JP2792299B2 - パラメトリック3次曲線描画用ステップ間隔決定方式 - Google Patents

パラメトリック3次曲線描画用ステップ間隔決定方式

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はパラメトリック3次曲線
描画用ステップ間隔決定方式に関し、詳しくは、文字の
輪郭や図形等の曲線部分表現に用いられているベジエ3
次曲線等のパラメトリック3次曲線P(t)を、XY2次
元平面上に描画する際に必要とされるステップ間隔Δt
の決定方式に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、デスクトップパブリッシングなど
の分野において、写植機・プリンタ・ディスプレイなど
の出力機器に図形、文字等を出力するための言語とし
て、PDL(Page Description Language)が使用される
ようになった。この種の言語では、図形・文字の曲線部
分の表現にベジエ3次曲線等のパラメトリック3次曲線
が用いられることが多い。この曲線P(t)は例えばベジ
エ3次曲線の場合、 P(t)=(1-t)30+3(1-t)2tQ1+3(1-t)t22+t33 但し 0≦t≦1 Q0,Q1,Q2,Q3は、曲線定義ベクトル で表される(図2)。
【0003】これら曲線P(t)の出力機器フレームバッ
ファ上への描画には、前進差分法が多く使用される(こ
の手法に就いては、例えば山口富士夫「コンピュータデ
ィスプレイによる形状処理工学(I)」 初版 第4刷
(昭62−5−25) 日刊工業新聞社 P.36−3
7等参照)。即ちtをn等分し、tがi番目(t=i/n)
のときの各階差分をPi,ΔPi,Δ2Pi,Δ3Piとする
と、これらには Pi=Pi-1+ΔPi-1 ΔPi=ΔPi-1+Δ2Pi-1 Δ2Pi=Δ2Pi-1+Δ3Pi-1 Δ3Pi=Δ3Pi-1 なる関係がある。この手法ではこの関係を用い、既知の
0,ΔP0,Δ20,Δ 30を出発点として、加算を繰
返すことで曲線P(t)上の点Piを順次求めていく。
【0004】この場合、tのステップ間隔Δtをどのく
らいにして、曲線P(t)上の点Piを求めていくかが問題
となる。必要以上に△tが大きければ点Piの間隔が粗
くなって描画品質が低下する。小さすぎれば同じドット
に集約されてしまう点について無駄な演算を実行するこ
とになり、描画速度の低下を招く。これに関し、特開平
1−82281公報及び特開平2−81281公報記載
の手法が知られている。これら手法では、曲線P(t)の
微分関数の最大値情報、即ちその曲線P(t)の最大変化
率をもとに、Δtを求める。特開平1−82281公報
では具体的に手法を二つ挙げている。第一の手法では、
先ずX方向とY方向の最大変化率Dx,Dyを算出す
る。このDx,DyをもとにX方向とY方向のステップ
間隔Δtx,Δtyを夫々算出する。そしてその中の小
さいほうをΔtとする。第二の手法では、前記Dx,D
yを先に比較して大きい方をとり、これにもとにΔtを
算出する。また同公報には、ベジエ3次曲線P(t)の微
分関数 |dP/dt|=|3(1-t)2(Q1-Q0)+6(1-t)t(Q2-Q1) +3t2(Q3-Q2)| を |dP/dt|≦|Q1-Q0|+3/2|Q2-Q1|+3|Q3-Q2| なる近似式に変換し、最大変化率を求める手法も開示さ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例のうち特開
平2−81281公報では、最大変化率Dx,Dyをそ
の儘求めている。この演算は、2次関数の最大値問題を
解くものになる。複雑な計算をDx,Dyに対して2度
必要とする。上記特開平1−82281公報記載のよう
に、最大変化率を近似的に求める手法もある。しかしこ
れとても計算はXY各方向の最大変化率Dx,Dyにつ
いて2度必要とする。誤差も大きい。この発明の目的
は、上記のような課題を解決し、より誤差が少なく、高
速実行可能なステップ間隔Δt決定方式を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的達成の為、本発
明では、パラメトリック3次曲線P(t)を定義する4点
(Q0〜Q3)の各2点間のXY各方向の距離を算出する距
離算出手段と、前記算出された距離のうちの最大のもの
に基づいて前記曲線P(t)の最大変化率の近似値(D)を
算出する最大変化率算出手段と、前記近似値(D)に基い
て前記曲線P(t)を描画する際のステップ間隔(△t)を
算出するステップ間隔算出手段とを具備する。
【0007】
【作用】距離算出手段はパラメトリック3次曲線P(t)
を定義する4点(Q0〜Q3)について各2点間のXY方向
の距離を、それらのX,Y各座標成分から算出する。こ
れにより6つの距離Lx01,Ly01,Lx12,Ly12,L
x23,Ly23が算出される。なお添字x,yは座標成分の
別、その後の数字は点の番号を表わす。最大変化率算出
手段はこれら算出された距離のうちの最大のものを選択
し、この最大のものに基づいて前記曲線P(t)の最大変
化率の近似値(D)を算出する。Dは具体的には前記最大
値の3倍の値とされる。ステップ間隔算出手段はこの近
似値(D)に基いて前記曲線P(t)を描画する際のステッ
プ間隔(△t=△p/D)を算出する。ここに△pは出力
機器の最小プロット間隔である。
【0008】
【実施例】以下本発明の詳細を図示実施例に基いて説明
する。始めに本発明のバックボーンたる最大変化率の近
似値(D)の算出手順について述べる。本発明に於ける最
大変化率の算出に於ても、従来技術と同じくその微分関
数、 |dP/dt|=|3(1-t)2(Q1-Q0)+6(1-t)t(Q2-Q1) +3t2(Q3-Q2)| を出発点とする。これを変形すると、 |dP/dt|=|(1-t)23(Q1-Q0)+2(1-t)t3(Q2-Q1) +t23(Q3-Q2)| となる。右辺の各項の「3(Q1-Q0)」,「3(Q2-
1)」,「3(Q3-Q2)」をQa,Qb,Qcと置き換え
てみる。 |dP/dt|=|(1-t)2Qa+2(1-t)tQb+t2Qc| となる。
【0009】これは3点Qa,Qb,Qcで定義される
ベジエ2次曲線の式にほかならない。この曲線は例えば
図3(A),(B)のCdのようになる。この曲線Cd上の
点、即ちこの関数の値は、3点を頂点とする3角形Qa
-Qb-Qcの内部に収まる。そうであれば、この関数の
最大値、即ち曲線P(t)の最大変化率(D)は、この3
角形の各頂点Qa-Qb-Qcの何れかの点で近似でき
る。具体的には、この3点Qa,Qb,QcのX,Y各
座標値の中の最大のものを以て最大変化率(D)とするこ
とが出来る。3|Q1-Q0|,3|Q2-Q1|,3|Q3-
2|をQa,Qb,Qcと置いたから、元の変数で表現
し直せば、「最大変化率(D)は|Q1-Q0|,|Q2-Q1
|,|Q3-Q2|のうちの一番大きなものの3倍で近似で
きる」ということになる。即ち、 D≦3×MAX[|Q1-Q0|,|Q2-Q1|,|Q3-Q2|] (ただし、MAX[]は、最大値を求める関数) と表わせる。この手法を用いれば、2次関数の最大値問
題を解く場合に比べ、遥かに高速に最大変化率(D)を算
出することが出来る。また誤差も少ない。本発明はこの
ようにして求めた最大変化率(D)に基いてステップ間隔
Δtを求める。
【0010】図1に、実施例の機能構成を示す。図に於
て11は距離算出手段で、下記式、 P(t)=(1-t)30+3(1-t)2tQ1+3(1-t)t22+t33 但し 0≦t≦1 Q0,Q1,Q2,Q3は、曲線定義ベクトル で示される3次曲線P(t)の2点間の距離をX方向とY
方向ともに算出する。前記|Q1-Q0|,|Q2-Q1|,|
3-Q2|はX,Y各方向について別個に存在する。従
って、点Qm,Qnの間のX方向距離をLxmn、Y方向距
離をLymn、各点QiのX,Y各座標をQix,Qiyで定義
すると、具体的には下記式 Lx01=|Q1x-Q0x| Ly01=|Q1y-Q0y| Lx12=|Q2x-Q1x| Ly12=|Q2y-Q1y| Lx23=|Q3x-Q2x| Ly23=|Q3y-Q2y| で夫々が表わされる。
【0011】これら6つの距離Lx01〜Ly23は、最大距
離算出手段12に供給される。最大距離算出手段12で
は、これら6つの距離Lx01〜Ly23を比較して、その中
から最も大きいもの(最大距離)を選び出す。最大距離を
Lとすると、 L=MAX[Lx01,Ly01,Lx12,Ly12,Lx23,L
y23] (ただしMAX[]は最大値を求める関数)と表わされ
る。なお発明を実施する機器の機能上、関数MAX[]
の引数が2つの値しか取れない場合は、例えば T1=MAX[Lx01, Ly01] T2=MAX[Lx12, Ly12] T3=MAX[Lx23, Ly23] T4=MAX[T1, T2] L=MAX[T4, T3] のように、トーナメント式に演算すればよい。
【0012】この最大距離Lは、最大変化率近似手段1
3に供給される。ここでは、前述の解析に従い最大距離
Lを3倍することによって、最大変化率(D)が算出され
る。乗算によらず、3回の加算でこれを求めても良い。
式の形に纏めると、 D=3×L または D=L+L+L となる。なお最大距離算出手段12及び最大変化率近似
手段13を合わせたもの(符号21)が請求項1にいう最
大変化率算出手段にあたる。最大変化率近似手段13で
算出された最大変化率(D)は、ステップ間隔算出手段1
4に供給される。このステップ間隔算出手段14には、
出力機器における最小プロット間隔ΔPが外部から与え
られている。ステップ間隔算出手段14は、この最小プ
ロット間隔ΔPと最大変化率Dより、 Δt=ΔP/D の計算を行い、ステップ間隔Δtを求める。なおステッ
プ数nを求める場合には、 n=D/ΔP の計算を行えば良い。描画処理は、出力機器の最小プロ
ット間隔ΔPを念頭に於て処理内容が定められる。従っ
て通常このΔPを基準の単位、即ち「1」とすることが
多い。このようにした場合、ステップ間隔算出手段14
では、 Δt=1/D 即ちDの逆数を演算し、結果をその儘ステップ間隔Δt
とする。この場合ステップ数nは、 n=D/1=D となり、最大変化率(D)がそのままステップ数nとさ
れる。
【0013】
【発明の効果】以上説明したように、本発明ではベジエ
3次曲線等の3次曲線P(t)を定義する4点(Q0〜Q3)
の各2点間のXY各方向の距離を距離算出手段で算出
し、前記算出された距離のうちの最大のものに基づき前
記曲線P(t)の最大変化率の近似値(D)を最大変化率算
出手段で算出し、前記近似値(D)に基づき前記曲線P
(t)を描画する際のステップ間隔(△t)をステップ間隔
算出手段で算出するようにした。従って本発明によれ
ば、従来のものに比し、より少ない誤差で、より高速に
Δtを決定することができる。また本発明では減算と比
較のみを用いる。従ってハードウェア化が容易であり、
そのようにすればより一層の高速化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明実施例の機能構成を示すブロック図。
【図2】 ベジエ3次曲線の一例を示す線図。
【図3】 ベジエ2次曲線の一例を示す線図。
【符号の説明】
11 距離算出手段 14 ステップ間隔算出手段 21 最大変化率算出手段 D 最大変化率の近似値 △t ステップ間隔

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パラメトリック3次曲線P(t)をXY2
    次元平面上に描画するシステムに於て、 前記曲線P(t)を定義する4点(Q0〜Q3)の各2点間の
    XY各方向の距離を算出する距離算出手段と、 前記算出された距離のうちの最大のものに基づき前記曲
    線P(t)の最大変化率の近似値(D)を算出する最大変化
    率算出手段と、 前記近似値(D)に基づき前記曲線P(t)を描画する際の
    ステップ間隔(△t)を算出するステップ間隔算出手段と
    を具備することを特徴とするパラメトリック3次曲線描
    画用ステップ間隔決定方式。
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