JP2788971B2 - セラミック焼成用間挿シート - Google Patents

セラミック焼成用間挿シート

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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、焼成台との間に適用して表面平滑性に優れ
る焼成体を歩留りよく得るためのセラミック焼成用間挿
シートに関する。
従来の技術及び課題 セラミック成形体の焼成処理において、表面平滑性に
優れる焼成体を得るためには、セラミック成形体と柵板
等の焼成台との間で傷やウネリなどが発生しないように
措置する必要がある。
従来、その措置としてアルミナやジルコニア等の粉末
を散布する方式、無機粉末を高分子系造膜材中に分散さ
せてなるシートを間挿する方式、多段に積層して焼成す
る際に最下段のものを犠牲にする捨て板方式が知られて
いた。
しかしながら、前記の散布方式やシート間挿方式では
用いた粉末が焼成体に結着する問題点、得られる焼成体
が表面平滑性に劣る問題点、用いた粉末の除去で粉塵が
発生する問題点等があった。一方、捨て板方式では歩留
りに劣り、焼成台の凹凸が反映しやすくて二層目等にも
傷やウネリが発生し、表面平滑性に劣る問題点等があっ
た。
従って本発明は、歩留りのよいシート間挿方式を活か
しつつ、結着問題を生じずに表面平滑性に優れる焼成体
が得られる間挿シートの開発を課題とする。
課題を解決するための手段 本発明は、処理対象のセラミック成形体の焼成時に間
挿シートも焼成させて無機粉末を捕獲する方式により上
記の課題を達成したものである。
すなわち本発明は、セラミック成形体を焼成する際に
それ自体も焼成されるグリーンシートの中又は/及び表
面にその焼成温度では溶融しない平均粒径5〜300μm
の無機粉末を分散保有し、かつ片面における表面粗さが
10〜200μmであることを特徴とするセラミック焼成用
間挿シートを提供するものである。
作用 グリーンシートに分散保有させた大粒の無機粉末にス
ペーサとしての機能を発揮させつつ、セラミック成形体
の焼成時にグリーンシートを焼成させて大粒の無機粉末
を捕獲し、セラミック成形体の焼成体への結着を防止す
る。また、間挿シートの片面における表面粗さを10〜20
0μmに制御してその凹凸が焼成体に反映しない範囲で
クッション性をもたせ、焼成台の凹凸を吸収させて表面
平滑性に優れる焼成を可能にする。
発明の構成要素の例示 本発明のセラミック焼成用間挿シートは、グリーンシ
ートの中又は/及び表面に平均粒径5〜300μmの無機
粉末を分散保有させ、かつ片面における表面粗さを10〜
200μmに調節したものである。その例を図1、図2に
例示した。1がグリーンシート、2が無機粉末、11が表
面粗さ10〜200μmの面である。
グリーンシートは、処理対象のセラミック成形体を焼
成する際にそれ自体が焼成されるものとされる。従って
その形成には、焼成可能な適宜なセラミック粉末が用い
られる。一般にはアルミナ、ジルコニア、窒化アルミニ
ウム、窒化ケイ素、三酸化二チタン酸バリウム等の粉末
が用いられる。粉末の平均粒径は0.01〜10μm、就中0.
1〜5μmが適当である。グリーンシート化に際しては
焼成性を高めるべく必要に応じマグネシア、カルシア、
シリカの如き焼成助剤を処理対象のセラミック成形体に
応じた適宜なものを配合してよい。
グリーンシートに分散保有させる平均粒径5〜300μ
mの無機粉末としては、処理対象のセラミック成形体の
焼成温度では溶融しないものが用いられる。一般には、
前記のグリーンシートで例示した材質のものなどが用い
られ、焼成時に処理対象のセラミック成形体と反応しな
いよう適宜に選択使用される。無機粉末の好ましい平均
粒径は20〜200μmである。その使用量は、グリーンシ
ート形成用のセラミック粉末100重量部あたり2〜200重
量部が適当である。使用量が2重量部未満ではセラミッ
ク成形体との結着防止効果に乏しいし、200重量部を超
えると形成される間挿シートが焼結力に乏しくなり、破
損しやすくなる。
セラミック焼成用間挿シートの製造は例えば、1種又
は2種以上のグリーンシート形成用のセラミック粉末と
有機バインダ等との混合物をドクターブレード法等によ
るキャスティング方式、押出成形方式、ロール圧延方式
などの適宜な方式でシート化することにより行うことが
できる。その場合、分散用の無機粉末は例えば、予め混
合物に配合して形成するシート中に分散保有させてもよ
いし(図1)、未配合の形成シート上に散布して表面に
保有させてもよい(図2)。また前記の両方式を併用し
てシートの中と表面に分散保有させてもよい。
前記の有機バインダとしては、ポリビニルブチラー
ル、アクリル系ポリマ、スチレン系ポリマなどの、セラ
ミック粉末をシート形態に保形できるものが用いられ
る。有機バインダの使用量は形成するシートの性状等に
応じ適宜に決定されるが、一般にはグリーンシート形成
用のセラミック粉末100重量部あたり5〜100重量部であ
る。なお前記混合物の調製に際しては必要に応じ、溶
剤、解こう剤ないし分散剤、可塑剤、湿潤剤、離型剤、
消泡剤などの適宜な添加剤を配合してよい。
形成する間挿シートの厚さは、処理対象のセラミック
成形体に応じ決定される。一般には、50〜2000μmであ
る。その厚さが薄すぎると強度不足等で取扱い難くな
り、厚すぎると得られる焼成体がウネルなどの変形問題
を生じやすくなる。
セラミック焼成用間挿シートの片面における表面粗さ
10〜200μmへの調節は適宜な方式で行ってよい。例え
ば、発泡剤混入の間挿シートを成形して発泡処理する方
式、所定の凹凸を有する基材上にキャスティングしてシ
ート成形する方式、押出方式やロール圧延方式等の任意
な方式で形成した間挿シートに押し型等を介して凹凸を
付与する方式、間挿シート中や表面に平均粒径50〜500
μmの有機粉末を混入させる方式などがあげられる。そ
の場合に用いる有機粉末としては、例えばポリエチレン
粉末の如き樹脂粉末、就中、熱硬化性樹脂粉末の如く焼
成時に溶融せずに熱分解するものが好ましく用いられ
る。
本発明のセラミック焼成用間挿シートは、例えばシー
ト形態等に成形されたセラミック成形体を焼成するにあ
たり、該成形体と焼成台、就中、柵板の如き凹凸の大き
い焼成台との間に、間挿シートの表面粗さを制御した側
を焼成台側として適用される。焼成条件は、処理対象の
セラミック成形体に応じ適宜に決定してよい。焼成によ
り有機バインダ等の有機成分は消失するなどし、処理対
象のセラミック成形体と共に間挿シートも焼成される。
その際、無機粉末がグリーンシートの焼成体に捕獲され
てセラミック成形体への移着ないし結着が防止されつつ
スペーサ機能を発揮し、かつ凹凸面が焼成台の凹凸を吸
収して焼成体への反映を防止し、焼成体の表面を平滑に
保つ。
発明の効果 本発明の間挿シートは、処理対象のセラミック成形体
を焼成する際にグリーンシートも焼成されて無機粉末が
捕獲され、目的焼成体への結着が防止される。その結
果、結着した無機粉末の除去による粉塵等で環境を汚染
することがない。
また、間挿シートの片面にもたせた凹凸により焼成台
の凹凸を相殺できて表面平滑性に優れる焼成体を歩留り
よく得ることができる。
実施例1 平均粒径50μmの球状アルミナ20部(重量部、以下同
じ)、平均粒径1.5μmの活アルミナ40部、平均粒径300
μmのポリエチレン20部、ポリビニルブチラール16部、
シリカ1部、マグネシア1部、カルシア1部、及びベン
ジルブチルフタレート1部をトルエンを用いて均一に混
合し、その均一分散液をキャスティング法にて展開して
厚さ320μm、片面における表面粗さ(Ra:以下同じ)17
0μmのセラミック焼成用間挿シートを得た。
実施例2 平均粒径70μmの球状アルミナ10部、平均粒径1.5μ
mの活アルミナ40部、平均粒径100μmの架橋ポリスチ
レン30部、ポリビニルブチラール16部、シリカ1部、マ
グネシア1部、カルシア1部、及びベンジルブチルフタ
レート1部を用いて実施例1に準じ、厚さ200μm、片
面における表面粗さ60μmのセラミック焼成用間挿シー
トを得た。
実施例3 平均粒径50μmの球状アルミナ30部、平均粒径1.5μ
mの活アルミナ49部、ポリビニルブチラール16部、シリ
カ1部、マグネシア1部、カルシア1部及びベンジルブ
チルフタレート1部、並びにパラトルエンスルホニルヒ
ドラジッド(発泡剤)1部をトルエンを用いて均一に混
合し、その均一分散液をキャスティング法にて展開後、
130℃にて発泡させ厚さ220μm、片面における表面粗さ
70μmのセラミック焼成用間挿シートを得た。
比較例1 平均粒径50μmの球状アルミナ40部、平均粒径1.5μ
mの活アルミナ40部、ポリビニルブチラール16部、シリ
カ1部、マグネシア1部、カルシア1部及びベンジルブ
チルフタレート1部を用いて実施例1に準じ、厚さ200
μm、片面における表面粗さ5μmのセラミック焼成用
間挿シートを得た。
比較例2 平均粒径50μmの球状アルミナ0.1部、平均粒径1.5μ
mの活アルミナ59.9部、平均粒径300μmのポリエチレ
ン20部、ポリビニルブチラール16部、シリカ1部、マグ
ネシア1部、カルシア1部、及びベンジルブチルフタレ
ート1部を用いて実施例1に準じ、厚さ320μm、片面
における表面粗さ170μmのセラミック焼成用間挿シー
トを得た。
評価試験 実施例、比較例で得たセラミック焼成用間挿シート16
cm角に裁断し、これを15cm角で厚さ0.8mmのアルミナグ
リーンシート12枚の積み重ね体における最下部と柵板と
の間に間挿して焼成した。
前記において、最下部の焼成体と柵板との融着の有
無、目的焼成体への無機粉末の結着の有無、目的焼成体
の表面平滑性を調べた。
結果を表に示した。なお比較例3は、平均粒径50μm
の球状アルミナを柵板上に散布する方式で用いたもので
ある。
【図面の簡単な説明】
図1、図2はそれぞれ他の実施例の断面図である。 1:グリーンシート 2:無機粉末 11:表面粗さ10〜200μmの面
フロントページの続き (72)発明者 安田 辰志 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日 東電工株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 35/64 - 35/65

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミック成形体を焼成する際にそれ自体
    も焼成されるグリーンシートの中又は/及び表面にその
    焼成温度では溶融しない平均粒径5〜300μmの無機粉
    末を分散保有し、かつ片面における表面粗さが10〜200
    μmであることを特徴とするセラミック焼成用間挿シー
    ト。
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