JP2003024675A - 偏平縫いミシンの針板構造 - Google Patents

偏平縫いミシンの針板構造

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JP2003024675A
JP2003024675A JP2001219084A JP2001219084A JP2003024675A JP 2003024675 A JP2003024675 A JP 2003024675A JP 2001219084 A JP2001219084 A JP 2001219084A JP 2001219084 A JP2001219084 A JP 2001219084A JP 2003024675 A JP2003024675 A JP 2003024675A
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looper
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JP2001219084A
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Toru Sakuma
徹 佐久間
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Suzuki Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】簡単な構造で奇麗な二重環縫い編目を形成でき
るようにする。 【解決手段】縫製生地の縫目形成時に生じる3本の針3
A、3B、3Cおよびルーパ4の動作に応じて各針3
A、3B、3Cの針糸とルーパ4のルーパ糸との絡み合
いにより針板6下に形成される二重環縫い編目を弛緩す
るための針板爪10を針板6に有し、編目形成時に針板
爪10に捕捉されているルーパ糸と共に縫製生地を送り
歯5A、5Bと布押さえ7との間に挟持して連続的に送
り出し、ルーパ糸が針板爪10から解放されて弛緩され
た編目を形成する針板構造であって、針板爪10は、縫
製生地の送給方向前方Aから後方Bに向けて、縫目の送
り量に応じて二重環縫い編目に対する弛緩量を所定のピ
ッチで順次低減する階段状に形成されたルーパ糸解放面
11を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は偏平縫いミシンの針
板構造に係り、特に、針糸およびルーパ糸によって編み
出されて針板下に形成される二重環縫い編目のルーパ糸
量を制御する偏平縫いミシンの針板構造に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】偏平
縫いミシンによる偏平縫いは、針糸2本(または針糸3
本)とルーパ糸1本とで、主にメリヤス生地の繋ぎ合わ
せ目や裾引き縫いの縫目をカバーして布端や縁縢り縫目
等が肌に触れないようにしたり、生地の裏面に出る繋ぎ
合わせ目や裾引き縫いの縫目を装飾的にカバーして衣類
の見栄えをよくしたりするために使用されている。ま
た、偏平縫いは、細長く裁断した布を長手方向に丸め、
平らに縫い止めて作るズボンのベルトループにも使用さ
れ、縫目は生地の表面が針糸2本による一定間隔の平行
な縫目となり、生地の裏面が各針糸間をルーパ糸1本が
緩く編んでいく二重環縫いとなるので、生地の裏面に形
成されるルーパ糸の二重環縫い編目は弛緩することなく
適度に緊張した糸調子で縫い上がるように各糸の張力が
調整される。
【0003】このような(ベルトループを除く)一般的
な偏平縫いは、従来はメリヤス肌着や婦人下着などに使
用されることが主であったが、最近では、多種多様なニ
ット生地が作られるようになったことから、衣類も機織
生地に変ってニット生地が多く着られるようになった。
このニット生地は伸縮性に富んでいるので、偏平縫いの
縫目もニット生地の伸縮性に追従する縫目が要求されて
いる。即ち、ニット生地による偏平縫いでは生地が柔ら
かいことから伸びるだけでなく縮みも発生するので、縫
糸との糸張力のバランスを取り難くなっていた。この不
具合により、ルーパ糸の糸張力によって布送り方向に対
して直角となる方向に収縮して、平行する針糸2本(ま
たは針糸3本)を引き寄せてしまうことから、縫い上が
りにおける針糸間隔が狭くなるので、生地は褶曲し蒲鉾
状態になって正常な縫い上がりができなくなる虞があっ
た。これに対し、機織生地による偏平縫いでは、縫目の
伸縮性は要求されずルーパ糸で作られる編目の糸張力も
生地の堅さによってバランスが保たれるので、ルーパ糸
が緩まないように糸締めすることができる。
【0004】この偏平縫目を編み出す偏平縫いミシンに
使用される針板が有する針板爪は、針落ち部が針板の上
面と平行に形成され、爪部が生地の送給方向前方から後
方に向けて、弛緩量を低減する方向に傾斜して先細りに
なるようにテーパ状や曲線で結ばれている。また、偏平
縫いの送り量は2mmから4mmが一般的であるが、例
えば、図15(a)、(b)、(c)に示すような送給
方向前方A1側が緩やかなテーパ51aで、送給方向後
方B1側がきついテーパ51bの組合わせから成る爪部
51を有する針板爪50の場合、概ね2.7mm以下の
細目送り量では予め設定された弛緩量を確保できるが
(図15(b))、概ね3.5mm以上の粗目送り量で
は一目の送りでルーパ糸が針板爪50から早目に抜け
る、または、針板爪50の先端方向の細い部分に一挙に
移動して、ルーパ糸の弛緩量が少なくなり緊張した縫上
がりになってしまうことがあった(図15(c))。
【0005】また、図16(a)、(b)、(c)に示
すように、爪部52が円弧状の曲線から成る針板爪5
0′の場合も、概ね2.7mm以下の細目送り量では予
め設定された弛緩量を確保できるが(図16(b))、
概ね3.5mm以上の粗目送り量では一目の送りでルー
パ糸が針板爪50′から早目に抜ける、または、針板爪
50′の先端方向の細い部分に一挙に移動して、ルーパ
糸の弛緩量が少なくなり緊張した縫上がりになってしま
うことがあった(図16(c))。
【0006】このような針板爪の不具合を改善するため
図17(a)、(b)、(c)に示すように、針板爪5
0″の爪部53の勾配を緩くすると、概ね3.5mm以
上の粗目送り量では予め設定された弛緩量を確保でき
(図17(c))、また、概ね2.7mm以下の細目送
り量でも縫目は十分に弛緩して、生地の伸びに対応でき
るようになるが、編目の抜けが悪くなり種々の縫製トラ
ブルの原因になっていた(図17(b))。これに対
し、針板爪の爪部の勾配をきつくすると、編目の抜けは
よくなるが、概ね3mmの中目送り量では針板爪の爪部
に絡まった編目が早めに抜ける、または、針板爪の爪部
先端方向の細い部分に一挙に移動して縫い上がりでルー
パ糸が緊張し、さらに、概ね3.5mm以上の粗目送り
量ではルーパ糸が緊張して布の褶曲が発生する虞があっ
た。
【0007】本発明は、このような従来の難点を解決す
るためになされたもので、簡単な構造で奇麗な二重環縫
い編目を形成するために、編目に充分な弛緩量を持たせ
ることができ、而も針糸間隔が狭くならず生地の褶曲を
発生させない偏平縫目を編み出すことができる偏平縫い
ミシンの針板構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の偏平縫いミシンの針板構造は、縫製生地の縫目形成
時に生じる複数本の針およびルーパの動作に応じて各針
の針糸とルーパのルーパ糸との絡み合いにより針板下に
形成される二重環縫い編目を弛緩するための針板爪を針
板に有し、編目形成時に針板爪に捕捉されているルーパ
糸と共に縫製生地を送り歯と布押さえとの間に挟持して
連続的に送り出し、ルーパ糸が針板爪から解放されて弛
緩された編目を形成する偏平縫いミシンの針板構造であ
って、針板爪は、縫製生地の送給方向前方から後方に向
けて、縫目の送り量に応じて二重環縫い編目に対する弛
緩量を所定のピッチで順次低減する階段状に形成された
ルーパ糸解放面を備えたものである。
【0009】このような偏平縫いミシンの針板構造によ
れば、複数本の針およびルーパの動作に応じて各針の針
糸とルーパのルーパ糸との絡み合いにより針板下に形成
された編目を、縫製生地の下方に位置する所定の階段に
巻きつけて糸締めを完了後、所定のピッチで布送りが実
行されると、この針板爪のルーパ糸解放面が有する所定
の階段に巻きつけられ糸締めが完了した編目は、縫製生
地の送りと共に所定のピッチで送られるので、針板爪の
ルーパ糸解放面が有する次の階段に移動する。なお、糸
締めが完了した編目は、弛緩量が一段低減する次の階段
に移動した際、次に形成される編目の糸締めに関連して
少し糸締めされるが、針板爪の弛緩量が低減している次
の階段に移動するので、ルーパ糸の弛緩量が最初に形成
された編目の弛緩量に対して余裕ができ、緊張した縫上
がりにならずに済む。
【0010】また、本発明の偏平縫いミシンの針板構造
においてルーパ糸解放面は、各階段が針板上面と平行若
しくは縫製生地の送給方向前方から後方に向けて弛緩量
を低減する方向に傾斜していることが好ましい。これに
より、針糸およびルーパ糸で形成された編目を縫製生地
の下方に位置する針板爪に巻きつけて糸締めするとき
に、糸締めによって編目が縫製生地の送給方向前方から
後方に向けて滑り出さない程度に弛緩量を低減すること
ができるので、糸締めされる編目の弛緩量を必要以上に
低減させずに済む。
【0011】また、本発明の偏平縫いミシンの針板構造
において各階段間は曲面で接続されていることが好まし
い。これにより、糸締めが完了した編目が、弛緩量が一
段低減する次の階段に移動するときの移動を滑らかに
し、また、各階段間の位置が送り量と一致した場合にお
いても、糸締めが完了した編目を次の階段に滑らかに移
動させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明による偏平縫いミシ
ンの針板構造の好ましい実施の一形態について、図面を
参照して説明する。
【0013】本発明の針板構造が適用される偏平縫いミ
シンは図1(a)に示すように、上下直線往復運動する
針留め2に固定された3本の針3A、3B、3Cと、3
本の針3A、3B、3Cの運動軌跡と交差するように円
弧往復運動する1つのルーパ4と、ルーパ4が下方に配
設され3本の針3A、3B、3C用の針落ち孔9A、9
B、9Cおよび送り歯5A、5B用の送り窓8が設けら
れた針板6と、針板6と共に縫製生地を挟持する押え金
7とを備えている。なお、針留め2およびルーパ4は、
主軸(図示せず)の回転によってそれぞれの往復運動を
行う。
【0014】3本の針3A、3B、3Cは、上下方向に
若干ずらして針留め2に固定されている。これにより、
各針3A、3B、3Cをルーパ4に対して最適な高さ
で、それぞれ交差させることができる。
【0015】ルーパ4の駆動機構(図示せず)は、当該
ルーパ4を針板6の下方で3本の針3A、3B、3Cの
上下直線往復運動に同期して円弧往復運動すると共に、
水平方向に楕円運動するように構成されている。即ち、
ルーパ4の円弧往復運動を針板6側(上側)から見る
と、楕円運動するように駆動機構が構成されている。
【0016】針板6は、縫製生地の縫目形成時に生じる
3本の針3A、3B、3Cおよびルーパ4の動作に応じ
て各針3A、3B、3Cの針糸30A、30B、30C
とルーパ4のルーパ糸40との絡み合いにより針板6下
に形成される二重環縫い編目(図9参照)を弛緩するた
めの針板爪10、10を有し、この針板爪10、10と
針落ち孔9A、9B、9Cとは門型スリットになるよう
に、針板6に対して形成されている。また、この針板6
の送り歯5A、5B用の送り窓8は、門型スリットに形
成される針落ち孔9A、9B、9Cおよび針板爪10、
10の前後に振り分けられた前送り歯5Aおよび後送り
歯5Bを露出させるために、複数の前送り窓8Aおよび
複数の後送り窓8Bを有している。前送り歯5Aおよび
後送り歯5Bは、主軸の回転に応じて、3本の針3A、
3B、3Cの上下直線往復運動に同期した鉛直面内での
楕円運動を行って、それぞれ前送り窓8Aおよび後送り
窓8Bから露出して縫製生地を布送り方向に間欠的に送
っている。
【0017】このような構成により、前送り歯5Aおよ
び後送り歯5Bと押え金7とによって縫製生地を布送り
方向に間欠的に送りながら、ルーパ4と3本の針3A、
3B、3Cとによって針板6上の縫製生地にルーパ糸4
0と3本の針糸30A、30B、30Cとを絡ませて偏
平縫いを行うことができ(図2参照)、また、二重環縫
い編目形成時に針板爪10、10それぞれに捕捉されて
いるルーパ糸40と共に縫製生地を送り歯5A、5Bと
布押さえ7との間に挟持して連続的に送り出すと、ルー
パ糸40が針板爪10、10から解放されて弛緩された
二重環縫い編目を形成することができる。
【0018】また、針板爪10、10は図1(b)に示
すように、それぞれ縫製生地の送給方向前方Aから後方
Bに向けて、縫目の送り量に応じて二重環縫い編目に対
する弛緩量を所定のピッチで順次低減する階段状に形成
されたルーパ糸開放面11を備え、このルーパ糸開放面
11の各階段11a、11b、11c、11dは針板6
上と平行若しくは縫製生地の送給方向前方Aから後方B
に向けて弛緩量を低減する方向に傾斜するように形成さ
れている。これにより、針糸30A、30B、30Cお
よびルーパ糸40で形成された編目を縫製生地の下方に
位置する針板爪10、10に巻きつけて糸締めするとき
に、糸締めによって編目が縫製生地の送給方向前方Aか
ら後方Bに向けて滑り出さない程度に弛緩量を低減する
ことができる。したがって、糸締めされる編目の弛緩量
を必要以上に低減させずに済む。
【0019】例えば、概ね2.7mm以下の細目送りの
場合は、ルーパ糸開放面11の針落ち位置CLとなる1
段目の階段11aに二重環縫い編目が形成されて一縫目
の終了後、縫製生地の送りによって1段目の階段11a
に形成された編目は2段目の階段11bに送られる。し
たがって、順次縫いが実行されると、1段目の階段11
aに形成された編目は、2段目の階段11b、3段目の
階段11c、4段目の階段11dへと順次送られ、針板
爪10より抜け出て針板6上に送り出されるので、糸締
めされる編目の弛緩量を必要以上に低減させずに済む。
【0020】また、概ね3mmの中目送りの場合は、ル
ーパ糸開放面11の針落ち位置CLとなる1段目の階段
11aに二重環縫い編目が形成されて一縫目の終了後、
縫製生地の送りによって1段目の階段11aに形成され
た編目は3段目の階段11cに送られる。したがって、
順次縫いが実行されると、1段目の階段11aに形成さ
れた編目は、3段目の階段11cへ送られ針板爪10よ
り抜け出て針板6上に送り出されるので、糸締めされる
編目の弛緩量を必要以上に低減させずに済む。
【0021】さらに、概ね3.5mm以上の粗目送りの
場合は、ルーパ糸開放面11の針落ち位置CLとなる1
段目の階段11aに二重環縫い編目が形成されて一縫目
の終了後、縫製生地の送りによって1段目の階段11a
に形成された編目は4段目の階段11dに送られる。し
たがって、順次縫いが実行されると、1段目の階段11
aに形成された編目は、4段目の階段11dへ送られ針
板爪10より抜け出て針板6上に送り出されるので、糸
締めされる編目の弛緩量を必要以上に低減させずに済
む。
【0022】なお、ルーパ糸開放面11の各階段11
a、11b、11c、11d間は、曲面で接続されてい
るので、糸締めが完了した編目が、弛緩量が一段低減す
る次の階段に移動するときの移動を滑らかにし、また、
各階段間の位置が送り量と一致した場合においても、糸
締めが完了した編目を次の階段に滑らかに移動させるこ
とができる。
【0023】このルーパ糸開放面11の各階段11a、
11b、11c、11dの寸法は、例えば、針幅が6m
m、送りピッチが2mm〜4mmの偏平縫いミシンで、
上述したようなルーパ糸40の弛緩量の制御を行えるよ
うにするには、針落ち位置CLにいちばん近い1段目の
階段11aは、針落ち孔9A、9B、9Cの終端面EF
と、針落ち位置CLから1.8mmとの間L1に形成さ
れ、縫製生地の送給方向前方Aから後方Bに向けて弛緩
量を低減する方向に傾斜し、この傾斜は針落ち孔9A、
9B、9Cの終端面EFから始まって、針落ち位置CL
から1.8mmの位置で針板上面6Aからの厚さT1が
3.1mmとすることが好ましい。2段目の階段11b
は、針落ち位置CLから1.8mmと、針落ち位置CL
から2.8mmとの間L2に形成され、針板上面6Aと
は平行になり、針落ち位置CLから2.8mmの位置で
針板上面6Aからの厚さT2が3.0mm(1段目の階
段11aとの段差が0.1mm)とすることが好まし
い。3段目の階段11cは、針落ち位置CLから2.8
mmと、針落ち位置CLから3.8mmとの間L3に形
成され、針板上面6Aとは平行になり、針落ち位置CL
から3.8mmの位置で針板上面6Aからの厚さT3が
2.8mm(2段目の階段11bとの段差が0.2m
m)とすることが好ましい。4段目の階段11dは、針
落ち位置CLから3.8mmと、針落ち位置CLから
5.3mmとの間L4に形成され、針板上面6Aとは平
行になり、針落ち位置CLから5.3mmの位置で針板
上面6Aからの厚さT4が2.6mm(3段目の階段1
1cとの段差が0.2mm)とすることが好ましい。ま
た、各階段11a、11b、11c、11d間を接続す
る曲面Rは、概ね半径1mmにすることが好ましい。
【0024】このような針板構造を有する偏平縫いミシ
ンの、縫製生地の送給時における縫製動作、特にここで
は偏平縫い動作を中心にして説明する。なお、この偏平
縫い動作の説明で使用する図2〜図8においては、便宜
上、縫製生地の記載を省略すると共に、ルーパ糸40は
弛緩されていない編目の状態を示す。また、図2に示す
ように、送給されている縫製生地はある程度縫製され、
3本の針3A、3B、3Cが下死点に、ルーパ4が最後
退点に位置している状態から動作説明を行うものとす
る。
【0025】上述した状態から3本の針3A、3B、3
Cが上昇し始めると、各針3A、3B、3Cに挿通され
た針糸30A、30B、30Cは図3に示すように、針
板上面で各針3A、3B、3Cと共に貫通した布に押さ
えられて、3本の針3A、3B、3Cと共に上昇せずに
残り、針落ち位置後方にそれぞれ針糸ループを発生す
る。また、3本の針3A、3B、3Cの上昇と共に、ル
ーパ4が針落ち位置後方にて3本の針3A、3B、3C
に交差しながら前進するので、図4に示すように、この
ルーパ4の剣先4aは先程の各針糸ループを手前から順
次掬っていき、各針糸30A、30B、30Cをルーパ
4に掛け止めする。この際、偏平縫いされた布から繋が
った状態でルーパ4に掛け止めされた各針糸30A、3
0B、30Cは布に縫われているので、ルーパ4によっ
て当該ルーパ4の進行方向に引き寄せられることはな
い。
【0026】引き続き各針3A、3B、3Cが上昇を続
けると図5に示すように、各針3A、3B、3Cに絡ん
でいたルーパ糸40は各針3A、3B、3Cから抜け
て、前進するルーパ4によって締めつけられ、また、各
針糸30A、30B、30Cも、針糸天秤(図示せず)
によってルーパ4に掛け止めされた状態で締めつけられ
るので、縫目を引き締めることができる。
【0027】さらに、各針3A、3B、3Cが針板6の
位置から上昇すると、前送り歯5Aおよび後送り歯5B
が針板6の送り歯窓8A、8Bより突出して押え金7と
協働して布を挟持しながら送り始めると同時に、図6に
示すように、ルーパ4が布送り方向とは逆の方向へ移動
し始めることになる。
【0028】その後、ルーパ4は、さらに前進すると共
に布送り方向とは逆の方向へ移動して最前進点まで移動
すると、今度は後退を始める。また、この時点で、各針
3A、3B、3Cは降下し始める。なお、針3Cの針先
が布に到達する前に、布送りは停止される。
【0029】ルーパ4が後退すると共に、各針3A、3
B、3Cが降下して布を貫通すると図7に示すように、
ルーパ4が針落ち位置前方(前送り歯5A側)に位置す
ることになるので、各針3A、3B、3Cはルーパ糸4
0とルーパ4によって掛け止めされた各針糸30A、3
0B、30Cとで形成されるそれぞれの三角形の糸輪を
通過して、ルーパ糸40を掬うことになる。
【0030】そして、図8に示すように、各針3A、3
B、3Cがルーパ糸40を掬い終わると共に、ルーパ4
に掛け止めされた各針糸30A、30B、30Cがルー
パ4の後退により当該ルーパ4から抜け出る。さらに、
ルーパ4が布送り方向へ移動しながら最後退点に達する
と、図2に示すように、針糸天秤によって各針糸30
A、30B、30Cが引き上げられ、1つの偏平縫目が
出来上がることになる。
【0031】次に、二重環縫い編目を編み出す動作を中
心にして説明する。なお、図9に示すように、送給され
ている縫製生地100はある程度縫製され、針3Aが下
死点に、ルーパ4が最後退点に位置している状態から動
作説明を行うものとする。また、上述した偏平縫い動作
においては、図2に基づく動作内容がこの状態に該当す
る。
【0032】まず、図10に示すように、針3Aおよび
ルーパ4の動作に応じて針3Aの針糸30Aとルーパ4
のルーパ糸40との絡み合いにより針板6下に形成され
た二重環縫い編目を、縫製生地100の下方に位置する
針板6の針板爪10が有するルーパ糸解放面11の例え
ば2段目の階段11bに巻きつけて糸締めを完了する
と、所定のピッチで布送りが実行される。なお、上述し
た偏平縫い動作においては、図5に基づく動作内容がこ
の二重環縫い編目を編み出す動作に該当する。
【0033】この針板爪10が有するルーパ糸解放面1
1の2段目の階段11bに巻きつけられ糸締めが完了し
た二重環縫い編目は図11に示すように、縫製生地10
0の送りと共に所定のピッチで送られ、針板爪10が有
するルーパ糸解放面11の例えば4段目の階段11dに
移動する。なお、糸締めが完了した二重環縫い編目は、
弛緩量が低減する4段目の階段11dに移動した際、次
に形成される二重環縫い編目の糸締めに関連して少し糸
締めされるが、針板爪10の弛緩量が低減している4段
目の階段11dに移動するので、ルーパ糸40の弛緩量
が最初に形成された二重環縫い編目の弛緩量に対して余
裕ができ、緊張した縫上がりにならずに済む。これによ
り、針板爪10に強く巻きついて二重環縫い編目が抜け
難くなるという問題を解消できる。なお、上述した偏平
縫い動作においては、図6に基づく動作内容がこの二重
環縫い編目を編み出す動作に該当する。
【0034】また、縫製生地100の送りと同時に針板
爪10に編まれたルーパ糸40の二重環縫い編目が弛緩
量を保ったまま針板爪10から送り出されることから、
次の二重環縫い編目の糸締めには針糸締めからの影響が
なくなるので、縫製生地の伸びに対応して伸縮可能にな
り、針糸切れなどが発生しなくなる。さらに、ルーパ糸
40の二重環縫い編目は弛緩量を保っていることから平
行する針糸を引き寄せて間隔を狭くすることを回避でき
るので、縫製生地の褶曲を発生させずに奇麗な縫目を形
成することができる。
【0035】このように所定のピッチで布送りが実行さ
れた後、針3Aは図12に示すように、ルーパ糸40を
掬うことになる。なお、上述した偏平縫い動作において
は、図8に基づく動作内容がこの二重環縫い編目を編み
出す動作に該当する。
【0036】以後、上述した縫い動作を繰り返せば、偏
平縫いの二重環縫い編目を安定した状態で連続して形成
させることができる。
【0037】このような針板構造によれば、図13に示
すような細目送り量でも、二重環縫い縫目が1針縫い毎
に針板爪10が有するルーパ糸解放面11の各階段を摺
動していくことができるので、ルーパ糸40は適正な弛
緩量を保つことができ、また、図14に示すような粗目
送り量でも1針前の二重環縫い縫目を針板爪10が有す
るルーパ糸解放面11に引っ掛けることができるので、
ルーパ糸40に適正な弛緩量を付与することができる。
【0038】なお、図9乃至図14では、針3Aのみを
示した断面図としているが、これは、他の針3B、3C
も同じ二重環縫い編目を編み出す動作を行うので、便宜
上、省略している。
【0039】また、本発明の実施の一形態においては、
3本の針3A、3B、3Cをそれぞれ右針3A、中針3
B、左針3Cとすると、ルーパ4は右針3A側から左針
3C側へと前進していたが、これに限らず、左針3C側
から右針3A側へと前進させてもよい。
【0040】さらに、本発明の実施の一形態において
は、針板6自体に直接、針落ち孔9A、9B、9Cと針
板爪10、10とを門型スリットになるように形成させ
ていたが、これに限らず、この針落ち孔9A、9B、9
Cおよび針板爪10、10が形成された針板爪板を着脱
可能に、針板6に固定させるようにしてもよい。
【0041】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の偏平縫
いミシンの針板構造によれば、針板爪が備える階段状に
形成されたルーパ糸解放面によって二重環縫い編目のル
ーパ糸量を制御することにより、編目に充分な弛緩量を
持たせることができ、而も針糸間隔が狭くならず生地の
褶曲を発生させない偏平縫目を編み出すことができるの
で、簡単な構造で奇麗な二重環縫い編目を形成すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の偏平縫いミシンの針板構造における実
施の一形態を示す図で、(a)は全体斜視図、(b)は
針板の構成要素である針板爪の詳細図。
【図2】本発明の偏平縫いミシンによる偏平縫い動作を
示す第1の説明図。
【図3】本発明の偏平縫いミシンによる偏平縫い動作を
示す第2の説明図。
【図4】本発明の偏平縫いミシンによる偏平縫い動作を
示す第3の説明図。
【図5】本発明の偏平縫いミシンによる偏平縫い動作を
示す第4の説明図。
【図6】本発明の偏平縫いミシンによる偏平縫い動作を
示す第5の説明図。
【図7】本発明の偏平縫いミシンによる偏平縫い動作を
示す第6の説明図。
【図8】本発明の偏平縫いミシンによる偏平縫い動作を
示す第7の説明図。
【図9】本発明の偏平縫いミシンによる二重環縫い編目
を編み出す動作を示す第1の説明図。
【図10】本発明の偏平縫いミシンによる二重環縫い編目
を編み出す動作を示す第2の説明図。
【図11】本発明の偏平縫いミシンによる二重環縫い編目
を編み出す動作を示す第3の説明図。
【図12】本発明の偏平縫いミシンによる二重環縫い編目
を編み出す動作を示す第4の説明図。
【図13】本発明の偏平縫いミシンの細目送りによる二重
環縫い編目を編み出す動作を示す説明図。
【図14】本発明の偏平縫いミシンの粗目送りによる二重
環縫い編目を編み出す動作を示す説明図。
【図15】従来の偏平縫いミシンの針板構造を示す図で、
(a)は構成図、(b)は細目送りにおける針糸とルー
パ糸との関係を示す説明図、(c)は粗目送りにおける
針糸とルーパ糸との関係を示す説明図。
【図16】従来の偏平縫いミシンの他の針板構造を示す図
で、(a)は構成図、(b)は細目送りにおける針糸と
ルーパ糸との関係を示す説明図、(c)は粗目送りにお
ける針糸とルーパ糸との関係を示す説明図。
【図17】従来の偏平縫いミシンの他の針板構造を示す図
で、(a)は構成図、(b)は細目送りにおける針糸と
ルーパ糸との関係を示す説明図、(c)は粗目送りにお
ける針糸とルーパ糸との関係を示す説明図。
【符号の説明】
3A、3B、3C・・・・・針 4・・・・・ルーパ 6・・・・・針板 6A・・・・・針板上面 10・・・・・針板爪 11・・・・・ルーパ糸解放面 11a、11b、11c、11d・・・・・ルーパ糸解放面
の各階段 30A、30B、30C・・・・・針糸 40・・・・・ルーパ糸 100・・・・・縫製生地 A・・・・・縫製生地の送給方向前方 B・・・・・縫製生地の送給方向後方 R・・・・・各階段間の曲面

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】縫製生地の縫目形成時に生じる複数本の針
    およびルーパの動作に応じて各針の針糸とルーパのルー
    パ糸との絡み合いにより針板下に形成される二重環縫い
    編目を弛緩するための針板爪を前記針板に有し、編目形
    成時に前記針板爪に捕捉されている前記ルーパ糸と共に
    前記縫製生地を送り歯と布押さえとの間に挟持して連続
    的に送り出し、前記ルーパ糸が前記針板爪から解放され
    て弛緩された編目を形成する偏平縫いミシンの針板構造
    であって、 前記針板爪は、前記縫製生地の送給方向前方から後方に
    向けて、前記縫目の送り量に応じて前記二重環縫い編目
    に対する弛緩量を所定のピッチで順次低減する階段状に
    形成されたルーパ糸解放面を備えたことを特徴とする偏
    平縫いミシンの針板構造。
  2. 【請求項2】前記ルーパ糸解放面は各階段が前記針板上
    面と平行若しくは前記縫製生地の送給方向前方から後方
    に向けて弛緩量を低減する方向に傾斜していることを特
    徴とする請求項1記載の偏平縫いミシンの針板構造。
  3. 【請求項3】前記各階段間は曲面で接続されていること
    を特徴とする請求項2記載の偏平縫いミシンの針板構
    造。
JP2001219084A 2001-07-19 2001-07-19 偏平縫いミシンの針板構造 Withdrawn JP2003024675A (ja)

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