JP2793323B2 - 張出し成形性に優れた冷延軟鋼板の製造方法 - Google Patents

張出し成形性に優れた冷延軟鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はプレス成形性、とりわけ張出し成形性に優れ
た冷延軟鋼板の製造方法に関する。
(従来の技術及び解決しようとする課題) 従来より、自動車や電気部品の非常に厳しい加工用途
向けに、プレス成形性の良好な冷延鋼板が数多く開発さ
れてきた。その中でも、鋼中のCを0.005%以下程度ま
で下げ、更にTiやNbなどの強力な炭窒化物形成元素を添
加することにより、鋼中のCやNを析出固定したInters
titial Free鋼(以下、IF鋼と略す)は、その非時効性
と共に非常に優れた深絞り性を有するため、プレス成形
用鋼板として最も優れている。
しかし、近年、自動車用パネルのプレス成形において
は、加工組立等の工程数の低減や、プレス用金型の製作
費の削減を目的として、プレス成形品の大型化、一体化
を図る動きがある。この場合、大物一体成形において
は、変形部への材料流入が制限されるため、成形方法
が、従来のプレス成形のように材料を流入させる深絞り
成形から、材料を流入させずに変形させる張出し成形が
主体になる。すなわち、従来の深絞り性に優れたr値の
高い材料よりは、むしろ張出し性の指標であるn値(加
工硬化指数)の高い材料が要求されている。
従来のIF鋼でも、成分をより高純度化し、高温焼鈍に
よって鋼を軟質化すれば、優れた深絞り性と共にある程
度n値の高い張出し性にも優れた材料を得ることができ
る。しかし、この場合には、鋼の過度の軟質化によって
逆にプレス成形条件の範囲が制約を受けたり、耐デント
性の点で劣る結果となる上、得られるn値も0.27〜0.31
と必ずしも高くなく、0.30以上のn値を安定して確保す
るためには、例えば、熱延スラブ加熱温度を著しく低く
することにより、鋼中析出物の形態制御などをする必要
が生じるが、この場合でも、優れた材料特性を得るため
に満足しなければならないAr3変態点以上の仕上温度確
保が非常に困難となり、実際的ではない。
本発明は、上記従来技術の欠点を解消し、強度等にお
いて従来の冷延軟鋼板と同等の特性を有しながら、張出
し成形性において0.30以上のn値を有するごとく非常に
優れた冷延鋼板の製造方法を提供することを目的とする
ものである。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を
重ねた結果、高純度なTi添加極低炭素鋼にSiとPを適正
量添加した冷延鋼板を高温焼鈍し、必要に応じて高温過
時効処理を施した後、スキンパス圧延での伸び率をでき
るだけ低く抑え、望ましくはかけないことによって、n
値を著しく改善できることを見い出し、本発明を完成さ
せたものである。
すなわち、本発明は、C:0.003%以下、Si:0.10〜0.50
%、Mn:0.05〜0.30%、P:0.025%以下、S:0.010%以
下、Al:0.010%〜0.100%、N:0.005%以下及びTi:0.050
%以下を含み、且つ の2式を満足し、残部が鉄及び不可避的不純物よりなる
鋼スラブを、仕上温度Ar3点以上、巻取温度600〜750℃
の熱間圧延を行い、酸洗後、圧下率60〜85%の冷間圧
延、850℃〜Ac3点の温度の再結晶焼鈍を施した後、0.3
%以下の伸び率の調質圧延を行うことを特徴とする張出
し成形性に優れた冷延軟鋼板の製造方法を要旨とするも
のである。
また、他の本発明は、上記化学成分を有する鋼スラブ
を、仕上温度Ar3点以上、巻取温度600〜750℃の熱間圧
延を行い、酸洗後、圧下率60〜85%の冷間圧延、850℃
〜Ac3点の温度の再結晶焼鈍を施した後、650〜800℃の
過時効処理を行い、0.3%以下の伸び率の調質圧延を行
うことを特徴とする張出し成形性に優れた冷延軟鋼板の
製造方法を要旨とするものである。
以下に本発明を更に詳述する。
(作用) 前述の知見を得るに至った基礎実験について説明す
る。
まず、高温焼鈍したTi添加極低炭素冷延鋼板の引張試
験において、応力−歪み曲線から最小2乗法により求め
た各引張歪でのn値の挙動を第1図に示す。なお、供試
鋼は0.0015%C−0.01%Si−0.14%Mn−0.009%P−0.0
06%S−0.029%Al−0.038%Ti−0.0024%N含有鋼で、
焼鈍条件が850℃×90secの灼熱後、室温まで空冷した。
第1図において、真歪が0.1以下の低歪領域では、n
値は、通常0.3以上の高い値を示すが、真歪が0.1以上の
高歪領域になると、n値は0.25〜0.30程度のほぼ一定値
を示し、歪量の増大と共にやや低下する傾向を示してい
る。
通常、n値と呼んでいる値は、引張り試験における応
力−歪関係をn乗硬化式 σ=Cεn(σ:真応力、ε:真歪) …(1) で近似した場合の加工硬化指数であり、通常一定と仮定
し、10%〜20%公称歪での公称応力値から計算により求
められているが、実際には、歪量の変化と共に上述のよ
うな変化を示している。
本発明者らは、n値の改善を図るためには、低歪領域
でのn値を劣化させないこと、そして、高歪領域でのn
値の水準を高めることの2点が同時に必要であることを
課題とした。
そのためには、まず、第1図に示したように、低歪領
域でのn値は、スキンパス圧延時の伸び率を必要最小限
とすること、またスキンパス圧延の必要を生じさせない
ために、鋼中の固溶Cを析出固定し、降伏点伸びを生じ
させないようにすることで、十分に高い値を確保でき
る。
一方、高歪領域でのn値は、スキンパス圧延の伸び率
の限定によって劣化を抑えるだけでなく、水準そのもの
を高める必要があることから、成分組成の面から様々な
検討を試みた。
その結果、Siがn値の理論式である前記(1)式から
導かれる次式 のdσ/dεの値を高めることを見出し、更にPがその効
果を助長することを見出した。
第2図は、Ti添加極低炭素鋼をベースにSiを種々の量
で添加した鋼板の引張試験において応力−歪曲線から求
めたdσ/dεの値をプロットしたものである。なお、供
試鋼は0.0015%C−0〜0.6%Si−0.15%Mn−0.010%P
−0.005%S−0.030%Al−0.035%Ti−0.0030%N含有
鋼で、焼鈍条件が850℃×90secの灼熱後、室温まで空冷
した。
第2図から、Siはある一定量以上で効果が飽和する傾
向を示すものの、添加によりdσ/dεの値を改善するこ
とがわかる。
しかし、一方でSiは固溶強化元素であり、上記式
(2)のσ(真応力)の水準を高める作用をもたらし、
n値に対してはdσ/dεの改善効果と相反する。そこ
で、強度レベルを焼鈍温度により約28kgf/mm2でほぼ一
定とした際のn10%-20%の値を求めた結果を第3図に示
す。
第3図に示す結果より明らかなように、Siの適正添加
量以上の領域ではdσ/dεの改善効果よりも、強化作用
の程度が大きすぎるために、n値が低下するのである。
また、適正添加量未満の領域では、鋼の軟質化を許容し
なければ、高いn値を確保することは困難となる。
一方、Si以外にもPやMnは強化能が高いため、これら
の添加による応力水準の上昇はn値の低下につながるの
で、その総量を10[Si]+100[P]+4[Mn]≦7%
の式によって規定する。
以上の知見に基づいて本発明をなしたものである。
次に本発明における化学成分の限定理由について説明
する。
C: Cは、本発明においてはスキンパス圧延での伸び率を
0.3%以下と規制しているため、基本的には、降伏点伸
びを発生させないように、全てTiによって析出固定する
必要がある。しかし、C量が0.003%を超えると、その
炭化物の析出量が増えることによってn値をはじめとす
る成形性の劣化を招く。したがって、C量は0.003%以
下とする。
Si: Siは本発明において最も重要な元素である。従来、Si
は鋼板の強度を高めるために添加されていたが、本発明
においては、高歪領域での加工硬化率dσ/dεを高める
ために添加する。その効果は、0.10%未満では殆ど得ら
れず、また0.50%超えでは効果が飽和するだけでなく、
鋼板の表面性状の劣化を招くので、その適正な添加範囲
は0.10%以上、0.50%以下とする。
Mn: Mnは、Siとは逆に、高歪領域での加工硬化率dσ/dε
を低下させる元素であるため、その上限を0.30%とす
る。しかし、その含有量が0.05%未満ではSによる熱間
脆化を防止できなくなる。したがって、Mn量は0.05〜0.
30%の範囲とする。
P: Pは不可避的不純物として鋼中に含有されるが、少量
の含有は、鋼板が高温焼鈍により軟質化した強度を補う
のに効果があるが、0.025%を超えて含有させること
は、再結晶温度を上昇させ、高温焼鈍の効果を失うばか
りか、Pの粒界偏析による鋼板の脆化が懸念されるた
め、また、高温巻取時に析出するチタン・リン化合物量
を増大させ、プレス成形性の劣化につながる。したがっ
て、P量は0.025%以下とする。なお、過度にPを低減
することは溶製のコストアップにつながることから、好
ましくは0.005〜0.020%にするのがよい。
なお、P、S、Mnは添加することによって、それぞれ
添加量1%当り、Siは約10kgf/mm2、Pは約100kgf/m
m2、Mnは約4kgf/mm2、強度を上昇させる。
但し、本発明においては、鋼の強化は高温焼鈍による
軟質化分を補うだけで十分であり、過度に鋼を強化する
ことは、n値をはじめとし、プレス成形性を著しく劣化
させるので、前述のP、Siの添加量については、更に次
式 2%≦10[Si]+100[P]+4[Mn]≦7% を満足する必要がある。なお、ここで[Si]等は[ ]
内の元素の重量%を示す。
S: Sは、硫化物の析出によるプレス成形性の劣化を防止
するため、少ないほどよく、その上限を0.010%とす
る。
なお、特開昭61−246344号には、耐2次加工性に優
れ、且つ深絞り性にも優れる冷延鋼板としてSを0.003
%以下にしたTi添加極低炭素鋼から示されているが、こ
れは、Sの低減によって炭化物の析出サイトとなる硫化
物の量を低減し、鋼中に固溶Cを残すことによって耐2
次加工性を高めている。一方、本発明においては、Sの
低減は硫化物そのものがn値をはじめとするプレス成形
性に悪影響を及ぼすためであり、鋼中Cについては、基
本的には、Tiによって完全に析出固定することが必要
で、炭素を固溶状態で残すことは降伏点伸びを消失させ
るため、焼鈍後のスキンパス圧延率を高める必要を生
じ、結果的に張出し性を劣化させることになるため、避
けるべきであり、思想的には上記特許と全く異なってい
る。ましてSの更なる低減は、溶製時のコストが著しく
なることから判断すると、本発明においては、0.003%
以下までSを低減することは必ずしも好ましくない。
Al: Alは脱酸のために通常0.010%以上添加する。しか
し、0.100%を超えて添加しても表面性状の劣化につな
がるだけであるので、これを上限とする。
N: NはTiによってTiNとして析出固定されるのに必要で
ある。しかし、その量が0.005%を超えるとTiNの析出物
量が増大し、プレス成形性を劣化させるので、N量は0.
005%以下とする。
Ti: Tiは鋼中のC、N、Sを析出固定するために添加する
が、過多に添加してTiを固溶状態で多量に存在させるこ
とは再結晶温度を高め、高温焼鈍の効果を失うので、上
限を0.050%とし、更に次式 を満足するように、必要にして十分な添加量を定める。
次に本発明における製造条件について説明する。
上記化学成分を有する鋼は転炉或いは電気炉などによ
り溶製した後、真空脱ガス処理や溶鋼精錬処理により鋼
中不純物の低減を図った後、連続鋳造或いは造塊によっ
て鋼スラブとする。鋼スラブは、熱間圧延に先立ち通常
1100〜1300℃に保持された加熱炉内に装入し、少なくと
も10分以上の灼熱処理によって鋼の組織を改善しておく
ことが材質確保の点からは望ましい。この際、鋼スラブ
は一旦室温まで冷却されたものでも、任意の温度まで冷
却されたものでも、その種類は問わない。
熱間圧延は、γ域で終了し、圧延後γ→α変態させる
ことが優れたプレス成形性を得るために必要であり、そ
のため、熱延仕上温度はAr3変態点以上とする。なお、
この仕上温度を確保するためには、スラブ加熱温度はあ
る程度高くとる必要がある。
巻取温度は600〜750℃の範囲とする。これは、巻取温
度は鋼中のCをTiによって析出固定するために600℃以
上で巻取ることが必要であるが、750℃を超えて巻取っ
た場合には、スケールの生成が増し、酸洗性を低下させ
ることになるからである。
上記工程によって製造された熱延板は、酸洗後、冷間
圧延、焼鈍(再結晶焼鈍)を行う。この場合、冷間圧延
率は60〜85%とする。60%未満では結晶粒が著しく粗大
になり、プレス成形時の肌荒れが問題となる。一方、85
%を超えて冷延してもプレス成形性を劣化するばかり
か、冷間圧延に莫大なエネルギーを要し、非生産的であ
る。
焼鈍では、連続焼鈍にて850℃以上、Ac3変態点以下の
高温焼鈍を行うことによって、優れた張出し性を得るこ
とができる。しかし、850℃未満の焼鈍では高いn値を
得ることは困難であり、一方、Ac3変態点を超えて加熱
されると、集合組織がランダム化し、やはりプレス成形
性に悪影響を及ぼす。灼熱時間は特に制限されないが、
5秒以上あれば所望の特性が得られるが、10分を超える
と結晶粒が著しく粗大化し、プレス時の肌荒れが問題に
なるばかりか、生産性も低下するので、これを上限とす
る。なお、箱焼鈍では連続焼鈍における長時間灼熱の場
合と同じ粗大粒となるので、連続焼鈍の方が好ましい。
再結晶焼鈍後は、必要に応じて650〜800℃の過時効処
理を施す。
第4図は、0.024%C−0.01〜0.041%Si−0.11%Mn−
0.006%P−0.005%S−0.042%Al−0.032%Ti−0.0023
%N含有鋼を供試鋼とし、これを880℃×60secの再結晶
焼鈍後、20℃/secで冷却し、200〜850℃の温度で4min保
持した後、室温まで10℃/secで冷却した時の降状点伸び
の発生量を示したものである。同図よりわかるように、
本発明範囲内の量のSiを添加すると、Ti添加極低炭素鋼
は、200〜400℃の通常の連続焼鈍設備の過時効処理温度
では、2〜3%もの高い降状点伸びが発生する場合があ
る。
プレス成形時のストレッチヤーストレインの発生を防
止するため、降状点伸びは、スキンパス圧延によって消
失させる必要があるが、2〜3%もの高い降状点伸びが
ある場合には、必然的に、スキンパス圧延での伸び率を
高める必要が生じ、それに伴うn値の劣化が問題とな
る。しかし、第4図に示すように、過時効処理温度が65
0〜800℃と高い場合には、降状点伸びが著しく低くな
り、伸び率0.3%以下の軽スキンパス圧延でも、十分に
降状点伸びを消失させることが可能となる。
このように高温過時効処理で降状点伸びが低くなる理
由は、必ずしも明確ではないが、高温での再結晶焼鈍中
に固溶状態にあるCが、冷却過程でTiCとして再析出す
る際、SiがTiCの析出を抑制する作用を有しており、十
分に析出させるためには、TiCの析出し易い650〜800℃
の高温域に一定時間保持する必要があるためと考えられ
る。
なお、過時効処理に要する時間は、特に制限されない
が、1min以上あれば十分な効果が得られる。また、生産
性の点から15minを上限とするのが望ましい。
また、この過時効処理の目的からすれば、2回連続焼
鈍処理を行っても何ら差し支えない。すなわち、850℃
〜Ac3点1回目焼鈍と650〜800℃の2回目焼鈍を連続し
て行えば、通常の過時効処理温度でも目的は達成でき
る。勿論、成分組成、製造条件により、焼鈍前段階での
TiCの析出状態及び固溶C量を制御することで、高温過
時効処理の要否が決まることは云うまでもない。
焼鈍後、或いは必要に応じて高温過時効処理を行った
後は、降状点伸びの消失を目的として、通常スキンパス
圧延と呼ばれる調質圧延を0.5〜1.5%の伸び率で実施さ
れている。しかし、このスキンパス圧延は、低歪領域で
のn値を著しく劣化させることから、本発明においては
その伸び率を最大でも0.3%と規制する。なお、0.3%以
下という低伸び率のため、降状点伸びの消失が十分でな
いので、成分組成、過時効処理を適正にすることによ
り、鋼中の固溶CをTiによってほぼ完全に析出固定し、
もともとの降状点伸び自体を発生させないか、或いは最
小限にしておくことが重要となる。このような成分及び
製造条件の調整を行う限り、スキンパス圧延は実施しな
いことが望ましい。なお、形状制御のためのレベラーは
可能であり、これは、通常の条件下で行う場合には低歪
領域でn値の劣化は殆ど問題にならないことを本発明者
らは確認している。
かくして得られた鋼板は、単に冷延鋼板としてだけで
なく、電気メッキ処理、或いは焼鈍後冷却過程において
溶融メッキ処理を施すことにより、張出し成形性に優れ
る表面処理鋼板としても使用できる。
(実施例) 次に本発明の実施例を示す。
実施例1 第1表に示す化学成分を有する鋼を転炉にて溶製し、
真空脱ガス処理をした後、連続鋳造し、鋼スラブとし
た。これに1200℃で灼熱処理を施した後、第2表に示す
条件で熱間圧延を行い、板厚1.6mm〜6.0mmまでの熱延板
とした。更に酸洗後、同じく第2表に示す条件で冷間圧
延を行い、0.8mm厚の冷延板とした。その後、この冷却
板からサンプルを切出し、第2表に示す条件で実験室連
続焼鈍炉にて焼鈍した後、10℃/secで冷却し、スキンパ
ス圧延を行い、成品とし、各種材料試験に供した。その
機械的特性を第3表に示す。
第3表から明らかなように、本発明例No.1〜No.2、N
o.4、No.7、No.9、No.11〜No.12によって得られた冷延
鋼板は、いずれも引張強さ28kgf/mm2以上、伸び50%以
上、r値2.0以上で、肌荒れが無い上に、n値が0.30以
上と非常に高い張出し成形性を有していることがわか
る。
一方、比較例のNo.3、No.5〜No.6、No.10、No.13は、
それぞれ熱延仕上温度、巻取温度、或いは冷延率、焼鈍
温度、スキンパス圧延伸び率が本発明範囲外であるた
め、n値が0.30未満と低くなっており、また、伸び、r
値についても本発明例に比べて劣っている。
比較例No.8は、冷延率が低いため、結晶粒が異常に粗
大化しており、n値は高い水準にあるものの、r値測定
用の短冊状試験片において著しい肌荒れが認められた。
比較例No.14〜No.22については、いずれも化学成分が
本発明範囲から外ずれているため、n値が低く、また伸
び、r値についても低い水準にある。なお、比較例No.1
5の場合、n値、r値、伸びは全て高いものの、引張強
さが26kgf/mm2と著しく低い。
実施例2 第4表に示す化学成分を有する鋼を真空溶解炉にて溶
製し、第5表に示す条件で熱間圧延し、板厚5mmの圧延
板とした。次いで、表面研削し、板厚3.6mmとした後、
0.8mmまで冷間圧延を施した。その後、実験室連続焼鈍
炉にて、第5表に示す条件の焼鈍を行ない、材料試験に
供した。その機械的特性を第6表に示す。
第6表から明らかなように、本発明例No.24は、高温
過時効処理を行っており、非常に高い張出し成形性を有
している。
しかし、過時効処理温度の低い場合には、比較例No.2
5のように伸率0.3%のスキンパスでは降状点伸びが残
り、一方、降状点伸びを消失させるために高圧下スキン
パスをかけると、比較例No.26のようにn値が著しく低
下することがわかる。
一方、本発明例No.23は、過時効処理温度が低いにも
かかわらず、伸率0.3%のスキンパスで降状点伸びが0
で、且つ高い張出し成形性を有している。これは、低い
スラブ加熱温度と高温巻取りにより、圧延板中にTiCが
十分に且つ粗大に析出しており、高温焼鈍時のCの再固
溶量が減少したためと考えられる。
(発明の効果) 以上詳述したように、本発明によれば、n値が高く張
出し成形性に非常に優れ、且つ伸び、r値、強度等の特
性も従来の冷延軟鋼板と同等乃至それ以上に優れてお
り、特に大物一体成形プレスに適した冷延鋼板を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は真歪に対するn値の挙動とスキンパス圧延にお
ける伸び率の影響を示す図、 第2図は加工硬化率dσ/dεに及ぼすSi量の影響を示す
図、 第3図は引張強さを28kgf/mm2一定とした際のn値とSi
量との関係を示す図である。 第4図は降状点伸びに及ぼす過時効処理温度とSi添加量
の影響を示す図である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で(以下、同じ)、C:0.003%以
    下、Si:0.10〜0.50%、Mn:0.05〜0.30%、P:0.025%以
    下、S:0.010%以下、Al:0.010%〜0.100%、N:0.005%
    以下及びTi:0.050%以下を含み、且つ の2式を満足し、残部が鉄及び不可避的不純物よりなる
    鋼スラブを、仕上温度Ar3点以上、巻取温度600〜750℃
    の熱間圧延を行い、酸洗後、圧下率60〜85%の冷間圧
    延、850℃〜Ac3点の温度の再結晶焼鈍を施した後、0.3
    %以下の伸び率の調質圧延を行うことを特徴とする張出
    し成形性に優れた冷延軟鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の化学成分を有する鋼スラ
    ブを、仕上温度Ar3点以上、巻取温度600〜750℃の熱間
    圧延を行い、酸洗後、圧下率60〜85%の冷間圧延、850
    ℃〜Ac3点の温度の再結晶焼鈍を施した後、650〜800℃
    の過時効処理を行い、0.3%以下の伸び率の調質圧延を
    行うことを特徴とする張出し成形性に優れた冷延軟鋼板
    の製造方法。
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