によって形成される第2縫目
と、各布に関して針の下降方向下流側となる領域で、第
1縫目を構成する4本の縫目にそれぞれ係合し、ルーパ
糸によって形成される第3縫目とを含んで構成される。
通常、第1縫目を構成する4本の縫目のうち3本の縫目
は、各布を挿通するように構成される。この縫目構造を
用いて、前述の伸縮性を有する複数の布が縫着され、ス
ポーツ選手が着用する衣類などが縫製される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】スポーツ競技は、年々
盛んになり、激しい動きが要求されるスポーツ競技が考
案されたり、また従来からのスポーツ競技においても、
記録への挑戦などから競技者、すなわちスポーツ選手が
極端に激しい動きをしたり、着用している衣類に負担の
かかる態勢になったりする場合が増えてきている。従来
技術では、このようなスポーツ競技によって衣類に与え
られる張力に耐え切れなくなってしまい、縫目構造が損
傷する場合がある。これに対して、第1縫目を5本の縫
目によって構成して縫目構造の強度を向上させることが
容易に考えられるけれども、これでは縫目構造の幅が大
きくなってしまう。
【0004】また一方で、スポーツ競技は、競技者だけ
でなく、観客も共に楽しもうとする傾向にある。このよ
うな観客を楽しませる要素の1つとして、競技者の着用
する衣類のデザイン性が挙げられる。勿論このデザイン
性は、競技者にとっても、観客に自分をアピールする手
段となったり、精神的な面で自分をコントロールする要
素の1つとなり、重要な位置を占める。このような理由
から、多数の色や形状の異なる布を縫着して作られる衣
類が望まれる。しかしながら前述のような幅が広くなる
縫目構造では、その縫目構造ばかりが目立って美観が損
なわれてしまい、逆にデザイン性が低下してしまう。
【0005】さらにこのような従来技術では、たとえば
布を縫着するために、ミシンを操作するオペレータの操
作などによって、2枚の布の積重領域が、変化してしま
った場合に、図10に示すように第1縫目102のうち
各布100,101を挿通する縫目の本数が、図10
(1)に示す積重領域R1の場合には2本、図10
(2)に示す積重領域R2の場合には1本、さらには、
図10(3)に示す積重領域R3の場合には、0本、す
なわち各布100,101を挿通する縫目がないフラッ
トシームの縫目構造が、形成される場合がある。もちろ
ん、このように第1縫目を構成する縫目のうち各布10
0,101を挿通する縫目の数が少なくなることは、極
めて希ではあるが、引張強度が低下してしまうために、
これに対処できることが望ましい。特に、図10(3)
に示すように各布100,101を挿通する縫目が存在
しない場合には、前述のようなスポーツ選手の動きによ
って、各布100,101間に隙間が生じるおそれがあ
る。
【0006】したがって本発明の目的は、従来品と比較
して縫目の幅を大きくすることなく、かつ1.5〜2.
0倍を越える程度に強度が向上され、さらに引張り力が
作用しても2枚の布100,101間に隙間が生じるこ
となく、その2枚の布を縫着することができるフラット
シームの縫目構造を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、相互に縫着さ
れるべき2枚の布が突合わせられ、一方の布が他方の布
の上に乗載された状態で、その積重領域およびその積重
領域に連なる少なくとも一方または他方の布にわたっ
て、予め定める一定の幅で環縫いによって前記2枚の布
を縫着するフラットシームの縫目構造において、針糸に
よって、縫製方向に沿い、かつ前記一定の幅で、その幅
方向に間隔をあけて相互に平行に形成される5本の縫目
から成り、前記5本の縫目のうち少なくとも1本は、各
布を挿通する第1縫目と、上飾り糸によって、各布に関
して針の下降方向上流側となる領域で、第1縫目を構成
する5本の縫目にそれぞれ係合する第2縫目と、ルーパ
糸によって、各布に関して針の下降方向下流側となる領
域で、第1縫目を構成する5本の縫目にそれぞれ係合す
る第3縫目とを含むことを特徴とするフラットシームの
縫目構造である。
【0008】
【作用】本発明に従えば、相互に縫着すべき2枚の布が
突合わせられ、一方の布を他方の布に乗載して、一部を
重ねた状態で、その積重領域およびその積重領域に連な
る少なくとも一方または他方の布にわたって、環縫いに
よって縫着され、その縫着部分においても伸縮すること
ができる。
【0009】第1縫目は、予め定める一定の幅で、縫製
方向に沿って延び、前記積重領域で各布をその厚み方向
に挿通して形成される少なくとも1本の縫目を含んで、
5本の縫目によって構成される。このように、少なくと
も1本の縫目が各布を挿通しているので、引張り力が作
用しても各布が相互に離反してその間に隙間が形成され
ることがない。この第1縫目を構成する5本の縫目は、
相互に一定の間隔をあけて平行に形成することが可能で
あり、美観のよい縫目構造を構成することができる。
【0010】また、第1縫目の縫幅は、従来の一定幅と
等しい幅に選ばれる。このように縫幅が従来と同一の幅
でありながら、しかも第1縫目を構成する縫目が従来の
4本から5本に増加され、強度が向上される。したがっ
て、縫目の幅が広くなり美観が損なわれることを防止し
て、縫目構造の強度を向上させることができる。また、
第1縫目を構成する縫目の密度が高くなり、前記積重領
域が小さくなっても、ほぼ確実に、1本の縫目が各布を
挿通する。第2縫目は、各布の針の下降方向上流側とな
る領域で、第1縫目を構成する5本の縫目にそれぞれ係
合して形成される。第3縫目は、各布の針の下降方向下
流側となる領域で、第1縫目を構成する5本の縫目にそ
れぞれ係合して形成される。これによって、第1縫目
と、第2および第3縫目とは、相互に係合し、縫目構造
が伸縮することができる。
【0011】
【実施例】図1は、本発明の一実施例のフラットシーム
(flat seam)の縫目構造(以下縫目構造と略記する)
1の一部を示す斜視図である。縫目構造1は、縫着され
るべき2枚の布2,3が相互に突合わせられ、一方の布
2が、他方の布3に乗載されて一部重ねた状態で、その
積重領域Rおよび一方の布2にわたって、一定の幅L1
で環縫いによって縫着する縫目の構造である。縫目の幅
L1は、従来技術の幅と同一に、たとえば6mmに選ば
れる。この縫目構造1は、矢符Bで示される縫製方向に
沿って延びる第1縫目20と、第1縫目20に各布2,
3の矢符Aで示される後述する針58の下降方向上流側
となる領域で係合する第2縫目7と、第1縫目20に各
布2,3の針58の下降方向A下流側となる領域で係合
する第3縫目8とを含んで構成される。
【0012】第1縫目20は、縫製方向Bに沿って延び
る5本の縫目5a,5b,5c,5d,6によって構成
される。第1縫目20を構成する5本の縫目のうち4本
の縫目5a〜5dは、いずれも針糸T1によって、相互
に一定の間隔L2をあけて縫製方向Bに平行に形成さ
れ、積重領域Rで各布2,3をその厚み方向に挿通す
る。これらの各縫目5a〜5dは、縫製方向Bに一定の
間隔L3をあけて、前述のように一方の布2および他方
の布3を挿通する複数の挿通部9と、縫製方向Bに隣接
する2つの挿通部9を相互に連結する連結部10とを有
する。挿通部9は、略U字状であって、湾曲部9aを下
方にして、各布2,3に挿通されている。連結部10
は、一方の布2の針の下降方向Aの上流側に臨む一表面
2aで、前記縫製方向Bに沿って延びて形成され、その
一端部が1つの挿通部9の一端部に連なり、他端部が前
記1つの挿通部9と隣接するもう1つの挿通部9の一端
部に連なっている。このような各縫目5a〜5dは、そ
れぞれの挿通部9が縫製方向Bに垂直な方向に並ぶよう
に配置されて形成される。
【0013】第1縫目20を構成する5本に縫目5a〜
5d,6のうち前述の各布2,3を挿通する4本の縫目
5a〜5dの残余の縫目6は、前述の各縫目5a〜5d
と同一の針糸T1によって、各縫目5a〜5dと平行で
あり、4本の縫目5a〜5dのうち他方の布3の端部4
に隣接する1つの縫目5aからこの1つの縫目5aを除
く残余の縫目5b〜5dに離反する方向に前記一定の間
隔と同一の間隔L2をあけて、一方の布2をその厚み方
向に挿通する。この縫目6は、前述の各縫目5a〜5d
と同様に挿通部9と連結部10とによって構成されるの
で、同様の構成については、同一の参照符号を付し説明
は省略する。この縫目6が、前述の縫目5a〜5dと異
なる点は、各縫目5a〜5dが積重領域Rで一方の布2
および他方の布3を挿通するのに対し、縫目6は、積重
領域Rに隣接、すなわち他方の布3の端部4に隣接し
て、一方の布2だけを挿通していることである。
【0014】第1および第2縫目5,6を形成する針糸
T1には、たとえばスパンデックスなどと呼ばれるポリ
ウレタンなどから成る番手60の糸などが用いられる。
【0015】第2縫目7は、前述のように一方の布2の
針の下降方向A上流側の一表面2aで、縫製方向Bとほ
ぼ直交して延び、上飾り糸T2によって、第1縫目20
を構成する各縫目5a〜5d,6のうちの幅方向の両端
部に配置される縫目5dと、縫目6とにわたって蛇行し
て形成される。この第2縫目7は、第1縫目20を構成
する各縫目5a〜5d,6,との間で、縫製方向Bに進
むにつれて縫目6から縫目5dに向かう張架部分11
が、前述のように縫製方向Bにほぼ直交する方向に並ぶ
各縫目5a〜5d,6の挿通部9のうち縫目6の挿通部
9および縫目6に隣接する縫目5aの挿通部9とは縫製
方向B下流側において係合し、残余の縫目5b〜5dと
は縫製方向B上流側で係合する。また縫製方向Bに進む
につれ、縫目5dから縫目6に向かう張架部分12は、
前述の縫目6から縫目5dに向かう張架部分11がそれ
ぞれ係合する各縫目5a〜5d,6の挿通部9と、これ
らの挿通部9に縫製方向B下流側で隣接する各挿通部9
との間において係合する。
【0016】もっと詳しく述べると、第2縫目7は前記
張架部分11で、まず縫目6との交点n1において、こ
の縫目6の針の下降方向A下流側で挿通部9の縫製方向
B下流側を通過する。次に縫目6と隣接する縫目5aと
の交点n2において、この縫目5aの針の下降方向A下
流側で、挿通部9の縫製方向B下流側を通過する。さら
に交点n2で第2縫目7と係合する縫目5aに縫目6と
は反対側で隣接する縫目5bとの交点n3において、こ
の縫目5bの針の下降方向A下流側で、挿通部9の縫製
方向B上流側を通過する。
【0017】さらに交点n3で、第2縫目7と係合する
縫目5bに縫目6とは反対側で隣接する縫目5cとの交
点n4において、この縫目5cの針の下降方向A下流側
で、挿通部9の縫製方向B上流側を通過する。さらに交
点n4で第2縫目7と係合する縫目5cに縫目6とは反
対側で隣接する縫目5dとの交点n5において、この縫
目5dの針の下降方向A下流側で、挿通部9の縫製方向
B上流側を通過する。
【0018】このような第2縫目7の張架部分11の縫
目6とは反対側の端部は、縫製方向B下流側に向けて曲
成され、この張架部分11の縫製方向B下流側に隣接す
る第2縫目7の張架部分12の縫目6とは反対側の端部
に連なっている。
【0019】このように前記張架部分11に連なる張架
部分12で、第2縫目7は、まず各布2,3を挿通する
縫目5a〜5dのうち一方の布2だけを挿通する縫目6
に最も離反する縫目5dとの交点n6で前記交点n5で
第2縫目7が縫製方向B上流側を通過した挿通部9と、
この挿通部9に縫製方向B下流側に隣接する挿通部9と
の間で、縫目5bの針の下降方向A下流側を通過する。
【0020】次に交点n6で第2縫目7と係合する縫目
5dに縫目6寄りで隣接する縫目5cとの交点n7にお
いて、前記交点n4で第2縫目7が縫製方向B上流側を
通過した挿通部9と、この挿通部9に縫製方向B下流側
で隣接する挿通部9との間で、縫目5cの針の下降方向
A下流側を通過する。
【0021】次に交点n7で第2縫目7が係合する縫目
5cに縫目6寄りで隣接する縫目5bとの交点n8にお
いて、前記交点n3で第2縫目7が縫製方向B下流側を
通過した挿通部9と、この挿通部9に縫製方向B下流側
に隣接する挿通部9との間で縫目5bの針の下降方向A
下流側を通過する。
【0022】次に交点n8で第2縫目7が係合する縫目
5bに縫目6寄りで隣接する縫目5aとの交点n9にお
いて、前記交点n2で第2縫目7が縫製方向B下流側を
通過した挿通部9と、この挿通部9に縫製方向B下流側
に隣接する挿通部9との間で縫目5aに針の下降方向A
下流側を通過する。
【0023】次に縫目6との交点n10において、前記
交点n1で第2縫目7が縫製方向B下流側を通過した挿
通部9と、この挿通部9に縫製方向B下流側に隣接する
挿通部9との間で縫目6の針の下降方向A下流側を通過
する。このような第2縫目7の張架部分12の、縫目6
寄りの端部は、縫製方向B下流側に向けて曲成され、こ
の張架部分12の縫製方向B下流側に隣接する張架部分
11に連なっている。
【0024】このような第1縫目を構成する各縫目5a
〜5d,6と、第2縫目7との係合関係が一方の布2の
前記一表面2aで繰返される。
【0025】第3縫目8は、他方の布3の針の下降方向
A下流側の一表面3aおよびこれに連なる一方の布2の
前記一表面2aと反対側の他表面2bとにわたって、第
1縫目を構成する各縫目5a〜5d,6の挿通部9の一
方の布2の他表面2bあるいは他方の布3の一表面3a
から突出する部分、すなわち前記湾曲部9a付近におい
て、縫製方向Bおよびそれに交差する方向に係合され
る。前述のように一方の布2あるいは他方の布3から突
出する挿通部は、ループ状に形成されている。
【0026】この第3縫目8は、縫製方向B下流側に進
むにつれて、一方の布2だけを挿通する縫目6から各布
2,3を挿通する縫目5a〜5dのうち縫目6に最も離
反する縫目5bに向かうにつれて、縫製方向Bにほぼ直
角に延びる張架部分13と、ジグザグ状に縫製方向Bに
関して前後しながら、縫目6に最も離反する縫目5dか
ら縫目6に向けて進む張架部分14とを有する。
【0027】もっと詳しく述べると、第3縫目8は、前
記張架部分13で、まず縫目6との交点k1において、
一方の布2の他表面2bから突出する挿通部9によって
形成されるループ内を通過する。次に、縫目6と隣接す
る縫目5aとの交点k2において、交点k1で第3縫目
8が通過したループを形成する挿通部9と、縫製方向B
に直交する方向に並ぶ挿通部9の他方の布3の一表面3
aから突出するループ内を通過する。さらに、縫目5a
に縫目6と離反する方向に隣接する縫目5bとの交点k
3において、前記交点k2で第3縫目8が通過したルー
プを形成する挿通部9と縫製方向Bに直交する方向に並
ぶ挿通部9の他方の布3の一表面3aから突出するルー
プ内を通過する。
【0028】さらに縫目5bに縫目6と離反する方向に
隣接する縫目5cとの交点k4において、前記交点k3
で第3縫目8が通過したループを形成する挿通部9と縫
製方向Bに直交する方向に並ぶ挿通部9の他方の布3の
一表面3aから突出するループ内を通過する。さらに縫
目5cに縫目6と離反する方向に隣接する縫目5bとの
交点k5において、前記交点k4で第3縫目8が通過し
たループを形成する挿通部9と、縫製方向Bに直交する
方向に並ぶ挿通部9の他方の布3の一表面3aから突出
するループ内を通過する。このような張架部分13は、
その縫目6と反対側の端部で縫製方向B下流側に隣接す
る張架部分14と連なっている。
【0029】この張架部分14で第3縫目8は、まず縫
製方向B下流側に向けて延び、縫目6から最も離反した
縫目5dとの交点k6において前記交点k5で第3縫目
8がループ内を通過した挿通部9と縫製方向B下流側に
隣接する挿通部9の縫製方向B下流側を巻掛けて通過
し、縫製方向B上流側に向けて延び、再び縫目5dとの
交点k2において、前記交点k5で第3縫目8が通過し
た挿通部9のループ内を通過する。
【0030】次に縫製方向B下流側および縫目6に近接
する方向に延び、縫目5dに縫目6寄りで隣接する第1
縫目5cとの交点k8において、前記交点k4で第3縫
目8がループ内を通過した挿通部9に縫製方向B下流側
で隣接する挿通部9の縫製方向B下流側を巻掛けて通過
し、縫製方向B上流側に向けて延び、再び縫目5cとの
交点k2において、前記交点k4で第3縫目8が通過し
た挿通部9のループ内を通過する。
【0031】次に縫製方向B下流側および縫目6に近接
する方向に延び、縫目5aに縫目6寄りで隣接する第1
縫目5bとの交点k10において、前記交点k3で第3
縫目8がループ内を通過した挿通部9と縫製方向B下流
側に隣接する挿通部9の縫製方向B下流側を巻掛けて通
過し、縫製方向B上流側に向けて延び、再び縫目5bと
の交点k11において、前記交点k3で第3縫目8が通
過した挿通部9のループ内を通過する。
【0032】次に縫製方向B下流側および縫目6に近接
する方向に延び、縫目5bに縫目6寄りで隣接する縫目
5aとの交点k12において、前記交点k2で第3縫目
8がループ内を通過した挿通部9と縫製方向B下流側で
隣接する挿通部9の縫製方向B下流側を巻掛けて通過
し、縫製方向B上流側に向けて延び、再び縫目5aとの
交点k13において、前記交点k2で第3縫目8が通過
した挿通部9のループ内を通過する。
【0033】次に縫製方向B下流側および縫目6に近接
する方向に延び、縫目6との交点k14において前記交
点k1で第3縫目8がループ内を通過した挿通部9と縫
製方向B下流側に隣接する挿通部9の縫製方向B下流側
を巻掛けて通過し、縫製方向B上流側に向けて延び、再
び縫目6との交点k15において、前記交点k1で第3
縫目8が通過した挿通部9のループ内を通過する。この
ような張架部分14は、最後に前記交点k15で挿通部
9のループ内を通過した後、縫製方向B下流側に向けて
延び、縫製方向B下流側に隣接する張架部分13に連な
っている。
【0034】このような第1縫目20を構成する各縫目
5a〜5d,6と、第3縫目8との係合関係が、他方の
布2の前記他表面2bおよび他方の布3の一表面3aで
繰返される。ここで注目すべきは、第3縫目8の張架部
分14において、第1縫目20を構成する各縫目5a〜
5d,6の挿通部9の縫製方向B下流側を巻掛けて通過
する部分、すなわち前記交点k6,k8,k10,k1
2,k14で係合する部分において、張架部分14は、
各挿通部9のループ内を通過する張架部分13よりも他
方の布3の他表面3aに近接する側を通過する。これに
よって、交点k6,k8,k10,k12,k14にお
いて挿通部9を巻掛けて通過する部分が張架部分13に
よって係止され、第1縫目を構成する各縫目5a〜5
d,6に係着される。したがって、第1縫目を構成する
各縫目5a〜5d,6と第3縫目8との係合関係が維持
され、縫目構造が維持される。
【0035】また、第3縫目8によって他方の布3の端
部4が外方から覆われるので、他方の布3の端部4が露
出しない。したがって、他方の布3を表側に配置して衣
類を形成することによって、端部4が露出しないので美
観の向上した衣類を形成することができる。また、その
端部4が、たとえば手などに引掛かることがなく、動き
やすい衣類を形成することができる。
【0036】上飾り糸T2およびルーパ糸T3は、たと
えばウィリーナイロン製で番手が20番の糸やあるいは
ポリエステル製で番手が110番の糸などが用いられ
る。
【0037】このように構成される縫目構造1の一定の
縫目の幅、すなわち縫目6と、この縫目6から最も離反
する縫目5dとによって規定される間隔L1は、従来技
術における4本縫目から成る第1縫目を有する縫目構造
と同一の幅6mmなどである。このように全体の縫目の幅
L1を従来と比較して変化させることなく針糸T1によ
って形成される縫目の本数を増加することによって、引
張強度を針糸T1によって形成される縫目の本数に比例
させて増加させ、さらに付加的強度を与えて高くするこ
とができる。すなわち、本発明に従う針糸5本の縫目構
造1の引張強度をPとし、従来技術の針糸4本の縫目構
造の引張強度をP1としたとき、引張強度Pは次式
(1)で表される。
【0038】 P={P1×(5/4)}+ΔP …(1) ここで、ΔPは付加的強度であって、正の値である。こ
の付加強度は、これらの針糸T1によって形成される第
1縫目20を構成する各縫目5a〜5d,6が第2およ
び第3縫目7,8によって相互に係着されることによっ
て与えられる。すなわち、スポーツ選手などの動きによ
って与えられる外力は、第2および第3縫目7,8によ
って第1縫目を構成する各縫目5a〜5d,6に均等に
分散されることによって、1本の縫目に負担がかかるこ
とがない。したがって、第1縫目20を構成する各縫目
5a〜5d,6が切断あるいは損傷しにくく、縫目構造
1全体の引張強度が高くなる。
【0039】図2は、本実施例の縫目構造1を形成する
ために用いられる環縫いミシン50の一例を示す斜視図
である。この環縫いミシン50は、基台51に固定され
るミシン本体52と、このミシン本体52から延出して
設けられるベッド53とを含む。
【0040】ミシン本体52は、大略的にL字状であっ
て、基台51から上方に向けて立上がる立上がり部54
と、この立上がり部54の上端部からほぼ直角に屈曲し
水平方向に延びる水平部55と、この水平部55の先端
部に設けられる針棒案内部56とを有する。針棒案内部
56には、上下方向に往復移動が可能な状態で、上端を
針棒案内部56から上方に突出させた状態で収納されて
いる。この針棒57は、基台51に備えられる図示しな
いモータからの動力が伝達され、上下方向に往復駆動さ
れる。針棒案内部56の下部には、針棒57の下端部に
取付けられて5本の針58が設けられる。この針58
は、針棒57が駆動され上下に移動されることによって
上下に移動される。また針棒案内部56の下部には、上
飾り糸T2を操作するための上飾りルーパ59が、針棒
57の移動方向と平行な軸線まわりに回動自在に設けら
れる駆動軸60に取付けられて設けられる。この上飾り
ルーパ59は、針棒57による針58の上下の移動と同
期して、針棒57の移動経路と平行な軸線まわりに角変
位される。
【0041】ベッド53は、ミシン本体52の立上がり
部54からほぼ水平方向に延出し、その先端部を針棒案
内部56に設けられる針58に臨まれて配置される。こ
のベッド53の内部には、その先端部付近すなわち針5
8の下方に臨んだ位置に下ルーパ61が設けられる。こ
の下ルーパ61は、後述するように針58の上下方向の
移動と同期して楕円軌道を描いて移動される。各針58
には、図示しない糸巻きリールから針糸T1が第1糸案
内片62、第2糸案内片63および第3糸案内片64に
よって案内され供給される。これらの各針糸T1は、第
1糸案内片62と図示しない糸巻きリールとの間に介在
される張力調整手段65によってそれぞれ個別的に張力
が調整される。また上飾り糸T2は図示しない糸巻きリ
ールから張力調整手段66を介し、ミシン本体52内を
通過しさらに第4糸案内片67に案内されて上飾りルー
パ60に供給される。このように上飾り糸T2は張力調
整手段66を介しているので、その張力が容易に調整さ
れる。また下ルーパ61には、図示しない糸巻きリール
から張力調整手段68を介し、ミシン本体52内を通し
てルーパ糸T3が供給される。これによって、下ルーパ
61に供給されるルーパ糸T3の張力が容易に調整され
る。
【0042】図3は、針かご69および各針58を示す
分解斜視図であり、図4は針かご69に針58を装着し
た状態で、針58の延びる方向に垂直な平面で切断した
断面図である。針かご69は、断面形状が大略的に長方
形状であって、各針58が共通に挿入される挿入孔70
が形成される。また、針かご69には厚み方向一方側か
ら延び、挿入孔70に臨んで開口するねじ孔71が、針
かご69に取付けられる針58の本数と同一の数(本実
施例において5)だけ形成される。このねじ孔71は、
針かご69の幅方向、すなわち図4の左右方向に関して
相互に等間隔をあけて形成され、隣接する2つのねじ孔
71は、縦方向、すなわち図4の紙面に垂直な方向に関
してずれた位置に形成される。
【0043】針58は、挿入孔70に挿入され、取付ボ
ルト72がねじ孔71に螺着されることによって、針か
ご69に取付けられる。挿入孔70は、前述のように長
方形状であって、針58は、針かご69の幅方向、すな
わち図4の左右方向に並べられて取付けられる。したが
って、後述するように各針58によって形成される第1
および第2縫目5,6の挿通部9を、縫製方向Bに垂直
な方向においてすなわち縫目の幅方向に並べて形成する
ことができる。また前述のようにねじ孔71を、縦方
向、すなわち図4の紙面の垂直な方向にずらせて形成す
ることによって、隣接する2つの針58を、取付ボルト
72の大きさに左右されることなく可及的に近接させて
針かご69に取付けることができる。したがって、隣接
する2つの針58間の間隔を可及的に小さくすることが
でき、縫幅を小さくすることができる。
【0044】また針かご69には、各針糸T1を各針5
8に案内するための凹所である針道73が形成されてい
る。したがって、各針糸T1は、相互に絡みつくことな
く案内されて、各針58に供給される。したがって、縫
製中に各針糸T1が相互に絡みついてしまい、切断され
たり損傷したりすることがない。また取付ボルト72
は、針58を締付て固定させた状態で、針かご69から
突出しないので、各針58に供給される各針糸T1が引
掛かってしまい、切断されたり損傷したりすることがな
い。
【0045】このように針かご69に各針58が取付け
られ、この針かご69が各針58が取付けられる側と反
対側に形成される外ねじを有する取付部74を針棒57
に螺着して取付けることによって、各針58が針棒57
に取付けられる。
【0046】図5は、上飾りルーパ59を示す斜視図で
ある。上飾りルーパ59は、大略的にC字状であって、
基端部に取付孔76を有する取付部75が形成され、遊
端部に係止部78が形成される。取付部75には、取付
孔76に連通する切割り溝79が形成され、またこの切
割り溝79を挟んでいる2つの部分を相互に近接させる
ための締付ボルト80が螺着される。係止部78は、鉤
状であって、この鉤状の係止部78によって上飾り糸T
2を引掛けて、この上飾り糸T2によって形成される第
2縫目7が、第1縫目20を構成する各縫目5a〜5
d,6との間で、前述のような係合関係を満たすように
導く。
【0047】この上飾りルーパ59は、取付孔76に前
述の駆動軸60が挿入された状態で、締付ボルト80に
よって締付けられ、駆動軸60に固定される。この上飾
りルーパ59を駆動軸60によって角変位させることに
よって、上飾り糸T2を操作して、第2縫目7を形成す
ることができる。
【0048】図6は、針58および下ルーパ61の移動
経路を示す斜視図である。針58には、その先端部付近
に挿通孔81が形成され、その挿通孔81に針糸T1が
挿通されている。これによって、針58によって針糸T
1が操作され第1縫目20を構成する各縫目5a〜5
d,6が形成される。このような針58は、針58が最
も上方に位置する上死点X1と、針58が最も下方に位
置する下死点X3との間を、下ルーパ61によってもた
らされるルーパ糸T3を捕捉するルーパ糸捕捉位置X2
を介して、上下に往復運動する。
【0049】下ルーパ61は、長手状であって、先端部
85が尖って形成されている。この下ルーパ61には、
後端部86側から先端部85付近まで内部をルーパ糸T
3が挿通されている。これによって、下ルーパ61によ
ってルーパ糸T3が操作され第4縫目8が形成される。
このような下ルーパ61は、針58の上下方向にほぼ直
交する平面内を針58の通過経路を外囲する形で楕円状
に移動される。すなわち、最も後方に配置された退避位
置Y1から、針58の通過経路の左方において針糸T2
を捕捉する左糸捕捉位置Y2を介して最も前方に配置さ
れる最前位置Y3に至り、針の通過経路の右方に配置さ
れる右糸捕捉位置Y4を介して前述の退避位置Y1に復
帰される。このような下ルーパ61の楕円軌道上の移動
は、針58の上下の移動と同期して行われる。
【0050】このように針58、下ルーパ61ならびに
上飾りルーパ59が相互に同期してそれぞれ移動される
ことによって、前述のような第1〜第3縫目5a〜5
d,6〜8の相互の係合関係が得られる。
【0051】図7(1)に示すように、各針58が上死
点X1に配置された状態で、上飾りルーパ59が第2縫
目7を形成する上飾り糸T2を引掛けて、第1縫目を構
成する各縫目5a〜5d,6のうちの一方の布2だけを
挿通する縫目6側からそれと最も離反する各布を挿通す
る縫目5dに向けて、縫製方向Bに直交する方向に張架
される。このとき、縫製方向Bに進むにつれて、縫目6
から縫目5dに向かう前進時張架部分11は、第1縫目
20を構成する各縫目5a〜5d,6のうちの縫目6お
よびそれと隣接する縫目5aを形成する針糸T1を導く
針58の縫製方向B下流側を通過し、残余の縫目5b〜
5dを形成する針糸T1を導く針58の縫製方向B上流
側を通過するように張架される。またこの前進時張架部
分11に連なり、縫製方向Bに進むにつれて縫目6に最
も離反する第1縫目5dから第2縫目6に向けて進む後
退時張架部分12には、第1縫目20を構成する各縫目
5a〜5,6を形成する各針糸T1を導く各針58の縫
製方向B下流側において張架される。ここで、前進時張
架部分11は図1において説明した張架部分11と同一
であり、後退時張架部分12は図1において説明した張
架部分12と同一であるので、同一の参照符号を付す。
また、このとき下ルーパ61は、図7(1)において形
成しようとする縫目の1つ前の縫目を形成するために最
前位置Y3に配置されているけれども、図解を容易にす
るために省略する。
【0052】この後各針58は、矢符Aで示されるよう
に下降方向に向けて移動、すなわち下降し、第1縫目を
構成する各縫目5a〜5d,6の挿通部9と、第2縫目
7の前進時張架部分11とが係合される。上飾りルーパ
59によって上飾り糸T2の引掛け状態が解除され、各
針58が一度下死点X3を通過して上昇する際に、ルー
パ糸捕捉位置X2に配置されたときに、図7(2)に示
すように下ルーパ61が、矢符Cで示されるような前進
方向に退避位置Y1から前進し、左捕捉位置Y2に至っ
て各針58によって導かれた第1縫目20を構成する各
縫目5a〜5d,6の挿通部9によって形成されるルー
プ内を通過し、図1において説明した張架部分13であ
る前進時張架部分13および張架部分14である後退時
張架部分14が各挿通部9のルーパ内を挿通した状態に
なる。すなわち、第3縫目8は、第1縫目を構成する各
縫目5a〜5d,6によって第3縫目8の下方を迂回す
るように巻掛けられている。
【0053】さらに進んで下ルーパ61が最前位置Y3
に前進し、針58が上死点X1に上昇されると、図7
(2)において説明した挿通部9から縫製方向B下流側
に距離L3だけ移動した位置に針58が配置される。こ
のとき、図7(1)で説明したように再び上飾りルーパ
60によって上飾り糸Tが引掛けられ、前進時張架部分
11および後退時張架部分12を含んで張架される。こ
のときの前進時張架部分11および後退時張架部分12
の張架される位置は、図7(1)で説明した張架位置と
同様であるので重複を避けて説明を省略する。
【0054】このような状態から、下ルーパ61が前進
方向Cと反対側に後退し、各針58が下降方向Aに向け
て下降し、下ルーパ61が右捕捉位置Y4に配置され、
各針58がルーパ糸捕捉位置Y2に配置されると、各配
置58が下ルーパ61に、縫製方向Bにほぼ直交する方
向に張架されている前進時張架部分13と後退時張架部
分との間を挿通して、図7(2)で説明した第1縫目2
0を構成する各縫目5a〜5d,6の挿通部9に縫製方
向Bに隣接する挿通部9が下ルーパ61によって張架さ
れる前進時張架部分13と、後退時張架部分14との間
を挿通する。これによって、第1縫目20を構成する各
縫目5a〜5d,6によって形成される挿通部9が、縫
製方向B上流側に隣接する1つ前に形成された挿通部9
のループ内を挿通した後退位置張架部分14によって個
別的に巻掛けられて相互に係着される。さらに進んで針
58が下死点に到達し、下ルーパ61が退避位置Y1に
退避された状態が図8(1)である。図8(1)に示す
ように、前述のように下ルーパ61によって張架される
前進時張架部分13と後退時張架部分14との間を挿通
部9が挿通することによって、前述のように後退時張架
部分14が縫製方向Bに隣接する2つの挿通部9間にわ
たってジグザグ状に前後するように張架される。
【0055】このような状態からさらに進行して針58
が上昇し、ルーパ糸捕捉位置X2に配置され、下ルーパ
61が前進し、左捕捉位置Y2に配置されると、図8
(2)に示すように再び針58によって形成される第1
縫目20を構成する各縫目5a〜5d,6の挿通部9の
ループ内を挿通し、下ルーパ61によって張架される前
進時張架部分13と、後退時張架部分14とが挿通部9
のループ内を通過する。このとき、下ルーパ61は、縫
製方向B上流側に隣接する挿通部9、すなわち1つ前の
挿通部10のループ内を通過した後退時張架部分14に
よって巻掛けられている部分よりも、下方に挿通する。
これによって、前述のように縫製方向B上流側に隣接す
る挿通部9のループ内を通過した後退時張架部分14が
挿通部9と係着され、縫目がほどけることを防止するこ
とができる。
【0056】このような針58、下ルーパ61および上
飾りルーパ59が相互に同期して移動を繰返すことによ
って、前述のような第1縫目20と、第2および第3縫
目7,8との係合が繰返され縫目構造1が構成される。
【0057】図9は、本発明の他の実施例の縫目構造を
簡略化して示す図であり、図9(1)は、図10(1)
と同程度の積重領域R1を有して、2枚の布2,3が配
置された縫目構造40を示す概略図であり、図9(2)
は、図10(2)と同程度の積重領域R2を有して、2
枚の布2,3が配置された縫目構造41を示す概略図で
あり、図9(3)は、図10(3)と同程度の積重領域
R3を有して、2枚の布2,3が配置された縫目構造4
2を示す概略図である。図1〜図8に示す実施例におい
て第1縫目20を構成する5本の縫目5a〜5d,6の
うち、4本の縫目5a〜5dは、各布2,3を挿通する
ように構成されたけれども、図9に示す実施例のよう
に、たとえば、2枚の布2,3を縫着するためにミシン
を操作するオペレータの操作によって、2枚の布2,3
が、図9(1)に示す積重領域R1、図9(2)に示す
積重領域R2、または図9(3)に示す積重領域R3を
有して配置されても、本発明に従う縫目構造40〜42
は、有効的に実施することができる。図9に示す実施例
において、図1〜図8に示す実施例と同様の構成を有す
る部分には、同一の参照符号を付し、重複を避けて説明
は省略する。
【0058】図1〜図8に示す実施例のように、縫着す
べき布2,3が、理想的な状態で配置される場合につい
て、従来技術と比較すると、各布2,3を挿通する縫目
の数は、第1縫目20を構成する5本の縫目5a〜5
d,6のうちの4本の縫目5a〜5dであって、従来技
術の3本と比較して、1本増加しており、強度が向上さ
れることは、前述のように明らかである。同様に、図9
(1)〜図9(3)に示す実施例についても、図10
(1)〜図10(3)に示す従来技術と比較すると、各
場合において本発明に従う縫目構造40,41,42
は、従来技術よりも各布2,3を挿通する縫目を1本多
く有する。
【0059】図9(1)に示すように、積重領域R1を
有して、各布2,3が配置される場合、各布2,3を挿
通している縫目は3本であり、図10(1)に示す従来
技術では、2本である。この縫目の本数から単純に比較
すると、縫目構造40の強度は、従来と比較して約1.
5倍になる。
【0060】図9(2)に示すように、積重領域R2を
有して、各布2,3が配置される場合、各布2,3を挿
通している縫目は2本であり、図10(2)に示す従来
技術では、1本である。この縫目の本数から単純に比較
すると、縫目構造41の強度は、従来と比較して約2倍
になる。
【0061】図9(3)に示すように、積重領域R1を
有して、各布2,3が配置される場合、各布2,3を挿
通している縫目は1本であり、図10(3)に示す従来
技術では0本、すなわち各布100,101を挿通する
縫目が存在しない。このような場合には、縫目構造42
の強度は、従来と比較して約5倍程度になる。
【0062】このように本発明に従う縫目構造1,40
〜42は、従来技術と同一の幅L1で、針糸によって形
成される縫目の数を増加して、その密度を高くし、各布
2,3を挿通する縫目を増加することができる。これに
よって、従来と比較して、約1.5〜2.0倍を越える
程度に強度を向上させて、縫着すべき布2,3を縫着す
ることができる。特に、図9(3)に示すように積重領
域R3を有して各布2,3が配置される場合、従来技術
では、各布100,101を挿通する縫目が存在しない
ので、各布100,101間に隙間が生じるおそれがあ
るのに対し、本発明に従う縫目構造42では、各布2,
3を1本の縫目が挿通しており、たとえばスポーツ選手
の動きによって各布2,3を相互に離反させるような外
力が作用し、各布2,3間に隙間が生じることがない。
【0063】上述の実施例において、下ルーパ61およ
び上飾りルーパ59は、縫製方向Bに進む方向に向かっ
て、右方から左方に向けて前進するように構成されたけ
れども、本発明の他の実施例として、縫製方向Bに向か
って、左方から右方に向けて前進するように構成されて
もよい。これによっても、上述の実施例と同様の構成を
有する縫目を形成することができ、同様の効果を得るこ
とができる。
【0064】また上述の実施例において、第1縫目20
を構成する5本の縫目5a〜5d,6のうち一方の布2
だけを挿通する縫目6は、縫製方向Bに向かって右方に
配置されたけれども、本発明の他の実施例として縫製方
向Bに向かって左方に配置されるようにしてもよい。こ
れによっても、上述の実施例と同様の効果を得ることが
できる。
【0065】また上述の実施例において、第1縫目を構
成する各縫目5a〜5d,6は、同一の針糸T1によっ
て形成されたけれども、それぞれ異なる針糸を用いて形
成するようにしてもよい。勿論、第3縫目7および第4
縫目8と異なる糸を用いてもよい。また逆に、第1〜第
4縫目5〜8を、すべて同一の糸によって形成してもよ
い。これらの第1〜第4縫目5〜8を形成するために用
いる糸は、必要とされる引張り強度やデザインなどによ
って適宜選んで使用することが可能であって、上述の実
施例において挙げた材質や番手は、その一例にすぎず、
これにとらわれることなく、他の種類の材質や番手など
の糸を用いて形成してもよい。またたとえば各第1縫目
20を構成する各縫目5a〜5d,6、第2縫目7およ
び第3縫目8を形成するために用いる糸を色の異なる糸
に選ぶことによって、縫目構造自体をデザイン化するこ
とができる。これによって、美観の向上された縫目を形
成することができる。
【0066】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、縫着され
るべき2枚の布は、一部重ねた状態で環縫いによって縫
着される。第1縫目は、各布の積重領域において、予め
定める一定の幅で縫製方向に沿って延び、各布をその厚
み方向に挿通する少なくとも1本の縫目を含む5本の縫
目によって構成される。このように第1縫目を構成する
5本の縫目は、相互に一定の間隔をあけて平行に形成す
ることができるので、美観のよい縫目を形成することが
できる。したがって、デザイン性が要求される衣類など
を縫製するために容易に用いることができる。また第1
縫目によって形成される縫目の幅は、従来から形成され
ていた一定の幅と等しい幅であり、従来では、第1縫目
を構成する縫目が4本であったのに対し、5本に増加さ
れても、縫目の幅が大きくなることを防止しているの
で、衣類を縫製した際に、縫目が目立ち、美観が損なわ
れることを防止することができる。
【0067】また第1縫目を構成する縫目の本数を増加
させることによって強度が向上される。したがって、大
きな引張り強度を有する衣類を縫製することが可能にな
り、このような衣類を着用するたとえばスポーツ選手な
どが激しい動きなどをしても、その動きに対応し、縫目
が損傷されることを防止することができる。
【0068】また、第1縫目を構成する縫目の密度が高
くなり、前記積重領域が小さくなっても、ほぼ確実に、
1本の縫目が各布を挿通する。したがって、スポーツ選
手が動いて、各布を離反させるように外力が作用して
も、各布間に隙間が生じることがない。第2縫目は、一
方の布の前記針の下降方向上流側となる領域で、第1縫
目を構成する各縫目に係合して形成される。第3縫目
は、他方の布の前記針の下降方向下流側となる領域で、
第1縫目を構成する各縫目に係合されて形成される。こ
れによって、第1縫目と第2および第3縫目とが相互に
係合され、縫目が伸縮可能になり、また第1縫目を構成
する各縫目を相互に係着することができるので、たとえ
ばスポーツ選手の動きによって与えられる外力が各第1
縫目を構成する各縫目に分散されて、1つの縫目に大き
な引張り力が作用することを防止して、引張り強度を向
上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の縫目構造1を示す斜視図で
ある。
【図2】本実施例の縫目構造1を形成するために用いら
れる環縫いミシン50を示す斜視図である。
【図3】環縫いミシン50に備えられる針58および針
かご69を示す分解斜視図である。
【図4】針かご69に針58を取付けた状態で示す断面
図である。
【図5】環縫いミシン50に備えられる上飾りルーパ5
9を示す斜視図である。
【図6】針58および下ルーパ61と移動経路を説明す
るための斜視図である。
【図7】第1〜第4縫目の5〜8と形成状態を説明する
ための斜視図であり、図7(1)は、針58が上死点X
1に配置された状態を示す斜視図であり、図7(2)
は、針58が下死点X3からX1に上昇する際にルーパ
糸捕捉位置X2に配置され、下ルーパ61が前進する際
に左捕捉位置Y2に配置された状態を示す斜視図であ
り、図7(3)は、針58が再び上死点X1に配置さ
れ、下ルーパ61が最前位置Y3に配置された状態を示
す斜視図である。
【図8】第1〜第4縫目5〜8の形成状態を説明するた
めの図であり、図8(1)は、針58が下死点X1に配
置され、下ルーパ61が退避位置Y1に配置された状態
を示す斜視図であり、図8(2)は、針58が下死点X
3から上昇しルーパ糸捕捉位置X2に配置され、下ルー
パ61が前進時に左捕捉位置Y2に配置された状態を示
す斜視図である。
【図9】本発明の他の実施例の縫目構造を簡略化して示
す図であり、図9(1)は、図10(1)と同程度の積
重領域R1を有して、2枚の布2,3が配置された縫目
構造40を示す概略図であり、図9(2)は、図10
(2)と同程度の積重領域R2を有して、2枚の布2,
3が配置された縫目構造41を示す概略図であり、図9
(3)は、図10(3)と同程度の積重領域R3を有し
て、2枚の布2,3が配置された縫目構造42を示す概
略図である。
【図10】従来技術の縫目構造を簡略化して示す図であ
り、図10(1)は、積重領域R1を有して、2枚の布
2,3が配置された縫目構造を示す概略図であり、図1
0(2)は、積重領域R2を有して、2枚の布2,3が
配置された縫目構造を示す概略図であり、図10(3)
は、積重領域R3を有して、2枚の布2,3が配置され
た縫目構造を示す概略図である。
【符号の説明】
1,40〜42 縫目構造 2 一方の布 3 他方の布 5a〜5d,6 第1縫目 7 第2縫目 8 第3縫目 9 挿通部 10 連結部 11〜14 張架部分 50 環縫いミシン 58 針 59 上飾りルーパ 61 下ルーパ L1 縫目の幅
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 幸博 大阪府大阪市住之江区南港北1丁目12番 35号 美津濃株式会社内 (72)発明者 田中 一照 三重県阿山郡大山田村大字平田8 株式 会社ミズノインダストリー伊賀内 (72)発明者 矢田 武男 三重県四日市市室山町103 トーヨーニ ット株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D05B 1/00 - 83/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相互に縫着されるべき2枚の布が突合わ
    せられ、一方の布が他方の布の上に乗載された状態で、
    その積重領域およびその積重領域に連なる少なくとも一
    方または他方の布にわたって、予め定める一定の幅で環
    縫いによって前記2枚の布を縫着するフラットシームの
    縫目構造において、 針糸によって、縫製方向に沿い、かつ前記一定の幅で、
    その幅方向に間隔をあけて相互に平行に形成される5本
    の縫目から成り、前記5本の縫目のうち少なくとも1本
    は、各布を挿通する第1縫目と、 上飾り糸によって、各布に関して針の下降方向上流側と
    なる領域で、第1縫目を構成する5本の縫目にそれぞれ
    係合する第2縫目と、 ルーパ糸によって、各布に関して針の下降方向下流側と
    なる領域で、第1縫目を構成する5本の縫目にそれぞれ
    係合する第3縫目とを含むことを特徴とするフラットシ
    ームの縫目構造。
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